説明

医用画像発生装置およびX線コンピュータ断層撮影装置

【課題】天板に載置された被検体に、安定して超音波プローブを当接すること。
【解決手段】本実施形態に係る医用画像発生装置は超音波診断装置とX線CT装置とを具備し、超音波診断装置は、特定形状を有する超音波プローブを介して、被検体の所定領域に超音波を送信し所定領域からの反射波を受信する超音波送受信部と、超音波送受信部から出力された受信信号に基づいて、一連の超音波画像を発生する画像発生部と、一連の超音波画像を用いて所定領域に関する画素値の変化を発生する画素値変化発生部と、画素値の変化が特定の変化を示す時トリガ信号を発生するトリガ信号発生部とを具備し、X線CT装置は、X線を発生させるための高電圧を発生する高電圧発生部と、トリガ信号に同期して、X線の発生を開始するために高電圧発生部を制御するスキャン制御部と、被検体を載置する天板とを具備し、天板には、超音波プローブを着脱するための、特定形状に対応した構造を有する複数の超音波プローブ着脱部が設けられていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置とX線コンピュータ断層撮影装置とを備える医用画像発生装置およびX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:以下CTと呼ぶ)装置は、造影CT検査および心電同期スキャンに用いられることがある。
【0003】
心電同期スキャンは、まず、予め取得された心電波形に基づいて、操作者が所望する被検体の心位相区間を予測する。続いて、予測された心位相区間でX線CT装置によるスキャン(以下、CTスキャンと呼ぶ)が実行される。これにより、操作者が所望する心位相区間における断層像が得られる。しかしながら、心位相区間は心電波形の変動などに対処するために所定の余裕をもって設定されるため(例えば図9参照)、被検体に余分な被曝をさせる問題がある。
【0004】
造影CT検査においては、被検体に注入されたX線造影剤が関心領域(Regiion Of Interest:以下、ROIと呼ぶ)に到達するタイミングでCTスキャン(以下、本スキャンと呼ぶ)が開始される。本スキャンを開始するタイミングを計る技術としては、リアルプレップと呼ばれる技術がある。リアルプレップは、本スキャンの開始前に、本スキャンにおける線量より低い線量でROIをスキャンする。リアルプレップは、スキャンにより得られた画像のCT値が予め定められた閾値に到達したとき、本スキャンを開始する。しかしながら、リアルプレップにおけるスキャンでは、X線造影剤を検知するまで被検体が被曝する問題がある。
【0005】
また、リアルプレップを用いないで、本スキャンを開始するタイミングを計る技術としては、超音波を用いる技術がある。この技術では、まず操作者が、粘着層を有する超音波プローブを被検体に張り付ける。続いて、X線造影剤の注入前またはX線造影剤と同時に超音波造影剤が被検体に注入される。そして、張り付けられた超音波プローブを介して超音波を送受信することにより、ROIへの超音波造影剤の到達が検知される。ROIへの超音波造影剤の到達に基づいて、上記タイミングが決定される。しかしながら、被検体の部位によっては、超音波プローブを粘着層により固定できない問題がある。加えて、超音波プローブを粘着層により固定できる部位であっても、天板の動きとともに超音波プローブも動くため、被検体に対する超音波プローブの当接の安定性に問題がある。また、粘着層の素材が被検体および装置に付着する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−178466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
目的は、天板に載置された被検体に、安定して超音波プローブを当接することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る医用画像発生装置は、超音波診断装置とX線コンピュータ断層撮影装置とを備え、前記超音波診断装置は、特定形状を有する超音波プローブと、前記超音波プローブを介して、被検体の所定領域に超音波を送信し、前記所定領域からの反射波を受信する超音波送受信部と、前記超音波送受信部から出力された受信信号に基づいて、一連の超音波画像を発生する画像発生部と、前記一連の超音波画像を用いて、前記所定領域に関する画素値の変化を発生する画素値変化発生部と、前記画素値の変化が特定の変化を示す時、トリガ信号を発生するトリガ信号発生部とを具備し、前記X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と、前記X線管から発生され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器の出力に基づいて、画像データを再構成する再構成部と、前記X線管からX線を発生させるための高電圧を発生する高電圧発生部と、前記トリガ信号に同期して、前記X線の発生を開始するために前記高電圧発生部を制御するスキャン制御部と、
前記被検体を載置する天板とを具備し、前記天板には、前記超音波プローブを着脱するための、前記特定形状に対応した構造を有する複数の超音波プローブ着脱部が設けられていること、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る医用画像発生装置の斜視図の一例を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る医用画像発生装置の構成の一例を示す構成図である。
【図3】図3は、第1に実施形態に係る天板の斜視図の一例である。
【図4】図4は、第1に実施形態に係るトリガ同期X線発生機能に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1の実施形態の第2の変形例に係る医用画像発生装置の構成の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態の第2の変形例に係るトリガ同期機能に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1の実施形態の第2の変形例に係り、心電同期スキャンが実行される区間を、心臓の収縮拡張状態とECG波形とともに示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成の一例を示す図である。
【図9】図9は、従来の心電同期スキャンにおけるスキャン期間を、心臓の収縮拡張状態とECG波形とともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、超音波診断装置とX線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:以下X線CT装置と呼ぶ)とを備える医用画像発生装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate−Type、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate−Type等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。また、画像を再構成するには被検体の周囲一周、360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角度分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式に対しても本実施形態へ適用可能である。また、入射X線を電荷に変化するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線によるセレン等の半導体内での電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよい。さらに、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0011】
なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像発生装置の斜視図の一例を示す図である。医用画像発生装置100におけるX線CT装置は、架台10、寝台20、コンソール装置30を有する。寝台20は、天板22を有する。天板22は、超音波プローブ脱着部24を有する。コンソール装置30は、後述する再構成部34で再構成された画像データを表示する第1表示部321を有する。図1のコンソール装置30には、後述する超音波診断装置本体40が搭載されている。コンソール装置30は、後述する画像発生部47で発生された超音波画像を表示する第2表示部322を有する。なお、超音波診断装置本体40は、コンソール装置30とは、別体であってもよい。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る医用画像発生装置100の構成の一例を示す構成図である。医用画像発生装置100は、X線CT装置1と超音波診断装置とを備える。超音波診断装置は、超音波診断装置本体40と超音波プローブ26とを有する。
【0014】
まず、X線CT装置1の各構成要素について説明し、次いで超音波診断装置について説明する。架台10は、高電圧発生部11、X線管12、X線検出器13、データ収集部14、回転フレーム15、回転駆動部16を有する。
【0015】
高電圧発生部11は、後述するスキャン制御部36による制御のもとで、X線管12に供給するための高電圧を発生する。
【0016】
X線管12は、高電圧発生部11から図示していないスリップリングを経由して電圧の印加および電流の供給を受けて、X線の焦点からX線を放射する。X線の焦点から放射されたX線は、X線管12のX線放射窓に取り付けられたコリメーターユニットにより、例えばコーンビーム形(角錐形)に整形される。図2におけるX軸は、回転軸Zと直交し、放射されるX線の焦点を通る直線である。Y軸は、X軸および回転軸Zと直交する直線である。なお、説明の便宜上このXYZ座標系は、回転軸Zを中心として回転する回転座標系として説明する。
【0017】
X線検出器13は、回転軸Zを挟んでX線管12に対峙する位置およびアングルで取り付けられる。X線検出器13は、複数のX線検出素子を有している。ここでは、単一のX線検出素子が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、回転軸Zに直交し、かつ放射されるX線の焦点を中心として、この中心から1チャンネル分のX線検出素子の受光部中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とZ方向との2方向に関して2次元状に配列される。また、X線検出器13は、複数のX線検出素子を1列に配列した複数のモジュールで構成されてもよい。モジュール各々は、上記チャンネル方向に沿って略円弧方向に1次元状に配列される。
【0018】
また複数のX線検出素子は、チャンネル方向とスライス方向との2方向に関して2次元状に配列させてもよい。すなわち、2次元状の配列は、上記チャンネル方向に沿って一次元状に配列された複数のチャンネルを、スライス方向に関して複数列並べて構成される。このような2次元状のX線検出素子配列を有するX線検出器13は、略円弧方向に1次元状に配列される複数の上記モジュールをスライス方向に関して複数列並べて構成してもよい。
【0019】
架台10には、図示していない回転支持機構が収容される。回転支持機構は、回転フレーム15と、回転軸Zを中心として回転自在に回転フレームを支持する図示していないリング支持機構と、リングの回転を駆動する回転駆動部(例えば、電動機)16とを有する。回転フレーム15には、X線管12と、2次元アレイ型または多列型とも称されるX線検出器13が搭載されている。
【0020】
撮影又はスキャンに際しては、X線管12とX線検出器13との間の円筒形の撮影領域内に、被検体Pが天板22に載置され挿入される。X線検出器13の出力には、DAS(Data Acquisition System)と呼ばれるデータ収集部14が接続される。
【0021】
データ収集部14は、X線検出器13の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するI−V変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する図示していない積分器と、積分器の出力信号を増幅する図示していないアンプと、アンプの出力信号をディジタル信号変換する図示していないアナログ・ディジタル・コンバータとが、チャンネルごとに取り付けられている。データ収集部14から出力されるデータ(純生データ(pure raw data))は、磁気送受信又は光送受信を用いた図示していない非接触データ伝送部を経由して、図示していない前処理部に伝送される。
【0022】
前処理部は、データ収集部14から出力される純生データに対して前処理を施す。前処理には、例えばチャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下または、信号脱落を補正する処理等が含まれる。前処理部から出力される再構成処理直前のデータ(生データ(raw data)または、投影データと称される、ここでは投影データという)は、データ収集したときにビューアングルを表すデータと関連付けられて、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリを備えた図示していない投影データ記憶部に記憶される。
【0023】
なお、投影データとは、被検体を透過したX線の強度に応じたデータ値の集合である。ここでは説明の便宜上、ワンショットで略同時に収集したビューアングルが同一である全チャンネルにわたる一揃いの投影データを、投影データセットと称する。また、ビューアングルは、X線管12が回転軸Zを中心として周回する円軌道の各位置を、回転軸Zから鉛直上向きにおける円軌道の最上部を0°として360°の範囲の角度で表したものである。なお、投影データセットの各チャンネルに対する投影データは、ビューアングル、コーン角、チャンネル番号によって識別される。
【0024】
寝台20は、天板22、図示していない天板支持機構、天板駆動部を有する。なお、寝台20は、後述する超音波診断装置本体40に搭載された超音波送受信部23を有していてもよい。天板22には、被検体Pが載置される。天板22は、複数の超音波プローブ着脱部24を有する。図3は、天板22の斜視図の一例である。超音波プローブ着脱部24は、例えば、超音波プローブ26を差し込むための差込口を有する。超音波プローブ着脱部24の構造は、超音波プローブ26の形状に合わせて変更可能である。なお、超音波プローブ着脱部24は、超音波プローブ26を差し込むための穴であってもよい。超音波プローブ着脱部24は、超音波プローブ26を着脱可能に固定する。超音波プローブ着脱部24に差し込まれた超音波プローブ26は、操作者が所望する超音波スキャン方向に適宜調整可能である。
