医療デバイスにおける能動制御された屈曲
可撓性内視鏡は、ハンドルと、ハンドルから延びる可撓性シャフトとを含む。シャフトは、中央管腔を画定する管状壁と、管状壁の少なくとも一部を通って長手方向に延びる、少なくとも2つのより小さい管腔とを有する、遠位部分を含み、引張ワイヤがより小さい管腔のうちの1つ以上の内側に配置される。遠位部分は、管状壁全体に配置された連接層をさらに含み、前記引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により前記遠位部分の制御された屈曲を可能にする、第1の一連のスロットを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する参照)
本願は、米国仮特許出願第60/932,413号(2007年5月31日出願)に対する優先権を主張し、その利益を主張する。上記仮特許出願の内容は本明細書において参照することにより援用される。
【0002】
本発明は、概して、内視鏡およびカテーテル等の医療デバイスに関する。より具体的には、本発明は、患者体内の種々の部位を治療および検査するために、屈曲可能かつ誘導可能な可撓性医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、大腸、食道、胃、尿道、膀胱、尿管、腎臓、肺、気管支、子宮、および他の臓器系等、消化排出管および気管等の内臓疾患の早期発見および治療から、多大な公衆衛生効果が得られることは、十分に確立されている。このような疾病の早期発見は、現代の医療処置および内視鏡等のデバイスにより支援される定期的医療検査により達成され得る。このような処置で使用するための従来の撮像内視鏡は、概して、外部光源から、検査される領域(すなわち、組織、閉塞性被写体)を照射する遠位先端へと照射光線をあてる光ファイバ光線ガイドを備えた可撓性管を備える。ファイバ束および遠位先端を出て行く光の発散を調整するために、頻繁に、追加の光学式コンポーネントが組み入れられる。対物レンズ、および内視鏡の近位端でカメラと、または遠位先端で画像カメラチップと通信する光ファイバ画像光線ガイドによって、操作者に表示する画像を作成する。加えて、ほとんどの内視鏡は、1つ以上のワーキングチャネルを含み、これを通って、生検鉗子、スネア、高周波療法プローブおよび他のツール等の医療デバイスが通過され得る。
【0004】
一部の内視鏡および電気生理学的カテーテルは、内視鏡の遠位先端を誘導または偏向させるための手段を有して、大腸、膀胱、腎臓および心臓等の検査中の生体構造の経路をたどる。これらのタイプの医療デバイスにおいては、偏向や連接は、周辺組織への摩擦力や外傷を最小限に抑制するため、および対象の検査部位を検査するために、望ましい特徴であることが多い。患者体内の種々の部位を介して内視鏡をナビゲーションすることによって、検査の成功率を向上し、患者の痛み、副作用、リスク、または鎮痛剤の使用を最小限に抑制する。
【0005】
内視鏡の遠位可撓性部分で有効な偏向を達成するために、遠位端をハンドルの一組の制御装置に接続する内視鏡シャフト内には制御ケーブルまたはワイヤが備えられる。制御を操作することによって、操作者は挿入中に内視鏡を誘導して、関心対象の領域に向かわせることができる。
【0006】
これらのデバイスに特有の、多くの設計および性能の課題が存在する。これらの課題の中には、先端で平面偏向を達成すること、ならびに、引張ワイヤ機構の張力によってシャフトが曲がる、または一連の「S」字状を形成することを防ぐこと、を含む。これらのデバイスの設計者が直面する他の課題は、1つの平面内で個々の屈曲を保つことが可能であること、適切な角度の偏向を達成すること、および複数の方向の偏向を達成することを含む。
【0007】
典型的には、可撓性内視鏡は非常に高価な医療デバイスである。高価であるために、これらの内視鏡は、多くの患者における複数回の使用および度重なる殺菌に耐えるように作製される。従来の内視鏡は、概して、度重なる洗浄や高温下で品質低下がない金属やプラスチック等、強力な複合材料構造から作製される。これらの材料構造は、内視鏡の可撓性を減少させるとともに、患者の快適性を損なう可能性がある。さらに、従来の内視鏡は、複雑で壊れやすく、使用中または殺菌処理中の損傷する結果として、高価な修理が頻繁に必要な機器である。
【0008】
これらのおよび他の課題を克服するために、低コストの内視鏡の開発によって、内視鏡を1回だけの処置で使用してから廃棄することが可能になり、準備や洗浄の必要性を排除し、必要な内視鏡の総量が増加することになる。この容量増加によって、製造業者は、規模の経済を達成し、現在の容量において使用される場合には経済的ではないが、大量生産(100,000台/年)においてのみ経済的である製造方法を組み入れることが可能になる。低コストの内視鏡は、無菌包装または殺菌が必要であり、内視鏡の準備の必要なく1回だけの処置で使用して廃棄できる。内視鏡は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むべきである。ナビゲーションと追跡の向上、操作者との優れたインターフェース、内腔組織にかかる摩擦力削減によるアクセスの改善、患者の快適性の増加、従来の内視鏡で現在可能なよりも臨床生産性および患者の処理能力の向上、二次汚染のリスクの低下、およびより幅広い処置で使用される機能。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、有効な制御された屈曲を備えた新しいデバイス、および医療デバイスのための可撓性シャフトを作製するための方法を提供することが望ましい。特に、従来の技術デバイスとの比較において、先端で平面偏向を達成するとともに、引張ワイヤ機構の張力によってシャフト(非偏向部分)が曲がる、または一連の「S」字状を形成することを防ぐことが望ましい。また、1つの平面内に個々の湾曲を保ち、適切な角度の偏向を達成し、複数の方向の偏向を達成することができるようなデバイスを提供することが望ましい。このような偏向デバイスは、作製が簡単で、従来の技術デバイスに比べてコストがかからず、このような方法は、デバイスを利用するために高度な技術を有するユーザを必要としない。
【0010】
特定の本発明の実施形態は、ハンドルと、ハンドルから延びる可撓性シャフトを有する可撓性内視鏡に関する。シャフトは、中央管腔を画定する管状壁と、管状壁の少なくとも一部を通って長手方向に延びる、少なくとも2つのより小さい管腔とを有する、遠位部分を含み、引張ワイヤがより小さい管腔の各々の内側に配置される。遠位部分は、管状壁全体に配置された連接層をさらに備え、引張ワイヤのうちの1つ以上の運動により遠位部分の制御された屈曲を可能にする、第1の一連のスロットを含む。
【0011】
本発明の代替実施形態においては、遠位部分は、第2の一連のスロットをさらに含む。第2の一連のスロットは、第1の一連のスロットからオフセットされ得、2つ以上の平面での遠位部分の制御された屈曲を可能にする。第1の一連のスロットのスロット間の間隔は、第2の一連のスロットのスロット間の間隔と同一または異なり得る。同様に、第1の一連のスロットのスロット幅は、第2の一連のスロットのスロット幅と同一または異なり得る。スロット間の間隔および/またはスロット幅を変えることによって、異なる平面の屈曲特徴はカスタム化され得る。加えて、遠位部分の屈曲特徴をさらにカスタム化するために、スロットの幾何学的形状(例えば、丸または四角形)を変えることができる。
【0012】
本発明の別の側面において、本発明の内視鏡は、可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブをさらに含み、円滑な外部表面を提供する。また、外側スリーブ上には、摩擦を削減するまたは検査されている患者の部位を治療するために、種々の円滑剤および/または薬剤コーティングが含まれ得る。
【0013】
本発明のさらなる側面において、内視鏡のハンドルは、制御システムをさらに含む。制御システムは、例えば、引張ワイヤに取り付けられたノブ、ハブ、またはレバーを含み得て、制御システムの移動により遠位部分の屈曲の制御を支援する。
【0014】
本発明また別の側面において、本発明の内視鏡は、内視鏡の適切な位置を確認するために蛍光透視法が利用されている場合には放射線不透過性マーカまたは放射線不透過性材料をさらに含む。
【0015】
本発明の別の代替実施形態において、可撓性シャフト部は、一連の積層型リングを含む。各リングは、各リングの外周周辺に所定の間隔で位置付けされた少なくとも2つの内向きに延びる凹部を含む。凹部の各々には平坦な引張ワイヤが配置され、これによって、引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により可撓性シャフトの制御された屈曲が可能になる。可撓性シャフトは、円滑な外部表面を提供するように、可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブも含み得る。また、外側スリーブ上には、摩擦を削減するまたは検査されている患者の部位を治療するために、種々の円滑剤および/または薬剤コーティングが含まれ得る。
【0016】
本発明のまた別の代替実施形態においては、可撓性シャフト部は、一連の積層型リングと、一連の積層型リングの内側に沿って配置された内側管を含む。内側管は、内側管の外周に沿って長手方向に続く少なくとも2つの溝(grove)を有する。溝の各々には平坦な引張ワイヤが配置され、これによって、引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により可撓性シャフトの制御された屈曲が可能になる。可撓性シャフトは、円滑な外部表面を提供するように、可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブも含み得る。また、外側スリープ上には、摩擦を削減するため、または検査されている患者の部位を治療するために、種々の円滑剤および/または薬剤コーティングが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明に従う種々の実施形態の本質および動作の理解を深めるために、以下の説明とともに付随の描画図面を参照し、図面中同様な参番号はいくつかの図において対応する部分を示す。
【図1】図1は、本発明の機能を組み入れた内視鏡の模式図である。
【図2A】図2Aは、第1の有効な偏向部をまっすぐにして、第2の有効な偏向部を下向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2B】図2Bは、第1の有効な偏向部を下向きに曲げ、第2の有効な偏向部をまっすぐにした、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2C】図2Cは、第1の有効な偏向部を左に曲げ、第2の有効な偏向部を下向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2D】図2Dは、第1の有効な偏向部を右に曲げ、第2の有効な偏向部を上向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2E】図2Eは、第1の有効な偏向部を右に曲げ、第2の有効な偏向部を下向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2F】図2Fは、第1の有効な偏向部を左に曲げ、第2の有効な偏向部を上向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図3】図3は、図1に図示した内視鏡のハンドルの分解図である。
