医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム、および、医療行為支援装置
【課題】医療行為を支援するシステムの画面上で、医師が患者の状態をさらに確実に認識することができるようにする。
【解決手段】コンピュータに、患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、患者識別情報を基に、患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、属性データが所定の条件に該当する場合に、表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させるプログラムである。
【解決手段】コンピュータに、患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、患者識別情報を基に、患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、属性データが所定の条件に該当する場合に、表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させるプログラムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療行為を支援するコンピュータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子カルテを参照して医師が様々な指示を入力する際、患者の状態に留意する必要がある。このため、従来のシステムでは、電子カルテ画面中に患者基本情報(患者に関する特記事項)を表示している。
【0003】
図1に従来の電子カルテシステムでの画面表示例を示す。この画面の左側は、ブラウザを構成し、医師が電子カルテを参照する画面領域である。また、この画面の右側は、エディタを構成し、医師が電子カルテを入力する画面領域である。
【0004】
この画面の左上部には、患者のIDとともに星印が表示され、この患者に感染症の症状があることを示している。また、この画面の右上部の欄に「治」の文字が表示され、この患者が治験対象(例えば、治験対象薬を投薬中)の患者であることが示されている。周知のように治験とは、新薬、新規医療器具による治療法等について非臨床試験完了後、国の承認を得るための成績を集める臨床試験である。このような感染症の有無、治験対象か否か等、医師は、患者基本情報(患者に関する特記事項)に留意して処置を指示する必要がある。
【0005】
すなわち、電子カルテシステムは、患者の症状、検査結果の確認、処方箋発行、追加の詳細検査の依頼等、医療行為を支援する多様な機能を有し、情報を入出力する様々な画面が設けられている。このように医師は、様々な指示を入力する際に患者の状態に注意をする必要がある。
【0006】
しかし、従来の電子カルテシステムでは、画面が遷移しても、それぞれの画面で通常同じ位置に特記事項を含む患者基本情報が表示される。また、そのような表示は、医師が指示を入力する領域とは離れた位置になされる。したがって、どの画面を表示していても、注意を促す表示の場所や内容に相違あるいは変化が少ないため、視覚的効果、あるいは、警告表示としての効果が薄れる場合がある。このため、医師がこのような特記事項を含む患者基本情報を見落とす可能性がないとはいえない。
【0007】
なお、一般的なコンピュータ画面上の表示に関する技術としては、下記特許文献1、2等が知られている。
【特許文献1】特開2001−306214号公報
【特許文献2】特開2004−110845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、患者基本情報に応じて、電子カルテ等、医療行為を支援するシステムの画面上で、医師が患者の状態をさらに確実に認識することができるようにして、患者の症状、特性、その他の状態に応じて適格な処置をすることができるように支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、コンピュータに、患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させ、医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラムである。
【0010】
本発明によれば、医療行為の対象となる患者の属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示するので、的確に、医師の注意を喚起し、適切な医療行為の実行を支援できる。
【0011】
前記属性データが前記所定条件に該当する旨は、前記ポインタの外観仕様によって表示されるようにしてもよい。医師等のユーザが本プログラムにより医療行為の支援を受ける場合に、データ入出力操作においてポインタ位置に注目するので、前記所定条件に該当する旨が前記ポインタの外観仕様によって表示されると、より適切な時期に注意を喚起できる。
【0012】
前記所定条件に該当する旨のポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更されるようにしてもよい。すなわち、属性データが所定の条件に該当し、その属性データと関係する画面領域にポインタがある場合に、前記表示がなされるので、より適切な時期に注意を喚起できる。
【0013】
前記所定条件に該当する属性データが複数項目ある場合に、所定の優先順にしたがって前記所定条件に該当する旨の表示が列挙されるようにしてもよい。したがって、医師等のユーザが注意を払うべき優先順に注意を喚起できる。
【0014】
前記優先順は、前記ポインタが位置する画面領域に応じて変更されるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明は、上記プログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、本発明は、コンピュータが上記処理を実行する方法であってもよい。また、本発明は、上記機能を提供する医療行為支援装置であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、医療行為を支援するシステムの画面上で、医師が患者の状態をさらに確実に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る情報システムについて説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成には限定されない。
【0018】
<発明の骨子>
本情報システムは、医療行為を支援するシステムであり、電子カルテシステムを基本的な構成要素として含んでいる。
・本電子カルテシステムは、患者の状態に応じての注意マークを電子カルテシステムの画
面上に表示する。その際、ユーザ(医師)が電子カルテシステムに入力している際には必ず見ることになるマウスポインタの形状を変えることで、注意マークの表示を実現する。・警告したい事項あるいは注意を喚起すべき事項が複数ある可能性があるため、注意マークは複数表示できることとする。
・感染症がある場合など、何を入力しているときも注意してほしいものはマウスポインタに感染症マークを常に表示させることで、常に注意を促す。
・入力している画面に応じてマウスポインタの形状を自動的に変化させる。例えば、何を入力しているときも関係する注意マークと今入力している画面に関係する注意マークとを併用する。また、今入力している画面に関係する重要度によって注意マークの順序を変更させる。
・患者に意識させないようなマーク等、病院の事情に合わせてマークの形状を簡単にメンテナンスできることとする。
【0019】
図2から図4に、本電子カルテシステムの画面例を示す。図2は、感染症の症状のある患者の電子カルテ表示例である。感染症がある患者については、すべての指示に関係するため、その患者のカルテを開いている間は常にマウス等のポインティングデバイスのポインタに感染症がある注意を促すマークを表示する。
【0020】
図2の例では、ポインタが丸印中に「感」という字が描かれたマーク(本発明のポインタの外観仕様に相当)で表示されている。したがって、医師がこの患者の症状等について、電子カルテに入力しようとすると、入力フィールド付近に位置づけられたポインタによって、その患者が感染症患者である注意が促されることになる。
【0021】
図3は、感染症の症状があり、かつ、治験患者登録がされている患者に処置を指示する入力画面の例である。治験患者登録がされている患者に、処方指示、注射指示、検体検査指示を入力しようとするとマウスポインタに治験患者である注意を促すマークを表示する。
【0022】
