説明

半導体センサ装置

【課題】経時による特性の変化が生じ難く、熱や電源電圧などの外部環境の変化による特性の変化が生じ難い、半導体センサ装置を提供する。
【解決手段】可動部を有する半導体センサが形成されている半導体基板2の片面にケース板3が積層されており、半導体基板2の上面に外部接続用電極71〜78が形成されており、ケース板3において、上面に複数の突起3bと、突起3bの外側に設けられた複数の貫通孔3eが形成されており、突起3bに設けられた端子電極51〜58が、外部接続用電極71〜78に、突起3bの側面から貫通孔3e内に至る接続電極により電気的に接続されており、外部接続用電極71〜78の外側端部が半導体センサ装置1の側面に至らず、ケース板3により被覆されている、半導体センサ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば加速度センサなどとして用いられている半導体センサ装置に関し、より詳細には、半導体基板に、実装用の端子電極が設けられたケース板が積層されている、半導体センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板に三次元構造体からなるセンサが形成されている半導体センサ装置が種々提案されている。例えば下記の特許文献1には、加速度センサとして用いられる半導体センサ装置が開示されている。
【0003】
図11は、特許文献1に記載の半導体センサ装置の外観を示す斜視図であり、図12は、該半導体センサ装置の分解斜視図である。
【0004】
半導体センサ装置101では、半導体基板102の上面に第1のケース板103が積層されており、下面に第2のケース板104が積層されている。半導体基板102の中央には可動部102aが設けられており、該可動部102aに電極を形成することにより加速度センサが構成されている。
【0005】
加速度センサを外部と電気的に接続するために、半導体基板102の上面には、複数の外部接続用電極109が形成されている。複数の外部接続用電極109は、半導体基板102の上面において、長手方向に延びる端縁に沿って整列形成されている。
【0006】
他方、第1のケース板103の上面103a上には、複数の突起103bが形成されている。複数の突起103bは、下方に位置している複数の外部接続用電極109に応じて設けられている。各突起103bの側方には、側面103cまたは側面103dに向かって開いた凹部103eが設けられている。1つの突起103bの側方に1つの凹部103eが設けられている。そして、突起103bの上面に、半導体センサ装置101を実装基板に表面実装するための端子電極107が形成されている。また、端子電極107と、外部接続用電極109とを電気的に接続するための接続電極108が、突起103bの側面から凹部103e内を経て下方に延ばされている。
【0007】
図1に示されているように、上記接続電極108の下端が、凹部103eに露出している外部接続用電極109にT字接続されている。
【0008】
また、下記の特許文献2や3にも、同様に半導体センサが構成された半導体基板にベース基板が積層されてなるセンサ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−043017号公報
【特許文献2】特開2005−345473号公報
【特許文献3】特開2005−297180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の半導体センサ装置101では、第1のケース板103の上面103aを下面とするように上下逆転させて、実装基板上に半導体センサ装置101を表面実装することができる。
【0010】
しかしながら、半導体センサ装置101を使用しているうちに、経時により特性のばらつきが生じることのあることがわかった。