説明

医用画像診断装置、画像データ出力装置及び画像データ出力用制御プログラム

【課題】被検体から得られた複数の画像データを効率よくフィルム印刷する。
【解決手段】画像データ生成部1は、被検体の所定検査領域に設定された複数スライス断面の各々において画像データを生成し、画像データ出力部4の有効表示領域計測部41は、得られた画像データの画素値と所定の上限値及び下限値とを比較することにより画像データにおける有効表示領域を計測する。次いで、画像拡大率算出部42は、この有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて拡大率を各々の画像データに対して算出し、画像データ拡大処理部44は、画像データ単位で得られた複数の拡大率の中から最小画像拡大率抽出部43が抽出した最小拡大率に基づいて前記画像データの各々を拡大処理する。そして、フィルム印刷部45は、拡大処理された画像データをフィルム印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置、画像データ出力装置及び画像データ出力用制御プログラムに係り、特に、被検体から収集した画像データをフィルム印刷する医用画像診断装置、画像データ出力装置及び画像データ出力用制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断は、コンピュータ技術の発展に伴って実用化されたX線CT装置やMRI装置等により急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。特に近年のX線CT装置やMRI装置では、生体情報の検出ユニットや演算処理ユニットの高速化、高性能化に伴なって複数スライス断面における画像データの収集と表示が容易となった。
【0003】
例えば、X線CT装置においては、被検体の周囲に対向して配置されたX線管とX線検出器を高速回転すると共に前記被検体をその体軸方向に連続移動することにより複数のスライス断面におけるX線投影データを収集し、これらのX線投影データを再構成処理することにより複数スライス断面における画像データや3次元データ(ボリュームデータ)の生成が行なわれている。又、近年では、検出素子が2次元的に配列されたX線検出器を用いたマルチスライス方式によりX線投影データの収集に要する時間は更に短縮されている。
【0004】
このような医用画像診断装置によって生成された画像データは、通常、表示部のモニタに表示されると共にレーザイメージャ等によってフィルム上に印刷され、フィルム印刷された画像データを用いて当該被検体に対する診断が行なわれている。
【0005】
そして、異なる複数の医用画像診断装置によって収集された画像データをフィルム印刷する際、画像データにおける有効表示領域(有効な診断情報を有する領域)をフィルムの印刷可能領域に効率よく(即ち、有効表示領域の全てを最大の大きさで)印刷するために、フィルム印刷における画像データの拡大率を医用画像診断装置毎に設定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−191152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に記載された方法によれば、当該被検体から収集される画像データを医用画像診断装置毎に設定された拡大率に基づいて拡大/縮小処理することによりフィルム印刷における効率を改善することができる。しかしながら、同一の医用画像診断装置を用いた場合においても、画像データにおける有効表示領域の大きさは検査領域や検査部位によって異なり、例えば、頭部領域や胸部領域にて収集された画像データの有効表示領域は、腹部領域にて収集された画像データの有効表示領域より小さい。このため、効率のよいフィルム印刷を行なうためには、画像データの拡大率を個々の画像データの大きさに基づいて設定しなくてはならないため診断効率は大幅に低下し操作者の負担も増大するという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体から収集された画像データの有効表示領域を所定サイズのフィルムに効率よく印刷するための拡大/縮小処理を容易に行なうことが可能な医用画像診断装置、画像データ出力装置及び画像データ出力用制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の医用画像診断装置は、被検体から得られた第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する医用画像診断装置であって、前記被検体の検査領域に対して前記第1の画像データを生成する画像データ生成手段と、前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を算出する画像拡大率算出手段と、前記画像データの拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
又、請求項2に係る本発明の医用画像診断装置は、被検体の所定検査領域から得られた複数からなる第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する医用画像診断装置であって、前記検査領域に対して前記複数からなる第1の画像データを生成する画像データ生成手段と、前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を第1の画像データ毎に算出する画像拡大率算出手段と、算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出する最小拡大率抽出手段と、抽出された前記最小拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
一方、請求項9に係る本発明の画像データ出力装置は、医用画像診断装置によって収集された第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する画像データ出力装置であって、前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を算出する画像拡大率算出手段と、前記画像データの拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
