説明

医療機器のためのポリマーネットワークシステム及び使用方法

医療機器上にコーティングを作製する方法が開示され、この方法は、組成物をこの機器の少なくとも一部と結合させて層を形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、組成物は第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含む複数のモノマー単位の室温溶融物から調製されたコポリマーを含み、この第2のモノマー単位は、第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度は、そのモノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照として本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第60/451333号(2003年2月28日出願)に対する利益を主張する。
【0002】
共有に係る譲渡されかついくつかの内容に関して関連し得る他の同時係属出願は、優先権の主張なしに参照として本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/179453号(2002年6月26日出願)及び同第10/750706号(2004年1月5日出願)である。
【0003】
本発明は一般的に、医療機器用のコーティングの分野に関し、特定の実施形態は、この医療機器を使用した薬物送達に関する。
【背景技術】
【0004】
コーティングされた医療機器(例えば、ステント、カテーテル、ガイドワイヤ、血管グラフトなど)は、多数の医療手順において頻繁に使用される。これらの機器の有用性は、この機器から患者内の特定の部位へと送達又は放出され得る、この機器上にコーティングされた治療用材料、診断用材料、潤滑材料又は他の材料によって増強され得る。ステント及びカテーテルなどの医療機器を利用するいくつかの医療手順に関して、制御された様式で患者内で治療薬又は診断剤を放出する、コーティングされた医療機器を提供することが所望される。
【0005】
医療機器コーティング中に薬物を導入するための従来の技術は、この機器にコーティングを適用すること、溶媒中に溶解された薬物の存在下でこの溶媒中でコーティングを膨潤させること、及びこの溶媒を除去することである。コーティングの膨潤により、この薬物はコーティングに完全に浸透でき、溶媒が除去された後にこの薬物が残存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書中に示されるものは、コポリマー−薬物の組み合わせが機器上にコーティングされる前にコポリマー中に薬物を充填するステップを含む技術である。医療機器上にコーティングを形成するためにコポリマー−薬物が1つの層又は一連の層で配置され得るので、このプロセスは有利である。コーティングは、改善された接着及びこの機器が移植された場合に有用な他の特性のために、この機器と密に接触する。さらに、コーティングは、代替的プロセス(例えば、シースを成型すること又はこの機器の周囲にシースを当てること)よりも簡便に生産プロセスに適合される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、治療薬の送達のために医療機器上にコーティングを作製する方法である。例えば、この方法は、組成物を機器の少なくとも一部と結合させて第1の層を形成することによって実施され得、この組成物は、少なくとも約2500の分子量を任意選択で有するコポリマーと結合した治療薬を含み、このコポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含み、この第2のモノマー単位は、第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度は、そのモノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される。このような方法は、モノマー単位が医療機器と結合された後に、これらのモノマー単位を重合させてコポリマーを形成して、任意選択で実施され得る。
【0008】
別の実施形態は、治療薬の送達用の医療機器のためのコーティングである。このコーティングは、機器の少なくとも一部と結合した組成物を有する層を含み得、この組成物は、少なくとも約2500の分子量を任意選択で有するコポリマーと結合した治療薬を含み、このコポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含み、この第2のモノマー単位は、第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度は、そのモノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される。このような方法によって形成されたコーティングは、第1の層の少なくとも一部と接触する第2の層を任意選択で含み得、この第2の層及び第1の層は異なる組成を有する。
【0009】
別の実施形態は、組成物を機器の少なくとも一部と結合させて層を形成することによって医療機器上にコーティングを作製する方法であり、この組成物は、少なくとも約2500の分子量を任意選択で有するコポリマーを含み、このコポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含む複数のモノマー単位の室温溶融物から調製され、第2のモノマー単位は、第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度は、そのモノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される。このような方法は、モノマー単位が医療機器と結合された後に、このモノマー単位を重合させてコポリマーを形成して、任意選択で実施され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
コポリマー−薬剤複合体が引き続く処理ステップ(例えば、医療機器上に層を形成するステップ)において使用され得るように、治療薬との結合を形成するコポリマーが記載される。特定の理論に限定されないが、コポリマードメインによって示される有利な特性は、得られた高分子の1次構造、2次構造及び/又は3次構造の結果であり得る。これらのドメインは、図1A中に示されるように、これらのコポリマー上のブロックの結合によって生成され得る。特に、治療薬は、これらのコポリマーによって形成された微細空洞中に捕捉され得る。これらのドメインは、熱力学的力及びブロックを結合させるブロック間の化学的結合に起因しておそらく形成される。この現象は、治療薬を運搬及び放出するための増強された特性を有する材料を作製するために、有利に活用され得る。
【0011】
本明細書中の実施形態は、例えば、異なるガラス転移温度(Tg)を有するブロックを有するコポリマーを含む。有意に異なるガラス転移温度を有するブロックは、ドメインの生成を生じる化学的特性を典型的に有する。さらに、これらのブロックとの治療薬の結合は、少なくとも約30℃、50℃又は70℃異なるTg、或いはこれらの特定の範囲の部分範囲内のTgで達成され得る。さらに、これらのブロックの組み合わせは、このようなコポリマーを有するインプラントを受容する患者の生理学的温度と適合性のある平均Tgを有するように作製され得る。従って、コポリマーは、1つ又は複数のすでに記載された他の特徴に加えて、約37℃の生理学的温度に近い平均Tgを有するモノマー単位の組成を有するように作製され得る。Tgの計算及び決定は、以下により詳細に考察される。
【0012】
特定の理論に束縛されないが、これらのブロックの形成は、本明細書中に記載されるポリマーの特性のいくつかに寄与し得る。図1Aを参照すると、コポリマー301は、より高いTgのモノマー単位302と比較して相対的に低いTgを有するモノマー単位300で示される。これらのモノマー単位が反応して、ブロックを含み得るコポリマーを形成する。低いTgのモノマー単位300及び高いTgのモノマー単位302はそれぞれ、ドメイン303及び304を形成する傾向があり得る。以下に考察されるように、このようなモノマー単位によって形成されたホモポリマーのTgと等しいTgを有するとしてモノマー単位を記載することにより、コポリマー301及び303、304などのドメインの特性についてのいくつかの有用な近似が提供される。このようなモノマー単位によって形成されたホモポリマーのTgと等しいTgを有するとして303、304などのドメインに言及することにより、いくつかの有用な洞察もまた提供される。一般的な見方で、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、鎖の幾何学、鎖の可撓性及び分子凝集に依存する。ドメインは、鎖の幾何学、鎖の可撓性及び分子凝集に影響を与えるので、ポリマー中のドメインは、Tgにおいて影響力を有する。
【0013】
図1Bは、低いTgのドメイン303及び高いTgのドメイン304を有する単一のコポリマー301を示し、高いTgのドメイン304は、高いTgのドメイン304のTgより低い温度かつ低いTgのドメイン303のTgより高い温度で特により規則正しい。治療薬306はドメイン304との結合を形成する。このような結合は、例えば、イオン性相互作用、極性相互作用又は疎水性−親水性相互作用によって駆動され得る。周囲温度が上昇してモノマー単位302のTgに近づくにつれて、これらのドメイン304は、より高い可動性を有し、治療薬306をより迅速に放出すると予測される。
【0014】
図1Cは、低いTgのドメイン303及び高いTgのドメイン304を有するコポリマー301を示す。コポリマー301のコンフォメーションは、治療薬308を捕捉する。このようなコンフォメーションは、液体中又は固体(例えばポリマー層)中で達成され得る。液体には、例えば、水又は有機溶媒を含む溶融物又は組成物が含まれ得る。
【0015】
図1Dは、複数のコポリマー301を含む組成物310を示す。このような組成物は、例えば、液体又は固体(例えば層)であり得る。ドメイン304は、互いに結合を形成して、結合事象又は他の結合がドメイン304と治療薬306との間で生じるのを可能にする。或いは、ドメイン304は、治療薬308を含む微細空洞を有するコンフォメーションを形成し得る。このような微細空洞は、治療薬308とのドメインの結合及び治療薬308の周囲でのパッキングの結果として形成し得る。或いは、ドメイン304の剛性は、治療薬308によって引き続いて占有され得る微細空洞であるパッキングの不足を生成し得る。
【0016】
ガラス転移温度及びポリマー用語論
本明細書中に記載されるコポリマーの特定の実施形態は、Tgと称される特性に関する。Tgは、非晶性ポリマー(又は部分的に結晶性のポリマー中の非晶性領域)が、硬く比較的脆い状態から粘性又はゴム状の状態に変化する温度である。ガラス転移温度は、差示走査熱量測定(DSC)又は差示熱分析などの方法によって測定され得る。他の方法論には、体積膨張係数、NMR分光法及び屈折率が含まれる。Tgはポリマーの特性である。
【0017】
ポリマーは、反復したサブユニットからなる分子である。各サブユニットは、本明細書中でモノマー単位と称される。数個のモノマー単位のみのポリマーはしばしば、オリゴマーと称される。モノマー単位は、反応性モノマーの反応生成物であり得るが、その意味に限定されない。反応性モノマーが反応して、モノマー単位のポリマーを形成する。用語ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー及びオリゴマーの意味を含む。図2はモノマー単位の例を示し、このような単位から形成されたホモポリマーのTgもまた示す。他のホモポリマーのTgは以下のとおりである:ポリブチルアクリレート−49℃、ポリ(tert−ブチルメタクリレート107℃、ポリ(ブチルメタクリレート−co−イソブチルメタクリレート)35℃、ポリ(ブチルメタクリレート−co−メチルメタクリレート)64℃、ポリエチルアクリレート −23℃、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)−55℃及びポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)−10℃。これらのホモポリマーのTgは当業者に公知であり、公然の供給源(例えば、ALDRICHカタログ、ポリマー百科事典及びPolysciences Inc Polymer & Monomer Catalog)から容易に入手可能である。そして例えば、米国特許第6653426号は、他の詳細を提供する。
【0018】
本明細書中のいくつかの実施形態は、特定のTg値又はTg平均を有するコポリマーに関する。他に特定されない限り、平均Tg値は、そのモノマー単位の重量に基づいて計算されるべきである。代替的方法は、モル重量によって平均を計算することである。本明細書中で、モノマー単位を有する組成物についての重量によって平均Tgを計算する場合、以下の式が使用される:
【数1】


式中、W1、W2、W3、Wnはそれぞれ、第1のモノマー単位、第2のモノマー単位、第3のモノマー単位及び第nのモノマー単位の重量(例えばグラムでの)を示し、Tg1、Tg2、Tg3及びTgnはそれぞれ、第1のモノマー単位、第2のモノマー単位、第3のモノマー単位及び第nのモノマー単位のホモポリマーのTgである。ホモポリマーのTgは、約20,000までMWによって変動し、その結果、ホモポリマーのTgは、約20,000のMW以上の分子量で、慣習的にそのTgとみなされる。この手順は、コポリマー中に配置されたモノマー単位の組成物の平均Tgを計算するために使用され得る。
【0019】
ポリマーの他の態様は、平均ポリマー重量を計算することに関する。1つのこのような方法は重量平均分子量であり、これは以下のように計算される:いくつかのポリマー分子を計量し、これらの重量の二乗を加算し、次いでこれらの分子の総重量によって除算する。数平均分子量は、ポリマーの分子量を決定する別の方法である。数平均分子量は、n個のポリマー分子の分子量を測定し、これらの重量を合計し、nで除算することによって決定される。ポリマーの数平均分子量は、例えば、浸透圧測定、末端基滴定及び束一的性質によって決定され得る。
【0020】
ポリマーはブロックを含み得る。一緒に連結された一連の同一のモノマー単位はブロックを形成する。ポリマーは、ブロックを有さなくても複数のブロックを有してもよい。ポリマーの群由来のブロック又は1つのポリマー由来のブロックが、互いに結合してドメインを形成し得る。熱力学的力がドメインの形成を促し、ブロック間の化学的結合がこの原動力に寄与する。例えば、いくつかのブロックは、イオン−イオン相互作用又は疎水性−親水性力の結果として、互いに結合する傾向があり得る。従って、ある条件において、親水性ブロック及び疎水性ブロックを有するポリマーの組成物は、疎水性ブロックを有するドメイン及び親水性ブロックを有するドメインを形成すると予測され得る。コポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマー単位を有するポリマーである。あるコポリマーはブロックを有するが、他のコポリマーはランダム構造を有し、あるコポリマーは、ブロック及びランダムコポリマー結合の領域の両方を有する。コポリマーは、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー又は他のコポリマーから作製され得る。コポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマー単位から作製されたオリゴマーを包含する用語である。反応性コモノマーは、2つより多いモノマーを含み得る用語である。
【0021】
ポリマー、Tg、及び所定のTg差異を有するモノマー単位を有するコポリマー
本明細書中の特定の実施形態は、それらの間に選択された差異を有するTgを有するホモポリマーを形成するモノマー単位から形成されたコポリマーに関する。モノマー単位はしばしば、本明細書中で、このモノマー単位から形成されたホモポリマーのTgを意味するTgを有するといわれる。作用の特定の理論に束縛されないが、本明細書中に示される所定の差異はドメイン形成に寄与し、その結果、特定の所望のポリマー特性が増強されると考えられる。1つのこのような特性は、治療薬とドメインとの増強された結合である。ドメイン−ドメイン相互作用は、治療薬のための小さい微細空隙を生成し得るか、又は結合若しくは静電相互作用であり得る治療薬との化学的結合を形成し得る。
【0022】
モノマー単位間の適切な所定のTg差異には、少なくとも約30℃、少なくとも約50℃及び少なくとも約70℃が含まれる。モノマー単位のTgにおける他の適切な差異は、約30℃〜約500℃、約50℃〜約300℃及び約70℃〜約200℃の範囲内である。当業者は、本開示を読んだ後に、これらの明示的に記述された範囲内の全ての範囲及び値が企図されることを理解するであろう。
【0023】
Tgは、コポリマーの組成物のブロック又はドメインの可動性の間接的な近似の指標である。薬剤との非共有結合的な化学的結合又は物理的結合を有するコポリマーについて、より高い可動性又はより低いTgは、その薬剤のより速い放出を生じると予測される。放出に影響を与える他の因子は、薬剤のサイズ、その化学的特徴及びその薬剤の周囲でのポリマーとの結合の程度である。いくつかの化学的特徴は、例えば、親水性、形状/サイズ、電荷の存在及び極性である。しかし、薬剤の最も所望される放出速度は、その適用に高度に依存する。ある状況は迅速な放出を要求し、ある状況は徐放を要求し、そしてある状況は迅速なバーストとその後の徐放とを要求する。さらに、複数の薬剤がポリマー又は層又はコーティングと結合され得、その結果、Tgはその薬剤の化学的性質を反映するように調整される。
【0024】
ポリマーが層中に配置される場合、この層からの放出速度はドメインのサイズに少なくとも部分的に依存し、より小さいドメインはより大きいドメインよりも迅速に薬剤を放出すると考えられる。或いは、これらのドメインは、微小空洞を生成する不規則な形状及び配向を有し得る。次いで、より大きいドメインは、微小空洞の品質に影響を与えるように、この層中にあまり充分にパッキングされない可能性がある。これらの微小空洞は、この層を通って放出されるように移動する治療薬を受容し得る。或いは、これらのドメインは、折り畳まれた形状中に治療薬を受容する微小空洞を生成するように、溶融物又は溶液中で3次元形状にこれらのドメインを折り畳ませる不規則な形状及び配向を有し得る。これらの理由全てのために、所定のTg差異を有するモノマー単位からポリマー(例えばコポリマー)を作製し得ることは有用である。さらに、これらの考慮事項は、特定の範囲内のTgを有するように調整され得るコポリマーシステムを有する利点を指摘する。
【0025】
