説明

医薬組成物

【課題】α4インテグリン介在細胞接着の阻害が有益である疾患の予防または治療に有効な医薬組成物を提供する。
【解決手段】有効成分として下記式(I):



(I)

で示されるα4インテグリン介在細胞接着阻害作用を有する化合物またはその薬理学的に許容される誘導体を有効成分とする医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α4インテグリン介在細胞接着の阻害剤を有効成分とする医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
白血球と内皮細胞または細胞外マトリックスプロテインとの多重接着相互反応は、免疫および炎症の調節における重要な因子である。炎症部位の血管からの白血球遊走における最初の事象は、白血球のローリングであり、それに続いてインテグリン親和性が変化した後、堅固な接着が起こる(非特許文献1〜7)。化学走化性因子に応答して、白血球は隣接する2つの内皮細胞を通過し、一部は細胞外マトリックス蛋白であるフィブロネクチン(FN)(非特許文献8)とコラーゲン(CN)(非特許文献9および10)で構成される組織に移行する。これらの接着反応に関与する重要な認識分子はインテグリン遺伝子スーパーファミリーに属する(非特許文献3、5、6および11)。
【0003】
インテグリンは、アルファ(α)およびベータ(β)サブユニットと称される非共有結合で集合したサブユニットから構成されるヘテロ二量体である。今日までに、8個のインテグリンβサブユニットが同定されており、これらは18個の異なるαサブユニットと結合して24個の異なるインテグリンを形成することができる(非特許文献12)。
【0004】
VLA―4(Very Late Antigen-4)としても知られているα4β1インテグリンは、リンパ球、単球、好酸球および好塩基球等の白血球の表面に構成的に発現している(非特許文献13および14)。VLA−4は敗血症患者の好中球に存在している、と報告されている(非特許文献15)。VLA−4が活性化内皮細胞上の血管細胞接着分子−1(VCAM−1)に結合し、次いで白血球が管外遊出する(非特許文献16)。細胞が血管外の空間に到達すると、VLA−4はFN A鎖の選択的スプライシング領域であるコネクチィングセグメント1(CS−1)に結合し得る(非特許文献17)。また、VLA−4は動脈硬化症プラーク中でアップレギュレートされるタンパク質、オステオポンチンに結合することも知られている(非特許文献18)。
【0005】
特許文献1は、α4インテグリン介在細胞接着を阻害する一連のピリドン化合物を開示し、これは慢性炎症性疾患の治療に有用である。
【0006】
【特許文献1】特許出願PCT/JP03/10119
【非特許文献1】バッチャー(Butcher)、Cell 67:1033-1036 (1991)
【非特許文献2】ハーラン(Harlan)、Blood 3:513-525 (1985)
【非特許文献3】ヘムラー(Hemler)、Annu. Rev. Immunol. 8:365-400 (1900)
【非特許文献4】オズボーン(Osborn)、Cell 62:3-6 (1990)
【非特許文献5】シミズら、Immunol. Rev. 114:109-143 (1990)
【非特許文献6】スプリンガー(Springer)、Nature 346:425-434 (1990)
【非特許文献7】スプリンガー(Springer)、Cell 76:301-314 (1994)
【非特許文献8】ワイナー(Wayner)ら、J. Cell Biol. 105:1873-1884 (1987)
【非特許文献9】ボーンステイン(Bornstein)ら、Ann. Rev. Biochem. 49:957-1003 (1980)
【非特許文献10】ミラー(Miller)、細胞外マトリックス生化学(Extracellular Matrix Biochemistry)、“コラーゲンの化学およびその分布”、K.A.ピアズおよびA.H.レジ編、エルゼビア出版、アムステルダム、41-78 (1983)
【非特許文献11】ハインズ(Hynes)、Cell 48:549-554 (1987)
【非特許文献12】ハインズ(Hynes)、Cell 110:673-687 (2002)
【非特許文献13】ヘムラー(Hemler)ら、J. Bio. Chem. 262:11478-11485 (1987)
【非特許文献14】ボクナー(Bochner)ら、J. Exp. Med. 173:1553-1556 (1991)
【非特許文献15】イボットソン(Ibbotson)ら、Nature Med. 7:465-470 (2001)
【非特許文献16】エリセス(Elices)ら、Cell 60:577-584 (1990)
【非特許文献17】ワイナー(Wayner)ら、J. Cell Biol. 109:1321-1330 (1989)
【非特許文献18】ベイレス(Bayless)ら、J. Cell Science 111:1165-1174 (1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、α4インテグリン介在細胞接着阻害作用を有する医薬組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ね、α4インテグリン介在細胞接着に対して阻害作用を有するヘテロ環化合物を有効成分とする新規な医薬組成物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は式(I):
【化1】

(I)

{式中、A、BおよびDは独立してアリールまたはヘテロアリールを表す;
1、R2およびR3は独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、CF3、OCF3、ニトロ、C1-6アルキルチオ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノ、カルボキシ、C1-6アルカノイル、アミド、モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミド、−NHCOR9もしくは−NHSO29[ここでR9はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキルもしくはフェニル(フェニルは、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、シアノ、フェニルおよびCF3から選択される1−3個の基で置換されていてもよい)]、または−E−(CH2)1-6NRxy(Eは単結合または−OCH2−であり、RxおよびRyは独立して水素、C1-6アルキル、もしくは一緒になって5−7員のヘテロ環を形成してもよい)を表す;
4およびR4'は独立して水素、C1-6アルキル、ハロゲンまたはC1-6アルコキシを表す;
VはO、S、NH、N−C1-6アルキル、NNO2またはNCNを表す;
W、X、YおよびZは独立して、C、CHまたはNを表す(ただし、X、YおよびZのうちの少なくとも1つはNである);
Lは−(CH2)q−または−(CH2)q'O−を表す(qは0、1、2または3であり、q’は2または3である);
Jは以下の群:
(i)−CR5=CR6−(R5およびR6は独立して水素またはC1-6アルキルである);
(ii)−CHR7−CHR8−[R7およびR8は独立して水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−NHCOR9もしくは−NHSO29(R9は前記と同意義である)または−(CH2)1-6NRxy(RxおよびRyは前記定義と同意義である)];
(iii)単結合;
(iv)−CHR6−(R6は前記と同意義である);および
(v)−O−CHR10−、−NR11−CHR10−または−CR1213−CHR10−(R10およびR11は独立して水素またはC1-6アルキルであり、R12およびR13は独立してC1-6アルキルであるか、R12およびR13は一緒になってC3-7シクロアルキルまたは5−7員のヘテロ環を形成していてもよい)
から選択される基を表す;
m、nおよびpは独立して、0、1、2または3を表す;そして
tは0、1または2を表す}
で示される化合物、またはその薬理学的に許容しうる誘導体を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物に関する。
【0009】
式(I)で示される化合物のうち、本発明にとって好ましい化合物は、式(I’):
【化2】

(I’)

(式中、R1〜R4、m、n、p、t、A、B、D、L、J、V、W、X、YおよびZは式(I)における定義と同意義である)
で示される化合物、またはその薬理学的に許容される誘導体である。
【0010】
本発明にとってさらに好ましい化合物は、式(Ia):
【化3】

(Ia)

(式中、R1〜R4、R4'、L、J、X、Y、Z、m、n、pおよびtは前記定義と同意義である)
で示される化合物、またはその薬理学的に許容される誘導体である。
【0011】
他の好ましい化合物は、式(Ia’):
【化4】

(Ia’)

(式中、R1〜R4、L、J、X、Y、Z、m、n、pおよびtは式(I)における定義と同意義である)
で示される化合物、またはその薬理学的に許容される誘導体である。
【0012】
本明細書中、特記しない限り以下に記載する用語は下記の意味を有する。
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される基を意味する。
「C1-6アルキル」は炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基、またはそれらを含む基の一部を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルまたはヘキシルが挙げられる。
【0013】
「アリール」はフェニルまたはナフチル(ナフタ−1−イルまたはナフタ−2−イル)基を意味する。
「ヘテロアリール」は、酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個含む芳香族またはベンゾ縮合型芳香環を意味する。そのような芳香環の適当な例として、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピリドニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびピリジルが挙げられる。またベンゾ縮合型芳香環の適当な例として、キノリル、イソキノリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリルまたはベンゾオキサゾリル等が挙げられる。
【0014】
「5〜7員の複素環」は、窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子を1〜3個含有する非芳香族複素環を意味し、例えば、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジニルまたはモルホリニル等が挙げられる。ヘテロ環はC1-6アルキルで置換されていてもよい。
【0015】
「C1-6アルコキシ」は上記のC1-6アルキル基に酸素原子が結合して形成される基またはそのような基の一部を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシが挙げられる。
【0016】
「C1-6アルカノイル」はC1-6カルボン酸のカルボキシル基から「OH」基を除くことにより形成される基を意味し、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニルまたはブチリルが挙げられる。
【0017】
「C3-7シクロアルキル」は環式C3-7アルキル基を意味し、例えば、シクロヘキシルまたはシクロペンチルが挙げられる。
【0018】
化合物(I)に関してさらに詳しく説明する。
A、Bおよび/またはDがアリールである場合、フェニルであることが好ましい。
A、Bおよび/またはDがヘテロアリールである場合、ピリジルであることが好ましい。
Aはフェニルまたはピリジルであることが好ましい。
Bはフェニルであることが好ましい。
Dはフェニルまたはピリジルであることが好ましい。
【0019】
1、R2およびR3は独立してC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、CF3、ニトロ、C1-6アルキルチオ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノ、カルボキシ、C1-6アルカノイル、アミド、モノもしくはジ−C1-6アルキルアミド、−NHCOR9もしくは−NHSO29{ここで、R9はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキルまたはフェニル(C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、シアノ、フェニルもしくはCF3から選択される1〜3個の基で置換されていてもよい)}、または−E−(CH2)1-6NRxy(Eは単結合または−OCH2−、RxおよびRyは独立して水素、C1-6アルキルであるか、一緒になってC1-6アルキルで置換されていてもよい、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニルまたはモルホリニル基等の環状基を形成していてもよい)であることが好ましい。
1、R2およびR3は独立してC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、シアノおよびCF3からなる群から選択される基であることがより好ましい。
【0020】
m、nまたはpが0以外である場合、R1、R2およびR3はそれぞれ、C1-6アルキル(特にメチル)、ハロゲン(特にフルオロまたはクロロ)またはC1-6アルコキシ(特にメトキシまたはエトキシ)であることが好ましい。
m、nまたはpが2または3である場合、R1、R2およびR3は互いに同一であるか、異なっていてよい。
VはOであることが好ましい。
【0021】
W、X、Y、Zを含有する環は、式:
【化5】

