説明

医用画像処理システム及び医用画像処理装置

【課題】DICOM情報に問題が発生した場合であっても医用画像の方向性を正確に認識することが可能な技術を提供する。
【解決手段】医用画像処理システムは、医用画像処理装置1、医用画像診断装置2及び画像データベース3を有する。医用画像診断装置2は、作成した医用画像の画像データに方向情報を埋め込み、DICOM情報とともに医用画像処理装置1に送る。医用画像処理装置1は、埋め込まれた方向情報が示す方向とDICOM方向情報が示す方向とが一致するか判断する。一致する場合は医用画像を表示する。一致しない場合にはエラーメッセージを表示する。方向情報やDICOM方向情報がユーザにより修正された場合、医用画像を表示する。修正されない場合、その医用画像の画像データベース3への送信を禁止して内部保管する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置により作成された医用画像に関する処理を行う医用画像処理システム及び医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場においては、様々な種類の医用画像診断装置が従来から使用されている。X線CT装置、X線診断装置、MRI装置、核医学診断装置、超音波診断装置などは、医用画像診断装置の代表的な例である。
【0003】
また、近年では、医用画像のチェック(「検像」と呼ばれる。)や読影の作業の迅速化などを図るために、医用画像を電子化して管理するシステムが普及してきている。このようなシステムには、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)と呼ばれるネットワーク規格が適用されているのが一般的であり、メーカーや機種の垣根を超えてのシステム構築が可能となっている。
【0004】
DICOMでは、被検者の識別情報(患者ID等)、撮影条件、撮影時間などの付帯情報(「DICOM情報」などと呼ばれる。)を医用画像に付加して管理している。このDICOM情報には、特に、当該医用画像における被検者の頭の方向、足の方向、左右方向などを示す情報や、3次元画像においては、xyz座標系の各座標軸の方向余弦の情報など、その医用画像の方向を示す情報(DICOM方向情報)が付加されている。DICOMが適用された装置は、このDICOM情報を参照して、データの読み込みや画像表示などの処理を行うようになっている。
【0005】
医用画像の検像や読影を行う際、作業者は、画像の方向性、つまり、その画像が被検体をどの方向から撮影したものであるのかを正確に認識しておく必要がある。たとえば、検像等の作業において医用画像の表示方向(表示の向きや角度)を変更したり、3次元画像の断面方向を変更したりした場合に、その変更内容をDICOM情報に反映させるのを忘れると、実際の表示画像とDICOM情報とが一致しなくなる。作業者は、画像から方向を認識できないときにはDICOM情報によって方向を判断せざるを得ないため、誤診につながるおそれが生じてしまう。
【0006】
その一例として、脳の診断において、頭頂部側から見た画像を左右反転させて首側から見た画像に変換したときにDICOM情報の更新を忘れた場合、当該画像はDICOM情報が示す通りに首側から見たものであると作業者は認識してしまう。この表示画像に基づいてたとえば右脳に病変部を発見した場合、この病変部は実際は左脳に存在するものであるため、誤診の危険性が大きい。このように、医用画像の方向性を正確に把握することは、非常に重要である。
【0007】
特許文献1には、画像の方向性の認識を促進する発明が開示されている。同文献に記載の発明は、医用画像診断装置にて撮影された3次元画像を所望の視線方向から見た3次元画像に変換して表示する3次元画像表示装置において、3次元画像の視線方向を示す疑似人体像を3次元画像とともに表示するものである。作業者は、疑似人体像の表示方向を参照して、3次元画像の視線方向を認識することができる。
【0008】
【特許文献1】特開平8−167047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1の発明においては、疑似人体像をある程度大きなサイズで表示させて視線方向の認識を容易化する必要があるため、同文献の図面にも示すように、医用画像上に疑似人体像が重なって表示されることがあり、病変部等を確認できないおそれがある。
【0010】
DICOMが適用された従来のシステム一般においては、画像の方向性をDICOM情報に依存して判断していたので、実際の表示画像とDICOM情報とが一致しないときには、それらが一致していないことすら認識できずに誤診を招く危険性があった。
【0011】
また、通信時のエラーなどによりDICOM情報が欠落したときや、DICOM情報の自動更新処理においてエラーが発生したときや、DICOM情報を更新し忘れたときなど、DICOM情報に問題が発生したときには、画像の方向性を全く認識できない状態に陥ってしまったり、方向性を誤って認識してしまったりすることがあった。
【0012】
なお、画像の方向性を正確に認識できないことは、医用画像診断における最大のリスク要因の1つと考えられ、データの消失やソフトウェアのハングアップなどよりも重大な結果(たとえば誤診等の医療ミスなど)を引き起こすものである。そのため、DICOM情報に依存することなく画像の方向性の正確な認識を可能にする手段の開発が広く要望されていた。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するために為されたものであり、DICOM情報に問題が発生した場合に、そのDICOM情報の問題点を認識することが可能な医用画像処理システム及び医用画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医用画像の画像データ及び該医用画像のDICOM情報を作成し、ネットワークを介して出力する医用画像診断装置と、前記出力された医用画像の画像データ及びDICOM情報を受信し、該DICOM情報に基づいて該医用画像に処理を施す医用画像処理装置とを有する医用画像処理システムであって、前記医用画像の方向を示す方向情報を該医用画像の画像データに埋め込む埋込手段を備えている、ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像処理システムであって、前記方向情報は、前記医用画像の四隅の領域のうちの少なくとも1つに対応する画像データの領域に埋め込まれる、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像処理システムであって、前記方向情報は、前記医用画像における被検者の頭の方向及び足の方向と、左方向及び右方向とを組み合わせて得られる4つの方向を示す4つの文字情報を含み、前記埋込手段は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記4つの文字情報を1つずつ埋め込む、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像処理システムであって、前記方向情報は、前記医用画像における被検者の頭の方向及び足の方向と、左方向及び右方向とを組み合わせて得られる4つの方向のそれぞれについて設定され、かつ、それらの和が所定の値になるように設定された、それぞれ異なる4つの数字情報からなる数字方向情報を含み、前記医用画像診断装置は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記数字方向情報の4つの数字情報を1つずつ埋め込む前記埋込手段を備え、前記数字方向情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、前記医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けて、当該医用画像の画像データの前記4つの領域に数字情報が埋め込まれているか判断し、数字情報が埋め込まれていると前記判断されたときに、前記4つの領域の数字情報の和を算出し、算出された和が前記所定の値であるか否か判断することにより、当該医用画像の画像データに前記数字方向情報が埋め込まれているか否かを判断する方向情報判断手段を備えている、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像処理システムであって、前記方向情報は、前記医用画像の3つの座標軸のそれぞれの方向余弦に基づく3つの数字情報と、該3つの数字情報との和が所定の値となる第4の数字情報とからなる方向余弦情報を含み、前記医用画像診断装置は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記方向余弦情報の前記3つの数字情報及び前記第4の数字情報を1つずつ埋め込む前記埋込手段を備え、前記方向余弦情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、前記医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けて、当該医用画像の画像データの前記4つの領域に数字情報が埋め込まれているか判断し、数字情報が埋め込まれていると前記判断されたときに、前記4つの領域の数字情報の和を算出し、算出された和が前記所定の値であるか否か判断することにより、当該医用画像の画像データに前記方向余弦情報が埋め込まれているか否かを判断する方向情報判断手段を備えている、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像処理システムであって、複数の前記方向情報が設けられており、該複数の方向情報は、それらの和が画像種類によって異なるように設定された、それぞれ異なる4つの数字情報からなり、前記医用画像診断装置は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記複数の方向情報のうちのいずれかの4つの数字情報を1つずつ埋め込む前記埋込手段を備え、前記4つの数字情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、前記医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けて、当該医用画像の画像データの前記4つの領域に埋め込まれた4つの数字情報の和を算出し、該算出された和に基づいて当該医用画像の画像種類を判断する方向情報判断手段を備えている、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の医用画像処理システムであって、前記方向情報判断手段は、前記算出された前記4つの