医療装置
【課題】マーカが留置される患部等の対象部位に円滑にガイドし易くする内視鏡等の医療装置を提供する。
【解決手段】硬性の挿入部40の先端部40aに対物レンズ62を設けた硬性内視鏡21における把持部41には、患部等に留置される留置マーカの位置を電磁的に検出するセンスコイルCx,Cy,Czを内蔵したセンスコイルユニット43が着脱自在に装着される。各硬性内視鏡21は、さらに各挿入部40の長さ等の固有の情報を書き込んだICメモリ69を内蔵する。その情報を利用し、センスコイルCx,Cy,Czによる留置マーカの位置の検出によりその留置マーカの位置と先端部40aの位置Pとの相対的な位置関係を検出し、留置マーカが留置された患部等の部位に先端部40aを導き易くする。
【解決手段】硬性の挿入部40の先端部40aに対物レンズ62を設けた硬性内視鏡21における把持部41には、患部等に留置される留置マーカの位置を電磁的に検出するセンスコイルCx,Cy,Czを内蔵したセンスコイルユニット43が着脱自在に装着される。各硬性内視鏡21は、さらに各挿入部40の長さ等の固有の情報を書き込んだICメモリ69を内蔵する。その情報を利用し、センスコイルCx,Cy,Czによる留置マーカの位置の検出によりその留置マーカの位置と先端部40aの位置Pとの相対的な位置関係を検出し、留置マーカが留置された患部等の部位に先端部40aを導き易くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内等に挿入して内視鏡検査や処置を行うための内視鏡等の医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用分野において、内視鏡が広く採用されるようになった。また、消化器用の軟性内視鏡の観察下による処置にも利用される。この場合、患部の状況等によっては、硬性内視鏡の観察下による外科手術による処置の方が行い易い場合がある。
このような場合、従来では、消化器内視鏡の術者は、外科手術で検査、処置を行おうとする消化管内の患部等の対象部位に、目印となるマーカを留置していた。このマーカの位置は、胃壁、腸壁等が介在するため、硬性内視鏡による光学的な観察の際には画像として認知できないため、従来例においては、体外からの触感やX線透視等の手段により行っていた。
【特許文献1】特開2002−131009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように従来の内視鏡においては、マーカを留置しても、そのマーカの位置を簡単に認知できなかった。
また、マーカの位置を認知して、さらにそのマーカの位置に内視鏡の先端側を円滑にアプローチすることができると、内視鏡検査や処置を円滑に行い易くなるが、従来例においてはそのような構成になっていなかった。
なお、特開2002−131009号公報には、軟性内視鏡の先端部の位置を含む挿入部の形状を検出できる構成の内視鏡装置が開示されているが、留置されるマーカの位置にアプローチをし易くするものでもない。
【0004】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、マーカが留置される患部等の対象部位に円滑にガイドし易くする内視鏡等の医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、体腔内に挿入するための挿入部を備えた医療装置において、当該医療装置における前記挿入部の基端側に配設され、体腔外位置から体腔内の対象部位に留置されたマーカの位置を電磁的に検知するセンサと、当該医療装置における、前記センサが配設される位置と前記挿入部の先端部の位置との第1の位置関係に係る情報と、前記センサの出力信号とに基づいて、前記挿入部の先端部の位置と前記マーカの位置との相対的な第2の位置関係を検出可能とした第2位置関係検出手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、内視鏡等の医療装置の先端部の位置と、患部等の対象部位に留置されるマーカとの相対的な位置関係を検出可能とすることにより、術者は、その情報を利用して先端部を対象部位に対して円滑にアプローチできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図12は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの全体構成を示し、図2は第1の内視鏡装置の全体構成を示し、図3は第2の内視鏡装置の全体構成を示し、図4は硬性内視鏡の内部構成を示し、図5は留置マーカの構成を示し、図6はセンスコイルと留置マーカ及び先端部の位置検出の様子を示し、図7は対象部位(対象領域)の形状に応じて留置マーカを設定する例を示し、図8及び図9はドライブコイルによる駆動波形とその駆動により留置マーカのソースコイルから送信する信号波形のタイミング等を示し、図10は消化器用の軟性内視鏡による内視鏡検査及び留置マーカを留置する内容を示し、図11は消化器用の軟性内視鏡による留置マーカの留置後における硬性内視鏡による外科手術する際の処置する内容を示し、図12はモニタでの内視鏡画像等の表示例を示す。
【0009】
図1に示すように本実施例を備えた内視鏡システム1は、例えば消化器用内視鏡装置としての第1の内視鏡装置2と、外科手術用内視鏡装置としての第2の内視鏡装置3と、特に第1の内視鏡装置3側により患者4の患部等の検査或いは処置する対象領域(対象部位)5に留置されるRF−IDタグ等により構成されるn個の留置マーカMi/n(i=1,2,…、n)とを備えている。
第1の内視鏡装置2は、屈曲した体腔内に沿って挿入可能とする軟性内視鏡11と、この軟性内視鏡11に照明光を供給する光源装置12と、軟性内視鏡11に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うプロセッサ装置13と、このプロセッサ装置13から出力される映像信号を表示するモニタ14と、プロセッサ装置13に接続され、留置マーカMi/n等への情報の入力を行うキーボード15と、例えば術者16のヘッドに装着され、音声によって留置マーカMi/n等への情報の入力等を行うことを可能とするマイク(を備えたマイクセット)17とからなる。
【0010】
また、第2の内視鏡装置2は、外科手術のために例えば患者4の腹部4a等に挿入される硬性内視鏡21と、この硬性内視鏡21に照明光を供給する光源装置22と、硬性内視鏡21に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うプロセッサ装置23と、このプロセッサ装置23から出力される映像信号を表示するモニタ24と、プロセッサ装置23に接続され、情報の入力を行うキーボード25とからなる。
軟性内視鏡11は、軟性で細長の挿入部30と、この挿入部30の基端に設けられ、術者16により把持されるハンドル部31と、このハンドル部31から延出されるユニバーサルケーブル32とを有し、このユニバーサルケーブル32の末端側は、例えばライトガイドケーブル32aと信号ケーブル32bとに分岐し、それぞれ末端に設けられたコネクタ32c及び32dは、光源装置12とプロセッサ装置13とに着脱自在に接続される。
【0011】
この軟性内視鏡11は、口部から挿入部30を挿入し、屈曲した食道等の管路を経て例えば胃33の内部等に挿入することができる。
【0012】
また、挿入部30の基端付近には処置具挿入口34が設けてあり、処置具を挿入して、挿入部30内に設けられたチャンネルを介してその先端側を突出して処置したり、留置用の処置具となる把持鉗子35を用いて留置マーカMi/nを留置することができるようにしている。
また、挿入部30は、硬質の先端部30aと、湾曲自在の湾曲部30bと、軟性(可撓性)の軟性部30cとから構成され、術者16は、ハンドル部31に設けた湾曲ノブ36を操作することにより、湾曲部30bを上下、左右の任意の方向に湾曲することができる。
また、ハンドル部31には、術者16が音声等による留置マーカMi/nに情報を書き込むために電磁的に送信するための駆動コイルユニット37がとりつけられている。そして、後述するように駆動コイルユニット37内の駆動コイルから書き込む情報を電磁波で送信することにより、留置マーカMi/n内のメモリに送信された情報を書き込む(記憶)することができるようにしている。
【0013】
一方、硬性内視鏡21は、硬質性で細長の挿入部40と、この挿入部40の基端に設けられ、術者16により把持されるハンドル部41と、このハンドル部41から延出されるユニバーサルケーブル42とを有し、このユニバーサルケーブル42の末端側は、例えばライトガイドケーブル42aと信号ケーブル42bとに分岐し、それぞれ末端に設けられたコネクタ42c及び42dは、光源装置22とプロセッサ装置23とに着脱自在に接続される。
また、この硬性内視鏡21には、例えばその挿入部40の基端付近には、留置マーカ6の位置を検出したり、この硬性内視鏡21における挿入部40の先端部40aの位置P(図4参照)と、その視野方向Sを検出可能とする(センスコイルを内蔵した)センスコイルユニット43が取り付けられている。
【0014】
このセンスコイルユニット43は、留置マーカMi/nの位置検出にも利用される。
この硬性内視鏡21は、その挿入部40がトラカール44を介して患者4の腹部4aから体内に刺入される。
【0015】
図2は第1の内視鏡装置2の詳細な構成を示す。
図2に示すように、軟性内視鏡11の挿入部30内には照明光を伝送するライトガイド(図2における拡大図参照)45が挿通されており、その後端側の入射端は、図1に示した光源装置12に着脱自在に接続される。そして、光源装置12から供給される照明光を伝送し、ライトガイド45の先端の出射面から出射する。このライトガイド45の出射面は、先端部30aの照明窓に取り付けられている。
先端部30aには、この照明窓に隣接して観察窓が設けてあり、この観察窓には対物レンズ46が取り付けてあり、その結像位置には撮像素子として例えば電荷結合素子(CCDと略記)47が配置されている。このCCD47は、信号線によりコネクタ32dの接点に電気的に接続されている。そして、ユーザは、このコネクタ32dをプロセッサ装置13に接続することにより、プロセッサ装置13内部の駆動&信号処理回路48に接続される。
また、挿入部30内にはチャンネル49が設けてあり、留置マーカMi/nを留置するための把持鉗子35等の処置具を挿通することができる。
【0016】
また、ハンドル部31に設けた駆動コイルユニット37の内部には、留置マーカMi/nに対して書き込む情報を電磁波により送信する駆動コイル50が収納されている。この駆動コイル50は、ハンドル部31内部及びユニバーサルケーブル32内を挿通された信号線と接続され、コネクタ32dを介してプロセッサ装置13と接続される。
プロセッサ装置13に内蔵された駆動&信号処理回路48は、各種のクロック等のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ51と、そのタイミング信号に同期してCCD47を駆動するCCD駆動信号を発生するCCD駆動回路52とを有する。
また、CCD駆動信号の印加により、CCD47から出力されるCCD出力信号を増幅するアンプ53と、このアンプ53の出力信号をA/D変換するA/D変換器54と、このA/D変換器54から出力されるデジタルのCCD出力信号に対して映像信号生成の信号処理を行う映像信号処理回路55と、この映像信号処理回路55から出力される映像信号をD/A変換するD/A変換器56と、このD/A変換器56から出力されるアナログの映像信号を増幅するアンプ57とを有する。
【0017】
このアンプ57により増幅されたアナログの映像信号は、モニタ14に入力され、モニタ14の表示面には、この映像信号に対応する内視鏡画像が表示される。
なお、タイミングジェネレータ51は、タイミング信号を、A/D変換器54、映像信号処理回路55及びD/A変換器56にも供給する。
また、このプロセッサ装置13には、制御処理を行うCPU58と、音声認識を行う音声認識回路59と、駆動コイル50を駆動する信号を生成する駆動コイル用駆動回路60とが内蔵されている。
CPU58には、術者16等によりキーボード15の操作によりデータ等が入力される。また、術者16等によりマイクセット17を介して入力される音声信号は、音声認識回路59により音声認識されて対応する文字情報に変換されてCPU58に入力される。
【0018】
CPU58は、キーボード15や音声認識回路59から入力されるデータや文字情報に対応する信号を駆動コイル用駆動回路60に出力する。駆動コイル用駆動回路60は、入力されたデータや文字情報に対応する信号をハンドル部31内の駆動コイル50に送り、この駆動コイル50はCPU58側からの入力情報を変調した信号にして、電磁波として放射する。
【0019】
ここで、軟性内視鏡11の例えばハンドル部31には、指示操作用のスイッチScとSdとが設けてある。そして、例えばスイッチScを押してONする事により、その操作信号がプロセッサ装置13内に設けたCPU58に入力される。そして、CPU58は、この指示信号を受けて、留置マーカMi/nに向けて駆動コイル50から留置マーカMi/nへの送信動作を実行する。また、スイッチSdを操作することにより、駆動コイル50から留置マーカMi/nへの送信を停止させる。このようにして、不必要に信号を放射しないようにしている。
なお、スイッチSc,Sdは、駆動コイルユニット37に設けるようにしても良い。この場合には、駆動コイルユニット37から軟性内視鏡11を介してその信号をCPU58に伝送する。また、スイッチScのみにより、送信開始と送信停止の機能を兼ねるようにしても良い。
【0020】
留置マーカMi/nは、この電磁波を受信して、その一部を電源に利用すると共に、復調して、送信された情報を内蔵したメモリ88a(図5参照)に記憶する。