【図4】図4は、図3に図示した組立て後の右側の連接ハブの拡大模式図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従い、部分的に切り取られて第1および第2の有効な偏向部を露出している、可撓性シャフトの遠位部分の斜視図である。
【図6】図6は、図5の直線6により示した視点から示した、第1の有効な偏向部を部分的に切り取った側面図である。
【図7】図7は、図5の直線7により示した視点から示した、第2の有効な偏向部を部分的に切り取った上面図である。
【図8】図8は、図5の可撓性シャフトの遠位部分を切断線8−8で切断した断面図である。
【図9】図9は、図5の可撓性シャフトの遠位部分を切断線9−9で切断した断面図である。
【図10】図10は、第2の有効な偏向部を下向きの方向に曲げた、図1の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図11】図11は、第1の有効な偏向部を下向きに曲げ、第2の有効な偏向部をまっすぐにした、図1の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態に従い、第1および第2の有効な偏向部を部分的に切り取って露出している可撓性シャフトの遠位部分の側面図である。
【図13】図13は、図12の可撓性シャフトの遠位部分を切断線13−13に沿って切断した断面図である。
【図14】図14は、図12の可撓性シャフトの遠位部分を切断線14−14に沿って切断した断面図である。
【図15】図15は、図12の可撓性シャフトの遠位部分を切断線15−15に沿って切断した断面図である。
【図16】図16は、図12の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図17】図17は、図12の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態に従い、第1および第2の有効な偏向部を部分的に切り取って露出している可撓性シャフトの遠位部分の側面図である。
【図19】図19は、図18の可撓性シャフトの遠位部分を切断線19−19で切断した断面図である。
【図20】図20は、図18の可撓性シャフトの遠位部分を切断線20−20で切断した断面図である。
【図21】図21は、図18の可撓性シャフトの遠位部分を切断線21−21で切断した断面図である。
【図22】図22は、図18の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図23】図23は、図18の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記のように、本発明は、操作者が患者の体内の生体構造にアクセスおよび視認すること、ならびに患者の体内に手術器具を挿入することを可能にする可撓性内視鏡である。加えて、内視鏡は、操作者が単独の処置で患者を治療することを可能にするように、統合型の診断および治療機能を含み得る。本発明の内視鏡は、内視鏡が1回限りの使い捨て器具と見なされ得るように、製造コストが十分に安価であり得る。
【0019】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態に従う内視鏡10は、内視鏡10の近位端にハンドル20と、ハンドル20から遠位に延びる可撓性シャフト50とを含む。近位ならびに遠位という用語は、基準点を必要とする。本明細書においては、基準点はユーザの視点である。したがって、近位という用語は、必ずユーザに最も近い領域を指し、遠位は、必ずユーザから離れた領域を指すことになる。
【0020】
図2A〜2Fを参照すると、可撓性シャフト50は、予測可能で平面的に有効な偏向機能を備えた遠位部分60を有する。この偏向は、複数の方向かつ軸の配向に沿った複数の点で達成され得る。図示したように、遠位部分60は、2つの異なる平面での有効な偏向をすることができる。図2C〜2Fは、ハンドル20に対して第1の偏向平面(上下)と第1の偏向平面と実質的に直交する、第2の偏向平面(左右)での湾曲を示す。本明細書における上面、裏面、左、右、上および下等のすべての相対的説明は、図面に対しての参照であり、したがって、限定の意味において解釈してはならない。
【0021】
図3および4を参照すると、ハンドル20は、可撓性シャフト50の遠位部分60の有効な偏向機能を制御する制御システム22を含む。制御システム22は、2つの作動ハブ24、26と、4本の引張ワイヤ28、30、32、34を備える。各作動ハブ24、26は、引張ワイヤのうちの2本に接続され、ユーザが可撓性シャフト50の遠位部分60を1つの偏向平面で操作することを可能にする。望ましい偏向平面の数に応じて、制御システム22に追加の作動ハブおよび/または引張ワイヤが含められる可能性がある。引張ワイヤ28、30、32、34は、ステンレス鋼、ポリマーフィラメントまたは、例えば、ニチノール等他の金属および合金から作製される。
【0022】
第1の作動ハブ24は、ユーザから見るとハンドル20の右側に移動可能に取り付けられ、浮動カム36とカム止め38を含む。引張ワイヤ30と34の近位端は、浮動カム36に接続される。ユーザが、第1の作動ハブ24を図3の直線Aにより示したように時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ34に張力がかかり、そして引張ワイヤ30から張力が解放され、これによって、可撓性シャフト50の遠位部分60が左に偏向する。反対に、ユーザが第1の作動ハブ24を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ30に張力がかかり、そして引張ワイヤ34から張力が解放され、これによって、遠位部分60が右に偏向する。
【0023】
ユーザは、第2の作動ハブ26を同様な方式で回転させることによって、可撓性シャフト50の遠位部分60の上下の偏向を達成することができる。第2の作動ハブ26は、ユーザから見るとハンドル20の左側に移動可能に取り付けられ、浮動カム40とカム止め(図示せず)を含む。引張ワイヤ28および32の近位端は浮動カム40に接続される。ユーザが第2の作動ハブ26を図3の直線Bにより示したように時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ28に張力がかかり、そして引張ワイヤ32から張力が解放されるので、遠位部分60を上向き方向に偏向させる。反対に、ユーザが第1の作動ハブ24を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ32に張力がかかり、そして引張ワイヤ28から張力が解放され、これによって、遠位部分60が右に偏向する。制御システム22は、可撓性シャフト50の遠位部分60の偏向を達成するための追加のコンポーネントまたは代替手段を備える可能性がある。
【0024】
ハンドル20は、ワーキングポートハブ44も含む。ワーキングポートハブ44は、内視鏡10のワーキングチャネル46へのアクセスを提供する。ワーキングチャネル46は、ワーキングポートハブ44から可撓性シャフト50の遠位端62まで延び、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、メス、潅注、ファイバレーザ等の補助的製品を挿入するために使用される。代替の実施形態においては、ワーキングチャネル46は、1つの単独の中央管腔を備え得る、または、異なる補助的製品に対応するように種々の形状やサイズの複数のより小さい管腔にさらに再分割され得る。
【0025】
可撓性シャフト50の遠位部分60に近位の部分は、参照することによって全体として本明細書に援用される米国特許出願第10/956,011号(米国特許公報第2005−0131279号)に開示されたシャフトのようないかなる適切な種類の可撓性シャフトをも備え得る。可撓性シャフト50は、均一な可撓性であり得る、または、様々な程度の可撓性または剛性を有する複数のセグメントを備える可能性がある。可撓性シャフト50は、可撓性シャフト50の外側に配置された外側スリーブ52を含み、円滑な外部表面を提供する。外側スリーブ52は、柔軟性の高い薄型ポリウレタン、LLDPE、シリコン、ペレタン、ポリウレタン、または、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリビニルアルコール等の他の認定された生体適合性材料から作製され得る。加えて、外側スリーブ52は、マサチューセッツ州NatickのBoston Scientific Corporationから市販されているHYDROPASSTM等、参照することによって本明細書に援用される米国特許第5,702,754号および第6,048,620号に説明される親水性の円滑被膜で表面が覆われ得る。
【0026】
ここで、図5〜9を参照すると、遠位部分60は、第1の有効な偏向部64および第2の有効な偏向部66を含む。第1の有効な偏向部64は、ハンドル20に対して1つの平面内で偏向することができ、第2の有効な偏向部66は、第1の有効な偏向部64に対して同一の平面内または異なる平面に偏向することができる。図示したように、2つの平面は、実質的に互いに直交するが、しかしながら、所望の用途に応じていかなる角度のオフセットも許容される。代替の実施形態においては、第1および/または第2の有効な偏向部は、それぞれ、2方向以上または以下に偏向可能な可能性がある。
【0027】
可撓性シャフト50の遠位部分60は、内側シャフト68を備える(図8および9)。第1と第2の有効な偏向部64、66が、図5に図示したようにまっすぐに配向される場合、内側シャフト68は長手方向軸70を画定する。内側シャフト68は、ワーキングチャネル46として知られる中央管腔と、内側シャフト68の管状壁を通って長手方向に延びる複数のより小さい管腔72、74、76、78を含む。前述のように、引張ワイヤ28、30、32、34の近位端は、制御システム22の作動ハブ24、26に接続される。引張ワイヤ28、30、32、34は、制御システム22から遠位に延び、それぞれ、より小さい管腔72、74、76、78のうちの1つに配置される。ワーキングチャネル46は、ワーキングポートハブ44から遠位端62まで延びる1つ以上の管腔を有し得て、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、メス、潅注、ファイバレーザ等の補助的製品を挿入するために使用される。遠位端62で画像センサへのファイバまたは電気的接続を使用することによって、照明も達成され得る。内側シャフト68は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(PE)等の摩擦係数の低い、医療用途に適した生体適合性材料から作製される。他の材料も適切であり得る。
【0028】
遠位端62の有効な偏向(すなわち、誘導)を促進するために、可撓性シャフト50の遠位部分60は、内側シャフト68を覆って配置される連接層80を含む。連接層は、可撓性シャフト50の反対側に配置された連接層80内に第1の一連のスロット82を有する。連接層80内のスロット82の放射状の位置によって、第1の有効な偏向部64の屈曲の方向が決まる。図5に図示した実施形態においては、スロット82の放射状の位置によって、ユーザは、第1の有効な偏向部64を左右に操作することが可能になる。