図3の例では、ポインタが、丸印中に「治」という字が描かれたマークと、丸印中に「感」という字が描かれたマークとを組み合わせて構成されている。したがって、医師がこの患者に対する処方指示、注射指示、検体検査指示を入力しようとすると、入力フィールド付近に位置づけられたポインタによって、その患者が治験患者登録され、かつ、感染症患者である注意が促されることになる。
【0023】
図4は、検査の結果に異常値がある患者に処置を指示する入力画面の例である。検査の結果に異常値がある場合は、処方指示、注射指示、検体検査指示を入力しようとすると注意を促すマークが表示される。例えば、検査の結果が標準値より高い場合は「高」、標準値より低い場合は「低」という字が丸印中に描かれたマークが表示される。したがって、検査結果のデータが、所定の範囲にあるか否かにより、注意マークが表示されることになる。
【0024】
なお、その時点で入力している画面への関係度合によって注意マークの順序、および表示の有無を変更してもよい(本発明の「ポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更される」ことに相当する)。例えば、検査の結果に異常値があっても、それが処方箋の内容に影響を及ぼさない場合は、図3のように、処方箋発行画面で、丸印中に「高」の文字が描かれたマークの表示を省略してもよい。一方、検査の結果に異常値が検体検査のオーダに影響を及ぼし、注意を促す優先度が高い場合には、図4のようにポインタの先端近くに、丸印中に「高」の文字が描かれたマークを表示すればよい。
【0025】
<システム構成>
図5に、本情報システムのシステム構成を示す。図5のように、本情報システムは、電子カルテシステムサーバ1と、1台以上の電子カルテシステムクライアント2と、検査システムサーバ3とを有している。これらの各システムは、病院内ネットワークによって接続されている。
【0026】
子カルテシステムサーバ1、1台以上の電子カルテシステムクライアント2、および検査システムサーバ3は、それぞれ、CPU、メモリ、入出力インターフェース、ハードディスク、着脱可能な可搬媒体、ネットワークとの通信インターフェース等を有するコンピュータによって構成される。
【0027】
電子カルテシステムサーバ1は、電子カルテの情報を管理する。電子カルテシステムサーバ1は、例えば、患者情報データベース11、感染症データベース12、治験データベース13、およびマウスポインタ制御データベース14を有している。これらの各データベースのデータが、本発明の属性データに相当する。電子カルテシステムサーバ1は、これらの各データベースの情報を電子カルテシステムクライアント2に提供する。また、電子カルテシステムサーバ1は、電子カルテシステムクライアント2の情報の入力を受け付け、各データベースに格納する。
【0028】
これらの各データベースは、例えば、データベース管理システム上に構成することができる。また、データベースの情報の電子カルテシステムクライアント2への提供は、例えば、ウェブサーバプログラムを通じて、電子カルテシステムクライアント2のブラウザに行ってもよい。さらに、電子カルテシステムサーバ1は、電子カルテシステムクライアント2から要求を受け付け、検査結果を検査システムサーバ3から取得する。
【0029】
電子カルテシステムクライアント2は、本情報システム内に1台以上設けられている。各電子カルテシステムクライアント2を区別する場合には、2A、2B、2C等のように符号を区別する。また、総称して電子カルテシステムクライアント2のように呼ぶこととする。電子カルテシステムクライアント2は、医師の手元に付近において、医師に電子カルテの情報を表示し、また、医師からの治療、診断、処置、症状に係る情報の入力を受け付ける。
【0030】
図5のように、電子カルテシステムクライアント2は、マウスポインタ出力手段21、マウスポインタ制御プログラム22、マウスポインタ制御テーブル23、ツール入力手段24、およびエディタ入力手段25を有している。これらの各手段は、CPU上で実行されるコンピュータ実行可能なプログラムによって実現される。また、機能によっては、電子カルテシステムクライアント2では、ユーザインターフェースを提供し、プログラムによる処理は、電子カルテシステムサーバ1に依頼される。
【0031】
マウスポインタ制御テーブル23の内容は、電子カルテシステムサーバ1からダウンロードされて電子カルテシステムクライアント2のワーク領域に格納される。マウスポインタ制御テーブル23は、マウスポインタの形状を特定するためのテーブルと、マウスポインタの形状データを有する。
【0032】
マウスポインタ制御プログラム22は、表示されている患者の状態(アクセスされている患者の電子カルテデータ)と、ユーザの入力状態に基づいて、マウスポインタ制御テーブル23を参照し、ポインタ形状を特定する。そして、マウスポインタ制御プログラム22は、マウスポインタ出力手段(例えば、画像メモリ等)を通じてマウス形状を画面に表示する。
【0033】
エディタ入力手段25は、電子カルテシステムクライアント2の入力手段(キーボード、マウス等のポインティングデバイス)を通じて、ユーザ操作を受け付け、電子カルテにデータを入力する。ツール入力手段24は、例えば、処方箋、注射オーダ、検体検査オーダ等を入力する機能を提供するコンピュータプログラムである。
【0034】
検査システムサーバ3は、検査結果データベース31を有し、患者の検査データを管理し、電子カルテシステムサーバ1に提供する。
【0035】
<データベースの構成>
図6から図17に、各データベースの構成を示す。図6は、患者情報データベース11の構成を示す図である。患者情報データベース11は、患者をユニークに識別する情報である患者コードと、患者氏名、身長、体重、通常状態の脈拍、呼吸数、血圧等の患者の基礎情報を有している。
【0036】
図7に、感染症データベース12の構成を示す。感染症データベース12は、患者コードで識別されるレコードごとに、その患者コードの患者について各種感染症の症状の有無(陽性を示す”+”と、陰性を示す”−”と)が記録される。例えば、B型肝炎に感染しているか否か(HBs抗原)の有無等である。
【0037】
図8に、治験データベース13の構成を示す。治験データベース13は、患者コードで識別されるレコードごとに、その患者コードの患者が治験対象患者か否か、治験対象患者の場合に、治験開始日、治験終了日を示す情報が記録されている。
【0038】
図9に、検査結果データベース31の構成を示す。検査結果データベース31は、患者コードで識別されるレコードごとに、その患者コードの各種検査の結果が記録される。例えば、RBC(赤血球数)、Ht(血液中に占める赤血球の全容積パーセント)、MCHC(ヘモグロビンの量)、RDW(血球の大きさの分布(ばらつき))等である。
【0039】
図10に、検査しきい値データベースの構成を示す。検査しきい値データベースは、図9に示した検査結果データベース31の各構成要素の値を判定するための上限値と下限値とを格納している。したがって、患者ごとに、検査結果データベース31の各構成要素の値が、図10で定義される上限値より高い場合には、検査結果の値が高いと判定される。また、検査結果データベース31の各構成要素の値が、下限値より低い場合には、検査結果の値が低いと判定される。
【0040】
図11から図16に、マウスポインタ制御データベース14の構成を示す。マウスポインタ制御データベース14は、マウスグループ定義テーブル、マウスポインタパターンテーブル、マウスグループテーブル(グループ1からn、ここではn=4)を含んでいる。すでに述べたように、マウスポインタ制御データベース14のデータは、各クライアント2にダウンロードされ、マウスポインタ制御テーブル23を構成するために使用される。
【0041】
図11に、マウスグループ定義テーブルの構成を示す。マウスグループ定義テーブルは、患者の状態よって患者の電子カルテデータを表示するときのポインタの形状をグループ分けするときのグループを定義するテーブルである。本実施形態の情報システムでは、感染症の有無、および治験対象患者か否かによってポインタの形状をグループ分けする。
【0042】
例えば、マウスグループ001は、感染症が陽性、かつ、治験対象患者の電子カルテ表示の際に使用されるポインタ形状に対応する。また、マウスグループ002は、感染症が陰性、かつ、治験対象患者の電子カルテ表示の際に使用されるポインタ形状に対応する。マウスグループ003は、感染症が陽性、かつ、治験非対象患者の電子カルテ表示の際に
使用されるポインタ形状に対応する。さらに、マウスグループ004は、感染症が陰性、かつ、治験非対象患者の電子カルテ表示の際に使用されるポインタ形状に対応する。
【0043】
図12に、マウスポインタパターンテーブルの構成を示す。マウスポインタパターンテーブルは、図11のマウスグループ定義テーブルで定義されるマウスグループごとに、表示されうるポインタ形状の種類(マウスポインタパターン値)を設定したテーブルである。
【0044】
