説明

医療廃棄物処理装置

医療廃棄物が投入されて加熱される処理室と、水又は蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生させるための燃料燃焼手段を備えた燃焼室と、前記燃焼室を備えて該処理室に過熱水蒸気を送り込む過熱水蒸気供給手段と、前記処理室の少なくとも一部を囲み、前記処理室の外壁との間に前記処理室の少なくとも一部を囲むジャケット空間を形成するジャケットと、前記ジャケットと前記燃焼室との間に介在
して、前記燃料燃焼手段により発生した燃焼ガスを前記ジャケット空間に導入する燃焼ガス導入路とを含んで成る医療廃棄物処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は使用済み注射針や、点滴パックのような医療廃棄物の処理装置に関する。
【背景技術】
医療廃棄物は滅菌して廃棄される。滅菌方法としては、蒸気にあてる、オートクレーブで処理するあるいはホルマリンガスやエチレンオキサイドガス等のガスで処理することが従来より行なわれている。しかし単に生蒸気にあてただけでは完全な滅菌がなされないおそれがあり、又、蒸気にあてることにより医療廃棄物の一部が分解したり揮発したりして悪臭や有毒成分が発生することがおおく、この悪臭や有毒成分が問題となる。オートクレーブは高圧容器を使用するので、装置が大掛かりでかつ装置の安全管理が大変である。ガス処理は、そのガスが人体にも有毒なのでガスもれに対する対策に装置のうえでも管理の面でも多くの費用がかかる。又、最近の医療廃棄物は形状が千差万別であり、これらのような滅菌処理がなされた後の処置に困ることもある。
本発明はこれら問題点に鑑み、コンパクトで、悪臭を殆んど発生せず、滅菌処理後の廃棄物の処理が容易な医療廃棄物処理装置を提供しようとする。
【発明の開示】
本発明の要旨とするところは、医療廃棄物が投入されて加熱される処理室と、水又は蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生させるための燃料燃焼手段を備えた燃焼室と、
前記燃焼室を備え、該処理室に過熱水蒸気を送り込む過熱水蒸気供給手段と、
前記処理室の少なくとも一部を囲み、前記処理室の外壁との間に前記処理室の少なくとも一部を囲むジャケット空間を形成するジャケットと、
前記ジャケットと前記燃焼室との間に介在して、前記燃料燃焼手段により発生した燃焼ガスを前記ジャケット空間に導入する燃焼ガス導入路と
を含んで成る医療廃棄物処理装置であることにある。
前記医療廃棄物処理装置においては、前記処理室と前記燃焼室との間に介在して、前記医療廃棄物が前記過熱水蒸気により前記処理室で加熱されて発生する排気ガスを、前記燃焼室に導入する排気ガス導入路を備え得る。
前記医療廃棄物処理装置においては、前記燃焼ガス導入路に、前記排気ガスに接触させて前記排気ガスの燃焼を助長する触媒が設置され得る。
前記過熱水蒸気供給手段は、
前記燃焼室内に設置されて前記燃焼ガスにより加熱される蛇管と、
該蛇管内に水を供給する水供給手段と
を含んで構成され得る。
前記医療廃棄物処理装置においては、前記処理室の外壁を前記医療廃棄物の加熱終了後に冷却する空気を、前記ジャケット空間に導入するジャケット空気導入手段が設けられ得る。
前記医療廃棄物処理装置においては、前記医療廃棄物の加熱終了後に前記処理室内に空気を導入する、処理室空気導入手段が設けられ得る。
前記医療廃棄物処理装置は、前記処理室内の前記医療廃棄物を攪拌する攪拌手段と、
前記処理室内で加熱及び攪拌された医療廃棄物を、該処理室の底部から排出する排出手段と、
前記処理室から排出された、該処理室内で加熱及び攪拌された医療廃棄物が投入される回収コンテナと
を含み得る。
前記医療廃棄物処理装置には、前記医療廃棄物が投入された前記回収コンテナ内に空気を導入する容器空気導入手段が設けられ得る。
前記医療廃棄物処理装置には、前記処理室の外壁を前記医療廃棄物の加熱終了後に冷却する空気を、前記ジャケット空間に導入するジャケット空気導入手段が設けられ、前記医療廃棄物の加熱終了後に前記処理室内に空気を導入する、処理室空気導入手段が設けられ、前記処理室に投入されて加熱及び攪拌された医療廃棄物が前記処理室から排出されて投入される回収コンテナが設けられ、前記回収コンテナ内に空気を導入する容器空気導入手段が設けられ、前記ジャケット空気導入手段、前記容器空気導入手段及び前記処理室空気導入手段が1の送風機を共有し得る。
