説明

半導体ウエハの研磨方法

【課題】研磨された半導体ウエハの端部表面形状に関して有利な代替の研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨パッドによる半導体ウエハの研磨方法であって、研磨パッドは、平均粒径0.1〜1.0μmを有するSiO2の固定結合砥粒を含み、アルカリ成分を含み、固体材料を含有せず、11〜13.5の可変pH値を有する研磨液が供給され、研磨液は、研磨処理中にpH値13未満を有し、研磨処理を終了する目的で、pH値を13〜13.5に上昇させる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研削、洗浄およびエッチングステップの後、先行技術に従って、半導体ウエハの表面が除去研磨により平滑化される。
【0003】
片面研磨(SSP)の場合、処理中に、半導体ウエハの裏側が真空または接着により、セメントを用いた支持プレート上に保持される。
【0004】
両面研磨(DSP)の場合、半導体ウエハを薄いキャリア内にすきまを残すように導入し、その表側および裏側が、研磨パッドで覆われた上部研磨プレートと下部研磨プレートとの間を「自由に浮動する」ように、同時に研磨される。この研磨方法は、通常、一般的にシリカゾルを主体とする、砥粒を含有する研磨剤スラリーの供給と共に行われる。
【0005】
好適な両面研磨機は、DE 100 07 390 A1号に開示されている。
化学機械研磨(CMP)の場合、反対に、表側(部品側)のみを、いわゆるヘーズフリー(haze-free)研磨(「仕上げ」)として、より柔らかい研磨パッドを用いて仕上げ研磨することが含まれ、同様に砥粒が研磨剤スラリーの形態で供給される。
【0006】
通常、研磨される半導体ウエハは、シリコンウエハまたはシリコン由来(たとえば、シリコン−ゲルマニウム)の積層構造を有する基板である。当該シリコンウエハは、特にメモリチップ(DRAM)、マイクロプロセッサ、センサー、発光ダイオード、およびその他多数の半導体部品の製造に用いられる。
【0007】
特に、メモリチップおよびマイクロプロセッサ作製用のシリコンウエハに求められる要求は、厳しさを増している。これはまず、結晶特性そのもの(たとえば、欠陥密度、金属不純物をトラップするための内部吸着剤に関する)のみならず、特にウエハの表面形状および平坦度にも関係する。シリコンウエハは、完全に平行な2つの側面を有し、部品が作製されるシリコンウエハ側の平坦度が特に優れており、かつ低表面粗度を有することが望ましいであろう。さらに、ウエハの端部における厚みの減少と、端部領域の不十分な表面形状とが原因で、現在では不可能となっている部品側の全区域の利用が可能になることが望ましいであろう。
【0008】
この端部ロールオフが、従来の半導体ウエハの研磨方法に起因することは知られている。
【0009】
通常、端部表面形状は、通常、シリコンウエハの全厚みまたはその表側および/もしくは裏側の端部表面形状に関連し、かつ慣例的に見られる、シリコンウエハの端部領域における厚みの減少、または端部領域と同様にシリコンウエハの表側および/もしくは裏側の平坦度の減少を特徴付けるために用いられ得る、1つ以上の端部ロールオフパラメータを特定することにより定量化される。シリコンウエハの端部ロールオフの測定方法は、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999),pp.38−39に記載されている。
【0010】
さらに、「固定砥粒研磨」(FAP)による半導体ウエハの研磨が知られており、研磨パッドに結合した砥粒材料を含有する研磨パッド(「固定砥粒パッド」)上で半導体ウエハが研磨される。
【0011】
以下、このようなFAP研磨パッドを用いる研磨ステップを略してFAPステップと呼ぶ。
【0012】
DSPおよびCMPがFAPと異なる点は、特にDSPおよびCMPにおいては、研磨パッドが砥粒を含有せず、砥粒が常に研磨剤スラリーの形態で供給されることにある。
【0013】
独国特許出願DE 102 007 035 266 A1号は、FAP型の2つの研磨ステップを含む、シリコン材料からなる基板の研磨方法を記載しており、これらのステップは、第1の研磨ステップにおいては、固体材料として非結合砥粒材料を含有する研磨剤スラリーを基板と研磨パッドとの間に導入し、第2の研磨ステップにおいては、研磨剤スラリーの代わりに固体材料を含有しない研磨液を用いる点において、異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】DE 100 07 390 A1