マウスポインタパターン値は、各ポインタ形状を識別する値である。例えば、図12では、マウスグループ001に対して、マウスポインタパターン値として、001、002、等の値で識別されるマウス形状が利用されることが定義されている。
【0045】
図13から図16に、マウスグループ001からマウスグループ004ごとに、実際の患者の状態に応じて電子カルテ表示の際に表示されるポインタ形状の種類(マウスポインタパターン値)が設定されたテーブル(マウスグループ1テーブル、マウスグループ2テーブル等のように呼ぶ)が示されている。
【0046】
例えば、図13では、マウスグループ001(感染症が陽性、かつ、治験対象患者)に対して、処方箋入力中あるいは注射オーダ入力中であるか、否かの電子カルテ操作状態、検体検査オーダ入力中か否かの電子カルテ操作状態、参照中の検査結果に上限を越えた値があるか否か、下限に満たない値があるか否かの検査結果状態に応じて、それぞれマウスパターン値が設定されている。図14−図16についても同様である。
【0047】
図17に、マウスポインタ形状テーブルの構成を示す。マウスポインタ形状テーブルは、図13−図16に示したマウスポインタパターン値に対応するポインタ形状を定義する。図17の例では、マウスポインタパターン値ごとに、ポインタ形状を示す画像が設定されている。ただし、マウスポインタ形状テーブルの各エントリに画像を格納する代わりに、画像データへのリンク情報、例えば、画像ファイルの格納されているコンピュータ名、コンピュータ内のフォルダ名、およびフォルダ内の画像ファイル名を格納するようにしてもよい。
【0048】
図13を参照すると、マウスグループ001(感染症が陽性、かつ、治験対象患者)であって、検査結果に異常がない(検査結果の値が下限値から上限値の範囲にある)患者に対して、検査オーダ入力中の場合、マウスポインタパターン値は、002となる。この場合のポインタ形状は、図17より、マウス先端から(治)(感)の順で、治験対象患者である旨、および感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。一方、処方箋および注射オーダの入力中でなく、かつ、検査オーダ入力中でない場合、マウスポインタパターン値は、001となる。この場合のポインタ形状は、図17より、ポインタ形状に(感)の表示がなされ、感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。したがって、治験対象患者であっても、処方箋入力または注射オーダの入力中でなく、かつ、検査オーダ入力中でない場合には、(治)の表示がなされないことになる。
【0049】
また、同様に、マウスグループ001(感染症が陽性、かつ、治験対象患者)に対して、処方箋および注射オーダの入力中の場合で、かつ、検査結果に上限値を越えたものがある場合、マウスポインタパターン値は、017となる。この場合のポインタ形状は、図17より、マウス先端から(治)(高)(感)の順で、治験対象患者である旨、検査結果に上限値を越えたものがある旨、および感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。
【0050】
一方、このマウスグループ001に対して、検体検査オーダの入力中の場合で、かつ、
検査結果に上限値を越えたものがある場合、マウスポインタパターン値は、003となる。この場合のポインタ形状は、図17より、マウス先端から(高)(治)(感)の順で、検査結果に上限値を越えたものがある旨、治験対象患者である旨、および感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。
【0051】
このように、本情報システムにおいては、同一の患者の電子カルテデータ画面上であっても、現在操作中の画面が、処方箋および注射オーダの入力画面か、検体検査オーダ入力画面かにしたがって、注意マークの外観が異なることになる。すなわち、現在入力中の画面に最も関係があると想定される電子カルテデータの項目の順で注意を促す表示がなされることになる。
【0052】
<処理フロー>
図18から図20により、本情報システムによる処理を示す。これらの処理は、電子カルテシステムサーバ1、あるいは、電子カルテシステムクライアント2のCPUで実行されるコンピュータプログラムとして実現される。
【0053】
図18は、情報システムの全体の処理を示すフローチャートである。この処理では、まず、電子カルテシステムクライアント2を通じて、ユーザ(例えば、医師)が電子カルテシステム(電子カルテシステムサーバ1)にログインする(G1)。そして、ユーザは、電子カルテシステムで管理されている患者から、処理対象の患者を選択する(G2)。
【0054】
すると、電子カルテシステムは、その患者の電子カルテデータを電子カルテシステムクライアント2の表示装置上の画面に表示する。そして、電子カルテシステムは、ユーザの様々な指示入力を受け付ける(G3)。その指示入力を受け付ける際、電子カルテシステムは、電子カルテ(図5の感染症データベース12、治験データベース13、検査結果データベース31等)を参照し、患者の状況を判定する。
【0055】
例えば、電子カルテシステムは、患者に感染症の症状があるか否か、患者が治験患者か否か、検査の結果に異常値があるか否か、ユーザが電子カルテシステムクライアント2と通じて処方オーダあるいは注射オーダの入力中か否か、検査オーダ入力中か否かを判定する。そして、電子カルテシステムは、これらの判定結果に応じて、ポインタ形状を変更して、ユーザの注意を促す。
【0056】
図19は、患者の電子カルテを参照後、ポインタの形状をワーク領域に格納するまでの手順を示す詳細フローチャートである。
【0057】
まず、電子カルテシステムクライアント2を通じて、ユーザが電子カルテシステム(電子カルテシステムサーバ1)にログインする(S1)。次に、電子カルテシステムクライアント2は、ユーザからの患者選択を受け付け、その患者の患者を識別する患者コード(図6から図9を参照)を電子カルテシステムサーバ1から取得する(S2)。
【0058】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、その患者コードを基に、その患者の患者データ(感染症データベース12、治験データベース13のデータ)を読み出す(S3)。
【0059】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、その患者の患者データ(感染症データベース12)に感染症が記録されているか検索する(S4)。また、電子カルテシステムクライアント2は、その患者の患者データ(治験データベース13)に治験情報が記録されているか検索する(S5)。
【0060】
そして、電子カルテシステムクライアント2は、患者データの検索結果を基に、マウスグループテーブルを参照してマウスグループ値を特定する(S6)。そして、電子カルテシステムクライアント2は、特定されたマウスグループ値を基にマウスポインタパターンテーブルを検索し、マウスポインタパターン値を取得する(S7)。S5−S7が、本発明の属性データベースにアクセスするステップに相当する。
【0061】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、マウスポインタ制御テーブルを参照してマウスポインタ形状データを取得し、ワーク領域に保存する(S8)。
【0062】
図20に、ユーザの操作を検知してマウスポインタ形状を変更するときに電子カルテシステムクライアント2で実行される処理を示す。この処理では、電子カルテシステムクライアント2は、例えば、「診療情報」というラベルの付されたボタンの押下を検知する(S11、本発明の処理要求を受け付けるステップに相当)。このボタンの押下により、例えば、図2−図4のような画面が起動される。この画面を表示するステップが、本発明の属性データを表示装置上に表示するステップに相当する。
【0063】
すると、電子カルテシステムクライアント2は、電子カルテシステムに含まれるいずれかのツールと呼ばれるプログラムが起動中か否かを判定する(S13)。そして、ツールが起動中の場合、電子カルテシステムクライアント2は、どのツールが起動中かを判定する(S14)。
【0064】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、検査結果データベース31を参照し、検査結果に異常があるか否かを判定する(S15)。そして、電子カルテシステムクライアント2は、ツールの種類(例えば、処方箋、注射オーダ、検体検査オーダ等のそれぞれの入力処理プログラム)と検査結果の情報でマウスグループテーブル(マウスグループ1テーブルからマウスグループ4テーブル)を検索し、マウスポインタパターン値を特定する(S15)。
【0065】
