説明

医療用膨張・収縮駆動装置

【課題】駆動装置の応答性の低下要因を検知できる医療用膨張・収縮駆動装置を提供する。
【解決手段】
駆動流体の流動によって被駆動機器(30)が膨張および収縮を繰り返すように、当該被駆動機器に連通する配管系(28)に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段(14a,14b)と、前記配管系にガスを補充するガス補充手段(60)と、前記配管系の前記駆動流体中における前記ガスの濃度を検出するガス濃度検出手段(72)と、を有する医療用膨張・収縮駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IABP(大動脈バルーンポンピング)等において被駆動機器を駆動するために用いられる医療用膨張・収縮駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IABPなどにおいてバルーンカテーテルを駆動するために用いられる駆動装置では、駆動流体としてヘリウムガス等を用いるものが提案されている。また、バルーンの応答性向上や破損時における体内へのガス流出抑制の観点から、バルーンカテーテルとの間で直接流体を流動させる二次配管系と、二次配管系に対して圧力変動のみを伝える一次配管系とを有する駆動装置も提案されている。
【0003】
ここで、バルーンカテーテル及び二次配管系等に充填されるガスは、たとえピンホール等の損傷が生じていない正常駆動時においても、バルーン膜や配管系を構成するチューブの壁を透過して拡散する。特に、質量が小さく応答性に優れていることなどから、バルーンカテーテルの駆動に好適に用いられるヘリウムガスは、その分子量が小さいために、バルーン膜や配管等から外部へ拡散しやすいという性質を有している。
【0004】
そのため、バルーンカテーテル及び二次配管系の内部圧力が低下した場合に、これらにヘリウムガスを補充する手段を有する駆動装置が提案されている。また、駆動装置によるガス補充量を監視することにより、正常駆動時におけるガス補充動作と、ピンホール等が生じている異常駆動時におけるガス補充動作とを判別可能な駆動装置も提案されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−173443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、バルーンカテーテル及びこれを駆動する駆動装置では、正常駆動時において、内部の駆動流体が外部に拡散するだけでなく、バルーンカテーテル及び二次配管系の内部へ、外部の空気や水蒸気等が流入する現象が発生する。バルーンカテーテル及び二次配管系の内部の駆動流体に、外部からの空気や水蒸気が混ざると、駆動装置の応答性が低下するなどの問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、駆動装置の応答性の低下要因を検知できる医療用膨張・収縮駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、
駆動流体の流動によって被駆動機器が膨張および収縮を繰り返すように、当該被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、
前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、
前記配管系の前記駆動流体中における前記ガスの濃度を検出するガス濃度検出手段と、
を有する。
【0009】
本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、配管系に存在する駆動流体中における補充ガスの濃度を検出することができる。駆動流体中における補充ガスの濃度低下は、駆動装置の応答性の低下要因となるため、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、配管系の駆動流体中における補充ガスの濃度を検出することにより、駆動装置の応答性の低下要因を検知できる。
【0010】
また、例えば、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、内部の圧力を調整する圧力調整手段を有し、前記配管系に第1制御弁を介して接続されるチャンバーをさらに有し、
前記ガス濃度検出手段は、前記チャンバー内に流入した前記駆動流体における前記ガスの前記濃度を検出することを特徴とする。
【0011】
圧力調整手段による圧力調整が可能なチャンバー内において、駆動流体のガス濃度を検出する医療用膨張・収縮駆動装置は、容易かつ正確な濃度の検出が可能である。
【0012】
また、例えば、前記圧力調整手段は、前記チャンバーの容積を変えるように移動する可動壁を有しても良く、
前記圧力発生手段は、前記陽圧を発生する陽圧発生部と、前記陰圧を発生する陰圧発生部とを有しても良く、
前記チャンバーは、第2制御弁を介して前記陰圧発生部と接続されても良く、
前記可動壁は、前記チャンバーが前記陰圧発生部と連通した際に、前記チャンバーの前記容積が減少するように移動しても良い。
【0013】
