説明

半導体チップトレイ及び半導体チップの搬送方法

【課題】半導体チップトレイと半導体チップの搬送方法において、搬送時に半導体チップが不良品になるのを防止すること。
【解決手段】交互に重ねたときに半導体チップ2を収容する空間Sが形成される半導体チップトレイであって、表面20xに半導体チップ2を収容するポケット20aが形成されたと共に、裏面20yに半導体チップ2を覆うキャビティ20bが形成され、ポケット20aの開口端20eとキャビティ20bの開口端20fとを平面視で交差させた半導体チップトレイ20による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップトレイ及び半導体チップの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置の製造工程では、半導体ウエハに回路を形成した後、その半導体ウエハをダイシングして複数の半導体チップに個片化する。個片化された各半導体チップは、半導体チップトレイと呼ばれる容器に収容された状態で出荷されることになる。このような半導体チップトレイを利用することで、搬送時の振動によって半導体チップに欠けが生じる危険性を低減できると共に、実装工程において半導体チップトレイから半導体チップを簡単に取り出すことができる。
【0003】
図1は、一般的な半導体チップトレイの一例を示す斜視図である。
【0004】
この半導体チップトレイ1の表面1xには、半導体チップ2を収容するための複数の矩形状のポケット1aが形成される。
【0005】
図2は、図1のI−I線に沿う断面図である。
【0006】
図2に示されるように、半導体チップトレイ1の裏面1yには嵌合凹部1cが設けられ、その嵌合凹部1cの内側には複数のキャビティ1bが設けられる。そして、半導体チップトレイ1の表面1xには嵌合凸部1dが設けられる。
【0007】
図3は、この半導体チップトレイ1の使用方法を示す斜視図である。
【0008】
使用に際しては、図3に示すように、所定枚数の半導体チップトレイ1を互いに重ねて半導体チップトレイセットとして使用する。
【0009】
図4は、上下に隣接する半導体チップトレイ1の断面図である。
【0010】
図4に示されるように、使用時には複数の矩形状のポケット1a内に半導体チップ2を設置したのち、半導体チップトレイ1の嵌合凹部1cと嵌合凸部1dとを嵌合させる。これにより、ポケット1aとキャビティ1bとで作られる空間Sの中に半導体チップ2が収容される。
【0011】
このとき、嵌合凹部1cの内径D1と嵌合凸部1dの外径D2とが同一だと、各半導体チップトレイ1同士が固く嵌合してしまい、搬送終了後に各半導体チップトレイ1から半導体チップ2を取り出すのが困難となる。
【0012】
そのような半導体チップトレイ1同士の嵌りこみを防止するために、嵌合凹部1cの内径D1は嵌合凸部1dの外径D2よりも大きくされる。内径D1と外形D2との差はスタックガタと呼ばれ、典型的には1mm程度の値となる。
【0013】
図5は、ポケット1aとキャビティ1bの拡大断面図である。この例では、ポケット1aとキャビティ1bとが位置ずれしていない場合を図示してある。
【0014】
しかし、上記のようにスタックガタを設けると、図6の断面図に示すように、搬送時の衝撃等により上下の半導体チップトレイ1同士が横方向にずれ、ポケット1aの横に半導体チップトレイ1の平坦面1fが大きく露出することがある。
【0015】
こうなると、例えば図7(a)の断面図に示すように、平坦面1f上に半導体チップ2が乗り上げ、各半導体チップトレイ1のずれが解消したときに半導体チップ2が上下の半導体チップトレイ1の間に挟まってしまう。このような挟み込みは、半導体チップ2の外形に欠けが生じる原因となり、搬送途中で半導体チップ2を不良品にしてしまう。
【0016】
このような不都合は、バックグラインド処理等により薄型化された半導体チップにおいて特に顕著に発生する。
【0017】
また、平坦面1f上に半導体チップ2が乗り上がるのを防止するために、図7(b)のようにキャビティ1bの幅をポケット1aの幅よりも狭くすることも考えられる。
【0018】
しかし、これでは上側の半導体チップトレイ1の裏面1yに半導体チップ2が接触し、裏面1yとの接触で半導体チップ2が損傷するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平11−220015号公報
【特許文献2】特開2001−97349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
半導体チップトレイと半導体チップの搬送方法において、搬送時に半導体チップが不良品になるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以下の一観点によれば、交互に重ねたときに半導体チップを収容する空間が形成される半導体チップトレイであって、表面に前記半導体チップを収容するポケットが形成されていると共に、裏面に前記半導体チップを覆うキャビティが形成され、前記ポケットの開口形状は、前記キャビティの開口形状とは異なり、前記複数の半導体チップトレイを重ねあわせたとき、前記ポケットの開口の1辺は、対向する位置の前記キャビティの開口の1辺と交錯する半導体チップトレイが提供される。
【0022】
また、以下の別の一観点によれば、半導体チップを収容するポケットが形成された下蓋と、前記ポケットと協働して前記半導体チップを囲う空間を作るキャビティが形成された上蓋とを有し、前記ポケットの開口端と前記キャビティの開口端とを平面視で交差させた半導体チップトレイが提供される。
【0023】
更に、以下の他の観点によれば、表面に半導体チップを収容するポケットが形成され、裏面に前記ポケットの開口形状とは異なる開口形状をしたキャビティが形成され、重ねあわせたとき、前記ポケットの開口の1辺は、対向する位置の前記キャビティの開口の1辺と交錯する半導体チップトレイの前記ポケット内に半導体チップを収容して搬送する半導体チップの搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