さらに、電子カルテシステムクライアント2は、そのマウスポインタパターン値により、ワーク領域に保存されているマウスポインタ形状のパターンデータを取得し、画面にマウスポインタを表示する(S16、本発明の表示制御ステップに相当する)。
【0066】
<実施形態の効果>
以上述べたように、本実施形態の情報システムによれば、患者の状態に応じての注意マークを電子カルテシステムの画面上に表示する。その際、ユーザが電子カルテシステムに入力している際には必ず見ることになるマウスポインタの形状を変えることで、注意マークの表示を実現する。
【0067】
また、本情報システムでは、感染症がある場合など、何を入力しているときも注意してほしいものはマウスポインタに感染症マークを常に表示させることで、常に注意を促す。
【0068】
一方、入力している画面に応じてマウスポインタの形状を自動的に変化させる。すなわち、何を入力しているときも関係する注意マークと今入力している画面に関係する注意マークとを併用する。例えば、治験対象患者であっても、処方箋入力、注射オーダ等のような治験と関係する画面への入力でない場合には、治験対象患者であることを示すマークは表示されない。
【0069】
また、本情報システムは、今入力している画面に関係する重要度によって注意マークの順序を変更させる。
【0070】
このように、医師の医療行為を支援するときに、本情報システムは、患者の状態に関して、効果的に医師の注意を喚起することができる。
【0071】
<変形例>
上記実施形態では、患者情報データベース11、感染症データベース12、治験データベース13、およびマウスポインタ制御データベース14を有している。電子カルテシステムサーバ1は、これらの各データベースの情報を電子カルテシステムクライアント2に提供する。しかし、本発明の実施は、このような構成に限定されない。例えば、電子カルテシステムサーバ1と電子カルテシステムクライアント2が1台のスタンドアロンのコンピュータで実現されても構わない。
【0072】
また、上記実施形態では、電子カルテシステムクライアント2が患者の電子カルテを参照後、ポインタの形状をワーク領域に格納する。しかし、このような構成に代えて、ワーク領域に格納することなく、電子カルテシステムクライアント2がポインタ形状を参照するたびに、電子カルテシステムサーバ1からポインタの形状を受け取るようにしてもよい。また、逆に、マウスポインタ制御データベース14を電子カルテシステムクライアント2に格納しておいても構わない。すなわち、図5に示した電子カルテシステムサーバ1の各データベースのデータは、適宜、個々の電子カルテシステムクライアント2に格納しても構わない。
【0073】
<コンピュータ読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0074】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0075】
また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【0076】
<その他>
本実施形態は、以下のような発明の各態様(以下、付記という)を含む。
(付記1)
コンピュータに、
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、
前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させ、医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(1)
(付記2)
前記属性データが前記所定条件に該当する旨は、前記ポインタの外観仕様によって表示
される付記1に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(2)
(付記3)
前記所定条件に該当する旨のポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更される付記2に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(3)
(付記4)
前記所定条件に該当する属性データが複数項目ある場合に、所定の優先順にしたがって前記所定条件に該当する旨の表示が列挙される付記2または3に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(4)
(付記5)
前記優先順は、前記ポインタが位置する画面領域に応じて変更される付記4に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
(付記6)
コンピュータが、
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、
前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行する医療行為支援方法。
(付記7)
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付ける手段と、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスする手段と、
前記患者の属性データを表示装置上に表示する手段と、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御手段と、を備える医療行為支援装置。(5)
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来の電子カルテシステムでの画面表示例を示す図である。
【図2】感染症の症状のある患者の電子カルテ表示例である。
【図3】感染症の症状があり、かつ、治験患者登録がされている患者に処置を指示する入力画面の例である。
【図4】検査の結果に異常値がある患者に処置を指示する入力画面の例である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る情報システムのシステム構成を示す図である。
【図6】患者情報データベースの構成を示す図である。
【図7】感染症データベースの構成を示す図である。
【図8】治験データベースの構成を示す図である。
【図9】検査結果データベースの構成を示す図である。
【図10】検査しきい値データベースの構成を示す図である。
【図11】マウスグループ定義テーブルの構成を示す図である。
【図12】マウスポインタパターンテーブルの構成を示す図である。
【図13】マウスグループ1テーブルの構成を示す図である。
【図14】マウスグループ2テーブルの構成を示す図である。
【図15】マウスグループ3テーブルの構成を示す図である。
【図16】マウスグループ4テーブルの構成を示す図である。
【図17】マウスポインタ形状テーブルの構成を示す図である。
【図18】情報システムの全体の処理を示すフローチャートである。
【図19】患者の電子カルテを参照後、ポインタの形状をワーク領域に格納するまでの手順を示す詳細フローチャートである。
【図20】ユーザの操作を検知してマウスポインタ形状を変更するときに電子カルテシステムクライアント2で実行される処理を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 電子カルテシステムサーバ
2 電子カルテシステムクライアント
3 検査システムサーバ
11 患者情報データベース
12 感染症データベース
13 治験データベース
14 マウスポインタ制御データベース
31 検査結果データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療行為を支援するコンピュータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子カルテを参照して医師が様々な指示を入力する際、患者の状態に留意する必要がある。このため、従来のシステムでは、電子カルテ画面中に患者基本情報(患者に関する特記事項)を表示している。
【0003】
図1に従来の電子カルテシステムでの画面表示例を示す。この画面の左側は、ブラウザを構成し、医師が電子カルテを参照する画面領域である。また、この画面の右側は、エディタを構成し、医師が電子カルテを入力する画面領域である。
【0004】
この画面の左上部には、患者のIDとともに星印が表示され、この患者に感染症の症状があることを示している。また、この画面の右上部の欄に「治」の文字が表示され、この患者が治験対象(例えば、治験対象薬を投薬中)の患者であることが示されている。周知のように治験とは、新薬、新規医療器具による治療法等について非臨床試験完了後、国の承認を得るための成績を集める臨床試験である。このような感染症の有無、治験対象か否か等、医師は、患者基本情報(患者に関する特記事項)に留意して処置を指示する必要がある。
【0005】