具体的には、駆動コイル50から電磁波として放射される信号は、術者16による所見、(留置マーカ6の)留置日時、(留置マーカMi/nの)通し番号(つまり1/n,2/n、…、n/n)などの情報が重畳される。そして、留置マーカMi/nに内蔵された受信及び送信を兼ねるソースコイルCmiによりその電磁波を受信する。さらにその一部を電源に利用し、送信された信号を復調して、上記入力情報に対応する信号を生成し、留置マーカMi/n内のICチップ88のメモリ88aに記憶する。
本実施例においては、留置マーカMi/nのソースコイルCmiから送信される信号による位置情報の他に、留置マーカMi/nのメモリ88a内に記憶された情報を、読み出すことにより、以後の硬性内視鏡21側による処置をより円滑に行えるようにする。
【0021】
なお、駆動コイル50を設ける位置は、軟性内視鏡11のハンドル部31に設ける場合に限定されるものでなく、他の位置或いは、軟性内視鏡11以外の位置、例えばプロセッサ装置13に設けるようにしても良い。
図3は第2の内視鏡装置3の詳細な構成を示す。また、図4は第2の内視鏡装置3を構成する硬性内視鏡21の詳細を示す。
図4に示すように、硬性内視鏡21の硬質性の挿入部40内には、ライトガイド61が挿通されており、このライトガイド61はさらにハンドル部41から延出されたユニバーサルケーブル42内に挿通されている。
そして、図1に示すようにユーザは、コネクタ42aを光源装置22に接続することにより、光源装置22から供給される照明光を伝送する。このライトガイド61の先端の出射面は、挿入部40の先端部40aの照明窓に取り付けてあり、照明光はこの照明窓から前方に出射される。
【0022】
また、この照明窓に隣接して設けられた観察窓には、対物レンズ62が取り付けてあり、その結像位置にはCCD63が配置されている。このCCD63は、挿入部40内等に挿通された信号線を介して図3に示すようにプロセッサ装置23に内蔵された駆動&信号処理回路64と接続される。
図4に示すように、この硬性内視鏡21のハンドル部41には、センスコイルユニット43が着脱自在に装着される。
例えば、ハンドル部41の外周面における1箇所には、コネクタ受け65が設けてあり、センスコイルユニット43側のコネクタ66に着脱自在に接続される。このセンスコイルユニット43にはセンスコイルCx、Cy、Czと、ドライブコイルCdとが内蔵されており、センスコイルCx、Cy、CzとドライブコイルCdは、コネクタ66の接点にリード線にて接続されている。
【0023】
そして、これらセンスコイルCx、Cy、CzとドライブコイルCdは、コネクタ受け65の接点に接続された信号線を介して、図3に示すプロセッサ装置23内のセンスコイル用処理回路67及びドライブコイル用信号処理回路68にそれぞれ接続される。
なお、ドライブコイルCdをセンスコイルCx、Cy、Czの1つで兼用するようにしても良い。その場合には、ドライブコイルCdを省くことができる。
また、本実施例においては、センスコイルユニット43を、硬性内視鏡21に着脱自在にしているので、センスコイルユニット43が実際に装着される硬性内視鏡21に適した状態で使用できるように各硬性内視鏡21には、その硬性内視鏡21に固有のスコープIDを書き込んだ例えばメモリIC69が内蔵されている。
そして、このメモリIC69の情報は、プロセッサ装置23内に設けたCPU70により読みとられ、その情報は、硬性内視鏡21の先端部40aを留置マーカMi/nが留置されている部位に接近させて処置する際に利用される。
【0024】
上記のようにセンスコイルユニット43が着脱自在の場合には、硬性内視鏡21の挿入部40の長さ等の機械的な寸法が異なると、センスコイルCx、Cy、Czの位置と挿入部40の先端部40aの位置Pとの相対的な位置が異なり、それらの位置関係を決定するためには、それを一義的に決定可能とする情報が必要となる。
このようにセンスコイルユニット43を、着脱自在として互換性を有するものにして、種々の硬性内視鏡に対して着脱可能に組み合わせようとする場合、個々の硬性内視鏡における上記情報が必要となる。これを達成する為に、本実施例においては、各硬性内視鏡21内のメモリIC69にスコープIDと共に、個々の硬性内視鏡特有の情報を記憶しており、その情報をプロセッサ装置23側で読みとり、必要な情報に変換した上で、センスコイルユニット43による位置検出の際に利用すると共に、先端部40aの位置検出にも利用する。
【0025】
後述する図6において、センスコイルCx、Cy、Czによる留置マーカMi/nの位置検出の座標系において、先端部40aの位置P等を表示した様子を示す。
この場合、硬性内視鏡特有の情報とは、センスコイルユニット43の取り付けによるセンスコイルCx、Cy、Czの位置と、硬性内視鏡21の機械的寸法(挿入部40の長さと、センスコイルCx、Cy、Czの位置から先端部40aの対物レンズ62までの距離や空間座標位置)以外にも、対物レンズ62のレンズ倍率、レンズ視野角、直視タイプや斜視タイプにおける斜視の方向(斜視角)等の情報が挙げられる。
【0026】
これらすべての情報を上記メモリIC69に記憶しておいても良いし、或いは、メモリIC69には、硬性内視鏡21の機種番号と製造番号のみを記憶し、その情報を基にプロセッサ装置23側に設けた図示しないLUT(ルックUPテーブル)メモリにより、1対1に変換して用いるようにしても良い。なお、硬性内視鏡21を識別するためには、スコープIDを記憶したメモリIC69に限らず、バーコード等の光学的な読みとり手段等によっても同様に達成できる。
また、硬性内視鏡21の例えばハンドル部41には、指示操作用のスイッチSaと、Sbとが設けてある。そして、例えばスイッチSaを押してONすることにより、その操作信号がプロセッサ装置23内に設けたCPU70に入力される。そして、CPU70は、この指示信号を受けて、留置マーカMi/nに向けてドライブコイルCdから留置マーカMi/n側への送信動作を開始させる。また、スイッチSbを操作することにより、ドライブコイルCdから留置マーカMi/nへの送信を停止させる。このようにして、不必要に信号を放射しないようにしても良い。
【0027】
なお、スイッチSa、Sbは、センスコイルユニット43に設けるようにしても良い。この場合には、コネクタ66、コネクタ受け65を介してその信号をCPU70に伝送する。また、スイッチSaのみにより、送信開始と送信停止の機能を兼ねるようにしても良い。
図3に示すプロセッサ装置23内の駆動&信号処理回路64は、図2に示す駆動&信号処理回路48と同様の構成である。
つまり、駆動&信号処理回路64は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ71と、そのタイミング信号に同期してCCD63を駆動するCCD駆動信号を発生するCCD駆動回路72とを有する。
【0028】
また、CCD駆動信号の印加により、CCD63から出力されるCCD出力信号を増幅するアンプ73と、このアンプ73の出力信号をA/D変換するA/D変換器74と、このA/D変換器74から出力されるデジタルのCCD出力信号に対して映像信号生成の信号処理を行う映像信号処理回路75と、この映像信号処理回路75から出力される映像信号をD/A変換するD/A変換器76と、このD/A変換器76から出力されるアナログの映像信号を増幅するアンプ77とを有する。
このアンプ77により増幅されたアナログの映像信号は、モニタ24に入力され、モニタ24の表示面には、この映像信号に対応する内視鏡画像が表示される。
なお、タイミングジェネレータ71は、タイミング信号を、A/D変換器74、映像信号処理回路75及びD/A変換器76にも供給する。
【0029】
また、ドライブコイル用信号処理回路68は、各種のタイミングのクロックを発生するタイミングジェネレータ(クロックジェネレータ)78と、このタイミングジェネレータ78からのクロックを通すように設定されたBPFによるフィルタ79と、このフィルタ79を通過したクロックを増幅するアンプ80とを有する。
タイミングジェネレータ78からフィルタ79側に出力されるクロックは、CPU70により制御される。つまり、スイッチSaがONされたことを受けて、CPU70はタイミングジェネレータ78からフィルタ79側にクロックを出力する。
上記アンプ80を経て増幅された所定周波数のクロックが、ドライブコイルCdに印加される。このドライブコイルCdは、印加されたクロックの信号を電磁波として放射し、この電磁波は留置マーカMi/nのソースコイルCmiにより受信され、電源として利用される。また、その電源の供給により、位置検出等に用いられる信号を送信する。
【0030】
留置マーカMi/n側から送信される信号は、センスコイルCx、Cy、Czにより受信され、プロセッサ装置23内のセンスコイル用処理回路67のアンプ81に入力される。このアンプ81により増幅された後、フィルタ82により所定の帯域内の信号が取り出され、さらにA/D変換器83によりA/D変換されてデジタルの信号に変換される。
このデジタルの信号は、フーリエ変換回路84に入力されると共に、CPU70に入力される。
フーリエ変換回路84は、入力される信号、具体的には留置マーカMi/nのソースコイルから送信される信号の周波数成分を抽出するための周波数分析を行い、その周波数分析結果から前記信号の周波数成分を抽出する。抽出された信号を振幅・位相検出回路85に出力し、振幅・位相検出回路85は、信号の振幅及び位相値(基準の位相からのずれ)を検出して、マーカ座標検出回路86に出力する。マーカ座標検出回路86は、3つのセンスコイルCx、Cy、Czにより検出した信号の振幅及び位相値から各留置マーカMi/nの3次元座標を検出(算出)する。
【0031】
算出された情報は、CPU70を介して映像信号処理回路75に出力され、映像信号処理回路75が生成する内視鏡画像の映像信号に重畳する等して、モニタ24の表示面に内視鏡画像と共に留置マーカMi/nの位置を表示することができるようにしている。
また、A/D変換器83からの出力信号が入力されるCPU70は、位置検出用の信号に変調(重畳)された情報を復号化処理して、ICチップ88のメモリ88aに書き込まれた情報を得る。そして、CPU70は、映像信号処理回路75に出力し、モニタ24の表示面に留置マーカMi/nの位置と共に、書き込まれている所見等の情報を表示できるように制御処理する。
【0032】
図5は留置マーカMi/nの構成を示す。
留置マーカMi/nは、例えばカプセル形状等の外装ケース内に送信及び受信に用いるソースコイルCmi/nと、このソースコイルCmi/nに接続され、変復調を行う変復調回路87と、送信された情報を記憶するメモリ88aを有し、変復調回路87及びメモリ88aへの書き込み及び読み出し等を制御するICチップ88とからなる。
本実施例においては、軟性内視鏡11により、後で処置するための情報を送信してメモリ88a内に書き込む(記憶する)。そして、硬性内視鏡21により処置する際に、位置検出のために送信させるように駆動すると共に、メモリ88a内に記憶された情報を読み出し、その情報における例えば所見を参照するなどして処置を円滑に或いは適切に行いやすくするのに利用する。
図6は、センスコイルCx、Cy、Czにより留置マーカMi/nを検出する様子を示す。
【0033】
センスコイルCx、Cy、Czは、直交する3軸x、y、z方向に感度を持つ(つまり指向性を持つ)ように配置され、留置マーカMi/nのソースコイルCmi/nからの電磁界強度及び位相ずれを検出するのに用いられ、それらの検出情報によりソースコイルCmi/nの3次元の座標位置が算出される。
また、センスコイルCx、Cy、Czを原点とすると所定の3次元座標位置となる挿入部40の先端部40a(或いは先端部40aにおける対物レンズ62)の位置を、ICメモリ69からの情報により算出することができる。
図6では、センスコイルCx、Cy、Czを原点として、先端部40aの位置Pの座標を(xo,yo,zo)で示している。本実施例においては、例えば先端部40aの位置を原点として、ソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を表示することができる。この場合、図6により示すと、例えば対物レンズ62の瞳位置を先端部40aの位置Pとし、その位置Pを原点とした座標系を(x′、y′、z′)として示している。
【0034】
また、本実施例においては、センスコイルCxを挿入部40の軸方向に指向性を持つように配置して、対物レンズ62の視野方向SがセンスコイルCx、Cy、Czを原点とする座標系(x、y、z)におけるx軸方向と平行になると共に、先端部40aの位置Pを原点とする座標系(x′、y′、z′)においてもx′方向となるように設定している。このため、センスコイルCx、Cy、Czを原点とした座標系と、先端部40aの位置Pを原点とする座標系との相互変換が容易となる。なお、本実施例においては、直視タイプの場合で示している。
図7は患部等の注目すべき対象領域5に対して留置マーカMi/nを留置する様子を示す。
患部等の対象領域5の形状に応じて、図7(A)或いは図7(B)のように留置マーカMi/nを留置すると良い。
図7(A)のように対象領域5が略3角形に近い形状の場合には、各頂点付近の位置に3つの留置マーカM1/3,M2/3,M3/3を留置すると良い。
【0035】
また、図7(B)のように対象領域5が略四角形に近い形状の場合には、各頂点付近の位置に4つの留置マーカM1/4,M2/4,M3/4,M4/4を留置すると良い。
また、対象領域5が円形や楕円形の場合には、その外形に沿って3つ或いはそれ以上の留置マーカMi/nを留置しても良い。
手術時に、留置マーカの取り残しをなくす為にも、留置マーカMi/nの総数nと通し番号i/nを認知できることは重要となる。
図8は、硬性内視鏡21のドライブコイルCdから留置された3つの留置マーカMi/3に送信することにより、留置マーカMi/3側のソースコイルCmiにより位置検出等のために送信される信号のタイミングを示す。
