半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を検出する方法および装置
【課題】簡単な方法により、半導体コンポーネント部品に損傷を与えることなく、製造エラーの位置を突止める。
【解決手段】半導体コンポーネント部品10中に過剰な電荷キャリアを発生させ、半導体コンポーネント部品10中の電位を決定することによって半導体コンポーネント部品10中の製造エラーの位置を突止める。半導体コンポーネント部品10を損傷させずに簡単な方法により製造エラーの位置を突止めるために、半導体コンポーネント部品10が刺激されてルミネセンス状態になるようにされ、また、局地化された解像されたルミネセンス強度分布が決定されて半導体コンポーネント部品10中の電位の局地化された解像された分布が決定される。
【解決手段】半導体コンポーネント部品10中に過剰な電荷キャリアを発生させ、半導体コンポーネント部品10中の電位を決定することによって半導体コンポーネント部品10中の製造エラーの位置を突止める。半導体コンポーネント部品10を損傷させずに簡単な方法により製造エラーの位置を突止めるために、半導体コンポーネント部品10が刺激されてルミネセンス状態になるようにされ、また、局地化された解像されたルミネセンス強度分布が決定されて半導体コンポーネント部品10中の電位の局地化された解像された分布が決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を、半導体コンポーネント部品中で過剰な電荷キャリアを発生し、半導体コンポーネント部品中の電位を決定することによって検出する方法に関する。さらに、本発明は、半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を検出する装置に関し、その装置は半導体コンポーネント部品中の過剰な電荷キャリアの発生のための少なくとも1つの装置を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(US−B−6750662)には、前述のような形式の方法および装置が開示されている。この場合には、半導体コンポーネント部品中の電位分布が金属チップによって測定され、それは幾つかの位置において半導体表面と電気的に接触を生成する。過剰な電荷キャリアを発生させるために、電圧が半導体コンポーネント部品に供給され、すなわち外部電気回路に接続され、或いは半導体コンポーネント部品が電磁放射にさらされる。
【0003】
局地的な解像された電位分布を決定するために、半導体コンポーネント部品の表面を横切ってワイヤがこすり付けられて、それによってコンポーネント部品に損傷を与える。これは損害を生じ、特に、通常設けられているような反射防止層が表面に設けられている場合には、それを通って針を貫通させる必要がある。その結果、機械的な損傷が生じて太陽電池で使用することができなくなる。それとは別の、適当な測定には比較的長い時間が必要である。
【0004】
電気導体中の製造エラーの位置を突止めるために、その電気導体から放出された電子のエネルギを測定するために焦点を結んだUV光がその電気導体に与えられた(特許文献2US−A−4,967,152)。
【0005】
特許文献3(EP−A−0216077)では、非接触方式で集積回路を検査するために光電子放射分光を使用している。
【特許文献1】US−B−6,750,662号明細書、
【特許文献2】US−A−4,967,152号明細書、
【特許文献3】EP−A−0,216,077号明細書、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡単な測定により、半導体コンポーネント部品に損傷を与えることなく、製造エラーの位置を突止めることができるような前述の形式の方法および装置を開発することである。また、短時間で測定が行われることができなければならない。
方法に関しては、本発明の目的は、半導体コンポーネント部品が刺激されてルミネセンスを発生するようになり、そのルミネセンス強度分布が決定されて半導体コンポーネント部品中の電位分布が決定される方法を提供することである。
【0007】
それ自体で、または組合わせて使用されるとき用語ルミネセンスはフォトルミネセンスまたは電気ルミネセンスの一般的状態の用語で規定される。しかしながら、本発明によれば、電気ルミネセンスの強度分布が半導体コンポーネント部品中の局地的な解像された電位分布を決定するために使用されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、半導体コンポーネント部品中の電位分布の非接触の測定が行われ、それにより、測定自体は非常に迅速に、もしも必要であれば、数分の1秒の短い時間で行われることができる。
【0009】
実験では、高い電荷キャリア再結合速度が高い強度で生じることが示されている。しかしながら、高い電荷キャリア再結合は高い過剰な電荷キャリア、すなわち高い電位が存在していることを意味している。
【0010】
事実、電荷キャリアの実効有効寿命に関する不均一性を検出するために半導体コンポーネント部品中のルミネセンス強度を測定することは知られている。それにより高エネルギの光子により(S.Ostapenko およびM.Romero,Eur.Phys. J.Appl.Phys.27,2004of)、または過剰な電荷キャリアの注入により(Tフユキ、Hコンドウ、Tヤマザキ、Yウラオカ、Applied Physics Letters 86,2005, 5261108-1−262108-3)ルミネセンスを刺激することは可能である。前者の場合にはフォトルミネセンスが参照にされ、後者の場合には電気ルミネセンスが参照にされる。Tフユキ等によれば、局部化された解像されたルミネセンス強度の決定は少数キャリアの拡散長に関する情報、すなわち、その有効寿命、したがって半導体層の品質に関する情報を与えるために行われている。
【0011】
しかしながら、ルミネセンス強度分布は電位に関する結論を導くためには使用されていない。すなわち、局部化された解像された方法では、太陽電池の電流放電導電トラックに関する特定のエラーの位置を突止めるために、すなわち、導電トラックの破断または導電トラックの圧縮および、または導電トラックの導電度を制御するために使用されてはいない。
【0012】
さらに、文献US.Z:Applied Physics Letters 86,2004, pp4222 −4224には、太陽電池のフォトルミネセンスの平均値はpn接合の平均電気化学電位を計算するために全ての太陽電池表面を横切って測定されなければならないことが開示されている。その結果太陽電池は、コンタクト導電トラックまたは金属半導体コンタクトのオーム損失なしに電流電圧曲線を示す太陽電池が決定され、それにより製造エラーの制御はできない。
【0013】
ルミネセンスを発生するために必要な過剰な電荷キャリアを生成するために、本発明では、結果的に得られる電位差が空間的な電荷キャリア濃度差となり、したがって異なった空間的な強度差を有するルミネセンス強度が得られるように、半導体コンポーネント部品が外部回路に接続されることを提案している。その代りに、或いはそれに付加して、電磁放射が局地的に或いは広い区域にわたってルミネセンスを刺激するために使用される。
【0014】
特に、これはルミネセンス強度の測定が面積カメラ、ラインカメラまたはスクリーン検出器を使用して半導体に適した波長範囲で行われることが好ましい。選択された条件中で、空間的ルミネセンス強度分布は、空間的電位分布の直接測定を表している。
【0015】
本発明によれば、特に、以下のような利点が得られる。すなわち、
・0.5秒以下の短い測定時間;
