説明

医薬組成物

本出願はインドリルマレイミド誘導体を含む、経口投与に適当な固体医薬組成物、これらの製造方法および該医薬組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を含む新規医薬組成物、これらの製造方法および該医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンは免疫抑制活性を有することが示されているインドリルマレイミド誘導体である。
【0003】
3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンは水感受性かつ乏しい水溶性である。水感受性(water sensitive)薬剤は高い粉末−液体比、例えば、10mg/mlの比率で水およびエタノールに極めて溶解性であり、エタノールおよび/または水の存在下において遊離塩基水和物、溶媒和物または非晶形のいずれかに変換し得る活性剤を意味する。
【0004】
3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを含む医薬組成物はWO2006/092255に記載されており、この内容を出典明示により本出願に包含させる。特にWO2006/092255は3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの酢酸塩を含む錠剤を記載している。
【0005】
しかしながら、3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を含む改良された錠剤を製造する必要性が今も存在する。
【0006】
特にコーティングされている錠剤を製造する必要性がある。コーティングは、例えば、錠剤の美的側面を改善するか、または利用できる用量強度を区別することを可能にするために必要であり得る。コーティングは、また、患者の利便性および容認を改善し得る。コーティングするために、錠剤は特定の物理的特性、例えば、硬さおよび低破砕性を有するべきである。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって、今回驚くべきことに、特に安定であり、硬く、そして投与するために便利である、3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を含む適当な錠剤が、錠剤が錠剤核の総重量に基づいて少なくとも2重量%の滑剤を含むとき、得ることができることを見出した。
【0008】
通常、錠剤に含まれる滑剤の量は、錠剤核の総重量に基づいて0.5から1.5重量%を構成する。
【0009】
錠剤製造中、錠剤が打錠ツール(穴開け器)に付着したとき、錠剤はコーティング問題、例えば、錠剤表面上の不均一コーティングを引き起こす一様でない表面を有し得る。さらにこのような付着は、医薬物質の喪失による効力または有効性の喪失を引き起こし得る。予想外に、この問題が錠剤において通常使用される量よりも高い範囲の滑剤を使用することにより、すなわち0.5から2重量%を越える滑剤を使用することにより解決することができることを見出した。
【0010】
さらに、本発明は、高薬物負荷を達成し、したがって患者のコンプライアンスを改善するために適当である、3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を含む改良された錠剤を提供する。本発明の錠剤は薬剤の分布の高レベルの均一性ならびに高い安定性を示し得る。
【0011】
本発明によって、全錠剤核重量に基づいて約5から約90重量%、約10から約85重量%、約15から約80重量%、約20から約70重量%、約20から約55重量%、約25から約52重量%、約35から約52重量%の3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を含む錠剤が提供される。
【0012】
1種以上の薬学的に許容される担体または希釈剤、例えば、少なくとも1種の滑剤、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の増量剤;および所望により崩壊剤、流動促進剤;および界面活性剤から選択される少なくとも1種のさらなる賦形剤が錠剤に存在し得る。
【0013】
本発明において滑剤は、例えば、ステアリン酸Mg、AlまたはCa、PEG4000−8000、タルク、安息香酸ナトリウム、例えば、200から800ダルトンの分子量を有するモノ脂肪酸グリセリル、例えば、モノステアリン酸グリセリン(例えば、Danisco, UK)、ジベヘン酸グリセリル(例えば、COMPRITOLATTM 0888, Gattefosse France)、グリセリルパルミト−ステアリン酸エステル(例えば、PRECIROLTM, Gattefosse France)、ポリオキシエチレングリコール(PEG、BASF)、水素化綿実油(Lubitrab, Edward Mendell Co Inc)、ヒマシ油(Cutina HR, Henkel)およびビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー(例えば、Kollidon)を含む。
【0014】
好ましくは、ステアリン酸マグネシウムを、単独でまたは別の滑剤と組み合わせて使用する。
【0015】
本発明の組成物は、全錠剤核重量である組成物の総重量に基づいて2から15重量%、好ましくは2.5から12重量%、さらに好ましくは3から10重量%の滑剤を含む。
【0016】
本発明の錠剤は、錠剤核の総重量に基づいて少なくとも2重量%、例えば、少なくとも2.5重量%、例えば、少なくとも3重量%の滑剤を含む。
【0017】