【特許文献2】DE 102 007 035 266 A1
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999),pp.38−39
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、研磨された半導体ウエハの端部表面形状に関して有利な代替の研磨方法を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、研磨パッドによる半導体ウエハの研磨方法であって、研磨パッドは、平均粒径0.1〜1.0μmを有するSiO2の固定結合砥粒を含み、アルカリ成分を含み、固体材料を含有せず、11〜13.5の可変pH値を有する研磨液が供給され、研磨液は、研磨処理中にpH値13未満を有し、研磨処理を終了する目的で、pH値を13〜13.5に上昇させる方法により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、該パッドに含まれるSiO2砥粒を用いたFAP研磨処理を提供する。
研磨処理中に、固体材料を含有しない研磨液が供給される。
【0019】
研磨液は、アルカリ成分を含有する水溶液である。
研磨液は、半導体産業において慣用の純度を有する脱イオン水を含むことが好ましい。
【0020】
半導体ウエハの研磨中に、研磨液は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、またはそれらの任意の所望の混合物等の化合物をアルカリ成分として含むことが好ましい。
【0021】
研磨液中の前述の化合物の割合は、0.01〜10重量%が好ましく、特に0.01〜0.2重量%が好ましい。
【0022】
とりわけ、炭酸カリウムの使用が好ましい。
研磨液のpH値は、最低で11で、最高で13.5である。
【0023】
研磨液は、さらに1つ以上の添加剤を含有することができ、たとえば、湿潤剤および界面活性剤等の表面活性添加剤、保護コロイドとして作用する安定剤、保存剤、化学薬品、アルコールおよび錯化剤が挙げられる。
【0024】
本発明に従う方法では、研磨処理中に、研磨パッド(FAパッド)に結合したSiO2を含有する研磨パッドが用いられる。
【0025】
研磨パッドは、複製された微細構造により成形された表面トポグラフィーを有することができる。これらの微細構造(「ポスト」)は、たとえば、円筒形または多角形の断面を有する柱状の形状、または錐体状もしくは角錐台状の形状を有することができる。
【0026】
このような研磨パッドは、たとえばWO92/13680A1号およびUS2005/227590A1号において、より詳細に記載されている。
【0027】
FAP研磨パッドに含まれるSiO2砥粒の平均粒径は、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.6μmであることが特に好ましく、0.2〜0.4μmであることがとりわけ好ましい。
【0028】
先行技術のDSPおよびCMPまたは一部のFAP方法のような研磨剤スラリーは供給されない。
【0029】
研磨液のpH値は、本方法を実施する間、可変である。
pH値は、炭酸カリウムおよび/または上述のその他の化合物のうち一つを含有するアルカリ成分により調整される。
【0030】
もっぱら研磨液のpH値の変更によってのみ、研磨除去を制御するようにされる。
本発明は、片面研磨として実施することができる。
【0031】
同様に、半導体ウエハの両面の研磨を同時に行なうことが好ましい。
研磨操作(polishing pass)の間、研磨液のpH値を、くさび形の差異またはウエハ端部の不均一性(たとえば端部ロールオフ)がない、出来るだけ平坦な半導体ウエハが得られるように変更することが好ましい。これは、研磨液のアルカリ成分の対応の供給により実行される。
【0032】
研磨液のpH値は、それぞれの研磨プレートおよび/またはパッド上に、局所的に区切った態様で(locally delimited fasion)好適に研磨剤を供給することにより制御されることが好ましい。これにより、局所的に異なるpH値を有する研磨液を供給することが可能となる。
【0033】
したがって、たとえば、半導体ウエハの端部領域において最大除去率を達成するために、半導体ウエハ(端部領域)の外側領域に供給される研磨液のpH値を約11.5〜約12となるように選択することができる一方で、顕著により高いpH値を有する研磨液を半導体ウエハのその他の領域、たとえば、内側ゾーンに供給する。