【0025】
超音波プローブ着脱部24は、上記差込口とともに、超音波プローブ26を保持するための構造と、天板22に載置された被検体に超音波プローブ26を当接させるための構造とを有する。それにより、天板22移動時においても上記当接させる状態を維持したまま超音波プローブ26の脱落を防止することができる。被検体に超音波プローブ26を当接させるための構造は、超音波プローブ26を天板22表面から所定の突き出した状態で、超音波プローブを保持するための構造として設けられる。なお、超音波プローブ着脱部24は、被検体が天板22に載置されたとき、所定の圧力で超音波プローブ26を被検体体表面に当接させるための機構(例えば、弾性体など)を有していてもよい。超音波プローブ26が挿入されていない超音波プローブ着脱部24には、天板22の表面が滑らかとなるように、例えば、蓋などの覆いが設けられる。
【0026】
また、超音波プローブ26と被検体体表面との間に空気が存在すれば、超音波プローブ26から送信された超音波は大きく減衰する。このため、超音波プローブ着脱部24に設置された超音波プローブ26と被検体との間にゼリーおよびゲルなどの伝達物質が挟まれる。なお、挟まれる伝達物質は、天板22を覆うシート状の伝達物質であってもよい。また、伝達物質は、天板22の移動時において天板22に載置された被検体Pが動かない程度の粘性を有していてもよい。
【0027】
図示していない天板支持機構は、天板22をZ軸に沿って往復移動可能に支持する。典型的には、天板支持機構は、天板22の長軸をZ軸に平行にするように天板22を支持する。図示していない天板駆動部は、後述するスキャン制御部36による制御に従って、天板22を駆動する。
【0028】
コンソール装置30は、スキャン制御部36、再構成部34、第1表示部321、第1入力部31を有する。なお、コンソール装置30は、後述する超音波診断装置本体40を有していてもよい。
【0029】
スキャン制御部36は、本X線コンピュータ断層撮影装置1の中枢として機能する。スキャン制御部36は、図示していないCPU(Central Processing Unit)とメモリとを備える。スキャン制御部36は、図示していないメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、X線コンピュータ断層撮影(以下、X線CTスキャンと呼ぶ)のために架台10、寝台20を制御する。
【0030】
具体的には、スキャン制御部36は、後述するトリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、X線の発生を開始するために、高電圧発生部11を制御する。スキャン制御部36は、第1のトリガ信号に同期して、回転フレーム15を回転させるために回転駆動部16を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、データ収集を実行させるためにデータ収集部14を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、寝台20に搭載された図示していない天板駆動部を制御する。
【0031】
スキャン制御部36は、所定の画像発生・表示等を実行するための制御プログラムを、図示していない内部記憶装置から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・処理等を実行する。なお、スキャン制御部36は、後述する送受信制御部41が有する機能を具備することも可能である。
【0032】
再構成部34は、ビューアングルが360°又は180°+ファン角の範囲内の投影データセットに基づいて、フェルドガンプ法またはコーンビーム再構成法により、略円柱形の3次元画像を再構成する機能を有する。再構成部34は、例えばファンビーム再構成法(ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法ともいう)またはフィルタード・バックプロジェクション法により2次元画像(断層画像)を再構成する機能を有する。フェルドガンプ法は、コーンビームのように再構成面に対して投影レイが交差する場合の再構成法であり、コーン角が小さいことを前提として畳み込みの際にはファン投影ビームとみなして処理し、逆投影はスキャンの際のレイに沿って処理する近似的画像再構成法である。コーンビーム再構成法は、フェルドガンプ法よりもコーン角のエラーが抑えられる方法として、再構成面に対するレイの角度に応じて投影データを補正する再構成法である。
【0033】
第1表示部321は、再構成部34で再構成された医用画像、X線CTスキャンのために設定される条件などを表示する。なお、第1表示部321は、超音波スキャンのために設定される条件、後述する画像発生部47で発生された超音波画像などを表示してもよい。
【0034】
第1入力部31は、操作者が所望するX線CTスキャンの撮影条件、画像処理の条件などを入力する。第1入力部31は、図示しないが、ROIの設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。この場合第1入力部31は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をスキャン制御部36に出力する。なお、第1入力部31は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、第1入力部31は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をスキャン制御部36に出力する。なお、第1入力部31は、操作者の指示により、後述する第1の閾値を入力することも可能である。
【0035】
超音波診断装置は、超音波診断装置本体40と超音波プローブ26とを有する。超音波診断装置本体40は、超音波送受信部23、送受信制御部41、Bモードデータ発生部43、ドプラデータ発生部45、画像発生部47、画像記憶部49、画素値変化発生部51、トリガ信号発生部53、スキャン制御部36、再構成部34、第2表示部322、第2入力部310を有する。なお、超音波送受信部23は、寝台20に搭載されてもよい。また、超音波診断装置本体40は、コンソール装置30に搭載されてもよい。また、超音波寝台装置本体40は、図示していないネットワークを介して、X線CT装置1が設置されている部屋とは異なる場所(例えばサーバ室など)に設置することも可能である。超音波診断装置本体40と超音波プローブ26とは、図示していないコネクタで接続される。
【0036】
超音波プローブ26は、操作者により超音波プローブ着脱部24に設置される。超音波プローブ26は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ26の先端に装備される。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。
【0037】