【0029】
連接層80は、所定位置に中央管腔を備えるシリンダを押し出し、次いで、ナイフ、レーザ、フライスツール、ウォータジェット、または他の材料除去機構でシリンダ管を切断してスロット82を形成するなど、種々の方法によって形成され得る。代替として、連接層80は、定位置にスロット82を設けて形作られ得る。理解されるように、スロット82の形状、サイズ、幾何学形状(例えば、丸または四角)、および角度は、均一であり得る、または、連接層80の長さに沿って変化し得る。同様に、隣接するスロット82の間の距離は、均一であり得る、または、可撓性シャフト50の遠位部分60の屈曲および回転力の忠実度特徴に合わせるために変化し得る。上記の内側シャフト68と同様に、連接層80は、屈曲するが破損することのない、医療用途に適した生体適合性材料から作製されなければならない。適切な材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、または他の生体適合性ポリマーを含む。他の材料および/または加工技術の可能性がある。
【0030】
第1の有効な偏向部64の有効な偏向を達成するために、より小さい管腔74、78にそれぞれ配置された引張ワイヤ30、34は、第1の作動ハブ24から、可撓性シャフト50の長さに沿って延び、第1の偏向部64から遠位の場所で終端する。前述のように、ユーザが第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ34に張力がかかり、そして引張ワイヤ30から張力が解放され、これによって、第1の有効な偏向部64が左に偏向する。反対に、ユーザが第1の作動ハブ24を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ30に張力がかかり、そして引張ワイヤ34から張力が解放され、これによって、第1の偏向部64が右に偏向する。
【0031】
可撓性シャフト50の遠位部分60の追加の有効な偏向(すなわち、誘導)を促進するために、連接層80は、可撓性シャフト50の反対側に第2の一連のスロット84を有する。第2の平面での屈曲を達成するために、第2の一連のスロット84は、第1の一連のスロット82に対して回転され得る。図5に図示した実施形態においては、第2の一連のスロット84は、第1の一連のスロット82に対して約90度回転する。この配向においては、2つの偏向平面は、実質的に互いに直交することになり、したがって、ユーザは、第2の有効な偏向部66を上向きおよび下向きの方向に操作できるようになる。
【0032】
第2の有効な偏向部66の有効な偏向を達成するために、より小さい管腔72、76にそれぞれ配置された引張ワイヤ28、32は、第2の作動ハブ26から、可撓性シャフト50の長さに沿って延び、第2の有効な偏向部66から遠位であるが、第1の有効な偏向部64に近位の場所で終端する(すなわち、2つの有効な偏向部の間)。前述のように、ユーザが第2の作動ハブ26を時計回りの方向に回転させると、引張ワイヤ28に張力がかかり、そして引張ワイヤ32から張力が解放され、これによって、第2の有効な偏向部66は上向き方向に偏向する。反対に、ユーザが第2の作動ハブ26を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ32に張力がかかり、そして引張ワイヤ28から張力が解放され、これによって、第2の有効な偏向部66は下向き方向に偏向する。
【0033】
ここで図10を参照すると、第2の有効な偏向部66は、下向きの方向に屈曲して図示され、第1の有効な偏向部64はまっすぐである。この配向を達成するためには、ユーザは、第2の作動ハブ26を反時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ32に張力がかかることになる。外側スリーブ52は、第2の有効な偏向部66の領域が切り取られて図示され、第2の一連のスロット84の片側は、引張ワイヤ32にかけられた張力によって圧縮され、第2の一連のスロット84の反対側は、引張ワイヤ28の張力の解放によって拡張されていることを示している。このタイプの屈曲は、可撓性シャフト50の長さに沿った位置から、「ひじ」屈曲とも称される場合がある。
【0034】
ここで図11を参照すると、第1の有効な偏向部64は、左に屈曲して図示され、第2の有効な偏向部66は、まっすぐである。この配向を達成するためには、ユーザは、第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ34に張力がかかることになる。外側スリーブ52は、第1の有効な偏向部64の領域が切り取られて図示され、第1の一連のスロット82の片側は、引張ワイヤ34にかけられた張力によって圧縮され、第1の一連のスロット82の反対側は、引張ワイヤ32の張力の解放によって拡張されていることを示している。このタイプの屈曲は、可撓性シャフト50の長さに沿った位置から、「手首」屈曲とも称される場合がある。
【0035】
使用前に、引張ワイヤ28、30、32、34の張力は、典型的には、第1と第2の有効な偏向部64、66がどちらも実質的に互いに直線の配向であるように、調整される。このタイプの構成は、内視鏡10の遠位端62を患者の生体構造内に挿入するために使用される。
【0036】
必ず正しく位置付けするために、内視鏡10は、蛍光透視法、心エコー検査法、血管内超音波法、血管内視鏡、または別の視覚化手段を使用して可視であることが望ましい。蛍光透視法が利用される場合、いかなる、または全ての内視鏡10は、放射線不透過性充填剤で較正される材料で作製され得る、または視覚化するために有用となる放射線不透過性マーカが、デバイスのいかなる部分にも含まれ得る。使用され得る放射線不透過性充填剤の実施例は、硝酸バリウムおよび次炭酸ビスマスである。放射線不透過性マーカは、例えば、金、プラチナ、タングステン等、いくつかの材料から作製され得る。
【0037】
ここで再び図2A〜2Fを参照して、第1および第2の有効な偏向部54、56の移動を詳細に説明する。図2Aは、下向き方向に曲げた第2の有効な偏向部66およびまっすぐな第1の有効な偏向部64を示す。図2Bは、左に曲げた第1の有効な偏向部64およびまっすぐな第2の有効な偏向部66を示す。
【0038】
図2C〜2Fは、複数の偏向平面での遠位部分60のさらに複雑な屈曲を示す。図2Cは、左に曲げた第1の有効な偏向部64および下向きに曲げた第2の有効な偏向部66を示す。この配向を達成するために、ユーザは、第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させ、したがって引張ワイヤ34に張力がかかり、第1の有効な偏向部64が左に偏向する。また、ユーザは、第2の作動ハブ26を反時計回り方向に回転させ、したがって引張ワイヤ32に張力がかかり、第2の有効な偏向部66が下向きに曲がる。
【0039】
図2Dは、右に曲げた第1の有効な偏向部64および上向きに曲げた第2の有効な偏向部66を示す。この配向を達成するために、ユーザは、第1の作動ハブ24を反時計回り方向に回転させ、したがって引張ワイヤ30に張力がかかり、第1の有効な偏向部64が右に偏向する。また、ユーザは、第2の作動ハブ26を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ28に張力がかかり、第2の有効な偏向部66が上向きに曲がる。
【0040】
図2Eでは、第1の有効な偏向部64は同様に右に曲がっているが、第2の有効な偏向部66は下向きに曲がっている。この配向を達成するために、ユーザは、図2Dで説明したように第1の作動ハブ24は反時計回り方向に回転させたままにするが、ユーザは、第2の作動ハブ26を反時計回り方向に回転させる。この反時計回りの回転により、引張ワイヤ28の張力が解放されて、張力ワイヤ32に張力がかかり、これによって、第2の有効な偏向部66が下向き方向に曲がる。
【0041】
図2Fは、左に曲げた第1の有効な偏向部64および上向きに曲げた第2の有効な偏向部66を示す。この配向を達成するために、ユーザは、第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ34に張力がかかり、第1の有効な偏向部64が左に曲がる。また、ユーザは、第2の作動ハブ26を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ28に張力がかかり、第2の有効な偏向部66が上向き方向に曲がる。前述のように、例えば、引張ワイヤにかかる張力の大きさ、スロット間の距離または間隔、連接層80のスロットの軸位置、ならびにスロットの深さ、幅および形状等、いくつかの変数に応じて、第1および第2の偏向部64、66の配向および屈曲量の追加が可能である。さらに、引張ワイヤおよび偏向部の数を増加することによって、平面および/または配置または可撓性シャフト50の長さに沿った偏向の追加が可能である。
【0042】
図12〜17は、本発明の内視鏡で使用するための可撓性シャフト50の遠位部分160の代替実施形態を図示する。遠位部分160は、上記の遠位部分60と同一の機能を実行し、したがって、「1」の数字から始まる同様な参照番号は同様な要素を示すために使用される。本実施形態においては、遠位部分160は、参照することによって全体として本明細書に援用される米国特許出願第10/956,011号(米国特許出願公開第2005−0131279号)において開示された連接接合のような一連の積層型リングから作製される。
【0043】
本実施形態においては、遠位部分160は、内側管腔188を画定する同心円状に配置された複数の薄型剛性リング186a、186b、186c等を備える。各リングは、内側管腔188のサイズを最大限にするために、薄肉特性を有しながらも剛性リングを可能にするステンレス金属または他の生体適合性材料で深絞り、圧延および溶接、あるいは別様に形成され得る。
【0044】
各リングは、リングの内壁の反対側上で側方に配置された一対のバネ190によって、隣接するリングに接続される。バネ190は、隣接するリングを接合する各リングセグメント内周に、溶接、ろう付け、接着固定、さもなければ接合される。バネは、可撓性シャフトのより小さい管腔172、174、176、178と実質的に合わせた所定の放射状の位置に固定される。例えば、3個のリング186a、186bおよび186cを配置する場合、リング186aおよび186bは、リング上の0度および180度の放射状位置に配置されたバネで一緒に接合され、一方で、リング186bは、リング上の90度および270度の放射状位置に直角に配置されたバネでリング186cに接合される。バネは、ステンレス鋼または生体適合性材料から作製され、遠位部分の長さに沿って曲率半径を制御するように、様々な剛性のバネが遠位部分160の長さに沿って使用され得る。
【0045】
隣接するリングの間の間隔が形成されるので、1対のバネ190は、シャフト150の長手方向軸170から離れる方向に曲げることができるが、シャフト150の長手方向軸170の方向にシャフト150を圧縮する能力は制限される可撓性接合を形成する、
図12に図示したように、側面から見ると、各リングは完全に円筒形ではなく、前面194と後面196を含む。ここで図16〜17も参照すると、前面194および後面196は、隣接するリングがバネによって接合される点から外側に傾斜し、これにより、遠位部分160の屈曲が可能なV形状の空隙192を形成する。リングの傾斜面によって、隣接するリング間の移動の増加が可能になり、隣接するリングの互いにずれることを予防するずれ止めも提供する。