薬剤放出を制御するための重要な因子は、患者の身体中(又は身体上)での薬剤放出適用のための特定の平均Tgを達成することであると認識されているが、本明細書中の実施形態は、コポリマーの異なるモノマー単位の化学的組成及びそれらの対応するTgに基づく薬剤の放出及び溶出の制御に関して有意な進歩を記載する。コポリマー設計のこの洗練された使用は、特定の値より高いか又は低いTgを有するポリマーを選択することによって達成され得る、ポリマーからの薬剤放出の有意な態様の認識をはるかに超えて大いに役立つ。
【0026】
コポリマー中のモノマー単位についての所定のTg差異を選択することに加えて、他の実施形態は、モノマー単位のセットを選択することに関し、特定のTgはこのセットの平均Tgに関する。いくつかの実施形態において、特定の平均Tgを選択することが有利である。例えば、治療薬が充填されたポリマーインプラントは、生理学的温度に近いTgを有するポリマー又はコポリマーで作製され得る。ポリマー中のモノマー単位のTgは、得られたポリマーのTgの近似を提供する。従って、モノマー単位の組成物の重量Tg平均が、所望の特性を有するコポリマーを作製するために選択され得る。或いは、他の適用は、その適用についての温度での変化(例えば、低温保存(cryostorage)から過熱されたスチームへの移動、CO保存からオーブンへの移動、冷凍庫から沸騰への移動、冷却器から熱水浴への移動など)を達成するために適切な平均Tgを要求する。本明細書中に示されるようなコポリマー及びポリマーについての重量Tg平均には、約−200℃〜約500℃、約−80℃〜約250℃、約−20℃〜約100℃、約0℃〜約40℃が含まれる。当業者は、本開示を読んだ後に、これらの明示的に記述された範囲内の全ての範囲及び値が企図されることを理解するであろう。
【0027】
当業者は、広範な種々のポリマー、反応性モノマー及び官能基を熟知している。ポリマーの例には以下が含まれる:ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアリルアミン、ポリアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリブタジエン、ポリカルボメチルシラン、ポリ(カーボネート)ウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エーテル)ウレタン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ無水マレイン酸、硝酸セルロース、カルボキシルメチルセルロース、デキストラン、硫酸デキストラン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリブテン、ポリマレイン酸、フルオロポリマー、不飽和ポリマー、ポリイソプレン、ポリメラミン、ポリスルホン、ポリ尿素、バイオポリマー、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、並びにそれらのコポリマー及びターポリマー。モノマー単位及びこれらのモノマー単位と結合した反応性モノマーは、当業者に公知である。
【0028】
モノマー単位の例には以下が含まれる:ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネートエチルメタクリレート、N−アクリロキシスクシンイミド、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリセロールモノメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びそれらの組み合わせ。これらのモノマー単位と結合した反応性モノマーは当業者に公知である。
【0029】
いくつかの実施形態において、反応性モノマーは、二官能性モノマーであり得るが、他の実施形態において、これらのモノマーは、三官能性モノマー又は多官能性モノマーであり得る。さらなる実施形態において、これらの反応性モノマーは、二官能性モノマー、三官能性モノマー及び/又は多官能性モノマーの組み合わせを含む。
【0030】
官能基の例には以下が含まれる:ヒドロキシル、アミン、カルボキシル(carboxylic)、アルデヒド、ケトン、チオール、アリル、アクリレート、メタクリレート、ブチルアクリレート、イソシアネート、エポキシド、アジド、アジリジン、アセタール、ケタール、アルキン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、ヒドロキシアルデヒド及びヒドロキシケトン、アレン、アミド、ビスアミド、アミノ酸及びアミノエステル、アミノカルボニル化合物、メルカプタン、アミノメルカプタン、無水物、アジン、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ボラン、カルバメート、カルボジイミド、カーボネート、ジアゾ化合物、イソチオネート、ヒドロキサム酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシアミン及びヒドロキシアミド、ヒドロキシルアミン、イミン、ラクタム、ニトリル、スルホンアミド、スルホン、スルホン酸並びにチオシアネート。
【0031】
ポリマー(例えばコポリマー)は、当業者に公知の種々のプロセスによって作製され得る。ポリマー及びコポリマーは、例えば、反応性のモノマー、ポリマー、オリゴマー、コポリマー及びそれらの組み合わせから、種々の反応スキームを使用して作製され得る。反応スキームの例には、フリーラジカル重合、付加重合、縮合重合、求電子反応/求核反応、ウレタン反応及びそれらの組み合わせが含まれる。ポリマーを形成する反応は、いくつかの場合、開始剤によって開始され得る。重合開始剤の例には、例えば、熱開始剤、UV開始剤、フリーラジカル開始剤、電磁開始剤、重合触媒及びそれらの組み合わせが含まれる。フリーラジカル開始剤には、例えば過酸化物が含まれる。
【0032】
いくつかの実施形態は、反応性官能基を有するポリマー(例えばコポリマー)に関する。このようなポリマーを作製する方法には、例えば、反応性官能基との共有結合を形成することなくモノマー単位を合体させる結合を生成する反応スキームを使用することが含まれる。別の方法は、官能基をポリマーに連結するためのさらなる化学反応を使用することによって、ポリマーが形成された後にポリマーを誘導体化することである。いくつかのスキームは、新たな反応性官能基を付加又は生成するためにポリマー上の官能基を反応させることを含むこれらの方法の組み合わせである。多数のこのような反応は当業者に公知である。
【0033】
特定の実施形態は、反応性モノマー又は他の反応性成分の溶融物からコポリマーを作製することに関する。材料の溶融物は、溶媒又は稀釈剤をほとんど又は全く有さないそれらの材料の組成物であり、流動性であるがしばしば高度に粘性の液体である。この溶融物中の高濃度の反応可能な成分は、例えば、さらなる希釈組成物よりも相対的に高い分子量を有するコポリマーを形成することを補助することによって、いくつかの状況において有利であり得る。約5容量%未満の溶媒を有する溶融物は、本明細書中でその用語が使用される場合、溶融物と考えられる。純粋な溶融物は、溶媒又は稀釈剤を本質的に有さない溶融物である。
【0034】
いくつかの実施形態は、特定の分子量(MW)又はMW範囲を有するポリマー(例えばコポリマー)に関する。一般に、ポリマーは、その組成物内のポリマー鎖の集合に対応する分子量の分布を有する。ポリマーのMWは通常、その可動性、そのコンフォメーション及び他のポリマー特性に関する。いくつかの実施形態は、所望のポリマー特性を生じさせるために、少なくとも2,500の平均分子量を有し得る。他の平均MW及び平均MWの範囲は、少なくとも5,000、少なくとも25,000、少なくとも100,000、少なくとも500,000、1,000と10,000,000との間、及び2500と1,000,000との間である。当業者は、これらの明示的な限定及び範囲内の全てのMW値及びMW範囲が企図されることを理解するであろう。
【0035】
いくつかのポリマーは優勢に親水性である。このようなポリマーは、水で濡らした場合、潤滑として特徴付けられ得るつるつるした感じを有する。潤滑性は、いくつかの機器及びいくつかの医療機器表面において有用な品質である。潤滑な表面は最小の摩擦で患者中の組織と接触し得るので、この表面は、例えば、移植を容易にするのに役立つ。
【0036】
医療用インプラントのためのポリマーは、好ましくは、このインプラントを受容する患者と生体適合性である。当業者は、特定の状況に適切な生体適合性の品質を認識している。例えば、インプラント中の毒性の浸出可能物の存在は、ほとんどの状況において材料を非生体適合性にする。さらに、免疫原性をほとんど又は本質的に有さないという特性は、いくつかの適用に適切であると認識される。
【0037】
実施例は、本明細書中に記載されるポリマーの種々の実施形態を提供する。当業者は、これらの実施例を読んだ後に、本明細書中に記載されるコポリマーを作製及び使用する種々の実施形態を実施するために、これらの実施例中に教示される方法を適合及び適用することが可能である。実施例1は、所定のTg差異を有するモノマー単位を有するコポリマー、特に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレートの調製を記載している。ブチルアクリレートはTg−54℃のホモポリマーを形成し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートはTg57℃のホモポリマーを形成し、ブチルメタクリレートはTg20℃のホモポリマーを形成する。これらの反応性モノマーは、それぞれ10:11:29の重量比で混合した。従って、モノマー単位の近似の平均Tgは、[(10)(−54)+(11)(57)+(29)(20)]/(10+11+29)=48℃である。実施例2は、異なる重量比で同じモノマー単位を使用する代替的な実施形態を示す。実施例3〜6は他の代替的な実施形態を示し、これらの実施例中、コポリマーは特定のTg差異を有するモノマー単位を有する。
【0038】
ヘパリンメタクリレート−co−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレートの作製を記載する実施例6は、化学的に結合した抗凝固剤が、モノマーサブユニットの1つとしてコポリマー中に如何に取り込まれ得るかを示す。ヘパリンは、反応性モノマーと重合可能な反応性官能基単位で修飾した。こうして取り込まれたヘパリンは高度に安定である。他の抗凝固剤が類似の様式で取り込まれ得る。このような抗凝固剤には、例えば、ワルファリン、ヒルジン、硫酸デキストラン、ヒアルロン酸及びそれらの誘導体が含まれる。
【0039】
実施例9は、引き続いて共有結合を形成するための反応性官能基を有するポリマー(例えばコポリマー)の調製を示す。実施例9において、コポリマーを反応性モノマーで修飾した。この反応性モノマーは、引き続く重合及び他のポリマーとの架橋のために利用可能である。使用した特定の例は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート−メタクリレート)であった。他の実施例は、使用におけるこのコポリマーを示す。実施例18は、求核剤と反応して共有結合を形成し得る反応性官能基を有するコポリマーを記載する。このコポリマーは、適切な反応性官能基を有する他のポリマーとの架橋を引き続いて形成し得るイソシアネート基を有する。実施例19は、求電子剤と反応して共有結合を形成し得る反応性官能基を有するコポリマーを記載する。実施例19は、反応性求電子剤を有するコポリマーが、如何に反応性求核剤を有するポリマーと反応してこれらの間に共有結合を形成し得、それによってこれらのポリマーを架橋し得るかをさらに記載する。
【0040】
層の形成
本明細書中に教示されるポリマー(例えばコポリマー)は、コーティングを形成するために使用され得る。ポリマーコーティングは物体の上に形成される。対照的に、他のポリマー構造体(例えば、シース、スリーブ、メンブレン及び成型物体)は、特定の機器とは別個に製造され得る。結果として、コーティングは、他のタイプのポリマー構造体とは別個である。例えば、スリーブ、シース又はメンブレンは、物体に結合される前にその同一性を維持するように、特定の最小の機械的頑健性を要求する。さらに、コーティングのプロセスは、しばしば所望されるコーティングと機器との間の接触の緊密さを生成する。この理由のために、いくつかのプロセスは、他の製造手順の代わりにコーティングするステップを含む。さらに、物体をコーティング(例えば、噴霧(スプレー)又は浸漬)するいくつかのプロセスは、他のプロセスでは入手できない物理的特性又は処理の機会を生成する。さらに、ポリマー機器に関する教示は、これらの差異に起因してコーティングに適用可能でない可能性がある。
【0041】
しかし、コーティングは可変性の特徴を有し得ることが認識されている。従って、コーティングは、いくつかの箇所で表面と不連続であり得、コーティングとしてのその特徴をなお保持する。コーティングはまた、単一の層又は複数の層で形成され得る。コーティング及び層は、可変性の厚さ、可変性の組成、可変性の化学的特性を有し得る。コーティング及び層は、表面の全て又は一部分を被覆し得る。層は、例えば、コーティングを生成するために他の層上に重ねられ得る。
【0042】
物体(例えば医療機器)上に層を形成するためのプロセスには、噴霧することによって機器に組成物を適用するステップ又はポリマー層を形成するために機器を組成物中に浸漬するステップを含み得る。これら及び他の方法は、当業者に一般に公知である。本明細書中に教示されるポリマーは、医療機器上に層で形成され得、この層には、機器の全てを被覆する層、機器の一部分を被覆する層及び他の層上の層が含まれる。互いに接触する層は、例えば、これらの層中のポリマー間の共有結合架橋によって、互いに架橋され得る。
【0043】
層のいくつかの実施形態は、ポリマー(例えばコポリマー)の組成物を調製し、その組成物を表面に適用することによって形成される。他の実施形態は、反応性モノマーの組成物を機器又は層に適用し、重合を開始して反応性モノマーから層を形成することによって形成される層である。同様に、ポリマーは、機器又は層に適用され得、その場所で反応して層を形成し得る。
【0044】
層はまた、一緒に架橋され得る。1つの方法は、反応性官能基の第1のセットを有する第1の層を適用し、この官能基の第1のセットとの共有結合架橋を形成する反応性官能基の第2のセットを有する反応性官能基を有する第2の層を適用することである。第1の層及び第2の層は、任意の順序(例えば、第1の層で開始して次いで第2の層、又はその逆)で適用され得る。さらなる層は、同様に形成及び使用され得る。
【0045】
層は、単一のタイプのポリマー、複数のポリマー、単一のタイプの反応性モノマー、複数の反応性モノマータイプ又はそれらの組み合わせから作製され得る。例えば、単一のタイプのコポリマーが使用され得るか、又は各々別々に調製された複数のコポリマーが使用され得る。又は、単一の反応性モノマーが、反応可能なポリマー又は反応不能なポリマーと混合され得る。
【0046】
いくつかの層が、機器と接触して引き続いて適用される層を係留するように作用するベース層を提供するために有用である。例えば、反応性官能基を有する第1の層が機器に適用され得、引き続く層がこのベース層と架橋され得る。治療薬は、ベース層、引き続いて適用される層又はこれら両方の層と結合され得る。治療薬を有する層に上敷きされる層は、下敷き層中の治療薬の放出を遅延させるように有用に作用し得る。このような層は、一緒に架橋されていてもされていなくてもよい。層は、単一のタイプの官能基又は複数のタイプの官能基を有し得、同じ反応性官能基、類似の反応性官能基又は相補的な反応性官能基を有する他の層と反応し得る。例えば、反応性モノマーを有する層は、同じ種又は異なる種の反応性モノマーを有する別の層と反応し得る。層中のポリマーは、単一のタイプの反応性官能基又は複数のタイプの反応性官能基を有し得る。
【0047】
いくつかの層は、例えば表面化学を使用して、他の層を化学反応させることによって形成される。例えば、層は、それらと反応する官能基を有するポリマー又は非ポリマーの化学組成物に曝露される反応性官能基を有し得る。又は、例えば層は、それらと反応可能な反応性官能基に曝露され得る。例えば、層は、光によって誘発されてこの層と反応する光活性化可能な分子の組成物に曝露され得る。又は、求核基を有する層は、その求核剤と反応する求電子基を有する分子の組成物に曝露され得る。例えば、実施例12は、ヘパリンアジドと反応する層を記載する。
【0048】
任意のこれらの層は、治療薬と結合され得、治療薬の存在あり又はなしで医療機器上に形成され得る。治療薬は、機器へのその適用の前、その間又はその後に、層の成分と結合され得る。従って、層及び治療薬は、本質的に同時に機器に適用され得る。このような適用は、例えば、製造の容易さのためのいくつかの利点を有する。例えば、コポリマーは治療薬と結合され得、このコポリマー−治療薬結合物が、機器に適用され得る。又は、例えば治療薬は、引き続いて活性化されて新たなコポリマーを形成する、表面に適用される組成物の一部であり得る。上に示したように、特定のコポリマーが治療薬と有利に組み合わされて、この薬剤の送達を達成し得る。
【0049】
治療薬は、コポリマーが機器に適用される前にそのコポリマーと結合され得る。このコポリマーは調製され得、次いでその薬剤のための溶媒を含む溶液に曝露され得る。この薬剤及びコポリマーは相互作用させられ、この薬剤は、おそらく上で考察したようなドメイン又は微細空洞との結合によって、コポリマーと結合する。或いは、治療薬は、コポリマーを形成するために使用される溶融物に添加され得る。
【0050】
又は、治療薬は、この薬剤及びコポリマーが機器に本質的に同時に適用されるのと本質的に同時にコポリマーに曝露される。この薬剤及びコポリマーは、同じ溶媒又は異なる溶媒中に存在し得るか、或いは担体剤である同じ非溶媒又は異なる非溶媒中に存在し得る。非溶媒中のこのコポリマー及び薬剤の一方又は両方の適用は、得られた層に影響を与える。例えば、溶媒中に配置されたコポリマー及びそのコポリマーのための非溶媒中に配置された薬剤は、治療薬を捕捉するためのリザーバ(例えば微細空洞)を形成することを補助し得る。非溶媒及び溶媒は、幾分広く使用される用語であり、それらの厳密な意味を含み、かつまた他の物質で希釈された混合物も含む。これらの用語は、特定の適用に関して適用され、しばしば比較的良好な溶解力又は比較的乏しい溶解力を示す意味が付与される。
【0051】
治療薬は、層が機器に適用された後にその層と結合され得る。1つの方法は、その薬剤を含む混合物に層を曝露させることである。この混合物は、薬剤及び層の両方にとって比較的良好な溶媒を含み得、その結果この層は膨潤され、薬剤がこの層を通って移動する。溶媒が除去されると、薬剤は層中に残される。実施例15及び16はこの方法を実証しており、本明細書中に教示されるようなコポリマーに有効であることが示された。