したがって、特に適当な錠剤は、滑剤として錠剤核の総重量に基づいて2から15重量%、例えば、2.5から12重量%、例えば、3から10重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0018】
好ましい組成物において、滑剤は、錠剤核の総重量の3−5%、よりさらに好ましくは3−4%の量で存在する。
【0019】
本発明において結合剤は、デンプン、例えば、ポテト、小麦またはコーンデンプン;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース−Type 2910 USP、ハイプロメロース、ポリビニルピロリドン(例えば、POVIDONE K30)およびコポビドンを含む。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン30またはコポビドンを使用する。
【0020】
本発明の組成物は、錠剤核の総重量に基づいて4から40重量%、好ましくは4から35重量%、さらに好ましくは5から30重量%、よりさらに好ましくは5から20重量%の結合剤を含み得る。したがって、本発明の特に適当な錠剤は、結合剤として(a)5から20重量%のコポビドンを含む。
【0021】
本発明の増量剤は、例えば、ラクトース、とりわけラクトース一水和物、好ましくはラクトース一水和物(200メッシュ)またはスプレー乾燥ラクトース、微結晶セルロース、例えば、PH102、PH101、微結晶ケイ化セルロース、デンプン、リン酸カルシウムまたは単糖類、例えば、マンニトール、マルトデキストリンまたはマルトースまたはそれらの混合物を含む。好ましくは、スプレー乾燥ラクトース、微結晶セルロースまたは微結晶ケイ化セルロース、さらに好ましくはスプレー乾燥ラクトースおよび微結晶セルロースまたはスプレー乾燥ラクトースおよび微結晶ケイ化セルロースを使用する。
【0022】
本発明の組成物は、好ましくは錠剤核の総重量である組成物の総重量に基づいて15から65重量%、好ましくは35から65重量%の増量剤を含む。したがって、特に適当な固体医薬組成物は増量剤として(a)錠剤核の総重量に基づいて15から35重量%、例えば、18から30重量%のラクトース、例えば、スプレー乾燥ラクトース、および10から35重量%、例えば、15から30重量%の微結晶セルロースを含む。
【0023】
本発明において崩壊剤は、例えば、天然デンプン、例えば、メイズデンプン、ポテトデンプンなど;直接圧縮性デンプン、例えば、Sta−RX1500;部分的にプレゼラチン化されたデンプン;修飾されたデンプン、例えば、カルボキシメチルデンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウム;デンプン誘導体、例えば、アミラーゼ、架橋ポリビニルピロリドン、例えば、クロスポビドン、例えば、PolyplasdoneR XLまたはKollidonR CL、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、メタクリル酸・ジビニルベンゼンコポリマー塩、例えば、AMBERLITE i9 IRP-88または、例えば、AC-DI-SOL;COMMAT;PRIMELLOSEF、PHARMACEL、EXPLOCELまたはNYMCEL ZSXとして入手できる架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。好ましくは、直接圧縮性デンプン、例えば、Sta-RX 1500または架橋ポリビニルピロリドン、例えば、クロスポビドンを使用する。
【0024】
本発明の組成物は、好ましくは全錠剤核重量に基づいて3から20重量%、例えば、5から15重量%の崩壊剤を含む。したがって、特に適当な錠剤は、崩壊剤として核重量の総重量に基づいて3から20重量%、例えば、5から15重量%の直接圧縮性デンプンまたはデンプン誘導体を含む。
【0025】
本発明の他の態様において、錠剤は、核重量の総重量に基づいて3から20重量%、例えば、3から10重量%の部分的にプレゼラチン化されたデンプンを含み得る。
【0026】
本発明の錠剤は、錠剤核の総重量に基づいて0から3%の界面活性剤を含み得る。本発明において、界面活性剤は、例えば、陰イオン、陽イオンまたは非イオン界面活性剤またはそれらの混合物、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、セトリミド、ポリソルベートまたはソルビタン脂肪酸エステル、例えば、脂肪酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸またはパルミチン酸によるソルビタン脂肪酸エステルを含む。
【0027】
本発明における流動促進剤は、例えば、シリカ、コロイド状シリカ、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、例えば、AEROSIL200、三ケイ酸マグネシウム、粉末化セルロース、デンプンおよびタルクを含む。好ましくは、コロイド状二酸化ケイ素を使用する。
【0028】
本発明の錠剤は好ましくは錠剤核の総重量に基づいて0.5から1重量%の流動促進剤を含む。したがって、特に適当な錠剤は流動促進剤として全錠剤核重量に基づいて0.5から1重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0029】
錠剤は所望により、例えば、多糖類、例えば、セルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、例えば、HMPC603、ポリオキシエチレングリコール、例えば、PEG6000またはPEG8000、1種以上の染料、カルナバ・ワックスまたはアルミニウム・レーキを含むコーティング剤でコーティングされ得る。
【0030】