【0046】
各バネ190は、その中に配置される引張ワイヤ128、130、132、134を備える小型の管腔を画定する。各引張ワイヤの遠位部分は、可撓性シャフト部150の遠位部分160に接続される。前述のように、本実施形態において、2対の引張ワイヤ(28、32および30、34)は、90度回転して、2つの自由度(または偏向方向)を可能にする。代替実施形態においては、追加の自由度を可能にするように、追加の対の引張ワイヤおよびバネ190が含まれ得る。
【0047】
リング186a、186b、186c等の外側には可撓性外側スリーブ152が配置されて円滑な外部表面を提供する。外側スリーブ152は、柔軟で薄型のポリウレタン、LLDPE、シリコン、ペレセン、ポリウレタン、またはポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニルアルコール等、他の認可された生体適合性材料から作製され得る。加えて、外側スリーブ152は、マサチューセッツ州NatickのBoston Scientific Corporationから市販されているHYDROPASSTM等、参照することによって本明細書に援用される米国特許第5,702,754号および第6,048,620号に説明される親水性の円滑被膜で表面が覆われ得る。
【0048】
可撓性シャフト150は、内側シャフト168の内部に沿って続く内側管198と内側管腔188とをさらに備えることができる。内側管は、ワーキングポートハブ144から遠位端162まで延びる1つ以上の管腔を有し、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、カッター、洗浄、レーザファイバ等の補助的製品を挿入するために使用される。内側管198は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(PE)等、摩擦係数の低い、医療用途に適した生体適合性材料から作製される。他の材料も適切であり得る。
【0049】
遠位部分160の有効な偏向は、上記の遠位部分60と類似の方式において達成される。複数の有効な偏向部(すなわち、遠位部分160が異なる平面または異なる曲率半径で屈曲可能な、軸170に沿った領域)は、軸に沿って異なる場所で引張ワイヤ128、130、132、134を終わらせることにより、様々な張力のバネを使用することにより達成され得る。例えば、より小さい管腔174、178それぞれに配置された引張ワイヤ130、134が、第1の作動ハブ124から、可撓性シャフト150の長さに沿って延び、遠位部分160の遠位端162に近い場所で終端すると、第1の有効な偏向部164が作成される。より小さい管腔172、176それぞれに配置された引張ワイヤ128、132が、第2の作動ハブ126から、可撓性シャフト150の長さに沿って延び、第1の有効な偏向部164の近位の場所で終わると、第2の有効な偏向部166が作成される。図示したように、これらの2つの有効な偏向部164、166は、実質的に互いに直交し、上記の有効な偏向部64、66と同一方式に動作する。
【0050】
さらに小型の可撓性シャフト150の場合、バネ190および円形の引張ワイヤ128、130、132、134により占有される横断面領域では、ワーキングチャネル、光ファイバ等のデバイスの他の機能要件が禁じられ得る。これらの事例においては、平坦な引張ワイヤを利用する代替実施形態が有利となる。図18〜23は、本発明の内視鏡10で使用するための可撓性シャフト150の遠位部分260の代替実施形態を示す。遠位部分260は、上記の遠位部分160と同一の機能を実行し、したがって、「2」の数字から始まる同様な参照番号は同様な要素を示すために使用される。
【0051】
本実施形態において、遠位部分260は、内側管腔288を画定する同心円状に配置された一連の積層型リング286a、286b、286c等から作成される。各リングは、内側管腔288のサイズを最大限にするために、薄肉特性を有しながらも剛性リングを可能にする、ステンレス金属または他の生体適合性材料で深絞り、圧延、および溶接、さもなければ、形成され得る。内向きに延びる凹部273は、リング286の各々の外周周辺に所定の間隔で配置されて、平坦な引張ワイヤ228、230、232、234を受ける。
【0052】
リング286a、286b、286c等の外側には可撓性外側スリーブ252が配置されて円滑な外部表面を提供する。外側スリーブ252は、柔軟で薄型のポリウレタン、LLDPE、シリコン、ペレセン、ポリウレタン、または、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニルアルコール等、他の認可された生体適合性材料から作製され得る。加えて、外側スリーブ252は、マサチューセッツ州NatickのBoston Scientific Corporationから市販されているHYDROPASSTM等、参照することによって本明細書に援用される米国特許第5,702,754号および第6,048,620号に説明される親水性の円滑被膜で表面が覆われ得る。
【0053】
代替の実施形態において、これらの平坦な引張ワイヤ228、230、232、234は、リングの内側に沿って完全に続く可能性がある、または、1つのリングの内側から次の外側へと曲がりくねる可能性がある。平坦な引張ワイヤ228、230、232、234がリングの内側に沿って続く実施形態においては、可撓性シャフト250は、平坦な引張ワイヤ228、230、232、234の位置を導くように、溝を備えたリング286a、286b、286cの内側に沿って続く内側管298をさらに備えることができる。内側管298は、ワーキングポートハブから遠位端262まで延びる1つ以上の管腔も有し、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、カッター、洗浄、レーザファイバ等、補助的製品を挿入するために使用される。内側管298は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(PE)等、摩擦係数の低い、医療用途に適した生体適合性材料から作製される。他の材料も適切であり得る。
【0054】
遠位部分260の有効な偏向は、上記の遠位部分160と類似の方式において達成される。複数の有効な偏向部(すなわち、遠位部分260が異なる平面で、または異なる曲率半径で屈曲可能な軸270に沿った領域で)は、軸に沿って異なる場所で引張ワイヤ228、230、232、242を終わらせることにより、様々な張力のバネを使用することにより達成され得る。
【0055】
開示した実施形態は例示的である。本発明は、開示された例示的実施形態によって限定されることも、これらに限定されることもない。また、本開示において開示された例示的実施形態に対する種々の変更およびこれらの組み合わせも可能である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する参照)
本願は、米国仮特許出願第60/932,413号(2007年5月31日出願)に対する優先権を主張し、その利益を主張する。上記仮特許出願の内容は本明細書において参照することにより援用される。
【0002】
本発明は、概して、内視鏡およびカテーテル等の医療デバイスに関する。より具体的には、本発明は、患者体内の種々の部位を治療および検査するために、屈曲可能かつ誘導可能な可撓性医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、大腸、食道、胃、尿道、膀胱、尿管、腎臓、肺、気管支、子宮、および他の臓器系等、消化排出管および気管等の内臓疾患の早期発見および治療から、多大な公衆衛生効果が得られることは、十分に確立されている。このような疾病の早期発見は、現代の医療処置および内視鏡等のデバイスにより支援される定期的医療検査により達成され得る。このような処置で使用するための従来の撮像内視鏡は、概して、外部光源から、検査される領域(すなわち、組織、閉塞性被写体)を照射する遠位先端へと照射光線をあてる光ファイバ光線ガイドを備えた可撓性管を備える。ファイバ束および遠位先端を出て行く光の発散を調整するために、頻繁に、追加の光学式コンポーネントが組み入れられる。対物レンズ、および内視鏡の近位端でカメラと、または遠位先端で画像カメラチップと通信する光ファイバ画像光線ガイドによって、操作者に表示する画像を作成する。加えて、ほとんどの内視鏡は、1つ以上のワーキングチャネルを含み、これを通って、生検鉗子、スネア、高周波療法プローブおよび他のツール等の医療デバイスが通過され得る。
【0004】
一部の内視鏡および電気生理学的カテーテルは、内視鏡の遠位先端を誘導または偏向させるための手段を有して、大腸、膀胱、腎臓および心臓等の検査中の生体構造の経路をたどる。これらのタイプの医療デバイスにおいては、偏向や連接は、周辺組織への摩擦力や外傷を最小限に抑制するため、および対象の検査部位を検査するために、望ましい特徴であることが多い。患者体内の種々の部位を介して内視鏡をナビゲーションすることによって、検査の成功率を向上し、患者の痛み、副作用、リスク、または鎮痛剤の使用を最小限に抑制する。
【0005】
内視鏡の遠位可撓性部分で有効な偏向を達成するために、遠位端をハンドルの一組の制御装置に接続する内視鏡シャフト内には制御ケーブルまたはワイヤが備えられる。制御を操作することによって、操作者は挿入中に内視鏡を誘導して、関心対象の領域に向かわせることができる。
【0006】
これらのデバイスに特有の、多くの設計および性能の課題が存在する。これらの課題の中には、先端で平面偏向を達成すること、ならびに、引張ワイヤ機構の張力によってシャフトが曲がる、または一連の「S」字状を形成することを防ぐこと、を含む。これらのデバイスの設計者が直面する他の課題は、1つの平面内で個々の屈曲を保つことが可能であること、適切な角度の偏向を達成すること、および複数の方向の偏向を達成することを含む。
【0007】
典型的には、可撓性内視鏡は非常に高価な医療デバイスである。高価であるために、これらの内視鏡は、多くの患者における複数回の使用および度重なる殺菌に耐えるように作製される。従来の内視鏡は、概して、度重なる洗浄や高温下で品質低下がない金属やプラスチック等、強力な複合材料構造から作製される。これらの材料構造は、内視鏡の可撓性を減少させるとともに、患者の快適性を損なう可能性がある。さらに、従来の内視鏡は、複雑で壊れやすく、使用中または殺菌処理中の損傷する結果として、高価な修理が頻繁に必要な機器である。
【0008】