・電気コンタクトはわずかな地点しか必要なく、或いは全く必要とされない。それ故、敏感な半導体表面の損傷が基本的に阻止される;
半導体表面の絶縁層が損傷を受けることもなく、それらがルミネセンス放射光に対して透明であれば除去される必要もない;
検出器を整列させ、或いは検出器に焦点を結ばせることにより、ルミネセンス光、および、または過剰な電荷キャリアを発生するために使用される光学的に利用可能な照明光を捕捉することによって、測定範囲および検出すべき局地的解像度に関して大きな柔軟性が与えられ、それ故、特に、半導体コンポーネント部品は、それらの領域の広がりに関係なく、同じ装置で測定することができる。
【0016】
本発明の開発によって、ルミネセンス強度および、またはその空間的な分布が半導体コンポーネント部品中で明らかにされた2つの異なった電流密度の最小のものに対して測定され、半導体コンポーネント部品中の電位分布がそれぞれの電流密度に対して測定されたルミネセンス強度分布の差に基づいて決定される。
【0017】
ルミネセンス強度の測定およびそれによって直接生じる電位分布に基づいて存在しているエラーの位置を突止めることが可能であるために、半導体コンポーネント部品のルミネセンス強度分布とその光学的映像が重畳されることが意図される。
【0018】
本発明によれば、ルミネセンス強度分布が局地的に解像され、局部化された解像されたルミネセンス強度分布が使用されて、半導体コンポーネント部品中の電位の領域的および、または、空間的な分布が決定される。それにおいて、使用されている半導体コンポーネント部品は特に太陽電池である。
【0019】
特に、本発明は、太陽電池中の導電トラックの破断、および、または圧縮の位置を突止め、および、または太陽電池中の導電トラックの導電度を検査する方法を提供し、その場合に太陽電池はルミネセンス、好ましくは電気ルミネセンスを発生するように刺激され、太陽電池中の局部化された解像された電位の分布を決定するために局部化された解像されたルミネセンス強度の分布が決定される。本発明によれば、測定された電気ルミネセンスの分布は電位の分布を決定するために使用され、その場合に、品質的または量的決定が行われる。しかしながら、基本的には、欠陥導電トラックの検出には品質的決定が適している。
【0020】
本発明によれば、ルミネセンス強度に基づいて、太陽電池中の電位分布に関して結論が導き出され、これにより欠陥および、または、不適切に接続された導電トラックに対する結論が得られる。
【0021】
図12を参照すると、本発明に基づいた物理的なプロセスの原理が示されている。この図は、Agからなる複数の前面コンタクトと、Alからなる1個の後面のコンタクトとを備えている例示的な実施形態である太陽電池中の電流を示している。
【0022】
n+ 拡散層中のオーム損失によって、電位は太陽電池の前面側のAgコンタクトにおいて最大であり、2つのAgコンタクトフィンガーの中間の中央に向かって降下している。それ故pn接合を横切る電流密度は前面側のコンタクトにおいて最高であり、2つの前面側のコンタクト間の中央で最低である。この場合にも過剰な電荷キャリア(pドープ領域中のew )の濃度は電流密度が最大であるときに最大である。放射再結合速度、およびしたがってルミネセンス強度は過剰な電荷キャリアの濃度に比例している。
【0023】
本発明の方法は、太陽電池中の導電トラックの破断および、または導電トラックの圧縮の検査および、または、太陽電池の導電トラックの導電度の検査をするために使用されることが好ましい。
【0024】
別の提案された方法では、半導体コンポーネント部品が局地的に照明されて、照明された位置の付近の空間的なルミネセンス強度が測定される。さらに、照明された位置の付近の空間的なルミネセンス強度分布は1以上の半導体導電層の層抵抗を決定するために使用されることができる。
【0025】
前述の形式の装置は、半導体コンポーネント部品のルミネセンスを検出する検出器が半導体コンポーネント部品または半導体コンポーネント部品の1以上の領域に関連されていることを特徴とする。そのような構成では、検出器は、特に、CCDマトリックスカメラまたはCCDラインカメラであることができ、それは、半導体コンポーネント部品に対して随意に調節できるように構成されている。これは、特に大きい面積の半導体コンポーネント部品が検査されるとき有効であり、1つの装置しか必要としない。
【0026】
さらに、検査される半導体コンポーネント部品は過剰な電荷キャリアを発生するために外部電気回路に接続され、および、または半導体コンポーネント部品は過剰な電荷キャリアを発生するために照明に露出される。
【0027】
本発明の付加的な詳細、利点、および特徴は、特許請求の範囲の記載、請求項の組合わせ、添付図面の以下の説明により明らかにされる好ましい実施形態の説明から当業者には明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付図面では基本的には同じ素子は同じ参照符号で示されており、基本的に半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を検出し、また半導体コンポーネント部品中のルミネセンス分布の映像を生成する装置を示している。
【0029】
図1は非常に概略的に本発明の装置の第1の実施形態を示している。この装置は製造エラーに対して単結晶シリコン太陽電池10の形態を有する半導体コンポーネント部品を検査するために使用される。この場合に優先順位は電力ブスバーおよびこれらのブスバーに接続された電流導体トラック中の製造エラーに与えられている。
【0030】
図1を参照すると、太陽電池10はその前面および後面に金属の電力ブスバー1, 9およびそれらのブスバーに接続されてブスバー1, 9に対して垂直方向に延在している細い金属の導電トラック2, 7を備えている。
【0031】
太陽電池10は例えばシリコンパネル5 から構成され、それは厚さが約250μmで、p型でドープされ、その前面側4 の全面がn+ 拡散され、後面側6 の全面がp+ 拡散されている。さらに、前面側4 と後面側6 とは反射防止層3, 8を設けられており、これらの反射防止層3, 8は特にSiNから構成されている。
【0032】
電力ブスバー1, 9において太陽電池10は電圧源Uおよび電流計Iとに直列に接続されている。太陽電池10の上方には検出器12が配置されており、それはこの例示的な実施形態では冷却されたCCDチップを有するカメラとして構成されている。このカメラの感度は700nm乃至1200nmの波長範囲に対して設計されている。
【0033】
太陽電池10として構成された半導体コンポーネント部品中の、すなわち、特に電力ブスバー1, 9および電流導電トラック2, 7の領域中の製造エラーの位置を決定するために、本発明の方法による手順は以下のように行うことができる。
【0034】
伝送方向から見て、電圧は太陽電池10中に過剰の電荷キャリアが発生するように太陽電池10に供給され、この過剰の電荷キャリアは、決定のためにカメラ12により局地的に解像されて測定されることのできる強度を有するルミネセンスを生じ、これに基づいて太陽電池10中の電位の空間的な分布が決定され、それは製造エラーに関する結論を引出すことを可能にする。
【0035】