本発明において、3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンは好ましくは酢酸塩の形態である。
【0031】
本発明の錠剤は標準安定性試験により示されるとおり良い安定特性を示し、例えば、1、2または3年までおよびそれ以上の貯蔵寿命安定性を有する。安定特性は特定の期間、種々の温度、例えば、25℃、40℃または60℃で保存後に、例えば、HPLC分析により分解産物を測定することにより決定され得る。
【0032】
本発明の錠剤は標準方法、例えば、慣用の混合、緻密化、造粒、圧縮または糖有りまたは無しのコーティングにより製造され得る。使用され得る製造方法は当分野で既知のもの、例えば、L. Lachman et al. The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed, 1986, H. Sucker et al, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991, Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971)およびRemington's Pharmaceutical Sciences, 13th Ed. (Mack Publ., Co., 1970)またはより後の版に記載されているものである。
【0033】
1つの局面において、本発明は、(a)3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩、例えば、その酢酸塩を結合剤、増量剤、滑剤、所望により崩壊剤および/または流動促進剤と混合し;(b)(a)において得られた混合物を粉砕および/または造粒または緻密化し;そして所望により(c)(b)において得られた粉砕および/または造粒された混合物を滑剤と混合することを含む、本発明の錠剤を製造するための方法に関する。
【0034】
この方法を使用することにより、良いレベルの含量および混合均一性(すなわち組成物中の薬剤の実質的に一様な分布)、分解時間および安定性を有する製剤を得る。
【0035】
本発明の錠剤は、乾式圧縮法により製造することができる。この方法は、薬剤を賦形剤の一部と混合し、そこで直接または篩いにかけた後に圧縮し、そして他の適当な賦形剤と混合する、薬剤の乾燥処置を含む。該方法は成分を乾燥混合することにより実施され得る。この態様において、粉砕工程(b)は適当に(a)において得られた混合物を好ましくは900から1000μmのメッシュサイズを有する篩いに通過させることを含み得る。
【0036】
滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムを、好ましくは混合前に、例えば、800から900μmの篩いであらかじめ篩いにかける。
【0037】
あるいは、湿式造粒法、例えば、含水造粒法を使用され得る。湿式造粒法は均一物質、すなわち全く一様の粒子サイズを有する顆粒を提供するという利点を有する。このような一様物質を得ることは限定された重量変化および一様な含有物を有する錠剤を得ることを可能にする。化合物3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンは水において高い分解性を示し、これは含水造粒法を困難にする。驚くべきことに、該問題が薬剤と水の接触を防止する新規製造方法で克服できることを見出した。増量剤、結合剤および所望により崩壊剤を水溶液、例えば、結合剤の水溶液を使用して高せん断混合物中で共に造粒する。そうして得られた顆粒を乾燥し、粉砕し、次に滑剤と混合する。所望により増量剤、崩壊剤、流動促進剤および結合剤から選択される少なくとも1種のさらなる賦形剤と混合された3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを顆粒と混合する。次に滑剤を加えてもよい。次に顆粒を錠剤に圧縮する。
【0038】
本発明の錠剤は、錠剤が含む活性剤が有用である疾患の処置または予防のために使用され得る。したがって、本発明の錠剤はTリンパ球および/またはPKCが介在する疾患または障害、例えば、臓器もしくは組織同種もしくは異種移植片の急性もしくは慢性拒絶反応、アテローム性動脈硬化症、血管損傷による血管閉塞、例えば、血管形成術、再狭窄、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、CNS疾患、例えば、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症、癌、感染症、例えば、AIDS、敗血症性ショックまたは成人呼吸窮迫症候群、虚血/再潅流傷害、例えば、心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショックもしくは外傷性ショックの処置および/または予防において使用され得る。3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンは、また、T細胞介在急性もしくは慢性炎症性疾患または障害または自己免疫性疾患、例えば、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、IもしくはII型糖尿病およびそれらに関連する障害、呼吸器疾患、例えば、喘息または炎症性肺損傷、炎症性肝臓損傷、炎症性糸球体損傷、免疫介在疾患または病気の皮膚症状、炎症性および過増殖性皮膚疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎およびさらに湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎)、炎症性眼疾患、例えば、シェーグレン症候群、角結膜炎またはブドウ膜炎、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎の処置および/または予防に有用である。