【0036】
図8(A)に示すようにドライブコイルCdは発振周波数が例えば10KHzのバースト波を所定周期の信号として出力する。
これを受けることにより、留置マーカM1/3〜M3/3には電力が供給され、各々、図8(B)〜(D)に示す出力信号を送信する。
図8(B)〜(D)に示したのは、出力信号の基本波(搬送波)である。この基本波には、各々の留置マーカM1/3〜M3/3内のメモリ88aに記録された固有情報や所見等の情報等が重畳されている。
本実施例では、3個の留置マーカM1/3〜M3/3の位置情報を認識する必要があるが、その3個の留置マーカM1/3〜M3/3の出力信号は、図8(B)〜図8(D)に示すように、ドライブコイルCdのバースト波の発信タイミングから、各々t1,t2,t3の時間に、所定の振幅で発信することにより、その信号を外科用の硬性内視鏡21に設けたセンスコイルCx、Cy、Czで受信する際に、どの信号が、どのソースコイルCmi/3に対応するものかを認識できるようにしている。
【0037】
また、時間t1,t2,t3からの時間遅延を、ソースコイルCmi/3からの信号波形の位相ずれとして検出することにより、センスコイルCx、Cy、Czと各ソースコイルCmi/3との間の距離を検出できるようにしている。また、上記距離と、センスコイルCx、Cy、Czによる指向性と検出された信号波形の振幅値から、例えばセンスコイルCx、Cy、Czの座標系を原点としたソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を算出できるようにしている。
また、センスコイルCx、Cy、Czを原点とすると所定の3次元座標位置となる挿入部40の先端部40a(或いは先端部40aにおける対物レンズ62)の位置を原点として、ソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を算出することもできる。
【0038】
本実施例においては、硬性内視鏡21の先端部40aを、留置マーカMi/3が留置された対象領域5に視覚的にアプローチし易くするため、ソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を算出した結果を表示する場合には、挿入部40の先端部40aを3次元座標系の原点として表示する。
【0039】
内視鏡術の際に、留置マーカM1/3〜M3/3を留置する際に、消化器用の内視鏡装置2側から各留置マーカMi/3に所定の情報をインプットする際、通し番号のデータもインプットするので、この時に、「ドライブコイルCdからのバースト波を受信後、各々t1,t2,t3の時間後から発信信号を出力する」という情報を一緒にプログラミングすることによって可能となる。
図9は、図8の方法とは別の方法を示す。
図9(A)に示すようにドライブコイルCdの発信周波数を例えば10kHzのバースト波とする。
【0040】
これを受け、留置マーカM1/3〜3/3に内蔵したソースコイルCm1/3〜Cm3/3には電力が供給され、各々、図9(B)〜図9(D)に示す出力信号を発信する。
これらソースコイルCm1/3〜Cm3/3からの発信信号は、開始タイミングとしてはすべて一律であるが、代わりに、発信周波数が、各々10kHz、12kHz、14kHzと互いに異なるようにしている。
【0041】
この場合にも、3個の留置マーカM1/3〜M3/3の位置情報を認識する必要があるが、ソースコイルCm1/3〜Cm3/3は各々10kHz、12kHz、14kHzのように互いに相異なる周波数で発信することにより、その信号を外科用の硬性内視鏡21に設けられたセンスコイルCx、Cy、Czで受信し、その周波数からどのソースコイルCmiに対応するものであるかを認識できる。
留置マーカM3/1〜M3/3を留置する際に、消化器用の内視鏡装置2側から各留置マーカMi/3に所定の情報をインプットする際、通し番号のデータもインプットするので、この時に、「ドライブコイルCdからのバースト波を受信したら、各々10kHz、12kHz、14kHzの基本波を発信出力する」と言う情報を一緒にプログラミングすることによって可能となる。
また、図9(B)〜図9(D)は、出力信号の基本波である。この基本波には、各々の留置マーカMi/3内のメモリ88aに記録された固有情報等が重畳されている。
【0042】
このような構成の内視鏡システム1による患部等の処置対象領域に対する消化器用の軟性内視鏡11による診断及びその診断結果により留置マーカMi/nの留置を行い、そして留置された留置マーカMi/nを利用して硬性内視鏡21による外科手術の手順を図10及び図11を参照して説明する。
図10に示すように最初のステップS1において、消化器用の軟性内視鏡11により、内視鏡検査を行う。
具体的には、例えば図1に示すように、消化器用の軟性内視鏡11により、患者4の口部側から挿入して、消化管内、例えば胃33の内側を内視鏡検査する。
この内視鏡検査により、この軟性内視鏡11による処置、例えば内視鏡観察下での粘膜切除術としてのEMR等を行う。
【0043】
そして、硬性内視鏡による外科手術の方が処置しやすい対象領域5がある場合には、ステップS2に示すように術者16は、その処置対象領域5に留置マーカMi/nを留置する。留置マーカMi/nを留置する場合には、把持鉗子35等により対象領域5を囲むように3つ以上の留置マーカMi/nを留置する。
なお、留置マーカMi/nを留置する場合、図2の拡大図に示すようにチャンネル49の内径よりも小さい外径の留置マーカMi/nやチャンネル49内を挿通できる把持部を先端に設けた把持鉗子35を採用すると、患者4に苦痛を強いることなく、或いは術者16は、簡単に留置ができる。
また、留置マーカMi/nを留置する場合、留置マーカMi/nにフックなどを予め取り付けておき、そのフックの先端を患部等の対象領域5表面に差し込むことにより、留置マーカMi/nを留置することができる。また、フックなどを使用しないで、生体接着性ポリマを留置マーカMi/nの外表面に塗布したものを用いて、対象領域5表面に留置することもできる。
【0044】
そして、術者16は、ステップS3に示すように、例えばマイクセット17による音声入力等により、所見、留置日時、留置する留置マーカMi/nの総数nに対する通し番号等の入力を行う。
この入力を行った後、留置マーカMi/nへの送信或いは書き込みの音声入力等を行うことにより、プロセッサ装置13内のCPU58は、入力された情報を駆動コイル50から送信するように駆動コイル用駆動回路60を作動させる。
そして、ステップS4に示すように、留置マーカMi/nは、ソースコイルCmi/nによりその信号を受信して電源として利用すると共に、ICチップ88内のメモリ88aに送信された情報を記憶する。
その後、術者16は、軟性内視鏡11を体腔内から引き出す。
そして、後日等において、術者は、硬性内視鏡21により外科手術を行う。この場合の代表的な処置の手順を図11に示す。
【0045】
ステップS11に示すように、患者4の腹部4aから硬性内視鏡21の挿入部40をトラカール44を介して刺入する。
そして、この硬性内視鏡21のCCD63により撮像された内視鏡画像は、モニタ24の表示面に表示される。
また、スイッチSaを操作する等して、ステップS12に示すように留置マーカMi/nにドライブコイルCdからドライブ用の信号を送信する。以下ではn=3とする。
この信号の送信により、留置マーカMi/3からは、図8に示すようにドライブコイルCdからの送信のタイミングから時間t1,t2,t3のように順次ずれて、重ならないようにしたタイミングで、ソースコイルCm1/3からCm3/3まで(位置検出等のための)信号が順次送信される(S13)。
そして、硬性内視鏡21に取り付けたセンスコイルユニット43内のセンスコイルCx、Cy、Czにより各ソースコイルCmi/3からの信号を受信してソースコイルCmi/3(その留置マーカMi/3)の各3次元位置を検出する(S14)。3次元位置の検出(算出)には、受信した信号の振幅値と位相を検出することにより可能となる。
【0046】
これらの位置情報はCPU70に送られ、3つの留置マーカM1/3〜M3/3から3つの留置マーカM1/3〜M3/3を含む平面及び3つの留置マーカM1/3〜M3/3の例えば中心位置の座標が算出される(S15)。なお、留置マーカM1/3〜M3/3を含む平面から、さらにその平面に垂直な法線ベクトルを算出するようにしても良い。
これらの情報は、CPU70から映像信号処理回路75に送られ、映像信号に重畳されてモニタ24に出力され、内視鏡画像と共に対象領域の情報が表示される(S16)。
また、術者16により、入力されてメモリ88aに格納された情報も読み出され、CPU70に入力される。この情報もCPU70から映像信号処理回路75に送られ、映像信号に重畳されてモニタ24に出力され、モニタ24により表示される(S17)。
この場合におけるモニタ24による表示例を図12に示している。内視鏡画像の表示エリアReには、硬性内視鏡21のCCD63により撮像した内視鏡画像が表示され、またこの表示エリアReに隣接して、硬性内視鏡21の挿入部40の先端側の挿入方向等のガイドとなるガイド画像が挿入ガイド表示エリアRgに表示される。また、メモリ記憶情報表示エリアRmには、術者16による所見等の情報が表示される。
【0047】
図12の挿入ガイド表示エリアRgでは、対物レンズ62の位置を原点として、その視野方向Sと垂直な平面上における留置マーカMi/n(より具体的にはM1/3〜M3/3)の2次元位置(以下に説明するように例えば(y′、z′))を模式的に表示する。つまり、視野方向Sからずれている留置マーカM1/3〜M3/3の位置を表示する。
対物レンズ62の位置を原点としてその視野方向Sを例えばx′方向に設定した場合、このx′方向をモニタ画面に垂直な方向に設定し、検出された留置マーカM1/3〜M3/3の位置を視覚的に示すために、留置マーカM1/3〜M3/3(の中心位置O)におけるx′成分だけ視野方向Sにずらした位置において、留置マーカM1/3〜M3/3のその位置を、このx′方向に垂直なy′及びz′成分を用いて示している。
つまり、モニタ画面は、留置マーカM1/3〜M3/3のy′及びz′成分を相対的に示している。
【0048】
また、そのままでは、x′成分の値を視覚的に把握しにくくなるので、例えばx′成分の値に比例した大きさの異なる2つの同心の円H、Cを表示する。この円H、Cの大きさは先端部40aの位置Pから留置マーカMi/nまでの距離におけるx′成分の大きさに比例するように設定する。例えば円Cは、先端部40aの位置Pから留置マーカM1/3〜M3/3(の中心位置O)までの距離におけるx′成分の値を半径としたものとして表示する。このように表示することにより、先端部40aを対象領域5側に接近させる操作を視覚的に行い易くなる。
図12の具体例では、視野方向Sの右側に対象領域5の情報5aが表示されるので、術者16は、挿入部40の先端部40aを右側に向くように変更すれば、対象領域5側に接近できることが視覚的に容易に分かる。
【0049】
また、図12においては、留置マーカM1/3〜M3/3の中心位置をO、留置マーカM1/3〜M3/3の中心位置Oからこれらを含む面の法線ベクトルV等を表示する。この法線ベルトルVを表示することにより、その面に垂直な方向から先端部40aが接近しているか、斜めの方向から接近しているか等を判断できる。
このようにして術者は、モニタ24に表示された情報を参照して、硬性内視鏡21の挿入部40の向き等を調整する等して対象領域5にアプローチする(S18)。
【0050】
このように、挿入ガイド表示エリアRgには、硬性内視鏡21の先端部40aの対物レンズ62による視野方向S等と共に、対象領域5の中心位置O等が表示されると共に、その対象領域5の面の法線ベクトルV等も表示されるので、挿入部40の先端部40aをスムーズに対象領域5の中心位置Oにアプローチすることができる。また、法線ベクトルVの方向から、対象領域5の面に垂直な方向からアプローチ或いは観察しているか否か等も視覚的に認識し易い。
対象領域5にアプローチして、対象領域5を硬性内視鏡21の対物レンズ62の観察視野に入れ、図示しない処置具を用いる等して処置を行う(S19)。また、留置した留置マーカM1/3〜M3/3を取り除く。そして、外科手術を終了する。
図11による留置マーカMi/3の位置算出に伴う対象領域5の表示等に付いて補足説明する。
【0051】
硬性内視鏡21の先端部40aの位置を(xo,yo,zo)とする。
この場合、硬性内視鏡21の先端部40aの位置(xo,yo,zo)及び、対物レンズ62の視野方向Sは、1)ハンドル部41に取り付けられるセンスコイルユニット43内にあるセンスコイルCx,Cy,Czの位置及びそれぞれの向きと、センスコイルユニット43が硬性内視鏡21に装着された状態での物理的位置、方向との関係から予め決められる。
そのため、センスコイルユニット43内のセンスコイルCx,Cy,Czの位置、及びそれぞれの向きが分かれば、先端部40aの位置(xo,yo,zo)及び対物レンズ62の視野方向Sは、決定が可能である。そして、先端部40aの位置(xo,yo,zo)を算出した後、留置マーカMi/3の位置算出した結果をモニタ24に表示する場合には、前述したように先端部40aの位置を座標の原点として表示することにより、視覚的に先端部40aを留置マーカMi/3にアプローチし易くできる。
【0052】
本実施例の場合、ハンドル部41にセンスコイルユニット43を装着する構成にしているので、硬性内視鏡21の光学系など、先端部40aに内蔵する他の部品と干渉することがない。
なお、本実施例では、ハンドル部41にセンスコイルCx,Cy,Cz等を着脱自在で取り付けるようにしているが、硬性内視鏡21の先端部40aに位置検出のためのセンスコイルを設ければ、そのセンスコイルの位置、向きから硬性内視鏡21の先端部40aの位置及び視野方向Sを決定することが可能である。従って、このように先端部40aにセンスコイルを配置しても良い。