(式中、カルボニルに隣接する環窒素は基Lに結合している)
で示される基であることが好ましい。
【0022】
4およびR4'は独立して水素、C1-6アルキルまたはハロゲンであることが好ましい。
4は水素であることがより好ましい。
【0023】
Lは、−(CH2)q−(qは0、1、2または3である)であることが好ましい。
Lは−CH2−であることがより好ましい。
【0024】
Jは以下の群から選択される基であることが適切である。
(i)−CR5=CR6−(R5およびR6は独立して水素またはC1-6アルキルである。)
(ii)−CHR7−CHR8−[R7およびR8は独立して水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピリドニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、−NHCOR9もしくは−NHSO29(R9は前記と同意義である)または−(CH2)1-6NRxy(RxおよびRyは前記と同意義である)を表す。]
(iii)単結合。
(iv)−CHR6−(R6は前記と同意義である。)および
(v)−O−CHR10−、−NR11−CHR10−または−CR1213−CHR10−(R10およびR11は独立して水素もしくはC1-6アルキル、R12およびR13は独立してC1-6アルキルであるか、R12およびR13は一緒になってフェニル、C3-7シクロアルキル、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジニルまたはモルホリニルを形成している。)
【0025】
Jは以下の群から選択される基であることが好ましい。
(i)−CR5=CR6−(R5およびR6は独立して水素またはC1-6アルキルである。)
(ii)−CHR7−CHR8−[R7およびR8は独立して水素、C1-6アルキル、−NHCOR9または−NHSO29 (R9は前記と同意義である。)]
【0026】
Jは−CH=CH−、−(CH2)2−および−CHR7−CH2−(R7はC1-6アルキル、特にメチルまたはエチルである)からなる群から選択されることが最も好ましい。
【0027】
本発明にとって特に好ましい化合物として、後述の製造例に記載の化合物(E1〜E18)または薬理学的に許容されるその誘導体が挙げられる。
【0028】
式(I)の化合物は1つ以上の不斉炭素原子を有し得るので、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。本発明の医薬組成物には、そのような異性体型の全て、および混合物も用いることができる。
【0029】
式(I)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、シス(Z)およびトランス(E)異性が生じうる。本発明の医薬組成物には、それら化合物の個々の立体異性体、必要に応じてそれらの個々の互変体、およびそれらの混合物も用いることができる。
【0030】
ジアステレオマーまたはシスおよびトランス異性体の分離は、分別晶出、クロマトグラフィーまたはHPLC等により、通常の方法で達成し得る。また、単独の立体異性形の化合物は、必要に応じて、光学的に純粋な対応する中間体から製造するか、または適当なキラル支持体を用い、対応するラセミ体を分割する(例えば、HPLC)か、あるいは対応するラセミ体と適当な光学的に活性な酸または塩基との反応によって形成されるジアステレオマー性の塩を分別晶出することによって、製造できる。あるいは、エナンチオマーの混合物は、適当なキラル化合物と化学反応させて新規な共有結合種を形成することによって分離することができる。例えば、ラセミカルボン酸とキラルアミンまたはキラルアルコールとのカップリングによりジアステレオマー混合物(それぞれ、アミドまたはエステル)を得、これをカラムクロマトグラフィー、HPLCまたは分別晶出等の通常の技術により分離する。次いで、新規な共有結合を加水分解等の適当な化学反応で切断して1つのジアステレオマーを所望の化合物の1つのエナンチオマーに変換することができる。
【0031】
本明細書中、「薬理学的に許容しうる誘導体」とは、本発明に係る化合物の薬理学的に許容しうる塩、溶媒和物またはプロドラッグ等(例えばエステル)を意味し、これらは患者に投与されたとき、本発明に係る化合物またはその活性代謝物もしくは残基を(直接または間接的に)与えることができる。そのような誘導体は当業者であれば過度の実験を行なうことなく得ることができる。例えば、バーガー、医薬品化学および薬物発見(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)第5版、第1巻「理論と実践(Principles and Practice)」参照。好ましい薬理学的に許容しうる誘導体は塩、溶媒和物、エステル、カルバミン酸エステルおよびリン酸エステルである。特に好ましい薬理学的に許容される誘導体は塩、溶媒和物およびエステルである。最も好ましい薬理学的に許容される誘導体は塩およびエステルである。
【0032】
有機化学分野の当業者であれば、多数の有機化合物が反応系の溶媒またはそれらが析出もしくは晶出する溶媒と複合体を形成し得ることを知っている。これらの複合体は「溶媒和物」として広く知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られている。本発明に係る化合物の溶媒和物も本発明の範囲内である。
【0033】
本明細書中、「プロドラッグ」とは、体内で、例えば血中での加水分解によって薬理作用を有する活性形に変換される化合物を意味する。薬理学的に許容しうるプロドラッグの例は文献[T. ヒグチおよびV. ステラ、新規デリバリーシステムとしてのプロドラッグ(Prodrugs as Novel Delivery Systems)、“薬物設計における生体可逆的担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)”、エドワード B. ロッシュ編、米国薬学会およびペルガモンプレス(American Pharmaceutical Association and Pergamon Press) 、A.C.S. Symposium Series、第14巻、(1987);およびD. フレイシャー、S. ラモンおよび H.バーバラ、“経口ドラッグデリバリーの改善:プロドラッグの使用による可溶性の限界の克服(Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs), Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2):115-130)]に記載されている。
【0034】
プロドラッグとは、患者に投与した際に、インビボで、共有結合している式(I)の化合物を放出するキャリアである。通常、プロドラッグは、常套手段で、またはインビボで修飾部分が切断されて親化合物が生じるよう、官能基を修飾することにより製造される。プロドラッグの例として、本発明の活性化合物のヒドロキシまたはアミン基が、患者に投与すると切断されてヒドロキシまたはアミン基を与えるような任意の基と結合している化合物が挙げられる。従って、プロドラッグの代表例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。式(I)の化合物のアルコールおよびアミン官能基における酢酸エステル、ギ酸エステルおよび安息香酸エステル誘導体。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステル、二重エステルなどのエステルも利用できる。エステルは、ヒト体内においてそれ自体が活性であるか、および/またはインビボ条件下で加水分解されるものである。適当な薬理学的に許容しうるインビボ加水分解可能エステル基としては、ヒトの体内で簡単に分解されて親化合物の酸またはその塩を遊離するものが挙げられる。
【0035】
本発明に係る化合物は薬理学的に許容しうる塩の形であってよく、かつ/または薬理学的に許容しうる塩として投与してもよい。適当な塩は文献(ベルゲら、J. Pharm. Sci. 66:1-19(1977))に概説されている。
【0036】
通常、薬理学的に許容しうる塩は、必要に応じて所望の酸または塩基を用いることにより簡単に製造することができる。塩は溶液から析出させて濾取するか、溶媒を留去することにより回収することができる。
【0037】
薬理学的に許容される酸付加塩は非毒性の塩を形成する酸から形成される。そのような塩として、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、蓚酸塩、オキサロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩が例示される。
【0038】
薬理学的に許容される塩基の塩として、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムの塩等のアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム等のアルカリ土類金属塩ならびに第1、第2および第3アミン(例えば、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロへキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミン)の塩を含む有機塩基との塩が例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の活性化合物(I)またはその薬理学的に許容される誘導体は、式(II):
【化6】

(II)
(式中、R1〜R4、R4'、m、n、p、t、A、B、D、L、J、V、W、X、YおよびZは式(I)における定義と同意義であり、Rはカルボン酸エステルを形成しうる基である)
で示されるカルボン酸エステル誘導体を加水分解し、要すれば、次いで薬理学的に許容される誘導体を形成することにより製造することが出来る。
【0040】
Rは、メチルまたはt−ブチル等のC1-6アルキルであることが好ましい。加水分解は、溶媒中、酸または塩基を用いて行うことが出来る。当業者はそのような方法に精通している。
上記の式(II)で示される化合物は以下のいずれかの方法で製造することができる。
【0041】
(a)式(III):
【化7】

(III)

(式中、R2〜R4、R4'、n、p、t、A、B、L、J、R、W、X、YおよびZは式(I)または(II)における定義と同意義である)
で示される化合物を式(IV):
【化8】

(IV)

(式中、R1、mおよびDは式(I)における定義と同意義であり、FG1およびFG2は相互に反応してウレア部分を形成しうる適当な官能基を含む基である)
で示される化合物と反応させる。
(b)式(V):
【化9】

(V)

(式中、R1、R2、R4、R4'、m、n、t、A、D、V、W、X、YおよびZは式(I)または式(II)における定義と同意義である)
で示される化合物を式(VI):
【化10】

(VI)