又、本発明の要旨とするところは、前記医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物から成る高炉用又は火力発電用の燃料であることにある。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の医療廃棄物処理装置の構成を示す構造説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に係る態様の一例を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明の医療廃棄物処理装置の構成の一例を示す構造説明図である。図1において、本発明の医療廃棄物処理装置1は、医療廃棄物2が投入されて加熱処理される処理室4、処理室4に過熱水蒸気を送り込む過熱水蒸気供給手段6を備える。過熱水蒸気供給手段6は、過熱水蒸気を発生させるための燃料燃焼手段8を備えた燃焼室10を含んで構成されている。更に、医療廃棄物処理装置1には、処理室4を囲み、処理室4の外壁との間に処理室4を囲むジャケット空間14を形成するジャケット16が備えられている。
過熱水蒸気供給手段6は、螺旋状に巻かれた蛇管22を備え、蛇管22には一端24から水が供給されている。水は市水もしくは用意された水供給源に接続された水供給バルブ26を経て必要に応じて軟水機95を通過して軟水化され、貯留タンク30を介して給水ポンプ27から蛇管22に供給される。水供給バルブ26、軟水機95、貯留タンク30、給水ポンプ27、軟水バルブ29が蛇管22に水を供給する水供給手段17を構成する。
蛇管22中の水は燃料燃焼手段8であるバーナー28で蛇管22の管壁を介して加熱され、蒸気となり、更に加熱されて過熱水蒸気となる。蛇管22の他端32が処理室4の内部と過熱水蒸気導入パイプ30を介して導通しており、過熱水蒸気が過熱水蒸気導入パイプ30の先端で処理室4に設けられた過熱水蒸気噴射口34から処理室4内に導入される。過熱水蒸気導入パイプ30は過熱水蒸気バルブ111を備えている。
蛇管22のバーナー28で加熱される部分は、燃焼室10に納められている。バーナー28は燃焼室10の上壁部40に設置され、燃料がバーナー28により燃焼されて、燃焼ガスが燃焼室10の内部に噴出される。
又、燃焼室10が、下部で燃焼ガス導入路18を介して、ジャケット空間14と導通している。これにより、バーナー28により発生した燃焼ガスが燃焼ガス導入路18を通ってジャケット空間14に導入され、処理室4の外壁を介して処理室4が燃焼ガスの熱により加熱あるいは保温される。
一方、処理室4に導入された過熱水蒸気により加熱された医療廃棄物2、から発生する排気ガスを、燃焼室10に導入する排気ガス導入路12が、燃焼室10と処理室4との間に介在している。排気ガスは、排気ガス導入路12の出口部に設けられた排気ガス用エジェクタ46により補助されて燃焼室10に送り込まれ、バーナー28により燃料とともに燃焼する。この燃焼により、排気ガスの臭気が大幅に減少する。
一方、燃焼室10には、バーナー28の燃焼ガスの出口の近傍に、外部の空気を燃焼室10の中に導入する外部空気導入口11が設けられ、空気導入エジェクタ47により、外部の空気が燃焼室10の中に導入され、燃焼室10内の燃焼ガス及び処理室4から送られた排気ガスの燃焼が助長される。
ジャケット16には、ジャケット空間14に過熱水蒸気を導入する過熱水蒸気導入路120が接続されている。過熱水蒸気導入路120は過熱水蒸気バルブ112を備え、蛇管22の他端32の近傍で過熱水蒸気導入パイプ30と分岐している。
又、ジャケット16には、ジャケット空間14に導入された気体を外部に排出する排出ダクト20が備えられている。更に、ジャケット空間14に導入された燃焼ガスを再び燃焼室10に導入する不図示の燃焼ガス再導入路が設けられてもよい。
処理室4には、攪拌翼62を内底部に備える攪拌手段60が設けられ、加熱処理されている医療廃棄物2や、加熱処理された医療廃棄物が攪拌される。攪拌翼62は攪拌モータ64で駆動されて、水平方向に回転する。
処理室4の底には開口66が設けられている。開口66は下方に延びる排出ダクト68と導通している。排出ダクト68の直下に回収コンテナ70がセットされる。回収コンテナ70の中には、運搬用容器77が必要に応じセットされる。