【0052】
これらの実施例は、本明細書中に教示される層の種々の実施形態を提供する。当業者は、これらの実施例を読んだ後に、本明細書中に教示される層及び他の実施形態を作製及び使用する種々の実施形態を実施するために、これらの実施例において教示された方法を適合及び適用することができる。実施例8は、医療機器への層の適用を記載し、例としてステントを使用している。実施例1のコポリマーを、噴霧プロセスを使用して治療薬と本質的に同時にステントに適用した。この薬剤及びコポリマーは両方とも、同じ有機溶媒中に存在した。パクリタキセルは、この方法を使用して有効に充填された。噴霧もまた、他の実施例中で使用した。こうして形成された層は次いで、インプラントとして又は引き続く層の付加のためのベースとしての使用に利用可能であった。
【0053】
実施例10は、本明細書中に教示されるようなポリマー(例えばコポリマー)を医療機器上に適用するための方法を示す。これらの方法は、複数の層を形成することを含み得、第1の層が、他の層の配置と同時か又はその後に、別の層と共有結合により架橋される。ステンレス鋼冠状ステントを例示目的のために使用した。この実施形態において、第1の反応性ポリマー層が配置され、その後治療薬を含む第2の反応性ポリマー層が配置され、自発的に作用する開始剤を使用した。両方のポリマー層が、層を互いに架橋するための反応性官能基としてメタクリレートを有した。この実施例は、発泡性医療機器(例えば、ステント又はバルーン)上での使用に適切な機械的特性をさらに示した。パクリタキセルは、有効に充填及び放出された。実施例11は、熱開始剤の使用を実証する代替的実施形態である。
【0054】
実施例13は、医療機器上での複数の層の形成及びこれらの層を架橋する方法を示す。第1の層は、第2の層を形成すると同時にこの第2の層を第1の層と架橋させるために、第1の反応性モノマーと重合される反応性モノマーの組成物と共有結合を形成するために使用される第1の反応性モノマーを有した。その治療薬は最も外側の層と結合されたが、最も内側の層又は両方の層と結合され得る。この場合、この治療薬は、この薬剤の存在下で第2の層を重合させることによって第2の層中に充填された。この方法は、この薬剤を有効に充填した。例えば、図7を参照のこと。実施例14は、この場合治療薬の存在下での、重合を開始するための別のスキームの使用を示したこの方法の代替的実施形態である。実施例16は実施例13と類似しているが、この治療薬は、これらの層の配置後まで導入されなかった。この方法は、この薬剤を有効に充填した。
【0055】
実施例17は、第2の層に架橋された反応性官能基を有するコポリマーである第1の層で医療機器をコーティングするための方法を示す。第1の層は第2の層を係留し、この第2の層が治療薬を含んだ。この薬剤は、第2の層と本質的に同時に適用した。第2の層の重合の開始を、熱開始剤の使用及び熱の適用によって、第2の層の成分の配置後に実施した。代替的開始剤が使用され得る。第2の層の開始及び本質的に同時の重合は、開始剤を第2の層の成分と共に適用すると同時に、例えば熱開始剤に熱を適用することによってか、UV開始剤にUVを適用することよってか又は自発的開始剤の使用によって、重合を開始することによって達成され得る。
【0056】
実施例18は、層のうち1つ中の反応性コポリマーを使用することによる複数の層の適用を実証する。この場合、機器に適用された層は、求核剤との共有結合を形成し得る反応性官能基を有した。反応性コポリマーの組成物を表面上に噴霧して第1の層を形成し、次いでこの第1の層と反応するポリマーの層で被覆した。このポリマーは親水性かつ潤滑性であるように選択したが、第1の層と反応するための適切な化学基を有する他のポリマーが選択され得る。一実施形態を治療薬なしに実施し、別の実施形態を薬剤ありで実施した。この場合、この薬剤は第2の層が形成された後に添加した。この方法は成功した。同様に、本明細書中に教示されるような他の開始及び重合のスキームが使用され得る。
【0057】
実施例20は、機器上での複数の層の形成を示す。この実施形態において、これらの層のうち1つは治療薬を有し、他の層は治療薬を有さなかった。薬剤を有さない層を、その薬剤が最初に配置された層中の薬剤の放出を遅延させるために適用した。第2のポリマー層は、バルク中への活性薬剤の拡散を制御することを補助した。実施例21は類似の方法で実施したが、2つの層が一緒に架橋される。図9は、これらのシステムについての放出プロフィールを示す。
【0058】
図3を参照すると、ポリマーネットワークコーティング100は、第1のポリマー層101及び少なくとも第1のポリマー層101と反応して第2の層102を形成し得る反応性モノマーを含む。いくつかの実施形態において、このポリマーネットワーク100は、このポリマーネットワーク100の第2の層102内に位置するドメイン又は微細空洞104を含む。いくつかの実施形態において、治療薬106が、このポリマーネットワーク100中に取り込まれる。一実施形態において、活性薬剤106は、第2の層102の微細空洞104中に配置される。いくつかの実施形態において、これらのドメイン又は微細空洞のサイズは、ほぼ活性薬剤のサイズ(例えば、分子量又は寸法)であり得る。微細空洞104のサイズ及び形状はまた、異なる反応性モノマーの混合物又は比率を使用することによって変動し得る。いくつかの実施形態において、ポリマー層101は、非血栓形成性及び/又は抗血栓形成性のポリマーを含む。一般に、これらの反応性モノマーは、得られたポリマーネットワーク100が医療用途に適切であるように選択されるべきである。
【0059】
いくつかの実施形態において、活性薬剤106は水溶性であり得るが、他の実施形態において、活性薬剤106は有機溶媒中で可溶性であり得る。さらなる実施形態において、ポリマーネットワーク100は、水溶性の活性薬剤と有機溶媒溶解性の活性薬剤との混合物を含み得る。当業者は、さらなる活性薬剤が本開示の範囲内であることを認識する。
【0060】
いくつかの実施形態において、活性薬剤106は、ポリマーネットワーク100の空洞104中に配置される。一実施形態において、活性薬剤106は、溶媒中に活性薬剤106を溶解し、次いでポリマーネットワーク100を活性薬剤/溶媒混合物でコーティングすることによって、このポリマーネットワーク100の空洞104中に配置され得る。一旦溶媒がエバポレートされると、この活性薬剤106は、ポリマーネットワーク100の空洞104中に配置され得る。或いは又はさらに、第2の層102が形成されるにつれて活性薬剤106がポリマーネットワーク100の第2の層102中に配置されるように、活性薬剤106を反応性モノマーと混合することによって、これらの活性薬剤106はポリマーネットワーク100の空洞104中に配置され得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、活性薬剤106は、微細空洞104を介してポリマーネットワーク100から放出されて、患者内の部位と接触し得る。一般に、特定の活性薬剤の放出プロフィールは、ポリマーネットワーク100の微細空洞104のサイズ、組成及び形状に対する活性薬剤106のサイズ及び量によって、影響され得るか又は変動し得る。上記のように、微細空洞のサイズ及び形状は、反応性モノマーの特定の選択及びポリマーネットワーク100を形成するために使用される異なるモノマーの相対的な比率によって、影響され得るか又は変動し得る。
【0062】
図4中に示されるように、いくつかの実施形態において、ポリマーネットワーク100は、医療機器202の外側表面201上にコーティング又は形成され得る。いくつかの実施形態において、このポリマーネットワーク100は、活性薬剤106が配置される微細空洞104を含む。この医療機器は、使用の間に医療機器から放出される活性薬剤106を有することが有益な任意の医療機器であり得る。適切な医療機器の例には、カテーテル、ガイドワイヤ、血管グラフト、ステント、ステントグラフトなどが含まれる。
【0063】
いくつかの実施形態において、コーティングされた医療機器200を形成するために、第1のポリマー層101が、医療機器202の外側表面201に適用される。上で留意したように、第1のポリマー層101は、医療機器202の外側表面201に第1のポリマー層101が接着するように選択されるべきである。第1のポリマー層101は、反応性モノマー組成物と接触され得る。この反応性モノマー組成物は反応性モノマーを含み得、必要に応じて重合開始剤、重合触媒及び活性薬剤106を含み得る。この反応性モノマー組成物は第1のポリマー層101と反応して、医療機器202上のポリマーネットワーク100の第2の層102を形成し得る。いくつかの実施形態において、活性薬剤106をこの反応性モノマー組成物と混合することによってポリマーネットワーク100が形成されるにつれて、活性薬剤106はポリマーネットワーク100中に導入され得る。
【0064】
他の実施形態において、ポリマーネットワーク100が形成され得、活性薬剤106は、ポリマーネットワーク100を溶媒/活性薬剤混合物でコーティングすることによってポリマーネットワーク100の微細空洞106中に配置され得る。一旦溶媒がエバポレートすると、活性薬剤106は、ポリマーネットワーク100の微細空洞104中に配置され得る。活性薬剤106が溶媒を介してポリマーネットワーク100の空洞104中に導入される実施形態において、この活性薬剤106を送達し得るが活性薬剤106を分解することも活性薬剤106と反応することもない任意の溶媒が、潜在的に使用され得る。一般に、特定の溶媒の選択は、使用されている特定の活性薬剤106によって決定される。適切な溶媒には、例えば、水、アルコール、エーテル、アセトン、メチルエチルケトン及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
さらなる実施形態は、本明細書中に教示されるようなコポリマー、層、コーティング又は機器の、患者、哺乳動物、ヒト、動物又はin vitro系への導入である。治療薬を有する実施形態は、医学的状態の処置のための治療を達成するためにこの薬剤を放出し得る。本明細書中のいくつかの実施形態は、医療機器と結合した層をいう。或いは、これらの層は、医療機器又はその一部分の表面と結合され得る。さらに、医療用インプラントは、患者に移植される又は患者上に配置されるあるタイプの機器である。ペースメーカー及びカテーテルはインプラントであり、ニコチンパッチもまたインプラントである。
【0066】
医療機器には、例えば、移植可能であるか、局所的に使用されるか、又は生体組織と接触する任意の機器が含まれる。これらの機器は、プラスチックから作製され得るもの(例えば、カテーテル);金属から作製され得るもの(例えば、ガイドワイヤ、ステント、塞栓コイル);ポリマーファブリックから作製され得るもの(例えば、血管グラフト、ステントグラフト)であり;他の機器には、心臓弁、移植可能な心血管除細動器、ペースメーカー、外科用パッチ、パッチ、創傷閉鎖、ミクロスフィア、バイオセンサー、センサー(移植可能なセンサー、ex−vivoセンサー及び分析器)、眼インプラント及びコンタクトレンズ;セラミック、ガラスから作製される医療機器;組織工学足場が含まれる。医療機器はまた、例えば、米国特許第5464650号;同第5900246号;同第6214901号;同第6517858号;米国特許出願第2002/0002353号;及び特許出願WO 01/87342号A2;WO 03/024500号中で考察されている。
【0067】
医療機器へのコーティングの適用は、その機器についての特定の状況に適合され得る。例えば厚さに関して、特定の適用は、何が適切かを示し得る。例えばステントは、患者中の適用のその点に達するために、血管の曲がりくねった系を通り抜けなければならない。従って、ステント上のコーティングは、適切な物理的特性及び厚さを有するべきである。ポリマー層の厚さは、薬物の効果及び医療機器の性能を妨げることなく治療的用量が送達される範囲の厚さであり、例えばステントは、例えば、約2μm〜約150μm、又は約1μmと約300μmとの間の範囲内のポリマー層を有し得る。他の医療機器についての他の範囲は広く変動し得るが、いくつかの範囲は、3mm未満、1mm未満、0.1mm未満、0.01mm未満、1μ〜100μm、10μm〜1000μm、1μm〜10,000μm及び10μm〜500μmである。当業者は、これらの明示的な範囲内の全ての値及び範囲が企図され、その他の範囲が機器及び/又は適用に依存して適切であり得ることを認識する。
【0068】
いくつかの機器及び適用は、展開可能又は可撓性の層を要求する。実施例中に示されるように、可撓性及び/又は発泡性を提供する実施形態が本明細書中に提供される。ステントに関して、ステントの設計のほとんどは、患者における配備の際に展開のステップを要求する。ステントの配備に適応するように発泡性層が有利である。医療用バルーンに関して、患者におけるその使用は展開のステップを要求する。従って、このようなバルーン上のコーティングは、その展開に適応するように有利に作製され得る。
【0069】
材料形成の他の態様
本明細書中で記載されるようなポリマー(例えばコポリマー)は、層でもコーティングでもない材料を形成するためにも使用され得、本明細書中に層として示される実施形態は、必要に応じて他の材料を作製するために適用又は適合され得る。例えば、本明細書中に教示されるようなコポリマーは、シート、メンブレン、シース、プラグ、インプラント又は医療機器を作製するためのプロセスにおいて使用され得る。このような物体を作製(例えば、成型、押出及び鋳造)するための多数のポリマープロセスが、これらの分野で公知である。さらに、治療薬(例えば、丸剤、錠剤、坐剤)のための送達機器が、本明細書中に記載されるようなポリマーを使用して形成され得る。
【0070】
このような構造体は、治療薬の放出を提供するための所望の機械的特性(例えば、潤滑性、剛性、可撓性又は発泡性)を提供するために、医療機器と結合され得る。
【0071】
ステントは、組織中での配備によって組織を開いて物理的に保持するための足場を提供する医療機器であり、これらは、患者への導入のために折り畳まれた第1の位置及び配備の間の第2の位置を有する。この第2の位置は、第1の位置に対して展開されている。本明細書中の実施形態は、ステント又はステントではない医療機器で使用され得る。本明細書中の実施形態は、医療機器の少なくとも一部と結合された本明細書中に教示されるようなコーティング、組成物、ポリマー(例えばコポリマー)であり、この実施形態において、この機器は、組織中での配備によって組織を開いて物理的に保持しない。別の実施形態は、医療機器の少なくとも一部と結合された本明細書中に教示されるようなコーティング、組成物、ポリマー(例えばコポリマー)であり、この実施形態において、この機器は、この機器を介した流体の通過を可能にしない(例えば、ペースメーカー又はペースメーカーリード)。
【0072】
本明細書中の実施形態は、医療機器、医療機器の発泡性部分の少なくとも一部と結合された、本明細書中に教示されるようなコポリマーを含むコーティング又は組成物である。本明細書中の別の実施形態は、機器の使用中又は配備の間に展開されない医療機器の少なくとも一部と結合された、本明細書中に教示されるようなコーティング、組成物、ポリマー(例えばコポリマー)である。
【0073】
治療薬
本明細書中に示される材料は、治療薬(薬物、画像化剤、診断剤、予防剤、止血剤、組織操作剤、一酸化窒素放出剤、遺伝子治療薬、創傷治癒を増強するための薬剤及び生体活性薬剤を含む)と結合され得る。治療薬は、溶液中に存在するか又は溶液中に分散されたポリマー前駆体と混合され得、ポリマーが形成され得る。或いは、この治療薬は、ポリマーが形成された後又はポリマー形成プロセスの中間点で導入され得る。特定の実施形態は、第1の溶媒中で作製され、ポリマー中に治療薬を充填するために治療薬を含む第2の溶媒に曝露されるポリマーを含む。用語治療薬は、例えば、治療薬及び/若しくは診断剤並びに/又はコーティングから放出されるべき薬剤を含むように使用される。
【0074】
治療薬には、例えば、血管作用剤、神経刺激剤、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、麻酔薬、ステロイド、抗凝固剤、抗炎症薬、免疫調節剤、細胞障害剤、予防剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗原及び抗体が含まれる。本発明に従うコーティング材料中又はその上に提供され得る他の治療薬には以下が含まれるがこれらに限定されない:抗血栓形成剤(例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン));抗増殖剤(例えば、エノキサパリン(enoxaprin)、アンギオペプチン(angiopeptin)、又は平滑筋細胞の増殖を遮断し得るモノクローナル抗体、ヒルジン及びアセチルサリチル酸);抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン);抗新生物剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(例えば、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤);麻酔剤(例えば、リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン);抗凝固剤(例えば、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ポリリジン含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板ペプチド);血管細胞増殖促進因子(例えば、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化因子及び翻訳促進因子);血管細胞増殖阻害剤(例えば、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子及び細胞毒からなる二官能性分子、抗体及び細胞毒からなる二官能性分子);コレステロール低下剤;血管拡張剤;並びに内因性の血管作用性機構を妨害する薬剤。治療薬の他の例には、放射性薬品、鎮痛薬、麻酔剤、食欲低下剤、抗貧血剤、抗喘息剤、抗糖尿病剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬物、抗生物質、抗ムスカリン薬、抗新生薬、抗ウイルス薬物、心血管薬、中枢神経系刺激剤、中枢神経系抑制剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、抗不安剤、催眠剤、鎮静剤、抗精神病薬、βブロッカー、止血剤、ホルモン、血管拡張薬、血管収縮薬及びビタミンが含まれる。例えば、米国特許第6214901号;同第6673385号;及び米国特許出願第2002/0002353号中に示されるような他の治療薬が使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、治療薬は、層中に共有結合により取り込まれる。実施例10は、例えば、層に付着したヘパリンアジドを示す。ヘパリンは、好適な生体材料特性を有する抗凝固剤である。或いは、ヘパリンマクロマーが、モノマー単位としてか、ポリマーとしてか、又は本明細書中に記載されるようなポリマーを形成するために使用され得る。ヘパリンマクロマーは、共有に係る譲渡された米国特許出願第10/179453号(2002年6月26日出願)及び同第10/750706号(2004年1月5日出願)(これらは参照として本明細書に組み込まれる)中に記載される。同様に使用され得る他の抗凝固剤には、例えば、ワルファリン、ヒルジン、硫酸デキストラン、ヒアルロン酸及びそれらの誘導体が含まれる。他の治療薬が、このような分子と組み合わせて使用され得る。