このように本実施例によれば、外科手術等を容易に行い易くできる。
【0053】
なお、上述の実施例においては、硬性内視鏡21により、その先端部40aの位置や視野方向Sを検出できるようにして、留置マーカMi/nが留置される対象領域5にスムーズにアプローチなどができるようにした構成及び作用等を説明したが、軟性内視鏡11に対しても以下の実施例2のようにして適用することができる。
【実施例2】
【0054】
次に本発明の実施例2を図13を参照して説明する。図13は本発明の実施例2を備えた内視鏡システム1Bを示す。
本内視鏡システム1Bは、図1或いは図2において、軟性内視鏡11の先端部30aにセンスコイルCx,Cy,Czを配置した構成にして、センスコイルCx,Cy,Czによるこの軟性内視鏡11の先端部30aの位置とその先端部30aに設けた対物レンズ46による視野方向S′を検出できるようにしている。
つまり、軟性内視鏡11の挿入部30の先端部30aの位置及び対物レンズ46視野方向S′は、先端部30aにセンスコイルCx、Cy、Czを設ければ、そのセンスコイルCx、Cy、Czの位置、及びそれらの向きからその軟性内視鏡11の先端部30aの位置、視野方向S′は決定が可能である。
また、軟性内視鏡11の先端部30aにおける撮像部分は一般に硬性の部材で構成されているため、既知の位置だけ後方にずらした位置にセンスコイルCx,Cy,Czを内蔵することでその軟性内視鏡11の先端部30aの位置、視野方向S′が決定が可能である。(上記のようにセンスコイルCx,Cy,Czを配置すれば、軟性内視鏡11の対物レンズ46等の光学系など先端部30aに内蔵する他の部品と干渉することがない)。
【0055】
上記のような軟性内視鏡11を用いる前提で、生体内に留置マーカMi/3を留置する。
留置マーカM1/3〜M3/3それぞれの空間の位置を、(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)とする。
軟性内視鏡11の視野方向S′を、ここではZ軸、原点を光学系の視野中心とし、視野上方をYのプラス方向、視野右方向をXのプラス方向とする座標系をXYZ空間とする。
【0056】
この座標系においては、表示される内視鏡画像はZ軸に垂直な平面として表現される。
【0057】
X,Y,Zの原点は上記の軟性内視鏡11の先端部30aの位置と同じとなっている。
【0058】
この軟性内視鏡11に設けられたセンスコイルCx、Cy、Czにより検出される留置マーカM1/3〜M3/3の位置(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)は、それぞれX,Y,Zの空間の値として変換される。
それらの座標を(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)とする。
軟性内視鏡11の先端部30aを留置マーカM1/3に接近させることを想定すると、XYZ空間の原点と(X1,Y1,Z1)の座標を接近させることと等価となる。
【0059】
よって、先端部と留置マーカM1/3の距離Dは、X,Y,Z空間の原点と(X1,Y1,Z1)の点の距離である。計算式では(X1,Y1,Z1)の各項の二乗和の平方根として単純計算が可能であり、この距離を画面上に表示することができる。
一方、軟性内視鏡11の先端部30aをどの方向に向けていくことが留置マーカM1/3と軟性内視鏡11の先端部30aとが接近する方向であるか、に関しては、内視鏡画面上では画像はZ軸に垂直であるためXY平面に投影した(X1,Y1,Z1)の留置マーカM1/3の位置、すなわちX,Y,Z空間の原点から(X1,Y1,0)へ向かうベクトルWで表現される。
これを画面上に表現することで、どの方向に内視鏡先端を向ければいいかを術者などの内視鏡検査或いは処置を行うユーザは、容易に判断可能である。
【0060】
例えばX1,Y1ともプラスであれば、右斜め上方向に矢印を出すことが可能であり、その方向に留置マーカM1/3が存在する。この場合に対応するモニタ14での表示例を図13のモニタ14の表示面に示している。
また、例えば、X1,Y1ともマイナスであれば、左斜め下方向に矢印を出すことが可能であり、その方向に留置マーカM1/3が存在することになる。
この場合においても、留置マーカM/3などに挿入部30の先端部30aをアプローチさせることを視覚的に簡単に行えるようになり、軟性内視鏡11による処置がし易くなる。
なお、図13において、プロセッサ装置13′は、図1におけるプロセッサ装置23と同じ構成であり、かたプロセッサ装置23′は、図1におけるプロセッサ装置13と同じ構成である。また、この場合には、硬性内視鏡21には駆動コイルを内蔵したユニット43′が接続される(図1における駆動コイルユニット37に相当する)。
【0061】
図13においては、硬性内視鏡21により最初に処置などを行い、その場合において、軟性内視鏡11により処置した方が処置し易い場合には、硬性内視鏡11の観察下で図示しない把持鉗子等を用いて留置マーカM1/3〜M3/3を留置し、その後軟性内視鏡11により留置マーカM1/3〜M3/3に向けてその先端部30aをアプローチさせる様子を示す。
つまり、実施例1における軟性内視鏡11による留置マーカM1/3〜M3/3の留置と、その後の留置マーカM1/3〜M3/3が留置された対象領域5への硬性内視鏡21によるアプローチの手順における、軟性内視鏡11と硬性内視鏡21とによる機能を入れ替えたものに相当する。
このように本実施例によれば、実施例1とほぼ同様の効果を有する。
【0062】
なお、本発明は、図14に示すようにロボットサージェリー91を構成する手術用のマニピュレータ92a、92bを用いて手術を行うような場合にも適用することができる。
【0063】
スレーブマニピュレータ92aは、その先端部が患者の腹壁4a内に挿入孔bを介して体内cに挿入される挿入部93を有する手術器具94と、この手術器具94を支持するための直動及び回転の自由度を有する複数の軸を有するロボット95とから構成される。
挿入部93の先端部には、3次元(立体)スコープ96と、一対の処置具97a、97bとを備えている。
3次元スコープ96の先端部及び一対の処置具97a,97bは、それぞれ多自由度にて湾曲可能になっている。
一方、操作手段として、多関節構造を有するマスタマニピュレータ92bが設けてあり、このマスタマニピュレータ92bの先端部には、術者103が装着するヘッドマウントディスプレイ(HMDと略記)98と一対の処置器具用の操作アーム99a、99bが設けてある。
【0064】
スレーブマニピュレータ92a及びマスタマニピュレータ92bは、制御装置100に接続されており、マスタマニピュレータ92bの先端部の位置がスレーブマニピュレータ92aの位置に対応し、さらにHMD98の回転部の位置が3次元スコープ96の湾曲角に対応し、さらに操作アーム99a、99bが、処置具97a、97bの位置に対応して動作するように制御装置100により制御される。
なお、スレーブマニピュレータ92aの軸には、図示しないアクチュエータとその回転位置を検出するエンコーダ101及び図示しない減速機が設けてある。また、マスタマニピュレータ92bの関節部、HMD98の回転部及び操作アーム99a、99bの関節部には、エンコーダ102が設けられている。
そして、術者103は、HMD98に表示される画像を観察しながらマスタマニピュレータ92bの操作を行うと、これに追随してスレーブマニピュレータ92aが動作し、体内cに挿入された手術器具94を操作することができる。
【0065】
また、術者103の頭部にHMD98及びHMD98の回転軸となる部分にエンコーダ102が取り付けてあり、術者103が頭部を動かすと、エンコーダ102の動きに追随して、スレーブマニピュレータ92aに固定された3次元スコープ96がその視野の画像をHMD98に表示することになり、術者103は、体内cにいるような臨場感の中で処置ができる。なお、図14において、符号A1〜A5は回転或いは移動自在である部分を示している。
この場合においても、例えば3次元スコープ96の先端部にセンスコイルを設けておき、かつ体内cにおける対象領域に留置マーカを留置するようにすれば、3次元スコープ96の先端部における3次元位置と、その視野方向とを検出可能となり、それらをHMD98の表示面に立体画像とともに、留置マーカの位置等も表示するようにすれば、上述した実施例のように留置マーカの位置を光学的に視認できないような場合にも、3次元スコープ96の先端部を簡単に留置マーカの位置にアプローチすることができる。
なお、上述した各実施例等を部分的に組み合わせる等して構成される実施例等も本発明に属する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
体内の患部等を処置する場合、電磁的に信号を送信するマーカを留置することにより、内視鏡に設けた電磁的なセンサを用いて内視鏡の先端側をマーカに円滑にアプローチできるようにガイドでき、内視鏡観察下での処置を行い易くする。
【0067】
[付記]
1.請求項1において、前記マーカから電磁波を送信させる駆動素子を有する。
2.請求項1において、前記センサは、前記マーカとの相対的な位置関係を算出する位置算出手段に接続される。
3.付記1において、前記位置算出手段は、前記センサと前記マーカとの相対的な位置関係を表示する表示手段に接続される。
4.請求項1において、前記センサは、該センサを内蔵したセンサユニットが前記内視鏡に着脱自在に取り付けられる。
【0068】
5.付記3において、前記センサユニットが取り付けられる位置と前記先端部との相対的な位置関係を算出可能とする情報を格納した情報格納手段を有する。
6.細長の挿入部の先端部に対物光学系を設けた内視鏡と、
前記内視鏡に設けられ、対象部位に留置されて電磁波を送信可能とするマーカの位置を電磁的に検出するセンサと、
前記センサの出力信号により前記マーカ位置と前記先端部との相対的な位置関係を算出すると共に、前記対物光学系の視野方向を算出し、表示手段に前記相対的な位置関係を表示する信号処理を行う信号処理手段と、
を備えた内視鏡装置。
7.付記6において、前記信号処理手段は、前記マーカの位置に対して、相対的な視野方向を表示するための信号処理を行う。
8.付記6において、前記信号処理手段は、前記マーカに格納された情報を読み出す処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの全体構成図。
【図2】第1の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図。
【図3】第2の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図。
【図4】硬性内視鏡の内部構成を示す図。
【図5】留置マーカの概略の構成を示す図。
【図6】センスコイルと留置マーカ及び先端部との位置検出等の様子を示す図。
【図7】対象部位の形状に応じて留置マーカを設定する例を示す図。
【図8】ドライブコイルによる駆動波形とその駆動により留置マーカのソースコイルから送信する信号波形のタイミング等を示す図。
【図9】ドライブコイルによる駆動波形とその駆動により留置マーカのソースコイルから周波数を変えて送信する信号波形のタイミング等を示す図。
【図10】消化器用の軟性内視鏡による内視鏡検査により留置マーカを留置する手順を示すフローチャート図。
【図11】消化器用の軟性内視鏡による留置マーカの留置後における硬性内視鏡による外科手術する際の処置する手順を示すフローチャート図。
【図12】モニタでの内視鏡画像等の表示例を示す図。
【図13】本発明の実施例2を備えた内視鏡システムの全体構成を示すブロック図。
【図14】マニピュレータを用いた手術システムの主要部を示す図。
【符号の説明】
【0070】
1…内視鏡システム
2、3…内視鏡装置
4…患者
5…対象部位(対象領域)
11…軟性内視鏡
12、22…光源装置
13、23…プロセッサ装置
14、24…モニタ
15、25…キーボード
16…術者
17…マイクセット
21…硬性内視鏡
30、40…挿入部
30a,40a…先端部
31、41…ハンドル部
32、42…ユニバーサルケーブル部
33…胃
35…把持鉗子
37…駆動コイルユニット
40…挿入部
40a…先端部
43…センスコイルユニット
50…駆動コイル
48…駆動&信号処理回路
59…音声認識回路
62…対物レンズ
69…ICメモリ
88a…メモリ
Cx,Cy,Cz…センスコイル
Cd…ドライブコイル
M1/2〜M3/3…留置マーカ
S…視野方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内等に挿入して内視鏡検査や処置を行うための内視鏡等の医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用分野において、内視鏡が広く採用されるようになった。また、消化器用の軟性内視鏡の観察下による処置にも利用される。この場合、患部の状況等によっては、硬性内視鏡の観察下による外科手術による処置の方が行い易い場合がある。
このような場合、従来では、消化器内視鏡の術者は、外科手術で検査、処置を行おうとする消化管内の患部等の対象部位に、目印となるマーカを留置していた。このマーカの位置は、胃壁、腸壁等が介在するため、硬性内視鏡による光学的な観察の際には画像として認知できないため、従来例においては、体外からの触感やX線透視等の手段により行っていた。
【特許文献1】特開2002−131009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように従来の内視鏡においては、マーカを留置しても、そのマーカの位置を簡単に認知できなかった。