又、請求項10に係る本発明の画像データ出力装置は、被検体の所定検査領域から得られた複数からなる第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する画像データ出力装置であって、前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を第1の画像データ毎に算出する画像拡大率算出手段と、算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出する最小拡大率抽出手段と、抽出された前記最小拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
更に、請求項11に係る本発明の画像データ出力用制御プログラムは、医用画像診断装置あるいは画像データ出力装置に、被検体の検査領域から収集された第1の画像データの有効表示領域を計測する有効表示領域計測機能と、前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を算出する画像拡大率算出機能と、前記画像データの拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理機能を実行させることを特徴としている。
【0014】
又、請求項12に係る本発明の画像データ出力用制御プログラムは、医用画像診断装置あるいは画像データ出力装置に、被検体の検査領域から収集された第1の画像データの有効表示領域を計測する有効表示領域計測機能と、前記有効表示領域の大きさと前記フィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて前記フィルム印刷における前記画像データの拡大率を画像データ毎に算出する画像拡大率算出機能と、算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出する最小拡大率抽出機能と、抽出された前記最小拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理してフィルム印刷用の画像データを生成する画像データ拡大処理機能を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検体から収集された画像データの有効表示領域を所定サイズのフィルムに効率よく印刷するための拡大/縮小処理を容易に行なうことが可能となる。このため、検査効率や診断効率が向上するのみならず操作者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例における医用画像診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例の画像データ生成部が備えたX線撮影部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施例の画像データ生成部が備えた再構成処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】同実施例において被検体の胸部領域及び腹部領域に設定された複数のスライス断面とこれらのスライス断面にて収集される画像データを示す図。
【図5】同実施例の画像データ出力部に設けられた有効表示領域計測部の具体的な構成を示すブロック図。
【図6】同実施例において収集された腹部領域の画像データとこの画像データに基づいて計測される有効表示領域の最大縦幅及び最大横幅と中心位置を示す図。
【図7】同実施例において収集された胸部領域の画像データとこの画像データに基づいて計測される有効表示領域の最大縦幅及び最大横幅と中心位置を示す図。
【図8】同実施例における画像データのフィルム印刷手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施例における画像データ出力装置の全体構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の第1の実施例における医用画像診断装置は、被検体の所定検査領域に設定された複数スライス断面の各々において画像データを生成し、得られた画像データの画素値と所定の上限値及び下限値とを比較することにより画像データにおける有効表示領域を計測する。次いで、この有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて拡大率を各々の画像データに対して算出し、得られた複数の拡大率の中から抽出した最小拡大率に基づいて前記画像データの各々を拡大処理しフィルム印刷する。
【0019】
尚、以下の実施例における医用画像診断装置の画像データ生成部は、当該被検体に対するX線撮影によって収集した投影データを再構成処理してCT(Computed Tomography)画像データを生成する場合について述べるが、これに限定されるものではなく、例えば、MRI画像データやX線画像データ等の他の医用画像データを生成する場合であってもよい。又、この画像データ生成部によって生成された画像データをフィルム印刷に対して好適な大きさに拡大処理する場合について述べるが縮小処理する場合であっても構わない。
【0020】
(装置の構成)
以下、本発明の第1の実施例における医用画像診断装置の構成につき図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、本実施例における医用画像診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2及び図3は、この医用画像診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。又、図5は、医用画像診断装置の画像データ出力部に設けられた有効表示領域計測部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示す医用画像診断装置100は、被検体の体軸方向に設定された複数のスライス断面に対しX線撮影を行なって投影データを収集するX線撮影部2と得られた投影データをスライス断面単位で再構成処理して複数の画像データを生成する再構成処理部3とを有する画像データ生成部1と、前記複数の画像データを好適な大きさに拡大処理してフィルム印刷する画像データ出力部4と、画像データ生成部1において生成された拡大処理前の画像データ(第1の画像データ)あるいは画像データ出力部4において拡大処理された画像データ(第2の画像データ)を必要に応じて表示する表示部5と、被検体情報の入力、画像データ生成条件の設定、画像データ出力条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部6と、医用画像診断装置100に設けられた上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部7を備えている。