このようなチャンバーを有する医療用膨張・収縮駆動装置は、シンプルな構造でありながら、高い精度で駆動流体中のガス濃度を検出することが可能である。また、圧力調整手段が有する可動壁は、チャンバー内の圧力を調整する際に移動するだけでなく、チャンバーから駆動流体を排出する際にも移動するため、チャンバーの効率的な排出にも貢献する。
【0014】
また、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、前記配管系から前記駆動流体を排出する排出手段をさらに有し、
前記排出手段及び前記ガス補充手段は、前記ガス濃度検出手段によって、前記駆動流体中における前記ガスの前記濃度が所定の値以下になったことが検出された場合に、前記配管系の前記駆動流体を前記ガスに置換する。
【0015】
ガスの濃度が所定の値以下になった時に、排出手段及びガス補充手段が、配管系の駆動流体を補充ガスに置換する医療用膨張・収縮駆動装置は、ガスの濃度低下による応答性の低下を防止することができる。また、所定の時間で駆動流体の置換を行うような技術に比べて、駆動流体の置換頻度を抑制することが可能である。したがって、このような医療用膨張・収縮駆動装置は、補充ガスの消費を抑制できるとともに、駆動流体の置換に伴う装置の停止時間を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置の概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す医療用膨張・収縮装置に接続されるバルーンカテーテルの一例を表す断面図である。
【図3】図3は、図2に示すバルーンカテーテルの使用例を表す概念図である。
【図4】図4は、図1に示す医療用膨張・収縮駆動装置において行われる圧力検出のタイミングを示すチャート図である。
【図5】図5は、図1に示す医療用膨張・収縮駆動装置において行われるガス濃度検出の第1の段階を表す概念図である。
【図6】図6は、図1に示す医療用膨張・収縮駆動装置において行われるガス濃度検出の第2の段階を表す概念図である。
【図7】図7は、図1に示す医療用膨張・収縮駆動装置において行われるガス濃度検出の第3の段階を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置を、図面に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置の概略構成図である。本実施形態では、IABP用バルーンカテーテル30のバルーン32を膨張及び収縮させるために用いられる駆動装置を例に挙げて説明を行うが、本発明に係る駆動装置によって膨張及び収縮させられる医療用器具はこれに限定されない。
【0019】
図2に示すように、IABP用バルーンカテーテル30は、心臓の拍動に合わせて拡張及び収縮するバルーン32を有する。バルーン32は、膜厚約75〜150μm程度の筒状のバルーン膜で構成される。図2に示すバルーンカテーテル30において、拡張状態のバルーン膜の形状は円筒形状であるが、これに限定されず、多角筒形状であっても良い。
【0020】
IABP用バルーン32は耐屈曲疲労特性に優れた材質で構成される。バルーン32の外径および長さは、心機能の補助効果に大きく影響するバルーン32の内容積と、動脈血管の内径などに応じて決定される。バルーン32は、通常、その内容積が25〜50ccであり、外径が拡張時14〜16mmであり、長さが210〜270mmである。
【0021】
このバルーン32の遠位端は、短チューブ35を介してまたは直接に内管40の遠位端外周に熱融着または接着などの手段で取り付けてある。バルーン32の近位端には、金属チューブ37などの造影マーカーを介してまたは直接に、カテーテル管34の遠位端に接合してある。このカテーテル管34の内部に形成された第1のルーメンを通じて、バルーン32内に、駆動流体が導入または導出され、バルーン32が拡張または収縮するようになっている。バルーン32とカテーテル管34との接合は、熱融着あるいは紫外線硬化樹脂などの接着剤による接着により行われる。
【0022】
内管40の遠位端はカテーテル管34の遠位端より遠方へ突き出ている。内管40は、バルーン32およびカテーテル管34の内部を軸方向に挿通されている。内管40の近位端は、分岐部36の第2ポート42に連通するようになっている。内管40の内部には、第2ルーメンが形成してある。第2ルーメンは、バルーン32の内部に形成される膨張・収縮空間や、カテーテル管34内に形成された第1のルーメンとは連通しない。内管40は、遠位端の開口端43で取り入れた血圧を分岐部36の第2ポート42へ送り、そこから血圧変動の測定を行うようになっている。
【0023】
バルーン32内に位置する内管40の第2ルーメンは、バルーンカテーテル30を動脈内に挿入する際に、バルーン32を都合良く動脈内に差し込むためのガイドワイヤ挿通管腔としても用いられる。バルーンカテーテル30を血管などの体腔内に差し込む際には、バルーン32は、内管40の外周に折り畳んで巻回される。図2に示す内管40は、たとえばカテーテル管34と同様な材質で構成される。内管40の内径は、ガイドワイヤを挿通できる径であれば特に限定されず、たとえば0.15〜1.5mm、好ましくは0.5〜1mmである。この内管40の肉厚は、0.1〜0.4mmが好ましい。内管40の全長は、血管内に挿入されるバルーンカテーテル30の軸方向長さなどに応じて決定され、特に限定されないが、たとえば500〜1200mm、好ましくは700〜1000mm程度である。