すなわち、電子カルテシステムは、患者の症状、検査結果の確認、処方箋発行、追加の詳細検査の依頼等、医療行為を支援する多様な機能を有し、情報を入出力する様々な画面が設けられている。このように医師は、様々な指示を入力する際に患者の状態に注意をする必要がある。
【0006】
しかし、従来の電子カルテシステムでは、画面が遷移しても、それぞれの画面で通常同じ位置に特記事項を含む患者基本情報が表示される。また、そのような表示は、医師が指示を入力する領域とは離れた位置になされる。したがって、どの画面を表示していても、注意を促す表示の場所や内容に相違あるいは変化が少ないため、視覚的効果、あるいは、警告表示としての効果が薄れる場合がある。このため、医師がこのような特記事項を含む患者基本情報を見落とす可能性がないとはいえない。
【0007】
なお、一般的なコンピュータ画面上の表示に関する技術としては、下記特許文献1、2等が知られている。
【特許文献1】特開2001−306214号公報
【特許文献2】特開2004−110845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、患者基本情報に応じて、電子カルテ等、医療行為を支援するシステムの画面上で、医師が患者の状態をさらに確実に認識することができるようにして、患者の症状、特性、その他の状態に応じて適格な処置をすることができるように支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、コンピュータに、患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させ、医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラムである。
【0010】
本発明によれば、医療行為の対象となる患者の属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示するので、的確に、医師の注意を喚起し、適切な医療行為の実行を支援できる。
【0011】
前記属性データが前記所定条件に該当する旨は、前記ポインタの外観仕様によって表示されるようにしてもよい。医師等のユーザが本プログラムにより医療行為の支援を受ける場合に、データ入出力操作においてポインタ位置に注目するので、前記所定条件に該当する旨が前記ポインタの外観仕様によって表示されると、より適切な時期に注意を喚起できる。
【0012】
前記所定条件に該当する旨のポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更されるようにしてもよい。すなわち、属性データが所定の条件に該当し、その属性データと関係する画面領域にポインタがある場合に、前記表示がなされるので、より適切な時期に注意を喚起できる。
【0013】
前記所定条件に該当する属性データが複数項目ある場合に、所定の優先順にしたがって前記所定条件に該当する旨の表示が列挙されるようにしてもよい。したがって、医師等のユーザが注意を払うべき優先順に注意を喚起できる。
【0014】
前記優先順は、前記ポインタが位置する画面領域に応じて変更されるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明は、上記プログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、本発明は、コンピュータが上記処理を実行する方法であってもよい。また、本発明は、上記機能を提供する医療行為支援装置であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、医療行為を支援するシステムの画面上で、医師が患者の状態をさらに確実に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る情報システムについて説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成には限定されない。
【0018】
<発明の骨子>
本情報システムは、医療行為を支援するシステムであり、電子カルテシステムを基本的な構成要素として含んでいる。
・本電子カルテシステムは、患者の状態に応じての注意マークを電子カルテシステムの画
面上に表示する。その際、ユーザ(医師)が電子カルテシステムに入力している際には必ず見ることになるマウスポインタの形状を変えることで、注意マークの表示を実現する。・警告したい事項あるいは注意を喚起すべき事項が複数ある可能性があるため、注意マークは複数表示できることとする。
・感染症がある場合など、何を入力しているときも注意してほしいものはマウスポインタに感染症マークを常に表示させることで、常に注意を促す。
・入力している画面に応じてマウスポインタの形状を自動的に変化させる。例えば、何を入力しているときも関係する注意マークと今入力している画面に関係する注意マークとを併用する。また、今入力している画面に関係する重要度によって注意マークの順序を変更させる。
・患者に意識させないようなマーク等、病院の事情に合わせてマークの形状を簡単にメンテナンスできることとする。
【0019】
図2から図4に、本電子カルテシステムの画面例を示す。図2は、感染症の症状のある患者の電子カルテ表示例である。感染症がある患者については、すべての指示に関係するため、その患者のカルテを開いている間は常にマウス等のポインティングデバイスのポインタに感染症がある注意を促すマークを表示する。
【0020】
図2の例では、ポインタが丸印中に「感」という字が描かれたマーク(本発明のポインタの外観仕様に相当)で表示されている。したがって、医師がこの患者の症状等について、電子カルテに入力しようとすると、入力フィールド付近に位置づけられたポインタによって、その患者が感染症患者である注意が促されることになる。
【0021】
図3は、感染症の症状があり、かつ、治験患者登録がされている患者に処置を指示する入力画面の例である。治験患者登録がされている患者に、処方指示、注射指示、検体検査指示を入力しようとするとマウスポインタに治験患者である注意を促すマークを表示する。
【0022】
図3の例では、ポインタが、丸印中に「治」という字が描かれたマークと、丸印中に「感」という字が描かれたマークとを組み合わせて構成されている。したがって、医師がこの患者に対する処方指示、注射指示、検体検査指示を入力しようとすると、入力フィールド付近に位置づけられたポインタによって、その患者が治験患者登録され、かつ、感染症患者である注意が促されることになる。
【0023】
図4は、検査の結果に異常値がある患者に処置を指示する入力画面の例である。検査の結果に異常値がある場合は、処方指示、注射指示、検体検査指示を入力しようとすると注意を促すマークが表示される。例えば、検査の結果が標準値より高い場合は「高」、標準値より低い場合は「低」という字が丸印中に描かれたマークが表示される。したがって、検査結果のデータが、所定の範囲にあるか否かにより、注意マークが表示されることになる。
【0024】
なお、その時点で入力している画面への関係度合によって注意マークの順序、および表示の有無を変更してもよい(本発明の「ポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更される」ことに相当する)。例えば、検査の結果に異常値があっても、それが処方箋の内容に影響を及ぼさない場合は、図3のように、処方箋発行画面で、丸印中に「高」の文字が描かれたマークの表示を省略してもよい。一方、検査の結果に異常値が検体検査のオーダに影響を及ぼし、注意を促す優先度が高い場合には、図4のようにポインタの先端近くに、丸印中に「高」の文字が描かれたマークを表示すればよい。
【0025】
<システム構成>
図5に、本情報システムのシステム構成を示す。図5のように、本情報システムは、電子カルテシステムサーバ1と、1台以上の電子カルテシステムクライアント2と、検査システムサーバ3とを有している。これらの各システムは、病院内ネットワークによって接続されている。
【0026】
子カルテシステムサーバ1、1台以上の電子カルテシステムクライアント2、および検査システムサーバ3は、それぞれ、CPU、メモリ、入出力インターフェース、ハードディスク、着脱可能な可搬媒体、ネットワークとの通信インターフェース等を有するコンピュータによって構成される。
【0027】
電子カルテシステムサーバ1は、電子カルテの情報を管理する。電子カルテシステムサーバ1は、例えば、患者情報データベース11、感染症データベース12、治験データベース13、およびマウスポインタ制御データベース14を有している。これらの各データベースのデータが、本発明の属性データに相当する。電子カルテシステムサーバ1は、これらの各データベースの情報を電子カルテシステムクライアント2に提供する。また、電子カルテシステムサーバ1は、電子カルテシステムクライアント2の情報の入力を受け付け、各データベースに格納する。
【0028】