また、周囲の温度が変化した場合に特性が変動したり、電源電圧の変動によって特性が変動することがあった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、経時による特性の変化が生じ難く、熱や電源電圧等の外部環境の変化による特性の変動が生じ難い、信頼性に優れた半導体センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、可動部を有する半導体センサが形成されている半導体基板と、前記半導体基板の片面に積層されたケース板とを備え、前記ケース板の前記半導体基板に貼り合わされている側とは反対側の面に、該ケース板と同じ材料で一体的に複数の突起が形成されており、前記複数の突起の外表面にそれぞれ設けられた複数の端子電極と、前記半導体基板の上面において該半導体基板の端部には至らないように、かつ前記半導体センサを外部と電気的に接続されるように設けられている複数の外部接続用電極と、前記複数の端子電極と、前記複数の外部接続用電極とをそれぞれ電気的に接続するように前記ケース板に設けられている複数の接続電極とをさらに備え、前記ケース板において、前記複数の突起の外側においてケース板の端縁と隔てられて複数の貫通孔がそれぞれ形成されており、前記各外部接続用電極が前記各貫通孔に露出しており、該露出している部分において前記接続電極に電気的に接続されており、かつ前記外部接続用電極の前記ケース板の端縁側の端部が前記ケース板により被覆されている、半導体センサ装置が提供される。
【0013】
本発明に係る半導体センサのある特定の局面では、前記接続電極の端部が、前記ケース板の前記貫通孔に露出している前記外部接続用電極の上面に重ねられて、前記接続電極が前記外部接続用電極に電気的に接続されている。この場合には、接続電極と外部接続電極用電極とが面接触的に接続されているので、接続電極と外部接続用電極との接続の信頼性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る半導体センサ装置のさらに別の特定の局面によれば、前記貫通孔は、対応する前記突起と、該貫通孔の外側に位置するケース板の端縁とを結ぶ方向の寸法に比べて、該端縁に沿う方向の寸法が長くされている平面形状を有する。この場合には、外部との接続部分の数、すなわち、端子電極の数を少なくすることができる。従って、小型化を進めることができる。
【0015】
本発明に係る半導体センサ装置のさらに他の特定の局面によれば、前記半導体センサが加速度センサである。
【0016】
本発明に係る半導体センサ装置のさらに別の特定の局面によれば、前記可動部が加速度が与えられたときに動く部分であり、前記加速度センサは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の変位を検出するX軸方向変位検出用ブリッジ回路、Y軸方向の変位を検出するY軸方向変位検出用ブリッジ回路及びZ軸方向の変位を検出するためのZ軸方向変位検出用ブリッジ回路を有し、各変位検出用ブリッジ回路は、一端が電源端子に接続される第1,第3のピエゾ抵抗部と、一端がグラウンド電位に接続される第2,第4のピエゾ抵抗部とを有し、第1のピエゾ抵抗部及び第2のピエゾ抵抗部の他端同士が共通接続され、かつ第1の出力端子に接続されており、前記第3及び第4のピエゾ抵抗部の他端同士が共通接続され、かつ第2の出力端子に接続されているブリッジ回路を有する。この場合には、外部との接続部分の数、すなわち、端子電極の数を少なくすることができる。従って、小型化を進めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る半導体センサ装置では、複数の突起の外側に複数の貫通孔がそれぞれ形成されており、外部接続用電極が貫通孔に露出しており、該露出している部分において上記接続電極に電気的に接続されており、さらに外部接続用電極の端部がケース板で被覆されているため、経時による特性の変動が生じ難く、かつ熱や電源電圧の変動などの外部環境の変動によっても特性の変動が生じ難い。従って、特性が安定であり、信頼性に優れた半導体センサ装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0019】
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体センサ装置の外観を示す斜視図及び図1のA−A線に沿う部分の要部を示す部分切欠正面断面図である。
【0020】
本実施形態の半導体センサ装置1は、半導体基板2と、半導体基板の上面に積層された第1のケース板3と、下面に積層された第2のケース板4とを有する。図2は、半導体基板2の平面図であり、図3は、その要部を示す部分切欠平面断面図である。
【0021】
特許文献1に記載の半導体センサ装置101と同様に、本実施形態においても、半導体基板2の中央に、可動部2aが形成されている。すなわち、半導体基板2は正面2bと背面2cとを結ぶ方向が長さ方向となる矩形の平面形状を有する。
【0022】