【0024】
カテーテル管34は、ある程度の可撓性を有する材質で構成されることが好ましい。カテーテル管34の内径は、好ましくは1.5〜4.0mmであり、カテーテル管34の肉厚は、好ましくは0.05〜0.4mmである。カテーテル管34の長さは、好ましくは300〜800mm程度である。
【0025】
カテーテル管34の近位端には患者の体外に設置される分岐部36が連結してある。分岐部36はカテーテル管34と別体に成形され、熱融着あるいは接着などにより、カテーテル管34と固着される。分岐部36にはカテーテル管34内の第1のルーメンおよびバルーン32内に駆動流体を導入または導出するための第1ポート38と、内管40の第2ルーメン内に連通する第2ポート42とが形成してある。
【0026】
第1ポート38は、たとえば図3に示す駆動装置29に接続され、この駆動装置29により流体圧がバルーン32内に導入または導出されるようになっている。バルーン32への充填に使用する補充ガスは特に限定されないが、駆動装置29の駆動に応じて素早くバルーン32が拡張または収縮するように、質量の小さいヘリウムガスなどを主成分とする流体が用いられる。
【0027】
図3に示すように、第2ポート42は、血圧変動測定装置49に接続される。血圧変動測定装置49は、バルーン32の遠位端に位置する内管40の開口端43及び第2ルーメンを介して、動脈内の血圧の変動を測定することができる。血圧変動測定装置49は、測定した血圧の変動等を駆動装置29に出力する。駆動装置29は、血圧の変動等から心臓の拍動を認識し、これに合わせてバルーン32を膨張及び収縮させる。駆動装置29は、通常0.4〜1秒程度の短周期でバルーン32を拡張および収縮させる。
【0028】
IABP用バルーンカテーテル30では、前述したように、バルーン32を駆動するためにバルーン32内に導入される補充ガスとして、応答性が良好であるなどの観点から、質量の小さいヘリウムガスなどを用いる。しかし、ヘリウムガスの陽圧および陰圧を、直接ポンプやコンプレッサなどで作り出すことは、ガス消費量が大きく経済性に難があり又、容量の制御が困難である。したがって、本実施形態に係る駆動装置29では、図1に示すような構造を採用している。すなわち、バルーン32内に連通する二次配管系28と、圧力発生手段としての第1ポンプ14a及び第2ポンプ14bに連通する一次配管系27とを、圧力伝達隔壁装置50により分離している。圧力伝達隔壁装置50は、ダイヤフラムおよびプレートを有する隔壁55により気密に仕切られた第1室56と第2室58とを有する。なお、隔壁55は、ダイヤフラムのみで構成されていても良い。
【0029】
圧力伝達隔壁装置50の第1室56は、入力ポート52を通じて図1に示す一次配管系27に連通している。第2室58は、出力ポート54を通じて二次配管系28に連通している。
【0030】
第1室56と第2室58とは、流体の連通は遮断されているが、第1室56の圧力変化(容積変化)が、隔壁55の変位により、第2室58の圧力変化(容積変化)として伝達するようになっている。このような構造を採用することにより、一次配管系27と二次配管系28とを連通させることなく、一次配管系27の圧力変動を二次配管系28に伝達することができる。また、駆動装置29は、二次配管系28に封入される駆動流体の容量(化学当量)を一定に制御し易い。さらに、駆動装置29は、仮にバルーン32に異常が生じて駆動流体が漏れたとしても、その漏れ量が過大になることを防止することができる。
【0031】
本実施形態では、一次配管系27の内部流体を空気とし、二次配管系28にヘリウムガスを充填及び補充する。二次配管系28へ供給する流体をヘリウムガスとしたのは、質量(分子量)が小さいガスを用いることで、バルーン32の膨張・収縮の応答性を高めるためである。
【0032】
図1に示すように、一次配管系27には、圧力発生手段として、二つのポンプ14a,14bが配置してある。一方の第1ポンプ14aは、陽圧発生用ポンプ(コンプレッサとも言う;以下同様)であり、他方の第2ポンプ14bは、陰圧発生用ポンプである。第1ポンプ14aの陽圧出力口には、減圧弁17を介して、陽圧タンクとしての第1圧力タンク12が接続してある。また、第2ポンプ14bの陰圧出力口には、逆止弁18を介して陰圧タンクとしての第2圧力タンク13が接続してある。
【0033】
第1圧力タンク12および第2圧力タンク13には、それぞれの内部圧力を検出する圧力検出手段としての圧力センサ15,16が装着してある。各圧力タンク12,13には、それぞれ電磁弁21および電磁弁22が接続してある。これら電磁弁21,22の開閉は、図示省略してある中央制御手段により制御され、たとえば患者の心臓の拍動に対応して制御される。これら電磁弁21,22の出力端は、二次圧力発生手段としての圧力伝達隔壁装置50の入力ポート52に接続してある。
【0034】