また、マーカの位置を認知して、さらにそのマーカの位置に内視鏡の先端側を円滑にアプローチすることができると、内視鏡検査や処置を円滑に行い易くなるが、従来例においてはそのような構成になっていなかった。
なお、特開2002−131009号公報には、軟性内視鏡の先端部の位置を含む挿入部の形状を検出できる構成の内視鏡装置が開示されているが、留置されるマーカの位置にアプローチをし易くするものでもない。
【0004】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、マーカが留置される患部等の対象部位に円滑にガイドし易くする内視鏡等の医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、体腔内に挿入するための挿入部を備えた医療装置において、当該医療装置における前記挿入部の基端側に配設され、体腔外位置から体腔内の対象部位に留置されたマーカの位置を電磁的に検知するセンサと、当該医療装置における、前記センサが配設される位置と前記挿入部の先端部の位置との第1の位置関係に係る情報と、前記センサの出力信号とに基づいて、前記挿入部の先端部の位置と前記マーカの位置との相対的な第2の位置関係を検出可能とした第2位置関係検出手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、内視鏡等の医療装置の先端部の位置と、患部等の対象部位に留置されるマーカとの相対的な位置関係を検出可能とすることにより、術者は、その情報を利用して先端部を対象部位に対して円滑にアプローチできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図12は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの全体構成を示し、図2は第1の内視鏡装置の全体構成を示し、図3は第2の内視鏡装置の全体構成を示し、図4は硬性内視鏡の内部構成を示し、図5は留置マーカの構成を示し、図6はセンスコイルと留置マーカ及び先端部の位置検出の様子を示し、図7は対象部位(対象領域)の形状に応じて留置マーカを設定する例を示し、図8及び図9はドライブコイルによる駆動波形とその駆動により留置マーカのソースコイルから送信する信号波形のタイミング等を示し、図10は消化器用の軟性内視鏡による内視鏡検査及び留置マーカを留置する内容を示し、図11は消化器用の軟性内視鏡による留置マーカの留置後における硬性内視鏡による外科手術する際の処置する内容を示し、図12はモニタでの内視鏡画像等の表示例を示す。
【0009】
図1に示すように本実施例を備えた内視鏡システム1は、例えば消化器用内視鏡装置としての第1の内視鏡装置2と、外科手術用内視鏡装置としての第2の内視鏡装置3と、特に第1の内視鏡装置3側により患者4の患部等の検査或いは処置する対象領域(対象部位)5に留置されるRF−IDタグ等により構成されるn個の留置マーカMi/n(i=1,2,…、n)とを備えている。
第1の内視鏡装置2は、屈曲した体腔内に沿って挿入可能とする軟性内視鏡11と、この軟性内視鏡11に照明光を供給する光源装置12と、軟性内視鏡11に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うプロセッサ装置13と、このプロセッサ装置13から出力される映像信号を表示するモニタ14と、プロセッサ装置13に接続され、留置マーカMi/n等への情報の入力を行うキーボード15と、例えば術者16のヘッドに装着され、音声によって留置マーカMi/n等への情報の入力等を行うことを可能とするマイク(を備えたマイクセット)17とからなる。
【0010】
また、第2の内視鏡装置2は、外科手術のために例えば患者4の腹部4a等に挿入される硬性内視鏡21と、この硬性内視鏡21に照明光を供給する光源装置22と、硬性内視鏡21に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うプロセッサ装置23と、このプロセッサ装置23から出力される映像信号を表示するモニタ24と、プロセッサ装置23に接続され、情報の入力を行うキーボード25とからなる。
軟性内視鏡11は、軟性で細長の挿入部30と、この挿入部30の基端に設けられ、術者16により把持されるハンドル部31と、このハンドル部31から延出されるユニバーサルケーブル32とを有し、このユニバーサルケーブル32の末端側は、例えばライトガイドケーブル32aと信号ケーブル32bとに分岐し、それぞれ末端に設けられたコネクタ32c及び32dは、光源装置12とプロセッサ装置13とに着脱自在に接続される。
【0011】
この軟性内視鏡11は、口部から挿入部30を挿入し、屈曲した食道等の管路を経て例えば胃33の内部等に挿入することができる。
【0012】
また、挿入部30の基端付近には処置具挿入口34が設けてあり、処置具を挿入して、挿入部30内に設けられたチャンネルを介してその先端側を突出して処置したり、留置用の処置具となる把持鉗子35を用いて留置マーカMi/nを留置することができるようにしている。
また、挿入部30は、硬質の先端部30aと、湾曲自在の湾曲部30bと、軟性(可撓性)の軟性部30cとから構成され、術者16は、ハンドル部31に設けた湾曲ノブ36を操作することにより、湾曲部30bを上下、左右の任意の方向に湾曲することができる。
また、ハンドル部31には、術者16が音声等による留置マーカMi/nに情報を書き込むために電磁的に送信するための駆動コイルユニット37がとりつけられている。そして、後述するように駆動コイルユニット37内の駆動コイルから書き込む情報を電磁波で送信することにより、留置マーカMi/n内のメモリに送信された情報を書き込む(記憶)することができるようにしている。
【0013】
一方、硬性内視鏡21は、硬質性で細長の挿入部40と、この挿入部40の基端に設けられ、術者16により把持されるハンドル部41と、このハンドル部41から延出されるユニバーサルケーブル42とを有し、このユニバーサルケーブル42の末端側は、例えばライトガイドケーブル42aと信号ケーブル42bとに分岐し、それぞれ末端に設けられたコネクタ42c及び42dは、光源装置22とプロセッサ装置23とに着脱自在に接続される。
また、この硬性内視鏡21には、例えばその挿入部40の基端付近には、留置マーカ6の位置を検出したり、この硬性内視鏡21における挿入部40の先端部40aの位置P(図4参照)と、その視野方向Sを検出可能とする(センスコイルを内蔵した)センスコイルユニット43が取り付けられている。
【0014】
このセンスコイルユニット43は、留置マーカMi/nの位置検出にも利用される。
この硬性内視鏡21は、その挿入部40がトラカール44を介して患者4の腹部4aから体内に刺入される。
【0015】
図2は第1の内視鏡装置2の詳細な構成を示す。
図2に示すように、軟性内視鏡11の挿入部30内には照明光を伝送するライトガイド(図2における拡大図参照)45が挿通されており、その後端側の入射端は、図1に示した光源装置12に着脱自在に接続される。そして、光源装置12から供給される照明光を伝送し、ライトガイド45の先端の出射面から出射する。このライトガイド45の出射面は、先端部30aの照明窓に取り付けられている。
先端部30aには、この照明窓に隣接して観察窓が設けてあり、この観察窓には対物レンズ46が取り付けてあり、その結像位置には撮像素子として例えば電荷結合素子(CCDと略記)47が配置されている。このCCD47は、信号線によりコネクタ32dの接点に電気的に接続されている。そして、ユーザは、このコネクタ32dをプロセッサ装置13に接続することにより、プロセッサ装置13内部の駆動&信号処理回路48に接続される。
また、挿入部30内にはチャンネル49が設けてあり、留置マーカMi/nを留置するための把持鉗子35等の処置具を挿通することができる。
【0016】
また、ハンドル部31に設けた駆動コイルユニット37の内部には、留置マーカMi/nに対して書き込む情報を電磁波により送信する駆動コイル50が収納されている。この駆動コイル50は、ハンドル部31内部及びユニバーサルケーブル32内を挿通された信号線と接続され、コネクタ32dを介してプロセッサ装置13と接続される。
プロセッサ装置13に内蔵された駆動&信号処理回路48は、各種のクロック等のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ51と、そのタイミング信号に同期してCCD47を駆動するCCD駆動信号を発生するCCD駆動回路52とを有する。
また、CCD駆動信号の印加により、CCD47から出力されるCCD出力信号を増幅するアンプ53と、このアンプ53の出力信号をA/D変換するA/D変換器54と、このA/D変換器54から出力されるデジタルのCCD出力信号に対して映像信号生成の信号処理を行う映像信号処理回路55と、この映像信号処理回路55から出力される映像信号をD/A変換するD/A変換器56と、このD/A変換器56から出力されるアナログの映像信号を増幅するアンプ57とを有する。
【0017】
このアンプ57により増幅されたアナログの映像信号は、モニタ14に入力され、モニタ14の表示面には、この映像信号に対応する内視鏡画像が表示される。
なお、タイミングジェネレータ51は、タイミング信号を、A/D変換器54、映像信号処理回路55及びD/A変換器56にも供給する。
また、このプロセッサ装置13には、制御処理を行うCPU58と、音声認識を行う音声認識回路59と、駆動コイル50を駆動する信号を生成する駆動コイル用駆動回路60とが内蔵されている。
CPU58には、術者16等によりキーボード15の操作によりデータ等が入力される。また、術者16等によりマイクセット17を介して入力される音声信号は、音声認識回路59により音声認識されて対応する文字情報に変換されてCPU58に入力される。
【0018】
CPU58は、キーボード15や音声認識回路59から入力されるデータや文字情報に対応する信号を駆動コイル用駆動回路60に出力する。駆動コイル用駆動回路60は、入力されたデータや文字情報に対応する信号をハンドル部31内の駆動コイル50に送り、この駆動コイル50はCPU58側からの入力情報を変調した信号にして、電磁波として放射する。
【0019】
ここで、軟性内視鏡11の例えばハンドル部31には、指示操作用のスイッチScとSdとが設けてある。そして、例えばスイッチScを押してONする事により、その操作信号がプロセッサ装置13内に設けたCPU58に入力される。そして、CPU58は、この指示信号を受けて、留置マーカMi/nに向けて駆動コイル50から留置マーカMi/nへの送信動作を実行する。また、スイッチSdを操作することにより、駆動コイル50から留置マーカMi/nへの送信を停止させる。このようにして、不必要に信号を放射しないようにしている。
なお、スイッチSc,Sdは、駆動コイルユニット37に設けるようにしても良い。この場合には、駆動コイルユニット37から軟性内視鏡11を介してその信号をCPU58に伝送する。また、スイッチScのみにより、送信開始と送信停止の機能を兼ねるようにしても良い。
【0020】
留置マーカMi/nは、この電磁波を受信して、その一部を電源に利用すると共に、復調して、送信された情報を内蔵したメモリ88a(図5参照)に記憶する。
具体的には、駆動コイル50から電磁波として放射される信号は、術者16による所見、(留置マーカ6の)留置日時、(留置マーカMi/nの)通し番号(つまり1/n,2/n、…、n/n)などの情報が重畳される。そして、留置マーカMi/nに内蔵された受信及び送信を兼ねるソースコイルCmiによりその電磁波を受信する。さらにその一部を電源に利用し、送信された信号を復調して、上記入力情報に対応する信号を生成し、留置マーカMi/n内のICチップ88のメモリ88aに記憶する。
本実施例においては、留置マーカMi/nのソースコイルCmiから送信される信号による位置情報の他に、留置マーカMi/nのメモリ88a内に記憶された情報を、読み出すことにより、以後の硬性内視鏡21側による処置をより円滑に行えるようにする。
【0021】
なお、駆動コイル50を設ける位置は、軟性内視鏡11のハンドル部31に設ける場合に限定されるものでなく、他の位置或いは、軟性内視鏡11以外の位置、例えばプロセッサ装置13に設けるようにしても良い。
図3は第2の内視鏡装置3の詳細な構成を示す。また、図4は第2の内視鏡装置3を構成する硬性内視鏡21の詳細を示す。
図4に示すように、硬性内視鏡21の硬質性の挿入部40内には、ライトガイド61が挿通されており、このライトガイド61はさらにハンドル部41から延出されたユニバーサルケーブル42内に挿通されている。
そして、図1に示すようにユーザは、コネクタ42aを光源装置22に接続することにより、光源装置22から供給される照明光を伝送する。このライトガイド61の先端の出射面は、挿入部40の先端部40aの照明窓に取り付けてあり、照明光はこの照明窓から前方に出射される。
【0022】
また、この照明窓に隣接して設けられた観察窓には、対物レンズ62が取り付けてあり、その結像位置にはCCD63が配置されている。このCCD63は、挿入部40内等に挿通された信号線を介して図3に示すようにプロセッサ装置23に内蔵された駆動&信号処理回路64と接続される。
図4に示すように、この硬性内視鏡21のハンドル部41には、センスコイルユニット43が着脱自在に装着される。
例えば、ハンドル部41の外周面における1箇所には、コネクタ受け65が設けてあり、センスコイルユニット43側のコネクタ66に着脱自在に接続される。このセンスコイルユニット43にはセンスコイルCx、Cy、Czと、ドライブコイルCdとが内蔵されており、センスコイルCx、Cy、CzとドライブコイルCdは、コネクタ66の接点にリード線にて接続されている。
【0023】
そして、これらセンスコイルCx、Cy、CzとドライブコイルCdは、コネクタ受け65の接点に接続された信号線を介して、図3に示すプロセッサ装置23内のセンスコイル用処理回路67及びドライブコイル用信号処理回路68にそれぞれ接続される。