(式中、p、R、R3、J、BおよびLは式(I)または式(II)における定義と同意義であり、LG1は脱離基である)
で示される化合物と反応させる。
【0042】
方法(a)における適当なFG1およびFG2基として、以下のものが例示される。
(i)FG1が−N=C=OでありFG2がNH2であるか、FG1がNH2であり、FG2が−N=C=Oである。
(ii)FG1がNH2であり、FG2がNH2であって適当なウレア形成剤を伴っている。
【0043】
上記(i)の場合、反応は通常ジクロロメタンまたはアセトニトリル等の不活性溶媒中、周囲温度で行なう。
また、(ii)の場合、反応は通常カルボニルジイミダゾールまたはホスゲン等の適当なウレア形成剤の存在下、周囲温度または昇温下、所望によりトリエチルアミンまたはピリジン等の塩基の存在下、適当な溶媒中で行なう。適当な溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン等の不活性な有機溶媒が挙げられる。
【0044】
方法(b)において、適当な脱離基は、例えば、ハロゲン(特にクロロ)またはメシラートである。通常、反応はテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルのような不活性溶媒中、周囲温度で行う。
【0045】
式(II)で示される中間体化合物は新規化合物である。
【0046】
式(III)、(IV)、(V)および(VI)で示される中間体化合物はいずれも市販されているか、あるいは本明細書中に記載の方法を用いて、当業者に公知の方法により、またはそれらに類似する方法により製造することができる。
【0047】
当業者であれば、本発明に係る化合物の製造に際して、望ましくない副反応を防ぐために、分子中の1つ以上の反応に敏感な基を保護する必要があること、および/または望ましいことを理解するであろう。本発明にとって適当な保護基は当業者に周知であり、それを常法に従い使用することができる。例えば、T.W.グリーンおよびP.G.M.ウッツ、「有機合成における保護基(Protective groups in organic synthesis)」、John Wiley&sons(1991)またはP.J.コヒエンスキー、「保護基(Protecting groups)」、Georg Thieme Verlag(1994)参照。適当なアミノ保護基としては、例えば、アシル型保護基(ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル等)、芳香族ウレタン型保護基(ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz等)、脂肪族ウレタン保護基(9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)およびアルキル型保護基(ベンジル、トリチル、クロロトリチル等)が挙げられる。適当な酸素保護基としては、例えば、トリメチルシリルまたはtert-ブチルジメチルシリル等のアルキルシリル基、テトラヒドロピラニルまたはtert-ブチル等のアルキルエーテル、あるいは酢酸エステル等のエステルを挙げることができる。
【0048】
本発明の医薬組成物の有効成分である化合物はジャルカットJ6シンチレーション近接アッセイ(SPA)により、ジャルカットJ6細胞膜上に発現させたインテグリンVLA-4 (very late antigen-4; α4β1; CD49d, CD29)と被検化合物との相互作用に基づいて、インビトロで生物学的活性を試験することができる。後述の製造例で得た化合物は全て8.0以上のpKiを有しており、本発明の医薬組成物の有効成分として有用であることが判明した。
【0049】
式(I)で示される化合物またはその薬理学的に許容しうる誘導体を含有する本発明の医薬組成物はα4インテグリン介在細胞接着を阻害する。α4インテグリン介在細胞接着は以下に示されるような病態に関与すると考えられている。例えば、リウマチ関節炎(RA);喘息;鼻炎等のアレルギー性疾患;成人呼吸窮迫症候群;AIDS痴呆;アルツハイマー病;心・血管疾患;血栓症または有害な血小板凝集;血栓溶解後の再閉塞;再潅流傷害;乾癬、湿疹、接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎等の皮膚炎症性疾患;糖尿病(例えば、インスリン依存型糖尿病、自己免疫型糖尿病);多発性硬化症;全身性ループスエリテマトーデス(SLE);潰瘍性大腸炎、クローン病(局所性腸炎)および嚢炎(例えば、直腸結腸切除および回腸肛門吻合後に生じる腸疾患)等の炎症性腸疾患;小児脂肪便症、非熱帯性スプルー、血清反応陰性関節症に関連した腸疾患、リンパ球性または膠原性大腸炎、および好酸球性胃腸炎等の胃腸管への白血球浸潤が関与する疾患;皮膚、尿路、気道および関節滑膜等の他の上皮皮膜組織への白血球浸潤に関連した疾患;膵炎;乳腺炎(乳腺);肝炎;胆嚢炎;胆管炎または胆管周囲炎(胆管および肝臓の周囲組織);気管支炎;副鼻腔炎;過敏性肺炎等の間質性線維症を生じる肺の炎症性疾患;膠原病(SLEおよびRA);サルコイドーシス;骨粗鬆症;骨関節症;アテローム性動脈硬化症;新生物の転移または癌性増殖を含む新生物疾患;外傷治癒強化;網膜剥離、アレルギー性結膜炎および自己免疫性ブドウ膜炎等のある種の眼病;シェーグレン症候群;臓器移植後の拒絶反応(慢性および急性);宿主対移植片または移植片対宿主疾患;内膜肥厚;動脈硬化症(移植後の移植片動脈硬化症を含む);経皮的経管冠動脈血管形成術(PTCA)および経皮的経管動脈再疎通術等の手術後の再梗塞または再狭窄;腎炎;腫瘍血管新生;悪性腫瘍;多発性骨髄腫および骨髄腫誘発骨吸収;敗血症;脳卒中、外傷性脳損傷および脊髄損傷等の中枢神経傷害;およびメニエール病。
【0050】
本発明の医薬組成物は喘息、鼻炎等のアレルギー性病態、潰瘍性大腸炎およびクローン病等の炎症性腸疾患、リウマチ関節炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症および臓器移植後の拒絶反応の治療または予防のために好適に使用できる。また、本発明の医薬組成物は喘息、炎症性腸疾患、リウマチ関節炎または多発性硬化症に更に好適に使用できる。
【0051】
本発明の医薬組成物は活性化合物(I)を安全かつ有効な量で含有しており、α4インテグリン介在細胞接着の阻害が有益な病態の治療または予防に有用である。特に、本発明の医薬組成物は上記の病態の治療または予防において有用である。
【0052】
本発明の医薬組成物は式(I)で示される活性化合物を薬理学的に有効な量で、製薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と共に含有している。
【0053】
本発明の医薬組成物は少なくとも1種の化合物(I)またはその製薬学的に許容される誘導体を製薬学的に許容される担体または希釈剤と共に混合することにより製造することができる。
【0054】
本発明の医薬組成物はヒトまたは動物に使用するための、ヒトおよび動物用の医薬品の形であり、通常、1種以上の製薬学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤を含有する。治療用途に適した担体または希釈剤は、製薬分野で周知であり、例えば文献(レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), Mack Publishing Co. A. R. ジェナーロ編、(1985)等)に記載されている。製薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図する投与経路および通常の臨床業務に照らして選択されるべきである。担体または希釈剤は、患者に対して有害ではないという意味で許容できるものでなければならない。製薬学的に許容される担体または希釈剤としては、例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(ラクトース、精製白糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等を挙げることができる。
【0055】
本発明の医薬組成物の投与(送達)経路として、以下に例示する1つ以上を挙げることができるが、これらに限定されない。経口(錠剤、カプセルまたは経口摂取用溶液等)、局所、経粘膜(鼻内スプレーまたは吸入用エアロゾル等)、経鼻、非経口(注射等による)、胃腸管経由、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、大脳内、皮下、眼内(硝子体内または眼房内を含む)、経皮、経直腸、口腔内粘膜、硬膜外、舌下。
【0056】
例えば、化合物を即時、遅延、改変、持続、パルスまたは制御型で放出させるのに適した錠剤、カプセル剤、オブ剤(ovules)、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形で経口投与することができる。これらの製剤は香料または着色料を含有していてもよい。錠剤は微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシン等の賦形剤、デンプン(トウモロコシ、バレイショまたはタピオカデンプンが好ましい)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび特定のケイ酸複合体等の崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、精製白糖、ゼラチンおよびアカシア等の造粒結合剤を含有し得る。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルベヘナートおよびタルク等の滑沢剤を含有し得る。また、同様のタイプの固体成分はゼラチンカプセル中の充填剤としても利用し得る。この点で好ましい賦形剤として、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤については、薬物を種々の甘味料または香料、着色物質または顔料、乳化剤および/または懸濁剤、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン等の希釈剤のいずれか、またはそれらの混合物と組み合わせて調製することができる。
【0057】
製剤化に際しては、薬物を、湿式粉砕等の公知の粉砕方法を用いて、錠剤成形および他の製剤型に適した粒子サイズに粉砕することできる。微細に分割した(ナノ粒子)調製物は、当該技術分野で公知の方法により製造することができる[WO 02/00196参照]。
【0058】
本発明の医薬組成物を非経口投与する場合、例えば、静脈内、動脈内、腹膜内、鞘内、脳室内、尿路内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下等の投与経路を解して、および/または注入法により投与することができる。非経口投与の場合、化合物は滅菌水溶液の形態で使用するのが最もよく、該水溶液は他の物質、例えば、血液と等張の溶液を作製するために十分な塩またはグルコースを含有していてもよい。水溶液は、要すれば適宜緩衝化する(pH3〜9が好ましい)。滅菌条件下での適切な非経口製剤の製造は、当業者に周知の通常の製薬技術により容易に行うことができる。
【0059】
上記の通り、本発明の医薬組成物は鼻内または吸入により投与することができ、それには、加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーから、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134AT"")もしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA)(例えば、Ineos Fluor)等のヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素もしくは他の適当な気体等の適当なプロペラントを用いる乾燥散剤吸入またはエアロゾルスプレーの形での送達が簡便である。加圧エアロゾルの場合、測定量を送達するためのバルブを設けることにより、用量単位を決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えば、エタノールとプロペラントとの混合物を溶媒とする活性化合物の溶液または懸濁液を含有しており、これはさらに、三オレイン酸ソルビタン等の滑沢剤を含有していてもよい。カプセル剤および吸入器で使用するカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、化合物と適当な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有させて製剤化しうる。
【0060】
あるいは、本発明の医薬組成物は、坐剤または膣坐剤の投与剤形でもよく、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏または散布剤の局所適用のための剤形であってもよい。また、本発明の医薬組成物は、皮膚パッチ等の経皮投与剤形とすることもできる。さらには、経肺または経直腸経路で投与する剤形であってもよい。また、眼内投与用の剤形とすることができる。眼内適用のためには、薬物を、等張性にpHを調節した滅菌生理食塩水中の微粉末懸濁液として製剤化するか、または好ましくは、場合により塩化ベンジルアルコニウム等の保存剤と共に、等張性にpHを調製した滅菌生理食塩水中の溶液として製剤化することができる。あるいは、ペトロラタム等の軟膏中に処方することもできる。
【0061】
皮膚への局所適用のための本発明の医薬組成物は、例えば、以下の成分の1つまたは2つ以上の混合物中に懸濁または溶解した活性化合物を含有する適当な軟膏として製剤化される。ミネラルオイル、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水。あるいは、以下の成分の1つまたは2つ以上の混合物等に懸濁または溶解した適当なローションまたはクリームとして製剤化することができる。ミネラルオイル、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0062】
本発明の医薬組成物は直接注入により投与することができる。
本発明の医薬組成物は全身投与(経口的、バッカル、舌下等)が好ましく、経口投与が寄り好ましい。
従って、本発明の医薬組成物は経口送達に適した剤形であることが好ましい。
【0063】
通常、個々の患者に対して最適な実際の用量は医師が決定する。特定の個体に対する具体的な用量レベルおよび投薬頻度は、使用する薬物の活性、代謝安定性および作用時間、個体の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事、投与様式および投与時間、排出速度、併用薬物、特定の病態の重篤度、さらには個体が受けている治療を含むさまざまな因子に依存して変動しうる。
ヒトに対して経口および非経口投与する場合、薬物の日用量は単回用量でも分割用量でもよい。
【0064】
本発明の医薬組成物の薬物(活性成分)のヒト(体重約70kg)への投与量は、単位用量あたりの活性成分が、0.1mg〜2g、典型的には1mg〜500mgである(遊離酸の重量として)。単位用量を、例えば、1日あたり1〜4回で投与してもよい。用量は投与経路に依存する。患者の年齢および体重、ならびに処置される病態の重篤度に応じて用量を日常的に変更する必要があるだろう。また、用量は投与経路に依存する。実際の用量および投与経路は、最終的には担当の医師または獣医師の判断による。
【0065】
また、本発明に係る薬物を他の治療薬剤と組み合わせて使用してもよい。従って、本発明は、またはその薬理学的に許容される誘導体を他の治療用薬物と一緒に含む組合せ製剤を提供する。
【0066】
本発明に係る化合物またはその薬理学的に許容しうる誘導体を、同一の疾患病態に対して活性である第2の治療薬剤と組み合わせて用いる場合、各薬物の用量は、それらを単独で用いる場合の用量と異なっていてもよい。当業者ならば適当な用量を容易に評価することができる。治療に際する使用に必要とされる本発明に係る化合物の量は処置される病態の性質および患者の年齢および症状に応じて変動し、最終的には担当の医師または獣医師の判断に委ねられる。本発明に係る化合物と組み合わせることができる他の活性薬剤としては以下に例示するものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。(a)他のVLA−4アンタゴニスト、(b)H1ヒスタミンアンタゴニスト、(c)NSAID類、(d)グリタゾン等の抗糖尿病薬剤、(e)抗コリン作動薬、(f)COX−2阻害剤、(g)PDE−IV阻害剤、(h)コルチコステロイド等のステロイド類、(i)βアゴニスト、(j)CCR−2、CCR−3、CCR−5およびCCR−8等のケモカイン受容体のアンタゴニスト、(k)βインターフェロン等の適当な多発性硬化症用薬剤、(l)LFA−1アンタゴニスト、(m)TNF阻害剤、(n)スルファサラジン(Sulphasalazine)および5-アミノサリチレート(aminosalicylate)、および(o)免疫抑制剤。
【0067】
上記の組合せを使用するための医薬製剤は常法通り提供することができ、従って、本発明は、上記の組合せを薬理学的に許容される担体または賦形剤と共に含有する医薬製剤をも包含する。そのような組合せにおける個々の化合物は、任意の好都合な投与経路から、別々の医薬製剤または併用医薬製剤として、連続的にまたは同時に投与することができる。連続投与の場合、本発明に係る化合物または第2の治療用薬剤のどちらかを先に投与する。同時投与の場合、併用する薬物は同一の医薬製剤中に含有させて、あるいは異なる医薬製剤中に含有させて投与することができる。
【0068】
同一の医薬製剤中で併用する場合、2種の化合物は安定であり、互いにおよび製剤中の他の製剤成分と両立(共存)しうるものでなければならない。別々に製剤化する場合、各薬物は任意の好都合な方法で製剤化しうるが、各化合物について公知の様式で製剤化すると簡便である。
【実施例】
【0069】
以下に試験例、参考例および製造例を挙げて本発明の医薬組成物の有効成分である化合物の製造方法等を説明する。特記しない限り、全ての反応は周囲温度で行った。
【0070】
試験例1 ジャルカットJ6シンチレーション近接アッセイ(SPA)
ジャルカットJ6シンチレーション近接アッセイにより、ジャルカットJ6細胞膜上に発現させたインテグリンVLA−4 (very late antigen-4; α4β1; CD49d, CD29)と試験化合物との相互作用を検討した。
方法
50mM HEPES、100mM NaClおよび1mM MnCl2(4M NaOHでpHを7.5に調節)を含むアッセイ緩衝液中、J6細胞(100万細胞/ウェル)で小麦胚芽凝集素コート被覆SPAビーズ(アマシャム、1mg/ウェル)をコーティングした。トリチウム化3H標準化合物A(アッセイにおける最終濃度1〜3nM)および試験化合物を適当な溶媒に溶解し、アッセイ緩衝液で希釈する(トップアッセイ濃度2.5μM;10ポイント用量反応曲線)。化合物を2回アッセイし、4パラメーターカーブフィッティング(four parameter curve fit)に当てはめる。各化合物の平衡解離定数は、Cheng & Prusoff(Biochem Pharmacol. 22(23): 3099-3108(1973))の方法に従って算出した。結果(インビトロα4β1活性)をpKiで示す。
【0071】
標準化合物Aは(2S)−3−[4−({[4−(アミノカルボニル)−1−ピペリジル]カルボニル}オキシ)フェニル]−2−[((2S)−4−メチル−2−{[2−(2−メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸カリウム塩(WO00/37444)である。トリチウム化3H誘導体の製造は常法に従って実施した。
【0072】
製造例で得た化合物を上記の方法で試験したところ、以下の表に示すように、全ての場合、pKiは8.0以上であった。
【表1】