圧力伝達隔壁装置50の出力ポート54は、二次配管系28に接続してある。二次配管系28は、バルーン32の内部に連通しており、ヘリウムガスを主成分とする駆動流体が封入された密閉系となっている。この二次配管系28は、ホースまたはチューブなどで構成される。この二次配管系28には、その内部圧力を検出する圧力検出手段としての圧力センサ25が装着してある。この圧力センサ25の出力は、補充制御手段20へ入力するようになっている。
【0035】
また、この二次配管系28には、主ライン28aから分岐して、排気ライン28bが接続してある。この排気ライン28bには、電磁弁19を介して、図示省力してある排気用ポンプが接続してある。排気ライン28bに設けられた電磁弁19および排気用ポンプは、二次配管系28の内部を真空引きするためのものである。例えば、使用前において、二次配管系28及びこれに繋がる第1ルーメン及びバルーン32内は、排気ライン28bを介して排気された後、後述の補充ライン28cからヘリウムガスを供給されることによって、ヘリウムガスへの置換が実施される。
【0036】
また、排気ライン28bは、二次配管系28内に存在する駆動流体のヘリウムガス濃度が低下し、二次配管系28内の駆動流体を補充ライン28cからのヘリウムガスに置換する際にも使用される。この場合も、使用前と同様に、電磁弁19を開き、排気ライン28bから二次配管系28を排気したのち、新たなヘリウムガスを二次配管系28に充填する。バルーン32を短周期で膨張及び収縮させる通常使用状態においては、電磁弁19は閉じられている。なお、排気用ポンプは、第2ポンプ14bを兼ねても良い。
【0037】
この二次配管系28には、補充ライン28cを介して補充装置60が接続してある。補充装置60は、二次配管系28(第1ルーメン及びバルーン32の内部を含む)内部に存在する駆動流体の化学当量が一定に保たれるように、二次配管系28に対してヘリウムガスを補充する。補充装置60は、一次ガスタンクとしての一次ヘリウムガスタンク61を有する。一次ヘリウムガスタンク61の出力側には、減圧弁62を介して、電磁弁63が接続してある。この電磁弁63の開閉は、補充制御手段20により制御される。この電磁弁63の出力側には、二次ヘリウムガスタンク64が接続してあり、電磁弁63の開閉により、一次ヘリウムガスタンク61と二次ヘリウムガスタンク64が連通するようになっている。
【0038】
二次ヘリウムガスタンク64には、圧力センサ65が装着してあり、圧力センサ65は、二次ヘリウムガスタンク64内の圧力を検出し、補充制御手段20へ検出結果を出力する。補充制御手段20は、電磁弁63の開閉を制御することにより、二次ヘリウムガスタンク64内の圧力を略一定に保つ。たとえば二次ヘリウムガスタンク64内の圧力は、100mmHg程度に制御される。
【0039】
二次ヘリウムガスタンク64には、電磁弁68が接続してある。電磁弁68は、補充制御手段20により制御される。補充制御手段20は、圧力センサ25を介して二次配管系28内部の圧力を検知し、バルーン32などからの透過により二次配管系28内部の圧力が低下した場合には、電磁弁68を開いて一定容量のヘリウムガスを補充する。補充制御手段20は、バルーン32の膨張及び収縮における所定のタイミングで二次配管系28の圧力を検知し、電磁弁68の開閉を行う。これにより、駆動装置29は、バルーン32を膨張及び収縮させる動作を続けながら、バルーン32の膨張及び収縮動作を阻害することなく、ヘリウムガスの補充を行うことができる。
【0040】
また、図示省略してあるが、その電磁弁68と並列に置換用電磁弁が接続してある。置換用電磁弁は、排気ライン28bを介して排気され負圧にされた二次配管系28内に、ヘリウムガスを充填する際に用いられる。バルーン32を短周期で膨張及び収縮させる通常使用状態においては、置換用電磁弁は閉じられている。
【0041】
ヘリウムガス充填(置換)時には、圧力センサ25により系内の圧力をモニタリングし、二次配管系28内が負圧になったことを確認した後、バルーン32の容量により決定される圧力となるまでヘリウムガスを封入する。たとえば40ccの容量のバルーンカテーテル30を用いる場合には、その二次配管系28の充填時の圧力を+10±4mmHg(ゲージ圧)とし、30ccの容量のバルーンカテーテル30を用いる場合には、その二次配管系28の充填時の圧力を−30±4mmHg(ゲージ圧)とする。
【0042】
二次配管系28には、排気ライン28b及び補充ライン28cの他に、主ライン28aから分岐した測定ライン28dが接続してある。測定ライン28dには、第1制御弁としての第1電磁弁73を介して、測定チャンバー74が接続してある。測定チャンバー74の内部には、第1電磁弁73を介して、二次配管系28に存在する駆動流体の一部が導入される。測定チャンバー74には測定子72が取り付けられており、測定子72は、測定チャンバー内に流入した駆動流体中におけるヘリウムガスの濃度を検出する。
【0043】
測定チャンバー74は、第2制御弁としての第2電磁弁75を介して、第2ポンプ14b及び第2圧力タンク13に接続されている。第2ポンプ14bは陰圧発生用ポンプであり、第2圧力タンク13は負圧に保たれている。そのため、測定チャンバー74の内部に導入された駆動流体は、第2電磁弁75を介して排出される。第1電磁弁73及び第2電磁弁75の開閉は、中央制御手段によって制御される。
【0044】