なお、ドライブコイルCdをセンスコイルCx、Cy、Czの1つで兼用するようにしても良い。その場合には、ドライブコイルCdを省くことができる。
また、本実施例においては、センスコイルユニット43を、硬性内視鏡21に着脱自在にしているので、センスコイルユニット43が実際に装着される硬性内視鏡21に適した状態で使用できるように各硬性内視鏡21には、その硬性内視鏡21に固有のスコープIDを書き込んだ例えばメモリIC69が内蔵されている。
そして、このメモリIC69の情報は、プロセッサ装置23内に設けたCPU70により読みとられ、その情報は、硬性内視鏡21の先端部40aを留置マーカMi/nが留置されている部位に接近させて処置する際に利用される。
【0024】
上記のようにセンスコイルユニット43が着脱自在の場合には、硬性内視鏡21の挿入部40の長さ等の機械的な寸法が異なると、センスコイルCx、Cy、Czの位置と挿入部40の先端部40aの位置Pとの相対的な位置が異なり、それらの位置関係を決定するためには、それを一義的に決定可能とする情報が必要となる。
このようにセンスコイルユニット43を、着脱自在として互換性を有するものにして、種々の硬性内視鏡に対して着脱可能に組み合わせようとする場合、個々の硬性内視鏡における上記情報が必要となる。これを達成する為に、本実施例においては、各硬性内視鏡21内のメモリIC69にスコープIDと共に、個々の硬性内視鏡特有の情報を記憶しており、その情報をプロセッサ装置23側で読みとり、必要な情報に変換した上で、センスコイルユニット43による位置検出の際に利用すると共に、先端部40aの位置検出にも利用する。
【0025】
後述する図6において、センスコイルCx、Cy、Czによる留置マーカMi/nの位置検出の座標系において、先端部40aの位置P等を表示した様子を示す。
この場合、硬性内視鏡特有の情報とは、センスコイルユニット43の取り付けによるセンスコイルCx、Cy、Czの位置と、硬性内視鏡21の機械的寸法(挿入部40の長さと、センスコイルCx、Cy、Czの位置から先端部40aの対物レンズ62までの距離や空間座標位置)以外にも、対物レンズ62のレンズ倍率、レンズ視野角、直視タイプや斜視タイプにおける斜視の方向(斜視角)等の情報が挙げられる。
【0026】
これらすべての情報を上記メモリIC69に記憶しておいても良いし、或いは、メモリIC69には、硬性内視鏡21の機種番号と製造番号のみを記憶し、その情報を基にプロセッサ装置23側に設けた図示しないLUT(ルックUPテーブル)メモリにより、1対1に変換して用いるようにしても良い。なお、硬性内視鏡21を識別するためには、スコープIDを記憶したメモリIC69に限らず、バーコード等の光学的な読みとり手段等によっても同様に達成できる。
また、硬性内視鏡21の例えばハンドル部41には、指示操作用のスイッチSaと、Sbとが設けてある。そして、例えばスイッチSaを押してONすることにより、その操作信号がプロセッサ装置23内に設けたCPU70に入力される。そして、CPU70は、この指示信号を受けて、留置マーカMi/nに向けてドライブコイルCdから留置マーカMi/n側への送信動作を開始させる。また、スイッチSbを操作することにより、ドライブコイルCdから留置マーカMi/nへの送信を停止させる。このようにして、不必要に信号を放射しないようにしても良い。
【0027】
なお、スイッチSa、Sbは、センスコイルユニット43に設けるようにしても良い。この場合には、コネクタ66、コネクタ受け65を介してその信号をCPU70に伝送する。また、スイッチSaのみにより、送信開始と送信停止の機能を兼ねるようにしても良い。
図3に示すプロセッサ装置23内の駆動&信号処理回路64は、図2に示す駆動&信号処理回路48と同様の構成である。
つまり、駆動&信号処理回路64は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ71と、そのタイミング信号に同期してCCD63を駆動するCCD駆動信号を発生するCCD駆動回路72とを有する。
【0028】
また、CCD駆動信号の印加により、CCD63から出力されるCCD出力信号を増幅するアンプ73と、このアンプ73の出力信号をA/D変換するA/D変換器74と、このA/D変換器74から出力されるデジタルのCCD出力信号に対して映像信号生成の信号処理を行う映像信号処理回路75と、この映像信号処理回路75から出力される映像信号をD/A変換するD/A変換器76と、このD/A変換器76から出力されるアナログの映像信号を増幅するアンプ77とを有する。
このアンプ77により増幅されたアナログの映像信号は、モニタ24に入力され、モニタ24の表示面には、この映像信号に対応する内視鏡画像が表示される。
なお、タイミングジェネレータ71は、タイミング信号を、A/D変換器74、映像信号処理回路75及びD/A変換器76にも供給する。
【0029】
また、ドライブコイル用信号処理回路68は、各種のタイミングのクロックを発生するタイミングジェネレータ(クロックジェネレータ)78と、このタイミングジェネレータ78からのクロックを通すように設定されたBPFによるフィルタ79と、このフィルタ79を通過したクロックを増幅するアンプ80とを有する。
タイミングジェネレータ78からフィルタ79側に出力されるクロックは、CPU70により制御される。つまり、スイッチSaがONされたことを受けて、CPU70はタイミングジェネレータ78からフィルタ79側にクロックを出力する。
上記アンプ80を経て増幅された所定周波数のクロックが、ドライブコイルCdに印加される。このドライブコイルCdは、印加されたクロックの信号を電磁波として放射し、この電磁波は留置マーカMi/nのソースコイルCmiにより受信され、電源として利用される。また、その電源の供給により、位置検出等に用いられる信号を送信する。
【0030】
留置マーカMi/n側から送信される信号は、センスコイルCx、Cy、Czにより受信され、プロセッサ装置23内のセンスコイル用処理回路67のアンプ81に入力される。このアンプ81により増幅された後、フィルタ82により所定の帯域内の信号が取り出され、さらにA/D変換器83によりA/D変換されてデジタルの信号に変換される。
このデジタルの信号は、フーリエ変換回路84に入力されると共に、CPU70に入力される。
フーリエ変換回路84は、入力される信号、具体的には留置マーカMi/nのソースコイルから送信される信号の周波数成分を抽出するための周波数分析を行い、その周波数分析結果から前記信号の周波数成分を抽出する。抽出された信号を振幅・位相検出回路85に出力し、振幅・位相検出回路85は、信号の振幅及び位相値(基準の位相からのずれ)を検出して、マーカ座標検出回路86に出力する。マーカ座標検出回路86は、3つのセンスコイルCx、Cy、Czにより検出した信号の振幅及び位相値から各留置マーカMi/nの3次元座標を検出(算出)する。
【0031】
算出された情報は、CPU70を介して映像信号処理回路75に出力され、映像信号処理回路75が生成する内視鏡画像の映像信号に重畳する等して、モニタ24の表示面に内視鏡画像と共に留置マーカMi/nの位置を表示することができるようにしている。
また、A/D変換器83からの出力信号が入力されるCPU70は、位置検出用の信号に変調(重畳)された情報を復号化処理して、ICチップ88のメモリ88aに書き込まれた情報を得る。そして、CPU70は、映像信号処理回路75に出力し、モニタ24の表示面に留置マーカMi/nの位置と共に、書き込まれている所見等の情報を表示できるように制御処理する。
【0032】
図5は留置マーカMi/nの構成を示す。
留置マーカMi/nは、例えばカプセル形状等の外装ケース内に送信及び受信に用いるソースコイルCmi/nと、このソースコイルCmi/nに接続され、変復調を行う変復調回路87と、送信された情報を記憶するメモリ88aを有し、変復調回路87及びメモリ88aへの書き込み及び読み出し等を制御するICチップ88とからなる。
本実施例においては、軟性内視鏡11により、後で処置するための情報を送信してメモリ88a内に書き込む(記憶する)。そして、硬性内視鏡21により処置する際に、位置検出のために送信させるように駆動すると共に、メモリ88a内に記憶された情報を読み出し、その情報における例えば所見を参照するなどして処置を円滑に或いは適切に行いやすくするのに利用する。
図6は、センスコイルCx、Cy、Czにより留置マーカMi/nを検出する様子を示す。
【0033】
センスコイルCx、Cy、Czは、直交する3軸x、y、z方向に感度を持つ(つまり指向性を持つ)ように配置され、留置マーカMi/nのソースコイルCmi/nからの電磁界強度及び位相ずれを検出するのに用いられ、それらの検出情報によりソースコイルCmi/nの3次元の座標位置が算出される。
また、センスコイルCx、Cy、Czを原点とすると所定の3次元座標位置となる挿入部40の先端部40a(或いは先端部40aにおける対物レンズ62)の位置を、ICメモリ69からの情報により算出することができる。
図6では、センスコイルCx、Cy、Czを原点として、先端部40aの位置Pの座標を(xo,yo,zo)で示している。本実施例においては、例えば先端部40aの位置を原点として、ソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を表示することができる。この場合、図6により示すと、例えば対物レンズ62の瞳位置を先端部40aの位置Pとし、その位置Pを原点とした座標系を(x′、y′、z′)として示している。
【0034】
また、本実施例においては、センスコイルCxを挿入部40の軸方向に指向性を持つように配置して、対物レンズ62の視野方向SがセンスコイルCx、Cy、Czを原点とする座標系(x、y、z)におけるx軸方向と平行になると共に、先端部40aの位置Pを原点とする座標系(x′、y′、z′)においてもx′方向となるように設定している。このため、センスコイルCx、Cy、Czを原点とした座標系と、先端部40aの位置Pを原点とする座標系との相互変換が容易となる。なお、本実施例においては、直視タイプの場合で示している。
図7は患部等の注目すべき対象領域5に対して留置マーカMi/nを留置する様子を示す。
患部等の対象領域5の形状に応じて、図7(A)或いは図7(B)のように留置マーカMi/nを留置すると良い。
図7(A)のように対象領域5が略3角形に近い形状の場合には、各頂点付近の位置に3つの留置マーカM1/3,M2/3,M3/3を留置すると良い。
【0035】
また、図7(B)のように対象領域5が略四角形に近い形状の場合には、各頂点付近の位置に4つの留置マーカM1/4,M2/4,M3/4,M4/4を留置すると良い。
また、対象領域5が円形や楕円形の場合には、その外形に沿って3つ或いはそれ以上の留置マーカMi/nを留置しても良い。
手術時に、留置マーカの取り残しをなくす為にも、留置マーカMi/nの総数nと通し番号i/nを認知できることは重要となる。
図8は、硬性内視鏡21のドライブコイルCdから留置された3つの留置マーカMi/3に送信することにより、留置マーカMi/3側のソースコイルCmiにより位置検出等のために送信される信号のタイミングを示す。
【0036】
図8(A)に示すようにドライブコイルCdは発振周波数が例えば10KHzのバースト波を所定周期の信号として出力する。
これを受けることにより、留置マーカM1/3〜M3/3には電力が供給され、各々、図8(B)〜(D)に示す出力信号を送信する。
図8(B)〜(D)に示したのは、出力信号の基本波(搬送波)である。この基本波には、各々の留置マーカM1/3〜M3/3内のメモリ88aに記録された固有情報や所見等の情報等が重畳されている。
本実施例では、3個の留置マーカM1/3〜M3/3の位置情報を認識する必要があるが、その3個の留置マーカM1/3〜M3/3の出力信号は、図8(B)〜図8(D)に示すように、ドライブコイルCdのバースト波の発信タイミングから、各々t1,t2,t3の時間に、所定の振幅で発信することにより、その信号を外科用の硬性内視鏡21に設けたセンスコイルCx、Cy、Czで受信する際に、どの信号が、どのソースコイルCmi/3に対応するものかを認識できるようにしている。
【0037】
また、時間t1,t2,t3からの時間遅延を、ソースコイルCmi/3からの信号波形の位相ずれとして検出することにより、センスコイルCx、Cy、Czと各ソースコイルCmi/3との間の距離を検出できるようにしている。また、上記距離と、センスコイルCx、Cy、Czによる指向性と検出された信号波形の振幅値から、例えばセンスコイルCx、Cy、Czの座標系を原点としたソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を算出できるようにしている。
また、センスコイルCx、Cy、Czを原点とすると所定の3次元座標位置となる挿入部40の先端部40a(或いは先端部40aにおける対物レンズ62)の位置を原点として、ソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を算出することもできる。
【0038】
本実施例においては、硬性内視鏡21の先端部40aを、留置マーカMi/3が留置された対象領域5に視覚的にアプローチし易くするため、ソースコイルCmi/3の3次元座標の位置を算出した結果を表示する場合には、挿入部40の先端部40aを3次元座標系の原点として表示する。
【0039】
内視鏡術の際に、留置マーカM1/3〜M3/3を留置する際に、消化器用の内視鏡装置2側から各留置マーカMi/3に所定の情報をインプットする際、通し番号のデータもインプットするので、この時に、「ドライブコイルCdからのバースト波を受信後、各々t1,t2,t3の時間後から発信信号を出力する」という情報を一緒にプログラミングすることによって可能となる。