【0073】
参考例1
3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)アクリル酸エチルエステル(P1)
4−ブロモベンジルアルコール(10.5g,56.1mmol)、トリフェニルホスフィン(0.5g,1.9mmol)および酢酸パラジウム(0.5g,2.2mmol)を、アクリル酸エチル(20mL)およびトリエチルアミン(100mL)中、還流下で72時間攪拌した後、放冷した。反応混合物をセライト(珪藻土)を用いてろ過した後、濃縮した。未精製の固体をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中20v/v %酢酸エチル)により精製して表題化合物を油状物として得た。
【0074】
参考例2
3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロピオン酸エチルエステル(P2)
3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)アクリル酸エチルエステル(P1,3g,14.5mmol)およびパラジウム炭素(0.3g)をエタノール(30mL)中、常圧、水素雰囲気下で4時間攪拌した。反応混合物をセライト(珪藻土)を用いてろ過し、濃縮して表題化合物を油状物として得た。
【0075】
参考例3
3−(4−クロロメチルフェニル)プロピオン酸エチルエステル(P3)
3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロピオン酸エチルエステル(P2,2.9g,13.9mmol)のトリエチルアミン(4.0mL,27.8mmol)およびジクロロメタン(30mL)中攪拌溶液に、0℃でメタンスルホニルクロリド(1.6mL,20.9mmol)をゆっくり加えた。溶液を室温で18時間攪拌した後、溶液を1N塩酸水溶液で洗浄した。有機層を乾燥し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮して表題化合物を油状物として得た。
【0076】
参考例4
(E)−3−(4−ホルミルフェニル)ブタ−2−エン酸エチルエステル(P4)
4−ブロモベンズアルデヒド(12.0g,65mmol)、クロトン酸エチル(26.0mL,209mmol)、トリフェニルホスフィン(0.5g,2mmol)および酢酸パラジウム(II)(0.5g,2mmol)をアルゴン下かつ還流下、24時間攪拌した。次いで、混合物をろ過し、減圧濃縮して暗茶色油状物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%酢酸エチル、勾配)により精製して表題化合物を油状物として得た。
MS(ES+ve): [M+H]+, m/z 219 (C13H14O3, [M+H]+, m/z 219)。
【0077】
参考例5
(R,S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)酪酸エチルエステル(P5)
(E)−3−(4−ホルミルフェニル)ブタ−2−エン酸エチルエステル(P4,8.74g,40mmol)および10%パラジウム炭素(60%水性ペースト,0.5g)のエタノール(200mL)中混合物を、常圧で4時間水素化した。混合物を珪藻土を用いてろ過した後、ろ液を減圧濃縮して無色油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中0〜60%酢酸エチル勾配)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た。
MS(ES+ve): [M-OH]+, m/z205 (C13H18O3, [M-OH]+, m/z 205)。
【0078】
参考例6
4−[(S)−2−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)−1−メチルエチル]安息香酸エチルエステル(P6a)および4−[(R)−2−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)−1−メチルエチル]安息香酸エチルエステル(P6b)
氷浴中で冷却した4−(2−カルボキシ−1−メチルエチル)安息香酸エチルエステル(J. I. DeGrawら, J.Med. Chem. 1986, 29, 1056)(3.54g,15mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、塩化オキサリル(3.9mL,45mmol)を加えた。N,N−ジメチルホルムアミド(0.1mL)を加え、室温で混合物を2時間攪拌した後、減圧濃縮した。残留酸塩化物をジクロロメタン(60mL)に溶解し、(S)−2−フェニルグリシノール(2.72g,20mmol)およびトリエチルアミン(6.3mL,45mmol)のジクロロメタン(60mL)中氷冷混合物に30分かけて加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。2N塩酸を加え、有機層を分離した後、水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮した。ジアステレオマー生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル、次いで酢酸エチル−メタノール(9:1))により分離した。
先に溶離したジアステレオマー(P6a);TLC(シリカゲル;酢酸エチル)Rf 0.36; MS(ES+ve): [M+H]+, m/z 356 (C21H25NO4, [M+H]+, m/z 356)。
後で溶離したジアステレオマー(P6b);TLC(シリカゲル;酢酸エチル)Rf0.19; MS(ES+ve): [M+H]+ m/z 356 (C21H25NO4, [M+H]+ m/z 356)。
【0079】
参考例7
(S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)ブチルアミド(P7a)および(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)ブチルアミド(P7b)
後で溶離したジアステレオマー、4−[(R)−2−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)−1−メチルエチル]安息香酸エチルエステル(P6b,2.42g,6.81mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、ホウ水素化リチウムのテトラヒドロフラン溶液(2M,15mL,30mmol)を加えた。メタノール(1mL)を滴下し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。追加のホウ水素化リチウムテトラヒドロフラン溶液(2M,10mL,20mmol)およびメタノール(0.8mL)を加え、混合物をさらに3時間攪拌した後、氷浴で冷却した。2N塩酸(100mL)を注意して加えた後、混合物を減圧濃縮した。酢酸エチルを添加し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄した後、乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、濃縮して表題化合物の一方のジアステレオマーを得た(P7b)。
MS(ES-ve): [M-H]-, m/z 312 (C19H23NO3, [M-H]-, m/z 312)。
【0080】
他のジアステレオマー(P7a)を、先に溶離したジアステレオマー、4−[(S)−2−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)−1−メチルエチル]安息香酸エチルエステル(P6a)から同様の方法で製造した。
【0081】
参考例8
(R)−(−)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P8)
ジアステレオマー(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)ブチルアミド(P7b,2.0g,6.38mmol)のジオキサン(85mL)溶液に、3N硫酸(85mL)を加えた。混合物を、6時間加熱還流し、冷却した後、減圧濃縮した。濃縮物を酢酸エチルで3回抽出し、合した有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮した。残留固体をメタノール(90mL)に溶解し、濃硫酸(2mL)を加えた。混合物を1時間還流し、冷却した後、減圧濃縮した。水および酢酸エチルを加え、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸マグネシウム)、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−ヘキサン(1:1))で精製し、表題化合物を無色油状物として得た。
[α]D30℃−41.2°(c=1.0,MeOH)。
【0082】
参考例9
(S)−(+)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P9)
参考例8と同様の方法でジアステレオマーP7aから表題の化合物を製造した。
[α]D30℃+42.4°(c=1.0,MeOH)。
【0083】
参考例10
(R)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P10)
(R)−(−)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P8,400mg,1.80mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を氷浴中で冷却し、トリエチルアミン(0.28mL,1.99mmol)およびメタンスルホニルクロリド(0.15mL,1.99mmol)で処理した。反応系を氷浴中で1時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンおよび水で希釈した。有機層を分離した後、水層をジクロロメタンで抽出した後、合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過し、溶媒を留去した後、得られた粗生成物を精製せずに直接使用した。
【0084】
参考例6〜10を以下の反応式に示す。
【0085】
【化11】