【0034】
pH約13〜13.5を有する研磨液を局所的に供給することにより、研磨を局所的にほとんどゼロまで減少させることすら想定できる。
【0035】
SiO2−FAパッドと併せると、約13〜13.5のpH値で、事実上0μm/分の最小除去率が生じる。
【0036】
約11.5〜約12の範囲のpH値について、最大除去率が得られる。
一般に温度は、種々のパラメータに依存する。とりわけ、化学反応(pH値)の他に、研磨圧力、FAパッドそのもの(摩擦)、研磨剤の供給量等が影響する。
【0037】
本発明に従う研磨は、約25℃〜約41℃の温度範囲で実施されることが好ましい。
270hPAの研磨圧力を基準圧力とすると、温度は結果的に約28〜約37℃となる。最大除去率は、pH値11.5〜12の範囲内、温度31℃以上で得られる。
【0038】
研磨を停止させた時点から開始して、すなわち、pH値を13以上に上昇させた時点から開始して、研磨温度は顕著に低下する。研磨圧力270hPAで研磨した場合、たとえば、研磨温度は1分の継続時間で約1.5℃ずつ低下する。
【0039】
より高い研磨温度の場合、たとえばより高い研磨圧力(たとえば400hPa)での研磨処理の場合、温度低下はより一層顕著になる(たった15秒後で5℃を超える温度低下)。
【0040】
本発明に従う方法で有利な点は、上述の組成(理想的には炭酸カリウム、またはpH値12以上の場合は、炭酸カリウムと水酸化カリウムの混合物)を有するアルカリ性研磨液のpH値を非常に良好に、正確には11〜13.5の範囲で変更することができることである。
【0041】
本発明に従う方法では、除去率を変更しながらの研磨を、研磨圧力、保持リングおよびゾーン圧力、研磨動力学(回転速度)、研磨剤の量およびタイプ、外部で設定される(プレート)温度等のその他の研磨パラメータ全てを一定に保ちつつ実施することが好ましい。
【0042】
上述の特殊な性質により、pH11以上のアルカリ性研磨液と併せたSiO2FAパッドが、機械的効果を有する研磨パラメータの一定処理管理(constant process management)と併せた、除去率の点で調整される研磨処理に適切である。
【0043】
典型的なCMP研磨処理の場合、これは不可能である。なぜなら、このpH値範囲では(特に12.5を超えるpH値では)、高いpH値でのゾル粒子の凝集の結果としてゾルがゲル化する結果、シリカゾルが不安定となり、キズの形成、ウエハ表面の欠陥の発生(初発性エッチング)、研磨剤の線状の汚染および堆積、フィルターユニットの目詰まり等の下流での問題が生じるためである。
【0044】
研磨パッド表面そのものの上にSiO2FAパッドが存在する場合、研磨中にどのようなpH値を採用するかによって、アルカリの充填、SiO2粒子の成長および凝集の効果が生じる。
【0045】
しかし、比較的硬質なFAパッドは、パッド中に研磨剤を蓄えておらず、DSPおよびCMPと対照的に、「凝集した」研磨剤スラリーが処理中または設備内を移動することがないため、再び急速に再生可能である。
【0046】
したがって、研磨液のpH値は、11〜約13.5の範囲にあり、このpH値範囲内での上述の化合物の対応の添加により変更される。たとえば、研磨液中の炭酸カリウム等の上述の化合物の割合は、0.01〜10重量%であることが好ましく、特に0.01〜0.2重量%であることが好ましい。
【0047】
約11.5〜約12の範囲の良好な除去率を、pH値13から開始して材料除去が事実上ゼロまで減少する事実と組み合わせることがとりわけ好ましい。
【0048】
この目的のために、片面または両面研磨として構成することができる研磨処理の第1のステップにおいて、上述の組成を有し、pH11〜13未満、特にpH11〜12.5の研磨液を供給することが好ましく、特にpH約11.5〜約12の範囲が好ましい。
【0049】
所望の材料除去が達成された後、通常、研磨剤の粘度を変更する添加剤を添加することによる事実上の機械的遅延に係った先行技術と違って、研磨液のpH値が、少なくとも13、理想的には約13.5に上昇したアルカリ成分によって上昇する事実により、第2のステップにおいて研磨処理を停止する。
【0050】
したがって、研磨処理は研磨液のpH値の変更によって停止される。
用途によっては、第3のステップにおいて、次に11.5以下のpH値を有する研磨液を添加することが有利である。SiO2砥粒を用いたFA研磨の後に、研磨剤スラリーの供給による従来の研磨を行なうことを意図する場合、このようなステップがスラリー研磨の準備に役立つ。
【0051】