超音波送受信部23は、図示していない超音波送信モジュールと超音波受信モジュールとを有する。超音波送受信部23は、後述する送受信制御部41により制御される。超音波送信モジュールは、図示していないパルス発生器、送信遅延回路、パルサを有する。パルス発生器は、所定のレート周波数で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。パルス発生器は、例えば5kHzのレート周波数でレートパルスを繰り返し発生する。このレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。送信遅延回路は、チャンネル毎に超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を、各レートパルスに与える。パルサは、送信遅延回路からレートパルスを受けたタイミングで、超音波プローブ26の振動子ごとに電圧パルスを印加する。これにより、超音波ビームが被検体Pの所定領域に送信される(以下、超音波スキャンと呼ぶ)。所定領域とは、例えば、操作者が所望するROIを含む領域である。
【0038】
超音波受信モジュールは、図示していないプリアンプ、受信遅延回路、加算器を有する。プリアンプは、超音波プローブ26を介して取り込まれた被検体からのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。受信遅延回路は、ディジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、送受信制御部41から出力された受信遅延パターンに従って複数のエコー信号を加算する。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性により、いわゆる「超音波走査線」が決まる)。超音波受信モジュールは、超音波送信モジュールから送信された超音波に対応する受信信号を発生する。なお、超音波受信モジュールは、1回の超音波送信で複数の走査線上に生じたエコー信号を同時に受信する並列受信機能を有していてもよい。
【0039】
送受信制御部41は、操作者により第2入力部310を介して入力されたモード選択、ROIの設定、受信遅延パターンリストの選択、送信開始・終了に基づいて、図示していない内部記憶装置に記憶された送受信条件と装置制御プログラムを読み出す。送受信制御部41は、読み出された送受信条件と装置制御プログラムとに従って、超音波送受信部23などの超音波スキャンに関する各部を制御する。
【0040】
Bモードデータ発生部43は、図示していない包絡線検波器、対数変換器、アナログディジタル変換器を有する。包絡線検波器は、超音波送受信部23から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。対数変換器は、検波信号の振幅を対数変換して弱い信号を相対的に強調する。アナログディジタル変換器は、この対数変換器の出力信号をディジタル信号に変換し、Bモードデータを発生する。Bモードデータ発生部43は、発生したBモードデータを画像発生部47へ出力する。
【0041】
ドプラデータ発生部45は、図示していないドプラ信号発生モジュールとカラードプラデータ生成モジュールとを有する。ドプラ信号発生モジュールは、図示していないミキサーと低域通過フィルタ(Low Path Filter:以下、LPFと呼ぶ)を有する。ミキサーは、超音波送受信部23から出力された信号に、送信周波数と同じ周波数fを有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数fの成分の信号と(2f+f)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f+f)の信号を取り除く。ドプラ信号発生モジュールは、高い周波数成分(2f+f)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数fの成分を有するドプラ信号を発生する。なお、ドプラ信号を発生させる処理として、直交検波方式を採用することも可能である。
【0042】
カラードプラデータ生成モジュールは、2チャンネルから構成される図示していないアナログディジタル(以下A/Dと呼ぶ)変換器、速度/分散/Power演算部を有する。A/D変換器は、ドプラ信号発生部のLPFから出力されたドプラ信号、または、直交検波されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。速度/分散/Power演算部は、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、自己相関演算器を有する。MTIフィルタは、A/D変換器から出力されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。自己相関演算器は、MTIフィルタによって血流情報のみが抽出されたドプラ信号に対して、自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流の平均速度値および分散値等を算出する。カラードプラデータ生成モジュールは、複数のドプラ信号に基づく血流の平均速度値や分散値等からカラードプラデータを生成する。以下、ドプラ信号発生モジュールにより発生されたドプラ信号とカラードプラデータ生成モジュールで生成されたカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。ドプラデータ発生部45は、発生したドプラデータを、画像発生部47へ出力する。
【0043】
画像発生部47は、Bモードデータに基づいて、一連の超音波画像を発生する。以下、Bモードデータに基づいた超音波画像を、Bモード画像と呼ぶ。画像発生部47は、ドプラデータに基づいて、平均速度画像、分散画像、パワー画像、およびこれらの組合せ画像を発生する。以下、ドプラデータに基づいた超音波画像をドプラ画像と呼ぶ。画像発生部47は、上記画像の発生に加えて、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する(以下、スキャンコンバートと呼ぶ)。画像発生部47は、この変換により、表示画像としての超音波画像を発生する。画像発生部47は、発生された超音波画像(以下、発生超音波画像と呼ぶ)を、後述する画像記憶部49に出力する。具体的には、画像発生部47は、スキャンコンバートを実行するとき、隣り合う走査線の間のデータを補間する補間処理、各種フィルタによる強調および平滑化処理、フレーム相関処理等を実行する。なお、画像発生部47は、発生超音波画像のデータを格納する記憶メモリ等を搭載し、3次元画像の再構成処理などを実行させてもよい。
【0044】
画像発生部47は、図示していない画像合成モジュールを有する。画像合成モジュールは、図示していないシネメモリ、フレームメモリ等を有する。画像合成モジュールは、画像発生部47から出力された画像に、種々のパラメータの文字情報や目盛等を合成する。画像合成モジュールは、合成した画像を第2表示部322に出力する。シネメモリは、例えばフリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリ記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。フレームメモリは、1フレーム分の超音波画像を記憶するメモリであり、当該フレームメモリに現在記憶されている画像が第2表示部322に表示される。なお、画像合成モジュールは、図示していない内部記憶装置に記憶された被検体の過去の超音波画像を、画像発生部47で発生された画像とともに第2表示部322に表示させることも可能である。
