医用機器管理装置、医用機器の管理方法、及び医用機器管理用プログラム
【課題】医用機器の故障可能性を判断する場合において、従来の単に平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測ができるようにする。
【解決手段】管理センタ7の医用機器管理装置8は、病院2内の医用機器31、32、…、3Nの稼動情報(据付場所の温度、湿度等の稼動環境情報や稼動実績情報)と故障情報(過去の故障発生日時等)とに基づいて、故障の可能性が高い医用機器(部品の故障をも含む)を特定する。これにより、医用機器が設置されている環境情報や稼動実績情報を考慮した故障の可能性判断が可能になる。
【解決手段】管理センタ7の医用機器管理装置8は、病院2内の医用機器31、32、…、3Nの稼動情報(据付場所の温度、湿度等の稼動環境情報や稼動実績情報)と故障情報(過去の故障発生日時等)とに基づいて、故障の可能性が高い医用機器(部品の故障をも含む)を特定する。これにより、医用機器が設置されている環境情報や稼動実績情報を考慮した故障の可能性判断が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用機器の管理に関し、とくに、遠隔地に設置してある医用機器の稼動環境情報と故障情報とに基づいて当該医用機器を管理する医用機器管理装置、及び、医用機器の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔地に設置したX線CT装置などの医用機器と、医用機器の管理を行なう管理センタとを通信ラインで結び、遠隔から医用機器を管理することが知られている。従来、この管理においては、特許文献1,2に示されるように、医用機器の部品の故障、すなわち交換時期を予測して故障を未然に防止するための手法が知られている。この手法には、部品毎の平均故障間隔時間(MTBF: Mean Time Between Failures)を演算する手法や、部品の特性値を測定し、その値の変化を評価する手法が知られている。
【特許文献1】特開2002−149868号公報
【特許文献2】特開2002−123602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記手法の場合、故障の要因、例えば使用頻度、使用場所の温湿度、電源電圧等は考慮されていなかった。その為、温度等の稼動環境や使用頻度等の稼動実績が異なる環境下では、必ずしも平均故障間隔時間による故障の予測精度が高いとは言えない場合があった。
【0004】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、医用機器の故障可能性をより高精度に判断でき、従来の単に平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも的確な管理を行なうことができるようにすることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る医用機器管理装置は、医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報を含む稼動情報を受けて保有し管理する稼動環境情報管理手段と、医用機器で発生した故障を表す故障情報を保有し管理する故障情報管理手段と、前記稼動環境情報管理手段が保有している稼動環境情報と前記故障情報管理手段が保有している故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を部品毎に抽出する分析手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記目的を達成するため、本発明に係る医用機器の管理方法は、医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報と医用機器で発生した故障を表す故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を抽出し、この故障条件をデータベースに登録し、前記データベースから所定の基準に沿って故障条件及び稼動環境情報を取得し、前記取得された故障条件及び稼動環境条件から故障の可能性のある故障警告の対象となる医用機器を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本実発明によれば、医用機器の稼動環境情報と故障情報に基づいて故障の可能性が高い医用機器を特定することにより、医用機器の設置現場の状況を踏まえた故障の可能性を判断することができる。これにより、従来の単に平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用機器管理システム(以下、「システム」という)1の全体構成図を示している。また、図1では、病院2に複数の医用機器31、32、…、3Nが設置されており、これら医用機器が院内LAN(Local Area Network)を介して各医用機器の稼動履歴を管理するコンピュータとしての履歴管理装置5に接続されている。医用機器としては、X線CT装置、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、X線撮影装置、超音波診断装置、核医学診断装置などが対象となる。なお、LANを組まないシステムの場合には、各医用機器の制御装置又は管理装置を兼用し、この装置自体に履歴管理装置の機能を持たせるようにしてもよい。
【0010】
この履歴管理装置5は、インターネット6を介して、病院外の管理センタ7に設置されたコンピュータとしての医用機器管理装置8と接続されている。これにより、管理センタ7では、医用機器管理装置8によって、監視対象としての医用機器31、32、…、3Nを履歴管理装置5を介して遠隔監視することができる。
【0011】
なお、監視対象は、特定の医用機器(例えば、医用機器31)全体だけでなく、医用機器の一部を成す部品やユニット(以下、部品と呼ぶ)であってもよい。部品の故障は、医用機器の稼動を全面的に停止させなければならない原因になるか、又は、医用機器の稼動に何等かの支障を来たす。このため、部品の故障は医用機器の故障として管理される。
【0012】
また、履歴管理装置5及び医用機器管理装置8は、それぞれ上述のように(1)物理的装置としてのコンピュータ、その構成要素であるCPU(Central Processing Unit)、各種記憶装置[ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),HD(Hard Disk)]、入力装置、出力装置、及び、このコンピュータに接続された物理的装置等から成るハードウェア資源と、(2)上記コンピュータを動作させるためのプログラム(p5)又は(p8)としてのソフトウェアと、が協働して実現された具体的手段によって構築されている。なお、これらのプログラム(p5),プログラム(p8)は、CD−ROM等の記録媒体に記録して、流通させることが可能である。
【0013】
また、上記履歴管理装置5のHD(不図示)には、図1に示すように、各医用機器31、32、…、3NからLAN4を介して定期的(例えば、10分毎)に収集した医用機器の稼動情報(I)を記憶して管理しておく稼動履歴管理DB(Data Base)11が構築されている。この稼動情報(I)は、各医用機器を一意に識別可能なID(Identification)(I1)と、各医用機器に関する稼動状況を監視した監視日時(例えば、10分毎)(I2)と、各医用機器の稼働状況を示した稼動状況情報(I3)とが関連付けられた情報である。この稼動状況情報(I3)は、図2に示すように、各医用機器が設置されている部屋の温度、湿度、電源電圧等の稼動環境情報(I31)や、医用機器がX線CT装置である場合のスライス数等の稼動実績情報(I32)等を含んでいる。
【0014】
なお、稼働状況情報(I3)は、医用機器の利用者が、GUI(Graphical User Interface)等を利用することで、温度として設定したり、湿度として設定したり、温度と湿度として設定したりといったように、任意の一つ、または任意の組み合わせで設定できるようにしてもよい。また、上記利用者が、GUI等を利用することで、病院内の全ての医用機器を監視対象に設定してもよいし、一部の医用機器を監視対象に設定してもよい。更に、医用機器の部品や、特定の役割を果たし医用機器を構成する一部としてのユニットを監視対象に設定してもよい。上記利用者が、GUI等を利用することで、警告通知の通知媒体、通知先(送信先)、通知内容を設定できるようにしてもよい。
【0015】
また、医用機器管理装置8のHD(不図示)には、図1に示すように、稼動情報管理DB21、故障情報管理DB22、評価区間管理DB23、故障条件管理DB24、及び据付情報管理DB25が構築されている。
【0016】
