説明

半導体ウエハの保持方法および半導体ウエハ保持構造体

【課題】ウエハの薄型化にかかわらず、破損させることなくウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持する方法および保持構造を提供する。
【解決手段】半導体ウエハWの裏面外周には、バックグラインドによって形成された扁平凹部を囲繞するように環状凸部が残存形成されており、この半導体ウエハWの裏面側を、リングフレームfに貼付けられた支持用粘着テープの粘着面に押圧して、環状凸部を支持用粘着テープに貼付けるとともに、支持用粘着テープを非粘着面側から押圧変形させて、ウエハ裏面の扁平凹部に押し込み貼付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハを搬送やワークに各種処理を施す前工程において半導体ウエハを保持する半導体ウエハの保持方法および半導体ウエハ保持構造体に関し、特に、半導体ウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と略称する)から半導体チップを切り出す工程においては、リングフレームに貼付けた支持用粘着テープにウエハを貼付け保持し、この半導体ウエハの保持構造体をダイシング工程に持ち込み、貼付け支持されたウエハにダイシング処理およびチップ分断処理が施される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、近年、電子機器の小型化、高密度実装などの必要からウエハの薄型化が進められており、その厚みが数十μmに極薄化されている。このように極薄化されたウエハは、撓みや反りにより割れや欠けなど破損しやすく取り扱いが困難な状況になってきている。そのため、裏面研削後からリングフレームに保持されるまでの間、ウエハの取り扱いを容易にするためにウエハ中央部分を研削し、裏面外周部分に環状凸部を残存形成してウエハに剛性を持たせるようにしている。
【特許文献1】特開2003−234392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環状凸部が残存形成されたウエハは、リングフレームに保持されるまでの取り扱いを容易にするのに有効である。しかしながら、ダイシング工程前に、リングフレームに支持用粘着テープを介してウエハ裏面を保持する場合、環状凸部には粘着テープが密着するが、中央部分の扁平凹部には支持用粘着テープが密着しない。そのため、ダイシング処理およびチップ分断処理時に非保持状態にあるウエハ部分を起点にウエハが破損しやすくなるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ウエハの薄型化にかかわらず、破損などさせることなくウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに精度よく貼付け保持することのできる半導体ウエハの保持方法および半導体ウエハの保持構造体を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記目的を達成するために次のような手段をとる。
【0007】
すなわち、第1の発明は、半導体ウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持する半導体ウエハの保持方法であって、
前記半導体ウエハの裏面外周には、バックグラインドによって形成された扁平凹部を囲繞するように環状凸部が残存形成されており、
この半導体ウエハの裏面側を、リングフレームに貼付けられた支持用粘着テープの粘着面に押圧して、前記環状凸部を支持用粘着テープに貼付けるとともに、支持用粘着テープを非粘着面側から押圧変形させて、ウエハ裏面の前記扁平凹部に押し込み貼付けすることを特徴とする。
【0008】
(作用・効果) この方法によれば、半導体ウエハの薄型化にかかわらず、外周部の環状凸部で補強された剛性の高い状態で半導体ウエハを取り扱うことができるとともに、支持用粘着テープが扁平凹部にまで入り込むように半導体ウエハの裏面全体を支持用粘着テープで貼り付け保持することで、一層強度の高められた状態で半導体ウエハをリングフレームに保持させることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明方法において、