【0045】
画像記憶部49は、発生超音波画像のデータを記憶する。
【0046】
画素値変化発生部51は、画像発生部47で逐次発生されたBモード画像のROIに関する画素値の変化を発生する。具体的には、画素値変化発生部51は、Bモードに関する発生超音波画像(以下、発生Bモード画像と呼ぶ)の所定のフレーム前に対応する超音波画像を、画像記憶部49から読み出す。所定のフレームとは、例えば、1フレームである。画素値変化発生部51は、読み出されたBモードに関する超音波画像(以下、読出Bモード画像と呼ぶ)と発生Bモード画像との位置合わせ処理を実行する。なお、位置合わせ処理は、読出Bモード画像のROIと発生Bモード画像のROIとの位置合わせの処理であってもよい。また、上記位置合わせ処理は、発生Bモード画像と読出Bモード画像とが略同一の断面位置である場合、省略されてもよい。
【0047】
位置合わせ処理後、画素値変化発生部51は、発生Bモード画像に含まれる画素の画素値から、読出Bモード画像に含まれる画素の画素値を差分する。なお、上記差分は、ROIに含まれる画素の画素値に対して実行してもよい。また、上記差分は、輝度値に対して行ってもよい。画素値変化発生部51は、上記差分により差分データを発生する。この差分データが画素値の変化に対応する。画素値変化発生部51は、差分データにおけるROI内の画素値の平均値を計算する。なお、画素値変化発生部51は、差分データにおけるROI内の画素の加算値を計算してもよい。以下、画素値変化発生部51は、平均値を計算するものとする。画素値変化発生部51は、計算した平均値をトリガ信号発生部53に出力する。なお、画素値変化発生部51は、発生Bモード画像のROI内における画素値の和を計算してもよい。
【0048】
トリガ信号発生部53は、図示していないメモリと比較器とを有する。メモリは、第1の閾値を記憶する。第1の閾値とは、例えば、造影剤の像がROIへ到達したときの超音波画像(以下、到達画像と呼ぶ)と、造影剤の像がROIへ到達していない超音波画像(以下、未到達画像と呼ぶ)とに基づいて、予め設定された値である。なお、画素値変化発生部51で計算される値が加算値であるとき、第1の閾値は、到達画像と未到達画像とに基づいて、予め設定された値である。第1の閾値は、後述する第2入力部310を介して操作者により、適宜変更可能である。第1の閾値は、特定の変化に対応する値である。
【0049】
比較器は、平均値と第1の閾値とを比較する。トリガ信号発生部53は、平均値が第1の閾値以上のとき、第1のトリガ信号を発生する。トリガ信号発生部53は、第1のトリガ信号を後述するスキャン制御部36に出力する。なお、発生Bモード画像のROI内における画素値の和が計算された場合は、第1の閾値は、ROIにおける造影剤を表す像に関する画素値の和となる。
【0050】
第2表示部322は、画像発生部47で発生された超音波画像、超音波スキャンのために設定される条件などを表示する。なお、第2表示部322は、再構成部34で再構成された医用画像、X線CTスキャンのために設定される条件などを表示してもよい。
【0051】
第2入力部310は、操作者が所望する超音波送受信の条件などを入力する。第2入力部310は、図示しないが、ROIの設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。この場合第2入力部310は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を送受信制御部41に出力する。なお、第2入力部310は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、第2入力部310は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を送受信制御部41に出力する。
【0052】
(トリガ同期X線発生機能)
トリガ同期X線発生機能とは、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、X線の発生を開始する機能である。以下、トリガ同期X線発生機能に従う処理(以下トリガ同期X線発生処理と呼ぶ)を説明する。
【0053】
図4は、第1に実施形態に係るトリガ同期X線発生機能に関する処理の流れを示すフローチャートである。
被検体に対する超音波送受信およびX線CTスキャンに先立って、患者情報の入力、送受信条件、種々の超音波データ収集条件の設定および更新、X線CTスキャンに関する種々の条件などが、第1入力部321、第2入力部322を介して、本医用画像発生装置100に入力される。これらの設定および更新などは、図示していない内部記憶装置に記憶される。これらの入力/選択/設定が終了したならば、超音波プローブ26が、天板22の超音波プローブ脱着部24に固定される。超音波プローブ26を当接する被検体体表面に、伝達物質が塗布される。なお、伝達物質は、天板22の少なくとも一部を覆うシート状であってもよい。伝達物質を塗布した被検体が、天板22に載置される。超音波による被検体のスキャンに先立って、超音波造影剤およびX線造影剤が、被検体に注入される(ステップSa1)。
【0054】
超音波送信部41が、被検体の所定領域に超音波を送信する。所定領域とは、例えば、造影X線CT検査に関する被検体の組織を含む領域である。送信された超音波に対応する反射波に基づいて、受信信号が発生される(ステップSa2)。発生された受信信号に基づいて、超音波画像が発生される(ステップSa3)。ステップSa3の処理で発生された発生超音波画像の所定のフレーム前に対応する超音波画像が画像記憶部49に記憶されていなければ(ステップSa4)、発生超音波画像は、画像記憶部49に記憶される(ステップSa5)。ステップSa5の処理の後、ステップSa3およびステップSa4各々の処理が実行される。
【0055】
発生超音波画像の所定のフレーム前に対応する超音波画像が画像記憶部49に記憶されていれば(ステップSa4)、発生超音波画像の所定のフレーム前に対応する超音波画像が、画像記憶部49から読み出される(ステップSa6)。発生超音波画像と読出超音波画像とを用いて、画素値の変化が発生される(ステップSa7)。画素値の変化と第1の閾値(特定の変化)とが、トリガ信号発生部53における比較器により比較される(ステップSa8)。画素値の変化が第1の閾値以上のとき、トリガ信号発生部53により第1のトリガ信号が発生される(ステップSa9)。画素値の変化が第1の閾値未満のとき、ステップSa3乃至ステップSa7の処理が繰り返される。発生された第1のトリガ信号が、スキャン制御部36に出力される。出力された第1のトリガ信号に同期して、高電圧発生部11が、X線の発生を開始するために制御される(ステップSa10)。
【0056】
(第1の変形例)
第1の実施形態との相違は、第1入力部31を介した操作者の指示により、X線の発生を開始するための第1のトリガ信号を発生させることである。第1の変形例の構成は、第1の実施形態における構成要素から画素値変化発生部51を取り除いた構成となる。以下、第1の実施形態の構成要素と異なる機能を有する構成要素について説明する。
【0057】
第1入力部31は、操作者の指示により、X線の発生を開始するタイミングを入力する。具体的には、第1入力部31は、タイミングを入力するためのボタンを有する。なお、第1入力部31は、このボタンのかわりにタッチパネルであってもよい。上記ボタンが操作者により押下されると、第1入力部31は、押下されたボタンに対応する信号(以下、第1押下信号と呼ぶ)をトリガ信号発生部53に出力する。