例えば、0.62Vの電圧は後面の全面が金属被覆され、後面に反射防止層を持たない単結晶太陽電池に供給される。太陽電池10を通る電流密度は伝送方向で35mA/cm3 である。図1に示された装置を使用して、太陽電池10の領域のルミネセンス強度は0.8秒以内で局地的に解像される。図2は、グレースケール映像として結果を示している。明るい色の領域は高いルミネセンス強度に対応し、暗い色の領域は低いルミネセンス強度に対応している。垂直方向に延在する暗い色のラインはこの実施形態では導電トラック2 として示されている太陽電池の前面側の細い金属導電トラックと関連させてはならない。図面の下側のエッジにはルミネセンスのない金属電力ブスバー1 の部分が示されている。これらの金属区域に近い区域では増加された電位による太陽電池の増加されたルミネセンス強度が認められる。図2を参照すると、より明るい色の区域は高い電位に対応し、暗い色の区域は低い電位に対応している。図2を参照すると、グレースケールは金属区域の外側の領域の電位の直接の尺度を表している。金属区域の付近の区域で増加された電位が得られる理由は、n+ 拡散された前面層4 中におけるオーム損失の存在である。さらに、図2は上部から下部へのり電位の増加を示しており、それは可本に示された電力ブスバー1 のみが外部電気回路と電気接続されることによるものである。測定された電位分布は、太陽電池の検査された領域に製造エラーは存在しないことを明瞭にしている。
【0036】
前述の例示的な数値はもちろん検査される半導体コンポーネント部品に応じて変化するから、本発明を狭く限定するものと考えてはならない。
【0037】
図3は半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出し、その位置を突止めるための装置の別の例示的な実施形態を示しており、図1のものと対応する素子は同じ参照符号が付けられている。
【0038】
前述の方法を補足して、太陽電池10は光源14により照明されながら、ルミネセンス強度が測定されている。その結果、電荷キャリアが半導体中に発生され、それ故、太陽電池10の特定の使用の場合と同様の電位分布が生じる。さらに、例えば金属導電トラック1, 2のような反射領域は、カメラ12が反射された光の波長範囲で感度を有する場合には、識別可能にされる。この場合には、光学的映像と空間的なルミネセンス強度分布の重ねられた映像が得られる。これは、低いルミネセンス強度を表す半導体領域と、例えば金属導電トラック1, 2のようなルミネセンス放射に透明な区域がない領域との間の簡単な区別を可能にする。
【0039】
図3の装置を参照すると、電圧源Uを含む外部電気回路に太陽電池10が接続されることは絶対に必要なことではない。これは図6の実施形態に対応しており、それにおいては外部電気回路は調節可能な抵抗Rで構成されている。電流自体は太陽電池10によって発生される。しかしながら、基本的に電圧の印加は、充分な量の過剰電荷キャリアを生成して、測定を行うために必要なルミネセンスを生成するためには必要である。
【0040】
図3を参照すると、示されている基本的な装置は製造エラーに対して多結晶シリコン太陽電池を検査するために使用された。これを行うために、0.62Vの電圧が印加され、その場合にシリコン太陽電池の後面側は完全に金属で被覆され、反射防止層は有していない。太陽電池を通る電流密度は伝送方向で30mA/cm3 であった。
【0041】
図4は、300nm乃至1200nmの波長範囲で感度を有するCCDカメラにより記録された映像を示している。この例では補助照明が、半導体中の電荷キャリアの光による発生率には無関係であるような弱い強度で照射されている。その結果、電位分布は図2の場合と匹敵し、エラーのない製造プロセスを示している。さらに、太陽電池の前面側の金属導電トラック2 は、それらの金属導電トラック2 の間の前面側の反射防止被覆シリコン層4 よりも強く可視光を反射するため、明るい。これは、電荷キャリアが減少された実効有効寿命を有し、過剰な電荷キャリア密度が減少されている領域、すなわち低いルミネセンス強度が表示される領域が、金属導電トラック2 によって覆われている領域と容易に識別できる利点を与える。電荷キャリアが減少された実効有効寿命を有する領域は多結晶シリコン中では規則的に観察される。図4では上方右手にそのような領域が認められる。
【0042】
図5は、上記と同じ条件下で測定された多結晶シリコン太陽電池の映像を示している。電気コンタクトは映像の下側の見えていない電力ブスバーにおいて行われる。図5の中間部分の暗い領域は金属導電トラック2 の中間の1つが破断されたことによる低い電位を示す領域に対応しており、この破断は裸眼で観察可能である。導電トラック2 自体は補助照明によって暗い領域中に明るい色のラインとして容易に観察することができる。
【0043】
図7は、半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める本発明の装置の別の基本的な実施形態の例示である。この例示された実施形態では、半導体コンポーネント部品16は結晶シリコンパネル18であり、それはpドープされ、その前面側20は全面にn+ 拡散されている。収束された光源22、理想的にはレーザが局地的に過剰な電荷キャリアを発生し、そのため、pn接合の電荷キャリア分離特性によって増加された電位が照明された領域で生じる。n+ 拡散層20中のオーム損失により、電位は照明された領域の外側では低下する。CCDマトリックスカメラまたはCCDラインカメラのようなカメラ24によって測定された空間的なルミネセンス分布に基づいて、照明された領域の周囲の電位分布が決定される。これによりn+ 拡散層20の層抵抗が得られる。シリコンパネル18全体を走査することによって、層抵抗が局地的に解像されて測定される。このようにする場合に、例示された実施形態では、本発明の使用により、ドープ物質の拡散の熱処理プロセスの無接触の品質制御が簡単で理想的な方法で可能になる。
【0044】
図3,6,7を参照すると、光源14, 22のような光源が使用されて半導体中に過剰な電荷キャリアを発生する場合には、これらの光源には典型的に500W/m2 より大きい強度が使用される。波長範囲は、ルミネセンス検出器に妨害を与えないようにルミネセンスの波長範囲の外側(多くの場合には下側)でなければならない。ルミネセンスの波長範囲では高い透過性を示し、この範囲の外側では非常に低い透過性を示ず光学的フィルタが潜在的に検出器の上流側に配置される。シリコン太陽電池のルミネセンスは1000乃至1300nmの波長範囲では高い強度である。シリコンのルミネセンスは440乃至1800nmの波長範囲で測定された。典型的に300乃至850nmの範囲の波長を有する光が過剰な電荷キャリアを発生するために使用された。それは、特に、シリコンの吸収係数がこの範囲で非常に高いからである。過剰な電荷キャリアの局地的な発生(光源22)のためには、632.8nmの波長を有するヘリウム・ネオンレーザが適している。
【0045】
図3および6によれば、光源は光学的映像の重畳のためだけに使用されるので、例えば0.5W/m2 のような非常に低い強度が使用される。波長範囲に関しては、唯一の適用条件はカメラが充分な感度であることである。それ故、例えば、200nmよりも大きい波長を有するネオン蛍光灯またはハロゲンランプからの光がシリコン太陽電池に対して使用されるカメラと共に使用される。
【0046】
本発明について考慮すると、空間的なルミネセンス強度分布に基づいた1以上の導電性半導体層の層抵抗を決定することもまた可能である。図7に示されたコンポーネント部品を参照すると、例えば、局地的な照明による電位およびルミネセンス強度は図11により示されているような曲線を生成する。これにおいてRsheet1とRsheet2はn+ 拡散層の異なるレベルの層抵抗を表しており、ここではRsheet1<Rsheet2と仮定する。電位の降下が急峻なほど照明された領域の外側であり、層抵抗が大きい。電位はルミネセンスに基づいて決定される。
【0047】