加熱処理されて減容された医療廃棄物が攪拌翼62の回転に伴って移動し開口66から排出ダクト68を経て回収コンテナ70内もしくは運搬用容器77内に落下する。排出ダクト68の上部には、加熱処理された医療廃棄物を排出するタイミングにあわせて排出ダクト68を開閉する開閉手段69が設けられている。開閉手段69は駆動用のシリンダ113を備えたシャッター72から構成される。開口66、開閉手段69、排出ダクト68が加熱処理された医療廃棄物を回収コンテナ70に排出する排出手段93を構成している。
更に、ジャケット16には外部の空気をジャケット空間14に導入するための導入口76が設けられている。医療廃棄物の加熱が終了したときに、導入口76からジャケット空間14に空気が導入され、処理室4の外壁が冷却され、それにより、処理室4の内部が冷却される。
空気は送風機80を備えたジャケット空気導入手段82によりジャケット空間14に導入される。医療廃棄物の加熱が終了したときに、導入口76に導通する導入口ダクト78に設けられたジャケット冷却口ダンパ84が開けられる。送風機80から導入口ダクト78を介して空気がジャケット空間14に導入される。このとき、燃焼ガス導入路18に備えられた燃焼室−ジャケット間ダンパ86が閉じられる。又、排出ダクト20に備えられた排出ダクトダンパ88が開となる。
更に、送風機80を共有する容器空気導入手段83により、排出ダクト68の中間部に設けられた外気導通口92を経由して回収コンテナ70内に空気が導入される。導入口76が下方に分岐する分岐路94、96に連なり、分岐路94は出口Aを介して、外気導通口92に通ずる外気導通ダクト98の入口Aと連通している。外気導通ダクト98は、空気が導入されるときに開となる外気導通ダンパ100を備える。
空気が回収コンテナ70内に導入されるとき、シャッター72は閉となる。回収コンテナ70には導入された空気を排出する空気排出口112が設けられ、回収コンテナ70に導入された空気が、空気排出口112に連通する空気排出ダクト114を通って排出される。この排出される空気には回収コンテナ70内の医療廃棄物から発生する臭気が混入している。空気排出ダクト114は、排気ガス導入路12に連結されていて、臭気が混入した空気が排気ガス導入路12を経て燃焼室10に導入される。
又更に、送風機80を共有する処理室空気導入手段85により、処理室4の内部に空気が導入される。処理室4には、空気導入口102が設けられ、空気導入口102に通ずる空気導入ダクト104の入口Bと、分岐路96の出口Bが連通している。空気導入ダクト104は、空気が導入されるときに開となる空気導入ダンパ106を備える。
燃焼ガス導入路18には触媒110が設置されている。触媒110は、白金を主体とする金属を含んで構成され、排気ガスに接触して排気ガスの燃焼を助長し、排気ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、その他の有機ガス等が酸化されて、水や炭酸ガス等の無害な気体になる。触媒110としては、そのような機能を有するものであれば市販のものを含めて種類は特に限定されない。
回収コンテナ70は、切離し部71で着脱自在に上下に切り離しが可能となっており、処理済みの医療廃棄物が投入された後に下部の可搬容器118を本体装置から切り離して他部所へ搬送することが出来る。可搬容器118は更に前述の運搬用容器77を内部に備えた2重壁構造となって、しかるべき場所で運搬用容器77のみを取り出して内容物である処理済みの医療廃棄物を排出することが出来る。
なお、符号116は、医療廃棄物処理装置1の気体の経路の各所に備えられた上述の各ダンパを開閉駆動する、シリンダである。
このような構成の本発明の医療廃棄物処理装置1においては、医療廃棄物を過熱水蒸気で加熱するので、バーナー等で医療廃棄物を直接加熱する方式のように加熱により医療廃棄物が燃え出すというトラブルがない。且つ、加熱された医療廃棄物から発生する処理ガスを、過熱水蒸気発生用のバーナーに導いて燃焼させて分解させるので、外部に有毒で臭気のあるガスが大量に放出されることがない。
又、この有毒で臭気のあるガス成分は、燃焼ガス導入路18に設けられた触媒110により効率よく燃焼して分解される。
医療廃棄物処理装置1の各部所を構成する各種の管体や容器はステンレスで作られることが耐久性のうえで好ましい。