【0076】
他の治療薬が、このような分子と組み合わせて使用され得る。抗血小板、抗フィブリン、抗トロンビン、抗凝固剤の他の例には以下が含まれる:ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト(vapiprost)、プロタサイクリン(protacyclin)及びプロタサイクリンアナログ、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、他の合成抗トロンビン、合成トロンビン阻害剤、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、並びにトロンビン阻害剤(例えばAnigiomax(商標))。抗血小板、抗フィブリン、抗トロンビン、抗凝固剤の他の例には以下が含まれる:ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロタサイクリン及びプロタサイクリンアナログ、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、他の合成抗トロンビン、合成トロンビン阻害剤、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、並びにトロンビン阻害剤(例えばAnigiomax(商標))。さらに、ヘパリン、ワルファリン、ヒルジン、デキストラン、硫酸デキストラン、ヒアルロン酸、それらの誘導体及び他の抗凝固剤が、放出可能な治療薬として使用され得る。抗血小板、抗フィブリン、抗トロンビン、抗凝固剤の他の例には以下が含まれる:ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロタサイクリン及びプロタサイクリンアナログ、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、他の合成抗トロンビン、合成トロンビン阻害剤、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、並びにトロンビン阻害剤(例えばAnigiomax(商標))。
【0077】
治療薬には、例えば、Chudzikらに対する米国特許第6214901号、表題「生体活性薬剤放出コーティング(Bioactive Agent Release Coating)」中に開示されるものが含まれる。治療薬並びにポリマーコーティング方法、反応性モノマー、溶媒などのさらなる実施形態は、米国特許第5464650号、同第5782908号;同第5900246号;同第5980972号;同第6231600号;同第6251136号;同第6387379号;同第6503556号;及び同第6517858号中に示される。特許及び特許出願EPO950386号、WO 01/01890号、WO 01/87342号、米国特許出願2002/0002353号並びに米国特許出願第10/179453号(2002年6月26日出願)及び同第10/750706号(2004年1月5日出願)(これらは参照として本明細書に組み込まれる)。
【実施例】
【0078】
以下の材料は、Sigma−Aldrich Companyから購入した:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、過酸化ベンゾイル(フタル酸ジブチル中40重量%のブレンド)、2−プロパノール、石油エーテル(沸点100℃〜120℃)、N,N−ジメチルアセトアミド、ラウリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(M.W.550)、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、イソシアネートエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ベンゾインメチルエーテル、ポリ(塩化ビニル−co−酢酸ビニル−co−ビニルアルコール)、ジラウリン酸ジブチルスズ、ポリビニルピロリドン(平均M.W.1,300,000)、アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド。2,2−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)は、Wako Chemicalsから購入した。グリセロモノメタクリレートは、Rohm GmbHから購入した。ビス(4−t.ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16)は、Akzo Nobelから購入した。
【0079】
(実施例1)
所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーの調製:2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(11g、0.085mole)、ブチルアクリレート(10g、0.078mole)及びブチルメタクリレート(29g、0.2mole)を一緒に混合した。還流コンデンサー、温度計及び窒素ブリードを備えた250mlの三つ首丸底フラスコに上記モノマー溶液を充填し、攪拌しながら80℃に加熱した。重合を、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(0.8g)の添加によって開始した。この反応を30分間進行させ、次いで過酸化ベンゾイル(1.15g)(フタル酸ジブチル中40重量%のブレンド)を添加した。この反応はさらに60分間進行した。この反応の温度を、100℃+/−5℃に維持した。
【0080】
上記の粘性混合物を冷却する際に、2−プロパノール(50ml)を添加し、次いで石油エーテル(100℃〜120℃)(800ml)中に注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを、300mlの石油エーテルで2回洗浄した。2−プロパノール(100ml)を添加して、加熱及び攪拌しながらこのポリマーを溶解した。ポリマーを、2−プロパノールのエバポレーションによって粘性スラリーへと濃縮した。水(1000ml)を添加して、このポリマーを再沈殿させた。水(1000ml)でさらに2回洗浄した後、このポリマーを凍結させ、次いで凍結乾燥した。収率=70%(32g)Mw=44,939;Mn=13,291ダルトン;Mw/Mn=3.375(GPCデータから)。
【0081】
(実施例2)
所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーの調製:2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート、代替的比率及び重量平均したTg。
実施例1に記載されるように、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(15g、0.115mole)、ブチルアクリレート(25g、0.195mole)及びブチルメタクリレート(10g、0.07mole)を一緒に混合して重合させてポリマーを形成し、このポリマーを精製して乾燥させた。収率=70%(32g)Mw=118,082;Mn=12,460ダルトン;Mw/Mn=9.47(GPCデータから)
【0082】
(実施例3)
所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーの調製:ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(20g、0.154mole)、ブチルアクリレート(30g、0.234mole)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(15ml)を一緒に混合した。還流コンデンサー、温度計及び窒素ブリードを備えた250mlの三つ首丸底フラスコにDMA中の上記モノマー溶液を充填し、攪拌しながら80℃に加熱した。重合を、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(0.8g)の添加によって開始した。この反応を30分間進行させ、次いで過酸化ベンゾイル(1.15g)(フタル酸ジブチル中40重量%のブレンド)を添加した。この反応はさらに60分間進行した。この反応の温度を、100℃+/−5℃に維持した。
【0083】
上記の粘性ポリマーを冷却した後、これを水(1000ml)中に注いでポリマーを沈殿させた。水(1000ml)でさらに3回洗浄した後、このポリマーを凍結させ、次いで凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥したポリマーを、添加した2−プロパノール(50ml)中に溶解し、次いで石油エーテル(100℃〜120℃)(800ml)中に注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを、300mlの石油エーテルで2回洗浄した。2−プロパノール(100ml)を添加して、加熱及び攪拌しながらこのポリマーを溶解した。ポリマーを、2−プロパノールのエバポレーションによって粘性スラリーへと濃縮した。水(1000ml)を添加して、このポリマーを再沈殿させた。水(1000ml)でさらに2回洗浄した後、このポリマーを凍結させ、次いで凍結乾燥した。収率=35g(70%)
【0084】
(実施例4)
所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーの調製:ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ラウリルメタクリレート)
実施例3に記載されるように、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(20g、0.154mole)、ラウリルメタクリレート(30g、0.118mole)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(15ml)を一緒に混合して重合させてポリマーを形成し、このポリマーを精製して乾燥させた。収率=32.5(65%)
【0085】
(実施例5)
所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーの調製:ポリ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)
メトキシ(ポリエチレングリコール)モノ−メタクリレート(MW=550)(MPEG550)(5.0g、0.009mole)、ブチルアクリレート(20g、0.117mole)及びブチルメタクリレート(25g、0.175mole)を一緒に混合した。還流コンデンサー、温度計及び窒素ブリードを備えた250mlの三つ首丸底フラスコにDMA中の上記モノマー溶液を充填し、攪拌しながら80℃に加熱した。重合条件、精製ステップ及び乾燥手順を、実施例3に記載されるように実施した。収率=40g(80%)
【0086】
(実施例6)
所定のTg差異のモノマー単位及び化学的に結合した抗凝固剤(ヘパリン)を有するコポリマーの調製:ヘパリンメタクリレート−co−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート。
ヘパリンメタクリレートを、共有に係る譲渡された特許出願「多糖生体材料及びその使用方法(Polysaccharide biomaterials and methods of use thereof)」、PCT/GB02/02940号中に詳述される手順に従って合成した。ヘパリンメタクリレート(1g)を、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(15g、0.115mole)中に溶解した。ブチルアクリレート(25g、0.195mole)、ブチルメタクリレート(10g、0.07mole)及びジメチルスルホキシド(DMSO)(15ml)を、このヘパリンメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート溶液に添加した。還流コンデンサー、温度計及び窒素ブリードを備えた250mlの三つ首丸底フラスコにDMSO中の上記モノマー溶液を充填し、攪拌しながら80℃に加熱した。重合条件、精製ステップ及び乾燥手順を、上記実施例3に記載されるように実施した。収率=35g(70%)
【0087】
(実施例7)
所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーの調製:ポリ(グリセロールモノメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)の調製
実施例1に記載されるように、グリセロールモノメタクリレート(Rohm GmbH)(7.5g、0.047mole)、ブチルアクリレート(10g、0.078mole)及びブチルメタクリレート(32.5g、0.228mole)を一緒に混合して重合させてポリマーを形成し、このポリマーを精製して乾燥させた。収率=35g(70%)。
【0088】
(実施例8)
医療機器上に、治療薬と結合した所定のTg差異のモノマー単位を有するコポリマーをコーティングする方法。
実施例8は、医療機器上に、本明細書中に教示されるようなポリマー(例えばコポリマー)を適用するための方法を示す。ステンレス鋼冠状ステントを例示目的のために使用する。コポリマーのポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(1.5g)を、テトラヒドロフラン(THF)(100ml)中に溶解した。ポリマー溶液の20mlアリコートに、活性薬剤パクリタキセル(0.06g)を添加した。ステンレス鋼冠状ステント(18mm)を回転マンドレルに取り付け、ポリマー+パクリタキセルを含む上記THF溶液でエアースプレーした。コーティングされたステントを、70℃で30分間真空乾燥した。
【0089】
このステント上のパクリタキセル充填を、アセトニトリル(3ml)中でコーティングされたステントをインキュベートし、ボルテックスし(30秒間)、次いで227nmの波長で吸光度を測定することによって測定し、薬物充填を標準曲線から内挿した。ステント当たりの典型的な薬物充填は、120μg+/−10%であった。
【0090】
パクリタキセル放出プロフィールを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(1.5ml、pH7.4)中で37℃で実施した。読み取りを、1時間、24時間又は48時間の間隔で行った。パクリタキセルの定量を、Nucleosil TM 100−5CISカラム(内径150mm×4.6mm)(Hichrome UK Ltd);移動相50%の水:50%のアセトニトリル;流速2.0ml/分;カラム温度55℃;227nmの検出吸光度を使用して、HPLCで実施した。図5は、示されるような3つの異なるポリマー組成物からの37℃でのパクリタキセル放出プロフィールを示す。当業者は、本開示を読んだ後に、他の医療機器に対してこれらの方法を適用し得る。本明細書中に記載又は教示されたポリマーは全て、これらの方法を使用して、別々に、組み合わせて、治療薬あり又はなしで適用され得る。
【0091】
(実施例9)
共有結合を形成するための反応性官能基を有するポリマー(例えばコポリマー)の調製:ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート−メタクリレート)。
実施例9は、反応性官能基を有するポリマー(例えばコポリマー)を修飾するための方法を示す。この場合、この反応性官能基は反応性モノマーであり、特にメタクリレートである。この実施例の方法によって調製されたポリマーは、例えば、医療機器又は他の層上に層を形成するために使用され得る。
【0092】
実施例2において調製したターポリマーであるポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(20.0g)を、250mlのキャップ付厚壁ガラス瓶中でテトラヒドロフラン(THF)(100ml、安定剤を含まない)中に溶解した。これに、イソシアネートエチルメタクリレート(3.58g)及びジラウリン酸ジブチルスズ(0.2g)を添加した。このキャップを堅くねじ込み、この溶液を60℃で3時間攪拌した。THFをロータリーエバポレートして除き、生成物を40℃で2時間真空下で乾燥させた。赤外線分光法により、2265cm−1でのN=C=O基の伸縮振動の消失が示された。ウレタン結合が、ポリマーのヒドロキシル基とイソシアネートエチルメタクリレートのイソシアネート基との間で形成された。
【0093】
このポリマー上の反応性メタクリレート基の存在を、10gのターポリマーをTHF中に溶解し、これに過酸化物開始剤ビス(4−第3級ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート)(Perkadox 16)(0.5g)(Akzo Nobel)を添加することによって実証した。ステンレス鋼ロッドをこのポリマー溶液でコーティングし、風乾し、次いで真空オーブン中に80℃で30分間配置した。コーティングされたステンレス鋼ロッドを、溶媒2−プロパノール中に5分間配置し、光学顕微鏡を使用して試験した。このポリマーは2−プロパノールで膨潤されていたが、ステンレス鋼ロッドから分離しなかった。類似のサンプルを真空中で加熱せずに調製し、2−プロパノール中でインキュベートした後、全てのポリマーがステンレス鋼ロッドから溶解して離れた。当業者は、本開示を読んだ後に、これらの方法を他のポリマーに適用し得、本明細書中に示されるような反応性官能基を取り込み得る。
【0094】
(実施例10)
共有結合により一緒に架橋された異なる化学組成物の2つの層を有する医療機器上のコーティングの形成。