測定チャンバー74は、測定チャンバー74の圧力を調整する圧力調整手段を有する。圧力調整手段は、ピストン76、アクチュエータ77、圧力センサ78及び測定制御手段79によって構成される。ピストン76は、アクチュエータ77により駆動され、測定チャンバー74の容積を変更するように移動する。
【0045】
圧力センサ78は、測定チャンバー74内部の圧力を測定し、測定結果を測定制御手段79に出力する。測定制御手段79は、圧力センサ78による測定結果に基づき、アクチュエータ77を制御してピストン76を移動させる。これにより、測定制御手段79は、測定チャンバー74内部の圧力を、所定の圧力になるように調整することができる。本実施形態において、測定制御手段79は、中央制御手段と相互に通信可能であるが、これに限定されず、測定制御手段79は、中央制御手段から独立していても良いし、あるいは中央制御手段の一部であっても良い。
【0046】
ピストン76等によって構成される圧力調整手段は、測定子72による濃度測定時における測定チャンバー74内部の圧力を、所定の値に調整することができる。圧力調整手段は、例えば測定チャンバー74の圧力を大気圧とすることができるが、測定チャンバー74内の圧力は、測定子72等に応じて決定される。しかし、圧力調整手段は、測定子72による濃度測定が実施されていない間は、測定チャンバー74の圧力調整を停止しても良い。例えば、測定制御手段79は、第2電磁弁75を開いて測定チャンバー74から駆動流体を排気する際には、ピストン76が外力に従って移動できるように、アクチュエータ77を制御しても良い。
【0047】
測定チャンバー74には、測定子72が取り付けられている。測定子72は、測定チャンバー74内に流入した駆動流体に含まれるヘリウムガスの濃度を測定し、不図示の中央制御装置に出力する。測定子72は、補充装置60によって補充されるガス(本実施形態においてはヘリウムガス)が、測定チャンバー74内に導入された駆動流体中に、どの程度の割合で存在するのかを検出できるものであれば、特に限定されない。例えば、補充装置60によって補充されるガスがヘリウムガスである場合には、測定子72としてピラニーゲージを好適に用いることができる。測定子72としてピラニーゲージを使用し、圧力調整手段を有する測定チャンバー74を用いることにより、駆動装置29は、駆動流体に含まれるヘリウムガスの濃度を、容易かつ高精度に検出することができる。
【0048】
測定子72によるガス濃度の検出結果を用いて、駆動装置29は、様々な動作を行うことが可能である。例えば、駆動装置29は、測定子72によるガス濃度の検出結果を、表示装置等を用いて表示しても良い。また、駆動流体に含まれるヘリウムガスの濃度が所定の値以下になったことが検出された場合、駆動装置29は、警告音の発生や警告灯の点灯などの警告動作を行っても良い。さらに、駆動装置29の中央制御装置は、駆動流体に含まれるヘリウムガスの濃度が所定の値以下になった場合、二次配管系28、第1ルーメン及びバルーン32内の駆動流体を、補充装置60から新たに補充されるヘリウムガスに置換しても良い。なお、駆動装置29が警告動作や置換動作を行うヘリウムガス濃度の所定値は特に限定されないが、例えば70%以上〜100%未満とすることにより、ガスの濃度低下による応答性の低下を効果的に防止できる。
【0049】
次に、本実施形態に係る医療機器用駆動装置の動作例について説明する。本実施形態では、図1に示す第1ポンプ14aを駆動することにより、第1圧力タンク12内の圧力PT1が約300mmHg(ゲージ圧)に設定され、第2ポンプ14bを駆動することにより、第2圧力タンク13内の圧力PT2が約−150mmHg(ゲージ圧)に設定される。そして、図1に示す圧力伝達隔壁装置50の入力端に加わる圧力を、電磁弁21,22を交互に駆動することで、第1圧力タンク12および第2圧力タンク13の圧力に切り換える。この切り替えのタイミングは、患者の心臓の拍動に合わせて行われるように、中央制御手段が制御する。
【0050】
図4は、電磁弁21,22による圧力切り替え駆動の結果、図1に示す二次配管系28内で起こる圧力変動を示すものであり、圧力センサ25の検出出力を、バルーン32の動きと合わせて表示したものである。二次配管系28の圧力変動の最大値は、例えば289mmHg(ゲージ圧)であり、最小値は、例えば−114mmHg(ゲージ圧)である。バルーン32は、図4に示す圧力変動に応じた膨張及び収縮を繰り返し、これにより駆動装置29及びバルーンカテーテル30により、心臓の補助治療を行うことができる。
【0051】
図1に示す補充制御手段20は、図4に示すタイミング*2(バルーン32の収縮状態から膨張状態に切り換えるタイミング)で、図1に示す圧力センサ15による検出圧力を読み取る。さらに、補充制御手段20は、その検出圧力P3が、所定値となるように制御を行う。補充制御手段20によって制御される検出圧力P3の所定値は、バルーン32の容積により異なる。たとえばバルーン32の容量が40ccの場合には、検出圧力P3の所定値は+10±4mmHg(ゲージ圧)、バルーン32の容積が30ccの場合には、検出圧力P3は−30±4mmHg(ゲージ圧)とすることができる。検出圧力P3が、これらの値を下回ったときに、補充制御手段20は、電磁弁68を駆動し、二次ヘリウムガスタンク64から二次配管系28内にヘリウムガスを補充し、図4に示す検出圧力P3が所定値となるように制御する。