本発明の医療廃棄物処理装置1の操作手順の一例を説明する。以下の操作は、シーケンサ等により自動的に行なうことが出来る。なお、操作開始前には全てのダンパ、バルブ等の開閉機器は閉状態であり、バーナー、ポンプ、エジェクタ等の作動用機器は全て停止又はoff状態である。医療廃棄物を処理室4に投入し、先ずバーナー28を高燃焼モードで点火し、空気導入エジェクタ47をonにし、燃焼室−ジャケット間ダンパ86を開く。過熱水蒸気バルブ112を開にしておき過熱水蒸気バルブ111は閉にしておく。センサー124で検出される燃焼室温度が設定値に達すると軟水を蛇管22に供給する経路の軟水バルブ29が開き、給水ポンプ27が始動する。
センサー126で検出される蛇管22の他端32の温度が設定値に達すると、過熱水蒸気バルブ112が閉に、過熱水蒸気バルブ111が開になり、過熱水蒸気が処理室4に導入開始となる。センサー128で検出される処理室4内の温度が設定値に達すると、攪拌翼62が始動する。攪拌翼62は一定の時間ごとに正転、逆転を繰り返す。設定値は140〜150℃であることが好ましい。処理の間、ジャケット空間14の温度が一定に保たれるように、センサー160により検出されるジャケット空間14の温度に基づき、バーナー28において高燃焼モードと低燃焼モードの切り替えがなされる。
所定の処理時間、例えば15分が経過すると、シャッター72開、過熱水蒸気バルブ112が開、過熱水蒸気バルブ111が閉となる。
所定の時間を経過させた後、送風機80が始動する。ジャケット冷却口ダンパ84が開、軟水バルブ29閉、バーナー28が低燃焼モード、シャッター72閉、排出ダクト20に設けられたダンパ88開、燃焼室10から排気口150へ通ずる燃焼室ダクト152のダンパ154開、空気導入ダクト104のダンパ106開、燃焼室−ジャケット間ダンパ86閉、給水ポンプ27停止となる。
シャッター72閉の後、外気導通ダンパ100が開、空気排出ダクト114に設けられたダンパ130が開となる。
バーナー28が低燃焼モード運転で所定時間継続された後、バーナー28が消火され、処理室内が既定の温度まで冷却されると一連の処理操作が完了となり、全てのダンパ、バルブ等の開閉機器は閉状態、バーナー、ポンプ、エジェクタ等の作動用機器は全て停止又はoff状態に戻る。なお、処理されて回収コンテナ70内に投下されている医療廃棄物は、この一連の処理操作後に回収される。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、ジャケット空間14に燃焼ガスを導入するので、処理室4が保温され医療廃棄物の加熱処理の熱効率がよい。
又、本発明の医療廃棄物処理装置1は、過熱水蒸気により医療廃棄物が加熱されて発生する排気ガスが、燃焼室10に導入されて燃焼するので、排気ガスの燃焼による分解が行なわれ、排気ガス中の臭気成分や有害成分が、臭気成分や有害成分を除去するための付加的な燃焼装置やろ過装置を用いずとも、効率よく除去される。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、処理後の医療廃棄物を収納する回収コンテナ70が開放前に回収コンテナ70中の排気ガスがパージされかつ医療廃棄物が冷却されるので、回収コンテナ70の搬送や医療廃棄物の取り出しの操作時に異臭が発生することが殆んどない。又、このパージと冷却の操作が、ダンパの自動切換えで容易に行なわれる。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、燃焼ガス導入路18に、排気ガスに接触させて排気ガスの燃焼を助長する触媒が設置されており、排気ガスが燃焼によりほぼ完全に分解される。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、水を加熱して一段で過熱水蒸気にする過熱水蒸気供給手段を備えているので、大掛りな生蒸気発生装置を必要とせずコンパクトな装置とすることができ、市水もしくは用意された水供給源の蛇口管に直接接続して使用できるので操作が容易である。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、医療廃棄物の加熱終了後に、処理室4の外壁及び内部が及び処理室4内に空気を導入して冷却されるので、処理後の医療廃棄物に臭いが殆んどのこらず、又、この冷却の操作が、ダンパの自動切換えで容易に行なわれる。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、ジャケット空気導入手段、前記処理室空気導入手段及び前記容器空気導入手段が1個の送風機80を共有し、処理室4やジャケット空間14や回収コンテナ70への空気の導入が1個の送風機80で送路を切り替えてなされるので装置をコンパクトにすることが出来る。