これらのおよび他の課題を克服するために、低コストの内視鏡の開発によって、内視鏡を1回だけの処置で使用してから廃棄することが可能になり、準備や洗浄の必要性を排除し、必要な内視鏡の総量が増加することになる。この容量増加によって、製造業者は、規模の経済を達成し、現在の容量において使用される場合には経済的ではないが、大量生産(100,000台/年)においてのみ経済的である製造方法を組み入れることが可能になる。低コストの内視鏡は、無菌包装または殺菌が必要であり、内視鏡の準備の必要なく1回だけの処置で使用して廃棄できる。内視鏡は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むべきである。ナビゲーションと追跡の向上、操作者との優れたインターフェース、内腔組織にかかる摩擦力削減によるアクセスの改善、患者の快適性の増加、従来の内視鏡で現在可能なよりも臨床生産性および患者の処理能力の向上、二次汚染のリスクの低下、およびより幅広い処置で使用される機能。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、有効な制御された屈曲を備えた新しいデバイス、および医療デバイスのための可撓性シャフトを作製するための方法を提供することが望ましい。特に、従来の技術デバイスとの比較において、先端で平面偏向を達成するとともに、引張ワイヤ機構の張力によってシャフト(非偏向部分)が曲がる、または一連の「S」字状を形成することを防ぐことが望ましい。また、1つの平面内に個々の湾曲を保ち、適切な角度の偏向を達成し、複数の方向の偏向を達成することができるようなデバイスを提供することが望ましい。このような偏向デバイスは、作製が簡単で、従来の技術デバイスに比べてコストがかからず、このような方法は、デバイスを利用するために高度な技術を有するユーザを必要としない。
【0010】
特定の本発明の実施形態は、ハンドルと、ハンドルから延びる可撓性シャフトを有する可撓性内視鏡に関する。シャフトは、中央管腔を画定する管状壁と、管状壁の少なくとも一部を通って長手方向に延びる、少なくとも2つのより小さい管腔とを有する、遠位部分を含み、引張ワイヤがより小さい管腔の各々の内側に配置される。遠位部分は、管状壁全体に配置された連接層をさらに備え、引張ワイヤのうちの1つ以上の運動により遠位部分の制御された屈曲を可能にする、第1の一連のスロットを含む。
【0011】
本発明の代替実施形態においては、遠位部分は、第2の一連のスロットをさらに含む。第2の一連のスロットは、第1の一連のスロットからオフセットされ得、2つ以上の平面での遠位部分の制御された屈曲を可能にする。第1の一連のスロットのスロット間の間隔は、第2の一連のスロットのスロット間の間隔と同一または異なり得る。同様に、第1の一連のスロットのスロット幅は、第2の一連のスロットのスロット幅と同一または異なり得る。スロット間の間隔および/またはスロット幅を変えることによって、異なる平面の屈曲特徴はカスタム化され得る。加えて、遠位部分の屈曲特徴をさらにカスタム化するために、スロットの幾何学的形状(例えば、丸または四角形)を変えることができる。
【0012】
本発明の別の側面において、本発明の内視鏡は、可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブをさらに含み、円滑な外部表面を提供する。また、外側スリーブ上には、摩擦を削減するまたは検査されている患者の部位を治療するために、種々の円滑剤および/または薬剤コーティングが含まれ得る。
【0013】
本発明のさらなる側面において、内視鏡のハンドルは、制御システムをさらに含む。制御システムは、例えば、引張ワイヤに取り付けられたノブ、ハブ、またはレバーを含み得て、制御システムの移動により遠位部分の屈曲の制御を支援する。
【0014】
本発明また別の側面において、本発明の内視鏡は、内視鏡の適切な位置を確認するために蛍光透視法が利用されている場合には放射線不透過性マーカまたは放射線不透過性材料をさらに含む。
【0015】
本発明の別の代替実施形態において、可撓性シャフト部は、一連の積層型リングを含む。各リングは、各リングの外周周辺に所定の間隔で位置付けされた少なくとも2つの内向きに延びる凹部を含む。凹部の各々には平坦な引張ワイヤが配置され、これによって、引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により可撓性シャフトの制御された屈曲が可能になる。可撓性シャフトは、円滑な外部表面を提供するように、可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブも含み得る。また、外側スリーブ上には、摩擦を削減するまたは検査されている患者の部位を治療するために、種々の円滑剤および/または薬剤コーティングが含まれ得る。
【0016】
本発明のまた別の代替実施形態においては、可撓性シャフト部は、一連の積層型リングと、一連の積層型リングの内側に沿って配置された内側管を含む。内側管は、内側管の外周に沿って長手方向に続く少なくとも2つの溝(grove)を有する。溝の各々には平坦な引張ワイヤが配置され、これによって、引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により可撓性シャフトの制御された屈曲が可能になる。可撓性シャフトは、円滑な外部表面を提供するように、可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブも含み得る。また、外側スリープ上には、摩擦を削減するため、または検査されている患者の部位を治療するために、種々の円滑剤および/または薬剤コーティングが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明に従う種々の実施形態の本質および動作の理解を深めるために、以下の説明とともに付随の描画図面を参照し、図面中同様な参番号はいくつかの図において対応する部分を示す。
【図1】図1は、本発明の機能を組み入れた内視鏡の模式図である。
【図2A】図2Aは、第1の有効な偏向部をまっすぐにして、第2の有効な偏向部を下向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2B】図2Bは、第1の有効な偏向部を下向きに曲げ、第2の有効な偏向部をまっすぐにした、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2C】図2Cは、第1の有効な偏向部を左に曲げ、第2の有効な偏向部を下向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2D】図2Dは、第1の有効な偏向部を右に曲げ、第2の有効な偏向部を上向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2E】図2Eは、第1の有効な偏向部を右に曲げ、第2の有効な偏向部を下向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図2F】図2Fは、第1の有効な偏向部を左に曲げ、第2の有効な偏向部を上向きに曲げた、図1に図示した内視鏡の遠位部分の模式図である。
【図3】図3は、図1に図示した内視鏡のハンドルの分解図である。
【図4】図4は、図3に図示した組立て後の右側の連接ハブの拡大模式図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従い、部分的に切り取られて第1および第2の有効な偏向部を露出している、可撓性シャフトの遠位部分の斜視図である。
【図6】図6は、図5の直線6により示した視点から示した、第1の有効な偏向部を部分的に切り取った側面図である。
【図7】図7は、図5の直線7により示した視点から示した、第2の有効な偏向部を部分的に切り取った上面図である。
【図8】図8は、図5の可撓性シャフトの遠位部分を切断線8−8で切断した断面図である。
【図9】図9は、図5の可撓性シャフトの遠位部分を切断線9−9で切断した断面図である。
【図10】図10は、第2の有効な偏向部を下向きの方向に曲げた、図1の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図11】図11は、第1の有効な偏向部を下向きに曲げ、第2の有効な偏向部をまっすぐにした、図1の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態に従い、第1および第2の有効な偏向部を部分的に切り取って露出している可撓性シャフトの遠位部分の側面図である。
【図13】図13は、図12の可撓性シャフトの遠位部分を切断線13−13に沿って切断した断面図である。
【図14】図14は、図12の可撓性シャフトの遠位部分を切断線14−14に沿って切断した断面図である。
【図15】図15は、図12の可撓性シャフトの遠位部分を切断線15−15に沿って切断した断面図である。
【図16】図16は、図12の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図17】図17は、図12の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態に従い、第1および第2の有効な偏向部を部分的に切り取って露出している可撓性シャフトの遠位部分の側面図である。
【図19】図19は、図18の可撓性シャフトの遠位部分を切断線19−19で切断した断面図である。
【図20】図20は、図18の可撓性シャフトの遠位部分を切断線20−20で切断した断面図である。
【図21】図21は、図18の可撓性シャフトの遠位部分を切断線21−21で切断した断面図である。
【図22】図22は、図18の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【図23】図23は、図18の可撓性シャフトの遠位部分の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記のように、本発明は、操作者が患者の体内の生体構造にアクセスおよび視認すること、ならびに患者の体内に手術器具を挿入することを可能にする可撓性内視鏡である。加えて、内視鏡は、操作者が単独の処置で患者を治療することを可能にするように、統合型の診断および治療機能を含み得る。本発明の内視鏡は、内視鏡が1回限りの使い捨て器具と見なされ得るように、製造コストが十分に安価であり得る。
【0019】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態に従う内視鏡10は、内視鏡10の近位端にハンドル20と、ハンドル20から遠位に延びる可撓性シャフト50とを含む。近位ならびに遠位という用語は、基準点を必要とする。本明細書においては、基準点はユーザの視点である。したがって、近位という用語は、必ずユーザに最も近い領域を指し、遠位は、必ずユーザから離れた領域を指すことになる。
【0020】
図2A〜2Fを参照すると、可撓性シャフト50は、予測可能で平面的に有効な偏向機能を備えた遠位部分60を有する。この偏向は、複数の方向かつ軸の配向に沿った複数の点で達成され得る。図示したように、遠位部分60は、2つの異なる平面での有効な偏向をすることができる。図2C〜2Fは、ハンドル20に対して第1の偏向平面(上下)と第1の偏向平面と実質的に直交する、第2の偏向平面(左右)での湾曲を示す。本明細書における上面、裏面、左、右、上および下等のすべての相対的説明は、図面に対しての参照であり、したがって、限定の意味において解釈してはならない。
【0021】
図3および4を参照すると、ハンドル20は、可撓性シャフト50の遠位部分60の有効な偏向機能を制御する制御システム22を含む。制御システム22は、2つの作動ハブ24、26と、4本の引張ワイヤ28、30、32、34を備える。各作動ハブ24、26は、引張ワイヤのうちの2本に接続され、ユーザが可撓性シャフト50の遠位部分60を1つの偏向平面で操作することを可能にする。望ましい偏向平面の数に応じて、制御システム22に追加の作動ハブおよび/または引張ワイヤが含められる可能性がある。引張ワイヤ28、30、32、34は、ステンレス鋼、ポリマーフィラメントまたは、例えば、ニチノール等他の金属および合金から作製される。