図2に示すように、半導体基板2内には、枠状の梁部21が浮いた状態で配置されている。この梁部21が設けられている部分及び後述の錘部分が設けられている部分の拡大平面図を図3に示す。図3において、X軸方向を半導体基板2の正面2b及び背面2cと平行な方向とし、正面2b及び背面2cを結ぶ方向をY軸方向とする。後述のZ軸方向は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向である。梁部21は、平面視した場合、角環状の形状を有する。梁部21の前述したX軸方向両端から、それぞれX軸方向に沿って外側に延びるように支持部22a,22bが連ねられている。支持部22a,22bの梁部21に連ねられている側とは反対側の端部が半導体基板2の本体部分に連ねられている。すなわち、支持部22a,22bにより、梁部21が浮かされた状態とされている。
【0023】
また、梁部21のY軸方向両側に、錘部23a,23bが配置されている。錘部23a,23bは、梁部21に対してY軸方向両側からY軸方向外側に連ねられた連結部24a,24bにより梁部21に連結されている。従って、錘部23a,23bは、梁部21と同様に半導体基板2の本体部に対して浮かされた状態で配置されている。梁部21がたわみ変形することにより、錘部23a,23bが、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸方向に変位可能とされている。
【0024】
本実施形態では、上記半導体基板2は、SOI(Silicon−On−Insulator)基板をマイクロマシニング技術を用いて加工することにより形成されている。なお、SOI基板とは、Si層と、SiO層と、Si層とがこの順序で積層されている多層基板であり、もっとも、本発明で用いられる半導体基板は上記SOI基板に限定されるものではない。
【0025】
また、上記梁部21において、図2及び図3に略図的に示すように、例えばX軸方向の加速度を検出するために、4つのピエゾ抵抗部RX1〜RX4が配置されている。これら4つのピエゾ抵抗部RX1〜RX4がX軸方向の加速度を検出するX軸方向変位検出用ブリッジ回路を構成している。そして、半導体基板2に形成されている配線パターンにより、ピエゾ抵抗部RX1〜RX4が図4に示すブリッジ回路を構成している。このブリッジ回路における出力変化によりX方向の加速度が検出される。
【0026】
なお、Y軸方向及びZ軸方向の加速度を検出するために、同様のブリッジ回路が半導体基板2に形成されている配線パターンにより4つのピエゾ抵抗部を接続することにより構成されている。
【0027】
半導体基板2においては、X軸方向の加速度が発生すると、加速度に起因したX軸方向の力が可動部2aである錘部23a,23bに作用する。錘部23a,23bでのX軸方向への作用力により、錘部23a,23bが、基準状態から、X軸方向に変位する。錘部23a,23bのX軸方向への変位により、連結部を介して梁部21はたわみ変形し、それによって梁部21に応力が発生する。この梁部21に生じた応力により、上述したX軸方向変位検出用ブリッジ回路におけるピエゾ抵抗部の抵抗値が変化する。そのため、X軸方向への加速度が発生している場合に、X軸方向変位検出用ブリッジ回路を構成しているブリッジ回路の出力が変化し、X軸方向の加速度が検出される。この場合、Y軸方向及びZ軸方向に加速度が作用しない場合には、Y軸方向変位検出用ブリッジ回路及びZ軸方向変位検出用ブリッジ回路を構成している各ブリッジ回路の出力には変化がみられないことになる。このようにして、X軸方向の加速度が検出される。
【0028】
Y軸方向に変位が発生した場合、あるいはZ軸方向に変位が発生した場合にも、同様にして、Y軸方向及びZ軸方向の変位が検出される。
【0029】
なお、本実施形態では、図4に示されているように、X軸方向変位検出用ブリッジ回路及びY軸方向変位検出用ブリッジ回路及びZ軸方向変位検出用ブリッジ回路が図示のように配線パターンにより接続されている。
【0030】
すなわち、X軸方向変位検出用ブリッジ回路では、第1,第3のピエゾ抵抗部RX1,RX3が接続点31において共通接続されている。また、第2,第4のピエゾ抵抗部RX2及びRX4が接続点32において共通接続されている。第1,第2のピエゾ抵抗部RX1,RX2の他端が、第2,第4のピエゾ抵抗部RX2,RX4の各他端と共通接続され、上記ブリッジ回路が形成されている。
【0031】