数字情報の和が第1の値であるときに当該医用画像は2次元画像であると判断し、前記和が第2の値であるときに当該医用画像は3次元画像であると判断する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の医用画像処理システムであって、前記DICOM情報は、前記医用画像の方向を示すDICOM方向情報を含み、前記医用画像診断装置は、前記埋込手段を備え、前記方向情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、前記医用画像処理装置は、表示手段と、前記画像データに埋め込まれた方向情報が示す前記医用画像の方向と、前記DICOM方向情報が示す前記医用画像の方向とが一致しているか否か判断する判断手段と、前記方向情報が示す方向と前記DICOM方向情報が示す方向とが一致していないと前記判断されたときに、前記表示手段にメッセージを表示させる制御手段と、を備えている、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の医用画像処理システムであって、前記医用画像処理装置は、操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記メッセージに応じて前記操作手段により前記方向情報及び/又は前記DICOM方向情報が修正されたことに対応して、前記医用画像を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の医用画像処理システムであって、前記制御手段は、前記方向情報が示す方向と前記DICOM方向情報が示す方向とが一致していると前記判断されたことに対応して、前記医用画像を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の医用画像処理システムであって、前記ネットワークを介して前記医用画像処理装置と通信可能に接続された医用装置を更に有し、前記医用画像処理装置は、操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記メッセージに応じて前記操作手段により前記方向情報及び/又は前記DICOM方向情報が修正されるまで、前記医用画像の画像データ及び前記DICOM情報の前記医用装置への送信を禁止する、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項12に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載の医用画像処理システムであって、前記制御手段は、前記画像データに埋め込まれた方向情報を医用画像の背景画像データに置換し、この置換後の画像データに基づいて当該医用画像を表示させる、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の医用画像処理システムであって、前記医用画像処理装置は、前記埋込手段と、表示手段と、操作手段とを備え、前記埋込手段は、前記表示手段に表示される医用画像の方向が前記操作手段により変更されたときに、当該変更後における医用画像の方向に対応する方向情報を当該医用画像の画像データに埋め込む、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の医用画像処理システムであって、前記ネットワークを介して前記医用画像処理装置と通信可能に接続され、医用画像の画像データ及びそのDICOM情報を保管するデータベースを更に有し、前記DICOM情報は、前記医用画像の方向を示すDICOM方向情報を含み、前記医用画像処理装置は、前記データベースに保管されている複数の医用画像の画像データのそれぞれについて、その画像データに埋め込まれた方向情報が示す前記医用画像の方向と、そのDICOM方向情報が示す前記医用画像の方向とが一致しているか否か判断する判断手段と、前記方向情報が示す方向と前記DICOM方向情報が示す方向とが一致していないと前記判断された医用画像の画像データとDICOM情報とを表示するために抽出する抽出手段と、を備えている、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項15に記載の発明は、医用画像の画像データ及び該医用画像のDICOM情報に基づいて、当該医用画像に画像処理を施す医用画像処理装置であって、前記医用画像の方向を示す方向情報を該医用画像の画像データに埋め込む埋込手段を備えている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る医用画像処理システム及び医用画像処理装置は、医用画像診断装置によって作成された医用画像の画像データに、その医用画像の方向を示す方向情報を埋め込むことを特徴としている。
【0030】
それにより、データの通信時にエラーが発生するなどしてDICOM情報が欠落した場合であっても、画像データに埋め込まれた方向情報を参照することにより、当該医用画像の方向性を正確に認識することができる。
【0031】
また、DICOM情報が医用画像の方向を示す情報(DICOM方向情報)を含んでいる場合において、画像を反転、回転させた後や断面変換を行った後にDICOM方向情報の更新をし忘れたとしても、画像データに埋め込まれた方向情報を参照することにより、当該医用画像の方向性を正確に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る医用画像処理システム及び医用画像処理装置の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
[システム構成]
図1に示すブロック図は、本実施形態に係る医用画像処理システムの全体構成を表している。同図に示す医用画像処理システムは、医用画像処理装置1、医用画像診断装置2、2′及び画像データベース3を含んで構成されている。これらの装置は、LAN(Local Area Network)や専用線などのネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
医用画像処理装置1は、たとえば医用画像の検像を行うための装置(検像システム)である。また、医用画像診断装置2、2′は、それぞれ、被検体の医用画像を作成する任意の装置であり、たとえばX線CT装置、X線診断装置、MRI装置、核医学診断装置、超音波診断装置などの公知の医用画像診断装置により構成されるものである。なお、本システムに含まれる医用画像診断装置の台数は2台に限定されるものではなく、任意の台数を設けることが可能である。
【0035】
画像データベース3は、医用画像の画像データやDICOM情報などの医用画像に関わる各種のデータを保管する大容量記憶装置を含んで構成される。この画像データベース3は、たとえばRIS(Radiology Information System)の画像データベースにより構成される。
【0036】
画像データベース3には、たとえば、HIS(Hospital Information System)のサーバ、読影用のコンピュータ端末、医師のコンピュータ端末などがネットワークを介して接続されている。なお、画像データベース3や、図示しない上記のサーバ、読影用コンピュータ端末、医師用コンピュータ端末などは、本発明の「医用装置」の一例に相当するものである。この「医用装置」は、ネットワークを介して医用画像処理装置1と通信可能に接続された装置であって、医用画像処理装置1により処理された医用画像を利用したり保管したりするための装置であれば、その装置形態は任意である。また、医用装置は、たとえばUSBメモリなど、ネットワークを介さずに医用画像処理装置1に直接に接続される装置であってもよい。
【0037】
以下、本実施形態に係る医用画像診断装置2、2′及び医用画像処理装置1の構成の詳細を説明する。
【0038】
[医用画像診断装置の構成]
医用画像診断装置2、2′は同様の構成を具備している。図1においては、図面の煩雑化を避けるため、医用画像診断装置2′の構成を省略した。ここでは、医用画像診断装置2の構成のみ説明する。
【0039】
医用画像診断装置2は、画像作成部4、方向情報埋込部5、DICOM情報作成部6及び送信部7を含んで構成されている。以下、これらの各部について、それぞれ詳細に説明する。
【0040】
〔画像作成部〕
画像作成部4は、被検体を撮影してその医用画像の画像データを作成する処理を行う。この画像作成部4は、たとえば、被検体の撮影を行うためのハードウェアと、撮影により得られたデータを解析して医用画像を作成するハードウェア(コンピュータ)及びソフトウェア(当該コンピュータに搭載された医用画像作成アプリケーションソフトウェア)とを含んで構成される。当該コンピュータには、DICOMのアプリケーションソフトウェアもインストールされている。
【0041】
たとえばX線CT装置においては、撮影用ハードウェアとしてガントリが設けられ、画像作成用ソフトウェアとして前処理、画像再構成処理、後処理等をコンピュータに実行させる医用画像作成アプリケーションソフトウェアが設けられている。この構成は周知であるので詳細については省略する。他種類の医用画像診断装置についても、画像作成に関わる構成は周知である。
【0042】
〔方向情報埋込部〕
方向情報埋込部5は、画像作成部4が作成した医用画像の画像データ上に、その医用画像の方向を示す情報(「方向情報」と呼ぶ。)を埋め込む処理を行う。この方向情報埋込部5は、CPU等のマイクロプロセッサとメモリとハードディスクドライブ等の記憶装置とを含んで構成されており、所定のコンピュータプログラムにしたがって方向情報の埋込処理を実行するものである。この方向情報埋込部5は、本発明の「埋込手段」の一例に相当する。
【0043】
方向情報埋込部5の上記記憶装置には、後述の図3〜図5に示すような方向情報のデータがあらかじめ記憶されている。たとえば、ユーザが医用画像診断装置2のユーザインターフェイス(図示せず)を操作して医用画像の方向(画像のどの方向が被検者の頭や足の方向であるか、左方向や右方向であるか)を入力すると、方向情報埋込部5は、記憶装置から方向情報を取得し、各方向情報をユーザからの入力内容に応じた画像データの領域に埋め込むように動作する。
【0044】
また、たとえば医用画像診断装置2による被検体のスキャン方向が決まっている場合など、医用画像作成時における被検体の配置方向が決まっている場合には、作成された医用画像の方向は一意に決定される。方向情報埋込部5は、その一意に決定される方向を示すように、方向情報を画像データに埋め込むように動作してもよい。
【0045】
また、作成された医用画像を解析して医用画像の方向を検出し、その検出結果に基づいて方向情報の埋め込み位置を決定するようにしてもよい。たとえば、X線CT装置によりスキャノ像を作成した場合、このスキャノ像の輪郭形状を解析することにより頭や足の方向を決定することができる。