前記扁平凹部の中心から外周に向けて渦巻き状に旋回移動する貼付け部材で前記支持用粘着テープを押圧して、扁平凹部への支持用粘着テープの押し込み貼付けを行うことを特徴とする。
【0010】
(作用・効果) この発明方法によると、扁平凹部の中心部から外周に向けて支持用粘着テープを押し伸ばしながら貼付けが進行することで、波打ちやシワのない貼り付けを円滑に行うことができ、貼り付け精度の向上に有効となる。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明方法において、
弾性変形可能なブラシ状の前記貼付け部材で支持用粘着テープの前記扁平凹部への押し込み貼付けを行うことを特徴とする。
【0012】
(作用・効果) この発明方法によると、支持用粘着テープの押し伸ばしを無理なく、かつ、細部に亘って行うことができ、扁平凹部の外周隅部へも支持用粘着テープを確実に貼り付けることができる。
【0013】
第4の発明は、上記第1の発明方法において、
前記扁平凹部に内嵌可能な押圧部材を扁平凹部に押し込み移動させて、前記支持用粘着テープの扁平凹部への押し込み貼付けを行うことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) この発明方法によると、押圧部材を扁平凹部に1回押し込み移動させるだけで、一挙に扁平凹部の全域に支持用粘着テープを押し込み貼り付けすることができ、処理時間の短縮化に有効となる。
【0015】
第5の発明は、上記第4の発明方法において、
前記押圧部材を加熱して前記支持用粘着テープに作用させることを特徴とする。
【0016】
(作用・効果) この発明方法によると、支持用粘着テープが押圧部材に接触することで適度に軟化され、扁平凹部へのテープ押し込み変形が容易となり、扁平凹部の外周隅部への貼り付けを的確に行うことができる。
【0017】
第6の発明の発明は、第1ないし5のいずれかの発明方法において、
前記扁平凹部への前記支持用粘着テープの押し込み貼付けを減圧雰囲気中で行うことを特徴とする。
【0018】
(作用・効果) この発明方法によると、貼付け面に気泡を巻き込むことなく支持用粘着テープを扁平凹部の隅々まで確実に貼り付けることができる。
【0019】
第7の発明の発明は、半導体ウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持した半導体ウエハ保持構造体であって、
前記半導体ウエハの裏面外周には、バックグラインドによって形成された扁平凹部を囲繞するように環状凸部が残存形成されており、
リングフレームに貼付けられた支持用粘着テープが前記扁平凹部にまで貼付けられていることを特徴とする。
【0020】
(作用・効果) この構成によると、半導体ウエハの扁平凹部は薄くて強度が低いものであるが、外周部の環状凸部が補強リブとして機能し、ウエハ全体の剛性が高いものとなる。このような半導体ウエハを、リングフレームに貼り付けられている支持用粘着テープに、扁平凹部にまで支持用粘着テープが押し込まれた状態で貼り付け保持された保持構造体は、全体が薄い半導体ウエハを支持用粘着テープに貼り付け保持した従来の保持構造体に比較して、一層ウエハ強度が高められたものとなり、扁平凹部(バックグラインド部位)が極薄に構成された半導体ウエハでも破損リスクの少ない状態で扱うことができる。
【0021】
また、ウエハ補強用の環状凸部を残したままで半導体ウエハを支持用粘着テープに貼付け保持して以降の処理を行うので、環状凸部を研削除去する工程を省略することができ、半導体チップの製造工程全体における作業能率の向上にも有効となる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、この発明に係る半導体ウエハの保持方法および保持構造によれば、ウエハの薄型化にかかわらず、破損などさせることなくウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持することのできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
先ず、図13〜図15を参照して本発明の半導体ウエハの構造を説明する。
【0024】
図13は、本発明の処理対象となるウエハWの表面側からみた一部切欠き斜視図、図14は、その裏面側から見た斜視図、および、図15は、その縦断面図がそれぞれ示されている。
【0025】