【0039】
上記使用のために、必要な用量は、もちろん処置される特定の状態および所望の効果に依存して変化する。一般的に、満足のいく結果が約0.1から約100mg/kg体重の1日用量で全身的に得られるように指示される。大型哺乳動物、例えば、ヒトにおける指示される1日用量は約0.5mgから約2000mgの範囲において、例えば、1日に4回までの分割投与で都合良く投与される。
【0040】
本発明の錠剤は、処置される疾患または障害に依存して、共薬剤と組み合わせて投与され得る。例えば、それは、例えば、同種もしくは異種移植片急性もしくは慢性拒絶反応または炎症性もしくは自己免疫性障害の処置または予防のために、免疫調節レジメンにおける他の薬剤または他の抗炎症剤と組み合わせて、同時にまたは連続して投与され得る。例えば、それは、シクロスポリンまたはアスコマイシンまたはそれらの免疫抑制性類似体または誘導体、例えば、シクロスポリンA、シクロスポリンG、FK-506、ABT-281、ASM981;mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ−エチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、バイオリムス−7、バイオリムス−9、TAFA-93、AP23573、AP23464またはAP23841など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;S1P受容体調節剤、例えば、FTY720またはその類似体;レフルノミドまたはその類似体;ミゾルビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその類似体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはそれらのリガンド、例えば、CD154に対するモノクローナル抗体;または他の免疫調節化合物、例えば、少なくとも1つのCTLA4の細胞外ドメインの部分またはその変異体、例えば、非CTLA4タンパク質配列に結合した少なくとも1つのCTLA4の細胞外部分またはその変異体、例えば、CTLA4Ig(例えばATCC68629と命名)またはその変異体を有する組換え結合分子、例えば、LEA29Y、または他の接着分子阻害剤、例えば、mAbsまたはLFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニストおよびVLA−4アンタゴニストを含む低分子量阻害剤と組み合わせて使用され得る。本発明の錠剤は、また、例えば、癌処置において、抗増殖剤、例えば、化学療法剤または糖尿病治療において抗糖尿病剤と組み合わせて、例えば、同時にまたは連続して投与され得る。共投与される免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗増殖剤または抗糖尿病剤の用量は、使用される共薬剤の型、使用される特定の薬剤、処置される状態などに依存して変化し得る。
【0041】
上記にしたがって、本発明はさらに下記を提供する:
1. 処置を必要とする対象における、例えば、上記に示されているTリンパ球および/またはPKCが介在する障害または疾患の予防または処置において使用するための、上記定義のとおりの3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を含む錠剤。
【0042】
2.1 有効量の上記定義のとおりの錠剤を対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における、例えば、上記に示されているTリンパ球および/またはPKCが介在する障害または疾患を予防または処置するための方法。
【0043】
2.2 有効量の上記定義のとおりの錠剤を対象に投与することを含む、処置を必要とする対象における、例えば、上記に示されている急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫性疾患を予防または処置するための方法。
【0044】
2.3 治療有効量の上記定義のとおりの3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを含む錠剤および第2の薬剤の、例えば、同時にまたは連続しての共投与を含む、処置を必要とする対象における、例えば、上記に示されているTリンパ球および/またはPKCが介在する障害または疾患を予防または処置するための方法であって、該第2の薬剤が、例えば、上記に示されている免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗増殖剤または抗糖尿病剤である方法。
【0045】
3. a)上記定義のとおりの3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを含む錠剤およびb)免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗増殖剤および抗糖尿病剤から選択される少なくとも1種の第2の薬剤を含む治療的組合せ、例えば、キット。成分a)および成分b)は同時にまたは連続して使用され得る。キットはその投与のための指示書を含み得る。
【0046】
4. 例えば、上記に示されているTリンパ球および/またはPKCが介在する障害または疾患の予防または処置のための薬剤の製造のための、上記定義のとおりの3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを含む錠剤の使用。
【0047】
本発明は、今回、例えば、下記特定の態様で記載している。