【0022】
第1の作動ハブ24は、ユーザから見るとハンドル20の右側に移動可能に取り付けられ、浮動カム36とカム止め38を含む。引張ワイヤ30と34の近位端は、浮動カム36に接続される。ユーザが、第1の作動ハブ24を図3の直線Aにより示したように時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ34に張力がかかり、そして引張ワイヤ30から張力が解放され、これによって、可撓性シャフト50の遠位部分60が左に偏向する。反対に、ユーザが第1の作動ハブ24を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ30に張力がかかり、そして引張ワイヤ34から張力が解放され、これによって、遠位部分60が右に偏向する。
【0023】
ユーザは、第2の作動ハブ26を同様な方式で回転させることによって、可撓性シャフト50の遠位部分60の上下の偏向を達成することができる。第2の作動ハブ26は、ユーザから見るとハンドル20の左側に移動可能に取り付けられ、浮動カム40とカム止め(図示せず)を含む。引張ワイヤ28および32の近位端は浮動カム40に接続される。ユーザが第2の作動ハブ26を図3の直線Bにより示したように時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ28に張力がかかり、そして引張ワイヤ32から張力が解放されるので、遠位部分60を上向き方向に偏向させる。反対に、ユーザが第1の作動ハブ24を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ32に張力がかかり、そして引張ワイヤ28から張力が解放され、これによって、遠位部分60が右に偏向する。制御システム22は、可撓性シャフト50の遠位部分60の偏向を達成するための追加のコンポーネントまたは代替手段を備える可能性がある。
【0024】
ハンドル20は、ワーキングポートハブ44も含む。ワーキングポートハブ44は、内視鏡10のワーキングチャネル46へのアクセスを提供する。ワーキングチャネル46は、ワーキングポートハブ44から可撓性シャフト50の遠位端62まで延び、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、メス、潅注、ファイバレーザ等の補助的製品を挿入するために使用される。代替の実施形態においては、ワーキングチャネル46は、1つの単独の中央管腔を備え得る、または、異なる補助的製品に対応するように種々の形状やサイズの複数のより小さい管腔にさらに再分割され得る。
【0025】
可撓性シャフト50の遠位部分60に近位の部分は、参照することによって全体として本明細書に援用される米国特許出願第10/956,011号(米国特許公報第2005−0131279号)に開示されたシャフトのようないかなる適切な種類の可撓性シャフトをも備え得る。可撓性シャフト50は、均一な可撓性であり得る、または、様々な程度の可撓性または剛性を有する複数のセグメントを備える可能性がある。可撓性シャフト50は、可撓性シャフト50の外側に配置された外側スリーブ52を含み、円滑な外部表面を提供する。外側スリーブ52は、柔軟性の高い薄型ポリウレタン、LLDPE、シリコン、ペレタン、ポリウレタン、または、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリビニルアルコール等の他の認定された生体適合性材料から作製され得る。加えて、外側スリーブ52は、マサチューセッツ州NatickのBoston Scientific Corporationから市販されているHYDROPASSTM等、参照することによって本明細書に援用される米国特許第5,702,754号および第6,048,620号に説明される親水性の円滑被膜で表面が覆われ得る。
【0026】
ここで、図5〜9を参照すると、遠位部分60は、第1の有効な偏向部64および第2の有効な偏向部66を含む。第1の有効な偏向部64は、ハンドル20に対して1つの平面内で偏向することができ、第2の有効な偏向部66は、第1の有効な偏向部64に対して同一の平面内または異なる平面に偏向することができる。図示したように、2つの平面は、実質的に互いに直交するが、しかしながら、所望の用途に応じていかなる角度のオフセットも許容される。代替の実施形態においては、第1および/または第2の有効な偏向部は、それぞれ、2方向以上または以下に偏向可能な可能性がある。
【0027】
可撓性シャフト50の遠位部分60は、内側シャフト68を備える(図8および9)。第1と第2の有効な偏向部64、66が、図5に図示したようにまっすぐに配向される場合、内側シャフト68は長手方向軸70を画定する。内側シャフト68は、ワーキングチャネル46として知られる中央管腔と、内側シャフト68の管状壁を通って長手方向に延びる複数のより小さい管腔72、74、76、78を含む。前述のように、引張ワイヤ28、30、32、34の近位端は、制御システム22の作動ハブ24、26に接続される。引張ワイヤ28、30、32、34は、制御システム22から遠位に延び、それぞれ、より小さい管腔72、74、76、78のうちの1つに配置される。ワーキングチャネル46は、ワーキングポートハブ44から遠位端62まで延びる1つ以上の管腔を有し得て、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、メス、潅注、ファイバレーザ等の補助的製品を挿入するために使用される。遠位端62で画像センサへのファイバまたは電気的接続を使用することによって、照明も達成され得る。内側シャフト68は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(PE)等の摩擦係数の低い、医療用途に適した生体適合性材料から作製される。他の材料も適切であり得る。
【0028】
遠位端62の有効な偏向(すなわち、誘導)を促進するために、可撓性シャフト50の遠位部分60は、内側シャフト68を覆って配置される連接層80を含む。連接層は、可撓性シャフト50の反対側に配置された連接層80内に第1の一連のスロット82を有する。連接層80内のスロット82の放射状の位置によって、第1の有効な偏向部64の屈曲の方向が決まる。図5に図示した実施形態においては、スロット82の放射状の位置によって、ユーザは、第1の有効な偏向部64を左右に操作することが可能になる。
【0029】
連接層80は、所定位置に中央管腔を備えるシリンダを押し出し、次いで、ナイフ、レーザ、フライスツール、ウォータジェット、または他の材料除去機構でシリンダ管を切断してスロット82を形成するなど、種々の方法によって形成され得る。代替として、連接層80は、定位置にスロット82を設けて形作られ得る。理解されるように、スロット82の形状、サイズ、幾何学形状(例えば、丸または四角)、および角度は、均一であり得る、または、連接層80の長さに沿って変化し得る。同様に、隣接するスロット82の間の距離は、均一であり得る、または、可撓性シャフト50の遠位部分60の屈曲および回転力の忠実度特徴に合わせるために変化し得る。上記の内側シャフト68と同様に、連接層80は、屈曲するが破損することのない、医療用途に適した生体適合性材料から作製されなければならない。適切な材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、または他の生体適合性ポリマーを含む。他の材料および/または加工技術の可能性がある。
【0030】
第1の有効な偏向部64の有効な偏向を達成するために、より小さい管腔74、78にそれぞれ配置された引張ワイヤ30、34は、第1の作動ハブ24から、可撓性シャフト50の長さに沿って延び、第1の偏向部64から遠位の場所で終端する。前述のように、ユーザが第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ34に張力がかかり、そして引張ワイヤ30から張力が解放され、これによって、第1の有効な偏向部64が左に偏向する。反対に、ユーザが第1の作動ハブ24を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ30に張力がかかり、そして引張ワイヤ34から張力が解放され、これによって、第1の偏向部64が右に偏向する。
【0031】
可撓性シャフト50の遠位部分60の追加の有効な偏向(すなわち、誘導)を促進するために、連接層80は、可撓性シャフト50の反対側に第2の一連のスロット84を有する。第2の平面での屈曲を達成するために、第2の一連のスロット84は、第1の一連のスロット82に対して回転され得る。図5に図示した実施形態においては、第2の一連のスロット84は、第1の一連のスロット82に対して約90度回転する。この配向においては、2つの偏向平面は、実質的に互いに直交することになり、したがって、ユーザは、第2の有効な偏向部66を上向きおよび下向きの方向に操作できるようになる。
【0032】
第2の有効な偏向部66の有効な偏向を達成するために、より小さい管腔72、76にそれぞれ配置された引張ワイヤ28、32は、第2の作動ハブ26から、可撓性シャフト50の長さに沿って延び、第2の有効な偏向部66から遠位であるが、第1の有効な偏向部64に近位の場所で終端する(すなわち、2つの有効な偏向部の間)。前述のように、ユーザが第2の作動ハブ26を時計回りの方向に回転させると、引張ワイヤ28に張力がかかり、そして引張ワイヤ32から張力が解放され、これによって、第2の有効な偏向部66は上向き方向に偏向する。反対に、ユーザが第2の作動ハブ26を反対の反時計回り方向に回転させると、引張ワイヤ32に張力がかかり、そして引張ワイヤ28から張力が解放され、これによって、第2の有効な偏向部66は下向き方向に偏向する。
【0033】
ここで図10を参照すると、第2の有効な偏向部66は、下向きの方向に屈曲して図示され、第1の有効な偏向部64はまっすぐである。この配向を達成するためには、ユーザは、第2の作動ハブ26を反時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ32に張力がかかることになる。外側スリーブ52は、第2の有効な偏向部66の領域が切り取られて図示され、第2の一連のスロット84の片側は、引張ワイヤ32にかけられた張力によって圧縮され、第2の一連のスロット84の反対側は、引張ワイヤ28の張力の解放によって拡張されていることを示している。このタイプの屈曲は、可撓性シャフト50の長さに沿った位置から、「ひじ」屈曲とも称される場合がある。
【0034】
ここで図11を参照すると、第1の有効な偏向部64は、左に屈曲して図示され、第2の有効な偏向部66は、まっすぐである。この配向を達成するためには、ユーザは、第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ34に張力がかかることになる。外側スリーブ52は、第1の有効な偏向部64の領域が切り取られて図示され、第1の一連のスロット82の片側は、引張ワイヤ34にかけられた張力によって圧縮され、第1の一連のスロット82の反対側は、引張ワイヤ32の張力の解放によって拡張されていることを示している。このタイプの屈曲は、可撓性シャフト50の長さに沿った位置から、「手首」屈曲とも称される場合がある。
【0035】
使用前に、引張ワイヤ28、30、32、34の張力は、典型的には、第1と第2の有効な偏向部64、66がどちらも実質的に互いに直線の配向であるように、調整される。このタイプの構成は、内視鏡10の遠位端62を患者の生体構造内に挿入するために使用される。