このうち、稼動情報管理DB21は、履歴管理装置5から、まとめて定期的(例えば、1日に1回)に送られて来る稼動情報(I)を記憶して管理しておくDB(データベース)である。故障情報管理DB22は、履歴管理装置5から、各医用機器31,32,…,3Nの故障が発生する度にリアルタイムで送られて来る故障情報(i)を記憶して管理しておくDBである。この故障情報(i)は、故障対象である部品を一意に識別可能なID(i1)と、この部品を備えた医用装置を一意に識別可能なID(i2)と、上記部品の故障の発生日時(i3)が関連付けられた情報である。
【0017】
また、評価区間管理DB23は、例えば、稼動環境情報が温度である場合、室温が15度から20度の区間、20度から25度の区間、25度から30度の区間のように、稼動状況情報(I3)が予め特定された範囲で区分けされる評価区間を管理するためのDBである。
【0018】
また、故障条件管理DB24は、医用機器が一定の稼働環境(室温等)又は稼動実績(スライス数等)を超えることで、故障する可能性が高くなる条件を示した故障条件を管理するためのDBである。据付情報管理DB25は、図3に示すように、各医用機器IDと、故障の可能性が高くなっている医用機器31等又は履歴管理装置5が存在している場合に送る警告通知の送信先アドレスと、を関連付けて管理するためのDBである。
【0019】
続いて、本実施形態に係る管理動作を図4のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートの管理処理は、医用機器管理装置8により、例えば所定のメインプログラムの実行中に一定時間毎に実行されるもので、図示していないが、かかる管理処理における処理周期の異なるステップについては、そのステップが終了する毎に、処理はメインプログラムに戻される。
【0020】
尚、本実施形態では、医用機器の一種であるX線CT装置の特定の部品における故障条件を分析し、履歴管理装置5に対して、故障する可能性が高い旨の警告通知を送信する場合について説明する。図4は、本実施形態に係る医用機器管理装置8の動作を示したフローチャート図である。また、図5は、特に図4におけるステップS5を詳細に示したフローチャート図である。図6は、ステップS5により導き出した稼動環境(ここでは、医用装置が据え付けられている部屋の温度)と特定の医用機器部品の故障発生率の関係を示した図である。
【0021】
まず、図1に示す履歴管理装置5が、定期的(例えば、10分毎)に各医用機器31,32,…,3Nから稼動状況情報(ここでは、医用装置が据え付けられている部屋の温度)(I3)を収集して、部品ID(I1)と観測日時(I2)と関連付けた稼働情報(I)として、稼動履歴管理DB11に一時的に蓄積しておく。そして、履歴管理装置5が、稼働情報(I)をまとめて定期的(例えば、1日毎)に管理センタ7の医用機器管理装置8へ送信すると、医用機器管理装置8では、この稼動情報(I)を受信する(ステップS1)。そして、稼動情報管理DB21に、上記受信した稼動情報(I)を記憶して管理する(ステップS2)。
【0022】
また、履歴管理装置5は、医用機器31、32、…、3Nのうちで、特定の日時(i3)に、特定の医用機器の特定の部品(i1)に故障が発生した旨の故障情報(i)をリアルタイムで医用機器管理装置8へ送信すると、医用機器管理装置8では、この故障情報(i)を受信する(ステップS3)。なお、この故障情報は、医用機器自体が自己診断プログラムを定期的に実行して得た情報であってもよいし、操作者が院内側の履歴管理装置5から手入力した情報であってもよいし、また、連絡を受けた管理センタ7のスタッフが医用機器管理装置7又はその他の管理端末から手入力した情報であってもよい。
【0023】
そして、故障情報管理DB22に、上記受信した故障情報(i)を記憶して管理する(ステップS4)。
【0024】
このようにして、稼動環境情報を含む稼動情報は1日1回又は複数回、定期的にDBに記憶(登録)され、一方、故障情報は、故障発生の度に、リアルタイムに、又は、任意のタイミングでDBに記憶(登録)される。
【0025】
次に、医用機器管理装置8は、医用機器の故障条件の分析を行う(ステップS5)。具体的には、図5に示すアルゴリズムに従って分析を行う。すなわち、医用機器管理装置8は、監視範囲(監視期間と監視対象としての部品)を予め定められた範囲で自動指定し、上記部品ID(I1)と上記部品ID(i1)が一致する部品に関し、上記監視期間内の稼働状況情報(I3)と故障発生日時(i3)を、それぞれ稼働情報管理DB21と故障情報管理DB22から読み出すことで、上記分析対象部品の故障時の稼働状況(室温等)と、故障した日以外の正常時の稼働状況(室温等)を抽出する(ステップS511)。
【0026】
次に、医用機器管理装置8は、評価区間DB23を参照して、上記稼働状況情報(I3)に係る稼働状況を予め定められた評価区間に分割する(ステップS512)。ここでは、図6に示すように、上記部品が設けられた医用機器の設置部屋の温度を、15度から20度、20度から25度、25度から30度の3つの評価区間に分割する。
【0027】
次に、各評価区間に対して故障発生率を算出する(ステップS513)。この故障発生率の算出は、上記分析対象の故障発生回数(ケース)と上記正常時の回数(ケース)に基づき、各評価区間において、故障発生率=〔故障発生回数/(故障発生回数+正常回数)〕の計算により行う。これにより、図6に示すように、特定の医用機器(部品)に関して評価区間(ここでは温度区間)毎の故障発生率を算出することができる。
【0028】
以上のように故障発生率は、故障条件として、故障条件管理DB24に記憶して管理する(ステップS6)。このような故障発生率を、故障が発生する度に算出し直すことで、故障条件が現場の稼動環境(温度等)や稼動実績(スライス数等)によって動的に変化するため、実際の現場の稼働状況に合った故障の発生予測を行うことができると共に、後述の警告通知の送信先等も合わせて動的に変更することができる。
【0029】
次に、故障の可能性が高い状態にある医用機器(部品)が存在するものとして、警告通知を行う場合には、稼動情報管理DB21から随時最新の稼動情報を読み出す(ステップS7)、この読み出した稼動情報に基づいて上記故障条件管理DB24を検索する(ステップS8)。この検索により、例えば「稼動環境温度=25〜30℃」が故障条件として得られる。
【0030】
次いで、この故障条件(温度条件)に合致する稼動環境情報のデータを有する医用機器があるか否かを判断することで、すなわち、特定の医用機器の故障発生率が一定値以上にあるか否かを判断することで、故障の可能性が高い医用機器が存在するか否かの判断(評価)を行う(ステップS9)。これにより、例えば稼動環境温度が25〜30℃の元で稼動する医用機器がその識別情報(機器ID)と稼動環境温度データと共に抽出される。
【0031】
次いで、故障の可能性が高い医用機器が存在しないと判断した場合には(No)、一旦処理を終えて次の処理タイミングを待つ。一方、上記ステップS9において、故障の可能性が高い医用機器が存在すると判断した場合には(Yes)、警告通知を送信する宛先を特定するために、機器IDに基づいて据付情報管理DB25を参照する(ステップS10)。そして、特定の宛先(本実施形態では履歴管理装置5)に、特定の医用機器が故障の可能性の高い状態にある旨の警告通知を送信する(ステップS11)。この警告通知は、電子メールだけでなく、FAXや電話による自動音声通知等であってもよい。
【0032】
以上説明したように本実施形態によれば、温度等の稼動環境情報(I31)や、スライス数等の稼動実績情報(I32)等に基づいて、機器設置環境の状況を踏まえた故障の可能性が高い医用機器(又は部品)を特定することができるため、従来の平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測が可能である。
【0033】
また、評価区間を詳細に分割し、それぞれの評価区間における故障発生率を算出しておくことで、範囲の広い評価区間における平均故障間隔よりも精度の高い予測が可能である。例えば、平均故障間隔が、室温が15度から30度の範囲で公開されている場合、室温が15度の場合と30度の場合とでは、必ずしも平均故障間隔時間が同じであるとは言えないが、本実施形態のように、室温の評価区間を15度から20度の区間、20度から25度の区間、25度から30度の区間と言ったように詳細に分割することで、精度の高い故障の可能性を予測することが可能となる。
【0034】
(第1の実施形態の変形例)
前述した故障可能性の通知は、操作者がGUIを通して指令する指令するようによい。つまり、医用機器管理装置8により提供されるGUIを操作者が操作したときに、この操作に応答して故障可能性を通知するように処理される。
【0035】