本発明の医療廃棄物処理装置1は、注射器、点滴パック、輸血セット、チューブ、手術用手袋、治療用手袋、試験管、アンプル等のプラスチック、ゴム類、ガラスを含んで成る医療廃棄物の処理に好適に用いることが出来る。
以上本発明の医療廃棄物処理装置の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
例えば、蛇管22はつづら折り状に曲げられた管であってもよい。更に、過熱水蒸気供給手段6として、水蒸気を加熱する公知の加熱手段を備えた公知の過熱水蒸気発生装置が用いられてよい。又、開閉手段69は、開閉バルブを備えるものであってもよく、排出ダクト68の通過路に開閉扉型の開閉自在の遮蔽板を備えるものであってもよい。開閉手段69は、開時に排出ダクト68の通過路での処理後の医療廃棄物の通過をさまたげないものであれば特には様式を問わない。
更に、例えば、回収コンテナ70は、切離し部71で切り離しできなくとも、運搬用容器77を内部に備えた2重壁構造となっていて、運搬用容器77を取り出す開閉自在な取り出し口を備える構成であってもよい。あるいは、処理後の医療廃棄物を掻き出すなどして直接取り出す開閉自在な取り出し口を備える構成であってもよい。
本発明の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物は、減容された固形物となっている。この固形物は高分子物質等の可燃の物質を大量に含んでいるので、燃料として利用される可能性を有している。しかし、比較的低温で燃焼させると、ダイオキシン等の有害物質の発生を伴うので、このような燃料としての利用の実用化が困難であった。鋭意検討の結果、本発明の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物を、高炉用の燃料として他の燃料と混合して好適に利用できることがわかった。又、火力発電用の燃料として他の燃料と混合して好適に利用できることがわかった。いずれの場合も、燃焼後外部に排出されるダイオキシンは皆無に近いものであり、他の発生ガスについては、既存の燃焼装置に付随している排気処理手段で他の燃料による発生ガスとともに有効に処理される。
本発明の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物を高炉用の燃料として、あるいは火力発電用の燃料として使用することにより、高炉用燃料や火力発電用燃料の原料コストを削減でき、更に、本発明の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物を埋め立てるための場所と費用が不要となる。
本発明の医療廃棄物処理装置は、加熱効率がよく、操作が容易で、コンパクトである。又、操作時に臭気や有毒成分が分解されて、外部に発散する臭気や有毒成分が殆んどない。更に、滅菌処理後の廃棄物の処理が容易である。
産業上の利用の可能性
本発明の医療廃棄物処理装置は医療廃棄物に限らず家庭ゴミ、建築廃棄物、食品加工関連の廃棄物、一般産業廃棄物の焼却に適用でき、臭気や有毒成分の発生を抑えた焼却を実現することが出来る。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療廃棄物が投入されて加熱される処理室と、
水又は蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生させるための燃料燃焼手段を備えた燃焼室と、
前記燃焼室を備え、該処理室に過熱水蒸気を送り込む過熱水蒸気供給手段と、
前記処理室の少なくとも一部を囲み、前記処理室の外壁との間に前記処理室の少なくとも一部を囲むジャケット空間を形成するジャケットと、
前記ジャケットと前記燃焼室との間に介在して、前記燃料燃焼手段により発生した燃焼ガスを前記ジャケット空間に導入する燃焼ガス導入路と
を含んで成る医療廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記処理室と前記燃焼室との間に介在して、前記医療廃棄物が前記過熱水蒸気により前記処理室で加熱されて発生する排気ガスを、前記燃焼室に導入する排気ガス導入路を備えた請求項1に記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記燃焼ガス導入路に、前記排気ガスに接触させて前記排気ガスの燃焼を助長する触媒が設置された請求項1に記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記過熱水蒸気供給手段が、