【0046】
なお、「方向情報を埋め込む」とは、医用画像の所定領域の画像データを方向情報に置き換える処理、若しくは、医用画像の所定の位置に方向情報を上書きする処理を意味するものとする。前者の置き換え処理は、医用画像の所定領域(たとえば四隅の領域)の画像データを消去するとともに、当該所定領域に方向情報の書き込みを行う処理であり、当該所定領域全体のデータを置換するものである。また、後者の上書き処理は、書き込まれる方向情報に相当する位置(画素)のみを書き換えるものであり、たとえば文字情報からなる方向情報については、その「文字」に相当する位置の画素データのみが書き換えられることになる。
【0047】
(方向情報の埋込態様)
ここで、医用画像の画像データに対する方向情報の埋込態様の一例について、図2〜図5を参照しつつ説明する。図2は、画像作成部4により作成された医用画像Gにおける、方向情報の埋込領域の位置の一例を示している。方向情報埋込部5は、同図に示すように、医用画像Gの四隅の領域(埋込領域R1、R2、R3、R4)に、それぞれ対応する方向情報を埋め込む。ここで、四隅に埋込領域R1〜R4を設けた理由は、診断作業や検像作業に支障を与えないように、被検体画像Pに重ならない位置に方向情報を埋め込むためである。
【0048】
図3〜図5は、方向情報埋込部5により埋込領域R1〜R4に埋め込まれる方向情報の態様の一例を表している。図3に示す態様においては、埋込領域R1には、方向情報として、文字情報「LH」が埋め込まれている。また、埋込領域R2には、方向情報として、文字情報「RH」が埋め込まれている。また、埋込領域R3には、方向情報として、文字情報「LF」が埋め込まれている。また、埋込領域R4には、方向情報として、文字情報「RF」が埋め込まれている。
【0049】
ここで、文字「L」は左方向(Left)を表し、文字「R」は右方向(Right)を表している。また、文字「H」は被検体の頭(Head)の方向を表し、文字「F」は被検体の足(Foot)の方向を表している。したがって、埋込領域R1の文字情報「LH」は「左方向かつ頭方向」を表し、埋込領域R2の文字情報「RH」は「右方向かつ頭方向」を表し、埋込領域R3の文字情報「LF」は「左方向かつ足方向」を表し、埋込領域R4の文字情報「RF」は「右方向かつ足方向」を表している。なお、4つの文字情報が埋め込まれる埋込領域は、被検体画像Pの方向に応じて決定される。したがって、各文字情報は、図3に示す埋込領域に常に埋め込まれる訳ではない。
【0050】
図4に示す態様においては、埋込領域R1には、方向情報として数字情報「100」が埋め込まれている。また、埋込領域R2には、方向情報として数字情報「110」が埋め込まれている。また、埋込領域R3には、方向情報として数字情報「200」が埋め込まれている。また、埋込領域R4には、方向情報として数字情報「824」が埋め込まれている。
【0051】
これらの4つの数字情報は、数値の和が所定の値になるように設定されている。ここでは、100+110+200+824=1234になるように、第4の値824が設定されている。
【0052】
また、この方向情報埋込態様においては、埋込領域R1の数字情報「100」が「左方向かつ頭方向」に対応付けられ、埋込領域R2の数字情報「110」が「右方向かつ頭方向」に対応付けられ、埋込領域R3の数字情報「200」が「左方向かつ足方向」に対応付けられ、埋込領域R4の数字情報「824」が「右方向かつ足方向」に対応付けられている。なお、4つの文字情報が埋め込まれる埋込領域は、被検体画像Pの方向に応じて決定される。したがって、各文字情報は、図4に示す埋込領域に常に埋め込まれる訳ではない。
【0053】
図5に示す態様は、医用画像Gが3次元画像である場合に適用され、当該3次元画像が定義された3次元座標系の各座標軸(x軸、y軸、z軸)の方向余弦の値を用いるものである。
【0054】
埋込領域R1には、方向情報として、x軸の方向余弦の値に基づく数字情報「α」が埋め込まれている。また、埋込領域R2には、方向情報として、y軸の方向余弦の値に基づく数字情報「β」が埋め込まれている。また、埋込領域R3には、方向情報として、z軸の方向余弦の値に基づく数字情報「γ」が埋め込まれている。また、埋込領域R4には、方向情報として数字情報「δ」が埋め込まれている。
【0055】
数字情報α、β、γ、δは、例えば次のようにして決定される。まず、数字情報α、β、γを決定するために、それぞれx軸、y軸、z軸の方向余弦の値を1000倍する:α′=1000×cos(x)、β′=1000×cos(y)、γ′=1000×cos(z)。更に、これらの各値α′、β′、γ′を少数第1位で四捨五入して、数字情報α、β、γを算出する。なお、各数字情報α、β、γは整数値である。また、数字情報δは、数字情報α、β、γ、δの和α+β+γ+δが所定の値(たとえば8000)になるように設定される。
【0056】
方向情報埋込部5は、まず数字情報α、β、γを上記の要領で算出し、それから(所定の値)−(α+β+γ)を計算して数字情報δを算出する。そして、各数字情報α、β、γ、δを、埋込領域R1、R2、R3、R4にそれぞれ埋め込む。
【0057】
〔DICOM情報作成部〕
DICOM情報作成部6は、医用画像作成部4により作成される医用画像のDICOM情報を作成する処理を行う。このDICOM情報作成部6は、前述のDICOMアプリケーションソフトウェアにしたがって動作するマイクロプロセッサとメモリとを含んで構成される。
【0058】
DICOM情報には、患者氏名、患者ID、患者の年齢、生年月日等の患者情報や、医用画像の撮影条件(X線CT装置においては、スキャン方式、スライス幅、スライス角度、管電圧、管電流、再構成条件、造影剤名等)や、撮影日時や、担当医師名や、画像に関するデータ(画素数等の画素データ、階調情報等)などが含まれている。
【0059】
本実施形態のDICOM情報には、特に、医用画像の方向を示す情報(「DICOM方向情報」と呼ぶ。)が含まれている。このDICOM方向情報は、患者の体位を示す体位マーク、3次元医用画像における3次元座標系の各座標軸の方向余弦など、従来の任意の情報からなる。DICOM方向情報は、図示しないユーザインターフェイスを用いて手入力されたものであってもよいし、自動入力されたものであってもよい。
【0060】
〔送信部〕
送信部7は、方向情報埋込部5によって方向情報が埋め込まれた医用画像の画像データと、そのDICOM情報とを、医用画像処理装置1に送信する処理を行う。この送信部7は、たとえばマイクロプロセッサとメモリとLANカード等のネットワークアダプタとを含んで構成されている。
【0061】
[医用画像処理装置の構成]
医用画像処理装置1は、例えば前述の検像システムとして使用されるコンピュータを含んで構成される。この医用画像処理装置1には、受信部11、方向情報判断部12、一致判断部13、画像処理部14、方向情報変更部15、表示制御部16、表示部17、データ制御部18、画像保管部19、通信部20、操作部21及び画像抽出部22が設けられている。以下、これらの各部について、それぞれ詳細に説明する。
【0062】
〔受信部〕
受信部11は、医用画像診断装置2(2′)から送信された医用画像の画像データ及びDICOM情報を受信する処理を行う。この受信部11は、マイクロプロセッサとメモリとネットワークアダプタとを含んで構成される。受信部11は、受信した医用画像の画像データとDICOM情報を方向情報判断部12に送る。
【0063】
〔方向情報判断部〕
方向情報判断部12は、医用画像の画像データの所定の埋込領域を参照して、方向情報が埋め込まれているかを判断する。また、方向情報が埋め込まれている場合には、どの態様の方向情報が埋め込まれているかを判断する。この方向情報判断部12は、マイクロプロセッサとメモリとを含んで構成される。方向情報判断部12は、本発明の「方向情報判断手段」の一例に相当する。
【0064】
前述の図3〜図5を参照しつつ、方向情報判断部12の動作について説明する。方向情報判断部12は、受信部11から医用画像Gの画像データを受け取ると、この画像データを解析して、医用画像Gの四隅の埋込領域R1〜R4に方向情報が埋め込まれているか判断する。埋め込まれていない場合には、その画像データを画像処理部14に送る(図1では図示省略。)。
【0065】
一方、方向情報が埋め込まれている場合、各埋込領域R1〜R4から方向情報を取得し、その内容を認識する。認識した方向情報が「LH」、「RH」、「LF」、「RF」である場合には、この画像データに埋め込まれている方向情報は、図3に示す方向情報であると判断する(図3の方向情報を「文字方向情報」と呼ぶことにする。)。
【0066】
また、認識した方向情報が数字情報(「100」、「110」、「200」、「824」)である場合、方向情報判断部12は、これらの数値の和を算出する。その算出結果が所定の値(1234)である場合には、この画像データに埋め込まれている方向情報は、図4に示す方向情報であると判断する(図4の方向情報を「数字方向情報」と呼ぶことにする。)。
【0067】
また、認識した方向情報が数字情報(「α」、「β」、「γ」、「δ」)であり、それらの和の算出結果が別の所定の値(8000)である場合には、この画像データに埋め込まれている方向情報は、図5に示す方向情報であると判断する(図5の方向情報を「方向余弦情報」と呼ぶことにする。)。
【0068】
医用画像の画像データに方向情報が含まれていた場合、方向情報判断部12は、その方向情報の判断結果とともに、医用画像の画像データとDICOM情報とを一致判断部13に送る。
【0069】
〔一致判断部〕
一致判断部13は、医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報が示す医用画像の方向と、DICOM情報に含まれるDICOM方向情報(前述)が示す医用画像の方向とが一致しているか否か判断する処理を行う。この一致判断部13は、マイクロプロセッサとメモリとを含んで構成される。一致判断部13は、本発明の「判断手段」の一例に相当する。
【0070】
一致判断部13は、方向情報判断部12による方向情報の種類の判断結果に基づいて、医用画像の画像データに埋め込まれた各方向情報を取得し、それが示す方向を解釈する。この解釈処理は、たとえば、方向情報と医用画像の方向とを関連付けるテーブル情報を参照するなどして行う。一方、一致判断部13は、DICOM方向情報が示す方向を取得する。そして、それぞれが示す方向が一致するか否か判断する。この判断結果は、表示制御部16に送られる。また、医用画像の画像データとDICOM情報は、画像処理部14に送られる。
【0071】