この実施例は、本明細書中に教示されるようなポリマー(例えばコポリマー)を医療機器上に適用するための方法を示す。ステンレス鋼冠状ステントを例示目的のために使用する。この実施形態において、第1の反応性ポリマー層を配置し、その後、治療薬を含む第2の反応性ポリマー層を配置し、自発的に作用する開始剤を使用した。
【0095】
実施例9で調製したメタクリレート基を保有するターポリマーであるポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(1.5g)を、THF(100ml)中に溶解した。次いで、Perkadox 16(0.5g)を上記溶液に添加した。このポリマー溶液を、薄いポリマーフィルムがステント全体を覆うまで、ステンレス鋼冠状ステント(18mm)上にエアースプレーした。このステントを30℃で1時間風乾した。
【0096】
20mlの上記溶液にパクリタキセル(0.06g)を添加し、120μg+/−10%のパクリタキセルが充填されるまで、ポリマー−メタクリレート基でコーティングされたステント上に噴霧した。このステントを真空オーブン中に80℃で30分間配置して、このコーティングを硬化した。第1の層由来のメタクリレートは、パクリタキセルを含む第2の層のメタクリレートと反応し、また、同じ層中のメタクリレートは互いに反応して、治療薬を含む架橋された層構造を形成する。このステントをバルーンカテーテル上に縮め、3mmの直径に展開した。光学顕微鏡は、ひび割れも変形もなかったことを示した。実施例8の結果と一致して、ステント上の総パクリタキセル充填は、120μg+/−10%であった。
【0097】
(実施例11)
共有結合により一緒に架橋された異なる化学組成物の2つの層を有する医療機器上のコーティングの形成の代替的実施形態。
第2のポリマー層を噴霧した後にこのコーティングを30℃で1時間風乾したこと以外、ステンレス鋼冠状ステント(18mm)を、実施例10に記載されるようにコーティングした。開始剤を熱により開始させた。次いで、このコーティングされたステントに、Perkadox 16(0.2%w/v)開始剤を含むヘパリンメタクリレート(2−プロパノール中0.5%w/v)を噴霧した。次いで、コーティングされたステントを、80℃で30分間真空中に配置してこのコーティングを架橋し、ヘパリンをこのコーティングに化学的に結合させた。次いでこのステントを、40℃で30秒間飽和塩化ナトリウム溶液中に配置して、塩化ベンザルコニウムからヘパリンを脱複合体化し、水で洗浄した。このステントをトルイジンブルーを用いて染色し、非常に濃い紫色の着色は、存在するヘパリンを示した。紫色の着色は、光学顕微鏡によって試験した場合、このステントの全体にわたって均質であった。このステントに上記コーティングを噴霧し、次いでベンザルコニウム−ヘパリン複合体(メタクリレートを含まない)を噴霧し、次いで40℃で30秒間飽和塩化ナトリウム溶液中に配置して、塩化ベンザルコニウムからヘパリンを脱複合体化した。トルイジンブルーを用いて染色したところ、これらは紫色の着色を示さなかった。ステント上のヘパリン活性を、改変された抗第Xa因子発色アッセイを使用して測定した。ヘパリン活性は、0.8単位/mlの当量であることが見出された。パクリタキセル充填は、120μg+/−10%であった。
【0098】
図6は、ポリマーネットワーク及び化学的に結合したヘパリンを有するポリマーネットワークを含むステントからの、37℃でのリン酸緩衝化生理食塩水中へのパクリタキセル放出を示す。これらの結果は、薬物送達ポリマー上へのヘパリンの取り込みが、パクリタキセルの送達プロフィールに対してほとんど影響を有さないことを実証している。
【0099】
(実施例12)
薬物送達ポリマーネットワーク上へのヘパリンアジドの取り込み。
この実施例は、2つの層を一緒に共有結合により架橋するための光重合の使用を実証する。ヘパリンアジドを、特許出願「多糖生体材料及びその使用方法(Polysaccharide biomaterials and methods of use thereof)」、米国特許出願第10/179453号(2002年6月26日出願)中の実施例に従って合成した。米国特許出願第10/750706号(2004年1月5日出願)もまた参照のこと。第2のポリマー層を噴霧した後にこのコーティングを30℃で1時間風乾したこと以外、ステンレス鋼冠状ステント(18mm)を、実施例10に記載されるようにコーティングした。次いで、上記のコーティングされたステントにヘパリンアジド(2−プロパノール中0.5%w/v)を噴霧し、次いで、中圧水銀アークランプからのUV光に2分間曝露させて、アジド基を介してヘパリンをコーティングに化学的に結合させた。このステントを、真空オーブン中に80℃で30分間配置し、その結果、遊離反応性モノマーが、熱開始剤を使用して重合された。次いで、このステントを、40℃で30秒間飽和塩化ナトリウム溶液中に配置して、塩化ベンザルコニウムからヘパリンを脱複合体化し、次いで水で洗浄した。このステントをトルイジンブルーを用いて染色し、非常に濃い紫色の着色は、存在するヘパリンを示した。紫色の着色は、光学顕微鏡によって試験した場合、このステントの全体にわたって均質であった。ステント上のヘパリン活性を、改変された抗第Xa因子発色アッセイを使用して測定した。ヘパリン活性は、0.7単位/mlの当量であることが見出された。パクリタキセル充填は、120μg+/−10%であった。このステントからのパクリタキセル放出プロフィールは、実施例11からのプロフィールに非常に類似していた。
【0100】
(実施例13)
第1の層上で重合した第2の層上の官能基と架橋された反応性官能基を有する第1の層を有する医療機器のコーティング。
この実施例は、医療機器上での複数の層の形成及びそれらの層を架橋する方法を示す。治療薬は、最も外側の層と結合している。実施例9において調製したコポリマーであるポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(1.5g)をテトラヒドロフラン(THF)(100ml)中に溶解し、Perkadox 16(0.5g)を上記溶液中に溶解した。この溶液を、薄いポリマーフィルムがステント全体を覆うまで、ステンレス鋼冠状ステント(18)上にエアースプレーした。このステントを30℃で1時間風乾した。
【0101】
THF(20ml)に、パクリタキセル(0.06g)、メトキシ(ポリエチレングリコール)モノメタクリレート(MW=2000)(0.25g)、ラウリルメタクリレート(0.5g)、ブチルメタクリレート(4.0g)、エチレングリコールジメタクリレート(0.02g)及びPerkadox 16(0.10g)を添加した。120μg+/−10%のパクリタキセル充填が達成されるまで、このステントに上記モノマー溶液をエアースプレーした。このコーティングを、窒素雰囲気で80℃で1時間オーブン中で硬化した。図7は、37℃でのステントからリン酸緩衝化生理食塩水中へのパクリタキセル放出を示し、ここでこれらの反応性モノマーは一緒に連結されて、架橋されたポリマーネットワークを形成している。
【0102】
(実施例14)
第1の層上で重合した第2の層上の官能基と架橋された反応性官能基を有する第1の層を有する医療機器のコーティングの代替的実施形態。
この実施例において、活性薬剤(パクリタキセル)を含むモノマーを架橋させ、UV光の使用によってポリマーネットワークへと硬化した。PerkadoxではなくUV開始剤ベンゾインメチルエーテルを使用したこと以外、全ての条件は実施例13と同じであった。パクリタキセル及びベンゾインメチルエーテルを含むモノマーを回転マンドレルでステントに噴霧した後、このステントを、10分間の期間にわたって窒素雰囲気中で中圧水銀アークランプからのUV光に曝露させた。このステントを、光学顕微鏡を使用して試験した。これらのモノマーを硬化させて、活性薬剤パクリタキセルを含む架橋されたネットワークフィルムを形成した。
【0103】
(実施例15)
治療薬による層の充填
この実施例は、コーティング又は特定の層中に治療薬を充填するための方法を示す。この方法において、これらの層を治療薬なしに配置し、層を機器に固定した後で充填した。これらの層への治療薬(パクリタキセル)の導入を、溶媒+薬剤パクリタキセルによって、架橋された層を膨潤させることによって実施した。実施例9において調製したターポリマーであるポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(1.5g)をテトラヒドロフラン(THF)(100ml)中に溶解し、Perkadox 16(0.5g)を上記溶液中に溶解した。このポリマー溶液を、薄いポリマーフィルムがステント全体を覆うまで、ステンレス鋼冠状ステント(18)上にエアースプレーした。このステントを80℃で1時間風乾した。このステントを、パクリタキセル(0.2g)を含む2−プロパノール/THFの80/20溶液20ml中に2分間配置した。このステントを取り出し、60℃で30分間風乾した。パクリタキセル充填は、80μg+/−10%であることが見出された。従って、架橋されたコーティングは上記溶液中で膨潤し、ポリマーネットワーク中へのパクリタキセルの吸収を可能にし、60℃で風乾したところこのパクリタキセルを捕捉した。
【0104】
(実施例16)
治療薬による層の充填の代替的実施形態
この実施例は、コーティング又は層が形成された後にこれらの中に薬剤を導入する別の方法を示す。反応性モノマーの組成物がパクリタキセルを含まなかったこと以外、実施例13に記載される方法に従った。このコーティングを、窒素雰囲気中で80℃で1時間オーブン中で硬化した。このステントを、パクリタキセル(0.2g)を含む2−プロパノール/THFの80/20溶液20ml中に2分間配置した。このステントを取り出し、60℃で30分間風乾した。パクリタキセル充填は、130μg+/−10%であることが見出された。
【0105】
(実施例17)
治療薬及び第2の層と架橋された反応性官能基を有する第1の層を有するコーティングを用いて医療機器をコーティングするための方法。
この実施例は、第2の層と架橋可能な第1の層を用いて機器を層状に重ねるための方法を示す。この場合、この第2の層は、治療薬を有するコポリマーである。ポリ(塩化ビニル−co−酢酸ビニル−co−ビニルアルコール)(20g)を、250mlのキャップ付厚壁ガラス瓶中の無水THF(100ml、安定剤を含まない)中に溶解した。これに、イソシアネートエチルメタクリレート(4.23g)及びジラウリン酸ジブチルスズ(0.2g)を添加した。このキャップを堅くねじ込み、この溶液を60℃で3時間攪拌した。実施例9と同様に、このポリマーを処理し、赤外線によって特徴付け、メタクリレート活性について機能的に試験したところ、イソシアネートが上記ポリマーのビニルアルコールと結合してウレタン結合を形成していることが示された。次いで、このポリマーをTHF中に溶解して、Perkadox(0.2%w/v)を含む2%w/v溶液を得、18mmの冠状ステントと類似の表面積を有する直径11mmのステンレス鋼ディスクの一方の側上に噴霧した。次いで、このコーティングされたディスクを30℃で1時間風乾した。メタクリレート基を保有するポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(1.5g)(実施例9を参照のこと)を、Perkadox 16(0.5g)を含むテトラヒドロフラン(THF)(100ml)中に溶解した。この溶液の20mlアリコートにパクリタキセル(0.6g)を添加し、120μg+/−10%の充填が達成されるまでこのディスク上にエアースプレーした。このコーティングを、真空オーブン中で80℃で硬化した。パクリタキセル放出プロフィールを、以前に記載されたように(示さず)決定し、このプロフィールは、図6において得られたものと類似していた。
【0106】
(実施例18)
治療薬及び第2の層と架橋された反応性官能基を有する第1の層を有するコーティングを用いて医療機器をコーティングするための代替的方法。
この実施例は、第2の層と架橋可能な第1の層を用いて機器を層状に重ねるための別の方法を示す。反応性官能基を有する反応性コポリマーを調製し、第1の層のために使用した。この実施例において、この反応性コポリマーはイソシアネート基を保有する。
【0107】
ポリ(イソシアネートエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)の調製
この実施例において、この方法は、ポリ(イソシアネートエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)の調製を含む。イソシアネートエチルメタクリレート(20g、0.129mole)、ブチルアクリレート(20g、0.156mole)及びブチルメタクリレート(10g、0.07mole)を一緒に混合した。還流コンデンサー、温度計及び窒素ブリードを備えた250mlの三つ首丸底フラスコに上記モノマー溶液を充填し、攪拌しながら80℃に加熱した。重合を、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(0.8g)の添加によって開始した。この反応を30分間進行させ、次いで過酸化ベンゾイル(1.15g)(フタル酸ジブチル中40重量%のブレンド)を添加した。この反応はさらに60分間進行した。この反応の温度を、100℃+/−5℃に維持した。上記粘性混合物を冷却する際に、THF(安定剤を含まない)(50ml)を添加し、次いで石油エーテル(100℃〜120℃)(500ml)中に注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを、300mlの石油エーテルで2回洗浄し、次いで真空オーブン中で60℃で2時間乾燥させた。収率=40g(80%)。赤外線分光法により、2265cm−1でのN=C=O基の鋭い伸縮振動が示された。
【0108】
コーティング
THF中1.5%w/vの上記ポリマーの溶液を調製し、18mmの冠状ステントと類似の表面積を有する直径11mmのステンレス鋼ディスクの一方の側上にエアースプレーした。次いで、このコーティングされたディスクを40℃で30分間風乾した。ポリビニルピロリドン(PVP)(平均MW=1,300,000)(1g)を2−プロパノール(100ml)中に溶解し、平らなコーティングが達成されるまでこのディスク上に噴霧し、オーブン中で80℃で5時間乾燥させた。このディスクを水中に浸漬したところ、高度にぬれやすくなり、それに加えて表面は潤滑であった。この潤滑性は、親指と人差し指との間で繰り返し強くこすった後でさえ減じなかった。これらの結果は、最も外側の層が最も内側の層と共有結合により架橋されたことを示す。
【0109】
別のディスクもまた類似の様式で処理したが、このとき、パクリタキセルをPVPに添加し(2−プロパノール中1%w/vのPVP20ml中、0.04gのパクリタキセル)、オーブン中で80℃で5時間乾燥させた。パクリタキセル充填は120μg+/−10%であることが決定され、図8は、37℃でリン酸緩衝化生理食塩水中で試験した場合の速い放出プロフィールを示す。
【0110】
(実施例19)
活性薬剤を含む第2のポリマー層を化学的に結合するための第1の層としてアミン基を保有し、従ってポリマーネットワークを形成する、ポリマーの調製。
ポリ(アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)の調製
2−アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド(10g、0.06mole)、ブチルアクリレート(20g、0.156mole)、ブチルメタクリレート(20g、0.14mole)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(20ml)を一緒に混合した。還流コンデンサー、温度計及び窒素ブリードを備えた250mlの三つ首丸底フラスコに上記のモノマー溶液を充填し、攪拌しながら80℃に加熱した。重合を、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(0.8g)の添加によって開始した。この反応を30分間進行させ、次いで過酸化ベンゾイル(1.15g)(フタル酸ジブチル中40重量%のブレンド)を添加した。この反応はさらに60分間進行した。この反応の温度を、100℃+/−5℃に維持した。上記の粘性ポリマーを冷却した後、これを2−プロパノール(50ml)中に注ぎ、次いで水(1000ml)に添加してポリマーを沈殿させた。このポリマーをさらに3回洗浄し(3×1000mlの水)、次いで凍結させて凍結乾燥した。このポリマーを、実施例3に記載されるように処理した(さらなる精製)。収率=33g(66%)
【0111】
コーティング
1.5gの上記ポリマーを2−プロパノール中に溶解し、ステンレス鋼冠状ステント(18mm)上に噴霧し、次いで80℃で1時間乾燥させた。コーティングされたステントを、水/メタノール(75:25)溶液中0.1%w/vの水酸化ナトリウム中に浸漬して、ポリマーのアミノエチルメタクリレート部分の遊離塩基を形成した。このステントを水中で洗浄し、60℃で30分間乾燥させた。このステントに、メタノール中0.2%のイソシアネートエチルメタクリレートをエアースプレーし、オーブン中で50℃で10分間乾燥させた。このステントを水性メタノール(50:50)で洗浄し、未反応のイソシアネートエチルメタクリレートを除去し、50℃で5分間乾燥させた。活性薬剤を含むポリマーの第2の層を、実施例10に記載されるようにこのステント上に噴霧した。
【0112】
(実施例20)
第2の層が第1の層に適用されてこの第1の層からの治療薬の放出を遅延させる、複数の層を有するコーティング。
この実施例は、機器上での複数の層の形成を示す。この実施形態において、これらの層のうち1つは治療薬を有し、他方の層は治療薬を有さない。薬剤を有さない層が、薬剤が最初に配置される層中の薬剤の放出を遅延させるために適用される。この第2のポリマー層は、バルクへの活性薬剤の拡散を制御することを補助する。実施例8由来のポリマー+パクリタキセルをステント上にコーティングした。ポリマーであるポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)(1.5%w/v)の第2の層を、テトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、パクリタキセルを含む第1のポリマー層上に噴霧し、80℃で30分間乾燥させた。
【0113】
(実施例21)
第2の層が第1の層に適用されてこの第1の層からの治療薬の放出を遅延させる、複数の層を有するコーティングの代替的実施形態。