図8乃至10を参照すると、半導体コンポーネント部品の製造エラーを検出してその位置を突止めるための付加的な測定オプションがある。例えば、図8は10mA/cm2 の低い電流密度における多結晶シリコン太陽電池の領域のルミネセンス強度を示しており、ルミネセンス強度自体は図1にしたがって構成された装置で測定される。同じ装置を使用して、同じ多結晶シリコン太陽電池のルミネセンスはそのとき50mA/cm2 の高い電流密度が測定された(図9)。そのとき多結晶シリコン太陽電池に供給された電圧は伝送方向に印加された。測定に使用された太陽電池はアルミニウムからなる全面が金属被覆された後面側を有しており、それにコネクタをハンダ接続するために部分的に銀が付着されている。低い電流密度では、垂直に延在する導電トラック間の領域における電位変化は無視できる程度(図8)であり、一方、この電位変化は高い電流密度でははるかに顕著であった(図9).後者はpn接合により電位とルミネセンス強度との関係が指数関数的に増加している。図9の上方右側部分を参照すると、銀のハンダの島の領域中にこの領域では減少されている電荷キャリアの実効有効寿命の影響によって測定された電位分布が重畳されている。これは、減少された実効有効寿命の電荷キャリアを有する領域は、電位が低い領域と区別が困難であることを意味している。この曖昧さを除去するために、空間的な電位分布は、本発明によれば、高い電流密度と低い電流密度で記録された映像のグレースケール値が1地点づつ減算されるように、電荷キャリアの実効有効寿命とは関係なく太陽電池において決定されることができる。この結果は図10に示されている。この図は電荷キャリアの実効有効寿命の影響の観点から補正されている空間的な電位分布を示している。図8および9の銀のハンダの島の領域中の異なったルミネセンスを表している領域が製造エラーを示していないことが明瞭にされている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める装置の第1の実施形態を示す概略図。
【図2】図1に示された半導体コンポーネント部品の領域のグレースケール映像を示す図。
【図3】半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める装置の第2の実施形態を示す概略図。
【図4】図3に示された半導体コンポーネント部品の断面の映像を示す図。
【図5】図3に示された装置で測定された多結晶シリコン太陽電池の断面の映像を示す図。
【図6】半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める装置の別の実施形態を示す概略図。
【図7】半導体コンポーネント部品における製造エラーを検出してその位置を突止める装置の第4の実施形態を示す概略図。
【図8】異なったルミネセンス強度を示す半導体コンポーネント部品の領域の映像を示す図。
【図9】異なったルミネセンス強度を示す半導体コンポーネント部品の領域の映像を示す図。
【図10】異なったルミネセンス強度を示す半導体コンポーネント部品の領域の映像を示す図。
【図11】半導体コンポーネント部品中の電位とルミネセンス強度の位置に依存した特性曲線図。
【図12】太陽電池中の電流の基本図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を、半導体コンポーネント部品中で過剰な電荷キャリアを発生し、半導体コンポーネント部品中の電位を決定することによって検出する方法に関する。さらに、本発明は、半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を検出する装置に関し、その装置は半導体コンポーネント部品中の過剰な電荷キャリアの発生のための少なくとも1つの装置を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(US−B−6750662)には、前述のような形式の方法および装置が開示されている。この場合には、半導体コンポーネント部品中の電位分布が金属チップによって測定され、それは幾つかの位置において半導体表面と電気的に接触を生成する。過剰な電荷キャリアを発生させるために、電圧が半導体コンポーネント部品に供給され、すなわち外部電気回路に接続され、或いは半導体コンポーネント部品が電磁放射にさらされる。
【0003】
局地的な解像された電位分布を決定するために、半導体コンポーネント部品の表面を横切ってワイヤがこすり付けられて、それによってコンポーネント部品に損傷を与える。これは損害を生じ、特に、通常設けられているような反射防止層が表面に設けられている場合には、それを通って針を貫通させる必要がある。その結果、機械的な損傷が生じて太陽電池で使用することができなくなる。それとは別の、適当な測定には比較的長い時間が必要である。
【0004】
電気導体中の製造エラーの位置を突止めるために、その電気導体から放出された電子のエネルギを測定するために焦点を結んだUV光がその電気導体に与えられた(特許文献2US−A−4,967,152)。
【0005】
特許文献3(EP−A−0216077)では、非接触方式で集積回路を検査するために光電子放射分光を使用している。
【特許文献1】US−B−6,750,662号明細書、
【特許文献2】US−A−4,967,152号明細書、
【特許文献3】EP−A−0,216,077号明細書、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡単な測定により、半導体コンポーネント部品に損傷を与えることなく、製造エラーの位置を突止めることができるような前述の形式の方法および装置を開発することである。また、短時間で測定が行われることができなければならない。
方法に関しては、本発明の目的は、半導体コンポーネント部品が刺激されてルミネセンスを発生するようになり、そのルミネセンス強度分布が決定されて半導体コンポーネント部品中の電位分布が決定される方法を提供することである。
【0007】
それ自体で、または組合わせて使用されるとき用語ルミネセンスはフォトルミネセンスまたは電気ルミネセンスの一般的状態の用語で規定される。しかしながら、本発明によれば、電気ルミネセンスの強度分布が半導体コンポーネント部品中の局地的な解像された電位分布を決定するために使用されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、半導体コンポーネント部品中の電位分布の非接触の測定が行われ、それにより、測定自体は非常に迅速に、もしも必要であれば、数分の1秒の短い時間で行われることができる。
【0009】
実験では、高い電荷キャリア再結合速度が高い強度で生じることが示されている。しかしながら、高い電荷キャリア再結合は高い過剰な電荷キャリア、すなわち高い電位が存在していることを意味している。
【0010】
事実、電荷キャリアの実効有効寿命に関する不均一性を検出するために半導体コンポーネント部品中のルミネセンス強度を測定することは知られている。それにより高エネルギの光子により(S.Ostapenko およびM.Romero,Eur.Phys. J.Appl.Phys.27,2004of)、または過剰な電荷キャリアの注入により(Tフユキ、Hコンドウ、Tヤマザキ、Yウラオカ、Applied Physics Letters 86,2005, 5261108-1−262108-3)ルミネセンスを刺激することは可能である。前者の場合にはフォトルミネセンスが参照にされ、後者の場合には電気ルミネセンスが参照にされる。Tフユキ等によれば、局部化された解像されたルミネセンス強度の決定は少数キャリアの拡散長に関する情報、すなわち、その有効寿命、したがって半導体層の品質に関する情報を与えるために行われている。
【0011】