図9は、図8の方法とは別の方法を示す。
図9(A)に示すようにドライブコイルCdの発信周波数を例えば10kHzのバースト波とする。
【0040】
これを受け、留置マーカM1/3〜3/3に内蔵したソースコイルCm1/3〜Cm3/3には電力が供給され、各々、図9(B)〜図9(D)に示す出力信号を発信する。
これらソースコイルCm1/3〜Cm3/3からの発信信号は、開始タイミングとしてはすべて一律であるが、代わりに、発信周波数が、各々10kHz、12kHz、14kHzと互いに異なるようにしている。
【0041】
この場合にも、3個の留置マーカM1/3〜M3/3の位置情報を認識する必要があるが、ソースコイルCm1/3〜Cm3/3は各々10kHz、12kHz、14kHzのように互いに相異なる周波数で発信することにより、その信号を外科用の硬性内視鏡21に設けられたセンスコイルCx、Cy、Czで受信し、その周波数からどのソースコイルCmiに対応するものであるかを認識できる。
留置マーカM3/1〜M3/3を留置する際に、消化器用の内視鏡装置2側から各留置マーカMi/3に所定の情報をインプットする際、通し番号のデータもインプットするので、この時に、「ドライブコイルCdからのバースト波を受信したら、各々10kHz、12kHz、14kHzの基本波を発信出力する」と言う情報を一緒にプログラミングすることによって可能となる。
また、図9(B)〜図9(D)は、出力信号の基本波である。この基本波には、各々の留置マーカMi/3内のメモリ88aに記録された固有情報等が重畳されている。
【0042】
このような構成の内視鏡システム1による患部等の処置対象領域に対する消化器用の軟性内視鏡11による診断及びその診断結果により留置マーカMi/nの留置を行い、そして留置された留置マーカMi/nを利用して硬性内視鏡21による外科手術の手順を図10及び図11を参照して説明する。
図10に示すように最初のステップS1において、消化器用の軟性内視鏡11により、内視鏡検査を行う。
具体的には、例えば図1に示すように、消化器用の軟性内視鏡11により、患者4の口部側から挿入して、消化管内、例えば胃33の内側を内視鏡検査する。
この内視鏡検査により、この軟性内視鏡11による処置、例えば内視鏡観察下での粘膜切除術としてのEMR等を行う。
【0043】
そして、硬性内視鏡による外科手術の方が処置しやすい対象領域5がある場合には、ステップS2に示すように術者16は、その処置対象領域5に留置マーカMi/nを留置する。留置マーカMi/nを留置する場合には、把持鉗子35等により対象領域5を囲むように3つ以上の留置マーカMi/nを留置する。
なお、留置マーカMi/nを留置する場合、図2の拡大図に示すようにチャンネル49の内径よりも小さい外径の留置マーカMi/nやチャンネル49内を挿通できる把持部を先端に設けた把持鉗子35を採用すると、患者4に苦痛を強いることなく、或いは術者16は、簡単に留置ができる。
また、留置マーカMi/nを留置する場合、留置マーカMi/nにフックなどを予め取り付けておき、そのフックの先端を患部等の対象領域5表面に差し込むことにより、留置マーカMi/nを留置することができる。また、フックなどを使用しないで、生体接着性ポリマを留置マーカMi/nの外表面に塗布したものを用いて、対象領域5表面に留置することもできる。
【0044】
そして、術者16は、ステップS3に示すように、例えばマイクセット17による音声入力等により、所見、留置日時、留置する留置マーカMi/nの総数nに対する通し番号等の入力を行う。
この入力を行った後、留置マーカMi/nへの送信或いは書き込みの音声入力等を行うことにより、プロセッサ装置13内のCPU58は、入力された情報を駆動コイル50から送信するように駆動コイル用駆動回路60を作動させる。
そして、ステップS4に示すように、留置マーカMi/nは、ソースコイルCmi/nによりその信号を受信して電源として利用すると共に、ICチップ88内のメモリ88aに送信された情報を記憶する。
その後、術者16は、軟性内視鏡11を体腔内から引き出す。
そして、後日等において、術者は、硬性内視鏡21により外科手術を行う。この場合の代表的な処置の手順を図11に示す。
【0045】
ステップS11に示すように、患者4の腹部4aから硬性内視鏡21の挿入部40をトラカール44を介して刺入する。
そして、この硬性内視鏡21のCCD63により撮像された内視鏡画像は、モニタ24の表示面に表示される。
また、スイッチSaを操作する等して、ステップS12に示すように留置マーカMi/nにドライブコイルCdからドライブ用の信号を送信する。以下ではn=3とする。
この信号の送信により、留置マーカMi/3からは、図8に示すようにドライブコイルCdからの送信のタイミングから時間t1,t2,t3のように順次ずれて、重ならないようにしたタイミングで、ソースコイルCm1/3からCm3/3まで(位置検出等のための)信号が順次送信される(S13)。
そして、硬性内視鏡21に取り付けたセンスコイルユニット43内のセンスコイルCx、Cy、Czにより各ソースコイルCmi/3からの信号を受信してソースコイルCmi/3(その留置マーカMi/3)の各3次元位置を検出する(S14)。3次元位置の検出(算出)には、受信した信号の振幅値と位相を検出することにより可能となる。
【0046】
これらの位置情報はCPU70に送られ、3つの留置マーカM1/3〜M3/3から3つの留置マーカM1/3〜M3/3を含む平面及び3つの留置マーカM1/3〜M3/3の例えば中心位置の座標が算出される(S15)。なお、留置マーカM1/3〜M3/3を含む平面から、さらにその平面に垂直な法線ベクトルを算出するようにしても良い。
これらの情報は、CPU70から映像信号処理回路75に送られ、映像信号に重畳されてモニタ24に出力され、内視鏡画像と共に対象領域の情報が表示される(S16)。
また、術者16により、入力されてメモリ88aに格納された情報も読み出され、CPU70に入力される。この情報もCPU70から映像信号処理回路75に送られ、映像信号に重畳されてモニタ24に出力され、モニタ24により表示される(S17)。
この場合におけるモニタ24による表示例を図12に示している。内視鏡画像の表示エリアReには、硬性内視鏡21のCCD63により撮像した内視鏡画像が表示され、またこの表示エリアReに隣接して、硬性内視鏡21の挿入部40の先端側の挿入方向等のガイドとなるガイド画像が挿入ガイド表示エリアRgに表示される。また、メモリ記憶情報表示エリアRmには、術者16による所見等の情報が表示される。
【0047】
図12の挿入ガイド表示エリアRgでは、対物レンズ62の位置を原点として、その視野方向Sと垂直な平面上における留置マーカMi/n(より具体的にはM1/3〜M3/3)の2次元位置(以下に説明するように例えば(y′、z′))を模式的に表示する。つまり、視野方向Sからずれている留置マーカM1/3〜M3/3の位置を表示する。
対物レンズ62の位置を原点としてその視野方向Sを例えばx′方向に設定した場合、このx′方向をモニタ画面に垂直な方向に設定し、検出された留置マーカM1/3〜M3/3の位置を視覚的に示すために、留置マーカM1/3〜M3/3(の中心位置O)におけるx′成分だけ視野方向Sにずらした位置において、留置マーカM1/3〜M3/3のその位置を、このx′方向に垂直なy′及びz′成分を用いて示している。
つまり、モニタ画面は、留置マーカM1/3〜M3/3のy′及びz′成分を相対的に示している。
【0048】
また、そのままでは、x′成分の値を視覚的に把握しにくくなるので、例えばx′成分の値に比例した大きさの異なる2つの同心の円H、Cを表示する。この円H、Cの大きさは先端部40aの位置Pから留置マーカMi/nまでの距離におけるx′成分の大きさに比例するように設定する。例えば円Cは、先端部40aの位置Pから留置マーカM1/3〜M3/3(の中心位置O)までの距離におけるx′成分の値を半径としたものとして表示する。このように表示することにより、先端部40aを対象領域5側に接近させる操作を視覚的に行い易くなる。
図12の具体例では、視野方向Sの右側に対象領域5の情報5aが表示されるので、術者16は、挿入部40の先端部40aを右側に向くように変更すれば、対象領域5側に接近できることが視覚的に容易に分かる。
【0049】
また、図12においては、留置マーカM1/3〜M3/3の中心位置をO、留置マーカM1/3〜M3/3の中心位置Oからこれらを含む面の法線ベクトルV等を表示する。この法線ベルトルVを表示することにより、その面に垂直な方向から先端部40aが接近しているか、斜めの方向から接近しているか等を判断できる。
このようにして術者は、モニタ24に表示された情報を参照して、硬性内視鏡21の挿入部40の向き等を調整する等して対象領域5にアプローチする(S18)。
【0050】
このように、挿入ガイド表示エリアRgには、硬性内視鏡21の先端部40aの対物レンズ62による視野方向S等と共に、対象領域5の中心位置O等が表示されると共に、その対象領域5の面の法線ベクトルV等も表示されるので、挿入部40の先端部40aをスムーズに対象領域5の中心位置Oにアプローチすることができる。また、法線ベクトルVの方向から、対象領域5の面に垂直な方向からアプローチ或いは観察しているか否か等も視覚的に認識し易い。
対象領域5にアプローチして、対象領域5を硬性内視鏡21の対物レンズ62の観察視野に入れ、図示しない処置具を用いる等して処置を行う(S19)。また、留置した留置マーカM1/3〜M3/3を取り除く。そして、外科手術を終了する。
図11による留置マーカMi/3の位置算出に伴う対象領域5の表示等に付いて補足説明する。
【0051】
硬性内視鏡21の先端部40aの位置を(xo,yo,zo)とする。
この場合、硬性内視鏡21の先端部40aの位置(xo,yo,zo)及び、対物レンズ62の視野方向Sは、1)ハンドル部41に取り付けられるセンスコイルユニット43内にあるセンスコイルCx,Cy,Czの位置及びそれぞれの向きと、センスコイルユニット43が硬性内視鏡21に装着された状態での物理的位置、方向との関係から予め決められる。
そのため、センスコイルユニット43内のセンスコイルCx,Cy,Czの位置、及びそれぞれの向きが分かれば、先端部40aの位置(xo,yo,zo)及び対物レンズ62の視野方向Sは、決定が可能である。そして、先端部40aの位置(xo,yo,zo)を算出した後、留置マーカMi/3の位置算出した結果をモニタ24に表示する場合には、前述したように先端部40aの位置を座標の原点として表示することにより、視覚的に先端部40aを留置マーカMi/3にアプローチし易くできる。
【0052】
本実施例の場合、ハンドル部41にセンスコイルユニット43を装着する構成にしているので、硬性内視鏡21の光学系など、先端部40aに内蔵する他の部品と干渉することがない。
なお、本実施例では、ハンドル部41にセンスコイルCx,Cy,Cz等を着脱自在で取り付けるようにしているが、硬性内視鏡21の先端部40aに位置検出のためのセンスコイルを設ければ、そのセンスコイルの位置、向きから硬性内視鏡21の先端部40aの位置及び視野方向Sを決定することが可能である。従って、このように先端部40aにセンスコイルを配置しても良い。
このように本実施例によれば、外科手術等を容易に行い易くできる。
【0053】
なお、上述の実施例においては、硬性内視鏡21により、その先端部40aの位置や視野方向Sを検出できるようにして、留置マーカMi/nが留置される対象領域5にスムーズにアプローチなどができるようにした構成及び作用等を説明したが、軟性内視鏡11に対しても以下の実施例2のようにして適用することができる。
【実施例2】
【0054】
次に本発明の実施例2を図13を参照して説明する。図13は本発明の実施例2を備えた内視鏡システム1Bを示す。
本内視鏡システム1Bは、図1或いは図2において、軟性内視鏡11の先端部30aにセンスコイルCx,Cy,Czを配置した構成にして、センスコイルCx,Cy,Czによるこの軟性内視鏡11の先端部30aの位置とその先端部30aに設けた対物レンズ46による視野方向S′を検出できるようにしている。
つまり、軟性内視鏡11の挿入部30の先端部30aの位置及び対物レンズ46視野方向S′は、先端部30aにセンスコイルCx、Cy、Czを設ければ、そのセンスコイルCx、Cy、Czの位置、及びそれらの向きからその軟性内視鏡11の先端部30aの位置、視野方向S′は決定が可能である。
また、軟性内視鏡11の先端部30aにおける撮像部分は一般に硬性の部材で構成されているため、既知の位置だけ後方にずらした位置にセンスコイルCx,Cy,Czを内蔵することでその軟性内視鏡11の先端部30aの位置、視野方向S′が決定が可能である。(上記のようにセンスコイルCx,Cy,Czを配置すれば、軟性内視鏡11の対物レンズ46等の光学系など先端部30aに内蔵する他の部品と干渉することがない)。
【0055】
上記のような軟性内視鏡11を用いる前提で、生体内に留置マーカMi/3を留置する。
留置マーカM1/3〜M3/3それぞれの空間の位置を、(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)とする。
軟性内視鏡11の視野方向S′を、ここではZ軸、原点を光学系の視野中心とし、視野上方をYのプラス方向、視野右方向をXのプラス方向とする座標系をXYZ空間とする。
【0056】
この座標系においては、表示される内視鏡画像はZ軸に垂直な平面として表現される。
【0057】
X,Y,Zの原点は上記の軟性内視鏡11の先端部30aの位置と同じとなっている。
【0058】
この軟性内視鏡11に設けられたセンスコイルCx、Cy、Czにより検出される留置マーカM1/3〜M3/3の位置(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)は、それぞれX,Y,Zの空間の値として変換される。