【0052】
本実施形態では、バルーン32が萎んだ状態で、このバルーン32に接続される二次配管系28に一定容量(一定モル数:化学当量比)のヘリウムガスを入れる。また、バルーン32などからの透過による駆動流体の低減を、バルーン32が萎んだ状態における検出圧力P3を用いて監視する。これにより、駆動装置29は、外力により変形し得るバルーン32部分の検出圧力への影響を低減し、任意の駆動配管系28(チューブやホースを含む)とバルーン32の容量に応じた駆動流体の化学当量が一定に保たれるようにすることが可能となる。
【0053】
このように制御すれば、図4に示すプラトー圧P4(バルーンが膨らんだ状態での圧力)をも観測することにより、バルーン32が曲折されるなどの不測の事態によりバルーン32の容積が変化したことを検出することができる。たとえば、プラトー圧力P4が、通常よりも高くなった場合には、バルーン32が曲折されているなどの判断ができる。また、プラトー圧力P4が、通常よりも小さくなった場合には、駆動流体が透過以外の不測の事態で漏れていると判断することができる。
【0054】
また、駆動装置29は、図4に示すようなバルーン32の膨張及び収縮動作と並行して、二次配管系28に導入されている駆動流体中におけるヘリウムガスの濃度を検出することができる。図5〜図7は、駆動流体中におけるヘリウムガスの検出工程を表す概念図である。
【0055】
図5は、駆動装置29において行われるヘリウムガス濃度検出の第1の段階を表す概念図である。図5(a)は、ヘリウムガス濃度検出の第1の段階における測定チャンバー74周辺の概略図であり、図5(b)は、第1の段階における電磁弁21,22,68,73,75の開閉状態と、アクチュエータ77によるピストン76の移動状態を表している。
【0056】
図5に示す第1の段階では、駆動装置29は、測定チャンバー74内の流体(例えば直前にヘリウムガス濃度を測定した駆動流体)を排出する。図5(a)及び(b)に示すように、第1の段階では、中央制御装置が第2電磁弁75を開き、測定チャンバー74と第2圧力タンク13及び第2ポンプ14bとを連結する(図1参照)。第2ポンプ14bは陰圧発生用ポンプであり、第2圧力タンク13は負圧になるように制御されているため、これと接続された測定チャンバー74の圧力も減少する。
【0057】
図5(b)に示すように、第1の段階において、アクチュエータ77は、測定チャンバー74の容積を減少させるように、ピストン76を移動させる。測定制御手段79(図1参照)は、測定チャンバー74内が大気圧になるようにアクチュエータ77を制御しようとする。しかし、第1の段階では、測定チャンバー74は負圧に調整される第2圧力タンク13と連結されるため、測定チャンバー74内の流体は、時間の経過とともに排出される。そのため、アクチュエータ77によって制御されるピストン76は、図5(a)に示すように、測定チャンバー74の容積を最小にする位置まで移動し、そこで停止する。第1の段階により、測定チャンバー74内に存在していた流体はほぼ完全に排出することが可能であり、測定チャンバー74内に残存する流体が、第2の段階で導入される駆動流体に混入することを防止できる。
【0058】
また、第1の段階においては、第1電磁弁73は閉じられており、測定チャンバー74と二次配管系28は遮断されている。なお、中央制御装置は、ヘリウムガス濃度検出における第1の段階においても、電磁弁21と電磁弁22とを交互に開き、圧力伝達隔壁装置50を介してバルーン32に圧力変化を伝える。すなわち、中央制御装置は、ヘリウムガス濃度検出の第1の段階と並行して、バルーン32を膨張及び収縮させる通常の制御を続けている。
【0059】
図6は、駆動装置29において行われるヘリウムガス濃度検出の第2の段階を表す概念図である。図6(a)は、第2の段階における測定チャンバー74周辺の概略図であり、図6(b)は、第2の段階における電磁弁21,22,68,73,75の開閉状態と、アクチュエータ77によるピストン76の移動状態を表している。
【0060】
図6に示す第2の段階では、駆動装置29は、二次配管系28の駆動流体を測定チャンバー74の内部に導入する。図6(a)及び(b)に示すように、第2の段階では、中央制御装置は、第2電磁弁75を閉じた状態に保ちつつ、第1電磁弁73を断続的に開き、測定チャンバー74と二次配管系28とを連結する。ここで、中央制御装置は、二次配管系28を加圧するように電磁弁21を開いている時に、第1電磁弁73を開く。また、中央制御装置は、二次配管系28の圧力を検出する圧力センサ25の出力に基づき、第1電磁弁73を開くタイミングを調整しても良い。例えば、中央制御装置は、圧力センサ25によりプラトー圧P4(図4参照)が検出されるタイミングで、第1電磁弁73を開くことが好ましい。
【0061】
一回当たりの第1電磁弁73の開放時間は、例えば10〜100msとすることができる。第2の段階における第1電磁弁73の開放回数は、濃度測定のために測定チャンバー74内に導入すべき駆動流体の所定量によって決定される。測定チャンバー74に導入する駆動流体の所定量は、特に限定されないが、例えば測定子72がピラニーゲージの場合、3〜50mL程度とすることができる。