この実施例において、治療薬は第1のポリマー層中に存在する。そして、第1の層及び第2の層は、反応して2つのポリマー層を架橋し得る反応性官能基を保有する。第2の架橋された層は、治療薬(この場合、パクリタキセル)の放出をさらに制御することを補助する。第1の層及び第2の層の両方について使用されるポリマーが実施例9由来のものであり、Perkadox 16(開始剤)を添加しており、コーティングを真空中で80℃で30分間硬化したこと以外、全ての条件は実施例20と同一である。図9は、37℃でのリン酸緩衝化生理食塩水中へのこれら2つのシステムからのパクリタキセルの放出プロフィールを示す。
【0114】
上記実施形態は、限定ではなく、例示的であることを意図する。本明細書で参照される全ての特許、特許出願及び公報は、本明細書に参照として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】コポリマー中のブロックによって形成されたドメインの例示をフレーム(A)中に示し、治療薬物の結合又は捕捉の可能な機構をフレーム(B)、(C)及び(D)中に示す図である。
【図2】モノマー単位の例を示し、このような単位から形成されたホモポリマーのTgもまた示す図である。
【図3】医療機器上に存在するコーティングの実施形態の断面図である。
【図4】医療機器上のコーティングの代替的実施形態の断面図である。
【図5】実施例8中にさらに記載されるような、層からの治療薬の放出を示す図である。
【図6】実施例11中にさらに記載されるような、層からの治療薬の放出を示す図である。
【図7】実施例13中にさらに記載されるような、層からの治療薬の放出を示す図である。
【図8】実施例18中にさらに記載されるような、層からの治療薬の放出を示す図である。
【図9】実施例20及び21中にさらに記載されるような、層からの治療薬の放出を示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬の送達用の医療機器上にコーティングを作製する方法であって、前記方法は、組成物を前記機器の少なくとも一部と結合させて第1の層を形成するステップを含み、前記組成物は、少なくとも約2500の分子量を有するコポリマーと結合した前記治療薬を含み、前記コポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含み、前記第2のモノマー単位は、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度が、前記モノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される方法。
【請求項2】
前記第2のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約50℃高いガラス転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約70℃高いガラス転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモノマー単位がアクリレートを含み、前記第2のモノマー単位がメタクリレートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位が、アクリル酸、アクリロニトリル、アリルアミン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ブタジエン、カルボメチルシラン、(カーボネート)ウレタン、ポリジメチルシロキサンのアクリレート、ポリジメチルシロキサンのメタクリレート、エチレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、(エーテル)ウレタン、ウレタン、塩化ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、硫酸デキストラン、プロピレン、エステル、カーボネート、エーテル、ブテン、マレイン酸、フルオロポリマーのモノマー単位、不飽和ポリマーのモノマー単位、イソプレン、メラミン、スルホン、尿素、バイオポリマーのモノマー単位、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネートエチルメタクリレート、N−アクリロキシスクシンイミド、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリセロールモノメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、メタクリロイルエチルホスホリルコリン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、ビニルトルエン及びtert−ブチルアクリレートからなる群のメンバーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コポリマーが第3のモノマー単位をさらに含み、前記第3のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位によって形成されたホモポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のモノマー単位がアクリレートを含み、前記第2のモノマー単位がメタクリレートを含み、前記第3のモノマー単位がメタクリレートを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コポリマーを、前記第1のモノマー単位のホモポリマーと前記第2のモノマー単位のホモポリマーを共有結合させることによって形成させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1のポリマーが第1のモノマー単位を含み、第2のポリマーが、前記第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位並びに前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位の両方からなる群のうち少なくとも1つのメンバーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コポリマーが、少なくとも2つのメタクリレートモノマー単位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コポリマーが、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ラウリルメタクリレート)、ポリ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(ヘパリンメタクリレート−co−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(グリセロールモノメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(アミノメタクリレートヒドロクロリド−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソシアネートエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)及びポリ(メトキシ(ポリエチレングリコール)モノメタクリレート−co−ラウリルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート−co−エチレングリコールジメタクリレート)からなる群のメンバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物を結合させるステップが、前記治療薬及び前記コポリマーを前記機器にほぼ同時に適用して、前記機器と結合した前記組成物を形成させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物を結合させるステップが、前記治療薬及び前記コポリマーを前記医療機器上に噴霧するステップ、又は前記医療機器を前記治療薬と前記コポリマーとの混合物中に浸漬するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマー単位を前記医療機器と結合させた後に、前記モノマー単位を重合させて前記コポリマーを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記医療機器を加熱して前記モノマー単位を重合させ、前記コポリマーを形成させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
開始剤を前記モノマー単位と結合させ、前記開始剤を活性化して、前記モノマー単位を重合させて前記コポリマーを形成させる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記医療機器がステントであり、前記治療薬がパクリタキセルである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記機器を患者中に移植して、前記ステントから前記パクリタキセルを放出させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コポリマーを調製し、引き続いて前記治療薬と結合させる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記コポリマーを、前記モノマーの溶融物由来の前記モノマー単位から調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のモノマー単位が反応して前記第1のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックを形成し、前記第2のモノマー単位が反応して前記第2のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックを形成するように、前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の層の少なくとも一部と接触する第2の層をさらに含み、前記第2の層及び前記第1の層が異なる組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の層を、前記機器と前記第2の層との間に少なくとも部分的に配置する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の層を、前記機器と前記第1の層との間に少なくとも部分的に配置する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の層が、前記第1の層のポリマーに共有結合により架橋されたポリマーを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記コポリマーが、前記第2の層との共有結合架橋の形成に関与する反応性官能基を含み、前記反応性官能基が、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、アルデヒド、ケトン、チオール、アリル、アクリレート、メタクリレート、イソシアネート、エポキシド、アジド、アジリジン、アセタール、ケタール、アルキン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、ヒドロキシアルデヒド及びヒドロキシケトン、アレン、アミド、ビスアミド、アミノ酸及びアミノエステル、アミノカルボニル化合物、メルカプタン、アミノメルカプタン、無水物、アジン、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ボラン、カルバメート、カルボジイミド、カーボネート、ジアゾ化合物、イソチオネート、ヒドロキサム酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシアミン及びヒドロキシアミド、ヒドロキシルアミン、イミン、ラクタム、ニトリル、スルホンアミド、スルホン、スルホン酸、チオシアネート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の層が、前記第1の層との架橋の形成に関与する第2の反応性官能基を含むヘパリンマクロマーを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の層のポリマーが、ヘパリンマクロマーを含むモノマー単位を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の層のポリマーが、露光に対応して前記共有結合架橋のうち少なくとも1つを形成する第2の官能基を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の官能基がアジドを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の層が前記治療薬を含み、前記第2の層が前記治療薬を含まない、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の層が、前記第1の層からの前記治療薬の放出速度を低下させる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の層が、前記医療機器と接触し、少なくとも1種の反応可能なモノマーを有するポリマーを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種の反応可能なモノマーが、アクリレート及びメチルメタクリレートからなる群のメンバーである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の層中のポリマーが、塩化ビニル、酢酸ビニル及びco−ビニルアルコールからなる群のうち少なくとも1つのメンバーのモノマー単位を含む第2のコポリマーである、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の層中のポリマーが親水性ポリマーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の層中のポリマーがポリビニルピロリドンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の層及び前記第2の層とは異なる組成を有する第3の層をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記治療薬が、血管作用剤、神経刺激剤、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、麻酔薬、ステロイド、抗凝固剤、抗炎症薬、免疫調節剤、細胞障害剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗体、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの抗血栓形成剤;エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖を遮断し得る抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸などの抗増殖剤;抗炎症剤、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤;リドカイン、ブピバカイン及びロピバカインなどの麻酔剤;抗凝固剤、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、抗血小板ペプチド、血管細胞増殖促進因子、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化因子、翻訳促進因子、血管細胞増殖阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、コレステロール低下剤、血管拡張剤、内因性の血管作用性機構を妨害する薬剤、放射性薬品、鎮痛薬、麻酔剤、食欲低下剤、抗貧血剤、抗喘息剤、抗糖尿病剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬物、抗生物質、抗ムスカリン薬、抗新生薬、抗ウイルス薬物、心血管薬、中枢神経系刺激剤、中枢神経系抑制剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、抗不安剤、催眠剤、鎮静剤、抗精神病薬、βブロッカー、止血剤、ホルモン、血管拡張薬、血管収縮薬並びにビタミンからなる群のメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記治療薬がパクリタキセルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記機器が、移植可能な機器、患者に対して局所的に使用される機器、生体組織と接触する機器、カテーテル;ガイドワイヤ、塞栓コイル;血管グラフト、心臓弁、移植可能な心血管除細動器、ペースメーカー、外科用パッチ、創傷閉鎖、ミクロスフィア、バイオセンサー、移植可能なセンサー、ex−vivoセンサー、眼インプラント、コンタクトレンズ;及び組織工学足場からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記機器がステントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記治療薬がパクリタキセルを含み、前記機器がステントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のモノマー単位のガラス転移温度が約37℃よりも低く、前記第2のモノマー単位のガラス転移温度が約37℃よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約−70℃から約70℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約0℃から約60℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約15℃から約40℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記組み合わせが、ブチルアクリレート、ブチルメチルメタクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー単位を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位が、アクリル酸、アクリロニトリル、アリルアミン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ブタジエン、カルボメチルシラン、(カーボネート)ウレタン、ポリジメチルシロキサンのアクリレート/ポリジメチルシロキサンのメタクリレート、エチレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、(エーテル)ウレタン、ウレタン、塩化ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、硫酸デキストラン、プロピレン、エステル、カーボネート、エーテル、ブテン、マレイン酸、フルオロポリマーのモノマー単位、不飽和ポリマーのモノマー単位、イソプレン、メラミン、スルホン、尿素、バイオポリマーのモノマー単位、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネートエチルメタクリレート、N−アクリロキシスクシンイミド、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリセロールモノメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、メタクリロイルオキシエチル、メタクリロイルエチルホスホリルコリンポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、ビニルトルエン及びtert−ブチルアクリレートからなる群のメンバーから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記コポリマーが第3のモノマー単位をさらに含み、前記第3のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位によって形成されたホモポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のモノマー単位がアクリレートを含み、前記第2のモノマー単位がメタクリレートを含み、前記第3のモノマー単位がメタクリレートを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記コポリマーが、少なくとも2つのメタクリレートモノマー単位を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記治療薬及び前記コポリマーが、前記機器にほぼ同時に適用される、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