図3を参照して、一致判断部13が実行する判断処理を説明する。一致判断部13は、医用画像の画像データの四隅の埋込領域R1、R2、R3、R4に埋め込まれた文字方向情報「LH」、「RH」、「LF」、「RF」を取得する。次に、取得した各文字方向情報について、あらかじめ記憶されたテーブル情報:「LH」→「左方向かつ頭方向」;「RH」→「右方向かつ頭方向」;「LF」→「左方向かつ足方向」;「RF」→「右方向かつ足方向」を参照して、医用画像の方向を解釈する。
【0072】
一方、一致判断部13は、DICOM情報のDICOM方向情報を参照して、この医用画像の方向を別途に取得する。ここで、DICOM方向情報には、たとえば、この医用画像における「左方向」、「右方向」、「頭方向」、「足方向」を示す情報が含まれているものとする。
【0073】
続いて、一致判断部13は、文字方向情報「LH」、「RH」、「LF」、「RF」に対応する医用画像の方向と、DICOM方向情報に示す医用画像の方向とを比較して、それらが一致しているか判断する。たとえば、DICOM方向情報が、図3の紙面における上方向を「頭方向」であるとし、下方向を「足方向」であるとし、更に、同紙面における左方向を「左方向」であるとし、右方向を「右方向」であるとしている場合、文字方向情報とDICOM方向情報とは一致していると判断される。それ以外の場合には、文字方向情報とDICOM方向情報とは一致していないと判断される。
【0074】
〔画像処理部〕
画像処理部14は、医用画像の画像データに対して各種の画像処理を施す。たとえば、操作部21からの操作信号を受けて、医用画像の画像データを反転させたり回転させたりする。反転された医用画像や回転された医用画像は、表示制御部16によりリアルタイムで表示部17に表示される。
【0075】
また、ユーザが、操作部21を用いて3次元医用画像の断面方向(たとえばアキシャル像、サジタル像、コロナル像等)を変更すると、画像処理部14は、3次元医用画像に基づいて、要求された断面方向の断層画像を作成する。作成された断層画像は、表示制御部16によりリアルタイムで表示部17に表示される。この画像処理部14は、マイクロプロセッサとメモリとを含んで構成される。
【0076】
〔方向情報変更部〕
方向情報変更部15は、医用画像の画像データに埋め込まれる方向情報や、DICOM情報中のDICOM方向情報を変更する処理を行う。この方向情報変更部15は、マイクロプロセッサとメモリとハードディスクドライブ等の記憶装置とを含んで構成されている。
【0077】
方向情報変更部15の処理についてより具体的に説明する。ユーザが操作部21を操作して新たな方向情報を入力すると、方向情報変更部15の方向情報埋込部15aが、医用画像の画像データの埋込領域のデータ(方向情報)を消去するとともに、新たに入力された方向情報を埋込領域に埋め込む。それにより、当該画像データに埋め込まれた方向情報が置換される。なお、この方向情報埋込部15aは、本発明の「埋込手段」の一例に相当する。
【0078】
図6、図7を参照して具体例を説明する。図6は、図3の医用画像G(の被検体画像P)を右に90度回転させて得られる画像を表している。なお、この画像回転処理は、画像処理部14によって実行されたものである。
【0079】
図6の医用画像Gの埋込領域R1、R2、R3、R4には、それぞれ、文字方向情報「LH」、「RH」、「LF」、「RF」が埋め込まれている(図3と同様である)。しかし、これらの文字方向情報は、医用画像Gの被検体画像Pの方向を正確に表していない。
【0080】
そこで、ユーザは、この医用画像Gを参照しつつ操作部21を操作して、各埋込領域R1〜R4に正確な文字方向情報を設定入力する。すなわち、埋込領域R1に文字方向情報「LF」を、埋込領域R2に文字方向情報「LH」を、埋込領域R3に文字方向情報「RF」を、埋込領域R4に文字方向情報「RH」を、それぞれ設定入力する。
【0081】
方向情報変更部15の方向情報埋込部15aは、図6の医用画像Gの各埋込領域R1〜R4の文字方向情報を消去するとともに、操作部21からの入力内容に応じて、埋込領域R1に文字方向情報「LF」を埋め込み、埋込領域R2に文字方向情報「LH」を埋め込み、埋込領域R3に文字方向情報「RF」を埋め込み、埋込領域R4に文字方向情報「RH」を埋め込む。それにより、図7に示すように、医用画像Gの被検体画像Pの方向を正確に表す方向情報が設定される。
【0082】
同様に、ユーザは、画像処理部14により処理が施された医用画像を参照しつつ操作部21を操作して、新たなDICOM方向情報を設定入力する。方向情報変更部15は、当該DICOM情報のDICOM方向情報を、この新たなDICOM情報に書き換える。
【0083】
〔表示制御部〕
表示制御部16は、医用画像を表示部17に表示させるための各種の処理を行う。なお、表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの任意の表示装置である。表示制御部16は、マイクロプロセッサとメモリとを含んで構成される。
【0084】
表示制御部16には、画像置換部16aが設けられている。この画像置換部16aは、医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報を、医用画像の背景に相当する画像データ(背景画像データ)に置換する処理を行う。具体的には、画像データの埋込領域に埋め込まれた方向情報を消去するとともに、当該埋込領域に背景画像データを埋め込むように動作する。表示制御部16は、画像置換部16aにより処理された画像データを表示部17に送って医用画像を表示させる。
【0085】
なお、背景画像データとしては、輝度ゼロに相当するゼロデータや、被検体画像のバックグラウンド(背景)に設定されている色データや輝度データが適宜に用いられる。この背景画像データは、たとえば医用画像の種類(X線CT画像、MRI画像、X線画像、PET画像、SPECT画像、超音波画像等)に応じてあらかじめ設定されていてもよいし、画像データを解析して当該医用画像の背景の輝度や色を取得することにより背景画像データを決定するようにしてもよい。
【0086】
〔データ制御部〕
データ制御部18は、このデータ制御部18は、通信部18を制御して、データを画像データベース3に送信させたり、画像データベース3に保管されたデータを取得させたりする。また、データ制御部18は、画像保管部19にデータを送って保管させる処理や、画像保管部19に保管されたデータを読み出す処理を行う。このデータ制御部18は、マイクロプロセッサとメモリを含んで構成される。
【0087】
表示制御部16とデータ制御部18は、医用画像処理装置1の制御部(図示せず)を形成している。この制御部は、本発明の「制御手段」の一例に相当するものである。
【0088】
〔画像保管部〕
画像保管部19は、医用画像の画像データやDICOM情報などの各種のデータを保管する。この画像保管部19は、たとえばハードディスクドライブなど、医用画像の画像データ等を記憶させるのに十分な記憶容量を有する記憶装置によって構成される。
【0089】
〔通信部〕
通信部20は、画像データベース3(前述の医用装置)との間でデータ通信を行う。この通信部20は、たとえばマイクロプロセッサとメモリとLANカード等のネットワークアダプタとを含んで構成される。
【0090】
〔操作部〕
操作部21は、本発明の「操作手段」の一例に相当するもので、キーボード、マウス、トラックボール、コントロールパネル、ジョイスティック、タッチパネル、タブレット等の任意の操作デバイスにより構成される。なお、タッチパネルやタブレットを用いる場合には、「操作手段」と「表示手段」とを一体的に形成するようにしてもよい。
【0091】
ユーザは、この操作部21を操作することで、医用画像の方向変換(反転、回転、断面変換等)の指示操作や、その他の画像処理の指示操作や、方向情報やDICOM方向情報の設定入力操作などを行うことができる。なお、操作部21を用いて各種指示や入力を行うときには、表示部17に所定の表示画面が表示される。ユーザは、この表示画面に対して所望の指示や入力の操作を行う。
【0092】
〔画像抽出部〕
画像抽出部22は、画像データベース3に保管された複数の医用画像のうち、画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM方向情報とが一致しないもののリストを作成するときに動作する(リスト作成については後述する。)。
【0093】
画像抽出部22は、一致判断部13による方向情報とDICOM方向情報との一致判断の結果を参照し、それらが一致していないと判断された医用画像の画像データ及びDICOM情報を抽出してリストを作成し、画像保管部19に記憶させる。画像抽出部22は、マイクロプロセッサとメモリとを含んで構成される。この画像抽出部22は、本発明の「抽出手段」の一例に相当する。
【0094】
[医用画像処理装置のハードウェア構成]
次に、図8を参照して、医用画像処理装置1のハードウェア構成について説明する。医用画像処理装置1は、従来のコンピュータと同様のハードウェア構成を備えている。具体的には、マイクロプロセッサ101、RAM102、ROM103、ハードディスクドライブ(HDD)104、キーボード105、マウス106、ディスプレイ107及び通信インターフェイス(I/F)108を含んで構成されている。これら各部は、バス109を介して接続されている。
【0095】
マイクロプロセッサ101は、CPUやMPU等の任意のマイクロプロセッサにより構成され、ハードディスクドライブ104にあらかじめ格納された医用画像処理プログラム104aをRAM102上に展開することにより、本発明に特徴的な動作を実行する。
【0096】
なお、この医用画像処理プログラム104aのうち、医用画像の画像データに対する方向情報の埋込処理に関する部分(モジュール)は、医用画像診断装置2、2′にもインストールされている。
【0097】
また、マイクロプロセッサ101は、ROM103にあらかじめ格納されたBIOS(Basic Imput/Output System)等の基本プログラムをRAM102上に展開して、周辺機器(キーボード105、マウス106、ディスプレイ107等)の制御を行う。
【0098】
このマイクロプロセッサ101の主な動作としては、例えば次のようなものがある:医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報の種類を判断する(方向情報判断部12);方向情報とDICOM方向情報とが一致しているか否か判断する(一致判断部13);医用画像に画像処理を施す(画像処理部14);方向情報を変更する(方向情報変更部15);医用画像をディスプレイ107に表示させる(表示制御部16);画像データベース3にデータ送信する(データ制御部18);画像データベース3からデータを取得する(データ制御部18);画像保管部19にデータを保管する(データ制御部18);方向情報とDICOM方向情報とが一致しない医用画像を抽出する(画像抽出部22);キーボード105やマウス106(操作部21)からの操作信号に応じて装置各部の動作制御を行う。これらの動作は、医用画像処理プログラム104aに基づいて実行される。