【0086】
参考例11
2−エトキシ−4−メチル−1−ニトロベンゼン(P11)
水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%,2.30g,57mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)溶液に、2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ニトロベンゼン(8.00g,52mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(75mL)溶液
を、アルゴン下、ドライアイス冷却下で、攪拌しながら、10分かけて添加した。2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ニトロベンゼン(8.00g,52mmol)を10分かけて乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(75mL)に添加しながら、アルゴン下、固体二酸化炭素浴で冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中で水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%,2.30g,57mmol)を攪拌した。混合物を周囲温度で1時間攪拌し、氷中で再度冷却し、ヨードエタン(4.6mL,57mmol)で処理した。この混合物を周囲温度で5日間攪拌し、減圧濃縮し、酢酸エチル(200mL)で希釈し、水(3×200mL)および飽和食塩水(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して表題化合物を得た。この物質をさらに精製することなく次工程に用いた。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+ m/z 182 (C9H11NO3, [M+H]+ m/z 182)。
【0087】
参考例12
[(E)−2−(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)ビニル]ジメチルアミン(P12)
2−エトキシ−4−メチル−1−ニトロベンゼン(P11,9.26g,51mmol)およびtert-ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(20.2mL,98mmol)を100℃で16時間加熱した後、減圧濃縮して表題化合物を得た。この物質をさらに精製することなく次工程に用いた。
LC/MS (ES-ve): M-, m/z236 (C12H16N2O3, M- m/z 236)。
【0088】
参考例13
(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)アセトニトリル(P13)
[(E)−2−(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)ビニル]ジメチルアミン(P12,12.10g,51mmol)およびヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(17.40g,154mmol)をアルゴン下、水(200mL)中で5時間攪拌した。ろ過および乾燥後、表題化合物を固体として得た。この物質をさらに精製することなく次工程に用いた。
LC/MS (ES-ve): [M-H]- m/z 205 (C10H10N2O3, [M-H]-, m/z 205)。
【0089】
参考例14
2−(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)アセトアミド(P14)
(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)アセトニトリル(P13,5.0g,190mmol)を濃塩酸(20mL)中で48時間、激しく攪拌した。次いで、水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して表題化合物を得た。この物質をさらに精製することなく次工程に用いた。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 225 (C10H12N2O4, [M+H]+, m/z 225)。
【0090】
参考例15
5−(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン(P15)
2−(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)アセトアミド(P14,1.78g,8.0mmol)およびN,N’,N”−メチリジントリスホルムアミド(2.30g,16mmol)をアルゴン下、ホルムアミド(3mL)中で攪拌した。混合物を160℃で8時間加熱し、水(25mL)で希釈し、2N水酸化ナトリウム水溶液(10mL)で処理した。溶解が始まるまでスチームバス中で加熱し、次いで活性炭(2.5g)で処理し、超音波処理した後、ろ過した。pH7になるまで、ろ液に二酸化炭素をバブリングさせた。析出した沈殿をろ過した後、トルエンと共沸蒸留し(3×50mL)表題化合物を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に用いた。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z262 (C12H11N3O4, [M+H]+, m/z262)。
【0091】
参考例16
5−(4−アミノ−3−エトキシフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン(P16)
5−(3−エトキシ−4−ニトロフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン(P15,830mg,3.2mmol)をアルゴン下、酢酸エチル(50mL)およびエタノール(50mL)中で攪拌した。塩化スズ(II)二水和物(3.59g,16mmol)を加え、混合物を80℃で5時間加熱した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、混合物をろ過し、ろ液を酢酸エチルで抽出し(3×50mL)、水(2×50mL)および飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して表題化合物を得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に用いた。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 232 (C12H13N3O2, [M+H]+, m/z232)。
【0092】
参考例17
1−[2−エトキシ−4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)フェニル]−3−o−トリルウレア(P17)
5−(4−アミノ−3−エトキシフェニル)−3H−ピリミジン−4−オン(P16,390mg,1.7mmol)をアルゴン下、ジクロロメタン(20mL)中で攪拌した。o−トリルイソシアネート(0.32mL,2.5mmol)を5分かけて加え、反応系をさらに4時間攪拌した後、減圧濃縮して表題化合物を固体として得た。この物質をさらに精製することなく次の工程に用いた。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 365 (C20H20N4O3, [M+H]+, m/z365)。
【0093】
参考例18
(R,S)−3−(4−{5−[3−エトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸エチルエステル(P18)
(R,S)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)酪酸エチルエステル[(R,S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)酪酸エチルエステル(P5から参考例10に記載の方法と同様の方法により製造。495mg,1.5mmol]をアルゴン下、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中で攪拌した。1−[2−エトキシ−4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)フェニル]−3−o−トリルウレア(P17,400mg,1.1mmol)および炭酸セシウム(716mg,2.2mmol)を添加し、混合物を16時間、攪拌した。混合物を酢酸エチル(20mL)および水(20mL)で希釈し、有機層を分離した後、水層を、酢酸エチル(2×20mL)で再抽出した。合した有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(Flashmaster II,50gシリカ)(溶出溶媒:酢酸エチル:ヘキサン(66:34))により粗生成物を精製して表題化合物を無色固体として得た。
LC/MS (AP+ve): [M+H]+, m/z 569 (C33H36N4O5, [M+H]+, m/z569)。
【0094】
参考例11〜18を以下の反応式に示す。
【化12】