このGUIの一例を図13に示す。つまり、操作者はGUIを通して提供される故障条件(特定の故障条件か、全ての故障条件か)、装置条件(特定の装置か、全ての装置か)、及び通知条件(通知媒体、通知先、通知内容)を指定する。例えば、故障条件として稼動温度、装置条件として全ての装置を選択した場合、前述の実施形態と同様の処理がなされる。さらに、このGUIに対する別の使用法として、特定の装置の故障を誘引する稼動環境を抽出したい場合、故障条件=全ての故障条件、装置条件=特定の装置、を選択すればよい。これにより、当該装置の故障誘引となり得る稼動環境条件を抽出することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0037】
この第2の実施形態は、医用機器の故障を誘引する条件である故障条件に対する分析の具体的手法に関する。
【0038】
なお、本実施形態に係るシステムは、上記第1の実施形態におけるシステム1と同一の構成を有しているため、その説明を省略し、上記医用機器の故障条件の分析(ステップS5)に関して、異なった処理を説明する。
【0039】
具体的には、図7に示すように、まず、故障情報管理DB22から、部品ID(i1)に基づいて、同一の医用装置(部品)の現在及び過去における故障発生日時(i3)を抽出し、この部品ID(i1)に係る部品の平均故障間隔時間を算出する(ステップS521)。
【0040】
次に、医用機器管理装置8は、稼働情報管理DB21から、上記部品ID(i1)と一致する部品ID(I1)が関連付けられている稼働状況情報(I3)を読み出す(ステップS522)。そして、評価区間DB23を参照して、上記稼働状況情報(I3)に係る稼働状況(室温等)を予め定められた評価区間に分割する(ステップS523)。ここでは、図8に示すように、特定の医用機器が設置されている部屋の温度を、15度から20度、20度から25度、25度から30度と言った各評価区間に分割する。そして、上記ステップS521で算出した平均故障間隔時間を、各評価区間に分割して、評価区間毎の平均故障間隔時間を算出する(ステップS524)。このように処理することで、図8に示すように、特定の医用機器(部品)に関して評価区間(ここでは温度区間)別の平均故障間隔時間を算出することができる。
【0041】
また、以上のようにして算出した平均故障間隔時間は、第1の実施形態と同様に、故障条件として、故障条件管理DB24に記憶して管理する(ステップS6)。
【0042】
これ以降の処理は、上記第1の実施形態と同じであるため、その説明を省略する。なお、故障条件管理DB24には、図7に示すように、全ての評価区間毎に平均故障間隔時間を記憶してもよし、一定値(例えば、1000時間)未満の平均故障間隔時間は故障の可能性が高いと推測して、この一定値未満の平均故障間隔時間のみを記憶してもよい。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、温度等の稼動環境情報(I31)や、スライス数等の稼動実績情報(I32)等に基づいて、現場の状況を踏まえた故障の可能性が高い医用装置(部品)を特定することができるため、従来の平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測が可能である。
【0044】
また、評価区間を詳細に分割し、それぞれの評価区間における平均故障間隔時間を算出しておくことで、従来の範囲の広い評価区間における平均故障間隔時間よりも精度の高い予測が可能である。
【0045】
なお、図9に示すように、稼動情報(I)のうち、稼動実績情報(I32)としてのスライス数と、稼動環境情報(I31)としての室温等の2つの故障を誘引する要因を考慮して、平均故障間隔時間を算出してもよい。この場合、図9に示すように、スライス数が5000から10000の場合における室温が25度から30度のときと、スライス数が10000から15000の場合における室温が20度から25度、及び25度から30度のときの3つの条件(故障条件)の何れの場合も、平均故障間隔時間が1000時間未満となるため、故障の可能性が高いと判断される。
【0046】
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0047】
この第3の実施形態は、故障条件を分析するときの稼動環境条件などの稼動状況条件の評価区間の動的な変更に関する。
【0048】
なお、本実施形態に係るシステムは、上記第1の実施形態におけるシステム1と同一の構成を有しているため、その説明を省略し、上記評価区間DB23の内容を動的に変更する場合について説明する。この変更処理は、例えば図5のステップS512、又は、図7のステップS523で医用機器管理装置8により実行される。
【0049】
医用機器管理装置8は、稼動環境温度の単位温度ごと(例えば1度ごと)に例えば故障発生率を算出して、図10に示すような故障発生頻度分布図を得た場合、予め固定的に分割した15〜20度、20〜25度、25〜30度までの複数の評価区間を割り当てるよりも、故障発生率が急増する22度を境に分割した方が、現場の実際の故障状況に合致した故障予測ができる場合がある。
【0050】
そこで、初期設定された評価区間毎の故障発生回数を加算し、評価区間毎の故障発生率を求める。このとき、医用機器管理装置8は、故障発生率が予め定められた値(例えば図10の故障発生率=1000)を超えるまでは、評価区間を変えずに同一の評価区間とするように、評価区間を動的に変化してもよい。これにより、図10の例の場合には、評価区間が15〜21度及び22〜30度に動的に変更される。
【0051】
なお、評価区間の変更の方法には、評価区間の幅を変化させる方法と、評価区間の初期値を変化させる場合がある。また、故障発生率の代わりに、平均故障間隔時間を用いてもよい。
【0052】
[第4の実施形態]
続いて、本発明の第4の実施形態に係るシステムを、図11及び12を用いて説明する。
【0053】
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態で実行する警告通知の別の例に関する。
【0054】
医用機器ではその稼動状況に応じて適宜にアラート(警告)を発生させるが、そのアラートには、故障を通知するアラートと、故障を未然に防止するために発生させるアラートとがある。何れのアラートも予め定められたアラートの発生条件に応じて発生される。通常、後者のアラート、すなわち故障未然防止のためのアラートの発生条件は、各部品メーカの定める稼動環境条件に基づいて決められている。
【0055】
本実施形態に係る医用機器管理装置8は、その予め定められたプログラムを実行する機能により、アラート発生条件を生成する生成手段を有する。
【0056】
この生成手段の具体例を説明する。いま、前述した故障条件の分析により、図8に示した表に記載の故障条件が故障条件管理DB24に格納されているものとする。まず、医用機器管理装置8は、アラート発生条件生成手段の機能を用いて、この故障条件管理DB24に記録されている故障条件を読み出す(図11、ステップS31)。いまの例の場合、「稼動環境温度が25〜30℃」の情報が故障条件として読み出される。この読み出された故障条件は、必要に応じて、アラート発生条件としてデータフォーマットの変換に付される(ステップS32)。
【0057】
次いで、医用機器管理装置8は、そのアラート発生条件生成手段の機能により、据付情報管理DB25から装置据付情報を検索し読み出す(ステップS33)。このDB25に格納されて装置据付情報、及び、このDB25から取得される装置据付情報には、少なくとも図12に示す表に記載されたデータ項目(装置ID及びアラート発生条件の送付先)が含まれている。
【0058】
次いで、医用機器管理装置8は、取得された装置据付情報に含まれるアラート発生条件送信先に、上述した如く読み出された(、必要に応じてフォーマット変換された)故障条件がネットワークを介して、指定された送信先に送信される(ステップS34)。
【0059】
以上の処理は、医用機器管理装置8のCPUによって自動的に且つ定期的に実行される。なお、この自動実行に代えて、操作者からの処理開始指令があったときだけ、この指令に応答して実行するようにしてもよい。
【0060】
したがって、このアラート発生条件生成手段により、実際の故障情報及び稼動環境条件から抽出した故障条件に基づき、故障未然防止予防のためのアラートの発生条件を動的に且つ的確に変更しながら生成することができる。
【0061】
したがって、このアラート発生条件生成手段により、実際の故障情報及び稼動環境条件から抽出した故障条件に基づき、故障未然防止予防のためのアラートの発生条件を動的に且つ的確に変更しながら生成することができる。
【0062】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、単一の医用機器管理装置8によって、全てのDB21〜25を構築すると共に、全てのステップS1〜S11,S511〜S513,S521〜S524を実行することに関して説明したが、これに限るものではなく、上記DB21〜25のうちの一部を他の装置に分散したり、上記ステップSの一部を他の装置で実行したりするように構成してもよい。