しかしながら、ルミネセンス強度分布は電位に関する結論を導くためには使用されていない。すなわち、局部化された解像された方法では、太陽電池の電流放電導電トラックに関する特定のエラーの位置を突止めるために、すなわち、導電トラックの破断または導電トラックの圧縮および、または導電トラックの導電度を制御するために使用されてはいない。
【0012】
さらに、文献US.Z:Applied Physics Letters 86,2004, pp4222 −4224には、太陽電池のフォトルミネセンスの平均値はpn接合の平均電気化学電位を計算するために全ての太陽電池表面を横切って測定されなければならないことが開示されている。その結果太陽電池は、コンタクト導電トラックまたは金属半導体コンタクトのオーム損失なしに電流電圧曲線を示す太陽電池が決定され、それにより製造エラーの制御はできない。
【0013】
ルミネセンスを発生するために必要な過剰な電荷キャリアを生成するために、本発明では、結果的に得られる電位差が空間的な電荷キャリア濃度差となり、したがって異なった空間的な強度差を有するルミネセンス強度が得られるように、半導体コンポーネント部品が外部回路に接続されることを提案している。その代りに、或いはそれに付加して、電磁放射が局地的に或いは広い区域にわたってルミネセンスを刺激するために使用される。
【0014】
特に、これはルミネセンス強度の測定が面積カメラ、ラインカメラまたはスクリーン検出器を使用して半導体に適した波長範囲で行われることが好ましい。選択された条件中で、空間的ルミネセンス強度分布は、空間的電位分布の直接測定を表している。
【0015】
本発明によれば、特に、以下のような利点が得られる。すなわち、
・0.5秒以下の短い測定時間;
・電気コンタクトはわずかな地点しか必要なく、或いは全く必要とされない。それ故、敏感な半導体表面の損傷が基本的に阻止される;
半導体表面の絶縁層が損傷を受けることもなく、それらがルミネセンス放射光に対して透明であれば除去される必要もない;
検出器を整列させ、或いは検出器に焦点を結ばせることにより、ルミネセンス光、および、または過剰な電荷キャリアを発生するために使用される光学的に利用可能な照明光を捕捉することによって、測定範囲および検出すべき局地的解像度に関して大きな柔軟性が与えられ、それ故、特に、半導体コンポーネント部品は、それらの領域の広がりに関係なく、同じ装置で測定することができる。
【0016】
本発明の開発によって、ルミネセンス強度および、またはその空間的な分布が半導体コンポーネント部品中で明らかにされた2つの異なった電流密度の最小のものに対して測定され、半導体コンポーネント部品中の電位分布がそれぞれの電流密度に対して測定されたルミネセンス強度分布の差に基づいて決定される。
【0017】
ルミネセンス強度の測定およびそれによって直接生じる電位分布に基づいて存在しているエラーの位置を突止めることが可能であるために、半導体コンポーネント部品のルミネセンス強度分布とその光学的映像が重畳されることが意図される。
【0018】
本発明によれば、ルミネセンス強度分布が局地的に解像され、局部化された解像されたルミネセンス強度分布が使用されて、半導体コンポーネント部品中の電位の領域的および、または、空間的な分布が決定される。それにおいて、使用されている半導体コンポーネント部品は特に太陽電池である。
【0019】
特に、本発明は、太陽電池中の導電トラックの破断、および、または圧縮の位置を突止め、および、または太陽電池中の導電トラックの導電度を検査する方法を提供し、その場合に太陽電池はルミネセンス、好ましくは電気ルミネセンスを発生するように刺激され、太陽電池中の局部化された解像された電位の分布を決定するために局部化された解像されたルミネセンス強度の分布が決定される。本発明によれば、測定された電気ルミネセンスの分布は電位の分布を決定するために使用され、その場合に、品質的または量的決定が行われる。しかしながら、基本的には、欠陥導電トラックの検出には品質的決定が適している。
【0020】
本発明によれば、ルミネセンス強度に基づいて、太陽電池中の電位分布に関して結論が導き出され、これにより欠陥および、または、不適切に接続された導電トラックに対する結論が得られる。
【0021】
図12を参照すると、本発明に基づいた物理的なプロセスの原理が示されている。この図は、Agからなる複数の前面コンタクトと、Alからなる1個の後面のコンタクトとを備えている例示的な実施形態である太陽電池中の電流を示している。
【0022】
n+ 拡散層中のオーム損失によって、電位は太陽電池の前面側のAgコンタクトにおいて最大であり、2つのAgコンタクトフィンガーの中間の中央に向かって降下している。それ故pn接合を横切る電流密度は前面側のコンタクトにおいて最高であり、2つの前面側のコンタクト間の中央で最低である。この場合にも過剰な電荷キャリア(pドープ領域中のew )の濃度は電流密度が最大であるときに最大である。放射再結合速度、およびしたがってルミネセンス強度は過剰な電荷キャリアの濃度に比例している。
【0023】
本発明の方法は、太陽電池中の導電トラックの破断および、または導電トラックの圧縮の検査および、または、太陽電池の導電トラックの導電度の検査をするために使用されることが好ましい。
【0024】
別の提案された方法では、半導体コンポーネント部品が局地的に照明されて、照明された位置の付近の空間的なルミネセンス強度が測定される。さらに、照明された位置の付近の空間的なルミネセンス強度分布は1以上の半導体導電層の層抵抗を決定するために使用されることができる。
【0025】
前述の形式の装置は、半導体コンポーネント部品のルミネセンスを検出する検出器が半導体コンポーネント部品または半導体コンポーネント部品の1以上の領域に関連されていることを特徴とする。そのような構成では、検出器は、特に、CCDマトリックスカメラまたはCCDラインカメラであることができ、それは、半導体コンポーネント部品に対して随意に調節できるように構成されている。これは、特に大きい面積の半導体コンポーネント部品が検査されるとき有効であり、1つの装置しか必要としない。
【0026】
さらに、検査される半導体コンポーネント部品は過剰な電荷キャリアを発生するために外部電気回路に接続され、および、または半導体コンポーネント部品は過剰な電荷キャリアを発生するために照明に露出される。
【0027】
本発明の付加的な詳細、利点、および特徴は、特許請求の範囲の記載、請求項の組合わせ、添付図面の以下の説明により明らかにされる好ましい実施形態の説明から当業者には明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付図面では基本的には同じ素子は同じ参照符号で示されており、基本的に半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を検出し、また半導体コンポーネント部品中のルミネセンス分布の映像を生成する装置を示している。
【0029】
図1は非常に概略的に本発明の装置の第1の実施形態を示している。この装置は製造エラーに対して単結晶シリコン太陽電池10の形態を有する半導体コンポーネント部品を検査するために使用される。この場合に優先順位は電力ブスバーおよびこれらのブスバーに接続された電流導体トラック中の製造エラーに与えられている。
【0030】
図1を参照すると、太陽電池10はその前面および後面に金属の電力ブスバー1, 9およびそれらのブスバーに接続されてブスバー1, 9に対して垂直方向に延在している細い金属の導電トラック2, 7を備えている。
【0031】