同様に、Y軸方向変位検出用ブリッジ回路においても、接続点33に第1,第3のピエゾ抵抗部RY1,RY3の各一端が共通接続されており、接続点34に第2,第4のピエゾ抵抗部RY2,RY4の各一端が共通接続されている。そして、ピエゾ抵抗部RY1,RY3の各他端と、ピエゾ抵抗部RY2,RY4の各他端が接続され、図示のブリッジ回路が形成されている。
【0032】
Z軸方向変位検出用ブリッジ回路においても、接続点35に第1,第3のピエゾ抵抗部RZ1,RZ3の各一端が共通接続されており、接続点36に第2,第4のピエゾ抵抗部RZ2,RZ4の各一端が共通接続されている。そして、ピエゾ抵抗部RZ1,RZ3の各他端と、ピエゾ抵抗部RZ2,RZ4の各他端が接続され、図示のブリッジ回路が形成されている。
【0033】
そして、上記接続点31,33,35が電源端子VDDに共通接続されている。また、接続点32,34,36がグラウンド端子Gに共通接続されている。
【0034】
他方、X軸方向変位検出用ブリッジ回路、Y軸方向変位検出用ブリッジ回路及びZ軸方向変位検出用ブリッジ回路の各第1,第2のピエゾ抵抗部間の接続点37,39,41が、それぞれ、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の変位を検出する各第1の出力端子43〜45に接続されている。他方、X軸方向変位検出用ブリッジ回路、Y軸方向変位検出用ブリッジ回路及びZ軸方向変位検出用ブリッジ回路における各第3,第4のピエゾ抵抗部間の接続点38,40,42は、それぞれ、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の変位を検出する出力端子46〜48に電気的に接続されている。従って、本実施形態の半導体センサ装置1は、上記出力端子43〜45,46〜48と、電源端子49とをグラウンド電位に接続されるグラウンド端子50との8個の端子を有する。
【0035】
図1に戻り、第1のケース板3及び第2のケース板4は、それぞれ、アルミナなどの絶縁セラミックスまたは合成樹脂などの適宜の絶縁性材料からなる。
【0036】
本実施形態では、第1のケース板3及び第2のケース板4は、ガラスからなる。
【0037】
第2のケース板4の上面には、前述した可動部2aの駆動を妨げないための凹部が上面に形成されている。このような凹部は、特許文献1に記載の下方のケース板の上面に形成されている凹部と同様に形成され得る。
【0038】
他方、第1のケース板3の下面にも、同様の凹部が形成され、可動部2aの変位が妨げられないように形成されている。
【0039】
図5は、第1のケース板3の平面図であり、図6及び図7は、それぞれ、本実施形態の半導体センサ装置11の部分切欠正面図及び右側面図である。図1、図5並びに図6及び図7に示すように、第1のケース板3の上面3a上には、複数の突起3bが形成されている。突起3bの平面形状は特に限定されないが、本実施形態では上記半導体基板2の長さ方向と直交する方向が長さ方向である矩形の平面形状を有する。
【0040】
突起3bの上面に、端子電極51〜58がそれぞれ形成されている。端子電極51〜58は、Ag、Cu、Pd、Alなどの金属もしくはこれらの適宜の合金により形成することができる。端子電極51〜58は、半導体センサ装置1を第1のケース板3の上面3a側から表面実装する際に、実装基板上の電極ランドに電気的に接続されかつ半導体センサ装置1を機械的に固定する部分に相当する。すなわち、端子電極51〜58は、半導体センサ装置1を外部と電気的に接続するために設けられている。
【0041】
第1のケース板3の上面3aは平坦ではなく、上記突起3bが設けられている。また、半導体基板2の長さ方向と直交する方向に延びる複数本の第1の溝3cと、該長さ方向に延びる複数本の第2の溝3dと、長さ方向に延び、かつ第1のケース板3の長さ方向端縁に沿うように形成された複数本の第3の溝3fとが形成されている。ここで、上記第1,第2の溝3c,3dは各突起3bを囲むように形成されている。従って、長さ方向に隣り合う突起3b,3b間においては、2本の第1の溝3c,3cが配置されることになる。また、前記長さ方向と直交する方向において隣り合う突起3b,3b間においても、2本の第2の溝3d,3dが位置することになる。
【0042】
従って、半導体センサ装置1を実装基板に第1のケース板3側から表面実装するに際し、導電性接着剤などの流動性を有する材料を用いて接合する場合、該導電性接着剤などの接合剤が隣り合う突起3b,3b間に行き渡り難い。例えば、端子電極51に付与された導電性接着剤などの接合剤は、隣り合う端子電極52や端子電極55に至り難い。従って、隣り合う端子電極同士の短絡を確実に防止することができる。