次に、SiO2砥粒を含有する同一の研磨パッド上で、スラリー研磨を実施する。これもまた、再度、片面研磨(たとえばCMP)またはDSP等の半導体ウエハの同時両面研磨に係り得る。研磨液に代わり、シリコン、アルミニウムおよびセリウムからなる群から選ばれる1つの元素の酸化物の砥粒を含む研磨剤スラリーが、スラリー研磨中に供給される。
【0052】
スラリー研磨は2つのステップを含むことが好ましい。
第1のステップにおいて、上記の組成を有し、砥粒の平均粒径が10〜30nmである研磨剤スラリーを供給し、第2のステップにおいて、上記の組成を有し、砥粒の平均粒径が35〜50nmである研磨剤スラリーを供給する。該スラリーのpH値は、11.5以下であることが好ましい。
【0053】
本発明に従う方法は、多様な用途の可能性および利点を有する。
半導体ウエハの表面形状およびナノトポロジーを向上するために、局所的に供給される研磨液のpH値の対応調整により、インサイチューで局所的に材料除去を制御することが可能となる。
【0054】
研磨液のpH値を約13〜13.5に上昇させることにより、研磨処理を停止することが可能となり、これが表面形状およびナノトポロジーの向上、ならびにウエハ表面の最適化につながる。
【0055】
本方法は、半導体ウエハの裏側がウエハ保持システム(テンプレート、キャリア)によって保持される片面研磨の際に採用されることが好ましい。
【0056】
半導体ウエハの表側および裏側に順次適用することにより、結果的に両面が研磨された半導体ウエハが得られる。材料除去は局所的に制御できるため、これら2つの順次研磨処理を目標とする態様で互いに連動させることができる。
【0057】
また、SiO2研磨パッドおよびアルカリ性研磨液を用いた、ラッピング運動または遊星運動による同時両面研磨も好ましい。この場合、内歯および外歯リングによって回転させるキャリア内の切り欠きに半導体ウエハを載せ、半導体ウエハがサイクロイド軌跡上を移動する。
【0058】
本発明の文脈において、直径450mmを有する半導体ウエハを研磨する際には、軌道運動による両面研磨が特に好ましい。軌道運動とは、円形状の経路上を移動するウエハ保持システム内の切り欠きに半導体ウエハを載せるが、遊星運動とは対照的に、それ自体の軸を中心に回転するわけではないことを意味する。
【0059】
比較的小型の研磨プレートによる軌道研磨方法の場合、遊星運動および比較的大型の研磨プレートによる研磨方法と比較して、研磨運動がより大きな局所的な除去の差異を引き起こすため、ウエハが広範囲でくさび形になる恐れがある。この欠点は、研磨媒体の局所的に異なるように調節されたpH値により抑制できる。
【0060】
ウエハの表面形状に目標とする態様で影響を与えるために、材料除去の調整とウエハ厚みのインサイチューでの測定とを組み合わせることがとりわけ好ましい。研磨液のpH値を例外として、その他の処理パラメータの全てを一定に保つことができるため、これは大幅に自動化できる。
【0061】
本発明は、先行技術により示唆されていない。特許文献2は、pH10〜12のアルカリ性範囲の研磨剤によるFAPを採用することを開示したが、そこにクレームされた方法は、必ず2つのFAP研磨処理を提供する。すなわち、半導体ウエハの同一側で、砥粒含有研磨剤を使用して一回、使用せずに一回行われる。本発明に従う方法は必ず、砥粒を含む研磨剤を使用せずに行われる。
【0062】
固定結合SiO2砥粒を含む研磨パッドによる裏側および表側の順次研磨として具体化される、2段階FAPがとりわけ好ましい。
【0063】
この場合、2つの研磨処理、すなわち裏側研磨および表側研磨は、とりわけウエハ端部領域におけるウエハ表面形状およびウエハナノトポロジーに目標とする態様で影響を与えることができるように、互いに連動させることができる。
【0064】
半導体ウエハの両面は、少なくとも11、好ましくは少なくとも11.2、とりわけ好ましくは少なくとも11.5のpH値を有する研磨液の供給とともに、SiO2研磨パッドにより研磨される。
【0065】
本発明に従う方法は、半導体ウエハの端部に対して、特に10mm以下の距離範囲、特に好ましくは5mm以下の範囲における、半導体ウエハの外側端部領域中の表面形状の向上につながる。
【0066】
原則として、半導体ウエハは研磨すべき側面によって、研磨ヘッドの助力により、研磨プレート上に配置される研磨パッドに押し当てられる。
【0067】
研磨ヘッドは、基板を横方向に包囲し、研磨中に基板が研磨ヘッドから滑らないようにする保持リングをさらに含む。
【0068】