太陽電池10は例えばシリコンパネル5 から構成され、それは厚さが約250μmで、p型でドープされ、その前面側4 の全面がn+ 拡散され、後面側6 の全面がp+ 拡散されている。さらに、前面側4 と後面側6 とは反射防止層3, 8を設けられており、これらの反射防止層3, 8は特にSiNから構成されている。
【0032】
電力ブスバー1, 9において太陽電池10は電圧源Uおよび電流計Iとに直列に接続されている。太陽電池10の上方には検出器12が配置されており、それはこの例示的な実施形態では冷却されたCCDチップを有するカメラとして構成されている。このカメラの感度は700nm乃至1200nmの波長範囲に対して設計されている。
【0033】
太陽電池10として構成された半導体コンポーネント部品中の、すなわち、特に電力ブスバー1, 9および電流導電トラック2, 7の領域中の製造エラーの位置を決定するために、本発明の方法による手順は以下のように行うことができる。
【0034】
伝送方向から見て、電圧は太陽電池10中に過剰の電荷キャリアが発生するように太陽電池10に供給され、この過剰の電荷キャリアは、決定のためにカメラ12により局地的に解像されて測定されることのできる強度を有するルミネセンスを生じ、これに基づいて太陽電池10中の電位の空間的な分布が決定され、それは製造エラーに関する結論を引出すことを可能にする。
【0035】
例えば、0.62Vの電圧は後面の全面が金属被覆され、後面に反射防止層を持たない単結晶太陽電池に供給される。太陽電池10を通る電流密度は伝送方向で35mA/cm3 である。図1に示された装置を使用して、太陽電池10の領域のルミネセンス強度は0.8秒以内で局地的に解像される。図2は、グレースケール映像として結果を示している。明るい色の領域は高いルミネセンス強度に対応し、暗い色の領域は低いルミネセンス強度に対応している。垂直方向に延在する暗い色のラインはこの実施形態では導電トラック2 として示されている太陽電池の前面側の細い金属導電トラックと関連させてはならない。図面の下側のエッジにはルミネセンスのない金属電力ブスバー1 の部分が示されている。これらの金属区域に近い区域では増加された電位による太陽電池の増加されたルミネセンス強度が認められる。図2を参照すると、より明るい色の区域は高い電位に対応し、暗い色の区域は低い電位に対応している。図2を参照すると、グレースケールは金属区域の外側の領域の電位の直接の尺度を表している。金属区域の付近の区域で増加された電位が得られる理由は、n+ 拡散された前面層4 中におけるオーム損失の存在である。さらに、図2は上部から下部へのり電位の増加を示しており、それは可本に示された電力ブスバー1 のみが外部電気回路と電気接続されることによるものである。測定された電位分布は、太陽電池の検査された領域に製造エラーは存在しないことを明瞭にしている。
【0036】
前述の例示的な数値はもちろん検査される半導体コンポーネント部品に応じて変化するから、本発明を狭く限定するものと考えてはならない。
【0037】
図3は半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出し、その位置を突止めるための装置の別の例示的な実施形態を示しており、図1のものと対応する素子は同じ参照符号が付けられている。
【0038】
前述の方法を補足して、太陽電池10は光源14により照明されながら、ルミネセンス強度が測定されている。その結果、電荷キャリアが半導体中に発生され、それ故、太陽電池10の特定の使用の場合と同様の電位分布が生じる。さらに、例えば金属導電トラック1, 2のような反射領域は、カメラ12が反射された光の波長範囲で感度を有する場合には、識別可能にされる。この場合には、光学的映像と空間的なルミネセンス強度分布の重ねられた映像が得られる。これは、低いルミネセンス強度を表す半導体領域と、例えば金属導電トラック1, 2のようなルミネセンス放射に透明な区域がない領域との間の簡単な区別を可能にする。
【0039】
図3の装置を参照すると、電圧源Uを含む外部電気回路に太陽電池10が接続されることは絶対に必要なことではない。これは図6の実施形態に対応しており、それにおいては外部電気回路は調節可能な抵抗Rで構成されている。電流自体は太陽電池10によって発生される。しかしながら、基本的に電圧の印加は、充分な量の過剰電荷キャリアを生成して、測定を行うために必要なルミネセンスを生成するためには必要である。
【0040】
図3を参照すると、示されている基本的な装置は製造エラーに対して多結晶シリコン太陽電池を検査するために使用された。これを行うために、0.62Vの電圧が印加され、その場合にシリコン太陽電池の後面側は完全に金属で被覆され、反射防止層は有していない。太陽電池を通る電流密度は伝送方向で30mA/cm3 であった。
【0041】
図4は、300nm乃至1200nmの波長範囲で感度を有するCCDカメラにより記録された映像を示している。この例では補助照明が、半導体中の電荷キャリアの光による発生率には無関係であるような弱い強度で照射されている。その結果、電位分布は図2の場合と匹敵し、エラーのない製造プロセスを示している。さらに、太陽電池の前面側の金属導電トラック2 は、それらの金属導電トラック2 の間の前面側の反射防止被覆シリコン層4 よりも強く可視光を反射するため、明るい。これは、電荷キャリアが減少された実効有効寿命を有し、過剰な電荷キャリア密度が減少されている領域、すなわち低いルミネセンス強度が表示される領域が、金属導電トラック2 によって覆われている領域と容易に識別できる利点を与える。電荷キャリアが減少された実効有効寿命を有する領域は多結晶シリコン中では規則的に観察される。図4では上方右手にそのような領域が認められる。
【0042】
図5は、上記と同じ条件下で測定された多結晶シリコン太陽電池の映像を示している。電気コンタクトは映像の下側の見えていない電力ブスバーにおいて行われる。図5の中間部分の暗い領域は金属導電トラック2 の中間の1つが破断されたことによる低い電位を示す領域に対応しており、この破断は裸眼で観察可能である。導電トラック2 自体は補助照明によって暗い領域中に明るい色のラインとして容易に観察することができる。
【0043】
図7は、半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める本発明の装置の別の基本的な実施形態の例示である。この例示された実施形態では、半導体コンポーネント部品16は結晶シリコンパネル18であり、それはpドープされ、その前面側20は全面にn+ 拡散されている。収束された光源22、理想的にはレーザが局地的に過剰な電荷キャリアを発生し、そのため、pn接合の電荷キャリア分離特性によって増加された電位が照明された領域で生じる。n+ 拡散層20中のオーム損失により、電位は照明された領域の外側では低下する。CCDマトリックスカメラまたはCCDラインカメラのようなカメラ24によって測定された空間的なルミネセンス分布に基づいて、照明された領域の周囲の電位分布が決定される。これによりn+ 拡散層20の層抵抗が得られる。シリコンパネル18全体を走査することによって、層抵抗が局地的に解像されて測定される。このようにする場合に、例示された実施形態では、本発明の使用により、ドープ物質の拡散の熱処理プロセスの無接触の品質制御が簡単で理想的な方法で可能になる。
【0044】