【0022】
次に、画像データ生成部1が有するX線撮影部2の具体的な構成につき図2を用いて説明する。
【0023】
X線撮影部2は、図2に示すように、被検体30に対してX線を照射するX線発生部22と、前記X線の照射強度を制御する照射強度制御部21と、被検体30を透過したX線を検出して投影データを収集する投影データ収集部23と、X線発生部22及び投影データ収集部23を搭載して被検体30の周囲で高速回転する架台回転部27と、図示しない寝台の上面にスライド可能に設けられ被検体30を載置してその診断対象部位を架台回転部27の中央部(撮影野)へ移動させる天板29と、天板29の移動や架台回転部27の高速回転を行なう移動機構部25を備えている。
【0024】
X線発生部22は、被検体30に対しX線を照射するX線管221と、X線管221の陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生する高電圧発生器222と、X線管221から放射されたX線の被検体30に対する照射範囲を制御するX線絞り器223と、高電圧発生器222が発生した高電圧を架台回転部27に設けられたX線管221へ供給するスリップリング224を備えている。
【0025】
X線管221は、X線を発生する真空管であり、高電圧発生器222から供給された高電圧によって加速した電子をタングステンターゲットに衝突させてX線を発生する。X線絞り器223は、X線管221と被検体30の間に設けられ、X線管221から放射されたX線を所定の照射範囲に絞り込む機能と被検体30に対するX線の照射強度分布を設定する機能を有している。例えば、X線管221から放射されたX線ビームを予め設定された撮影領域に対応するコーンビーム状あるいはファンビーム状のX線ビームに成形する。
【0026】
次に、照射強度制御部21は、入力部6にて初期設定される撮影条件のX線照射条件(例えば、X線管221の管電圧、管電流及びX線照射時間)に基づいて制御信号を生成し、この制御信号をX線発生部22の高電圧発生器222へ供給してX線管221から被検体30へ照射されるX線の照射強度を制御する。
【0027】
一方、投影データ収集部23は、被検体30を透過したX線を検出するX線検出器231と、このX線検出器231から出力された複数チャンネルの検出信号を所定のチャンネル数に束ねるスイッチ群232と、スイッチ群232の出力信号に対して電流/電圧変換とA/D変換を行なうデータ収集ユニット(以下、DAS(data acquisition system)ユニットと呼ぶ。)233と、DASユニット233の出力信号に対してパラレル/シリアル変換、電気/光/電気変換及びシリアル/パラレル変換を行なうデータ伝送回路234を備えている。
【0028】
投影データ収集部23のX線検出器231は、2次元配列された図示しないX線検出素子を備え、このX線検出素子の各々は、例えば、X線を光に変換するシンチレータと光を電気信号に変換するフォトダイオードによって構成されている。そして、これらのX線検出素子は、X線管221の焦点を中心とした円弧に沿って架台回転部27に取り付けられ、被検体30を透過したX線を検出して投影データを生成する。
【0029】
一方、スイッチ群232は、図示しないマルチプレクサを備え、X線検出器231から供給された投影データをDASユニット233へ転送する際、X線検出素子から出力されたスライス方向における複数チャンネルの投影データを所定のチャンネル数に「データ束ね」することによりスライス方向における投影データの収集位置と収集幅を決定する。
【0030】
DASユニット233は、X線検出器231から供給された投影データに対して電流/電圧変換とA/D変換を行なう。データ伝送回路234は、図示しないパラレル/シリアル変換器と電気/光/電気変換器とシリアル/パラレル変換器を有し、DASユニット233から出力された投影データは、架台回転部27に設けられた前記パラレル/シリアル変換器において時系列的な1チャンネルの投影データに変換され、前記電気/光/電気変換器による光通信によって架台固定部28の前記シリアル/パラレル変換器に供給される。
【0031】
次に、移動機構部25は、機構制御部251及び天板・架台移動機構部252を備えている。機構制御部251は、入力部6からシステム制御部7を介して供給される移動指示信号に基づいて架台回転制御信号及び天板移動制御信号を生成し、天板・架台移動機構部252へ供給する。一方、天板・架台移動機構部252は、機構制御部251から供給される架台回転制御信号及び天板移動制御信号に従ってX線管221及び投影データ収集部23が搭載された架台回転部27を被検体30の周囲にて高速回転させ、更に、被検体30を載置した天板29を体軸方向へ所定速度で移動させる。
【0032】
即ち、X線発生部22のX線管221及びX線絞り器223と上述の投影データ収集部23は、被検体30を挟むように対向して架台回転部27に装着され、体軸方向へ順次移動する被検体30の周囲を前記体軸方向(z方向)に平行な軸を回転中心として所定速度で高速回転する。
【0033】
次に、画像データ生成部1が有する再構成処理部3の具体的な構成につき図3を用いて説明する。この再構成処理部3は、図3に示すように投影データ記憶部31、演算処理部32及び画像データ記憶部33を備え、投影データ収集部23が収集した被検体30の投影データを再構成処理して2次元の画像データを生成する機能を有している。
【0034】