【0043】
他方、第3の溝3fが設けられているため、実装時に、半導体センサ装置1の浮き上がりを防止することができる。第3の溝3fが設けられていない場合には、第1のケース板3の長さ方向に沿う端縁に沿う部分は、突起3bと同じ高さを有することとなる。そのため、突起3b,3bに形成された端子電極51や端子電極56と実装基板の電極ランドとの間において浮きが生じたりするおそれがある。これに対して、図1に示すように、本実施形態では、上記第3の溝3fの形成により、突起3bの上面に設けられた端子電極51〜58が確実に、実装基板の表面の電極ランドの表面に当接される。従って、半導体センサ装置1を確実に実装基板上に実装することができ、半導体センサ装置1の部分的な浮き上がりを防止することができる。
【0044】
他方、上記端子電極51〜58に電気的に接続されるように接続電極61〜68が突起3bの外側の側面に形成されている。そして、突起3bの外側には、貫通孔3eが形成されている。接続電極61〜68は、各貫通孔3e内に至り、第1のケース板3の下面に至り、上記貫通孔に露出している外部接続用電極71〜78に接続されている。
【0045】
すなわち、上記半導体基板2の上面には、各貫通孔3eが形成されている位置において、外部接続用電極71〜78が露出している。この外部接続用電極71〜78は、図4に示した各端子に半導体基板2の上面の配線パターンにより接続されている。すなわち、電源端子VDDが外部接続用電極71に、出力端子45,44,43が、それぞれ、外部接続用電極72〜74に電気的に接続されている。また、外部接続用電極75〜77が出力端子46〜48に、外部接続用電極78がグラウンド端子Gに電気的に接続されている。
【0046】
半導体基板2の上面において、上記外部接続用電極71〜78が形成されており、外部接続用電極71〜78が貫通孔3eにそれぞれ露出しているため、上記接続電極61〜68が、外部接続用電極71〜78の露出部分の上面に積層されて、接続電極61〜68が外部接続用電極71〜78に面接触されて電気的に接続されている。従って、接続電極61〜68と、外部接続用電極71〜78とが確実に電気的に接続される。
【0047】
もっとも、接続電極61〜68と、外部接続用電極71〜78との電気的接続は、上記のように面接触的に行われる必要は必ずしもなく、T字接続であってもよい。
【0048】
本実施形態の半導体センサ装置1では、上記半導体基板2の貫通孔3eに外部接続用電極71〜78が露出しており、外部接続用電極71〜78の外側端縁は、半導体基板2の端縁2g,2hに至っていない。貫通孔3eは該端縁2g,2hとは隔てられて設けられている。例えば、図1(b)において、外部接続用電極71,75を例にとると、外部接続用電極71,75の外側端縁71a,75aは、半導体基板2の端縁2g,2hよりも内側に位置している。従って、該外側端縁71a,75aは、第1のケース板3により被覆され、密閉されている。
【0049】
半導体センサ装置1のセンサに際しては、量産性を高めるために、マザーの積層体を得た後に、マザーの積層体を厚み方向にダイシングし、複数の半導体センサ装置1を得る。この場合、特許文献1に記載の半導体センサ装置101では、ダイシングに際し、外部接続用電極の浮きが生じたり、削りカスが付着し、電気的接続の安定性が損なわれることがあった。
【0050】
これに対して、本実施形態の半導体センサ装置1では、外部接続用電極71〜78の外側端縁が露出しないため、外部接続用電極71〜78と上記接続電極61〜68との電気的接続の信頼性が高められる。
【0051】
従って、経時による特性の変動が生じ難く、温度や湿度などの外部環境が変化したとしても、特性の変動が生じ難い。
【0052】
図8は、本実施形態の半導体センサ装置の経時による抵抗値変化と、比較のために用意した半導体センサ装置100の経時による抵抗値変化を示す。図8から明らかなように、従来の半導体センサ装置100では、経時による抵抗値の変化が比較的大きいのに対し、本実施形態の半導体センサ装置1では、比較的早い時間に抵抗値変化が安定化し、しかも安定期における抵抗値のばらつきが非常に小さいことがわかる。
【0053】
なお、上記実施形態では、貫通孔3eは、一応楕円形状を有し、その長径方向が半導体基板2の長さ方向と一致するように設けられていた。このように、長さ方向を有する貫通孔3eを設けることが好ましく、それによって、接続抵抗を低くすることができる。