【0095】
参考例19
(R)−3−{4−[5−(4−ニトロフェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル]フェニル}酪酸メチルエステル(P19)
5−(4−ニトロフェニル)−3H−ピリミジノン(400mg,1.8mmol){Tsatsaronisら、Chem. Ber. 94, 1961, 2876}のN,N−ジメチルホルムアミド(7mL)溶液に炭酸セシウム(1.2g,3.6mmol)、次いで(R)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P10,約1.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液を加えた。反応系を室温で2時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈した。有機層を分離した後、水層を酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル:ヘキサン(60:40))により粗生成物を精製して表題化合物を固体として得た。
MS (APCI+ve): [M+H]+, m/z 408 (C22H21N3O5, [M+H]+, m/z 408)。
【0096】
参考例20
(R)−3−{4−[5−(4−アミノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル]フェニル}酪酸メチルエステル(P20)
(R)−3−{4−[5−(4−ニトロフェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル]フェニル}酪酸メチルエステル(P19,420mg,1.03mmol)の酢酸エチル:エタノール(1:1、30mL)溶液に、塩化スズ(II)二水和物(1.2g,5.30mmol)を加えた。反応混合物を80℃で2時間加熱した後、室温まで冷却した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20mL)を加え、析出した沈殿をろ別した。生成物を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル:ヘキサン(70:30))で精製して表題化合物を泡状体として得た。
MS (APCI+ve): [M+H]+, m/z 378 (C22H23N3O3, [M+H]+, m/z 378)。
【0097】
参考例21
(R)−3−(4−{6−オキソ−5−[4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6H−ピリミジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸メチルエステル(P21)
(R)−3−{4−[5−(4−アミノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル]フェニル}酪酸メチルエステル(P20,360mg,0.95mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液にo−トリルイソシアネート(0.18mL,1.45mmol)を加えた。反応系を室温で14時間攪拌した後、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル:ヘキサン(70:30)で精製して表題化合物を無色泡状物として得た。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 511 (C30H30N4O4, [M+H]+, m/z 511)。
【0098】
参考例22
3−(4−アミノフェニル)−1H−ピラジン−2−オン(P22)
3−フェニル−1H−ピラジン−2−オン(4.3g,25mmol。G. KarmasおよびP. E. Spoerri, J. Amer. Chem. Soc. 1956, 78, 4071の方法により製造)を、予め−40℃まで冷却した濃硫酸(5mL)および発煙硝酸(15mL)の混合物に、添加中の温度を−30℃未満に維持しつつ、攪拌しながら滴下した。反応混合物をさらに1時間攪拌し、徐々に0℃まで昇温させた後、攪拌氷水(125mL)に注いだ。得られた固体を回収し、水洗し、減圧乾燥してニトロ異性体の混合物を得た。必要な3−(4−ニトロフェニル)−1H−ピラジン−2−オン異性体は、アセトンからの分別晶出による最初の回収物(crop)としてこの混合物から得ることができる。エタノール/水中での水素化(10%Pd/C,50psi)により表題化合物を固体として得た。
MS (AP+ve): [M+H]+, m/z 188 (C10H9N3O, [M+H]+, m/z 188)。
【0099】
第2の回収物を水素化し、得られた異性体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:メタノール/飽和アンモニウム:ジクロロメタン(1:3))で分離することにより、さらに生成物を得た。表題化合物は先に溶出した。
【0100】
参考例23
4−(1−ベンジルオキシカルボニルメチレンプロピル)安息香酸メチルエステル(P23)
(ジメトキシホスホリル)酢酸ベンジルエステル(6.7g,25.9mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液を、氷浴で冷却した乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(60mL)中の水素化ナトリウム懸濁液(1.1g,油中60%分散液,27.5mmol)に、アルゴン下で攪拌しながら滴下した後、混合物を室温で30分間攪拌した。4−プロパノイル安息香酸メチルエステル(5.0g,26.0mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液を加え、室温で一晩攪拌を続行した。混合物を減圧濃縮した後、酢酸エチル(100mL)と水(10%酢酸含有、50mL)との間で分配した。水層をさらに酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合した有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中15〜30%酢酸エチル勾配)により精製して表題化合物のEおよびZ異性体の混合物を、二重結合位置異性体である4−((E)−1−ベンジルオキシカルボニルメチルプロペニル)安息香酸メチルエステルと共に得た。この混合物をさらに精製することなく次に用いた。
【0101】
参考例24
(R,S)−4−(1−カルボキシメチルプロピル)安息香酸メチルエステル(P24)
4−(1−ベンジルオキシカルボニルメチレンプロピル)安息香酸メチルエステル(P23,3.37g,10.4mmol)を含む二重結合異性体の混合物をメタノール(150mL)中、10%パラジウム炭素を用い、常圧および室温で5時間、水素化した。セライトのパッドを用いてろ過し、追加のメタノールで洗浄した後、得られた溶液を蒸発乾固し、まず、無色油状物として生成物を得た。これを放置すると固化した。
【0102】
参考例25
4−{(S)−1−[((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)メチル]プロピル}安息香酸メチルエステル(P25a)および4−{(R)−1−[((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)メチル]プロピル}安息香酸メチルエステル(P25b)
参考例6に記載の方法と同様の方法で(R,S)−4−(1−カルボキシメチルプロピル)安息香酸メチルエステル(P24)から表題化合物を製造した。ジアステレオマー生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル、次いで酢酸エチル中5〜10%メタノール)で分離した。先の画分は4−{(S)−1−[((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)メチル]プロピル}安息香酸メチルエステル(P25a)を白色固体として含んでいた。
MS(ES+ve): [M+H]+, m/z 356 (C21H25NO4, [M+H]+, m/z 356)。
【0103】
後の画分は4−{(R)−1−[((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)メチル]プロピル}安息香酸メチルエステル(P25b)を白色固体として含んでいた。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 356 (C21H25NO4, [M+H]+, m/z 356)。
【0104】
参考例26
(S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アミド(P26a)および(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アミド(P26b)
後に溶離したジアステレオマーである4−{(R)−1−[((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)メチル]プロピル}安息香酸メチルエステル(P25b)を参考例7の方法によりホウ水素化リチウムを用いて還元し、表題化合物である(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アミド(P26b)を得た。
MS (ES-ve): [M-H]-, m/z 326 (C20H25NO3, [M-H]-, m/z 326)。
【0105】
他のジアステレオマーである(S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アミド(P26a)を、先に溶離したジアステレオマーである4−{(S)−1−[((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチルカルバモイル)メチル]プロピル}安息香酸メチルエステル(P25a)から同様の方法で製造した。
MS (ES-ve): [M-H]-, m/z 326 (C20H25NO3, [M-H]-, m/z 326)。
【0106】
参考例27
(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸(P27)
(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アミド(P26b,2.93g,8.24mmol)のジオキサン(120mL)および3N硫酸(120mL)中溶液を5時間加熱還流し、冷却し、減圧濃縮した。酢酸エチルを用いて抽出(3×100mL)した後、合した有機層を水(50mL)、続いて飽和食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、次いで蒸発乾固し、表題化合物を得た。
【0107】
参考例28
(S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸(P28)
表題の化合物を、対応する(R)異性体(P27)と同様の方法で、(S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)アミド(P26a)から製造した。
MS(ES-ve): [M-H]-, m/z 207 (C12H16NO3, [M-H]-, m/z 207)。
【0108】
参考例29
(R)−(−)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル(P29)
(R)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸(P27,2.0g,9.6mmol)のメタノール(150mL)および濃硫酸(3mL)中溶液を、1.5時間、加熱還流した後、冷却し、減圧濃縮し、酢酸エチル(100mL)および水(100mL)との間で分配した。水層を酢酸エチル(2×50mL)でさらに抽出し、合した有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;酢酸エチル:ヘキサン(1:1))で精製した後、表題化合物を無色油状物として得た。
MS (ES+ve): [M-OH]+, m/z 205 (C13H18O3, [M-OH]+, m/z 205);[α]D30℃ -30.7°(c = 1.0, MeOH)。
【0109】
参考例30
(S)−(+)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル(P30)
(S)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸(P28)から参考例29に記載の方法に従って、表題化合物を無色油状物として製造した。
MS (ES+ve): [M-OH]+, m/z 205 (C13H18O3, [M-OH]+, m/z 205);[α]D30℃ +31.4°(c = 1.0, MeOH)。
【0110】
参考例31
(R)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル(P31)
(R)−(−)−3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル(P29)から参考例10の方法に従って、表題化合物を製造した。
MS (ES+ve): [M-OMs]+, m/z 205 (C14H20O5S, [M-OMs]+, m/z 205)。
【0111】
参考例32
(R)−3−(4−{6−オキソ−5−[4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)ペンタン酸メチルエステル(P32)
参考例18と同様に、N,N−ジメチルホルムアミド(6mL)中の1−[4−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]−3−o−トリルウレア(参考例17記載の一般的な方法に従い、4−(4−アミノフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン[EP0138344に記載]から調製)(341mg,純度60%,0.66mmol)に、炭酸セシウム(896mg,2.75mmol)および(R)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)ペンタン酸メチルエステル(P31,330mg,1.1mmol)を加え、溶液を周囲温度で16時間攪拌した。酢酸エチル(50mL)を加え、水(2×50mL)で洗浄し、有機層を減圧濃縮した。シリカクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中10〜100%酢酸エチルの線形勾配)で化合物を精製した。適切な画分を合わせ、蒸発乾固し、表題化合物を得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 525 (C31H32N4O4, [M+H]+, m/z 525)。
【0112】
参考例33
5−クロロ−4−(3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(P33)
3−メトキシフェニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン(1M,100mL,100mmol)溶液を、15℃まで冷却した4,5−ジクロロ−2H−ピリダジン−3−オン(6.6g,40mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)およびジエチルエーテル(100mL)の混合物中の攪拌溶液にゆっくりと加えた。混合物を室温で30分間攪拌した後、氷浴中で冷却した。飽和塩化アンモニウム水溶液(70mL)をゆっくりと加えた。混合物を水で希釈し、ろ過により固体を回収した。固体を希塩酸、水、およびジエチルエーテルで順次洗浄した後、減圧下で乾燥した。合したろ液をジエチルエーテルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固した。この残渣を酢酸エチルから晶出させてさらに1塊の生成物を白色固体として得た。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 237/239 (C11H9ClN2O2, [M+H]+, m/z 237/239)。
【0113】
参考例34
4−(3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(P34)
5−クロロ−4−(3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(P33,8.22g,34.7mmol)を水酸化ナトリウム(3.48g,87mmol)の水(100mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(12mL)中溶液に溶解した。10%パラジウム炭素(0.3g)を加え、混合物を水素(50psi)下、室温で3時間振盪した。2M水酸化ナトリウムを加えて析出物を溶解し、ろ液を濃塩酸で酸性にした。残留した白色固体をろ過により回収し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して表題化合物を得た。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 203 (C11H10N2O2, [M+H]+, m/z 203)。
【0114】
参考例35
N−[2−メトキシ−4−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]アセトアミド(P35)
4−(3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(P34,4.0g,19.8mmol)を濃硝酸(16mL)および濃硫酸(1.6mL)の攪拌混合物に15℃で滴下した。混合物を室温で4時間攪拌した後、高速で攪拌中の氷水混合物(300mL)に加えた。淡黄色の固体をろ過により回収し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して4−(3−メトキシ−2−ニトロフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン、4−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2H−ピリダジン−3−オンおよび4−(5−メトキシ−2−ニトロフェニル)−2H−ピリダジン−3−オンの混合物を得た。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 248 (C11H9N3O4, [M+H]+, m/z 248)。