治療薬の送達用の医療機器のためのコーティングであって、前記コーティングは、前記機器の少なくとも一部と結合した組成物を有する層を含み、前記組成物は、少なくとも約2500の分子量を有するコポリマーと結合した前記治療薬を含み、前記コポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含み、前記第2のモノマー単位は、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度が、前記モノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定されるコーティング。
【請求項55】
前記第1のモノマー単位の少なくとも一部が、前記第1のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックへと組織化され、前記第2のモノマー単位の少なくとも一部が、前記第2のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックへと組織化される、請求項54に記載のコーティング。
【請求項56】
前記コポリマーが、ランダムコポリマー結合の領域をさらに含む、請求項55に記載のコーティング。
【請求項57】
前記コポリマーが第3のモノマー単位を含みかつ少なくとも3つのブロックを含み、各ブロックが1種のタイプのモノマー単位の繰り返しから本質的になる、請求項54に記載のコーティング。
【請求項58】
前記コポリマーが、アクリレートブロック及びメタクリレートブロックを含む、請求項54に記載のコーティング。
【請求項59】
前記治療薬が、前記コポリマー内のブロックと結合している、請求項54に記載のコーティング。
【請求項60】
前記第2のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約50℃高いガラス転移温度を有する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項61】
前記第2のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約70℃高いガラス転移温度を有する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項62】
前記第1のモノマー単位がアクリレートを含み、前記第2のモノマー単位がメタクリレートを含む、請求項54に記載のコーティング。
【請求項63】
前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位が、アクリル酸、アクリロニトリル、アリルアミン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ブタジエン、カルボメチルシラン、(カーボネート)ウレタン、ポリジメチルシロキサンのアクリレート、ポリジメチルシロキサンのメタクリレート、エチレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、(エーテル)ウレタン、ウレタン、塩化ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、硫酸デキストラン、プロピレン、エステル、カーボネート、エーテル、ブテン、マレイン酸、フルオロポリマーのモノマー単位、不飽和ポリマーのモノマー単位、イソプレン、メラミン、スルホン、尿素、バイオポリマーのモノマー単位、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネートエチルメタクリレート、N−アクリロキシスクシンイミド、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリセロールモノメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、メタクリロイルエチルホスホリルコリン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、ビニルトルエン及びtert−ブチルアクリレートからなる群のメンバーから選択される、請求項54に記載のコーティング。
【請求項64】
前記コポリマーが第3のモノマー単位をさらに含み、前記第3のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位によって形成されたホモポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項65】
前記第1のモノマー単位がアクリレートを含み、前記第2のモノマー単位がメタクリレートを含み、前記第3のモノマー単位がメタクリレートを含む、請求項64に記載のコーティング。
【請求項66】
前記コポリマーが、前記第2のモノマー単位のホモポリマーに共有結合した前記第1のモノマー単位のホモポリマーを含む、請求項64に記載のコーティング。
【請求項67】
第1のポリマーが第1のモノマー単位を含み、第2のポリマーが、前記第1のモノマー単位、前記第2のモノマー単位並びに前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位の両方からなる群のうち少なくとも1つのメンバーを含む、請求項66に記載のコーティング。
【請求項68】
前記コポリマーが、少なくとも2つのメタクリレートモノマー単位を含む、請求項54に記載のコーティング。
【請求項69】
前記コポリマーが、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ラウリルメタクリレート)、ポリ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(ヘパリンメタクリレート−co−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(グリセロールモノメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(アミノメタクリレートヒドロクロリド−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソシアネートエチルメタクリレート−co−ブチルアクリレート−co−ブチルメタクリレート)及びポリ(メトキシ(ポリエチレングリコール)モノメタクリレート−co−ラウリルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート−co−エチレングリコールジメタクリレート)からなる群のメンバーを含む、請求項54に記載のコーティング。
【請求項70】
前記モノマー単位が前記医療機器と結合された後に、前記モノマー単位が重合して前記コポリマーを形成することができる、請求項54に記載のコーティング。
【請求項71】
前記医療機器がステントであり、前記治療薬がパクリタキセルである、請求項54に記載のコーティング。
【請求項72】
前記コポリマーが調製され、引き続いて前記治療薬と結合される、請求項54に記載のコーティング。
【請求項73】
前記コポリマーが、前記モノマーの溶融物由来の前記モノマー単位から調製される、請求項54に記載のコーティング。
【請求項74】
前記第1のモノマー単位が反応して前記第1のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックを形成し、前記第2のモノマー単位が反応して前記第2のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックを形成するように、前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位が選択される、請求項54に記載のコーティング。
【請求項75】
前記第1の層の少なくとも一部と接触する第2の層をさらに含み、前記第2の層及び前記第1の層が異なる組成を有する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項76】
前記第1の層が、前記機器と前記第2の層との間に少なくとも部分的に配置される、請求項75に記載のコーティング。
【請求項77】
前記第2の層が、前記機器と前記第1の層との間に少なくとも部分的に配置される、請求項75に記載のコーティング。
【請求項78】
前記第2の層が、前記第1の層のポリマーに共有結合により架橋されたポリマーを含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項79】
前記コポリマーが、前記第2の層との共有結合架橋の形成に関与する反応性官能基を含み、前記反応性官能基が、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、アルデヒド、ケトン、チオール、アリル、アクリレート、メタクリレート、イソシアネート、エポキシド、アジド、アジリジン、アセタール、ケタール、アルキン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、ヒドロキシアルデヒド及びヒドロキシケトン、アレン、アミド、ビスアミド、アミノ酸及びアミノエステル、アミノカルボニル化合物、メルカプタン、アミノメルカプタン、無水物、アジン、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ボラン、カルバメート、カルボジイミド、カーボネート、ジアゾ化合物、イソチオネート、ヒドロキサム酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシアミン及びヒドロキシアミド、ヒドロキシルアミン、イミン、ラクタム、ニトリル、スルホンアミド、スルホン、スルホン酸、チオシアネート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項75に記載のコーティング。
【請求項80】
前記第2の層が、前記第1の層との架橋の形成に関与する第2の反応性官能基を含むヘパリンマクロマーを含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項81】
前記第2の層のポリマーが、ヘパリンマクロマーを含むモノマー単位を含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項82】
前記第2の層のポリマーが、露光に対応して前記共有結合架橋のうち少なくとも1つを形成する第2の官能基を含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項83】
前記第2の官能基がアジドを含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項84】
前記第1の層が前記治療薬を含み、前記第2の層が前記治療薬を含まない、請求項75に記載のコーティング。
【請求項85】
前記第2の層が、前記第1の層からの前記治療薬の放出速度を低下させる、請求項75に記載のコーティング。
【請求項86】
前記第2の層が、前記医療機器と接触し、少なくとも1種の反応可能なモノマーを有するポリマーを含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項87】
前記少なくとも1種の反応可能なモノマーが、アクリレート及びメチルメタクリレートからなる群のメンバーである、請求項86に記載のコーティング。
【請求項88】
前記第2の層中のポリマーが、塩化ビニル、酢酸ビニル及びco−ビニルアルコールからなる群のうち少なくとも1つのメンバーのモノマー単位を含む第2のコポリマーである、請求項87に記載のコーティング。
【請求項89】
前記第2の層中のポリマーが親水性ポリマーを含む、請求項87に記載のコーティング。
【請求項90】
前記第2の層中のポリマーがポリビニルピロリドンを含む、請求項89に記載のコーティング。
【請求項91】
前記第1の層及び前記第2の層とは異なる組成を有する第3の層をさらに含む、請求項75に記載のコーティング。
【請求項92】
前記治療薬が、血管作用剤、神経刺激剤、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、麻酔薬、ステロイド、抗凝固剤、抗炎症薬、免疫調節剤、細胞障害剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗体、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの抗血栓形成剤;エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖を遮断し得る抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸などの抗増殖剤;抗炎症剤、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤;リドカイン、ブピバカイン及びロピバカインなどの麻酔剤;抗凝固剤、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、抗血小板ペプチド、血管細胞増殖促進因子、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化因子、翻訳促進因子、血管細胞増殖阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、コレステロール低下剤、血管拡張剤、内因性の血管作用性機構を妨害する薬剤、放射性薬品、鎮痛薬、麻酔剤、食欲低下剤、抗貧血剤、抗喘息剤、抗糖尿病剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬物、抗生物質、抗ムスカリン薬、抗新生薬、抗ウイルス薬物、心血管薬、中枢神経系刺激剤、中枢神経系抑制剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、抗不安剤、催眠剤、鎮静剤、抗精神病薬、βブロッカー、止血剤、ホルモン、血管拡張薬、血管収縮薬並びにビタミンからなる群のメンバーである、請求項54に記載のコーティング。
【請求項93】
前記治療薬がパクリタキセルを含む、請求項54に記載のコーティング。
【請求項94】
前記機器が、移植可能な機器、患者に対して局所的に使用される機器、生体組織と接触する機器、カテーテル;ガイドワイヤ、塞栓コイル;血管グラフト、心臓弁、移植可能な心血管除細動器、ペースメーカー、外科用パッチ、創傷閉鎖、ミクロスフィア、バイオセンサー、移植可能なセンサー、ex−vivoセンサー、眼インプラント、コンタクトレンズ;及び組織工学足場からなる群から選択される、請求項54に記載のコーティング。
【請求項95】
前記機器がステントを含む、請求項54に記載のコーティング。
【請求項96】
前記第1のモノマー単位のガラス転移温度が約37℃よりも低く、前記第2のモノマー単位のガラス転移温度が約37℃よりも高い、請求項54に記載のコーティング。
【請求項97】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約0℃から約60℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項98】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約15℃から約40℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項99】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約−70℃から約70℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項54に記載のコーティング。
【請求項100】
前記組み合わせが、ブチルアクリレート、ブチルメチルメタクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー単位を含む、請求項99に記載のコーティング。
【請求項101】