図3,6,7を参照すると、光源14, 22のような光源が使用されて半導体中に過剰な電荷キャリアを発生する場合には、これらの光源には典型的に500W/m2 より大きい強度が使用される。波長範囲は、ルミネセンス検出器に妨害を与えないようにルミネセンスの波長範囲の外側(多くの場合には下側)でなければならない。ルミネセンスの波長範囲では高い透過性を示し、この範囲の外側では非常に低い透過性を示ず光学的フィルタが潜在的に検出器の上流側に配置される。シリコン太陽電池のルミネセンスは1000乃至1300nmの波長範囲では高い強度である。シリコンのルミネセンスは440乃至1800nmの波長範囲で測定された。典型的に300乃至850nmの範囲の波長を有する光が過剰な電荷キャリアを発生するために使用された。それは、特に、シリコンの吸収係数がこの範囲で非常に高いからである。過剰な電荷キャリアの局地的な発生(光源22)のためには、632.8nmの波長を有するヘリウム・ネオンレーザが適している。
【0045】
図3および6によれば、光源は光学的映像の重畳のためだけに使用されるので、例えば0.5W/m2 のような非常に低い強度が使用される。波長範囲に関しては、唯一の適用条件はカメラが充分な感度であることである。それ故、例えば、200nmよりも大きい波長を有するネオン蛍光灯またはハロゲンランプからの光がシリコン太陽電池に対して使用されるカメラと共に使用される。
【0046】
本発明について考慮すると、空間的なルミネセンス強度分布に基づいた1以上の導電性半導体層の層抵抗を決定することもまた可能である。図7に示されたコンポーネント部品を参照すると、例えば、局地的な照明による電位およびルミネセンス強度は図11により示されているような曲線を生成する。これにおいてRsheet1とRsheet2はn+ 拡散層の異なるレベルの層抵抗を表しており、ここではRsheet1<Rsheet2と仮定する。電位の降下が急峻なほど照明された領域の外側であり、層抵抗が大きい。電位はルミネセンスに基づいて決定される。
【0047】
図8乃至10を参照すると、半導体コンポーネント部品の製造エラーを検出してその位置を突止めるための付加的な測定オプションがある。例えば、図8は10mA/cm2 の低い電流密度における多結晶シリコン太陽電池の領域のルミネセンス強度を示しており、ルミネセンス強度自体は図1にしたがって構成された装置で測定される。同じ装置を使用して、同じ多結晶シリコン太陽電池のルミネセンスはそのとき50mA/cm2 の高い電流密度が測定された(図9)。そのとき多結晶シリコン太陽電池に供給された電圧は伝送方向に印加された。測定に使用された太陽電池はアルミニウムからなる全面が金属被覆された後面側を有しており、それにコネクタをハンダ接続するために部分的に銀が付着されている。低い電流密度では、垂直に延在する導電トラック間の領域における電位変化は無視できる程度(図8)であり、一方、この電位変化は高い電流密度でははるかに顕著であった(図9).後者はpn接合により電位とルミネセンス強度との関係が指数関数的に増加している。図9の上方右側部分を参照すると、銀のハンダの島の領域中にこの領域では減少されている電荷キャリアの実効有効寿命の影響によって測定された電位分布が重畳されている。これは、減少された実効有効寿命の電荷キャリアを有する領域は、電位が低い領域と区別が困難であることを意味している。この曖昧さを除去するために、空間的な電位分布は、本発明によれば、高い電流密度と低い電流密度で記録された映像のグレースケール値が1地点づつ減算されるように、電荷キャリアの実効有効寿命とは関係なく太陽電池において決定されることができる。この結果は図10に示されている。この図は電荷キャリアの実効有効寿命の影響の観点から補正されている空間的な電位分布を示している。図8および9の銀のハンダの島の領域中の異なったルミネセンスを表している領域が製造エラーを示していないことが明瞭にされている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める装置の第1の実施形態を示す概略図。
【図2】図1に示された半導体コンポーネント部品の領域のグレースケール映像を示す図。
【図3】半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める装置の第2の実施形態を示す概略図。
【図4】図3に示された半導体コンポーネント部品の断面の映像を示す図。
【図5】図3に示された装置で測定された多結晶シリコン太陽電池の断面の映像を示す図。
【図6】半導体コンポーネント部品中の製造エラーを検出してその位置を突止める装置の別の実施形態を示す概略図。
【図7】半導体コンポーネント部品における製造エラーを検出してその位置を突止める装置の第4の実施形態を示す概略図。
【図8】異なったルミネセンス強度を示す半導体コンポーネント部品の領域の映像を示す図。
【図9】異なったルミネセンス強度を示す半導体コンポーネント部品の領域の映像を示す図。
【図10】異なったルミネセンス強度を示す半導体コンポーネント部品の領域の映像を示す図。
【図11】半導体コンポーネント部品中の電位とルミネセンス強度の位置に依存した特性曲線図。
【図12】太陽電池中の電流の基本図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体コンポーネント部品中に過剰の電荷キャリアを生成し、前記半導体コンポーネント部品中の電位を決定することによって半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を決定する方法において、
半導体コンポーネント部品は刺激を受けてルミネセンス状態とされ、局地的に解像されたルミネセンス強度分布が決定されて半導体コンポーネント部品中の電位分布が決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ルミネセンス強度はCCDマトリックスカメラまたはCCDラインカメラによって決定される請求項1記載の方法。
【請求項3】
過剰の電荷キャリアを生成するために、電圧が半導体コンポーネント部品に供給される請求項1記載の方法。
【請求項4】
半導体コンポーネント部品中に過剰の電荷キャリアを生成するために、半導体コンポーネント部品が電磁放射に露出される請求項1記載の方法。
【請求項5】
ルミネセンス強度が半導体コンポーネント部品中で明らかにされた2つの異なった電流密度の最小のものに対して測定され、半導体コンポーネント部品中の電位分布がそれぞれの電流密度に対して測定されたルミネセンス強度分布の差に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
半導体コンポーネント部品のルミネセンス強度分布とその光学的映像が半導体コンポーネント部品上および、またはその内部の電位分布を決定するために重畳されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
ルミネセンス強度が局地的に解像される方法で測定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
局地的に解像されたルミネセンス強度分布が半導体コンポーネント部品中の電位の領域または空間分布を決定するために使用されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
使用される半導体コンポーネント部品が太陽電池であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
太陽電池中の導電トラックの破断および、または導電トラックの圧縮の位置を決定する請求項9記載の方法。
【請求項11】
太陽電池の導電トラックの導電度を検査する請求項9記載の方法。
【請求項12】
半導体コンポーネント部品が局地的に刺激されてルミネセンスを生成し、決定される半導体コンポーネント部品の1以上の導電層の層抵抗に基づいて電位を決定するために測定されたルミネセンス強度分布が使用される請求項1記載の方法。
【請求項13】
太陽電池の導電トラックを検査する方法において、