【0054】
本実施形態では、図4に示す回路構成を有するため、外部との接続端子は8個でよい。従って、ケース板3の上面に設けられた突起3bが8個設けられることになるため、特許文献1に記載の12個の端子電極を設けた従来例に比べ、端子電極間の距離すなわち突起3b間の距離を広げることができる。それによっても、隣り合う端子電極間において短絡が生じ難い。
【0055】
なお、上記実施形態では、第1,第2の溝3c,3dと第3の溝3fとの深さを全て同一としたが、これらの深さは同一である必要は必ずしもない。深さの異なる溝を形成する場合には、第1回目のダイシングにより第1〜第3の溝を形成し、より深い溝とすべき溝にのみ第2回目のダイシングをさらに行えばよい。あるいは、各溝を個別にダイシングにより形成してもよい。
【0056】
なお、本実施形態では、第1のケース板3において、長さ方向と直交する端縁、すなわち正面側及び背面側の端縁に沿うようには第3の溝は形成されていないが、この部分にも第3の溝を形成してもよい。
【0057】
上記のように、第1,第2の溝3c,3dが設けられているため、実装に際し、導電性接着剤の広がりが溝3c,3dで塞き止められている状態を図10に模式的断面図で示す。図10では、実装基板91の上面の電極ランド92,92に半導体センサ装置1の端子電極51,55が導電性接着剤90により接合されている。比較のために、図9に、溝3c,3dが形成されていないことを除いては上記実施形態と同じとされている場合の導電性接着剤90の広がり状態を模式的断面図で示す。図9と図10とを比較すれば明らかなように、溝3cの形成により、導電性接着剤90の広がりが抑制されていることがわかる。
【0058】
すなわち、溝3c,3c間及び溝3d,3d間において、溝3c,3dよりも高い部分が堰となり、導電性接着剤90が塞き止められる。堰となっている部分は、浅いダイシング加工後に残っている部分に相当する。
【0059】
なお、本実施形態では、上記のような加速度センサが半導体基板に可動部を有する半導体センサとして構成されているが、本発明はこのような加速度センサを用いた半導体センサに限らず、可動部を有する適宜の半導体センサが形成されている半導体基板を用いることができる。半導体センサとしては、加速度センサの他、角速度センサ、角加速度センサ、圧電ジャイロセンサなどの様々な半導体を用いた可動部を有するセンサを挙げることができる。
【0060】
上記のように、第1,第2の実施形態では、半導体基板2の下面に第2のケース板4が積層されていたが、本発明においては、第2のケース板4は必ずしも用いられずともよい。すなわち、第2のケース板4を用いずに、実装後に上面を解放状態としてもよい。もっとも、第2のケース板4を積層することにより、半導体基板2に設けられている半導体センサを確実に気密封止することができ、かつ半導体センサ装置1の機械的強度も高められる。従って、第2のケース板4を積層することが望ましい。
【0061】
また、第2のケース板4側にも、上記複数の突起3b及び端子電極7を形成してもよい。その場合には、第2のケース板4側から実装基板に搭載することができ、半導体センサ装置1の上下の方向性をなくすことができる。
【0062】
もっとも、第2のケース板4が上記実施形態のように、突起を有しない平板状の部材で構成されている場合、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る半導体センサ装置の外観を示す斜視図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う部分の要部を示す正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の半導体センサ装置の半導体基板を示す模式的平面図である。
【図3】本発明の一実施形態で用いられる半導体基板の可動部を説明するための部分切欠平面図である。
【図4】本発明の一実施形態の半導体センサ装置の等価回路を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体センサ装置の第1のケース板の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態の半導体センサ装置の部分切欠正面図である。
【図7】本発明の一実施形態の半導体センサ装置の右側面図である。
【図8】本発明の一実施形態及び従来例の各半導体センサ装置の電源投入後の抵抗値変化を示す図である。