ウエハWは、パターンが形成された表面に保護テープPTが貼付けられて表面保護された状態でバックグラインド処理されたものである。その裏面は、外周部を径方向に約2mmほど残して研削(バックグラインド)され、裏面に扁平凹部bが形成されるとともに、その外周に沿って環状凸部rが残存された形状に加工されたものが使用される。因みに、扁平凹部bの深さdが数百μm、研削域のウエハ厚さtが数十μmになるよう加工されている。したがって、裏面外周に形成された環状凸部rは、ウエハWの剛性を高める環状リブとして機能し、ハンドリングやその他の処理工程におけるウエハWの撓み変形を抑止する。
【0026】
このように構成されたウエハWは、図18に示すように、リングフレームfに貼付け張設された支持用粘着テープ(ダイシングテープ)DTの粘着面に、環状凸部rの在る裏面側から貼付け保持され、図16,図17,図18に示されるウエハ保持構造体(マウントフレーム)MFが製作される。
【0027】
裏面に扁平凹部bが研削形成されたウエハWを支持用粘着テープDTを介してリングフレームfに貼付け保持するウエハ貼付け装置、および、その貼付け手順を、以下に示す2つの実施例に基づいて説明する。
【0028】
図1〜図6は、第1実施形態に係るウエハ貼付け装置とその貼付け手順が示されている。
【0029】
図1に示すように、ウエハ貼付け装置には、円筒状の深いチャンバー本体1aと、その上端に接合および分離される浅い円形皿状の蓋ケース1bとからなるチャンバー1が備えられており、チャンバー本体1aに真空装置2が連通接続されている。
【0030】
チャンバー本体1aの底部には複数本のガイド軸3が立設固定され、このガイド軸3にスライドブッシュ4を介して案内されて平行に昇降する可動テーブル5が装備されている。チャンバー本体1aの底部中心には、モータ6によって駆動されるねじ軸7が軸受けブラケット8を介して立設配備されている。このねじ軸7が可動テーブル5の中心には、装着固定された雌ねじブッシュ9に螺合挿通され、ねじ軸7の正逆回転によって可動テーブル5がねじ送り昇降されるようになっている。
【0031】
可動テーブル5の上部には、ウエハWの外径に相当する外径を備えた円板状のウエハ支持台10が連結固定されるとともに、このウエハ支持台10に外嵌する環状のリングフレーム支持台11が上下動可能に配備されている。リングフレーム支持台11は、可動テーブル5における上面の周方向複数個所に固設された頭付きピン12に、小範囲の上下融通をもって支持され、その上下移動範囲が規制されている。また、リングフレーム支持台11は周方向複数個所に介在したバネ13によって上限位置に持ち上げ付勢されている。リングフレーム支持台11の上面には、リングフレームfを位置決め嵌合して載置する凹入段部11aがリングフレームfの厚さと同じ、あるいは、これより若干浅く凹入形成されている。
【0032】
蓋ケース1bは図示されない昇降機構によって駆動昇降されるものであり、その内部に貼付け機構15が装備されている。貼付け機構15は、ウエハ支持台10の中心と同心の縦軸心X周りに回動可能な旋回フレーム16、旋回フレーム16の下部に水平に架設されたガイド軸17、このガイド軸17に案内されて水平移動可能に支持された一対の貼付け部材18とで構成されている。貼付け部材18は、適度に弾性変形可能なブラシ状の構成されたものが用いられる。
【0033】
蓋ケース1bの中心には筒軸状の旋回駆動軸19が軸受けブラケット20を介して縦軸心X周りに回動自在に貫通支障されるとともに、この旋回駆動軸19の下端に旋回フレーム16が連結されている。旋回駆動軸19の上部と、蓋ケース1bの上部一側に配備されたモータ21とがベルト22を介して巻き掛け連動され、モータ21が作動することで旋回フレーム16が縦軸心X周りに旋回駆動されるようになっている。
【0034】
旋回駆動軸19の中心には、蓋ケース1bの中心上方に配備されたモータ23で正逆転駆動される内軸24が挿通されている。この内軸24の下部に備えた上下に長い駆動プーリ25と旋回フレーム16の両端近くに軸支した一対の遊転プーリ26に亘ってそれぞれベルト27が巻回張設されている。つまり、両ベルト27の逆向き回動位置に、一対の貼付け部材18が連結されている。これによって、内軸24が所定の方向に回動されると、両ベルト27に連結された貼付け部材18が互いに離反する方向、あるいは、互いに接近する方向に移動されるようになっている。
【0035】
ウエハ貼付け装置は以上のように構成されており、次に、その貼付け作動について説明する。
【0036】