前記燃焼室内に設置されて前記燃焼ガスにより加熱される蛇管と、
該管内に水を供給する水供給手段と
を含んで構成された請求項1に記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記処理室の外壁を前記医療廃棄物の加熱終了後に冷却する空気を、前記ジャケット空間に導入するジャケット空気導入手段が設けられた、請求項1乃至4のいずれかに記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記医療廃棄物の加熱終了後に前記処理室内に空気を導入する、処理室空気導入手段が設けられた、請求項1乃至4のいずれかに記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記医療廃棄物の加熱終了後に、前記処理室内に空気を導入する処理室空気導入手段が設けられた、請求項5に記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項8】
前記処理室内の前記医療廃棄物を攪拌する攪拌手段と、
前記処理室内で加熱及び攪拌された医療廃棄物を、該処理室の底部から排出する排出手段と、
前記処理室から排出された、該処理室内で加熱及び攪拌された医療廃棄物が投入される回収コンテナと
を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項9】
前記医療廃棄物が投入された前記回収コンテナ内に空気を導入する容器空気導入手段が設けられた請求項8に記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項10】
前記処理室の外壁を前記医療廃棄物の加熱終了後に冷却する空気を前記ジャケット空間に導入するジャケット空気導入手段が設けられ、前記医療廃棄物の加熱終了後に前記処理室内に空気を導入する、処理室空気導入手段が設けられ、前記処理室に投入されて加熱及び攪拌された医療廃棄物が前記処理室から排出されて投入される回収コンテナが設けられ、前記回収コンテナ内に空気を導入する容器空気導入手段が設けられ、前記ジャケット空気導入手段、前記容器空気導入手段及び前記処理室空気導入手段が1の送風機を共有する請求項1乃至4のいずれかに記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項11】
前記医療廃棄物の加熱終了後に前記処理室の外壁を冷却する空気を前記ジャケット空間に導入するジャケット空気導入手段が設けられ、前記医療廃棄物の加熱終了後に前記処理室内に空気を導入する、処理室空気導入手段が設けられ、前記医療廃棄物が投入された前記処理室から排出された、該処理室内で加熱及び攪拌された医療廃棄物が投入される回収コンテナが設けられ、前記回収コンテナ内に空気を導入する容器空気導入手段が設けられ、前記ジャケット空気導入手段、前記容器空気導入手段及び前記処理室空気導入手段が1の送風機を共有する請求項5に記載の医療廃棄物処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれかに記載の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物から成る、高炉用又は火力発電用の燃料。
【請求項13】
請求項8に記載の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物から成る、高炉用又は火力発電用の燃料。
【請求項14】
請求項10に記載の医療廃棄物処理装置により処理された医療廃棄物から成る、高炉用又は火力発電用の燃料。

【国際公開番号】WO2005/075119
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517594(P2005−517594)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001151
【国際出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【出願人】(598070603)夏原工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】