【0062】
図6(b)に示すように、第2の段階において、アクチュエータ77は、測定チャンバー74の容積を増加させるように、ピストン76を移動させる。測定制御手段79(図1参照)は、第1の段階と同様に、測定チャンバー74内が大気圧になるようにアクチュエータ77を制御しようとする。第2の段階では、中央制御装置は、二次配管系28が大気圧以上に加圧されているタイミング(例えば図4におけるプラトー圧P4のタイミング)で第1電磁弁73を開くため、第1電磁弁73が開かれている間、測定チャンバー74内に二次配管系28の駆動流体が流入する。そのため、アクチュエータ77によって制御されるピストン76は、図6(a)及び(b)に示すように、流入した駆動流体の量に応じて移動し、測定チャンバー74内の圧力増加を解消する。これにより、測定チャンバー74内の圧力は大気圧に保たれる。
【0063】
また、第2の段階においては、二次配管系28から測定チャンバー74へ駆動流体が流出するため、第1電磁弁73の開閉動作直後においては、二次配管系28及びバルーン32内に存在する駆動流体の量が不足する。しかし、図1に示す補充制御手段20は、圧力センサ25の出力値から駆動流体の減少を検知し、図6(b)に示すように、電磁弁68を開くことによって、二次配管系28へヘリウムガスを補充する。このように、二次配管系28には、補充装置60から適宜ヘリウムガスが補充されるため、第2の段階においても、二次配管系28に存在する駆動流体の量はほぼ一定に維持される。なお、中央制御装置は、第2の段階においても、第1の段階と同様に、電磁弁21と電磁弁22とを交互に開き、ヘリウムガス濃度検出と並行して、バルーン32を膨張及び収縮させる通常の制御を続けている。
【0064】
図7は、駆動装置29において行われるヘリウムガス濃度検出の第3の段階を表す概念図である。図7(a)は、第3の段階における測定チャンバー74周辺の概略図であり、図7(b)は、第3の段階における電磁弁21,22,68,73,75の開閉状態と、アクチュエータ77によるピストン76の移動状態を表している。
【0065】
図7に示す第3の段階では、駆動装置29は、測定チャンバー74を密閉した状態とし、測定チャンバー74に導入された駆動流体中におけるヘリウムガスの濃度を、測定子72によって検出する。図7(a)及び(b)に示すように、第3の段階では、中央制御装置は、第1電磁弁73と第2電磁弁75の両方を閉じた状態に保ち、測定チャンバー74を密閉状態とする。
【0066】
図7(b)に示すように、第3の段階において、アクチュエータ77は、ピストン76を静止した状態に保つ。第3の段階では、測定チャンバー74内に対する流体の流入及び流出が無いため、ピストン76を静止させることにより、測定チャンバー74内が大気圧に保たれる。
【0067】
第3の段階において、中央制御装置は、測定子72であるピラニーゲージの検出値を読み出すことにより、駆動流体中におけるヘリウムガスの濃度を認識することができる。なお、中央制御装置は、第3の段階においても、第1及び第2の段階と同様に、電磁弁21と電磁弁22とを交互に開き、ヘリウムガス濃度検出と並行して、バルーン32を膨張及び収縮させる通常の制御を続けている。
【0068】
駆動装置29は、第3の段階において検出されたヘリウムガス濃度が所定の値を上回る場合は、第1の段階の制御へ戻り、次回の測定の準備を行う。それに対して、第3の段階において検出されたヘリウムガス濃度が所定の値以下である場合には、駆動装置29は、二次配管系28及びバルーン32内の駆動流体を、補充装置60から新たに補充されるヘリウムガスに置換する。
【0069】
この場合、駆動装置29は、電磁弁21及び電磁弁22の開閉によるバルーン32の駆動及び補充装置60による補充制御を停止した後、電磁弁19を開いて、二次配管系28の内部に存在する駆動流体を排出する。次に、駆動装置29は、電磁弁68と並列に接続されている置換用電磁弁(不図示)を開き、二次配管系28内にヘリウムガスを充填する。このような二次配管系28の置換動作を行った後、駆動装置29は、電磁弁21及び電磁弁22の開閉によるバルーン32の駆動を再開する。
【0070】
このように、本実施形態に係る駆動装置29は、二次配管系28に存在しておりバルーン32を膨張・収縮させる駆動流体中におけるヘリウムガスの濃度を検出することができる。ヘリウムガスの濃度低下は、駆動装置29の応答性の低下要因となるため、駆動装置29は、駆動流体中のヘリウムガス濃度を検出することにより、駆動装置29の応答性の低下要因を早期に発見することができる。なお、ピンホールの発生等の異常発生時にも、駆動流体におけるヘリウムガスの濃度低下が起こるため、駆動装置29は、ヘリウムガスの濃度を測定することにより、バルーン32に発生した異常を検知することもできる。
【0071】
また、駆動装置29は、圧力調整手段によって圧力調整が可能な測定チャンバー74内の内部に駆動流体を導入し、圧力が一定に保たれた測定チャンバー74の内部で濃度の検出を行うことができる。このため、駆動装置29は、バルーン32を膨張・収縮させる通常の駆動を停止することなく、高精度に、駆動流体中のヘリウムガス濃度を検出することができる。