【0063】
図13には、かかる分散システムの例を示す。この医用機器管理システム1によれば、病院2の側の履歴管理装置5がインターネット6を介して管理センタ7の稼動環境情報登録モジュール30に双方向に通信可能に接続されている。この稼動環境情報登録モジュール30は、管理センタ7に付設されたLANを経由してセンタ内の各モジュール及び各データベースに接続されている。モジュールとしては、上記モジュール30のほかに、故障情報登録モジュール32、分析モジュール34、アラート発生条件更新モジュール36、及び故障可能性通知モジュール39を備える。つまり、これらのモジュール30、32、34、36、及び39によって、前述した第1〜第4の実施形態で説明した医用機器管理装置8が実行する処理(すなわち、図4及び図11の処理)を分散処理する。一方、データベースとしては、稼動情報管理DB31、故障情報管理DB33、評価区間管理DB35、故障条件管理DB37、及び据付情報管理DB38を備える。これらのデータベース31、33、35,37、及び38は図1に記載のデータベースと同様の情報を格納する。これによっても、前述した各実施形態のものと同等の作用効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用機器管理システムの全体構成図。
【図2】稼動情報を示した図。
【図3】据付情報管理DBで管理する据付情報を示した図。
【図4】第1の実施形態に係る医用機器管理装置の動作を示したフローチャート図。
【図5】第1の実施形態におけるステップS5を詳細に示したフローチャート図。
【図6】ステップS5により導き出した稼動環境(ここでは、室温)と医用機器の故障発生率の関係を示した表図。
【図7】第2の実施形態におけるステップS5を詳細に示したフローチャート図。
【図8】特定の医用機器に関して算出した評価区間(ここでは温度区間)別の平均故障間隔時間を示した表図。
【図9】特定の医用機器に関して算出した評価区間(ここではスライス数区間と温度区間)別の平均故障間隔時間を示した表図。
【図10】稼動環境の単位温度ごとに平均故障間隔時間を算出して得た故障発生頻度分布図。
【図11】第4の実施形態において医用機器管理装置によって実行される処理の概要を説明するフローチャート。
【図12】第4の実施形態で取得される装置据付情報の一例を説明する図。
【図13】その他の実施形態に係る分散形の医用機器管理システムを例示する接続系統図。
【図14】第1の実施形態の変形例で用いられるGUIが提供する選択項目を説明する図。
【符号の説明】
【0065】
1 医用機器管理システム
2 病院
31,32,…,3N 医用機器
4 LAN
5 履歴管理装置
6 インターネット(通信ネットワークの一例)
7 管理センタ
8 医用機器管理装置(稼動環境情報管理手段、故障情報管理手段、分析手段、生成手段、送信手段、故障条件取得手段、稼動環境情報取得手段、特定手段、故障警告送信手段を機能的に形成する)
11 稼動履歴管理DB
21、31 稼動情報管理DB
22、33 故障情報管理DB
23、35 評価区間管理DB
24、37 故障条件管理DB
25、38 据付情報管理DB
30、32、34、36、39 分散設置された医用機器管理のためのモジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用機器の管理に関し、とくに、遠隔地に設置してある医用機器の稼動環境情報と故障情報とに基づいて当該医用機器を管理する医用機器管理装置、及び、医用機器の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔地に設置したX線CT装置などの医用機器と、医用機器の管理を行なう管理センタとを通信ラインで結び、遠隔から医用機器を管理することが知られている。従来、この管理においては、特許文献1,2に示されるように、医用機器の部品の故障、すなわち交換時期を予測して故障を未然に防止するための手法が知られている。この手法には、部品毎の平均故障間隔時間(MTBF: Mean Time Between Failures)を演算する手法や、部品の特性値を測定し、その値の変化を評価する手法が知られている。
【特許文献1】特開2002−149868号公報
【特許文献2】特開2002−123602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記手法の場合、故障の要因、例えば使用頻度、使用場所の温湿度、電源電圧等は考慮されていなかった。その為、温度等の稼動環境や使用頻度等の稼動実績が異なる環境下では、必ずしも平均故障間隔時間による故障の予測精度が高いとは言えない場合があった。
【0004】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、医用機器の故障可能性をより高精度に判断でき、従来の単に平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも的確な管理を行なうことができるようにすることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る医用機器管理装置は、医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報を含む稼動情報を受けて保有し管理する稼動環境情報管理手段と、医用機器で発生した故障を表す故障情報を保有し管理する故障情報管理手段と、前記稼動環境情報管理手段が保有している稼動環境情報と前記故障情報管理手段が保有している故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を部品毎に抽出する分析手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記目的を達成するため、本発明に係る医用機器の管理方法は、医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報と医用機器で発生した故障を表す故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を抽出し、この故障条件をデータベースに登録し、前記データベースから所定の基準に沿って故障条件及び稼動環境情報を取得し、前記取得された故障条件及び稼動環境条件から故障の可能性のある故障警告の対象となる医用機器を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本実発明によれば、医用機器の稼動環境情報と故障情報に基づいて故障の可能性が高い医用機器を特定することにより、医用機器の設置現場の状況を踏まえた故障の可能性を判断することができる。これにより、従来の単に平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用機器管理システム(以下、「システム」という)1の全体構成図を示している。また、図1では、病院2に複数の医用機器31、32、…、3Nが設置されており、これら医用機器が院内LAN(Local Area Network)を介して各医用機器の稼動履歴を管理するコンピュータとしての履歴管理装置5に接続されている。医用機器としては、X線CT装置、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、X線撮影装置、超音波診断装置、核医学診断装置などが対象となる。なお、LANを組まないシステムの場合には、各医用機器の制御装置又は管理装置を兼用し、この装置自体に履歴管理装置の機能を持たせるようにしてもよい。
【0010】
この履歴管理装置5は、インターネット6を介して、病院外の管理センタ7に設置されたコンピュータとしての医用機器管理装置8と接続されている。これにより、管理センタ7では、医用機器管理装置8によって、監視対象としての医用機器31、32、…、3Nを履歴管理装置5を介して遠隔監視することができる。
【0011】
なお、監視対象は、特定の医用機器(例えば、医用機器31)全体だけでなく、医用機器の一部を成す部品やユニット(以下、部品と呼ぶ)であってもよい。部品の故障は、医用機器の稼動を全面的に停止させなければならない原因になるか、又は、医用機器の稼動に何等かの支障を来たす。このため、部品の故障は医用機器の故障として管理される。
【0012】
また、履歴管理装置5及び医用機器管理装置8は、それぞれ上述のように(1)物理的装置としてのコンピュータ、その構成要素であるCPU(Central Processing Unit)、各種記憶装置[ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),HD(Hard Disk)]、入力装置、出力装置、及び、このコンピュータに接続された物理的装置等から成るハードウェア資源と、(2)上記コンピュータを動作させるためのプログラム(p5)又は(p8)としてのソフトウェアと、が協働して実現された具体的手段によって構築されている。なお、これらのプログラム(p5),プログラム(p8)は、CD−ROM等の記録媒体に記録して、流通させることが可能である。