【0036】
必ず正しく位置付けするために、内視鏡10は、蛍光透視法、心エコー検査法、血管内超音波法、血管内視鏡、または別の視覚化手段を使用して可視であることが望ましい。蛍光透視法が利用される場合、いかなる、または全ての内視鏡10は、放射線不透過性充填剤で較正される材料で作製され得る、または視覚化するために有用となる放射線不透過性マーカが、デバイスのいかなる部分にも含まれ得る。使用され得る放射線不透過性充填剤の実施例は、硝酸バリウムおよび次炭酸ビスマスである。放射線不透過性マーカは、例えば、金、プラチナ、タングステン等、いくつかの材料から作製され得る。
【0037】
ここで再び図2A〜2Fを参照して、第1および第2の有効な偏向部54、56の移動を詳細に説明する。図2Aは、下向き方向に曲げた第2の有効な偏向部66およびまっすぐな第1の有効な偏向部64を示す。図2Bは、左に曲げた第1の有効な偏向部64およびまっすぐな第2の有効な偏向部66を示す。
【0038】
図2C〜2Fは、複数の偏向平面での遠位部分60のさらに複雑な屈曲を示す。図2Cは、左に曲げた第1の有効な偏向部64および下向きに曲げた第2の有効な偏向部66を示す。この配向を達成するために、ユーザは、第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させ、したがって引張ワイヤ34に張力がかかり、第1の有効な偏向部64が左に偏向する。また、ユーザは、第2の作動ハブ26を反時計回り方向に回転させ、したがって引張ワイヤ32に張力がかかり、第2の有効な偏向部66が下向きに曲がる。
【0039】
図2Dは、右に曲げた第1の有効な偏向部64および上向きに曲げた第2の有効な偏向部66を示す。この配向を達成するために、ユーザは、第1の作動ハブ24を反時計回り方向に回転させ、したがって引張ワイヤ30に張力がかかり、第1の有効な偏向部64が右に偏向する。また、ユーザは、第2の作動ハブ26を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ28に張力がかかり、第2の有効な偏向部66が上向きに曲がる。
【0040】
図2Eでは、第1の有効な偏向部64は同様に右に曲がっているが、第2の有効な偏向部66は下向きに曲がっている。この配向を達成するために、ユーザは、図2Dで説明したように第1の作動ハブ24は反時計回り方向に回転させたままにするが、ユーザは、第2の作動ハブ26を反時計回り方向に回転させる。この反時計回りの回転により、引張ワイヤ28の張力が解放されて、張力ワイヤ32に張力がかかり、これによって、第2の有効な偏向部66が下向き方向に曲がる。
【0041】
図2Fは、左に曲げた第1の有効な偏向部64および上向きに曲げた第2の有効な偏向部66を示す。この配向を達成するために、ユーザは、第1の作動ハブ24を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ34に張力がかかり、第1の有効な偏向部64が左に曲がる。また、ユーザは、第2の作動ハブ26を時計回り方向に回転させ、したがって、引張ワイヤ28に張力がかかり、第2の有効な偏向部66が上向き方向に曲がる。前述のように、例えば、引張ワイヤにかかる張力の大きさ、スロット間の距離または間隔、連接層80のスロットの軸位置、ならびにスロットの深さ、幅および形状等、いくつかの変数に応じて、第1および第2の偏向部64、66の配向および屈曲量の追加が可能である。さらに、引張ワイヤおよび偏向部の数を増加することによって、平面および/または配置または可撓性シャフト50の長さに沿った偏向の追加が可能である。
【0042】
図12〜17は、本発明の内視鏡で使用するための可撓性シャフト50の遠位部分160の代替実施形態を図示する。遠位部分160は、上記の遠位部分60と同一の機能を実行し、したがって、「1」の数字から始まる同様な参照番号は同様な要素を示すために使用される。本実施形態においては、遠位部分160は、参照することによって全体として本明細書に援用される米国特許出願第10/956,011号(米国特許出願公開第2005−0131279号)において開示された連接接合のような一連の積層型リングから作製される。
【0043】
本実施形態においては、遠位部分160は、内側管腔188を画定する同心円状に配置された複数の薄型剛性リング186a、186b、186c等を備える。各リングは、内側管腔188のサイズを最大限にするために、薄肉特性を有しながらも剛性リングを可能にするステンレス金属または他の生体適合性材料で深絞り、圧延および溶接、あるいは別様に形成され得る。
【0044】
各リングは、リングの内壁の反対側上で側方に配置された一対のバネ190によって、隣接するリングに接続される。バネ190は、隣接するリングを接合する各リングセグメント内周に、溶接、ろう付け、接着固定、さもなければ接合される。バネは、可撓性シャフトのより小さい管腔172、174、176、178と実質的に合わせた所定の放射状の位置に固定される。例えば、3個のリング186a、186bおよび186cを配置する場合、リング186aおよび186bは、リング上の0度および180度の放射状位置に配置されたバネで一緒に接合され、一方で、リング186bは、リング上の90度および270度の放射状位置に直角に配置されたバネでリング186cに接合される。バネは、ステンレス鋼または生体適合性材料から作製され、遠位部分の長さに沿って曲率半径を制御するように、様々な剛性のバネが遠位部分160の長さに沿って使用され得る。
【0045】
隣接するリングの間の間隔が形成されるので、1対のバネ190は、シャフト150の長手方向軸170から離れる方向に曲げることができるが、シャフト150の長手方向軸170の方向にシャフト150を圧縮する能力は制限される可撓性接合を形成する、
図12に図示したように、側面から見ると、各リングは完全に円筒形ではなく、前面194と後面196を含む。ここで図16〜17も参照すると、前面194および後面196は、隣接するリングがバネによって接合される点から外側に傾斜し、これにより、遠位部分160の屈曲が可能なV形状の空隙192を形成する。リングの傾斜面によって、隣接するリング間の移動の増加が可能になり、隣接するリングの互いにずれることを予防するずれ止めも提供する。
【0046】
各バネ190は、その中に配置される引張ワイヤ128、130、132、134を備える小型の管腔を画定する。各引張ワイヤの遠位部分は、可撓性シャフト部150の遠位部分160に接続される。前述のように、本実施形態において、2対の引張ワイヤ(28、32および30、34)は、90度回転して、2つの自由度(または偏向方向)を可能にする。代替実施形態においては、追加の自由度を可能にするように、追加の対の引張ワイヤおよびバネ190が含まれ得る。
【0047】
リング186a、186b、186c等の外側には可撓性外側スリーブ152が配置されて円滑な外部表面を提供する。外側スリーブ152は、柔軟で薄型のポリウレタン、LLDPE、シリコン、ペレセン、ポリウレタン、またはポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニルアルコール等、他の認可された生体適合性材料から作製され得る。加えて、外側スリーブ152は、マサチューセッツ州NatickのBoston Scientific Corporationから市販されているHYDROPASSTM等、参照することによって本明細書に援用される米国特許第5,702,754号および第6,048,620号に説明される親水性の円滑被膜で表面が覆われ得る。
【0048】
可撓性シャフト150は、内側シャフト168の内部に沿って続く内側管198と内側管腔188とをさらに備えることができる。内側管は、ワーキングポートハブ144から遠位端162まで延びる1つ以上の管腔を有し、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、カッター、洗浄、レーザファイバ等の補助的製品を挿入するために使用される。内側管198は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(PE)等、摩擦係数の低い、医療用途に適した生体適合性材料から作製される。他の材料も適切であり得る。
【0049】
遠位部分160の有効な偏向は、上記の遠位部分60と類似の方式において達成される。複数の有効な偏向部(すなわち、遠位部分160が異なる平面または異なる曲率半径で屈曲可能な、軸170に沿った領域)は、軸に沿って異なる場所で引張ワイヤ128、130、132、134を終わらせることにより、様々な張力のバネを使用することにより達成され得る。例えば、より小さい管腔174、178それぞれに配置された引張ワイヤ130、134が、第1の作動ハブ124から、可撓性シャフト150の長さに沿って延び、遠位部分160の遠位端162に近い場所で終端すると、第1の有効な偏向部164が作成される。より小さい管腔172、176それぞれに配置された引張ワイヤ128、132が、第2の作動ハブ126から、可撓性シャフト150の長さに沿って延び、第1の有効な偏向部164の近位の場所で終わると、第2の有効な偏向部166が作成される。図示したように、これらの2つの有効な偏向部164、166は、実質的に互いに直交し、上記の有効な偏向部64、66と同一方式に動作する。
【0050】
さらに小型の可撓性シャフト150の場合、バネ190および円形の引張ワイヤ128、130、132、134により占有される横断面領域では、ワーキングチャネル、光ファイバ等のデバイスの他の機能要件が禁じられ得る。これらの事例においては、平坦な引張ワイヤを利用する代替実施形態が有利となる。図18〜23は、本発明の内視鏡10で使用するための可撓性シャフト150の遠位部分260の代替実施形態を示す。遠位部分260は、上記の遠位部分160と同一の機能を実行し、したがって、「2」の数字から始まる同様な参照番号は同様な要素を示すために使用される。
【0051】
本実施形態において、遠位部分260は、内側管腔288を画定する同心円状に配置された一連の積層型リング286a、286b、286c等から作成される。各リングは、内側管腔288のサイズを最大限にするために、薄肉特性を有しながらも剛性リングを可能にする、ステンレス金属または他の生体適合性材料で深絞り、圧延、および溶接、さもなければ、形成され得る。内向きに延びる凹部273は、リング286の各々の外周周辺に所定の間隔で配置されて、平坦な引張ワイヤ228、230、232、234を受ける。
【0052】
リング286a、286b、286c等の外側には可撓性外側スリーブ252が配置されて円滑な外部表面を提供する。外側スリーブ252は、柔軟で薄型のポリウレタン、LLDPE、シリコン、ペレセン、ポリウレタン、または、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニルアルコール等、他の認可された生体適合性材料から作製され得る。加えて、外側スリーブ252は、マサチューセッツ州NatickのBoston Scientific Corporationから市販されているHYDROPASSTM等、参照することによって本明細書に援用される米国特許第5,702,754号および第6,048,620号に説明される親水性の円滑被膜で表面が覆われ得る。
【0053】