即ち、投影データ記憶部31には、被検体30の周囲における架台回転部27の高速回転と天板29の体軸方向への移動を略同時に行なった状態で投影データ収集部23が収集した投影データが架台回転部27の回転角度情報やX線検出素子の配列情報、更には、天板29の位置情報等を付帯情報として保存される。
【0035】
一方、演算処理部32は、投影データ記憶部31から読み出した投影データを上述の付帯情報や入力部6からシステム制御部7を介して供給される画像データ生成条件に基づいて再構成処理し、体軸方向に略垂直な複数のスライス断面における画像データ(第1の画像データ)を生成する。そして、生成されたこれらの画像データは、スライス断面の位置情報に対応した画像データ識別情報を付帯情報として画像データ記憶部33に保存される。
【0036】
次に、被検体30の胸部領域及び腹部領域に設定された複数スライス断面にて収集される画像データにつき図4を用いて説明する。図4(a)は、胸部領域において間隔Δηcで設定されたN個のスライス断面Sc1乃至ScNと腹部領域において間隔Δηaで設定されたM個のスライス断面Sa1乃至SaMを示しており、図4(b)は、スライス断面Sc1乃至ScNにて生成された画像データIc1乃至IcNとスライス断面Sa1乃至SaMにて生成された画像データIa1乃至IaMを示している。尚、検査対象部位は上述の胸部領域や腹部領域に限定されるものではなく、頭部領域、頚部領域、臀部領域、脚部領域等であってもよい。
【0037】
図1へ戻って、画像データ出力部4は、有効表示領域計測部41、画像拡大率算出部42、最小画像拡大率抽出部43、画像データ拡大処理部44及びフィルム印刷部45を備えている。
【0038】
有効表示領域計測部41は、図5に示すように、画像データ生成部1の再構成処理部3から供給される腹部領域の画像データIa1乃至IaM及び胸部領域の画像データIc1乃至IcNの画素値(CT値)とこれらの検査領域に対して予め設定された画素値の上限値αa1、αc1及び下限値αa2、αc2とを比較することにより2値化画像データを生成する2値化処理部411と、これら2値化画像データの各々にて示された有効表示領域に外接する矩形枠に基づいて有効表示領域の最大縦幅及び最大横幅を計測する領域幅計測部412と、前記矩形枠に基づいて有効表示領域の中心位置を計測する領域中心計測部413を備えている。
【0039】
次に、上述の2値化処理部411、領域幅計測部412及び領域中心計測部413による有効表示領域の最大縦幅及び最大横幅と中心位置の計測方法につき図6及び図7を用いて説明する。図6(a)は、腹部領域のスライス断面Samにて生成された画像データIamを、又、図6(b)は、2値化処理部411が画像データIamの画素値と腹部領域用の上限値αa1及び下限値αa2との比較によって生成した2値化画像データDamを示しており、画像データIamにおいて下限値αa2より大きく上限値αa1より小さな画素値を有する腹部臓器は2値化画像データDamにおいて有効表示領域Aamとして抽出される。
【0040】
そして、領域幅計測部412は、2値化画像データDamの有効表示領域Aamに外接する矩形枠Bamを設定することにより有効表示領域Aamの最大横幅Xam及び最大縦幅Yamを計測する。一方、領域中心計測部413は、例えば、矩形枠Bamの中心座標を算出することにより有効表示領域Aamの中心位置Camを計測する。
【0041】
一方、図7(a)は、胸部領域のスライス断面Scnにて生成された画像データIcnを、又、図7(b)は、この画像データIcnの画素値と胸部領域用の上限値αc1及び下限値αc2との比較によって生成した2値化画像データDcnを示しており、画像データIcnにおいて下限値αc2より大きく上限値αc1より小さな画素値を有する胸部臓器(肺野)は2値化画像データDcnにおいて有効表示領域Acnとして抽出される。
【0042】
そして、領域幅計測部412は、2値化画像データDcnの有効表示領域Acnに外接する矩形枠Bcnを設定することによって有効表示領域Acnの最大横幅Xcn及び最大縦幅Ycnを計測し、領域中心計測部413は、矩形枠Bcnの中心座標を算出することにより有効表示領域Acnの中心位置Ccnを計測する。
【0043】
再び図1へ戻って、画像データ出力部4の画像拡大率算出部42は図示しない演算回路を有し、フィルム印刷部45において使用されるフィルムの大きさ(フィルムサイズ)と腹部領域の2値化画像データDamにおける有効表示領域Aam(m=1乃至M)及び胸部領域の2値化画像データDcnにおける有効表示領域Acn(n=1乃至N)の大きさに基づいてフィルム印刷における画像データIamの拡大率を算出する。
【0044】
例えば、2値化画像データDamにおける有効表示領域Aamの大きさがフィルムサイズより小さい場合、フィルムの有効横幅Fxと有効表示領域Aamの最大横幅Xamとの比βaxm(βaxm=Fx/Xam)及びフィルムの有効縦幅Fyと有効表示領域Aamの最大縦幅Yamとの比βaym(βaym=Fy/Yam)を算出する。そして、βaxm<βaymの場合にはβaxmを、又、βaxm≧βaymの場合にはβaymを画像データIamの拡大率βaomに設定する。更に、同様の方法によって画像データIcnの拡大率βconを設定する。
【0045】
一方、最小画像拡大率抽出部43は、画像拡大率算出部42が算出した画像データIa1乃至IaMの拡大率βao1乃至βaoMの中から最小の拡大率を抽出し、同様にして、画像データIc1乃至IcNの拡大率βco1乃至βcoNの中から最小の拡大率を抽出する。
【0046】
そして、画像データ拡大処理部44は、抽出された画像データの拡大率に基づき画像データ生成部1の再構成処理部3から供給される腹部領域の画像データIa1乃至IaM及び胸部領域の画像データIc1乃至IcNの各々を拡大処理してフィルム印刷用の画像データ(第2の画像データ)を生成する。具体的には、拡大率βao1乃至βaoMの中から抽出された最小拡大率に基づき画像データIa1乃至IaMの画素を拡大処理あるいは補間処理し、拡大率βco1乃至βcoNの中から抽出された最小拡大率に基づいて画像データIc1乃至IcNの画素を拡大処理あるいは補間処理する。
【0047】