【0099】
ハードディスクドライブ104は、たとえば画像保管部19を構成する大容量の記憶装置である。このハードディスクドライブ104には、前述の医用画像処理プログラム104aがあらかじめ格納されている。
【0100】
キーボード105、マウス106及びディスプレイ107は、医用画像処理装置1のユーザインターフェイスUIとして使用される。キーボード105は、ディスプレイ107に表示された画面上に文字や数字等(たとえば方向情報やDICOM方向情報など)をタイピング入力するためなどに使用される。マウス106は、ディスプレイ107に表示された画面上のソフトキーを操作(クリック)するときや、画面上のオブジェクトを指定するときなどに使用される。キーボード105やマウス106は、操作部21の一例として使用される。ディスプレイ107は、LCDやCRT等の任意の表示装置であり、表示部17の一例として使用される。
【0101】
通信インターフェイス108は、受信部11及び通信部20の一例に相当し、医用画像診断装置2、2′や画像データベース3にローカル通信するためのLANカード等の通信機器を備えている。また、インターネット等の広域ネットワークに接続するためのモデム等の通信機器を備えていてもよい。
【0102】
[システムの動作]
以上のような構成を具備する本実施形態の医用画像処理システムの動作について説明する。図9に示すフローチャートは、この医用画像処理システムが実行する動作の一例を表している。
【0103】
まず、医用画像診断装置2(又は2′;以下同様)を用いて、被検体の医用画像を作成する(S1)。医用画像診断装置2は、手入力されたデータ及び/又は自動生成されたデータに基づいて、この医用画像のDICOM情報を作成する(S2)。方向情報埋込部5は、ステップS1で作成された医用画像の画像データに方向情報を埋め込む(S3)。送信部4は、方向情報が埋め込まれた医用画像の画像データとDICOM情報を、医用画像処理装置1に送信する(S4)。
【0104】
医用画像処理装置1のユーザが、医用画像診断装置2から送信された医用画像の検像を開始する(S5)。方向情報判断部12は、この医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報を読み取る(S6)とともに、この医用画像のDICOM情報からDICOM方向情報を取得する(S7)。そして、画像データから読み取った方向情報とDICOM方向情報とが一致しているか判断する(S8)。
【0105】
それらが一致していると判断された場合(S8;Y)、医用画像の画像データとDICOM情報が画像処理部14に送られる。表示制御部16の画像置換部16aは、この医用画像の画像データを受け取り、埋め込まれた方向情報を背景画像データに置換する(S9)。表示制御部16は、この画像データを用いて医用画像を表示部17に表示させる(S10)。このとき、DICOM情報も表示させてもよい。
【0106】
ユーザは、表示された医用画像の検像作業を行う(S11)。検像作業においては、画像反転、画像回転、断面変換等の画像の方向を変更する処理が実施される。ユーザは、操作部21を操作して、方向が変更された医用画像に対する新たな方向情報とDICOM方向情報を設定入力する。方向情報変更部15によりこれらの情報が変更されたら、医用画像の画像データとDICOM情報は、通信部20に送られ、画像データベース3に送信される(S12)。この医用画像の画像データとDICOM情報は、画像データベース3に保管される。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0107】
一方、ステップS8において、医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM情報とが一致しないと判断された場合(S8;N)、この医用画像の画像データとDICOM情報とが画像処理部14に送られるとともに、表示制御部16が、この医用画像をエラーメッセージとともに表示部17に表示させる(S13)。
【0108】
このエラーメッセージは、方向情報及びDICOM方向情報の一方又は双方が誤っていることを示すメッセージを含むものとされ、更に、それらの修正作業の実施をユーザに促す内容を含んでいてもよい。一例として、「画像の方向情報が一致していません。表示された画像を確認して、画像中の方向情報、DICOMの方向情報を修正してください」などのエラーメッセージを表示することができる。
【0109】
データ制御部18は、たとえば操作部21からの操作信号に基づき、エラーメッセージに応じて方向情報やDICOM方向情報が修正されたか判断する(S14)。
【0110】
修正された場合(S14;Y)、データ制御部18は、その医用画像の画像データとDICOM情報を画像処理部14に送る。表示制御部16は、この画像データに埋め込まれた方向情報を背景画像データに置換し(S9)、医用画像を表示部17に表示させる(S10)。ユーザは、表示された医用画像の検像作業を行う(S11)。作業が終了したら、医用画像の画像データとDICOM情報が画像データベース3に送信される(S12)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0111】
また、方向情報等が修正されなかった場合には(S14;N)、データ制御部18は、その医用画像の画像データとDICOM情報を画像保管部19に保管するとともに、この医用画像の画像データ等の外部(画像データベース3等の医用装置)への送信を禁止する(S15)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0112】
なお、ステップS15の外部送信禁止処理は、たとえば、当該医用画像の画像データにフラグを付加するとともに、外部送信の際にこのフラグの有無を判断し、付加されているデータは送信しないように制御することで実現できる。
【0113】
また、外部送信を禁止する医用画像の識別情報(患者ID、画像ID、撮影日時等の情報)をリスト化し、外部送信時にこのリストを参照することで当該禁止処理を行うことも可能である。
【0114】
更に、画像保管部19に外部送信を禁止するデータを保管する記憶領域をあらかじめ設定しておき、方向情報が修正されなかった画像データ等を当該記憶領域に格納するようにしてもよい。
【0115】
[他の動作例]
本実施形態の医用画像処理システムが実行する他の動作について説明する。次に説明する動作は、医用画像データベース3に保管されている医用画像のうち、その画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM方向情報とが一致しないものを選択するものである。
【0116】
画像データベース3には、当該システムの医用画像処理装置1以外の装置から送信された医用画像も保管されている。そのような医用画像においては、画像データ中の方向情報とDICOM方向情報とが一致しないものが含まれているおそれがある。たとえば、読影医が読影の際に画像の方向を変更したにも拘わらず、方向情報等の変更を忘れた場合などが想定される。また、本システムの医用画像処理装置1の機能を具備しない他の検像システムが接続されている場合、その検像システムから保管された医用画像については、方向情報とDICOM方向情報とが一致していないおそれがある。
【0117】
そこで、医用画像処理装置1を用いて、夜間や休日など装置の使用頻度が少ないときに、画像データベース3に保管された医用画像の方向情報とDICOM方向情報との一致状態を確認する。以下、この確認処理の一具体例について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0118】
処理開始の要求が為されると、データ制御部18は、通信部20を制御して画像データベース3にアクセスし、保管されている医用画像の画像データとそのDICOM情報とを取得する(S21)。
【0119】
ここで、処理開始の要求は、たとえば、マイクロプロセッサ101の計時機能が所定の日時を示したことに対応してデータ制御部18に入力される。また、ユーザが操作部21を操作して要求を入力してもよい。
【0120】
データ制御部18は、取得した医用画像の画像データとDICOM情報を一致判断部13に送る。一致判断部13は、各医用画像について方向情報の一致性を判断する(S22)。すなわち、各医用画像について、その画像データに埋め込まれた方向情報と、そのDICOM情報に含まれるDICOM方向情報とが一致しているか判断する。
【0121】
当該医用画像の方向情報が一致していると判断された場合(S23;Y)、取得された全ての医用画像について一致性判断を行ったか判断する(S25)。一致性判断がされていない医用画像がある場合(S25;N)、次の医用画像の一致性判断に移行する(S22)。
【0122】
一方、当該医用画像の方向情報が一致していないと判断された場合(S23;N)、画像抽出部22が、当該医用画像の画像データとDICOM情報を取得し、あらかじめ用意されているリスト(「不一致リスト」と呼ぶ。)に当該医用画像の識別情報(患者ID、画像ID等)を加える(S24)。そして、全ての医用画像について一致性判断を行ったか判断し(S25)、未だ医用画像がある場合には(S25;N)、次の医用画像の一致性判断に移行する(S22)。
【0123】
このようにして、画像データベース3から取得した医用画像について、方向情報の一致性を順次確認していく。全ての医用画像の確認が終了したら(S25;Y)、不一致リストと、この不一致リストに識別情報が記載された医用画像の画像データ及びDICOM情報とを、画像保管部19に保管する(S26)。以上で、方向情報が一致しない医用画像の抽出処理は終了となる。
【0124】
ユーザは、この不一致リストを参照することにより、方向情報が一致していない医用画像を把握する。そして、不一致リストに記載された医用画像の画像データやDICOM情報を画像保管部19から読み出して表示部17に表示させ、その方向情報やDICOM方向情報を正しい内容に修正することができる。方向情報等が修正された医用画像の画像データ及びDICOM情報は、画像データベース3に送信されて保管される。
【0125】