【0058】
トリガ信号発生部53は、第1入力部31から第1押下信号が入力されると、X線の発生を開始するための第1のトリガ信号を、スキャン制御部36に出力する。
【0059】
(トリガ同期X線発生機能)
第1入力部31を介して、操作者によりX線を発生させるタイミングが入力されると、第1押下信号がトリガ信号発生部53に出力される。トリガ信号発生部53に押下信号が入力されると、第1のトリガ信号がスキャン制御部36に出力される。スキャン制御部36への第1のトリガ信号の入力と同期して、X線を発生させるための高電圧が、X線管12に高電圧発生部11によって印加される。
【0060】
(第2の変形例)
図5は、第1の実施形態の第2の変形例に係る医用画像発生装置の構成の一例を示す図である。第1の実施形態との相違は、画素値変化発生部51のかわりに状態量発生部52が搭載されていることにある。第2の変形例においては、発生された一連の超音波画像を用いて、被検体の所定領域に存在する組織の運動状態に関する状態量が発生される。発生された状態量が第2の閾値以上であってX線CTスキャンが実行されていないとき、第1のトリガ信号がスキャン制御部36に出力される。第1のトリガ信号に同期して、X線の発生を開始するための高電圧が、X線管12に印加される。また、状態量が第2の閾値未満であってX線CTスキャンが実行されているとき、第2のトリガ信号がスキャン制御部36に出力される。第2のトリガ信号に同期して、X線の発生を終了するために、X線管12への高電圧の供給が、高電圧発生部11により停止される。以下、第1の実施形態の構成要素において、異なる機能について説明する。
【0061】
状態量発生部52は、画像発生部47で逐次発生された一連の超音波画像のROIに存在する組織の運動状態に関する状態量を発生する。画像発生部47で発生された超音波画像がBモード画像である場合、状態量は組織の形態および位置に関する量である。また、画像発生部47で発生された超音波画像がドプラ画像である場合、状態量は、組織の運動速度および組織の運動に起因する血流の向きの時間的変化である。以下、説明を簡単にするために、上記組織は被検体の心臓であって、発生された超音波画像はBモード画像であるとする。なお、上記組織は被検体の心臓であって、発生された超音波画像がドプラ画像である場合については、後ほど詳述する。また、上記組織は、心臓以外の臓器にも適用可能である。
【0062】
具体的には、状態量発生部52は、発生超音波画像のROIにおける心臓の像を特定する。状態量発生部52は、特定された心臓の像について、予め設定された所定の方向に沿った心臓の像の長さを計算する。発生Bモード画像が被検体の心臓に対する横断像(アキシャル像)である場合、この長さは心臓の厚みまたは略直径に対応する。
【0063】
なお、状態量発生部52は、以下のような処理を実行してもよい。状態量発生部52は、発生Bモード画像の所定のフレーム前に対応するBモード画像を、画像記憶部49から読み出す。所定のフレームとは、例えば、1フレームである。状態量発生部52は、読出超音波画像のROIに存在する心臓像と、発生超音波画像のROIに存在する心臓像とをそれぞれ特定する。状態量発生部52は、読出Bモード画像と発生Bモード画像との位置合わせ処理を実行する。なお、位置合わせ処理は、読出Bモード画像のROIに存在する心臓像と発生Bモード画像のROIに存在する心臓像との位置合わせの処理であってもよい。また、上記位置合わせ処理は、発生Bモード画像と読出Bモード画像とが略同一の断面位置である場合、省略されてもよい。
【0064】
位置合わせ処理後、状態量発生部52は、発生Bモード画像のROIに含まれる所定の方向に沿った心臓の厚み(以下、第1の厚みと呼ぶ)を計算する。状態量発生部52は、読出Bモード画像のROIに含まれる所定の方向に沿った心臓の厚み(以下、第2の厚みと呼ぶ)を計算する。状態量発生部52は、第1の厚みから第2の厚みを差分した差分値を計算する。計算された差分値は、心臓の運動状態に関する状態量に対応する。
【0065】
上記組織が被検体の心臓であって、発生された超音波画像がドプラ画像である場合について説明する。状態量発生部52は、ドプラ画像が発生された時点の血流の向きおよび大きさを計算する。以下、計算された厚みと、血流の向きおよび速度とをまとめて状態量と呼ぶ。状態量発生部52は、計算した状態量をトリガ信号発生部53に出力する。
【0066】
トリガ信号発生部53は、図示していないメモリと比較器とを有する。メモリは、第2の閾値を記憶する。第2の閾値は、例えば、状態量が厚みである場合、予め設定された所定の方向に関する心臓の厚みである。また、第2の閾値は、例えば、状態量が血流の向きおよび速度の変化(以下、変化量と呼ぶ)である場合、所定の変化量である。比較器は、発生された状態量と第2の閾値とを比較する。トリガ信号発生部53は、状態量が第2の閾値以上であってX線CTスキャンが実行されていないとき、第1のトリガ信号を発生する。トリガ信号発生部53は、状態量が第2の閾値未満であってX線CTスキャンが実行されているとき、第2のトリガ信号を発生する。トリガ信号発生部53は、発生された第1、第2のトリガ信号を、スキャン制御部36に出力する。なお、第2の閾値は、第1入力部31を介した操作者の指示により、設定されることも可能である。
【0067】
スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、X線の発生を開始するために、高電圧発生部11を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、回転フレームを回転させるために回転駆動部16を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、データ収集を開始させるためにデータ収集部14を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第2のトリガ信号に同期して、X線の発生を終了するために、高電圧発生部11を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第2のトリガ信号に同期して、回転フレーム15の回転を停止させるために回転駆動部16を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第2のトリガ信号に同期して、データ収集を終了させるためにデータ収集部14を制御する。スキャン制御部36は、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期して、寝台20に搭載された図示していない天板駆動部を制御する。
【0068】
(トリガ同期機能)
トリガ同期機能とは、トリガ信号発生部53から出力された第1のトリガ信号に同期してX線の発生を開始し、第2のトリガ信号に同期して、X線の発生を終了する機能である。以下、トリガ同期機能に従う処理(以下トリガ同期処理と呼ぶ)を説明する。
【0069】
図6は、第1に実施形態の第2の変形例に係るトリガ同期機能に関する処理の流れを示すフローチャートである。以下、状態量発生部52で発生される状態量は、Bモード画像における心臓像の直径であるとする。