代替の実施形態において、これらの平坦な引張ワイヤ228、230、232、234は、リングの内側に沿って完全に続く可能性がある、または、1つのリングの内側から次の外側へと曲がりくねる可能性がある。平坦な引張ワイヤ228、230、232、234がリングの内側に沿って続く実施形態においては、可撓性シャフト250は、平坦な引張ワイヤ228、230、232、234の位置を導くように、溝を備えたリング286a、286b、286cの内側に沿って続く内側管298をさらに備えることができる。内側管298は、ワーキングポートハブから遠位端262まで延びる1つ以上の管腔も有し、種々の診断および治療処置を促進するように、例えば、ガイドワイヤ、把持装置、カッター、洗浄、レーザファイバ等、補助的製品を挿入するために使用される。内側管298は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(PE)等、摩擦係数の低い、医療用途に適した生体適合性材料から作製される。他の材料も適切であり得る。
【0054】
遠位部分260の有効な偏向は、上記の遠位部分160と類似の方式において達成される。複数の有効な偏向部(すなわち、遠位部分260が異なる平面で、または異なる曲率半径で屈曲可能な軸270に沿った領域で)は、軸に沿って異なる場所で引張ワイヤ228、230、232、242を終わらせることにより、様々な張力のバネを使用することにより達成され得る。
【0055】
開示した実施形態は例示的である。本発明は、開示された例示的実施形態によって限定されることも、これらに限定されることもない。また、本開示において開示された例示的実施形態に対する種々の変更およびこれらの組み合わせも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性内視鏡であって、
ハンドルと、
該ハンドルから延びる可撓性シャフトであって、中央管腔を画定する管状壁と、該管状壁の少なくとも一部を通って長手方向に延びる少なくとも2つのより小さい管腔とを有する遠位部分を備える、可撓性シャフトと
を備え、該より小さい管腔の各々の内側には引張ワイヤが配置され、該遠位部分は、該管状壁全体に配置された連接層をさらに備え、かつ、該引張ワイヤのうちの1つ以上の移動によって該遠位部分の制御された屈曲を可能にする第1の一連のスロットを含む、可撓性内視鏡。
【請求項2】
前記遠位部分は、第2の一連のスロットをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項3】
前記第2の一連のスロットは、前記第1の一連のスロットからオフセットされ、2つ以上の平面内での前記遠位部分の制御された屈曲を可能にする、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項4】
前記第1の一連のスロットはスロットの間に第1の間隔を含み、該スロットは第1のスロット幅を有し、前記第2の一連のスロットは第2の異なる間隔と、第2の異なるスロット幅とを含む、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項5】
前記第1の一連のスロットまたは前記第2の一連のスロットは丸みがある、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項6】
前記第1の一連のスロットまたは前記第2の一連のスロットは四角形である、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項7】
平滑な外部表面を提供するように、前記可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項8】
前記外側スリーブは、潤滑コーティングを備える、請求項7に記載の可撓性内視鏡。
【請求項9】
前記外側スリーブは、薬剤コーティングを備える、請求項7に記載の可撓性内視鏡。
【請求項10】
前記ハンドルは、制御システムをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項11】
放射線不透過性マーカをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項12】
放射線不透過性材料をさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項13】
医療デバイスで使用するための可撓性シャフト部であって、
一連の積層型リングであって、各リングは、その外周周辺に所定の間隔で位置付けられた少なくとも2つの内向きに延びる凹部を含む、一連の積層型リングと、
引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により該可撓性シャフトの制御された屈曲を可能にする、該凹部の各々の内側に配置された平坦な引張ワイヤと
を備える、可撓性シャフト部。
【請求項14】
平滑外部表面を提供するように、前記一連の積層型リングの外側に配置された外側スリーブをさらに備える、請求項13に記載の可撓性シャフト部。
【請求項15】
前記外側スリーブは潤滑コーティングを備える、請求項14に記載の可撓性シャフト部。
【請求項16】
前記外側スリーブは、薬剤コーティングを備える、請求項14に記載の可撓性シャフト部。
【請求項17】
医療デバイスで使用するための可撓性シャフト部であって、
一連の積層型リングと、
該一連の積層型リングの内側に沿って配置された内側管であって、該内側管は、その外周に沿って長手方向に続く少なくとも2つの溝を有する、内側管と、
引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により該可撓性シャフトの制御された屈曲を可能にする、該溝の各々の内側に配置された平坦な引張ワイヤと
を備える、可撓性シャフト部。
【請求項18】
平滑な外部表面を提供するように、前記一連の積層型リングの外側に配置された外側スリーブをさらに備える、請求項17に記載の可撓性シャフト部。
【請求項19】
前記外側スリーブは、潤滑コーティングを備える、請求項18に記載の可撓性シャフト部。
【請求項20】
前記外側スリーブは、薬剤コーティングを備える、請求項18に記載の可撓性シャフト部。
【請求項1】
可撓性内視鏡であって、
ハンドルと、
該ハンドルから延びる可撓性シャフトであって、中央管腔を画定する管状壁と、該管状壁の少なくとも一部を通って長手方向に延びる少なくとも2つのより小さい管腔とを有する遠位部分を備える、可撓性シャフトと
を備え、該より小さい管腔の各々の内側には引張ワイヤが配置され、該遠位部分は、該管状壁全体に配置された連接層をさらに備え、かつ、該引張ワイヤのうちの1つ以上の移動によって該遠位部分の制御された屈曲を可能にする第1の一連のスロットを含む、可撓性内視鏡。
【請求項2】
前記遠位部分は、第2の一連のスロットをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項3】
前記第2の一連のスロットは、前記第1の一連のスロットからオフセットされ、2つ以上の平面内での前記遠位部分の制御された屈曲を可能にする、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項4】
前記第1の一連のスロットはスロットの間に第1の間隔を含み、該スロットは第1のスロット幅を有し、前記第2の一連のスロットは第2の異なる間隔と、第2の異なるスロット幅とを含む、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項5】
前記第1の一連のスロットまたは前記第2の一連のスロットは丸みがある、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項6】
前記第1の一連のスロットまたは前記第2の一連のスロットは四角形である、請求項2に記載の可撓性内視鏡。
【請求項7】
平滑な外部表面を提供するように、前記可撓性シャフトの外側に配置された外側スリーブをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項8】
前記外側スリーブは、潤滑コーティングを備える、請求項7に記載の可撓性内視鏡。
【請求項9】
前記外側スリーブは、薬剤コーティングを備える、請求項7に記載の可撓性内視鏡。
【請求項10】
前記ハンドルは、制御システムをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項11】
放射線不透過性マーカをさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項12】
放射線不透過性材料をさらに備える、請求項1に記載の可撓性内視鏡。
【請求項13】
医療デバイスで使用するための可撓性シャフト部であって、
一連の積層型リングであって、各リングは、その外周周辺に所定の間隔で位置付けられた少なくとも2つの内向きに延びる凹部を含む、一連の積層型リングと、
引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により該可撓性シャフトの制御された屈曲を可能にする、該凹部の各々の内側に配置された平坦な引張ワイヤと
を備える、可撓性シャフト部。
【請求項14】
平滑外部表面を提供するように、前記一連の積層型リングの外側に配置された外側スリーブをさらに備える、請求項13に記載の可撓性シャフト部。
【請求項15】
前記外側スリーブは潤滑コーティングを備える、請求項14に記載の可撓性シャフト部。
【請求項16】
前記外側スリーブは、薬剤コーティングを備える、請求項14に記載の可撓性シャフト部。
【請求項17】
医療デバイスで使用するための可撓性シャフト部であって、
一連の積層型リングと、
該一連の積層型リングの内側に沿って配置された内側管であって、該内側管は、その外周に沿って長手方向に続く少なくとも2つの溝を有する、内側管と、
引張ワイヤのうちの1つ以上の移動により該可撓性シャフトの制御された屈曲を可能にする、該溝の各々の内側に配置された平坦な引張ワイヤと
を備える、可撓性シャフト部。
【請求項18】
平滑な外部表面を提供するように、前記一連の積層型リングの外側に配置された外側スリーブをさらに備える、請求項17に記載の可撓性シャフト部。
【請求項19】
前記外側スリーブは、潤滑コーティングを備える、請求項18に記載の可撓性シャフト部。
【請求項20】
前記外側スリーブは、薬剤コーティングを備える、請求項18に記載の可撓性シャフト部。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2010−528714(P2010−528714A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510451(P2010−510451)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/064867
【国際公開番号】WO2008/150767
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/064867
【国際公開番号】WO2008/150767
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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