なお、ステップS1において、この医用画像処理装置1から画像データベース3に保管された医用画像については、取得しないようにしてもよい(つまり、他の装置により保管された医用画像のみを選択的に取得してもよい)。その場合、たとえば医用画像のDICOM情報に、保管処理を行った装置の履歴情報を記録させる。そして、ステップS1の医用画像取得時には、各医用画像の履歴情報を参照して、他の装置により保管されたもののみを選択取得する。それにより、図10の処理を迅速に行うことができ、また、医用画像処理装置1への負担も小さくなる。
【0126】
また、ステップS26において、不一致リストのみを画像保管部19に保管するようにしてもよい。その場合、方向情報修正時には、画像データベース3から所望の医用画像の画像データ等を読み出すことになる。それにより、画像保管部19の記憶容量を効率的に使用することができる。特に、多数の医用画像が「不一致」と判断された場合には、画像保管部19に全ての画像データ等を保管しきれないこともあり得るが、不一致リストのみを保管するようにすれば問題はない。
【0127】
また、不一致と判断された医用画像の画像データとDICOM情報を画像保管部19に保管する場合には、ステップS24で不一致リストに加えた後すぐに画像保管部19に画像データ等を保管するなど、その保管タイミングは適宜に決定することができる。
【0128】
[作用・効果]
以上のような本実施形態に係る医用画像処理システムの作用及び効果について説明する。
【0129】
まず、この医用画像処理システムは、医用画像の方向を示す方向情報を当該医用画像の画像データに埋め込む埋込手段(方向情報埋込部5、15a)を備えている。
【0130】
それにより、実際に表示される医用画像の方向とDICOM方向情報とが一致しない場合や、通信時のエラーなどによりDICOM方向情報が欠落した場合や、DICOM方向情報を更新し忘れた場合や、DICOM方向情報の自動更新処理においてエラーが発生した場合など、DICOM方向情報に何らかの問題が発生して当該医用画像の方向性を正確に示すことができない場合であっても、画像データに埋め込まれた方向情報を参照することにより、当該医用画像の方向性を正確に認識することができ、信頼性の高い検像や診断を行うことが可能となる。
【0131】
また、医用画像処理システムの試験において、画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM方向情報とを比較することにより、医用画像の方向変更に応じてDICOM方向情報が正しく変更されるかを容易に確認することができる。
【0132】
上記の実施形態においては、方向情報は医用画像の四隅の領域に埋め込まれている。これは、被検体画像上に方向情報が埋め込まれて検像や診断を妨げる事態を回避するためである。このように、被検体画像に重ならない位置に方向情報を埋め込むことが望ましい。また、埋め込まれた方向情報に欠落やデータ異常などが発生したとしても、被検体画像を損なうことがないので、検像や診断に支障はない。
【0133】
また、上記の実施形態では、医用画像診断装置2(2′)は、作成した医用画像の画像データに方向情報を埋め込む埋込手段(方向情報埋込部5)を備えており、方向情報を埋め込んだ画像データとDICOM情報(DICOM方向情報を含む。)とを医用画像処理装置1に送信するように動作する。医用画像処理装置1は、医用画像診断装置2からの送信データを受信し、医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報が示す方向とDICOM方向情報が示す方向とが一致しているか否か判断し、それらが一致しないときには、エラーメッセージを表示手段(表示部17)に表示するように動作する。
【0134】
方向情報とDICOM方向情報とが一致しないということは、すなわち、それらの一方或いは双方がこの医用画像の方向性を正確に示していないということである。本実施形態によれば、そのような場合にエラーメッセージを表示することにより、方向情報及び/又はDICOM方向情報が正確でないことを報知することができるので、ユーザは、方向情報やDICOM方向情報を適宜に修正することが可能である。
【0135】
一方、医用画像の画像データに埋め込まれた方向情報が示す方向とDICOM方向情報が示す方向とが一致している場合には、医用画像処理装置1は、当該医用画像を表示手段に表示させるようになっている。ユーザは、この表示された医用画像に対して検像や診断の作業を実施する。それにより、方向情報を認識できない状況や誤認してしまうような状況のまま検像や診断を実施してしまう事態を回避できるので、検像ミスや誤診の発生のおそれを低減することができる。
【0136】
更に、医用画像処理装置1は、操作手段(操作部21)を備えており、エラーメッセージに応じて操作手段により方向情報及び/又はDICOM方向情報が修正されたことに対応して、医用画像を表示手段に表示させるように動作する。ユーザは、この表示された医用画像に対して検像や診断の作業を実施することになる。したがって、正確な方向性を示す方向情報等を参照して検像や診断を実施できるので、検像ミスや誤診のおそれの低減を図ることができる。
【0137】
なお、医用画像の表示を行う際、画像データに埋め込まれた方向情報を医用画像の背景画像データに置換してからその医用画像を表示させるようになっている。方向情報は、医用画像の画像データと同形式の画像データにより形成される必要はない。医用画像と異なる形式の画像データからなる方向情報を埋め込んだ場合、医用画像を表示させたときに方向情報が正しく表示されず、画像が見にくくなることがある。上記実施形態では、そのような場合に対処するために、方向情報が埋め込まれた領域を背景画像データに置換して、医用画像を見やすく表示することができる。
【0138】
また、上記実施形態の医用画像診断システムには、ネットワークを介して医用画像処理装置と通信可能に接続された医用装置(画像データベース3)が設けられている。医用画像処理装置1は、操作手段により方向情報及び/又はDICOM方向情報が修正されるまで、当該医用画像の画像データ及びDICOM情報を当該医用装置に送信することを禁止するように構成されている。したがって、誤った方向情報が添付された状態の医用画像を当該医用装置に出力することがなくなり、誤診などのおそれが小さくなる。
【0139】
また、医用画像処理装置1は、埋込手段(方向情報埋込部15a)を備えており、この埋込手段は、操作手段により表示手段に表示される医用画像の方向が変更されたときに、変更後における医用画像の方向に対応する方向情報を当該医用画像の画像データに埋め込むように動作する。それにより、たとえば医用画像処理装置1を用いた検像や診断において、画像の反転、回転や断面変換など画像の方向性を変更する処理を行ったときに、この医用画像に埋め込まれる方向情報を、当該変更処理を反映したものに置き換えることができる。
【0140】
また、医用画像処理装置1は、画像データベース3に保管された複数の医用画像を取得し、各医用画像について、その画像データに埋め込まれた方向情報が示す方向とそのDICOM方向情報が示す方向とが一致しているか否か判断し、それらが一致しない医用画像の画像データとDICOM情報とを抽出するように動作する。本実施形態では、抽出された医用画像のリストを作成するようになっている。
【0141】
それにより、画像データベース3に保管されている医用画像のうち、方向性を示す情報(方向情報、DICOM方向情報)に誤りを含むものを容易に特定することができ、適宜修正を施すことができる。なお、夜間や休日など装置の使用頻度の少ないときにこの医用画像の抽出処理を行って、装置の通常の運用に影響を与えないことが望ましい。
【0142】
図4に示す方向情報(数字方向情報)は、医用画像における被検者の頭の方向及び足の方向と、左方向及び右方向とを組み合わせて得られる4つの方向のそれぞれについて設定される数字情報である(すなわち、「頭−左(LH)」、「頭−右(RH)」、「足−左(LF)」、「足−右(RF)」の4つの方向のそれぞれに設定された数字情報である。)。更に、この方向情報は、それら4つの数字情報の和が所定の値になるように設定されている。なお、4つの数字情報は、それぞれ異なる数字に設定されている。
【0143】
このような数字情報を方向情報として使用する場合、医用画像処理装置1の方向情報判断手段(方向情報判断部12)は、医用画像の四隅の領域に埋め込まれた数字情報の和を算出する。そして、その算出された和が上記所定の値であるか否か判断することにより、当該画像データに当該4つの数字情報からなる方向情報が埋め込まれているか否か判断する。
【0144】
それにより、医用画像の画像データに方向情報が埋め込まれているか否かを容易に判断することができる。また、方向情報が埋め込まれている場合には、その方向情報の種類を容易に判断することができる。
【0145】
また、図5に示す方向情報(方向余弦情報)は、医用画像が3次元画像の場合に使用されるものである。この方向情報は、3次元画像の3つの座標軸のそれぞれの方向余弦に基づく3つの数字情報を含んでいる(図5のものでは、各座標軸の方向余弦の値を1000倍している。)。また、第4の数字情報として、当該3つの数字情報との和が所定の値となるものが含まれている。
【0146】
このような数字情報を方向情報として使用する場合、医用画像処理装置1の方向情報判断手段は、医用画像の四隅の領域に埋め込まれた数字情報の和を算出し、その和が上記所定の値であるか否か判断することで、当該画像データに当該3つの座標軸に基づく方向情報が埋め込まれているか否か判断する。
【0147】
この方向情報を用いることにより、医用画像の画像データに方向情報が埋め込まれているか否かを容易に判断でき、また、埋め込まれている方向情報の種類を容易に判断することができる。
【0148】
なお、複数種類の方向情報を用いる場合には、各方向情報ごとに異なる上記「所定の値」を設定するようにする。それにより、複数種類の方向情報のうちのどの方向情報が当該医用画像に使用されているか容易に判断することができる。
【0149】
[医用画像処理プログラムについて]
上記の実施形態の医用画像処理プログラム104aは、医用画像処理装置1のハードディスクドライブ104に記憶されている。また、医用画像診断装置2(2′)のたとえばハードディスクドライブ(図示せず)には、この医用画像処理プログラム104aのうち、少なくとも方向情報の埋め込み処理に関する部分が記憶されている。医用画像処理プログラム104aは、医用画像処理装置1や医用画像診断装置2(コンピュータ)が読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させることができる。例えば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などの記憶媒体に、医用画像処理プログラム104aを記憶させることが可能である。
【0150】