【実施例】
【0048】
実施例1:乾式圧縮法、次のコーティング
薬剤を希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤(用途1−6)と混合し、自由落下混合機で混合する。この混合物を滑剤(用途7)と再び混合し、直接異なる強度の錠剤に圧縮する。
【表1】

錠剤核重量に基づく量
【0049】
実施例1a:乾式圧縮法とその後のコーティング
薬剤を希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤(用途1−6)と混合し、自由落下混合機で混合する。この混合物を滑剤(用途7)と再び混合し、直接異なる強度の錠剤に圧縮する。この方法を介して得ることができる3つの組成物の例を表1aに示す。
【表2】

錠剤核重量に基づく量
次にこれらの錠剤を非機能性コーティング剤でコーティングする。
【0050】
実施例2:乾式圧縮法とその後のコーティング
薬剤を希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤(用途1−5)と混合し、滑剤(用途6)と一緒に混合し、第1の段階で錠剤またはリボンに圧縮し、適当な篩いを介して篩いにかけ、顆粒を得る。この顆粒を希釈剤、結合剤、崩壊剤および流動促進剤(用途7−10)の別の成分と再び混合し、適当な滑剤を混合物に加えた後に錠剤に圧縮する。
【表3】

錠剤核重量に基づく量
【0051】
実施例3:湿式造粒法
賦形剤(用途1、2および4)を精製水(用途3)中の結合剤の溶液を使用して高せん断混合物中で共に造粒する。顆粒を乾燥し、篩いにかけ、滑剤(用途5)と混合する。これに、賦形剤(7、8、9、10)と共に薬剤(用途6)を加え、一緒に混合し、残りの滑剤(11)と再び混合し、錠剤に圧縮する。次にこれらの錠剤を非機能性コーティング剤でコーティングする。
【表4】

錠剤核重量に基づく量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩および少なくとも1種の滑剤を含む経口投与に適当な固体医薬組成物であって、ここで、該組成物が2から15重量%の滑剤を含み、該組成物が錠剤の形態であり、該組成物の総重量が全錠剤核重量である、固体医薬組成物。
【請求項2】
組成物が全錠剤核重量に基づいて3から10重量%の滑剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が全錠剤核重量に基づいて5から90重量%の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の結合剤をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が全錠剤核重量に基づいて4から40重量%の結合剤を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の増量剤をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
崩壊剤、流動促進剤および界面活性剤から選択される少なくとも1種のさらなる賦形剤を含む、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの酢酸塩を含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
処置の必要な対象におけるTリンパ球および/またはPKCが介在する障害または疾患の予防または処置において使用するための、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
(a)3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を結合剤、増量剤および所望により、崩壊剤および流動促進剤から選択される少なくとも1種のさらなる賦形剤と混合し;(b)(a)において得られた混合物を混合、緻密化、粉砕、造粒、乾燥または緻密化し;(c)(b)において得られた混合物を滑剤と混合し;(d)打錠し、そして(e)所望によりコーティングすることを含む、請求項1から7のいずれかに記載の錠剤を製造するための方法。
【請求項11】
(a)水溶液中で増量剤、結合剤および所望により崩壊剤を混合し、そして得られた混合物を造粒し;
(b)(a)において得られた顆粒を乾燥および粉砕し、そしてそれらを滑剤と混合し;
(c)所望により3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を増量剤、崩壊剤、流動促進剤、結合剤および滑剤から選択される少なくとも1種のさらなる賦形剤と混合し;
(d)3−(1.H.−インドル−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンまたはその薬学的に許容される塩を直接または工程(c)で得られた混合物のいずれかを工程(b)において得られた顆粒と、所望により滑剤の存在下で混合し;
(e)工程(b)、(c)または(d)において得られた混合物を打錠し;そして
(f)所望によりコーティングする
ことを含む、請求項1から7のいずれかに記載の錠剤を製造するための方法。

【公表番号】特表2011−506576(P2011−506576A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538767(P2010−538767)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068051
【国際公開番号】WO2009/080762
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】