【0115】
上で得たニトロ異性体の混合物(4.76g)を水酸化ナトリウム(1.64g,41mmol)の水(120mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(14mL)中溶液に溶解した。10%パラジウム炭素(0.2g)を加え、混合物を水素下(15psi)、室温で16時間振盪した。2M水酸化ナトリウム(6mL)を加えて析出物を溶解し、10%パラジウム炭素(0.2g)を追加し、さらに6時間水素化を続けた。濃塩酸を加えて、ろ液をpH2.0まで酸性にした。溶液を蒸発乾固し、4−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン、4−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オンおよび4−(2−アミノ−5−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オンの混合物を含む残渣を減圧下、40℃で一晩乾燥した。
【0116】
上記の混合物を水(350mL)に溶解し、酢酸ナトリウム三水和物(30g)を加え、混合物を氷浴中で冷却した。酢酸無水物(25mL)を加えた。10分後、氷浴を取り外し、さらに30分攪拌を続けた。混合物を蒸発乾固し、残渣をジクロロメタン/メタノール混合物(9:1,250mL)で抽出した。抽出物をクロマトグラフィー(シリカゲル,ジクロロメタン中5〜10%メタノール)で部分的に精製し、溶離順に以下の化合物を得た。N−[2−メトキシ−4−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]アセトアミド、N−[4−メトキシ−2−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]アセトアミドおよびN−[2−メトキシ−6−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]アセトアミド。最先に溶離した異性体を酢酸エチルから結晶化し、純粋なN−[2−メトキシ−4−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]アセトアミドを得た。
MS(ES+ve): [M+H]+, m/z 260 (C13H13N3O3, [M+H]+, m/z 260)。
【0117】
参考例36
4−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(P36)
N−[2−メトキシ−4−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)フェニル]アセトアミド(P35,0.42g)および6M塩酸(20mL)の混合物を環流下で30分間加熱した。冷却および濃縮後、残渣を希水酸化ナトリウムに溶解した。氷浴で冷却しながら、希塩酸を加えてpHを5〜6にした。得られた固体をろ過により回収し、冷水で洗浄し、減圧下で乾燥して表題化合物を得た。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 218 (C11H11N3O2, [M+H]+, m/z 218)。
【0118】
参考例37
2−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピラジン(P37)
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(0.71mL,4.21mmol)を、n−ブチルリチウム(1.6M,2.6mL,4.16mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に−30℃で加えた。混合物を0℃まで昇温させ、同じ温度で15分間攪拌した。次いで、溶液を−70℃まで冷却し、2−メトキシピラジン(200mg,1.80mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を加えた後、混合物を同じ温度で30分間攪拌した。次いで、塩化亜鉛(500mg,3.67mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を−70℃で加えた後、混合物をゆっくりと室温まで昇温させた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(83mg,0.07mmol)と4−ブロモ−2−メトキシ−1−ニトロベンゼン(459mg,1.98mmol)とを含有するテトラヒドロフラン(5mL)溶液を有機亜鉛誘導体に加え、混合物を65℃で2時間加熱した。次いで、反応混合物をエチレンジアミンテトラ酢酸(1.1g,3.7mmol)の水(10mL)溶液で加水分解し、飽和炭酸カリウム水溶液で微塩基性にした。ジクロロメタンを用いて水層を抽出し(3×100mL)、合した抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中0〜80%酢酸エチル)で精製して表題化合物を固体として得た。
MS (APCI+ve): [M+H]+, m/z 262 (C12H11N3O4, [M+H]+, m/z 262)。
【0119】
参考例38
3−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1H−ピラジン−2−オン(P38)
塩化チエニル(2mL)を2−メトキシ−3−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)ピラジン(P37,340mg,1.30mmol)のエタノール(10mL)溶液に加えた。反応混合物を24時間、加熱環流した後、減圧濃縮して表題化合物を固体として得た。
MS (APCI+ve): [M+H]+, m/z 248 (C11H9N3O4, [M+H]+, m/z 248)。
【0120】
参考例39
N−アセチル−2−(4−ニトロフェニル)アセトアミド(P39)
三フッ化ホウ素−酢酸錯体(1.5mL,10.8mmol)を加えながら、2−(4−ニトロフェニル)アセトアミド(7.25g,40.3mmol)を、無水酢酸(30mL)中で攪拌した。混合物を4日間攪拌し、追加の三フッ化ホウ素−酢酸錯体(3.0mL,21.6mmol)で処理し、さらに1日攪拌した。次いで、酢酸ナトリウム(50g)の水(250mL)溶液で希釈し、100℃で20分間加温した後、周囲温度まで冷却した。固体をろ別し、水で洗浄し、表題化合物を粉末として得た。
LC/MS (ES-ve): [M-H]-, m/z 221 (C10H10N2O4, [M-H]-, m/z 221)。
【0121】
参考例40
2,6−ジメチル−5−(4−ニトロフェニル)−4(1H)−ピリミジノン(P40)
N−アセチル−2−(4−ニトロフェニル)アセトアミド(P39,3.12g,14.1mmol)および三フッ化ホウ素−酢酸錯体(7.5mL,54.0mmol)を酢酸無水物(100mL)中60℃で20時間攪拌し、冷却し、減圧下蒸発乾固した。酢酸(100mL)および酢酸アンモニウム(8g)を加え、混合物を環流下で1時間攪拌した後、再度減圧下蒸発乾固した。残渣を水(100mL)および酢酸エチル(50mL)中に採取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。固体をろ別し、酢酸エチル、次いで水で洗浄し、減圧下で乾燥して表題化合物を粉末として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 246 (C12H11N3O3, [M+H]+, m/z 246)。
【0122】
参考例41
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−(4−ニトロフェニル)−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P41)
2,6−ジメチル−5−(4−ニトロフェニル)−4(1H)−ピリミジノン(P40,0.25g,1.02mmol)、(R)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P10,0.337g,1.18mmol)および炭酸セシウム(0.67g,2.06mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中で16時間攪拌し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(2×)および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中20〜100%酢酸エチル)により精製し、先ず、O−アルキル化されていると推定される物質を得た後、蒸発乾固し、表題化合物を固体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 436 (C24H25N3O5, [M+H]+, m/z 436)。
【0123】
参考例42
(3R)−3−(4−{[5−(4−アミノフェニル)−2,4−ジメチル−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P42)
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−(4−ニトロフェニル)−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P41,0.266g,0.611mmol)および塩化スズ(II)二水和物(0.69g,3.06mmol)を、エタノール(10mL)および酢酸エチル(10mL)の混合物中で2時間、環流下攪拌し、冷却し、過剰量の固体炭酸水素ナトリウムを用いて処理した。混合物を珪藻土を用いてろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下蒸発乾固して表題化合物をガム状体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 406 (C24H27N3O3, [M+H]+, m/z 406)。
【0124】
参考例43
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[4−({[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P43)
(3R)−3−(4−{[5−(4−アミノフェニル)−2,4−ジメチル−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P42,0.225g,0.555mmol)およびo−トリルイソシアネート(0.083mL,0.670mmol)を乾燥ジクロロメタン(10mL)中で16時間、攪拌した。反応混合物を直接フラッシュシリカカラムに適用し、ヘキサン中40〜100%酢酸エチルで溶離し、まだ出発物質を含有している表題化合物を得た。反応を繰り返し、4日間攪拌した。次いで、上記クロマトグラフィー精製により純粋な表題化合物をガム状体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 539 (C32H34N4O4, [M+H]+, m/z 539)。
【0125】
参考例44
[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]アセトニトリル(P44)
2−ニトロアニソール(8.0mL,65.5mmol)および[(4−クロロフェニル)オキシ]アセトニトリル(12.0g,71.6mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解し、カリウムt−ブトキシド(16.1g,143.7mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中攪拌溶液/懸濁液に−20℃で滴下した。混合物を−20℃で30分間攪拌し、氷/2M塩酸に注ぎ、1時間攪拌した。得られた半固体をろ別し、水で洗浄し、酢酸エチルに溶解し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して黒色油状物を得た(17.14g)。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中0〜60%酢酸エチル)により精製し、先に溶離する異性体として表題化合物(固体)を得た。
LC/MS (ES-ve): [M-H]-, m/z 191 (C9H8N2O3, [M-H]-, m/z 191)。
【0126】
参考例45
[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]酢酸(P45)
[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]アセトニトリル(P44,2.43g,12.7mmol)を濃塩酸(50mL)中環流下で1時間、攪拌した。混合物を冷却し、蒸発乾固し、水でトリチュレートした。固体をろ別し、乾燥して表題化合物を固体として得た;LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 212 (C9H9NO5, [M+H]+, m/z 212)。
【0127】
参考例46
2−[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]アセトアミド(P46)
[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]酢酸(P45,1.70g,8.1mmol)を塩化チオニル(10mL)中で1時間、環流下で攪拌した後、蒸発乾固した。残渣を乾燥テトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、効果的に攪拌しながらゆっくりと水性アンモニア(d0.88,20mL)を加えた。3日間静置した後、混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して表題化合物を固体として得た。
LC/MS (ES-ve): [M-H]-, m/z 209 (C9H10N2O4, [M-H]-, m/z 209)。
【0128】
参考例47
2,6−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]−4(1H)−ピリミジノン(P47)
2−[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]アセトアミド(P46,1.23g,5.86mmol)および三フッ化ホウ素−酢酸錯体(3.3mL,23.7mmol)を酢酸無水物(30mL)中60℃で16時間攪拌し、冷却し、減圧下蒸発乾固した。酢酸(30mL)および酢酸アンモニウム(4g)を加え、混合物を環流下で1時間攪拌した後、減圧下で再度蒸発乾固した。残渣を水(100mL)および酢酸エチル(50mL)中に採取し、飽和炭酸水素ナトリウムで中和した。固体をろ別し、酢酸エチル、次いで水で洗浄した後、減圧下で乾燥して表題化合物を粉末として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 276 (C13H13N3O4, [M+H]+, m/z 276)。
【0129】
参考例48
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P48)
2,6−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]−4(1H)−ピリミジノン(P47,0.27g,0.98mmol)、(3R)−3−(4−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P10,0.337g,1.18mmol)および炭酸セシウム(0.67g,2.06mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中で16時間攪拌し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(×2)および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン中20〜100%酢酸エチル)により精製し、O−アルキル化されていると推定される物質を先に得た後、表題化合物をガム状体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 466 (C25H27N3O6, [M+H]+, m/z 466)。
【0130】
参考例49
(3R)−3−(4−{[5−[4−アミノ−3−メトキシフェニル]−2,4−ジメチル−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P49)
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−ニトロフェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P48,0.246g,0.529mmol)および塩化スズ(II)二水和物(0.60g,2.66mmol)を、エタノール(10mL)および酢酸エチル(10mL)の混合物中、環流下で2時間攪拌し、冷却し、過剰の固体炭酸水素ナトリウムで処理した。混合物を珪藻土を用いてろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下蒸発乾固し、表題化合物をガム状体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 436 (C25H29N3O4, [M+H]+, m/z 436)。
【0131】
参考例50
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−({[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P50)
(3R)−3−(4−{[5−[4−アミノ−3−メトキシフェニル]−2,4−ジメチル−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P49,0.184g,0.423mmol)およびo−トリルイソシアネート(0.063mL,0.509mmol)を乾燥ジクロロメタン(10mL)中で16時間攪拌した。反応混合物を直接フラッシュシリカカラムに適用し、ヘキサン中40〜100%酢酸エチルで溶離し、まだ出発物質を含有している表題化合物を得た。反応を繰り返し、4日間攪拌した。次いで、上記のクロマトグラフィー精製により表題化合物をガム状体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 569 (C33H36N4O5, [M+H]+ 569)。
【0132】
製造例1〜18
【化13】