現代の研磨ヘッドの場合、研磨パッドから遠隔のシリコンウエハの側面は、加わる研磨圧力を伝える弾性膜上に配置される。この膜は、気体または液体のクッションを形成する、細分割されているであろうチャンバシステムの一部である。
【0069】
しかし、膜の代わりに弾性支持体(「裏当てパッド」)を用いる場合にも、研磨ヘッドが用いられる。
【0070】
この場合、研磨ヘッドもまた研磨パッド上を並進させることができ、これにより、研磨パッド区域をより広範囲に利用することができる。
【0071】
さらに、本発明に従う方法は、単一プレートおよび多プレート研磨機で同等に実行することができる。
【0072】
好ましくは2つ、とりわけ好ましくは3つの研磨プレートおよび研磨ヘッドを有する多プレート研磨機を使用することが好ましい。
【0073】
たとえば、レンズブルグ(ドイツ)のピーターウォルターズ(Peter Walters)の研磨機AC2000が、本発明に従う半導体ウエハの両面研磨を実施するのに好適である。
【0074】
研磨機は、キャリアを駆動するために外側および内側リングのピンインターロックを備えている。この装置は、1つ以上のキャリア用に設計されることができる。より高いスループットのために、たとえば特許文献1に記載されているような、複数のキャリア用の装置であって、これらのキャリアが装置の中心を軸に遊星経路上を移動するものが好ましい。該装置は、水平方向に自由に回転可能であり、研磨パッドで覆われた下部および上部研磨プレートを含む。研磨中、半導体ウエハは、pH11〜13.5を有する研磨液が継続的に供給されながら、半導体ウエハを回転させ、それらに特定の研磨圧力をかける、二つの研磨プレート間にあるキャリア内の切り欠き中に位置する。この場合、好ましくはキャリアの円周上の歯に係合する回転ピンリングによって、キャリアも動かされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドによる半導体ウエハの研磨方法であって、研磨パッドは、平均粒径0.1〜1.0μmを有するSiO2の固定結合砥粒を含み、アルカリ成分を含み、固体材料を含有せず、11〜13.5の可変pH値を有する研磨液が供給され、研磨液は、研磨処理中にpH値13未満を有し、研磨処理を終了する目的で、前記pH値を13〜13.5に上昇させる、方法。
【請求項2】
研磨剤のアルカリ成分は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)からなる群からの1つ以上の化合物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
半導体ウエハの片側のみを研磨する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
半導体ウエハの両側を連続的に研磨処理に供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
半導体ウエハの両側を同時に研磨する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
遊星運動の研磨機を用いる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
軌道運動の研磨機を用いる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
研磨液は、研磨処理中に約11.5〜約12のpH値を有し、研磨処理を終了する目的で、前記pH値を13〜13.5に上昇させる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
研磨処理中に半導体ウエハの厚みを測定し、求めた厚みプロファイルを基に前記研磨液のpH値を調整する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
研磨されるべき半導体ウエハの表面と研磨パッドとの間から局所的に半導体ウエハの表面の少なくとも1つの内側領域と少なくとも1つの外側領域とに供給される研磨液は、少なくとも1つの内側領域と少なくとも1つの外側領域とで異なるpH値を有する、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2011−216884(P2011−216884A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−64154(P2011−64154)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】