更に、画像データ拡大処理部44は、有効表示領域計測部41の領域中心計測部413から供給される有効表示領域Aa1乃至AaMの中心位置Ca1乃至CaMに基づき拡大処理後の画像データIa1乃至IaMの位置を補正し、同様にして、有効表示領域Ac1乃至AcNの中心位置Cc1乃至CcNに基づき拡大処理後の画像データIc1乃至IcNの位置を補正する。上述の位置補正により、画像データIa1乃至IaMの有効表示領域Aa1乃至AaM及び画像データIc1乃至IcNの有効表示領域Ac1乃至AcNはフィルム印刷部45に装填されたフィルムのほぼ中央部に配置されるため、高い倍率で画像データを拡大処理することが可能となる。
【0048】
フィルム印刷部45は、画像データ拡大処理部44において拡大処理と位置補正が行なわれた腹部領域の画像データIa1乃至IaM及び胸部領域の画像データIc1乃至IcN(第2の画像データ)をフィルム印刷する機能を有し、レーザイメージャ等によって構成されている。そして、このフィルム印刷部45に装填されているフィルムの識別情報及びフィルムサイズ情報は予めシステム制御部7に供給される。
【0049】
一方、入力部6は、表示パネルやキーボード、切り替えスイッチ、選択ボタン、マウス等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、検査領域の選択、画像データ生成条件の設定、画像データ表示条件の設定、画像データの画素値に対する上限値及び下限値の設定、フィルム印刷部45において使用するフィルムの選択、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0050】
システム制御部7は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部6から供給される各種の入力/設定/選択情報は前記記憶回路に保存される。そして、前記CPUは、これらの情報に基づいて医用画像診断装置100が備える上述の各ユニットを統括的に制御し、被検体30に対する画像データの生成とフィルム印刷による画像データの出力を行なう。
【0051】
(画像データのフィルム印刷手順)
次に、本実施例における画像データのフィルム印刷手順につき図8のフローチャートを用いて説明する。尚、ここでは、被検体30の腹部領域に間隔Δηaで設定されたスライス断面Sa1乃至SaMにて画像データを生成する場合について述べるが、検査領域、スライス断面間隔及びスライス断面数は特に限定されない。
【0052】
画像診断装置100の操作者は、被検体30に対する画像データの生成に先立って、被検体情報の入力、検査領域の選択、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、画像データの画素値に対する上限値αa1及び下限値αa2の設定、フィルム印刷に使用するフィルムの選択等を入力部6に設けられた入力デバイスを用いて行なう。そして、これらの入力/設定/選択情報はシステム制御部7に設けられた記憶回路に保存される。次いで、操作者は、被検体30を載置した天板29を体軸方向へ移動することにより検査領域の一部を架台回転部27の撮影野に配置する(図8のステップS1)。
【0053】
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、入力部6において画像データ生成開始コマンドを入力する(図8のステップS2)。このコマンド信号を受信したシステム制御部7は、画像データ生成部1のX線撮影部2に設けられた移動機構部25の機構制御部251に対して移動指示信号を供給し、機構制御部251は、前記移動指示信号に基づき架台回転制御信号及び天板移動制御信号を生成して天板・架台移動機構部252へ供給する。一方、天板・架台移動機構部252は、機構制御部251から供給される架台回転制御信号及び天板移動制御信号に従ってX線管221及び投影データ収集部23が搭載された架台回転部27を被検体30の周囲にて高速回転させ、更に、被検体30を載置した天板29を体軸方向へ移動させる。
【0054】
一方、照射強度制御部21は、システム制御部7から供給される画像データ生成条件のX線照射条件に基づいて生成した制御信号をX線発生部22の高電圧発生器222へ供給し、高電圧発生器222は、前記X線照射条件に基づいた電力(管電圧及び管電流)をX線管221へ供給して被検体30に対しX線を照射する。
【0055】
X線管221から照射され被検体30を透過したX線は、投影データ収集部23のX線検出器231によって検出される。即ち、被検体30を透過したX線は、X線検出器231において透過線量に比例した電荷(電流)信号に変換され、スイッチ群232においてスライス方向に対し「データ束ね」が行なわれる。そして、「データ束ね」された電流信号は、DASユニット233に供給されて電流/電圧変換とA/D変換が行なわれ投影データが生成される。
【0056】
この投影データは、架台回転部27に装着されたデータ伝送回路234の送信部に送られて光信号に変換され、空中を介して架台固定部28に取りつけられたデータ伝送回路234の受信部にて受信される。そして、受信された投影データは、X線検出素子の配列情報、架台回転部27の回転角度情報及び天板29の位置情報等を付帯情報として再構成処理部3の投影データ記憶部31に保存される。即ち、投影データ記憶部31には、被検体30の腹部領域に対して間隔Δηaで設定されたスライス断面Sa1乃至SaMの投影データが上述の付帯情報と共に保存される(図8のステップS3)。
【0057】
一方、再構成処理部3の演算処理部32は、投影データ記憶部31から読み出した投影データを上述の付帯情報や入力部6からシステム制御部7を介して供給された画像データ生成条件の再構成条件に基づいて再構成処理し、体軸方向(z方向)に略垂直なスライス断面Sa1乃至SaMの各々に対して画像データIa1乃至IaM(第1の画像データ)を生成する。そして、生成されたこれらの画像データは、スライス断面の位置情報に対応した画像データ識別情報を付帯情報として画像データ記憶部33に保存される(図8のステップS4)。
【0058】
被検体30の複数スライス断面Sa1乃至SaMにおける画像データIa1乃至IaMの生成と保存が完了したならば、画像データ出力部4の有効表示領域計測部41に設けられた2値化処理部411は、画像データ生成部1の再構成処理部3から供給される画像データIa1乃至IaMの画素値と所定の上限値αa1及び下限値αa2とを比較することにより2値化画像データDa1乃至DaMを生成する。