【0072】
さらに、駆動装置29は、圧力調整手段がピストン76を有し、ピストン76が、測定チャンバー74から流体を排出する際に測定チャンバー74の容積を減少させるように移動するため、測定前に測定チャンバー74内の流体を効率的に排出できる。そのため、駆動装置29は、測定チャンバー74内に、測定対象である駆動流体以外の流体が混入することを防止し、高い精度でガスの濃度を検出することが可能である。また、測定チャンバー74が第2電磁弁75を介して第2圧力タンク13に接続されていることにより、測定チャンバー74は、シンプルな構造で効果的な排気が可能である。
【0073】
また、さらに、駆動装置29は、ヘリウムガス濃度が所定の値以下である場合には、二次配管系28及びバルーン32内の駆動流体を、補充装置60から新たに補充されるヘリウムガスに置換する。これにより、駆動装置29は、ガスの濃度低下による応答性の低下を防止することができるとともに、所定の時間でガスの置換を行うような技術に比べて、ガスの置換頻度を抑制することが可能である。
【0074】
その他の実施形態
上述の駆動装置29では、測定子72は、測定チャンバー74に取り付けられるが、測定子72の配置はこれに限定されない。例えば、駆動流体中におけるガス(補充装置60から供給されるガス)の濃度を測定する測定子は、図1に示す圧力伝達隔壁装置50の第2室58に取り付けられても良い。
【0075】
また、補充装置60から補充され、測定子72によって駆動流体中の濃度を測定されるガスとしては、ヘリウムガスに限定されず、窒素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガス等、その他のガスであっても良い。圧力調整装置は、本実施形態のように、圧力センサ78及びアクチュエータ77を有していても良いが、これに限定されない。例えば、圧力調整装置は、圧力センサ78等を用いず、測定チャンバー74内の圧力と大気圧などの外力とのバランスにより、ピストン76を移動させるものであっても良い。
【符号の説明】
【0076】
12…第1圧力タンク
13…第2圧力タンク
14a…第1ポンプ
14b…第2ポンプ
18…逆止弁
20…補充制御手段
27…一次配管系
28…二次配管系
28a…主ライン
28b…排気ライン
28c…補充ライン
28d…測定ライン
29…駆動装置
32…バルーン
30…バルーンカテーテル
34…カテーテル管
35…短チューブ
36…分岐部
37…金属チューブ
40…内管
43…開口端
49…血圧変動測定装置
50…圧力伝達隔壁装置
55…隔壁
56…第1室
58…第2室
60…補充装置
61…一次ヘリウムガスタンク
64…二次ヘリウムガスタンク
72…測定子
74…測定チャンバー
76…ピストン
77…アクチュエータ
79…測定制御手段
15,16,25,65,78…圧力センサ
19,21,22,63,68,73…電磁弁
17,62…減圧弁
38,42,52,54…ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動流体の流動によって被駆動機器が膨張および収縮を繰り返すように、当該被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、
前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、
前記配管系の前記駆動流体中における前記ガスの濃度を検出するガス濃度検出手段と、
を有する医療用膨張・収縮駆動装置。
【請求項2】
内部の圧力を調整する圧力調整手段を有し、前記配管系に第1制御弁を介して接続されるチャンバーをさらに有し、
前記ガス濃度検出手段は、前記チャンバー内に流入した前記駆動流体における前記ガスの前記濃度を検出することを特徴とする請求項1に記載の医療用膨張・収縮駆動装置。
【請求項3】
前記圧力調整手段は、前記チャンバーの容積を変えるように移動する可動壁を有し、
前記圧力発生手段は、前記陽圧を発生する陽圧発生部と、前記陰圧を発生する陰圧発生部とを有し、
前記チャンバーは、第2制御弁を介して前記陰圧発生部と接続されており、
前記可動壁は、前記チャンバーが前記陰圧発生部と連通した際に、前記チャンバーの前記容積が減少するように移動することを特徴とする請求項2に記載の医療用膨張・収縮駆動装置。
【請求項4】
前記配管系から前記駆動流体を排出する排出手段をさらに有し、
前記排出手段及び前記ガス補充手段は、前記ガス濃度検出手段によって、前記駆動流体中における前記ガスの前記濃度が所定の値以下になったことが検出された場合に、前記配管系の前記駆動流体を前記ガスに置換することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の医療用膨張・収縮駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−213468(P2012−213468A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79888(P2011−79888)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】