【表2】


*化合物はNa塩として製造した。計算値は親化合物である酸の計算値を示す。
表2に記載の化合物E1−E18は、以下に記載の方法を用いて製造した。
【0133】
製造例9
(R,S)−3−(4−{5−[3−エトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸(E9)
(R,S)−3−(4−{5−[3−エトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸エチルエステル(P18,348mg,0.61mmol)のテトラヒドロフラン(16mL)溶液を0.5N水酸化リチウム水溶液(13mL)で処理した。反応混合物を16時間攪拌した後、2N塩酸で酸性にした。残渣を酢酸エチル(20mL)で希釈し、有機層を分離した後、水層を酢酸エチル(2×20mL)で再抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して表題化合物を無色固体として得た。
1H NMRδ(DMSO-d6): 1.18 (3H, d), 1.41 (3H, t), 2.27 (3H, s), 2.46 (2H, m), 3.15 (1H, m), 4.18 (2H, q), 5.15 (2H, s), 6.97 (1H, ap. t), 7.15 (1H, ap. t), 7.18 (1H, d), 7.27 (5H, m), 7.42 (1H, d), 7.71 (1H, d), 8.13 (1H, d), 8.19 (1H, s), 8.48 (1H, s), 8.63 (1H, s), 8.67 (1H, s), 12.05 (1H, br. s); LC/MS (ES+ve) [M+H]+, m/z 541 (C31H32N4O5, [M+H]+, m/z 541)。
【0134】
アセトニトリルのアセトアミドへの加水分解を48時間でなく16時間行ったことを除き、参考例14〜18と類似する方法で、公知の(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)アセトニトリル[PCT国際出願WO86/01204]を出発物質として対応するキラルメトキシ置換型化合物E7およびE8を製造した。
【0135】
製造例4
(R)−3−(4−{6−オキソ−5−[4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6H−ピリミジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸(E4)
(R)−3−(4−{6−オキソ−5−[4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6H−ピリミジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸メチルエステル(P21,380mg,0.75mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)中、0.5N水酸化リチウム(10mL)と共に室温で3時間攪拌した。2N塩酸水溶液を用いて反応混合物をpH1まで酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して表題化合物を固体として得た。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 497 (C29H28N4O4, [M+H]+, m/z 497); 1H NMRδ(DMSO-d6): 1.18 (3H, d), 2.24 (3H, s), 2.50 (2H, d), 3.14 (1H, q), 5.13 (2H, s), 6.93 (1H, t), 7.13 (2H, m), 7.25 (2H, d), 7.32 (2H, d), 7.50 (2H, d), 7.65 (2H, d), 7.85 (1H, d), 7.96 (1H, s), 8.12 (1H, s), 8.65 (1H, s), 9.16 (1H, s), 11.92 (1H, s)。
【0136】
化合物E1およびE2は、本明細書に記載の関連する参考例および製造例と同様の方法を用いて3−(4−アミノフェニル)−1H−ピラジン−2−オン(P22)から製造した。例えば、参考例17の方法に従い、P22とo−トリルイソシアネートを反応させ、得られたピラジノンを次いで(R)−3−(4−メタンスルホニルオキシメチルフェニル)酪酸メチルエステル(P10)でアルキル化し、得られたエステルを製造例9の方法に従って加水分解することによりE1を製造する。
【0137】
化合物E10−E12は、4−(4−アミノフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン[EP 0138344に記載]から上記E1について概説した方法と同様の方法で、適切なアルキル化剤を用いて製造する。
【0138】
製造例11
(R)−3−(4−{6−オキソ−5−[4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)ペンタン酸ナトリウム塩(E11)
テトラヒドロフラン(5mL)中の(R)−3−(4−{6−オキソ−5−[4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)ペンタン酸メチルエステル(P32)に0.5M水酸化リチウム(5mL)を加え、溶液を周囲温度で3時間攪拌した。pH5に達するまで10%クエン酸溶液を加え、生成物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、水(2×50mL)で洗浄した。有機層を濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン中0〜10%メタノールの線形勾配)により精製した。適切な画分を合わせ、溶液を濃縮した。水酸化ナトリウム(2M,93μL,1当量)を加え、溶液を再度濃縮して表題化合物を白色固体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+,m/z 511 (C30H30N4O4 (遊離酸)[M+H]+, m/z 511); 1H NMRδ(DMSO-d6): 0.67 (3H, t), 1.44 (1H, m), 1.67 (1H, m), 2.16 (1H, dd), 2.22 (1H, d), 2.24 (3H, s), 2.93 (1H, m), 5.24 (1H, d), 5.30 (1H, d), 6.93 (2H, dd), 7.11 (1H, dd), 7.14 (1H, d), 7.15 (2H, d), 7.23 (2H, d), 7.53 (2H, d), 7.59 (2H, d), 7.62 (1H, d), 7.81 (1H, d), 7.92 (1H, d), 9.84 (1H, br. s), 11.12 (1H, br. s)。
【0139】
他のキラルエチル置換型化合物、E2、E5、E6およびE12は、化合物E11と同様の方法で製造した。
【0140】
製造例13
(R)−3−(4−{5−[3−メトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸(E13)
参考例17記載の方法に従って、まずP36をo−トリルイソシアネートと反応させて1−[2−メトキシ−4−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)−フェニル]−3−o−トリルウレアを得、次いで、参考例18記載の一般的な方法に従い、メシラートP10を用いてアルキル化し、(R)−3−(4−{5−[3−メトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸メチルエステルを得た。
【0141】
次いで、テトラヒドロフラン(5mL)中の(R)−3−(4−{5−[3−メトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸メチルエステル(84mg,0.155mmol)を0.5M水酸化リチウム(7mL)で処理し、室温で6.5時間攪拌した後、製造例9に記載の方法により表題化合物である生成物を単離した。
MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 527 (C30H30N4O5, [M+H]+, m/z527); 1H NMRδ(DMSO-d6): 1.18 (3H, d), 2.26 (3H, s), 2.47 (2H, 溶媒により不明瞭), 3.11 (1H, m), 3.94 (3H, s), 5.30 (2H, s), 6.96 (1H, t), 7.12-7.28 (7H, m), 7.52 (2H, dd), 7.66 (2H, m), 7.80 (1H, d), 8.00 (2H, d), 8.23 (1H, d), 8.61 (1H, s), 8.83 (1H, s), 12.06 (1H, s)。
【0142】
製造例14
(R)−3−(4−{3−[3−メトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−2−オキソ−2H−ピラジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸(E14)
本明細書中に記載の方法と同様の方法により、P38から表題化合物を製造した。すなわち、3−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1H−ピラジン−2−オン(P38)を参考例19に記載の方法により(R)−3−{4−[3−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−2−オキソ−2H−ピラジン−1−イルメチル]フェニル}酪酸メチルエステルに変換し、参考例20の方法により還元して(R)−3−{4−[3−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)−2−オキソ−2H−ピラジン−1−イルメチル]フェニル}酪酸メチルエステルを得る。次いで、このアミンを参考例21に記載の方法によりウレア(R)−3−(4−{3−[3−メトキシ−4−(3−o−トリルウレイド)フェニル]−2−オキソ−2H−ピラジン−1−イルメチル}フェニル)酪酸メチルエステルに変換し、最後に製造例4の方法によりメチルエステルを加水分解して表題化合物を得た。
【0143】
製造例16
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[4−({[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸(E16)
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[4−({[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P43,0.230g,0.427mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)および0.5M水酸化リチウム(5mL)の混合物中で4時間攪拌した。混合物を水で希釈し、エーテルで洗浄し、2M塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥していると、析出が生じ始めたので、乾燥剤をジクロロメタン中20%メタノールで良く洗浄した。ろ液を濃縮して白色固体を得、これを水中に採取した。ろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、表題化合物を白色固体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 525 (C31H32N4O4, [M+H]+, m/z 525)。
【0144】
製造例18
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−({[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸(E18)
(3R)−3−(4−{[2,4−ジメチル−5−[3−メトキシ−4−({[(2−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−6−オキソ−1(6H)−ピリミジニル]メチル}フェニル)ブタン酸メチル(P50,0.200g,0.352mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)および0.5M水酸化リチウム(5mL)の混合物中で2.5時間攪拌した。混合物を水で希釈し、エーテルで洗浄し、2M塩酸で酸性にし、酢酸エーテルで抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮してオフホワイトの半固体を得た。これを分取HPLCにより精製し、表題化合物を白色固体として得た。
LC/MS (ES+ve): [M+H]+, m/z 555 (C32H34N4O5, [M+H]+, m/z 555)。
【産業上の利用可能性】
【0145】
式(I)で示される化合物およびその薬理学的に許容される誘導体を有効成分として含有する本発明の医薬組成物はα4インテグリン介在細胞接着の阻害が有効である種々の疾患の治療または予防に用いることができ、例えば、病態が、リウマチ関節炎(RA);喘息;鼻炎等のアレルギー性疾患;成人呼吸窮迫症候群;AIDS痴呆;アルツハイマー病;心・血管疾患;血栓症または有害な血小板凝集;血栓溶解後の再閉塞;再潅流傷害;乾癬、湿疹、接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎等の皮膚炎症性疾患;糖尿病(例えば、インスリン依存型糖尿病、自己免疫型糖尿病);多発性硬化症;全身性ループスエリテマトーデス(SLE);潰瘍性大腸炎、クローン病(局所性腸炎)および嚢炎(例えば、直腸結腸切除および回腸肛門吻合後に生じる腸疾患)等の炎症性腸疾患;小児脂肪便症、非熱帯性スプルー、血清反応陰性関節症に関連した腸疾患、リンパ球性または膠原性大腸炎、および好酸球性胃腸炎等の胃腸管への白血球浸潤が関与する疾患;皮膚、尿路、気道および関節滑膜等の他の上皮皮膜組織への白血球浸潤に関連した疾患;膵炎;乳腺炎(乳腺);肝炎;胆嚢炎;胆管炎または胆管周囲炎(胆管および肝臓の周囲組織);気管支炎;副鼻腔炎;過敏性肺炎等の間質性線維症を生じる肺の炎症性疾患;膠原病(SLEおよびRA);サルコイドーシス;骨粗鬆症;骨関節症;アテローム性動脈硬化症;新生物の転移または癌性増殖を含む新生物疾患;外傷治癒強化;網膜剥離、アレルギー性結膜炎および自己免疫性ブドウ膜炎等のある種の眼病;シェーグレン症候群;臓器移植後の拒絶反応(慢性および急性);宿主対移植片または移植片対宿主疾患;内膜肥厚;動脈硬化症(移植後の移植片動脈硬化症を含む);経皮的経管冠動脈血管形成術(PTCA)および経皮的経管動脈再疎通術等の手術後の再梗塞または再狭窄;腎炎;腫瘍血管新生;悪性腫瘍;多発性骨髄腫および骨髄腫誘発骨吸収;敗血症;脳卒中、外傷性脳損傷および脊髄損傷等の中枢神経傷害;およびメニエール病などの治療または予防に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)

{式中、A、BおよびDは独立してアリールまたはヘテロアリールを表す;
1、R2およびR3は独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、CF3、OCF3、ニトロ、C1-6アルキルチオ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミノ、カルボキシ、C1-6アルカノイル、アミド、モノ−もしくはジ−C1-6アルキルアミド、−NHCOR9もしくは−NHSO29[ここでR9はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキルもしくはフェニル(フェニルは、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、シアノ、フェニルおよびCF3から選択される1−3個の基で置換されていてもよい]、または−E−(CH2)1-6NRxy(Eは単結合または−OCH2−であり、RxおよびRyは独立して水素、C1-6アルキル、もしくは一緒になって5−7員のヘテロ環を形成してもよい)を表す;
4およびR4'は独立して水素、C1-6アルキル、ハロゲンまたはC1-6アルコキシを表す;
VはO、S、NH、N−C1-6アルキル、NNO2またはNCNを表す;
W、X、YおよびZは独立して、C、CHまたはNを表す(ただし、X、YおよびZのうちの少なくとも1つはNである);
Lは−(CH2)q−または−(CH2)q'O−を表す(qは0、1、2または3であり、q’は2または3である);
Jは以下の群:
(i)−CR5=CR6−(R5およびR6は独立して水素またはC1-6アルキルである);
(ii)−CHR7−CHR8−[R7およびR8は独立して水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−NHCOR9もしくは−NHSO29(R9は前記と同意義である)または−(CH2)1-6NRxy(RxおよびRyは前記定義と同意義である)];
(iii)単結合;
(iv)−CHR6−(R6は前記と同意義である);および
(v)−O−CHR10−、−NR11−CHR10−または−CR1213−CHR10−(R10およびR11は独立して水素またはC1-6アルキルであり、R12およびR13は独立してC1-6アルキルであるか、R12およびR13は一緒になってC3-7シクロアルキルまたは5−7員のヘテロ環を形成していてもよい)
から選択される基を表す;
m、nおよびpは独立して、0、1、2または3を表す;そして
tは0、1または2を表す}
で示される化合物、またはその薬理学的に許容しうる誘導体を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
有効成分として、式(I’):
【化2】

(I’)

(式中、R1〜R4、m、n、p、t、A、B、D、L、J、V、W、X、YおよびZは式(I)における定義と同意義である)
で示される化合物、またはその薬理学的に許容しうる誘導体を含有することを特徴とする、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
Aがフェニルまたはピリジルである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
Bがフェニルである、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
Dがフェニルまたはピリジルである、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
有効成分として、式(Ia):
【化3】

(Ia)

(式中、R1〜R4、R4'、L、J、X、Y、Z、m、n、pおよびtは式(I)における定義と同意義である)
で示される化合物、またはその薬理学的に許容しうる誘導体を含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
有効成分として、式(Ia’):
【化4】

(Ia’)

(式中、R1〜R4、L、J、X、Y、Z、m、n、pおよびtは式(I)における定義と同意義である)
で示される化合物、またはその薬理学的に許容しうる誘導体を含有する、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
1、R2およびR3が独立して、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、シアノおよびCF3からなる群から選択される基である、請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
Jが−CH=CH−、−(CH2)2−および−CHR7−CH2−からなる群から選択される基であり、R7がC1-6アルキルである、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
Lが−(CH2)q−であり、qが0、1、2または3である、請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
有効成分として、E1〜E18からなる群から選択される化合物またはその薬理学的に許容される誘導体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
α4インテグリン介在細胞接着の阻害が有益な病態の治療剤または予防剤である、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
病態が、リウマチ関節炎;喘息;鼻炎;成人呼吸窮迫症候群;AIDS痴呆;アルツハイマー病;心・血管疾患;血栓症;有害な血小板凝集;血栓溶解後の再閉塞;再潅流傷害;乾癬;湿疹;接触皮膚炎;アトピー性皮膚炎;;糖尿病;多発性硬化症;全身性ループスエリテマトーデス;潰瘍性大腸炎;クローン病;嚢炎;炎症性腸疾患;小児脂肪便症;非熱帯性スプルー;リンパ球性大腸炎;膠原性大腸炎;好酸球性胃腸炎;膵炎;乳腺炎;肝炎;胆嚢炎;胆管炎;胆管周囲炎;気管支炎;副鼻腔炎;過敏性肺炎;膠原病;サルコイドーシス;骨粗鬆症;骨関節症;アテローム性動脈硬化症;新生物疾患;外傷;網膜剥離;アレルギー性結膜炎;自己免疫性ブドウ膜炎;シェーグレン症候群;臓器移植後の拒絶反応;宿主対移植片または移植片対宿主疾患;内膜肥厚;動脈硬化症;経皮的経管冠動脈血管形成術(PTCA)あるいは経皮的経管動脈再疎通術等の手術後の再梗塞または再狭窄;腎炎;腫瘍血管新生;悪性腫瘍;多発性骨髄腫;骨髄腫誘発骨吸収;敗血症;脳卒中、外傷性脳損傷;外傷性脊髄損傷およびメニエール病からなる群から選ばれる病態である、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
病態が、喘息、炎症性腸疾患、リウマチ関節炎または多発性硬化症である、請求項13に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2007−63268(P2007−63268A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212923(P2006−212923)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】