ステップSa2の処理の後超音波画像が発生される(ステップSa3)。発生された超音波画像に含まれる被検体の心臓像の直径(状態量)が発生される。(ステップSb4)。X線CTスキャン中でなく(ステップSb5)、かつ発生された状態量が第2の閾値以上である場合(ステップSb6)、第1のトリガ信号が発生される(ステップSa9)。発生された第1のトリガ信号に同期して、X線の発生を開始するために高電圧発生部11が制御される(ステップSa10)。ステップSa10の処理の後、ステップSa3、ステップSb4、ステップSb5、ステップSb7の処理が実行される。X線CTスキャン中でなく(ステップSb5)、かつ発生された状態量が第2の閾値未満である場合(ステップSb6)、ステップSa3、ステップSb4乃至ステップSb6各々の処理が実行される。
【0070】
X線CTスキャン中であって(ステップSb5)、発生された状態量が第2の閾値未満である場合(ステップSb7)、第2のトリガ信号が発生される(ステップSb8)。発生された第2のトリガ信号に同期して、X線の発生を終了するために高電圧発生部11が制御される(ステップSb9)。X線CTスキャン中であって(ステップSb5)、発生された状態量が第2の閾値以上である場合(ステップSb7)、操作者によるX線CTスキャン終了の指示が入力されなければ(ステップSb10)、ステップSa3、ステップSb4乃至ステップSb7各々の処理が実行される。
【0071】
図7は、第2の変形例における心電同期スキャンが実行される区間を、心臓の収縮拡張状態とECG(ElectoCardioGram)波形とともに示す図である。図7における曲線Cは、状態量発生部52により発生された被検体の心臓の厚み(心臓の収縮拡張状態)の時間変化を示している。図7におけるthは、第2の閾値を示している。図7におけるt1は、第1のトリガ信号が発生された時点を示している。図7におけるt2は、第2のトリガ信号が発生された時点を示している。すなわち、t1とt2との間隔Iは、X線CTスキャンが実行されている期間を示している。
【0072】
(第3の変形例)
第2の変形例との相違は、第1入力部31を介した操作者の指示によりX線の発生を開始するための第1のトリガ信号を発生し、第1入力部31を介した操作者の指示によりX線の発生を終了するための第2のトリガ信号を発生することである。第3の変形例の構成は、第2の変形例における構成要素から状態量発生部52を取り除いた構成となる。以下、第1の実施形態および第2の変形例の構成要素と異なる機能を有する構成要素について説明する。
【0073】
第1入力部31は、操作者の指示により、X線の発生を開始するタイミング(以下、開始タイミングと呼ぶ)を入力する。第1入力部31は、操作者の指示により、X線の発生を終了するタイミング(以下、終了タイミングと呼ぶ)を入力する。具体的には、第1入力部31は、開始タイミングを入力するための開始ボタンを有する、第1入力部31は、終了タイミングを入力するため終了ボタンを有する。なお、開始ボタンと終了ボタンとは、同一のボタンであってもよい。また、第1入力部31は、これらのボタンのかわりにタッチパネルであってもよい。
【0074】
開始ボタンが操作者により押下されると、第1入力部31は、開始ボタンに対応する信号(以下、第1押下信号と呼ぶ)をトリガ信号発生部53に出力する。終了ボタンが操作者により押下されると、第1入力部31は、終了ボタンに対応する信号(以下、第2押下信号と呼ぶ)をトリガ信号発生部53に出力する。
【0075】
トリガ信号発生部53は、第1入力部31から第1押下信号が入力されると、X線の発生を開始するための第1のトリガ信号を、スキャン制御部36に出力する。トリガ信号発生部53は、第1入力部31から第2押下信号が入力されると、X線の発生を終了するための第2のトリガ信号を、スキャン制御部36に出力する。
【0076】
(トリガ同期機能)
第1入力部31を介して操作者によりX線の発生を開始するタイミングが入力されると、第1押下信号がトリガ信号発生部53に出力される。第1入力部31から第1押下信号が入力されると、第1のトリガ信号が、スキャン制御部36に出力される。第1のトリガ信号の入力と同期して、X線を発生させるための高電圧が、高電圧発生部11によりX線管12に印加される。
【0077】
第1入力部31を介して操作者によりX線の発生を終了するタイミングが入力されると、第2押下信号がトリガ信号発生部53に出力される。第2押下信号がトリガ信号発生部53に入力されると、第2のトリガ信号が、スキャン制御部36に出力される。第2のトリガ信号の入力と同期して、高電圧発生部11がX線の発生を終了するために制御される。
【0078】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本医用画像発生装置100によれば、天板22の超音波プローブ着脱部24に超音波プローブ26を、操作者が所望する方向に固定することができる。これにより、被検体に対する超音波プローブ26の当接の安定性が向上する。また、粘着層の素材が被検体および装置に付着する問題が解消される。加えて、本医用画像発生装置100によれば、複数の超音波画像を用いて、所定領域の画素値の変化を発生することができる。これにより、本医用画像発生装置100は、例えば、X線造影剤のROIへの到達をリアルタイムで検知できる。このことから、造影X線CT検査におけるリアルプレップなどによる被検体に対する余分な被曝を、なくすことができる。また、本医用画像発生装置100によれば、超音波画像により心臓などの組織の運動状態に関する状態量を発生することができる。これにより、例えば、心電同期スキャンにおいて、被検体へのX線の曝射期間をリアルタイムで適切に設定することができる。このことから、心電同期スキャンなどにおける被検体に対する余分な被曝を、低減することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、第2の実施形態を説明する。
図8は、第2の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置(以下、X線CT装置と呼ぶ)1の構成の一例を示す図である。
【0080】
第2の実施形態と第1の実施形態との主な相違は、第1の実施形態のコンソール装置30に、外部の超音波診断装置本体に接続されるコネクタ60が搭載されている点である。
【0081】
本X線CT装置1は、コネクタ60を介して外部の超音波診断装置本体と接続される。X線CT装置1におけるコンソール装置30は、コネクタ60を有する。なお、外部の超音波診断装置本体は、超音波診断装置本体と同等な機能を有するサーバであってもよい。
【0082】
以下、第2の実施形態と第1の実施形態との構成要素において、異なる動作を行う構成要素について説明する。
【0083】
X線CT装置1に搭載されたコネクタ60は、外部の超音波診断装置と本X線CT装置1とを接続する。なお、コネクタ60の替わりに、無線送受信装置であってもよい。この時、上記接続における配線は不要となる。
【0084】
外部の超音波診断装置本体は、超音波プローブ着脱部24に固定された超音波プローブからの出力に基づいて、特定信号を発生する。外部の超音波診断装置本体は、発生した特定信号を、本X線CT装置のコネクタ60を介して、スキャン制御部36に出力する。特定信号とは、第1の実施形態における第1のトリガ信号および第2のトリガ信号に対応する信号である。
【0085】
なお、外部の超音波診断装置本体が例えばサーバである場合、複数の本X線コンピュータ断層撮影装置を、サーバに接続することができる。