【0059】
次いで、有効表示領域計測部41の領域幅計測部412は、2値化画像データDa1乃至DaMの有効表示領域Aa1乃至AaMに外接する矩形枠Ba1乃至BaMを設定することにより有効表示領域Aa1乃至AaMの最大横幅Xa1乃至XaM及び最大縦幅Ya1乃至YaMを計測し、領域中心計測部413は、矩形枠Ba1乃至BaMの中心座標を算出することにより有効表示領域Aa1乃至AaMの中心位置Ca1乃至CaMを計測する(図7のステップS5)。
【0060】
次に、画像データ出力部4の画像拡大率算出部42は、フィルム印刷部45において使用されるフィルムの大きさと2値化画像データDa1乃至DaMにおける有効表示領域Aa1乃至AaMの大きさに基づいて画像データIa1乃至IaMのフィルム印刷時における拡大率βao1乃至βaoMを算出し(図8のステップS6)、最小画像拡大率抽出部43は、画像拡大率算出部42が算出した上述の拡大率βao1乃至βaoMの中から最小拡大率を抽出する(図8のステップS7)。
【0061】
一方、画像データ拡大処理部44は、抽出された拡大率に基づき画像データ生成部1の再構成処理部3から供給される画像データIa1乃至IaMの各々を拡大処理してフィルム印刷用の画像データ(第2の画像データ)を生成し、更に、有効表示領域計測部41の領域中心計測部413から供給される有効表示領域Aa1乃至AaMの中心位置Ca1乃至CaMに基づき拡大処理された画像データIa1乃至IaMの位置を補正する(図8のステップS8)。そして、フィルム印刷部45は、画像データ拡大処理部44において拡大処理と位置補正が行なわれた画像データIa1乃至IaMを順次フィルム印刷する(図8のステップS9)。
【0062】
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、被検体から収集された画像データの有効表示領域を所定サイズのフィルムに効率よく(即ち、画像データにおける有効表示領域の全てを最大の大きさで)印刷するための拡大処理を容易に行なうことが可能となる。このため、診断効率や検査効率が向上するのみならず操作者の負担を軽減することができる。
【0063】
特に、前記有効表示領域の計測は、画像データの画素値と所定の上限値及び下限値とを比較することによって行なわれるため精度のよい計測が可能となり、従って、画像データのフィルム印刷における拡大率を正確に算出することができる。
【0064】
又、所定検査領域から複数の画像データが生成される場合、画像データ単位で算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出し、この最小拡大率に基づいて前記画像データを拡大処理しているため、同一拡大率を有した複数の画像データを効率よくフィルム印刷することができる。
【0065】
更に、前記有効表示領域の中心位置を画像データ単位で計測し、この計測結果に基づいて拡大処理後の画像データを位置補正しているため、画像データの有効表示領域はフィルムのほぼ中央部に配置され、従って、更に効率のよい拡大処理が可能となる。
【実施例2】
【0066】
次に、本発明の第2の実施例における画像データ出力装置について説明する。この画像データ出力装置は、別途設置された医用画像診断装置から供給され自己の画像データ保管部に保管された当該被検体の複数スライス断面における画像データを読み出し、これらの画像データを構成する画素値と所定の上限値及び下限値とを比較することにより画像データにおける有効表示領域を計測する。次いで、この有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて拡大率を各々の画像データに対して算出し、画像データ単位で得られた複数の拡大率の中から抽出した最小拡大率に基づいて前記画像データの各々を拡大処理しフィルム印刷する。
【0067】
(装置の構成)
本実施例における画像データ出力装置の構成につき図9のブロック図を用いて説明する。但し、図9において、図1に示した医用画像診断装置100のユニットと同様の構成及び機能を有するユニットは同一の符号を付加し、詳細な説明は省略する。
【0068】
図9に示す本実施例の画像データ出力装置200は、別途設置された医用画像診断装置によって収集された当該被検体の複数スライス断面における画像データを保管する画像データ保管部8と、前記画像データの各々を好適な大きさに拡大処理してフィルム印刷する画像データ出力部4と、画像データ保管部8に保管された拡大処理前の画像データ(第1の画像データ)あるいは画像データ出力部4において拡大処理された画像データ(第2の画像データ)を必要に応じて表示する表示部5と、被検体情報の入力、画像データ生成条件の設定、画像データ表示条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部6aと、画像データ出力装置200に設けられた上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部7aを備えている。
【0069】
そして、画像データ保管部8には、図示しないX線CT装置やMRI装置等の医用画像診断装置によって収集されネットワークあるいは大容量の記憶媒体を介して供給された当該被検体の複数スライス断面における画像データがスライス断面の位置情報に対応した画像データ識別情報を付帯情報として予め保管されている。
【0070】
一方、入力部6aは、表示パネルやキーボード、切り替えスイッチ、選択ボタン、マウス等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、画像データ表示条件の設定、画像データの画素値に対する上限値及び下限値の設定、フィルム印刷において使用するフィルムの選択、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0071】
システム制御部7aは、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部6から供給される各種の入力/設定/選択情報は前記記憶回路に保存される。そして、前記CPUは、これらの情報に基づいて、画像データ出力装置200が備える上述の各ユニットを統括的に制御し、当該被検体から収集された画像データを好適な大きさに拡大処理してフィルム印刷する。