電圧の印加により、または電磁放射により過剰な電荷キャリアが太陽電池中において発生され、
太陽電池中の過剰な電荷キャリアにより生成されたルミネセンスの局地的に解像された分布が決定され、
局地的に解像されたルミネセンスの分布に基づいて、太陽電池中の局地的に解像された電位分布が決定され、それによって導電トラックの進行および、または導電度についての検査結果を得ることが可能にされる各ステップを含んでいる方法。
【請求項14】
請求項1に記載された方法を実行するために使用され、半導体コンポーネント部品中に過剰の電荷キャリアを生成するための少なくとも1つの電荷キャリア生成装置を具備し、太陽電池のような半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を決定する装置において、
半導体コンポーネント部品のルミネセンスを検出する検出器が半導体コンポーネント部品または半導体コンポーネント部品の少なくとも1領域に関連されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
検出器は、CCDラインカメラまたはCCDマトリックスカメラであることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
検出器は、半導体コンポーネント部品に対して調節できるように構成されていることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項17】
過剰な電荷キャリアを発生させるために、半導体コンポーネント部品は外部電気回路に接続されていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
過剰な電荷キャリアを発生させるために、半導体コンポーネント部品は照明光源と関連されることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項記載の装置。
【請求項1】
半導体コンポーネント部品中に過剰の電荷キャリアを生成し、前記半導体コンポーネント部品中の電位を決定することによって半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を決定する方法において、
半導体コンポーネント部品は刺激を受けてルミネセンス状態とされ、局地的に解像されたルミネセンス強度分布が決定されて半導体コンポーネント部品中の電位分布が決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ルミネセンス強度はCCDマトリックスカメラまたはCCDラインカメラによって決定される請求項1記載の方法。
【請求項3】
過剰の電荷キャリアを生成するために、電圧が半導体コンポーネント部品に供給される請求項1記載の方法。
【請求項4】
半導体コンポーネント部品中に過剰の電荷キャリアを生成するために、半導体コンポーネント部品が電磁放射に露出される請求項1記載の方法。
【請求項5】
ルミネセンス強度が半導体コンポーネント部品中で明らかにされた2つの異なった電流密度の最小のものに対して測定され、半導体コンポーネント部品中の電位分布がそれぞれの電流密度に対して測定されたルミネセンス強度分布の差に基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
半導体コンポーネント部品のルミネセンス強度分布とその光学的映像が半導体コンポーネント部品上および、またはその内部の電位分布を決定するために重畳されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
ルミネセンス強度が局地的に解像される方法で測定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
局地的に解像されたルミネセンス強度分布が半導体コンポーネント部品中の電位の領域または空間分布を決定するために使用されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
使用される半導体コンポーネント部品が太陽電池であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
太陽電池中の導電トラックの破断および、または導電トラックの圧縮の位置を決定する請求項9記載の方法。
【請求項11】
太陽電池の導電トラックの導電度を検査する請求項9記載の方法。
【請求項12】
半導体コンポーネント部品が局地的に刺激されてルミネセンスを生成し、決定される半導体コンポーネント部品の1以上の導電層の層抵抗に基づいて電位を決定するために測定されたルミネセンス強度分布が使用される請求項1記載の方法。
【請求項13】
太陽電池の導電トラックを検査する方法において、
電圧の印加により、または電磁放射により過剰な電荷キャリアが太陽電池中において発生され、
太陽電池中の過剰な電荷キャリアにより生成されたルミネセンスの局地的に解像された分布が決定され、
局地的に解像されたルミネセンスの分布に基づいて、太陽電池中の局地的に解像された電位分布が決定され、それによって導電トラックの進行および、または導電度についての検査結果を得ることが可能にされる各ステップを含んでいる方法。
【請求項14】
請求項1に記載された方法を実行するために使用され、半導体コンポーネント部品中に過剰の電荷キャリアを生成するための少なくとも1つの電荷キャリア生成装置を具備し、太陽電池のような半導体コンポーネント部品中の製造エラーの位置を決定する装置において、
半導体コンポーネント部品のルミネセンスを検出する検出器が半導体コンポーネント部品または半導体コンポーネント部品の少なくとも1領域に関連されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
検出器は、CCDラインカメラまたはCCDマトリックスカメラであることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
検出器は、半導体コンポーネント部品に対して調節できるように構成されていることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項17】
過剰な電荷キャリアを発生させるために、半導体コンポーネント部品は外部電気回路に接続されていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
過剰な電荷キャリアを発生させるために、半導体コンポーネント部品は照明光源と関連されることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−59907(P2007−59907A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−224893(P2006−224893)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(506284843)ショット・ゾラール・ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224893(P2006−224893)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(506284843)ショット・ゾラール・ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】
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