(1)図1に示すように、蓋ケース1bが上方に退避されてチャンバー1が開放された状態で、バックグラインドによって扁平凹部bが形成された裏面を上向きにした姿勢でウエハWが搬入されるとともに、貼り付けた支持用粘着テープDTの粘着面が下向きになる姿勢でリングフレームfが搬入される。この時、可動テーブル5は下降位置にあるとともに、貼付け機構15の両貼付け部材18は互いに接近した初期位置にある。
【0037】
(2)搬入されたウエハWは、ウエハ支持台10に載置されてリングフレーム支持台11の内周で位置決めされると、搬入されたリングフレームfは、リングフレーム支持台11の凹入段部11aに位置決め載置される。
【0038】
(3)ウエハWおよびリングフレームfの搬入装填が終了すると、図2に示すように、蓋ケースが下降されてチャンバー本体1aの上端に接合封止された後、真空装置2の吸引作動によってチャンバー1内が減圧される。このとき、貼付け部材18は支持用粘着テープDTには接触しない高さにある。
【0039】
(4)チャンバー1の内圧が真空近くの所定圧まで減圧されると、図3に示すように、可動テーブル5が所定位置まで駆動上昇され、縦軸心X近くの初期位置に待機している貼付け部材18が支持用粘着テープDTの上面(非粘着面)の中央部に押し付けられる。貼付け部材18で押圧されて下方に変形された支持用粘着テープDTの中央部位がウエハWにおける扁平凹部bの中心近くに貼付けられる。
【0040】
(5)次に、モータ21の作動によって旋回フレーム16が所定方向に旋回されるとともに、モータ23の作動によって両貼付け部材18が互いに離反する方向に移動する。この移動によって、各貼付け部材18は中心から外方に渦巻き状に旋回移動しながら支持用粘着テープDTをウエハ上面の扁平凹部bおよび環状凸部rに貼付けてゆく。
【0041】
図4に示すように、貼付け部材18が外端に到達したことが適宜検知手段で検知されると、同じ方向への旋回を続行しながらモータ23のみが逆転作動し、各貼付け部材18が互いに接近する方向に移動しながら旋回して、中心に向けて渦巻き状の旋回貼付けが行われ、貼付け部材18が初期位置に復帰した時点で両モータ21,23が停止する。
【0042】
上記貼付け作動において、貼付け部材18が外周に近づくほど貼付け部18からリングフレームfに働く下方への押圧力が大きくなり、これによってリングフレーム支持台11がバネ13に抗して押し下げられ、リングフレーム支持台11の上面が環状凸部rの上面レベルまで下がることで環状凸部rへのテープ貼付けが確実に行われる。
【0043】
なお、図6に示すように、リングフレーム支持台11の凹入段部11aに係止ピン28をリングフレーム厚さより低く突設して、リングフレームfの外周に形成された扁平カット部cやノッチnに当接させることで、貼付け旋回移動に引きずられてリングフレームfが共回りすることが阻止される。
【0044】
(6)上記貼付け作動が終了すると、可動テーブル5が初期位置まで下降されるとともにチャンバー1に外気が流入され、内圧が大気圧に戻ると、図5に示すように、蓋ケース1bが上昇開放され、ウエハWを貼付け保持したマウントフレームMFが図示されない搬出手段によって取り出される。
【0045】
以上で1回の貼付け処理が完了し、以後、上記作動を繰り返す。
【0046】
上記実施形態の装置によれば、粘着面を扁平凹部bに向けて対向配置されたリングフレームfに貼付けられている支持用粘着テープDTの非粘着面の中央部から貼付け部材18を押し付け、その押圧を加えたまま貼付け部材18を中心から外方に旋回移動させることにより、支持用粘着テープDTをウエハWの扁平凹部bと環状凸部rとの亘って精度よく貼付けることができる。
【0047】
また、チャンバー1内の減圧下で支持用粘着テープDTをウエハWに貼付けるので貼付け界面に空気を巻き込むことがない。さらに、チャンバー1を減圧状態から大気圧に戻すとき、支持用粘着テープDTの非粘着が均一に加圧され貼付けムラが解消される。
【0048】
図8〜図12は、第2実施形態に係るウエハ貼付け装置とその貼付け手順が示されている。
【0049】
この実施形態の装置は、貼付け機構15の第1実施形態の構造が相違しているだけで他の構成は同じであるので、同じ部材および部位に同一の符号を付すに留め、相違する部分について具体低に説明する。
【0050】