【0072】
尚、本実施例における画像データのフィルム印刷手順は、図8に示した第1の実施例のフィルム印刷手順におけるステップS5乃至ステップS9と同様であるため説明は省略する。
【0073】
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、既に述べた第1の実施例と同様にして、被検体から収集された画像データの有効表示領域を所定サイズのフィルムに効率よく(即ち、画像データにおける有効表示領域の全てを最大の大きさで)印刷するための拡大処理を容易に行なうことが可能となる。このため、診断効率や検査効率が向上するのみならず操作者の負担を軽減することができる。
【0074】
特に、前記有効表示領域の計測は、画像データの画素値と所定の上限値及び下限値とを比較することによって行なわれるため精度のよい計測が可能となり、従って、画像データのフィルム印刷における拡大率を正確に算出することができる。
【0075】
又、所定検査領域に設定された複数スライス断面の各々にて画像データが生成される場合、画像データ単位で算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出し、この最小拡大率に基づいて前記画像データを拡大処理しているため、同一拡大率を有した複数の画像データを効率よくフィルム印刷することができる。
【0076】
一方、上述の実施例では、前記有効表示領域の中心位置を画像データ単位で計測し、この計測結果に基づいて拡大処理後の画像データを位置補正しているため、画像データの有効表示領域はフィルムのほぼ中央部に配置され、従って、更に効率のよい画像データの拡大処理が可能となる。
【0077】
又、別途設置された医用画像診断装置からネットワーク等を介して供給される画像データに対してフィルム印刷に好適な拡大処理が行なわれるため、操作者は、時間や場所の制約をあまり受けることなく当該画像データのフィルム印刷を効率よく行なうことができる。
【0078】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の第1の実施例及び第2の実施例では、当該被検体から収集された画像データに対しフィルム印刷に好適な拡大処理を行なう場合について述べたが、前記画像データにおける有効表示領域の大きさがフィルム印刷に使用するフィルムの大きさより大きい場合には、縮小処理を行なってもよい。
【0079】
又、被検体の複数スライス断面から収集された複数の画像データに対してフィルム印刷に好適な拡大処理を行なう場合について述べたが、拡大処理の対象となる画像データは1つであってもよく、又、同一スライス断面において時系列的に生成される複数の画像データであってもよい。
【0080】
更に、当該被検体の胸部領域及び腹部領域にて収集された画像データを拡大処理する場合について述べたが、画像データが収集される検査対象部位は胸部領域や腹部領域に限定されるものではなく、頭部領域、頚部領域、臀部領域、脚部領域等であっても構わない。
【0081】
又、上述の実施例における2値化処理部411は、画像データ生成部1の再構成処理部3から供給される画像データの画素値と検査領域に対して予め設定された上限値及び下限値との比較によって2値化画像データを生成する場合について述べたが、画像データの画素値と前記上限値あるいは前記下限値の何れかとの比較によって2値化画像データを生成してもよい。
【0082】
更に、上述の第1の実施例における医用画像診断装置100及び第2の実施例における画像データ出力装置200は、拡大処理された画像データをフィルム印刷するフィルム印刷部45を装置の構成要素としている場合について述べたが、フィルム印刷部45は、医用画像診断装置100あるいは画像データ出力装置200に対し独立して設けられたものであってもよい。
【0083】
一方、上述の第1の実施例における医用画像診断装置の画像データ生成部1は、当該被検体に対するX線撮影によって収集した投影データを再構成処理してCT(Computed Tomography)画像データを生成する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、MRI画像データやX線画像データ等の他の医用画像データを生成してもよい。
【0084】
尚、第1の実施例及び第2の実施例の画像データ出力部4が有する各ユニットの機能は、通常、ソフトウェアによって実行させることが可能であり、このような場合には、図1及び図9の画像データ出力部4は機能ブロック図を示している。
【符号の説明】
【0085】
1…画像データ生成部
2…X線撮影部
3…再構成処理部
4…画像データ出力部
41…有効表示領域計測部
411…2値化処理部
412…領域幅計測部
413…領域中心計測部
42…画像拡大率算出部
43…最小画像拡大率抽出部
44…画像データ拡大処理部
45…フィルム印刷部
5…表示部
6、6a…入力部
7、7a…システム制御部
8…画像データ保管部
100…医用画像診断装置
200…画像データ出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から得られた第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する医用画像診断装置において、
前記被検体の検査領域に対して前記第1の画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、
前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を算出する画像拡大率算出手段と、
前記画像データの拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを
備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
被検体の所定検査領域から得られた複数からなる第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する医用画像診断装置において、