これらの各データベースは、例えば、データベース管理システム上に構成することができる。また、データベースの情報の電子カルテシステムクライアント2への提供は、例えば、ウェブサーバプログラムを通じて、電子カルテシステムクライアント2のブラウザに行ってもよい。さらに、電子カルテシステムサーバ1は、電子カルテシステムクライアント2から要求を受け付け、検査結果を検査システムサーバ3から取得する。
【0029】
電子カルテシステムクライアント2は、本情報システム内に1台以上設けられている。各電子カルテシステムクライアント2を区別する場合には、2A、2B、2C等のように符号を区別する。また、総称して電子カルテシステムクライアント2のように呼ぶこととする。電子カルテシステムクライアント2は、医師の手元に付近において、医師に電子カルテの情報を表示し、また、医師からの治療、診断、処置、症状に係る情報の入力を受け付ける。
【0030】
図5のように、電子カルテシステムクライアント2は、マウスポインタ出力手段21、マウスポインタ制御プログラム22、マウスポインタ制御テーブル23、ツール入力手段24、およびエディタ入力手段25を有している。これらの各手段は、CPU上で実行されるコンピュータ実行可能なプログラムによって実現される。また、機能によっては、電子カルテシステムクライアント2では、ユーザインターフェースを提供し、プログラムによる処理は、電子カルテシステムサーバ1に依頼される。
【0031】
マウスポインタ制御テーブル23の内容は、電子カルテシステムサーバ1からダウンロードされて電子カルテシステムクライアント2のワーク領域に格納される。マウスポインタ制御テーブル23は、マウスポインタの形状を特定するためのテーブルと、マウスポインタの形状データを有する。
【0032】
マウスポインタ制御プログラム22は、表示されている患者の状態(アクセスされている患者の電子カルテデータ)と、ユーザの入力状態に基づいて、マウスポインタ制御テーブル23を参照し、ポインタ形状を特定する。そして、マウスポインタ制御プログラム22は、マウスポインタ出力手段(例えば、画像メモリ等)を通じてマウス形状を画面に表示する。
【0033】
エディタ入力手段25は、電子カルテシステムクライアント2の入力手段(キーボード、マウス等のポインティングデバイス)を通じて、ユーザ操作を受け付け、電子カルテにデータを入力する。ツール入力手段24は、例えば、処方箋、注射オーダ、検体検査オーダ等を入力する機能を提供するコンピュータプログラムである。
【0034】
検査システムサーバ3は、検査結果データベース31を有し、患者の検査データを管理し、電子カルテシステムサーバ1に提供する。
【0035】
<データベースの構成>
図6から図17に、各データベースの構成を示す。図6は、患者情報データベース11の構成を示す図である。患者情報データベース11は、患者をユニークに識別する情報である患者コードと、患者氏名、身長、体重、通常状態の脈拍、呼吸数、血圧等の患者の基礎情報を有している。
【0036】
図7に、感染症データベース12の構成を示す。感染症データベース12は、患者コードで識別されるレコードごとに、その患者コードの患者について各種感染症の症状の有無(陽性を示す”+”と、陰性を示す”−”と)が記録される。例えば、B型肝炎に感染しているか否か(HBs抗原)の有無等である。
【0037】
図8に、治験データベース13の構成を示す。治験データベース13は、患者コードで識別されるレコードごとに、その患者コードの患者が治験対象患者か否か、治験対象患者の場合に、治験開始日、治験終了日を示す情報が記録されている。
【0038】
図9に、検査結果データベース31の構成を示す。検査結果データベース31は、患者コードで識別されるレコードごとに、その患者コードの各種検査の結果が記録される。例えば、RBC(赤血球数)、Ht(血液中に占める赤血球の全容積パーセント)、MCHC(ヘモグロビンの量)、RDW(血球の大きさの分布(ばらつき))等である。
【0039】
図10に、検査しきい値データベースの構成を示す。検査しきい値データベースは、図9に示した検査結果データベース31の各構成要素の値を判定するための上限値と下限値とを格納している。したがって、患者ごとに、検査結果データベース31の各構成要素の値が、図10で定義される上限値より高い場合には、検査結果の値が高いと判定される。また、検査結果データベース31の各構成要素の値が、下限値より低い場合には、検査結果の値が低いと判定される。
【0040】
図11から図16に、マウスポインタ制御データベース14の構成を示す。マウスポインタ制御データベース14は、マウスグループ定義テーブル、マウスポインタパターンテーブル、マウスグループテーブル(グループ1からn、ここではn=4)を含んでいる。すでに述べたように、マウスポインタ制御データベース14のデータは、各クライアント2にダウンロードされ、マウスポインタ制御テーブル23を構成するために使用される。
【0041】
図11に、マウスグループ定義テーブルの構成を示す。マウスグループ定義テーブルは、患者の状態よって患者の電子カルテデータを表示するときのポインタの形状をグループ分けするときのグループを定義するテーブルである。本実施形態の情報システムでは、感染症の有無、および治験対象患者か否かによってポインタの形状をグループ分けする。
【0042】
例えば、マウスグループ001は、感染症が陽性、かつ、治験対象患者の電子カルテ表示の際に使用されるポインタ形状に対応する。また、マウスグループ002は、感染症が陰性、かつ、治験対象患者の電子カルテ表示の際に使用されるポインタ形状に対応する。マウスグループ003は、感染症が陽性、かつ、治験非対象患者の電子カルテ表示の際に
使用されるポインタ形状に対応する。さらに、マウスグループ004は、感染症が陰性、かつ、治験非対象患者の電子カルテ表示の際に使用されるポインタ形状に対応する。
【0043】
図12に、マウスポインタパターンテーブルの構成を示す。マウスポインタパターンテーブルは、図11のマウスグループ定義テーブルで定義されるマウスグループごとに、表示されうるポインタ形状の種類(マウスポインタパターン値)を設定したテーブルである。
【0044】
マウスポインタパターン値は、各ポインタ形状を識別する値である。例えば、図12では、マウスグループ001に対して、マウスポインタパターン値として、001、002、等の値で識別されるマウス形状が利用されることが定義されている。
【0045】
図13から図16に、マウスグループ001からマウスグループ004ごとに、実際の患者の状態に応じて電子カルテ表示の際に表示されるポインタ形状の種類(マウスポインタパターン値)が設定されたテーブル(マウスグループ1テーブル、マウスグループ2テーブル等のように呼ぶ)が示されている。
【0046】
例えば、図13では、マウスグループ001(感染症が陽性、かつ、治験対象患者)に対して、処方箋入力中あるいは注射オーダ入力中であるか、否かの電子カルテ操作状態、検体検査オーダ入力中か否かの電子カルテ操作状態、参照中の検査結果に上限を越えた値があるか否か、下限に満たない値があるか否かの検査結果状態に応じて、それぞれマウスパターン値が設定されている。図14−図16についても同様である。
【0047】
図17に、マウスポインタ形状テーブルの構成を示す。マウスポインタ形状テーブルは、図13−図16に示したマウスポインタパターン値に対応するポインタ形状を定義する。図17の例では、マウスポインタパターン値ごとに、ポインタ形状を示す画像が設定されている。ただし、マウスポインタ形状テーブルの各エントリに画像を格納する代わりに、画像データへのリンク情報、例えば、画像ファイルの格納されているコンピュータ名、コンピュータ内のフォルダ名、およびフォルダ内の画像ファイル名を格納するようにしてもよい。
【0048】
図13を参照すると、マウスグループ001(感染症が陽性、かつ、治験対象患者)であって、検査結果に異常がない(検査結果の値が下限値から上限値の範囲にある)患者に対して、検査オーダ入力中の場合、マウスポインタパターン値は、002となる。この場合のポインタ形状は、図17より、マウス先端から(治)(感)の順で、治験対象患者である旨、および感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。一方、処方箋および注射オーダの入力中でなく、かつ、検査オーダ入力中でない場合、マウスポインタパターン値は、001となる。この場合のポインタ形状は、図17より、ポインタ形状に(感)の表示がなされ、感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。したがって、治験対象患者であっても、処方箋入力または注射オーダの入力中でなく、かつ、検査オーダ入力中でない場合には、(治)の表示がなされないことになる。
【0049】