【0013】
また、上記履歴管理装置5のHD(不図示)には、図1に示すように、各医用機器31、32、…、3NからLAN4を介して定期的(例えば、10分毎)に収集した医用機器の稼動情報(I)を記憶して管理しておく稼動履歴管理DB(Data Base)11が構築されている。この稼動情報(I)は、各医用機器を一意に識別可能なID(Identification)(I1)と、各医用機器に関する稼動状況を監視した監視日時(例えば、10分毎)(I2)と、各医用機器の稼働状況を示した稼動状況情報(I3)とが関連付けられた情報である。この稼動状況情報(I3)は、図2に示すように、各医用機器が設置されている部屋の温度、湿度、電源電圧等の稼動環境情報(I31)や、医用機器がX線CT装置である場合のスライス数等の稼動実績情報(I32)等を含んでいる。
【0014】
なお、稼働状況情報(I3)は、医用機器の利用者が、GUI(Graphical User Interface)等を利用することで、温度として設定したり、湿度として設定したり、温度と湿度として設定したりといったように、任意の一つ、または任意の組み合わせで設定できるようにしてもよい。また、上記利用者が、GUI等を利用することで、病院内の全ての医用機器を監視対象に設定してもよいし、一部の医用機器を監視対象に設定してもよい。更に、医用機器の部品や、特定の役割を果たし医用機器を構成する一部としてのユニットを監視対象に設定してもよい。上記利用者が、GUI等を利用することで、警告通知の通知媒体、通知先(送信先)、通知内容を設定できるようにしてもよい。
【0015】
また、医用機器管理装置8のHD(不図示)には、図1に示すように、稼動情報管理DB21、故障情報管理DB22、評価区間管理DB23、故障条件管理DB24、及び据付情報管理DB25が構築されている。
【0016】
このうち、稼動情報管理DB21は、履歴管理装置5から、まとめて定期的(例えば、1日に1回)に送られて来る稼動情報(I)を記憶して管理しておくDB(データベース)である。故障情報管理DB22は、履歴管理装置5から、各医用機器31,32,…,3Nの故障が発生する度にリアルタイムで送られて来る故障情報(i)を記憶して管理しておくDBである。この故障情報(i)は、故障対象である部品を一意に識別可能なID(i1)と、この部品を備えた医用装置を一意に識別可能なID(i2)と、上記部品の故障の発生日時(i3)が関連付けられた情報である。
【0017】
また、評価区間管理DB23は、例えば、稼動環境情報が温度である場合、室温が15度から20度の区間、20度から25度の区間、25度から30度の区間のように、稼動状況情報(I3)が予め特定された範囲で区分けされる評価区間を管理するためのDBである。
【0018】
また、故障条件管理DB24は、医用機器が一定の稼働環境(室温等)又は稼動実績(スライス数等)を超えることで、故障する可能性が高くなる条件を示した故障条件を管理するためのDBである。据付情報管理DB25は、図3に示すように、各医用機器IDと、故障の可能性が高くなっている医用機器31等又は履歴管理装置5が存在している場合に送る警告通知の送信先アドレスと、を関連付けて管理するためのDBである。
【0019】
続いて、本実施形態に係る管理動作を図4のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートの管理処理は、医用機器管理装置8により、例えば所定のメインプログラムの実行中に一定時間毎に実行されるもので、図示していないが、かかる管理処理における処理周期の異なるステップについては、そのステップが終了する毎に、処理はメインプログラムに戻される。
【0020】
尚、本実施形態では、医用機器の一種であるX線CT装置の特定の部品における故障条件を分析し、履歴管理装置5に対して、故障する可能性が高い旨の警告通知を送信する場合について説明する。図4は、本実施形態に係る医用機器管理装置8の動作を示したフローチャート図である。また、図5は、特に図4におけるステップS5を詳細に示したフローチャート図である。図6は、ステップS5により導き出した稼動環境(ここでは、医用装置が据え付けられている部屋の温度)と特定の医用機器部品の故障発生率の関係を示した図である。
【0021】
まず、図1に示す履歴管理装置5が、定期的(例えば、10分毎)に各医用機器31,32,…,3Nから稼動状況情報(ここでは、医用装置が据え付けられている部屋の温度)(I3)を収集して、部品ID(I1)と観測日時(I2)と関連付けた稼働情報(I)として、稼動履歴管理DB11に一時的に蓄積しておく。そして、履歴管理装置5が、稼働情報(I)をまとめて定期的(例えば、1日毎)に管理センタ7の医用機器管理装置8へ送信すると、医用機器管理装置8では、この稼動情報(I)を受信する(ステップS1)。そして、稼動情報管理DB21に、上記受信した稼動情報(I)を記憶して管理する(ステップS2)。
【0022】
また、履歴管理装置5は、医用機器31、32、…、3Nのうちで、特定の日時(i3)に、特定の医用機器の特定の部品(i1)に故障が発生した旨の故障情報(i)をリアルタイムで医用機器管理装置8へ送信すると、医用機器管理装置8では、この故障情報(i)を受信する(ステップS3)。なお、この故障情報は、医用機器自体が自己診断プログラムを定期的に実行して得た情報であってもよいし、操作者が院内側の履歴管理装置5から手入力した情報であってもよいし、また、連絡を受けた管理センタ7のスタッフが医用機器管理装置7又はその他の管理端末から手入力した情報であってもよい。
【0023】
そして、故障情報管理DB22に、上記受信した故障情報(i)を記憶して管理する(ステップS4)。
【0024】
このようにして、稼動環境情報を含む稼動情報は1日1回又は複数回、定期的にDBに記憶(登録)され、一方、故障情報は、故障発生の度に、リアルタイムに、又は、任意のタイミングでDBに記憶(登録)される。
【0025】
次に、医用機器管理装置8は、医用機器の故障条件の分析を行う(ステップS5)。具体的には、図5に示すアルゴリズムに従って分析を行う。すなわち、医用機器管理装置8は、監視範囲(監視期間と監視対象としての部品)を予め定められた範囲で自動指定し、上記部品ID(I1)と上記部品ID(i1)が一致する部品に関し、上記監視期間内の稼働状況情報(I3)と故障発生日時(i3)を、それぞれ稼働情報管理DB21と故障情報管理DB22から読み出すことで、上記分析対象部品の故障時の稼働状況(室温等)と、故障した日以外の正常時の稼働状況(室温等)を抽出する(ステップS511)。
【0026】
次に、医用機器管理装置8は、評価区間DB23を参照して、上記稼働状況情報(I3)に係る稼働状況を予め定められた評価区間に分割する(ステップS512)。ここでは、図6に示すように、上記部品が設けられた医用機器の設置部屋の温度を、15度から20度、20度から25度、25度から30度の3つの評価区間に分割する。
【0027】
次に、各評価区間に対して故障発生率を算出する(ステップS513)。この故障発生率の算出は、上記分析対象の故障発生回数(ケース)と上記正常時の回数(ケース)に基づき、各評価区間において、故障発生率=〔故障発生回数/(故障発生回数+正常回数)〕の計算により行う。これにより、図6に示すように、特定の医用機器(部品)に関して評価区間(ここでは温度区間)毎の故障発生率を算出することができる。
【0028】
以上のように故障発生率は、故障条件として、故障条件管理DB24に記憶して管理する(ステップS6)。このような故障発生率を、故障が発生する度に算出し直すことで、故障条件が現場の稼動環境(温度等)や稼動実績(スライス数等)によって動的に変化するため、実際の現場の稼働状況に合った故障の発生予測を行うことができると共に、後述の警告通知の送信先等も合わせて動的に変更することができる。
【0029】
次に、故障の可能性が高い状態にある医用機器(部品)が存在するものとして、警告通知を行う場合には、稼動情報管理DB21から随時最新の稼動情報を読み出す(ステップS7)、この読み出した稼動情報に基づいて上記故障条件管理DB24を検索する(ステップS8)。この検索により、例えば「稼動環境温度=25〜30℃」が故障条件として得られる。
【0030】
次いで、この故障条件(温度条件)に合致する稼動環境情報のデータを有する医用機器があるか否かを判断することで、すなわち、特定の医用機器の故障発生率が一定値以上にあるか否かを判断することで、故障の可能性が高い医用機器が存在するか否かの判断(評価)を行う(ステップS9)。これにより、例えば稼動環境温度が25〜30℃の元で稼動する医用機器がその識別情報(機器ID)と稼動環境温度データと共に抽出される。