それらの座標を(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)とする。
軟性内視鏡11の先端部30aを留置マーカM1/3に接近させることを想定すると、XYZ空間の原点と(X1,Y1,Z1)の座標を接近させることと等価となる。
【0059】
よって、先端部と留置マーカM1/3の距離Dは、X,Y,Z空間の原点と(X1,Y1,Z1)の点の距離である。計算式では(X1,Y1,Z1)の各項の二乗和の平方根として単純計算が可能であり、この距離を画面上に表示することができる。
一方、軟性内視鏡11の先端部30aをどの方向に向けていくことが留置マーカM1/3と軟性内視鏡11の先端部30aとが接近する方向であるか、に関しては、内視鏡画面上では画像はZ軸に垂直であるためXY平面に投影した(X1,Y1,Z1)の留置マーカM1/3の位置、すなわちX,Y,Z空間の原点から(X1,Y1,0)へ向かうベクトルWで表現される。
これを画面上に表現することで、どの方向に内視鏡先端を向ければいいかを術者などの内視鏡検査或いは処置を行うユーザは、容易に判断可能である。
【0060】
例えばX1,Y1ともプラスであれば、右斜め上方向に矢印を出すことが可能であり、その方向に留置マーカM1/3が存在する。この場合に対応するモニタ14での表示例を図13のモニタ14の表示面に示している。
また、例えば、X1,Y1ともマイナスであれば、左斜め下方向に矢印を出すことが可能であり、その方向に留置マーカM1/3が存在することになる。
この場合においても、留置マーカM/3などに挿入部30の先端部30aをアプローチさせることを視覚的に簡単に行えるようになり、軟性内視鏡11による処置がし易くなる。
なお、図13において、プロセッサ装置13′は、図1におけるプロセッサ装置23と同じ構成であり、かたプロセッサ装置23′は、図1におけるプロセッサ装置13と同じ構成である。また、この場合には、硬性内視鏡21には駆動コイルを内蔵したユニット43′が接続される(図1における駆動コイルユニット37に相当する)。
【0061】
図13においては、硬性内視鏡21により最初に処置などを行い、その場合において、軟性内視鏡11により処置した方が処置し易い場合には、硬性内視鏡11の観察下で図示しない把持鉗子等を用いて留置マーカM1/3〜M3/3を留置し、その後軟性内視鏡11により留置マーカM1/3〜M3/3に向けてその先端部30aをアプローチさせる様子を示す。
つまり、実施例1における軟性内視鏡11による留置マーカM1/3〜M3/3の留置と、その後の留置マーカM1/3〜M3/3が留置された対象領域5への硬性内視鏡21によるアプローチの手順における、軟性内視鏡11と硬性内視鏡21とによる機能を入れ替えたものに相当する。
このように本実施例によれば、実施例1とほぼ同様の効果を有する。
【0062】
なお、本発明は、図14に示すようにロボットサージェリー91を構成する手術用のマニピュレータ92a、92bを用いて手術を行うような場合にも適用することができる。
【0063】
スレーブマニピュレータ92aは、その先端部が患者の腹壁4a内に挿入孔bを介して体内cに挿入される挿入部93を有する手術器具94と、この手術器具94を支持するための直動及び回転の自由度を有する複数の軸を有するロボット95とから構成される。
挿入部93の先端部には、3次元(立体)スコープ96と、一対の処置具97a、97bとを備えている。
3次元スコープ96の先端部及び一対の処置具97a,97bは、それぞれ多自由度にて湾曲可能になっている。
一方、操作手段として、多関節構造を有するマスタマニピュレータ92bが設けてあり、このマスタマニピュレータ92bの先端部には、術者103が装着するヘッドマウントディスプレイ(HMDと略記)98と一対の処置器具用の操作アーム99a、99bが設けてある。
【0064】
スレーブマニピュレータ92a及びマスタマニピュレータ92bは、制御装置100に接続されており、マスタマニピュレータ92bの先端部の位置がスレーブマニピュレータ92aの位置に対応し、さらにHMD98の回転部の位置が3次元スコープ96の湾曲角に対応し、さらに操作アーム99a、99bが、処置具97a、97bの位置に対応して動作するように制御装置100により制御される。
なお、スレーブマニピュレータ92aの軸には、図示しないアクチュエータとその回転位置を検出するエンコーダ101及び図示しない減速機が設けてある。また、マスタマニピュレータ92bの関節部、HMD98の回転部及び操作アーム99a、99bの関節部には、エンコーダ102が設けられている。
そして、術者103は、HMD98に表示される画像を観察しながらマスタマニピュレータ92bの操作を行うと、これに追随してスレーブマニピュレータ92aが動作し、体内cに挿入された手術器具94を操作することができる。
【0065】
また、術者103の頭部にHMD98及びHMD98の回転軸となる部分にエンコーダ102が取り付けてあり、術者103が頭部を動かすと、エンコーダ102の動きに追随して、スレーブマニピュレータ92aに固定された3次元スコープ96がその視野の画像をHMD98に表示することになり、術者103は、体内cにいるような臨場感の中で処置ができる。なお、図14において、符号A1〜A5は回転或いは移動自在である部分を示している。
この場合においても、例えば3次元スコープ96の先端部にセンスコイルを設けておき、かつ体内cにおける対象領域に留置マーカを留置するようにすれば、3次元スコープ96の先端部における3次元位置と、その視野方向とを検出可能となり、それらをHMD98の表示面に立体画像とともに、留置マーカの位置等も表示するようにすれば、上述した実施例のように留置マーカの位置を光学的に視認できないような場合にも、3次元スコープ96の先端部を簡単に留置マーカの位置にアプローチすることができる。
なお、上述した各実施例等を部分的に組み合わせる等して構成される実施例等も本発明に属する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
体内の患部等を処置する場合、電磁的に信号を送信するマーカを留置することにより、内視鏡に設けた電磁的なセンサを用いて内視鏡の先端側をマーカに円滑にアプローチできるようにガイドでき、内視鏡観察下での処置を行い易くする。
【0067】
[付記]
1.請求項1において、前記マーカから電磁波を送信させる駆動素子を有する。
2.請求項1において、前記センサは、前記マーカとの相対的な位置関係を算出する位置算出手段に接続される。
3.付記1において、前記位置算出手段は、前記センサと前記マーカとの相対的な位置関係を表示する表示手段に接続される。
4.請求項1において、前記センサは、該センサを内蔵したセンサユニットが前記内視鏡に着脱自在に取り付けられる。
【0068】
5.付記3において、前記センサユニットが取り付けられる位置と前記先端部との相対的な位置関係を算出可能とする情報を格納した情報格納手段を有する。
6.細長の挿入部の先端部に対物光学系を設けた内視鏡と、
前記内視鏡に設けられ、対象部位に留置されて電磁波を送信可能とするマーカの位置を電磁的に検出するセンサと、
前記センサの出力信号により前記マーカ位置と前記先端部との相対的な位置関係を算出すると共に、前記対物光学系の視野方向を算出し、表示手段に前記相対的な位置関係を表示する信号処理を行う信号処理手段と、
を備えた内視鏡装置。
7.付記6において、前記信号処理手段は、前記マーカの位置に対して、相対的な視野方向を表示するための信号処理を行う。
8.付記6において、前記信号処理手段は、前記マーカに格納された情報を読み出す処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1を備えた内視鏡システムの全体構成図。
【図2】第1の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図。
【図3】第2の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図。
【図4】硬性内視鏡の内部構成を示す図。
【図5】留置マーカの概略の構成を示す図。
【図6】センスコイルと留置マーカ及び先端部との位置検出等の様子を示す図。
【図7】対象部位の形状に応じて留置マーカを設定する例を示す図。
【図8】ドライブコイルによる駆動波形とその駆動により留置マーカのソースコイルから送信する信号波形のタイミング等を示す図。
【図9】ドライブコイルによる駆動波形とその駆動により留置マーカのソースコイルから周波数を変えて送信する信号波形のタイミング等を示す図。
【図10】消化器用の軟性内視鏡による内視鏡検査により留置マーカを留置する手順を示すフローチャート図。
【図11】消化器用の軟性内視鏡による留置マーカの留置後における硬性内視鏡による外科手術する際の処置する手順を示すフローチャート図。
【図12】モニタでの内視鏡画像等の表示例を示す図。
【図13】本発明の実施例2を備えた内視鏡システムの全体構成を示すブロック図。
【図14】マニピュレータを用いた手術システムの主要部を示す図。
【符号の説明】
【0070】
1…内視鏡システム
2、3…内視鏡装置
4…患者
5…対象部位(対象領域)
11…軟性内視鏡
12、22…光源装置
13、23…プロセッサ装置
14、24…モニタ
15、25…キーボード
16…術者
17…マイクセット
21…硬性内視鏡
30、40…挿入部
30a,40a…先端部
31、41…ハンドル部
32、42…ユニバーサルケーブル部
33…胃
35…把持鉗子
37…駆動コイルユニット
40…挿入部
40a…先端部
43…センスコイルユニット
50…駆動コイル
48…駆動&信号処理回路
59…音声認識回路
62…対物レンズ
69…ICメモリ
88a…メモリ
Cx,Cy,Cz…センスコイル
Cd…ドライブコイル
M1/2〜M3/3…留置マーカ
S…視野方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入するための挿入部を備えた医療装置において、
当該医療装置における前記挿入部の基端側に配設され、体腔外位置から体腔内の対象部位に留置されたマーカの位置を電磁的に検知するセンサと、
当該医療装置における、前記センサが配設される位置と前記挿入部の先端部の位置との第1の位置関係に係る情報と、前記センサの出力信号とに基づいて、前記挿入部の先端部の位置と前記マーカの位置との相対的な第2の位置関係を検出可能とした第2位置関係検出手段と、
を具備したことを特徴とする医療装置。
【請求項2】
前記センサは、前記挿入部の基端側に着脱自在に配設されることを特徴とする請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1の位置関係に係る情報を記憶する第1位置関係情報記憶手段をさらに備え、
前記第2位置関係検出手段は、前記第1位置関係情報記憶手段に記憶された当該第1の位置関係に係る情報と前記センサの出力信号とに基づいて前記挿入部の先端部の位置と前記マーカの位置との相対的な第2の位置関係を検出可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第1の位置関係に係る情報は、前記センサが配設される位置と前記挿入部の先端部の位置との距離または空間座標位置に係る情報を含むものであることを特徴とする請求項1−3のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項1】
体腔内に挿入するための挿入部を備えた医療装置において、
当該医療装置における前記挿入部の基端側に配設され、体腔外位置から体腔内の対象部位に留置されたマーカの位置を電磁的に検知するセンサと、
当該医療装置における、前記センサが配設される位置と前記挿入部の先端部の位置との第1の位置関係に係る情報と、前記センサの出力信号とに基づいて、前記挿入部の先端部の位置と前記マーカの位置との相対的な第2の位置関係を検出可能とした第2位置関係検出手段と、
を具備したことを特徴とする医療装置。
【請求項2】
前記センサは、前記挿入部の基端側に着脱自在に配設されることを特徴とする請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1の位置関係に係る情報を記憶する第1位置関係情報記憶手段をさらに備え、
前記第2位置関係検出手段は、前記第1位置関係情報記憶手段に記憶された当該第1の位置関係に係る情報と前記センサの出力信号とに基づいて前記挿入部の先端部の位置と前記マーカの位置との相対的な第2の位置関係を検出可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第1の位置関係に係る情報は、前記センサが配設される位置と前記挿入部の先端部の位置との距離または空間座標位置に係る情報を含むものであることを特徴とする請求項1−3のいずれか一項に記載の医療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−18257(P2008−18257A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220442(P2007−220442)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【分割の表示】特願2004−38856(P2004−38856)の分割
【原出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【分割の表示】特願2004−38856(P2004−38856)の分割
【原出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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