この実施形態の貼付け機構15は、蓋ケース1bの内部に押圧部材30を固定装着して構成されている。押圧部材30は、ウエハWの裏面に研削形成された扁平凹部bより若干小径の円板状に形成され、蓋ケース1bの内面より所定量だけ下方に突出されている。つまり、押圧部材30は、扁平凹部bに内嵌可能な形状となっている。また、押圧部材30にはヒータ31が内臓されており、蓋ケース1bへの熱伝播を阻止するために断熱材32を介して押圧部材30が蓋ケース1bに装着されている。
【0051】
次に、上記構成のウエハ貼付け装置の貼付け作動について説明する。
【0052】
(1)図8に示すように、蓋ケース1bが上方に退避されてチャンバー1が開放された状態で、バックグラインドによって扁平凹部bが形成された裏面を上向きにした姿勢でウエハWが搬入されるとともに、貼り付けた支持用粘着テープDTの粘着面が下向きになる姿勢でリングフレームfが搬入される。このとき、可動テーブル5は下降位置にある。
【0053】
(2)搬入されたウエハWはウエハ支持台10に載置されてリングフレーム支持台11の内周で位置決めされ、搬入されたリングフレーfはリングフレーム支持台11の凹入段部11aに位置決め載置される。
【0054】
(3)ウエハWおよびリングフレームfの搬入装填が終了すると、図9に示すように、蓋ケース1bが下降されて、チャンバー本体1aの上端に接合封止され、真空装置2の吸引作動によってチャンバー1内が減圧される。
【0055】
(4)チャンバー1の内圧が真空近くの所定圧まで減圧されると、図10に示すように、可動テーブル5が所定位置まで駆動上昇されて一旦停止される。このとき、支持用粘着テープDTがヒータ31で加熱された押圧部材30の下面に軽く接触され、支持用粘着テープDTが加温されて適度に軟化される。
【0056】
(5)次に、図11に示すように、可動テーブル5が、さらに所定少量だけ上昇され、押圧部材30が相対的にウエハWの扁平凹部bに押し込まれ、軟化された支持用粘着テープDTは押し込み変形されて扁平凹部bに貼り付けられる。
【0057】
この場合、リングフレーム支持台11がバネ13に抗して下限まで押し下げられ、リングフレーム支持台11の上面が環状凸部rの上面レベルまで下がることで環状凸部rへのテープ貼付けが確実に行われる。
【0058】
(6)上記貼付け作動が終了すると、可動テーブル5が初期位置まで下降されるとともにチャンバー1に外気が流入され、内圧が大気圧まで戻ると、図12に示すように、蓋ケース1bが開かれ、ウエハWを貼付け保持したマウントフレームMFが適宜の搬出手段によって取り出される。
【0059】
以上で1回の貼付け処理が完了し、以後、上記作動を繰り返す。
【0060】
上記実施形態の装置によれば、ヒータ31により加温されて適度に軟化した状態の支持用粘着テープDTが押圧部材30よって扁平凹部bに押し込まれるので、一挙に扁平凹部bの全域に支持用粘着テープDTを貼り付けることができる。
【0061】
本発明は、以下のような形態に変形して実施することもできる。
【0062】
(1)上記第1実施形態における貼付け部材18はブラシ状のものに限らず、ゴムヘラ、遊転自在な弾性ローラなどを用いることもできる。
【0063】
(2)上記第1実施形態は、図7に示すように、旋回フレーム16の外周複数個所に、遊転自在なゴムローラからなる押さえ部材29を装備し、旋回貼付け工程において、押さえ部材29でリングフレームfを押さえ付けて転動移動させることで、リングフレームfの浮動や振動を阻止しながら貼付け作動を行うように構成してもよい。この構成によれば、一層精度の高いウエハ貼付けを行うことができる。
【0064】
(3)上記第1実施形態において、リングフレーム支持台11の凹入段部11aに真空吸着孔を形成して、載置されたリングフレームfを吸着固定して、旋回貼付け作動時の共回りや微動を阻止する形態で実施することもできる。
【0065】
(4)上記各実施形態において、リングフレーム支持台11の上面が環状凸部rの上面レベルまで下がることで、支持用粘着テープDTの粘着面がリングフレーム支持台11の上面に接触するので、リングフレーム支持台11の上面を難接着面、好ましくは非接着面に構成する。この構成によれば、マウントフレームMFがリングフレーム支持台11の上面に貼り付きづらくすることができる。その結果、マウントフレームfが搬出し難くなることを回避することができる。
【0066】
(5)上記各実施形態では、装置を上下反転させて利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態に係る半導体ウエハマウント装置の材料搬入工程を示す縦断面図である。