【0031】
次いで、故障の可能性が高い医用機器が存在しないと判断した場合には(No)、一旦処理を終えて次の処理タイミングを待つ。一方、上記ステップS9において、故障の可能性が高い医用機器が存在すると判断した場合には(Yes)、警告通知を送信する宛先を特定するために、機器IDに基づいて据付情報管理DB25を参照する(ステップS10)。そして、特定の宛先(本実施形態では履歴管理装置5)に、特定の医用機器が故障の可能性の高い状態にある旨の警告通知を送信する(ステップS11)。この警告通知は、電子メールだけでなく、FAXや電話による自動音声通知等であってもよい。
【0032】
以上説明したように本実施形態によれば、温度等の稼動環境情報(I31)や、スライス数等の稼動実績情報(I32)等に基づいて、機器設置環境の状況を踏まえた故障の可能性が高い医用機器(又は部品)を特定することができるため、従来の平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測が可能である。
【0033】
また、評価区間を詳細に分割し、それぞれの評価区間における故障発生率を算出しておくことで、範囲の広い評価区間における平均故障間隔よりも精度の高い予測が可能である。例えば、平均故障間隔が、室温が15度から30度の範囲で公開されている場合、室温が15度の場合と30度の場合とでは、必ずしも平均故障間隔時間が同じであるとは言えないが、本実施形態のように、室温の評価区間を15度から20度の区間、20度から25度の区間、25度から30度の区間と言ったように詳細に分割することで、精度の高い故障の可能性を予測することが可能となる。
【0034】
(第1の実施形態の変形例)
前述した故障可能性の通知は、操作者がGUIを通して指令する指令するようによい。つまり、医用機器管理装置8により提供されるGUIを操作者が操作したときに、この操作に応答して故障可能性を通知するように処理される。
【0035】
このGUIの一例を図13に示す。つまり、操作者はGUIを通して提供される故障条件(特定の故障条件か、全ての故障条件か)、装置条件(特定の装置か、全ての装置か)、及び通知条件(通知媒体、通知先、通知内容)を指定する。例えば、故障条件として稼動温度、装置条件として全ての装置を選択した場合、前述の実施形態と同様の処理がなされる。さらに、このGUIに対する別の使用法として、特定の装置の故障を誘引する稼動環境を抽出したい場合、故障条件=全ての故障条件、装置条件=特定の装置、を選択すればよい。これにより、当該装置の故障誘引となり得る稼動環境条件を抽出することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0037】
この第2の実施形態は、医用機器の故障を誘引する条件である故障条件に対する分析の具体的手法に関する。
【0038】
なお、本実施形態に係るシステムは、上記第1の実施形態におけるシステム1と同一の構成を有しているため、その説明を省略し、上記医用機器の故障条件の分析(ステップS5)に関して、異なった処理を説明する。
【0039】
具体的には、図7に示すように、まず、故障情報管理DB22から、部品ID(i1)に基づいて、同一の医用装置(部品)の現在及び過去における故障発生日時(i3)を抽出し、この部品ID(i1)に係る部品の平均故障間隔時間を算出する(ステップS521)。
【0040】
次に、医用機器管理装置8は、稼働情報管理DB21から、上記部品ID(i1)と一致する部品ID(I1)が関連付けられている稼働状況情報(I3)を読み出す(ステップS522)。そして、評価区間DB23を参照して、上記稼働状況情報(I3)に係る稼働状況(室温等)を予め定められた評価区間に分割する(ステップS523)。ここでは、図8に示すように、特定の医用機器が設置されている部屋の温度を、15度から20度、20度から25度、25度から30度と言った各評価区間に分割する。そして、上記ステップS521で算出した平均故障間隔時間を、各評価区間に分割して、評価区間毎の平均故障間隔時間を算出する(ステップS524)。このように処理することで、図8に示すように、特定の医用機器(部品)に関して評価区間(ここでは温度区間)別の平均故障間隔時間を算出することができる。
【0041】
また、以上のようにして算出した平均故障間隔時間は、第1の実施形態と同様に、故障条件として、故障条件管理DB24に記憶して管理する(ステップS6)。
【0042】
これ以降の処理は、上記第1の実施形態と同じであるため、その説明を省略する。なお、故障条件管理DB24には、図7に示すように、全ての評価区間毎に平均故障間隔時間を記憶してもよし、一定値(例えば、1000時間)未満の平均故障間隔時間は故障の可能性が高いと推測して、この一定値未満の平均故障間隔時間のみを記憶してもよい。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、温度等の稼動環境情報(I31)や、スライス数等の稼動実績情報(I32)等に基づいて、現場の状況を踏まえた故障の可能性が高い医用装置(部品)を特定することができるため、従来の平均故障間隔時間を用いた故障の予測方法よりも精度の高い予測が可能である。
【0044】
また、評価区間を詳細に分割し、それぞれの評価区間における平均故障間隔時間を算出しておくことで、従来の範囲の広い評価区間における平均故障間隔時間よりも精度の高い予測が可能である。
【0045】
なお、図9に示すように、稼動情報(I)のうち、稼動実績情報(I32)としてのスライス数と、稼動環境情報(I31)としての室温等の2つの故障を誘引する要因を考慮して、平均故障間隔時間を算出してもよい。この場合、図9に示すように、スライス数が5000から10000の場合における室温が25度から30度のときと、スライス数が10000から15000の場合における室温が20度から25度、及び25度から30度のときの3つの条件(故障条件)の何れの場合も、平均故障間隔時間が1000時間未満となるため、故障の可能性が高いと判断される。
【0046】
[第3の実施形態]
続いて、本発明の第3の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0047】
この第3の実施形態は、故障条件を分析するときの稼動環境条件などの稼動状況条件の評価区間の動的な変更に関する。
【0048】
なお、本実施形態に係るシステムは、上記第1の実施形態におけるシステム1と同一の構成を有しているため、その説明を省略し、上記評価区間DB23の内容を動的に変更する場合について説明する。この変更処理は、例えば図5のステップS512、又は、図7のステップS523で医用機器管理装置8により実行される。
【0049】
医用機器管理装置8は、稼動環境温度の単位温度ごと(例えば1度ごと)に例えば故障発生率を算出して、図10に示すような故障発生頻度分布図を得た場合、予め固定的に分割した15〜20度、20〜25度、25〜30度までの複数の評価区間を割り当てるよりも、故障発生率が急増する22度を境に分割した方が、現場の実際の故障状況に合致した故障予測ができる場合がある。
【0050】
そこで、初期設定された評価区間毎の故障発生回数を加算し、評価区間毎の故障発生率を求める。このとき、医用機器管理装置8は、故障発生率が予め定められた値(例えば図10の故障発生率=1000)を超えるまでは、評価区間を変えずに同一の評価区間とするように、評価区間を動的に変化してもよい。これにより、図10の例の場合には、評価区間が15〜21度及び22〜30度に動的に変更される。
【0051】
なお、評価区間の変更の方法には、評価区間の幅を変化させる方法と、評価区間の初期値を変化させる場合がある。また、故障発生率の代わりに、平均故障間隔時間を用いてもよい。
【0052】
[第4の実施形態]
続いて、本発明の第4の実施形態に係るシステムを、図11及び12を用いて説明する。
【0053】
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態で実行する警告通知の別の例に関する。
【0054】
医用機器ではその稼動状況に応じて適宜にアラート(警告)を発生させるが、そのアラートには、故障を通知するアラートと、故障を未然に防止するために発生させるアラートとがある。何れのアラートも予め定められたアラートの発生条件に応じて発生される。通常、後者のアラート、すなわち故障未然防止のためのアラートの発生条件は、各部品メーカの定める稼動環境条件に基づいて決められている。
【0055】
本実施形態に係る医用機器管理装置8は、その予め定められたプログラムを実行する機能により、アラート発生条件を生成する生成手段を有する。
【0056】