また、ネットワーク上のサーバ等の他のコンピュータに医用画像処理プログラム104aを格納しておくとともに、医用画像処理装置1や医用画像診断装置2は、当該コンピュータにアクセスして医用画像処理プログラム104aを実行させるように構成することも可能である。
【0151】
[変形例]
以上に説明した実施形態は、本発明を好適に実施するための一構成例に過ぎないものである。したがって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。以下、本発明の変形例について説明する。
【0152】
図11に示すフローチャートは、上記実施形態の一変形例による処理を表す。なお、この変形例は、図1のブロック図と同様の構成を備えている。以下、この変形例の構成部分については図1に基づいて説明することにする。
【0153】
まず、医用画像診断装置2が医用画像の画像データとDICOM情報を作成し(S31)、この画像データに方向情報を埋め込む(S32)。そして、医用画像の画像データとDICOM情報を医用画像処理装置1に送信する(S33)。
【0154】
医用画像処理装置1は、医用画像診断装置2から送信された医用画像の画像データとDICOM情報を受信し、画像保管部19に保管する(S34)。
【0155】
ユーザが操作部21を操作するなどして、この医用画像を外部装置(前述の医用装置)に送信するための要求がなされると(S35)、一致判断部13が、その画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM方向情報とが一致しているか判断する(S36)。
【0156】
一致していると判断された場合(S37;Y)、データ制御部18は、通信部20を制御して、この医用画像の画像データとDICOM情報を外部装置に送信させる(S38)。
【0157】
一方、画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM情報とが一致しないと判断された場合(S37;N)、表示制御部16が、この医用画像をエラーメッセージとともに表示部17に表示させる(S39)。
【0158】
データ制御部18は、操作部21からの操作信号に基づいて、方向情報やDICOM方向情報が修正されたか判断する(S40)。
【0159】
修正された場合(S40;Y)、データ制御部18は、通信部20を制御して、この医用画像の画像データとDICOM情報を外部装置に送信させる(S38)。
【0160】
また、修正されなかった場合(S40;N)、データ制御部18は、その医用画像の画像データとDICOM情報を画像保管部19に保管するとともに、この医用画像の画像データ等の外部装置への送信を禁止する(S41)。
【0161】
この変形例によれば、医用画像の送信要求がなされたときに、その画像データに埋め込まれた方向情報とDICOM方向情報とが一致する場合にのみ、要求に応じて当該医用画像を外部装置に送信するように作用するので、誤った方向情報やDICOM方向情報が付加された医用画像を外部装置に送信してしまう事態を回避することができる。それにより、当該外部装置にて行う作業等におけるミスの発生を防止することができる。たとえば外部装置が読影装置である場合、誤診の発生を防止することができる。
【0162】
図1に示す医用画像処理装置1の方向情報判断部12を医用画像の種類の判別に用いることができる。たとえば、医用画像が2次元画像の場合には図4の数字方向情報を画像データに埋め込むようにし、3次元画像の場合には図5の方向余弦情報を埋め込むようにする。ここで、数字方向情報を形成する4つの数字情報の和は「1234」とされており、方向余弦情報を形成する4つの数字情報の和は「8000」とされている。
【0163】
なお、「2次元画像」とは、たとえばX線CT装置により得られる断層画像のような2次元の画像のことを意味する。また、「3次元画像」とは、たとえば、ボリュームデータにより構成される画像データに対して、ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection)等の処理を施すことにより作成される擬似的な3次元の画像として表示される画像を意味する。
【0164】
医用画像処理装置1の方向情報判断部12は、医用画像診断装置2から医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けると、その画像データの埋込領域R1〜R4に埋め込まれた数字情報をそれぞれ取得して、それらの和を算出する。
【0165】
算出された和が「1234(第1の値)」であるとき、方向情報判断部12は、この医用画像は2次元画像であると判断する。一方、和が「8000(第2の値)」であるときには、この医用画像は3次元画像であると判断する。なお、和の値と医用画像の種類とを関連付ける情報は、たとえばハードディスクドライブ104にあらかじめ記憶されている。方向情報判断部12は、この関連情報を参照することにより、算出した和の値に対応する医用画像の種類を決定する。
【0166】
このように、和の値が異なる4つの数字情報からなる複数の方向情報をあらかじめ用意し、医用画像の種類に応じて異なる方向情報を埋め込むようにすれば、医用画像の種類を自動的に認識することができる。
【0167】
なお、上記のような医用画像の種類の判別は、2次元画像と3次元画像との判別に限定されるものではない。たとえば、モダリティ(医用画像診断装置:X線CT装置、X線診断装置、MRI装置、核医学診断装置、超音波診断装置など)の種類に応じてそれぞれ異なる和の値を設定しておくことにより、どのモダリティによって形成された医用画像であるかを判断できるように構成することも可能である。
【0168】
このように、方向情報判断部12は、医用画像の画像データに埋め込まれた4つの数字情報の和の値に基づいて、その医用画像の画像種類(次元別、モダリティ別など)を判断することが可能である。なお、判断対象となる画像種類は、上記の例以外にも、任意の種別を適宜に適用することが可能である。
【0169】
また、2以上の判断項目を組み合わせて医用画像の判別を行うことも可能である。たとえば、X線CT装置により得られた2次元画像及び3次元画像と、超音波診断装置により得られた2次元画像及び3次元画像からなる4つの種類の医用画像に対して、それぞれ異なる和の値を設定しておくことにより、このような複合的な組合せの画像種類をそれぞれ判別することが可能となる。
【0170】
上記の実施形態は、医用画像を表示するときに、埋め込まれた方向情報を背景画像データに置換するようになっているが、たとえば図3の文字方向情報のように、人間が見て方向を認識可能な形態の方向情報については、医用画像とともにそのまま表示してもよい。ユーザは、表示された方向情報を見て、医用画像の方向を把握することができる。
【0171】
上記の実施形態では、医用画像の四隅の領域のそれぞれに方向情報を埋め込んだが、これら4つの領域のうちの少なくとも1つの領域に方向情報を埋め込めば十分である。
【0172】
たとえば、図3に示す医用画像Gの左上隅の埋込領域R1に方向情報「LH」を埋め込み、この方向情報が左方向と頭方向とを意味することをあらかじめ記憶しておく(埋込領域R2〜R4に相当する領域には埋め込まない。)。この場合、医用画像Gの左上隅が左方向かつ頭方向であることと被検体画像Pとを勘案することにより、右上隅が右方向かつ頭方向であること、左下隅が左方向かつ足方向であること、そして右下隅が右方向かつ足方向であることを見いだすことができる。
【0173】
また、医用画像の画像データに埋め込む方向情報の形態は、上述した文字情報や数字情報に限定されるものではない。たとえば、所定のマーク(星印、丸などの任意のマーク)を、医用画像における頭方向かつ左方向(「LH」の方向)に相当する位置に埋め込むように約束する。ユーザは、医用画像を見るときに、このマークの位置を確認することで、その方向を認識することができる。また、画像反転などにより画像方向が変更された場合には、変更後の方向に対応する位置にマークを移動させればよい(つまり、画像方向変更前のマークを消去するとともに、変更後の方向に対応する位置にマークを埋め込めばよい)。
【0174】
また、方向情報の埋め込み位置は、上記の実施形態のように医用画像の四隅の領域であることが特に望ましいが、被検体画像と重ならないような医用画像の縁端領域であれば十分である。
【0175】
上記の実施形態では、医用画像診断装置2にも埋込手段を設けているが、医用画像処理装置1にのみ埋込手段を設けるようにしてもよい。その場合、医用画像診断装置2は、医用画像の画像データ及びDICOM情報を作成して医用画像処理装置1に送信する。医用画像処理装置1のユーザは、この医用画像を表示させて画像の方向を確認し、その確認結果に基づいて画像データに方向情報を埋め込む。その際、DICOM方向情報を参照してもよい。
【0176】
一方、医用画像処理装置1については、埋込手段を設けることが望ましい。特に、医用画像処理装置1を検像目的や読影目的や診断目的に使用する場合においては、医用画像の反転、回転、断面変換など画像方向の変更が実施される。したがって、変更後の方向を示す方向情報を画像データに埋め込む必要があるため、埋込手段は必須である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態により方向情報が埋め込まれる医用画像の画像データの領域(埋込領域)の一例を表す概略説明図である。
【図3】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態により医用画像の画像データに埋め込まれる方向情報の一例を表す概略説明図である。
【図4】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態により医用画像の画像データに埋め込まれる方向情報の一例を表す概略説明図である。
【図5】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態により医用画像の画像データに埋め込まれる方向情報の一例を表す概略説明図である。
【図6】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態により方向情報を変更するときの処理を説明するための概略説明図である。
【図7】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態により方向情報を変更するときの処理を説明するための概略説明図である。