【図9】比較のために用意した半導体センサ装置を実装した際の導電性接着剤の広がり状態を示す模式的正面断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る半導体センサ装置を実装した際の導電性接着剤の広がり状態を示す模式的正面断面図である。
【図11】従来の半導体センサ装置を示す斜視図である。
【図12】従来の半導体センサ装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1…半導体センサ装置
2…半導体基板
2a…可動部
2b…正面
2c…背面
2g,2h…端縁
3…第1のケース板
3a…上面
3b…突起
3c…第1の溝
3d…第2の溝
3e…貫通孔
3f…第3の溝
4…第2のケース板
7…端子電極
21…梁部
22a,22b…支持部
23a,23b…錘部
24a,24b…連結部
31〜42…接続点
43〜48…出力端子
49…電源端子
50…グラウンド端子
51〜58…端子電極
61〜68…接続電極
71〜78…外部接続用電極
71a,75a…外側端縁
90…導電性接着剤
91…実装基板
92…電極ランド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を有する半導体センサが形成されている半導体基板と、
前記半導体基板の片面に積層されたケース板とを備え、
前記ケース板の前記半導体基板に貼り合わされている側とは反対側の面に、該ケース板と同じ材料で一体的に複数の突起が形成されており、
前記複数の突起の外表面にそれぞれ設けられた複数の端子電極と、
前記半導体基板の上面において該半導体基板の端部には至らないように、かつ前記半導体センサを外部と電気的に接続されるように設けられている複数の外部接続用電極と、
前記複数の端子電極と、前記複数の外部接続用電極とをそれぞれ電気的に接続するように前記ケース板に設けられている複数の接続電極とをさらに備え、
前記ケース板において、前記複数の突起の外側においてケース板の端縁と隔てられて複数の貫通孔がそれぞれ形成されており、
前記各外部接続用電極が前記各貫通孔に露出しており、該露出している部分において前記接続電極に電気的に接続されており、かつ前記外部接続用電極の前記ケース板の端縁側の端部が前記ケース板により被覆されている、半導体センサ装置。
【請求項2】
前記接続電極の端部が、前記ケース板の前記貫通孔に露出している前記外部接続用電極の上面に重ねられて、前記接続電極が前記外部接続用電極に電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体センサ装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、対応する前記突起と、該貫通孔の外側に位置するケース板の上面の端縁とを結ぶ方向の寸法に比べて、該端縁に沿う方向の寸法が長くされている平面形状を有する、請求項1または2に記載の半導体センサ装置。
【請求項4】
前記半導体センサが加速度センサである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体センサ装置。
【請求項5】
前記可動部が加速度が与えられたときに動く部分であり、
前記加速度センサは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の変位を検出するX軸方向変位検出用ブリッジ回路、Y軸方向の変位を検出するY軸方向変位検出用ブリッジ回路及びZ軸方向の変位を検出するためのZ軸方向変位検出用ブリッジ回路を有し、
各変位検出用ブリッジ回路は、一端が電源端子に接続される第1,第3のピエゾ抵抗部と、一端がグラウンド電位に接続される第2,第4のピエゾ抵抗部とを有し、第1のピエゾ抵抗部及び第2のピエゾ抵抗部の他端同士が共通接続され、かつ第1の出力端子に接続されており、前記第3及び第4のピエゾ抵抗部の他端同士が共通接続され、かつ第2の出力端子に接続されているブリッジ回路を有する、請求項4に記載の半導体センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−48669(P2010−48669A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213013(P2008−213013)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】