この生成手段の具体例を説明する。いま、前述した故障条件の分析により、図8に示した表に記載の故障条件が故障条件管理DB24に格納されているものとする。まず、医用機器管理装置8は、アラート発生条件生成手段の機能を用いて、この故障条件管理DB24に記録されている故障条件を読み出す(図11、ステップS31)。いまの例の場合、「稼動環境温度が25〜30℃」の情報が故障条件として読み出される。この読み出された故障条件は、必要に応じて、アラート発生条件としてデータフォーマットの変換に付される(ステップS32)。
【0057】
次いで、医用機器管理装置8は、そのアラート発生条件生成手段の機能により、据付情報管理DB25から装置据付情報を検索し読み出す(ステップS33)。このDB25に格納されて装置据付情報、及び、このDB25から取得される装置据付情報には、少なくとも図12に示す表に記載されたデータ項目(装置ID及びアラート発生条件の送付先)が含まれている。
【0058】
次いで、医用機器管理装置8は、取得された装置据付情報に含まれるアラート発生条件送信先に、上述した如く読み出された(、必要に応じてフォーマット変換された)故障条件がネットワークを介して、指定された送信先に送信される(ステップS34)。
【0059】
以上の処理は、医用機器管理装置8のCPUによって自動的に且つ定期的に実行される。なお、この自動実行に代えて、操作者からの処理開始指令があったときだけ、この指令に応答して実行するようにしてもよい。
【0060】
したがって、このアラート発生条件生成手段により、実際の故障情報及び稼動環境条件から抽出した故障条件に基づき、故障未然防止予防のためのアラートの発生条件を動的に且つ的確に変更しながら生成することができる。
【0061】
したがって、このアラート発生条件生成手段により、実際の故障情報及び稼動環境条件から抽出した故障条件に基づき、故障未然防止予防のためのアラートの発生条件を動的に且つ的確に変更しながら生成することができる。
【0062】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、単一の医用機器管理装置8によって、全てのDB21〜25を構築すると共に、全てのステップS1〜S11,S511〜S513,S521〜S524を実行することに関して説明したが、これに限るものではなく、上記DB21〜25のうちの一部を他の装置に分散したり、上記ステップSの一部を他の装置で実行したりするように構成してもよい。
【0063】
図13には、かかる分散システムの例を示す。この医用機器管理システム1によれば、病院2の側の履歴管理装置5がインターネット6を介して管理センタ7の稼動環境情報登録モジュール30に双方向に通信可能に接続されている。この稼動環境情報登録モジュール30は、管理センタ7に付設されたLANを経由してセンタ内の各モジュール及び各データベースに接続されている。モジュールとしては、上記モジュール30のほかに、故障情報登録モジュール32、分析モジュール34、アラート発生条件更新モジュール36、及び故障可能性通知モジュール39を備える。つまり、これらのモジュール30、32、34、36、及び39によって、前述した第1〜第4の実施形態で説明した医用機器管理装置8が実行する処理(すなわち、図4及び図11の処理)を分散処理する。一方、データベースとしては、稼動情報管理DB31、故障情報管理DB33、評価区間管理DB35、故障条件管理DB37、及び据付情報管理DB38を備える。これらのデータベース31、33、35,37、及び38は図1に記載のデータベースと同様の情報を格納する。これによっても、前述した各実施形態のものと同等の作用効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用機器管理システムの全体構成図。
【図2】稼動情報を示した図。
【図3】据付情報管理DBで管理する据付情報を示した図。
【図4】第1の実施形態に係る医用機器管理装置の動作を示したフローチャート図。
【図5】第1の実施形態におけるステップS5を詳細に示したフローチャート図。
【図6】ステップS5により導き出した稼動環境(ここでは、室温)と医用機器の故障発生率の関係を示した表図。
【図7】第2の実施形態におけるステップS5を詳細に示したフローチャート図。
【図8】特定の医用機器に関して算出した評価区間(ここでは温度区間)別の平均故障間隔時間を示した表図。
【図9】特定の医用機器に関して算出した評価区間(ここではスライス数区間と温度区間)別の平均故障間隔時間を示した表図。
【図10】稼動環境の単位温度ごとに平均故障間隔時間を算出して得た故障発生頻度分布図。
【図11】第4の実施形態において医用機器管理装置によって実行される処理の概要を説明するフローチャート。
【図12】第4の実施形態で取得される装置据付情報の一例を説明する図。
【図13】その他の実施形態に係る分散形の医用機器管理システムを例示する接続系統図。
【図14】第1の実施形態の変形例で用いられるGUIが提供する選択項目を説明する図。
【符号の説明】
【0065】
1 医用機器管理システム
2 病院
31,32,…,3N 医用機器
4 LAN
5 履歴管理装置
6 インターネット(通信ネットワークの一例)
7 管理センタ
8 医用機器管理装置(稼動環境情報管理手段、故障情報管理手段、分析手段、生成手段、送信手段、故障条件取得手段、稼動環境情報取得手段、特定手段、故障警告送信手段を機能的に形成する)
11 稼動履歴管理DB
21、31 稼動情報管理DB
22、33 故障情報管理DB
23、35 評価区間管理DB
24、37 故障条件管理DB
25、38 据付情報管理DB
30、32、34、36、39 分散設置された医用機器管理のためのモジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報を含む稼動情報を受けて保有し管理する稼動環境情報管理手段と、
医用機器で発生した故障を表す故障情報を保有し管理する故障情報管理手段と、
前記稼動環境情報管理手段が保有している稼動環境情報と前記故障情報管理手段が保有している故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を部品毎に抽出する分析手段と、を備えたことを特徴とする医用機器管理装置。
【請求項2】
前記稼動環境情報管理手段は、前記稼動環境情報を登録可能な稼動環境情報データベースと、この稼動環境情報データベースに当該稼動環境情報を登録する稼動環境情報登録手段と備え、
前記故障情報管理手段は、前記故障情報を登録可能な故障情報データベースと、この故障情報データベースに当該故障情報を登録する故障情報登録手段とを備え、
当該医用機器管理装置は、前記分析手段により抽出された前記故障条件の情報を記憶する故障条件データベースを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の医用機器管理装置。
【請求項3】
前記稼動環境情報登録手段は、前記稼動環境情報データベースに、当該医用機器を一意に識別可能な識別情報と、当該医用機器の入力電圧、稼動環境温度、稼動環境湿度、起動時間、停止時間、及び画像撮影の属性情報のうちの少なくとも何れか1つ以上のパラメータとを関連付けて登録するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の医用機器管理装置。
【請求項4】
前記故障情報登録手段は、前記故障情報データベースに、少なくとも、当該医用機器を一意に識別可能な識別情報と、当該医用機器の故障部品を一意に識別可能な識別情報と、故障発生日時とを関連付けて登録するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の医用機器管理装置。
【請求項5】
前記故障条件から前記医用機器の予防保守のためのアラートを発生させる条件であるアラート発生条件を生成する生成手段と、
この生成手段により生成されたアラート発生条件を所定の宛先に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の医用機器管理装置。
【請求項6】
前記アラート発生条件の送信先を示す宛先情報を予め記憶している据付情報データベースを備え、
前記送信手段は、この据付情報データベースから宛先情報を取得するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の医用機器管理装置。
【請求項7】
前記故障条件データベースから所定の基準に沿って故障条件を取得する故障条件取得手段と、
前記稼動環境情報データベースから所定の基準に沿って稼動環境情報を取得する稼動環境情報取得手段と、
前記取得された故障条件及び稼動環境条件から故障の可能性のある故障警告の対象となる医用機器を特定する特定手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の医用機器管理装置。
【請求項8】
前記特定手段により故障警告対象の医用機器が特定されたときに、当該医用機器に関して予め登録された通知先に前記故障警告を送信する手段を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の医用機器管理装置。