また、同様に、マウスグループ001(感染症が陽性、かつ、治験対象患者)に対して、処方箋および注射オーダの入力中の場合で、かつ、検査結果に上限値を越えたものがある場合、マウスポインタパターン値は、017となる。この場合のポインタ形状は、図17より、マウス先端から(治)(高)(感)の順で、治験対象患者である旨、検査結果に上限値を越えたものがある旨、および感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。
【0050】
一方、このマウスグループ001に対して、検体検査オーダの入力中の場合で、かつ、
検査結果に上限値を越えたものがある場合、マウスポインタパターン値は、003となる。この場合のポインタ形状は、図17より、マウス先端から(高)(治)(感)の順で、検査結果に上限値を越えたものがある旨、治験対象患者である旨、および感染症の症状があることがポインタ形状に表示されることになる。
【0051】
このように、本情報システムにおいては、同一の患者の電子カルテデータ画面上であっても、現在操作中の画面が、処方箋および注射オーダの入力画面か、検体検査オーダ入力画面かにしたがって、注意マークの外観が異なることになる。すなわち、現在入力中の画面に最も関係があると想定される電子カルテデータの項目の順で注意を促す表示がなされることになる。
【0052】
<処理フロー>
図18から図20により、本情報システムによる処理を示す。これらの処理は、電子カルテシステムサーバ1、あるいは、電子カルテシステムクライアント2のCPUで実行されるコンピュータプログラムとして実現される。
【0053】
図18は、情報システムの全体の処理を示すフローチャートである。この処理では、まず、電子カルテシステムクライアント2を通じて、ユーザ(例えば、医師)が電子カルテシステム(電子カルテシステムサーバ1)にログインする(G1)。そして、ユーザは、電子カルテシステムで管理されている患者から、処理対象の患者を選択する(G2)。
【0054】
すると、電子カルテシステムは、その患者の電子カルテデータを電子カルテシステムクライアント2の表示装置上の画面に表示する。そして、電子カルテシステムは、ユーザの様々な指示入力を受け付ける(G3)。その指示入力を受け付ける際、電子カルテシステムは、電子カルテ(図5の感染症データベース12、治験データベース13、検査結果データベース31等)を参照し、患者の状況を判定する。
【0055】
例えば、電子カルテシステムは、患者に感染症の症状があるか否か、患者が治験患者か否か、検査の結果に異常値があるか否か、ユーザが電子カルテシステムクライアント2と通じて処方オーダあるいは注射オーダの入力中か否か、検査オーダ入力中か否かを判定する。そして、電子カルテシステムは、これらの判定結果に応じて、ポインタ形状を変更して、ユーザの注意を促す。
【0056】
図19は、患者の電子カルテを参照後、ポインタの形状をワーク領域に格納するまでの手順を示す詳細フローチャートである。
【0057】
まず、電子カルテシステムクライアント2を通じて、ユーザが電子カルテシステム(電子カルテシステムサーバ1)にログインする(S1)。次に、電子カルテシステムクライアント2は、ユーザからの患者選択を受け付け、その患者の患者を識別する患者コード(図6から図9を参照)を電子カルテシステムサーバ1から取得する(S2)。
【0058】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、その患者コードを基に、その患者の患者データ(感染症データベース12、治験データベース13のデータ)を読み出す(S3)。
【0059】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、その患者の患者データ(感染症データベース12)に感染症が記録されているか検索する(S4)。また、電子カルテシステムクライアント2は、その患者の患者データ(治験データベース13)に治験情報が記録されているか検索する(S5)。
【0060】
そして、電子カルテシステムクライアント2は、患者データの検索結果を基に、マウスグループテーブルを参照してマウスグループ値を特定する(S6)。そして、電子カルテシステムクライアント2は、特定されたマウスグループ値を基にマウスポインタパターンテーブルを検索し、マウスポインタパターン値を取得する(S7)。S5−S7が、本発明の属性データベースにアクセスするステップに相当する。
【0061】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、マウスポインタ制御テーブルを参照してマウスポインタ形状データを取得し、ワーク領域に保存する(S8)。
【0062】
図20に、ユーザの操作を検知してマウスポインタ形状を変更するときに電子カルテシステムクライアント2で実行される処理を示す。この処理では、電子カルテシステムクライアント2は、例えば、「診療情報」というラベルの付されたボタンの押下を検知する(S11、本発明の処理要求を受け付けるステップに相当)。このボタンの押下により、例えば、図2−図4のような画面が起動される。この画面を表示するステップが、本発明の属性データを表示装置上に表示するステップに相当する。
【0063】
すると、電子カルテシステムクライアント2は、電子カルテシステムに含まれるいずれかのツールと呼ばれるプログラムが起動中か否かを判定する(S13)。そして、ツールが起動中の場合、電子カルテシステムクライアント2は、どのツールが起動中かを判定する(S14)。
【0064】
次に、電子カルテシステムクライアント2は、検査結果データベース31を参照し、検査結果に異常があるか否かを判定する(S15)。そして、電子カルテシステムクライアント2は、ツールの種類(例えば、処方箋、注射オーダ、検体検査オーダ等のそれぞれの入力処理プログラム)と検査結果の情報でマウスグループテーブル(マウスグループ1テーブルからマウスグループ4テーブル)を検索し、マウスポインタパターン値を特定する(S15)。
【0065】
さらに、電子カルテシステムクライアント2は、そのマウスポインタパターン値により、ワーク領域に保存されているマウスポインタ形状のパターンデータを取得し、画面にマウスポインタを表示する(S16、本発明の表示制御ステップに相当する)。
【0066】
<実施形態の効果>
以上述べたように、本実施形態の情報システムによれば、患者の状態に応じての注意マークを電子カルテシステムの画面上に表示する。その際、ユーザが電子カルテシステムに入力している際には必ず見ることになるマウスポインタの形状を変えることで、注意マークの表示を実現する。
【0067】
また、本情報システムでは、感染症がある場合など、何を入力しているときも注意してほしいものはマウスポインタに感染症マークを常に表示させることで、常に注意を促す。
【0068】
一方、入力している画面に応じてマウスポインタの形状を自動的に変化させる。すなわち、何を入力しているときも関係する注意マークと今入力している画面に関係する注意マークとを併用する。例えば、治験対象患者であっても、処方箋入力、注射オーダ等のような治験と関係する画面への入力でない場合には、治験対象患者であることを示すマークは表示されない。
【0069】
また、本情報システムは、今入力している画面に関係する重要度によって注意マークの順序を変更させる。
【0070】
このように、医師の医療行為を支援するときに、本情報システムは、患者の状態に関して、効果的に医師の注意を喚起することができる。
【0071】
<変形例>
上記実施形態では、患者情報データベース11、感染症データベース12、治験データベース13、およびマウスポインタ制御データベース14を有している。電子カルテシステムサーバ1は、これらの各データベースの情報を電子カルテシステムクライアント2に提供する。しかし、本発明の実施は、このような構成に限定されない。例えば、電子カルテシステムサーバ1と電子カルテシステムクライアント2が1台のスタンドアロンのコンピュータで実現されても構わない。
【0072】
また、上記実施形態では、電子カルテシステムクライアント2が患者の電子カルテを参照後、ポインタの形状をワーク領域に格納する。しかし、このような構成に代えて、ワーク領域に格納することなく、電子カルテシステムクライアント2がポインタ形状を参照するたびに、電子カルテシステムサーバ1からポインタの形状を受け取るようにしてもよい。また、逆に、マウスポインタ制御データベース14を電子カルテシステムクライアント2に格納しておいても構わない。すなわち、図5に示した電子カルテシステムサーバ1の各データベースのデータは、適宜、個々の電子カルテシステムクライアント2に格納しても構わない。
【0073】
<コンピュータ読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0074】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0075】