【0086】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本X線コンピュータ断層撮影装置1によれば、天板22の超音波プローブ着脱部24に超音波プローブ26を、操作者が所望する方向に固定することができる。これにより、被検体に対する超音波プローブ26の当接の安定性が向上する。また、粘着層の素材が被検体および装置に付着する問題が解消される。加えて、本X線コンピュータ断層撮影装置1によれば、外部の超音波診断装置本体からの特定信号に基づいて、X線の発生を開始および終了することができる。これにより、例えば、X線造影剤のROIへの到達を、リアルタイムで検知できる。このことから、造影X線CT検査におけるリアルプレップなどによる被検体に対する余分な被曝を、なくすことができる。加えて、例えば心電同期スキャンにおいて、被検体へのX線の曝射期間をリアルタイムで適切に設定することができる。このことから、心電同期スキャンなどにおける被検体に対する余分な被曝を、低減することができる。
【0087】
さらに、複数の本X線コンピュータ断層撮影装置1は、外部の超音波診断装置に接続することができる。これにより、複数の本X線コンピュータ断層撮影装置1に対してそれぞれ外部の超音波診断装置本体を用意する必要がないため、コストを低減させることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1…X線コンピュータ断層撮影装置、10…架台、11…高電圧発生部、12…X線管、13…X線検出器、14…データ収集部(DAS)、15…回転フレーム、16…回転駆動部、20…寝台、22…天板、24…超音波プローブ着脱部、26…超音波プローブ、30…コンソール装置、31…第1入力部、34…再構成部、36…スキャン制御部、40…超音波診断装置本体、41…送受信制御部、43…Bモードデータ発生部、45…ドプラデータ発生部、47…画像発生部、49…画像記憶部、51…画素値変化発生部、52…状態量発生部、53…トリガ信号発生部、60…コネクタ、100…医用画像発生装置、310…第2入力部、321…第1表示部、322…第2表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置とX線コンピュータ断層撮影装置とを備える医用画像発生装置において、
前記超音波診断装置は、特定形状を有する超音波プローブと、
前記超音波プローブを介して、被検体の所定領域に超音波を送信し、前記所定領域からの反射波を受信する超音波送受信部と、
前記超音波送受信部から出力された受信信号に基づいて、一連の超音波画像を発生する画像発生部と、
前記一連の超音波画像を用いて、前記所定領域に関する画素値の変化を発生する画素値変化発生部と、
前記画素値の変化が特定の変化を示す時、トリガ信号を発生するトリガ信号発生部とを具備し、
前記X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と、
前記X線管から発生され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づいて、画像データを再構成する再構成部と、
前記X線管からX線を発生させるための高電圧を発生する高電圧発生部と、
前記トリガ信号に同期して、前記X線の発生を開始するために前記高電圧発生部を制御するスキャン制御部と、
前記被検体を載置する天板とを具備し、
前記天板には、前記超音波プローブを着脱するための、前記特定形状に対応した構造を有する複数の超音波プローブ着脱部が設けられていること、
を特徴とする医用画像発生装置。
【請求項2】
X線を発生するX線管と、
前記X線管から発生され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づいて、画像データを再構成する再構成部と、
前記被検体を載置する天板とを具備し、
前記天板には、特定形状を有する超音波プローブを着脱するための、前記特定形状に対応した構造を有する複数の超音波プローブ着脱部が設けられていること、
を特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記超音波プローブ着脱部は、
前記天板に載置された前記被検体に前記超音波プローブを当接した状態で前記超音波プローブを固定するための差込口を有すること、
を特徴とする請求項2に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
X線を発生するX線管と、
前記X線管から発生され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づいて、画像データを再構成する再構成部と、
前記X線管からX線を発生させるための高電圧を発生する高電圧発生部と、
外部の超音波診断装置と接続するためのコネクタと、
前記コネクタを介して、前記超音波診断装置から供給される特定信号に同期して、前記X線の発生を開始するために前記高電圧発生部を制御するスキャン制御部と、
前記被検体を載置する天板とを具備し、
前記天板には、前記超音波診断装置に接続された特定形状を有する超音波プローブを着脱するための、前記特定形状に対応した構造を有する複数の超音波プローブ着脱部が設けられていること、
を特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
超音波診断装置とX線コンピュータ断層撮影装置とを備える医用画像発生装置において、
前記超音波診断装置は、特定形状を有する超音波プローブと、
前記超音波プローブを介して、被検体の所定領域に超音波を送信し、前記所定領域からの反射波を受信する超音波送受信部と、
前記超音波送受信部から出力された受信信号に基づいて、一連の超音波画像を発生する画像発生部と、
前記一連の超音波画像を用いて、前記所定領域に存在する組織の運動状態に関する状態量を発生する状態量発生部と、
前記状態量が特定の変化を示す時、トリガ信号を発生するトリガ信号発生部とを具備し、
前記X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と、
前記X線管から発生され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づいて、画像データを再構成する再構成部と、
前記X線管からX線を発生させるための高電圧を発生する高電圧発生部と、
前記トリガ信号に同期して、前記X線の発生を開始するために前記高電圧発生部を制御するスキャン制御部と、
前記被検体を載置する天板とを具備し、
前記天板には、前記超音波プローブを着脱するための、前記特定形状に対応した構造を有する複数の超音波プローブ着脱部が設けられていること、
を特徴とする医用画像発生装置。
【請求項6】
前記スキャン制御部は、前記トリガ信号に同期して、X線の発生を終了するために前記高電圧発生部を制御すること、
を特徴とする請求項5に記載の医用画像発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85692(P2013−85692A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228674(P2011−228674)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】