【請求項9】
通信ラインを介して前記医用機器に接続されている医用機器管理装置であって、
前記通信ラインを介して前記医用機器から送信されてくる前記稼動環境情報を受信するようにしたことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の医用機器管理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医用機器管理装置の前記夫々の手段の機能をコンピュータに実現させるための医用機器管理用プログラム。
【請求項11】
医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報と医用機器で発生した故障を表す故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を抽出し、
前記故障条件から医用機器の予防保守のためのアラートを発生させる条件であるアラート発生条件を生成し、
この生成されたアラート発生条件を所定の宛先に送信する、ことを特徴とする医用機器の管理方法。
【請求項12】
医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報と医用機器で発生した故障を表す故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を抽出し、
この故障条件をデータベースに登録し、
前記データベースから所定の基準に沿って故障条件及び稼動環境情報を取得し、
前記取得された故障条件及び稼動環境条件から故障の可能性のある故障警告の対象となる医用機器を特定する、ことを特徴とする医用機器の管理方法。
【請求項13】
前記故障警告対象の医用機器が特定されたときに、当該医用機器に関して予め登録された通知先に前記故障警告を送信する、ことを特徴とする請求項2に記載の医用機器の管理方法。
【請求項14】
医用機器の故障に関する少なくとも解析対象期間と解析対象部品とを解析条件として指定し、
前記解析対象期間内の前記医用機器の稼動環境情報をデータベースから取得し、
前記解析対象期間内に発生した前記解析対象部品の故障日時の情報をデータベースから取得し、
稼動環境情報の予め定めた区間毎に故障発生確率を算出し、
この故障発生確率を用いて前記医用機器の故障を誘引する条件を示す故障条件を生成する、ことを特徴とする医用機器の管理方法。
【請求項1】
医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報を含む稼動情報を受けて保有し管理する稼動環境情報管理手段と、
医用機器で発生した故障を表す故障情報を保有し管理する故障情報管理手段と、
前記稼動環境情報管理手段が保有している稼動環境情報と前記故障情報管理手段が保有している故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を部品毎に抽出する分析手段と、を備えたことを特徴とする医用機器管理装置。
【請求項2】
前記稼動環境情報管理手段は、前記稼動環境情報を登録可能な稼動環境情報データベースと、この稼動環境情報データベースに当該稼動環境情報を登録する稼動環境情報登録手段と備え、
前記故障情報管理手段は、前記故障情報を登録可能な故障情報データベースと、この故障情報データベースに当該故障情報を登録する故障情報登録手段とを備え、
当該医用機器管理装置は、前記分析手段により抽出された前記故障条件の情報を記憶する故障条件データベースを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の医用機器管理装置。
【請求項3】
前記稼動環境情報登録手段は、前記稼動環境情報データベースに、当該医用機器を一意に識別可能な識別情報と、当該医用機器の入力電圧、稼動環境温度、稼動環境湿度、起動時間、停止時間、及び画像撮影の属性情報のうちの少なくとも何れか1つ以上のパラメータとを関連付けて登録するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の医用機器管理装置。
【請求項4】
前記故障情報登録手段は、前記故障情報データベースに、少なくとも、当該医用機器を一意に識別可能な識別情報と、当該医用機器の故障部品を一意に識別可能な識別情報と、故障発生日時とを関連付けて登録するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の医用機器管理装置。
【請求項5】
前記故障条件から前記医用機器の予防保守のためのアラートを発生させる条件であるアラート発生条件を生成する生成手段と、
この生成手段により生成されたアラート発生条件を所定の宛先に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の医用機器管理装置。
【請求項6】
前記アラート発生条件の送信先を示す宛先情報を予め記憶している据付情報データベースを備え、
前記送信手段は、この据付情報データベースから宛先情報を取得するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の医用機器管理装置。
【請求項7】
前記故障条件データベースから所定の基準に沿って故障条件を取得する故障条件取得手段と、
前記稼動環境情報データベースから所定の基準に沿って稼動環境情報を取得する稼動環境情報取得手段と、
前記取得された故障条件及び稼動環境条件から故障の可能性のある故障警告の対象となる医用機器を特定する特定手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の医用機器管理装置。
【請求項8】
前記特定手段により故障警告対象の医用機器が特定されたときに、当該医用機器に関して予め登録された通知先に前記故障警告を送信する手段を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の医用機器管理装置。
【請求項9】
通信ラインを介して前記医用機器に接続されている医用機器管理装置であって、
前記通信ラインを介して前記医用機器から送信されてくる前記稼動環境情報を受信するようにしたことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の医用機器管理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医用機器管理装置の前記夫々の手段の機能をコンピュータに実現させるための医用機器管理用プログラム。
【請求項11】
医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報と医用機器で発生した故障を表す故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を抽出し、
前記故障条件から医用機器の予防保守のためのアラートを発生させる条件であるアラート発生条件を生成し、
この生成されたアラート発生条件を所定の宛先に送信する、ことを特徴とする医用機器の管理方法。
【請求項12】
医用機器の稼動環境を表す稼動環境情報と医用機器で発生した故障を表す故障情報とに基づいて稼動環境と故障評価値との関連を分析して故障を誘引する条件を示す故障条件を抽出し、
この故障条件をデータベースに登録し、
前記データベースから所定の基準に沿って故障条件及び稼動環境情報を取得し、
前記取得された故障条件及び稼動環境条件から故障の可能性のある故障警告の対象となる医用機器を特定する、ことを特徴とする医用機器の管理方法。
【請求項13】
前記故障警告対象の医用機器が特定されたときに、当該医用機器に関して予め登録された通知先に前記故障警告を送信する、ことを特徴とする請求項2に記載の医用機器の管理方法。
【請求項14】
医用機器の故障に関する少なくとも解析対象期間と解析対象部品とを解析条件として指定し、
前記解析対象期間内の前記医用機器の稼動環境情報をデータベースから取得し、
前記解析対象期間内に発生した前記解析対象部品の故障日時の情報をデータベースから取得し、
稼動環境情報の予め定めた区間毎に故障発生確率を算出し、
この故障発生確率を用いて前記医用機器の故障を誘引する条件を示す故障条件を生成する、ことを特徴とする医用機器の管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−149873(P2006−149873A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347658(P2004−347658)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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