【図2】実施例1に係る貼付け工程を示す縦断面図である。
【図3】第1実施形態に係る貼付け工程を示す縦断面図である。
【図4】第1実施形態に係る貼付け工程を示す縦断面図である。
【図5】実施例1に係る貼付け後の搬出工程を示す縦断面図である。
【図6】リングフレームの共回り防止構造を示す平面図である。
【図7】第1実施形態に係る半導体ウエハマウント装置の別実施例を示す縦断面図である。
【図8】第2実施形態に係る半導体ウエハマウント装置の材料搬入工程を示す縦断面図である。
【図9】第2実施形態に係る貼付け工程を示す縦断面図である。
【図10】第2実施形態に係る貼付け工程を示す縦断面図である。
【図11】第2実施形態に係る貼付け工程を示す縦断面図である。
【図12】第2実施形態に係る貼付け後の搬出工程を示す縦断面図である。
【図13】半導体ウエハを表面側から見た一部切欠き斜視図である。
【図14】半導体ウエハを裏面側から見た斜視図である。
【図15】半導体ウエハの縦断面図である。
【図16】半導体ウエハ保持構造体を表面側から見た斜視図である。
【図17】半導体ウエハ保持構造体を裏面側から見た斜視図である。
【図18】半導体ウエハ保持構造体の縦断面図である。
【図19】半導体ウエハ保持構造体を分解した斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
18 … 貼り付け部材
30 … 押圧部材
b … 扁平凹部
r … 環状凸部
DT … 支持用粘着テープ
PT … 保護テープ
f … リングフレーム
MF … 半導体ウエハ保持構造体(マウントフレーム)
W … 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持する半導体ウエハの保持方法であって、
前記半導体ウエハの裏面外周には、バックグラインドによって形成された扁平凹部を囲繞するように環状凸部が残存形成されており、
この半導体ウエハの裏面側を、リングフレームに貼付けられた支持用粘着テープの粘着面に押圧して、前記環状凸部を支持用粘着テープに貼付けるとともに、支持用粘着テープを非粘着面側から押圧変形させて、ウエハ裏面の前記扁平凹部に押し込み貼付けする
ことを特徴とする半導体ウエハの保持方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ウエハの保持方法において、
前記扁平凹部の中心から外周に向けて渦巻き状に旋回移動する貼付け部材で前記支持用粘着テープを押圧して、扁平凹部への支持用粘着テープの押し込み貼付けを行う
ことを特徴とする半導体ウエハの保持方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体ウエハの保持方法において、
弾性変形可能なブラシ状の前記貼付け部材で支持用粘着テープの前記扁平凹部への押し込み貼付けを行う
ことを特徴とする半導体ウエハの保持方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体ウエハの保持方法において、
前記扁平凹部に内嵌可能な押圧部材を扁平凹部に押し込み移動させて、前記支持用粘着テープの扁平凹部への押し込み貼付けを行う
ことを特徴とする半導体ウエハの保持方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体ウエハの保持方法において、
前記押圧部材を加熱して前記支持用粘着テープに作用させる
ことを特徴とする半導体ウエハの保持方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の半導体ウエハの保持方法において、
前記扁平凹部への前記支持用粘着テープの押し込み貼付けを減圧雰囲気中で行う
ことを特徴とする半導体ウエハの保持方法。
【請求項7】
半導体ウエハを支持用粘着テープを介してリングフレームに貼付け保持した半導体ウエハ保持構造体であって、
前記半導体ウエハの裏面外周には、バックグラインドによって形成された扁平凹部を囲繞するように環状凸部が残存形成されており、
リングフレームに貼付けられた支持用粘着テープが前記扁平凹部にまで貼付けられている
ことを特徴とする半導体ウエハ保持構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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