前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位が、アクリル酸、アクリロニトリル、アリルアミン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ブタジエン、カルボメチルシラン、(カーボネート)ウレタン、ポリジメチルシロキサンのアクリレート/ポリジメチルシロキサンのメタクリレート、エチレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、(エーテル)ウレタン、ウレタン、塩化ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、硫酸デキストラン、プロピレン、エステル、カーボネート、エーテル、ブテン、マレイン酸、フルオロポリマーのモノマー単位、不飽和ポリマーのモノマー単位、イソプレン、メラミン、スルホン、尿素、バイオポリマーのモノマー単位、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネートエチルメタクリレート、N−アクリロキシスクシンイミド、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリセロールモノメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、メタクリロイルオキシエチル、メタクリロイルエチルホスホリルコリンポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、ビニルトルエン及びtert−ブチルアクリレートからなる群のメンバーから選択される、請求項99に記載のコーティング。
【請求項102】
前記コポリマーが第3のモノマー単位をさらに含み、前記第3のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位によって形成されたホモポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項99に記載のコーティング。
【請求項103】
前記第1のモノマー単位がアクリレートを含み、前記第2のモノマー単位がメタクリレートを含み、前記第3のモノマー単位がメタクリレートを含む、請求項99に記載のコーティング。
【請求項104】
前記コポリマーが、少なくとも2つのメタクリレートモノマー単位を含む、請求項99に記載のコーティング。
【請求項105】
医療機器上にコーティングを作製する方法であって、前記方法は、組成物を前記機器の少なくとも一部と結合させて層を形成するステップを含み、前記組成物は、少なくとも約2500の分子量を有するコポリマーを含み、前記コポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含む複数のモノマー単位の室温溶融物から調製され、前記第2のモノマー単位は、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、モノマー単位のガラス転移温度が、前記モノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される方法。
【請求項106】
前記溶融物が、約10容量%未満の溶媒をさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記溶融物が、約5容量%未満の溶媒をさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記溶融物が溶媒を本質的に含まない、請求項105に記載の方法。
【請求項109】
前記第1の層の少なくとも一部と接触する第2の層をさらに含み、前記第2の層及び前記第1の層が異なる組成を有する、請求項105に記載の方法。
【請求項110】
前記第1の層を、前記機器と前記第2の層との間に少なくとも部分的に配置する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記第2の層を、前記機器と前記第1の層との間に少なくとも部分的に配置する、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記第2の層が、前記第1の層のポリマーに共有結合により架橋されたポリマーを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記治療薬が、(a)前記第1の層と結合しているが前記第2の層とは結合していないか、(b)前記第2の層と結合しているが前記第1の層とは結合していないか、又は(c)前記第1の層及び前記第2の層の両方と結合している、請求項109に記載の方法。
【請求項114】
前記治療薬がパクリタキセルを含み、前記機器がステントを含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記第2のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約50℃高いガラス転移温度を有する、請求項105に記載の方法。
【請求項116】
前記第2のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約70℃高いガラス転移温度を有する、請求項105に記載の方法。
【請求項117】
前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位が、アクリル酸、アクリロニトリル、アリルアミン、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ブタジエン、カルボメチルシラン、(カーボネート)ウレタン、ポリジメチルシロキサンのアクリレート、ポリジメチルシロキサンのメタクリレート、エチレン、エチレングリコール、プロピレングリコール、(エーテル)ウレタン、ウレタン、塩化ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、硫酸デキストラン、プロピレン、エステル、カーボネート、エーテル、ブテン、マレイン酸、フルオロポリマーのモノマー単位、不飽和ポリマーのモノマー単位、イソプレン、メラミン、スルホン、尿素、バイオポリマーのモノマー単位、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネートエチルメタクリレート、N−アクリロキシスクシンイミド、グリシジルメタクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリセロールモノメタクリレート、ヘパリンメタクリレート、メタクリロイルエチルホスホリルコリン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、ビニルトルエン及びtert−ブチルアクリレートからなる群のメンバーから選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項118】
前記コポリマーが第3のモノマー単位をさらに含み、前記第3のモノマー単位が、前記第1のモノマー単位によって形成されたホモポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する、請求項105に記載の方法。
【請求項119】
前記コポリマーを、前記第1のモノマー単位のホモポリマーと前記第2のモノマー単位のホモポリマーを共有結合させることによって形成させる、請求項105に記載の方法。
【請求項120】
前記組成物を結合させるステップが、前記治療薬及び前記コポリマーを前記機器にほぼ同時に適用して、前記機器と結合した前記組成物を形成させるステップを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項121】
前記組成物を結合させるステップが、前記治療薬及び前記コポリマーを前記医療機器上に噴霧するステップ、又は前記医療機器を前記治療薬と前記コポリマーとの混合物中に浸漬するステップを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項122】
前記モノマー単位を前記医療機器と結合させた後に、前記モノマー単位を重合させて前記コポリマーを形成する、請求項105に記載の方法。
【請求項123】
前記医療機器を加熱して前記モノマー単位を重合させ、前記コポリマーを形成させる、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
開始剤を前記モノマー単位と結合させ、前記開始剤を活性化して、前記モノマー単位を重合させて前記コポリマーを形成させる、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
前記医療機器がステントであり、前記治療薬がパクリタキセルである、請求項122に記載の方法。
【請求項126】
前記機器を患者中に移植して、前記ステントから前記パクリタキセルを放出させるステップをさらに含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記コポリマーを調製し、引き続いて前記治療薬と結合させる、請求項105に記載の方法。
【請求項128】
前記コポリマーを、前記モノマーの溶融物由来の前記モノマー単位から調製する、請求項105に記載の方法。
【請求項129】
前記第1のモノマー単位が反応して前記第1のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックを形成し、前記第2のモノマー単位が反応して前記第2のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックを形成するように、前記第1のモノマー単位及び前記第2のモノマー単位を選択する、請求項105に記載の方法。
【請求項130】
前記第1の層の少なくとも一部と接触する第2の層をさらに含み、前記第2の層及び前記第1の層が異なる組成を有する、請求項300に記載の方法。
【請求項131】
前記第1の層を、前記機器と前記第2の層との間に少なくとも部分的に配置する、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記第2の層を、前記機器と前記第1の層との間に少なくとも部分的に配置する、請求項130に記載の方法。
【請求項133】
前記第2の層が、前記第1の層のポリマーに共有結合により架橋されたポリマーを含む、請求項130に記載の方法。
【請求項134】
前記コポリマーが、前記第2の層との共有結合架橋の形成に関与する反応性官能基を含み、前記反応性官能基が、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、アルデヒド、ケトン、チオール、アリル、アクリレート、メタクリレート、イソシアネート、エポキシド、アジド、アジリジン、アセタール、ケタール、アルキン、ハロゲン化アシル、ハロゲン化アルキル、ヒドロキシアルデヒド及びヒドロキシケトン、アレン、アミド、ビスアミド、アミノ酸及びアミノエステル、アミノカルボニル化合物、メルカプタン、アミノメルカプタン、無水物、アジン、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ボラン、カルバメート、カルボジイミド、カーボネート、ジアゾ化合物、イソチオネート、ヒドロキサム酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシアミン及びヒドロキシアミド、ヒドロキシルアミン、イミン、ラクタム、ニトリル、スルホンアミド、スルホン、スルホン酸、チオシアネート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項135】
前記第2の層が、前記第1の層との架橋の形成に関与する第2の反応性官能基を含むヘパリンマクロマーを含む、請求項130に記載の方法。
【請求項136】
前記第2の層のポリマーが、露光に対応して前記共有結合架橋のうち少なくとも1つを形成する第2の官能基を含む、請求項130に記載の方法。
【請求項137】
前記第1の層が前記治療薬を含み、前記第2の層が前記治療薬を含まない、請求項130に記載の方法。
【請求項138】
前記第2の層が、前記第1の層からの前記治療薬の放出速度を低下させる、請求項130に記載の方法。
【請求項139】
前記第2の層が、前記医療機器と接触し、少なくとも1種の反応可能なモノマーを有するポリマーを含む、請求項130に記載の方法。
【請求項140】
前記第2の層中のポリマーが、塩化ビニル、酢酸ビニル及びco−ビニルアルコールからなる群のうち少なくとも1つのメンバーのモノマー単位を含む第2のコポリマーである、請求項130に記載の方法。
【請求項141】
前記治療薬が、血管作用剤、神経刺激剤、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、麻酔薬、ステロイド、抗凝固剤、抗炎症薬、免疫調節剤、細胞障害剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗体、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの抗血栓形成剤;エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖を遮断し得る抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸などの抗増殖剤;抗炎症剤、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤;リドカイン、ブピバカイン及びロピバカインなどの麻酔剤;抗凝固剤、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、抗血小板ペプチド、血管細胞増殖促進因子、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化因子、翻訳促進因子、血管細胞増殖阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、コレステロール低下剤、血管拡張剤、内因性の血管作用性機構を妨害する薬剤、放射性薬品、鎮痛薬、麻酔剤、食欲低下剤、抗貧血剤、抗喘息剤、抗糖尿病剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬物、抗生物質、抗ムスカリン薬、抗新生薬、抗ウイルス薬物、心血管薬、中枢神経系刺激剤、中枢神経系抑制剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、抗不安剤、催眠剤、鎮静剤、抗精神病薬、βブロッカー、止血剤、ホルモン、血管拡張薬、血管収縮薬、並びにビタミンからなる群のメンバーである、請求項105に記載の方法。
【請求項142】
前記治療薬がパクリタキセルを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項143】
前記機器が、移植可能な機器、患者に対して局所的に使用される機器、生体組織と接触する機器、カテーテル;ガイドワイヤ、塞栓コイル;血管グラフト、心臓弁、移植可能な心血管除細動器、ペースメーカー、外科用パッチ、創傷閉鎖、ミクロスフィア、バイオセンサー、移植可能なセンサー、ex−vivoセンサー、眼インプラント、コンタクトレンズ;及び組織工学足場からなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項144】
前記機器がステントを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項145】
前記治療薬がパクリタキセルを含み、前記機器がステントを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項146】
前記第1のモノマー単位のガラス転移温度が約37℃よりも低く、前記第2のモノマー単位のガラス転移温度が約37℃よりも高い、請求項105に記載の方法。
【請求項147】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約−70℃から約70℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項105に記載の方法。
【請求項148】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約0℃から約60℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項105に記載の方法。
【請求項149】
前記コポリマーがモノマー単位の組み合わせから作製され、前記組み合わせが、約15℃から約40℃の範囲内の、重量平均した平均モノマー単位のガラス転移温度を有する、請求項105に記載の方法。
【請求項150】
前記治療薬及び前記コポリマーが、前記機器にほぼ同時に適用される、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
治療薬の送達用の材料と結合した発泡性医療機器であって、前記材料は、前記発泡性医療機器の発泡性部分の少なくとも一部と結合した組成物を含み、前記組成物は、少なくとも約2500の分子量を有するコポリマーと結合した前記治療薬を含み、前記コポリマーは、第1のモノマー単位及び第2のモノマー単位を含み、前記第2のモノマー単位は、前記第1のモノマー単位のガラス転移温度よりも少なくとも約30℃高いガラス転移温度を有し、医療機器の発泡性部分の少なくとも一部と共に、モノマー単位のガラス転移温度が、そのモノマー単位のホモポリマーのガラス転移温度として規定される、発泡性医療機器。
【請求項152】
前記第1のモノマー単位の少なくとも一部が、前記第1のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックへと組織化され、前記第2のモノマー単位の少なくとも一部が、前記第2のモノマー単位の繰り返しから本質的になる複数のブロックへと組織化される、請求項151に記載のコーティング。
【請求項153】
前記コポリマーが、ランダムコポリマー結合の領域をさらに含む、請求項152に記載のコーティング。
【請求項154】
前記コポリマーが、アクリレートブロック及びメタクリレートブロックを含む、請求項152に記載のコーティング。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−519049(P2006−519049A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502480(P2006−502480)
【出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000534
【国際公開番号】WO2004/075943
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503411004)バイオインターラクションズ リミテッド (1)
【出願人】(505323747)
【出願人】(505323769)
【Fターム(参考)】