【図8】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態の医用画像処理装置のハードウェア構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図9】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明に係る医用画像処理システムの好適な実施形態の変形例の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0178】
1 医用画像処理装置
11 受信部
12 方向情報判断部
13 一致判断部
14 画像処理部
15 方向情報変更部
15a 方向情報埋込部
16 表示制御部
16a 画像置換部
17 表示部
18 データ制御部
19 画像保管部
20 通信部
21 操作部
22 画像抽出部
101 マイクロプロセッサ
104 ハードディスクドライブ
104a 医用画像処理プログラム
105 キーボード
106 マウス
107 ディスプレイ
2 医用画像診断装置
4 画像作成部
5 方向情報埋込部
6 DICOM情報作成部
7 送信部
3 画像データベース
G 医用画像
P 被検体画像
R1、R2、R3、R4 埋込領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像の画像データ及び該医用画像のDICOM情報を作成し、ネットワークを介して出力する医用画像診断装置と、前記出力された医用画像の画像データ及びDICOM情報を受信し、該DICOM情報に基づいて該医用画像に処理を施す医用画像処理装置とを有する医用画像処理システムであって、
前記医用画像の方向を示す方向情報を該医用画像の画像データに埋め込む埋込手段を備えている、
ことを特徴とする医用画像処理システム。
【請求項2】
前記方向情報は、前記医用画像の四隅の領域のうちの少なくとも1つに対応する画像データの領域に埋め込まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理システム。
【請求項3】
前記方向情報は、前記医用画像における被検者の頭の方向及び足の方向と、左方向及び右方向とを組み合わせて得られる4つの方向を示す4つの文字情報を含み、
前記埋込手段は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記4つの文字情報を1つずつ埋め込む、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理システム。
【請求項4】
前記方向情報は、前記医用画像における被検者の頭の方向及び足の方向と、左方向及び右方向とを組み合わせて得られる4つの方向のそれぞれについて設定され、かつ、それらの和が所定の値になるように設定された、それぞれ異なる4つの数字情報からなる数字方向情報を含み、
前記医用画像診断装置は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記数字方向情報の4つの数字情報を1つずつ埋め込む前記埋込手段を備え、前記数字方向情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、
前記医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けて、当該医用画像の画像データの前記4つの領域に数字情報が埋め込まれているか判断し、数字情報が埋め込まれていると前記判断されたときに、前記4つの領域の数字情報の和を算出し、算出された和が前記所定の値であるか否か判断することにより、当該医用画像の画像データに前記数字方向情報が埋め込まれているか否かを判断する方向情報判断手段を備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理システム。
【請求項5】
前記方向情報は、前記医用画像の3つの座標軸のそれぞれの方向余弦に基づく3つの数字情報と、該3つの数字情報との和が所定の値となる第4の数字情報とからなる方向余弦情報を含み、
前記医用画像診断装置は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記方向余弦情報の前記3つの数字情報及び前記第4の数字情報を1つずつ埋め込む前記埋込手段を備え、前記方向余弦情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、
前記医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けて、当該医用画像の画像データの前記4つの領域に数字情報が埋め込まれているか判断し、数字情報が埋め込まれていると前記判断されたときに、前記4つの領域の数字情報の和を算出し、算出された和が前記所定の値であるか否か判断することにより、当該医用画像の画像データに前記方向余弦情報が埋め込まれているか否かを判断する方向情報判断手段を備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理システム。
【請求項6】
複数の前記方向情報が設けられており、該複数の方向情報は、それらの和が画像種類によって異なるように設定された、それぞれ異なる4つの数字情報からなり、
前記医用画像診断装置は、前記医用画像の四隅の領域に対応する画像データの4つの領域に、前記複数の方向情報のうちのいずれかの4つの数字情報を1つずつ埋め込む前記埋込手段を備え、前記4つの数字情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、
前記医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びDICOM情報の入力を受けて、当該医用画像の画像データの前記4つの領域に埋め込まれた4つの数字情報の和を算出し、該算出された和に基づいて当該医用画像の画像種類を判断する方向情報判断手段を備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理システム。
【請求項7】
前記方向情報判断手段は、前記算出された前記4つの数字情報の和が第1の値であるときに当該医用画像は2次元画像であると判断し、前記和が第2の値であるときに当該医用画像は3次元画像であると判断する、
ことを特徴とする請求項6に記載の医用画像処理システム。
【請求項8】
前記DICOM情報は、前記医用画像の方向を示すDICOM方向情報を含み、
前記医用画像診断装置は、前記埋込手段を備え、前記方向情報が埋め込まれた前記画像データ及びDICOM情報を出力し、
前記医用画像処理装置は、
表示手段と、
前記画像データに埋め込まれた方向情報が示す前記医用画像の方向と、前記DICOM方向情報が示す前記医用画像の方向とが一致しているか否か判断する判断手段と、
前記方向情報が示す方向と前記DICOM方向情報が示す方向とが一致していないと前記判断されたときに、前記表示手段にメッセージを表示させる制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の医用画像処理システム。
【請求項9】
前記医用画像処理装置は、操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記メッセージに応じて前記操作手段により前記方向情報及び/又は前記DICOM方向情報が修正されたことに対応して、前記医用画像を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の医用画像処理システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記方向情報が示す方向と前記DICOM方向情報が示す方向とが一致していると前記判断されたことに対応して、前記医用画像を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の医用画像処理システム。
【請求項11】
前記ネットワークを介して前記医用画像処理装置と通信可能に接続された医用装置を更に有し、
前記医用画像処理装置は、操作手段を更に備え、
前記制御手段は、前記メッセージに応じて前記操作手段により前記方向情報及び/又は前記DICOM方向情報が修正されるまで、前記医用画像の画像データ及び前記DICOM情報の前記医用装置への送信を禁止する、
ことを特徴とする請求項8に記載の医用画像処理システム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記画像データに埋め込まれた方向情報を医用画像の背景画像データに置換し、この置換後の画像データに基づいて当該医用画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の医用画像処理システム。
【請求項13】
前記医用画像処理装置は、前記埋込手段と、表示手段と、操作手段とを備え、
前記埋込手段は、前記表示手段に表示される医用画像の方向が前記操作手段により変更されたときに、当該変更後における医用画像の方向に対応する方向情報を当該医用画像の画像データに埋め込む、
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の医用画像処理システム。
【請求項14】
前記ネットワークを介して前記医用画像処理装置と通信可能に接続され、医用画像の画像データ及びそのDICOM情報を保管するデータベースを更に有し、
前記DICOM情報は、前記医用画像の方向を示すDICOM方向情報を含み、
前記医用画像処理装置は、
前記データベースに保管されている複数の医用画像の画像データのそれぞれについて、その画像データに埋め込まれた方向情報が示す前記医用画像の方向と、そのDICOM方向情報が示す前記医用画像の方向とが一致しているか否か判断する判断手段と、
前記方向情報が示す方向と前記DICOM方向情報が示す方向とが一致していないと前記判断された医用画像の画像データとDICOM情報とを表示するために抽出する抽出手段と、
を備えている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の医用画像処理システム。
【請求項15】
医用画像の画像データ及び該医用画像のDICOM情報に基づいて、当該医用画像に画像処理を施す医用画像処理装置であって、
前記医用画像の方向を示す方向情報を該医用画像の画像データに埋め込む埋込手段を備えている、
ことを特徴とする医用画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−151652(P2007−151652A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347671(P2005−347671)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】