前記検査領域に対して前記複数からなる第1の画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、
前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を第1の画像データ毎に算出する画像拡大率算出手段と、
算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出する最小拡大率抽出手段と、
抽出された前記最小拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを
備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項3】
前記有効表示領域計測手段は、前記有効表示領域の最大横幅及び最大縦幅を計測する領域幅計測手段を備え、前記画像拡大率算出手段は、前記有効表示領域の最大横幅と前記フィルムの横幅あるいは前記有効表示領域の最大縦幅と前記フィルムの縦幅とを比較することによって前記拡大率を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した医用画像診断装置。
【請求項4】
前記領域幅計測手段は、前記第1の画像データの画素値と前記検査領域に対して設定した上限値及び下限値の少なくとも何れかとの比較によって生成した2値化画像データに基づいて前記有効表示領域の最大横幅及び最大縦幅を計測することを特徴とする請求項3記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記有効表示領域計測手段は、前記有効表示領域の中心位置を計測する領域中心計測手段を備え、前記画像データ拡大処理手段は、拡大処理あるいは縮小処理した前記第2の画像データの位置を前記領域中心計測手段の計測結果に基づいて補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した医用画像診断装置。
【請求項6】
前記領域中心計測手段は、前記第1の画像データの画素値と前記検査領域に対して設定した上限値及び下限値の少なくとも何れかとの比較によって生成した2値化画像データに基づいて前記有効表示領域の中心位置を計測することを特徴とする請求項5記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
フィルム印刷手段を備え、前記フィルム印刷手段は、前記画像データ拡大処理手段が生成した前記第2の画像データをフィルム印刷することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記画像データ生成手段は、前記検査領域に設定された異なる複数のスライス断面における前記第1の画像データを生成することを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
医用画像診断装置によって収集された第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する画像データ出力装置であって、
前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、
前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を算出する画像拡大率算出手段と、
前記画像データの拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを
備えたことを特徴とする画像データ出力装置。
【請求項10】
被検体の所定検査領域から得られた複数からなる第1の画像データを処理してフィルム印刷用の第2の画像データを生成する画像データ出力装置であって、
前記第1の画像データにおける有効表示領域を計測する有効表示領域計測手段と、
前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を第1の画像データ毎に算出する画像拡大率算出手段と、
算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出する最小拡大率抽出手段と、
抽出された前記最小拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理手段とを
備えたことを特徴とする画像データ出力装置。
【請求項11】
医用画像診断装置あるいは画像データ出力装置に、
被検体の検査領域から収集された第1の画像データの有効表示領域を計測する有効表示領域計測機能と、
前記有効表示領域の大きさとフィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて画像データの拡大率を算出する画像拡大率算出機能と、
前記画像データの拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理し前記第2の画像データを生成する画像データ拡大処理機能を
実行させることを特徴とする画像データ出力用制御プログラム。
【請求項12】
医用画像診断装置あるいは画像データ出力装置に、
被検体の検査領域から収集された第1の画像データの有効表示領域を計測する有効表示領域計測機能と、
前記有効表示領域の大きさと前記フィルム印刷に使用するフィルムの大きさとに基づいて前記フィルム印刷における前記画像データの拡大率を画像データ毎に算出する画像拡大率算出機能と、
算出された複数の拡大率の中から最小拡大率を抽出する最小拡大率抽出機能と、
抽出された前記最小拡大率に基づいて前記第1の画像データを拡大処理あるいは縮小処理してフィルム印刷用の画像データを生成する画像データ拡大処理機能を
実行させることを特徴とする画像データ出力用制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−167188(P2010−167188A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14362(P2009−14362)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】