また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【0076】
<その他>
本実施形態は、以下のような発明の各態様(以下、付記という)を含む。
(付記1)
コンピュータに、
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、
前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させ、医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(1)
(付記2)
前記属性データが前記所定条件に該当する旨は、前記ポインタの外観仕様によって表示
される付記1に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(2)
(付記3)
前記所定条件に該当する旨のポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更される付記2に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(3)
(付記4)
前記所定条件に該当する属性データが複数項目ある場合に、所定の優先順にしたがって前記所定条件に該当する旨の表示が列挙される付記2または3に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。(4)
(付記5)
前記優先順は、前記ポインタが位置する画面領域に応じて変更される付記4に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
(付記6)
コンピュータが、
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、
前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行する医療行為支援方法。
(付記7)
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付ける手段と、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスする手段と、
前記患者の属性データを表示装置上に表示する手段と、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御手段と、を備える医療行為支援装置。(5)
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来の電子カルテシステムでの画面表示例を示す図である。
【図2】感染症の症状のある患者の電子カルテ表示例である。
【図3】感染症の症状があり、かつ、治験患者登録がされている患者に処置を指示する入力画面の例である。
【図4】検査の結果に異常値がある患者に処置を指示する入力画面の例である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る情報システムのシステム構成を示す図である。
【図6】患者情報データベースの構成を示す図である。
【図7】感染症データベースの構成を示す図である。
【図8】治験データベースの構成を示す図である。
【図9】検査結果データベースの構成を示す図である。
【図10】検査しきい値データベースの構成を示す図である。
【図11】マウスグループ定義テーブルの構成を示す図である。
【図12】マウスポインタパターンテーブルの構成を示す図である。
【図13】マウスグループ1テーブルの構成を示す図である。
【図14】マウスグループ2テーブルの構成を示す図である。
【図15】マウスグループ3テーブルの構成を示す図である。
【図16】マウスグループ4テーブルの構成を示す図である。
【図17】マウスポインタ形状テーブルの構成を示す図である。
【図18】情報システムの全体の処理を示すフローチャートである。
【図19】患者の電子カルテを参照後、ポインタの形状をワーク領域に格納するまでの手順を示す詳細フローチャートである。
【図20】ユーザの操作を検知してマウスポインタ形状を変更するときに電子カルテシステムクライアント2で実行される処理を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 電子カルテシステムサーバ
2 電子カルテシステムクライアント
3 検査システムサーバ
11 患者情報データベース
12 感染症データベース
13 治験データベース
14 マウスポインタ制御データベース
31 検査結果データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、
前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させ、医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項2】
前記属性データが前記所定条件に該当する旨は、前記ポインタの外観仕様によって表示される請求項1に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項3】
前記所定条件に該当する旨のポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更される請求項2に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項4】
前記所定条件に該当する属性データが複数項目ある場合に、所定の優先順にしたがって前記所定条件に該当する旨の表示が列挙される請求項2または3に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項5】
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付ける手段と、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスする手段と、
前記患者の属性データを表示装置上に表示する手段と、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御手段と、を備える医療行為支援装置。
【請求項1】
コンピュータに、
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付けるステップと、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスするステップと、
前記患者の属性データを表示装置上に表示するステップと、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御ステップと、を実行させ、医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項2】
前記属性データが前記所定条件に該当する旨は、前記ポインタの外観仕様によって表示される請求項1に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項3】
前記所定条件に該当する旨のポインタの外観仕様は、前記属性データと前記ポインタが位置する画面領域との関係に応じて変更される請求項2に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項4】
前記所定条件に該当する属性データが複数項目ある場合に、所定の優先順にしたがって前記所定条件に該当する旨の表示が列挙される請求項2または3に記載の医療行為を支援するコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項5】
患者識別情報で指定される患者への医療行為を支援する処理要求を受け付ける手段と、
前記患者識別情報を基に、前記患者の診断、治療、または症状に係る属性データを記憶する属性データベースにアクセスする手段と、
前記患者の属性データを表示装置上に表示する手段と、
前記属性データが所定の条件に該当する場合に、前記表示装置に表示されるポインティングデバイスのポインタの表示位置近傍に、前記属性データが前記所定条件に該当する旨を表示する表示制御手段と、を備える医療行為支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−179382(P2007−179382A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378196(P2005−378196)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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