以下の半導体チップトレイと半導体チップの搬送方法によれば、半導体チップが収容されるポケットとキャビティのそれぞれの各開口端を平面視で交差させる。これにより、上下のトレイ同士がずれたときにポケットの周囲に露出するトレイの平坦面を小さくでき、半導体チップがその平坦面に乗り上げて不良になる危険性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、半導体チップトレイの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のI−I線に沿う断面図である。
【図3】図3は、半導体チップトレイの使用方法を示す斜視図である。
【図4】図4は、上下に隣接する半導体チップトレイの断面図である。
【図5】図5は、ポケットとキャビティが位置ずれしていない場合の各トレイの断面図である。
【図6】図6は、スタックガタを設けたことで横方向にずれた各トレイの断面図である。
【図7】図7(a)は、下側の半導体チップトレイの平坦面に半導体チップが乗り上げたときの断面図であり、図7(b)は、上側の半導体チップトレイの裏面に半導体チップが接触したときの断面図である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る半導体チップトレイの上面図である。
【図9】図9は、第1実施形態に係る半導体チップトレイのポケットの拡大平面図である。
【図10】図10は、第1実施形態に係る半導体チップトレイの裏面図である。
【図11】図11は、第1実施形態に係る半導体チップトレイのキャビティの拡大平面図である。
【図12】図12は、第1実施形態に係る半導体チップトレイの断面図である。
【図13】図13は、第1実施形態に係る半導体チップトレイを複数重ねたときの斜視図である。
【図14】図14は、第1実施形態に係る半導体チップトレイを二つ重ねたときの拡大平面図である。
【図15】図15(a)は図14のIII−III線に沿う断面図であり、図15(b)は図14のIV−IV線に沿う断面図である。
【図16】図16は、第1実施形態において、二つの半導体チップトレイがずれたときの拡大平面図である。
【図17】図17(a)は、図16のV−V線に沿う断面図であり、図17(b)は図16のVI−VI線に沿う断面図である。
【図18】図18(a)、(b)は、第1実施形態において、半導体チップの他の例について示す断面図である。
【図19】図19(a)は、第2実施形態に係る半導体チップトレイの下蓋の上面図であり、図19(b)は図19(a)のVII−VII線に沿う断面図である。
【図20】図20(a)は、第2実施形態に係る上蓋の裏面図であり、図20(b)は図20(a)のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図21】図21は、第2実施形態に係る半導体チップトレイの上面図である。
【図22】図22(a)は、図21のIX−IX線に沿う断面図であり、図22(b)は図21のX−X線に沿う断面図である。
【図23】図23は、第2実施形態において、下蓋と上蓋とがずれたときの半導体チップトレイの拡大平面図である。
【図24】図24(a)は、図23のXI−XI線に沿う断面図であり、図24(b)は図23のXII−XII線に沿う断面図である。
【図25】図25は、第3実施形態の第1例に係るポケットの拡大平面図である。
【図26】図26は、第3実施形態の第1例に係るポケットの拡大平面図である。
【図27】図27は、第3実施形態の第1例に係る半導体チップトレイを重ねたときの拡大平面図である。
【図28】図28(a)は図27のXIII−XIII線に沿う断面図であり、図28(b)は図27のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図29】図29は、第3実施形態の第1例において、上下の半導体チップトレイがずれたときの拡大平面図である。
【図30】図30は、第3実施形態の第2例に係るポケットの拡大平面図である。
【図31】図31は、第3実施形態の第2例に係るキャビティの拡大平面図である。
【図32】図32は、第3実施形態の第2例の半導体チップトレイを重ねたときの拡大平面図である。
【図33】図33(a)は図32のXIII−XIII線に沿う断面図であり、図33(b)は図32のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図34】図34は、第3実施形態の第2例において、上下の半導体チップトレイがずれたときの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
図8は、本実施形態に係る半導体チップトレイ20の上面図である。
【0027】
この半導体チップトレイ20は、樹脂を射出成形して製造され、その表面20xには半導体チップ2を収容するための複数のポケット20aが形成される。半導体チップトレイ2の材料となる樹脂は特に限定されないが、ABS樹脂、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネイト)、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂のいずれかの樹脂で半導体チップトレイ2を作製するのが好ましい。
【0028】
図9は、各ポケット20aの拡大平面図である。
【0029】
図9に示すように、ポケット20aの開口端20eの平面形状は、凸八角形等の凸多角形である。
【0030】
そのポケット20aの大きさは特に限定されないが、本実施形態では一辺の長さL1の仮想正方形E1に内接する大きさにポケット20aを形成する。
【0031】
図10は、半導体チップトレイ20の裏面図である。
【0032】
図10に示すように、半導体チップトレイ20の裏面20yには、上記のポケット20aに対応した位置に複数のキャビティ20bが形成される。
【0033】
図11は、各キャビティ20bの拡大平面図である。
【0034】
図11に示すように、キャビティ20bの開口端20fの平面形状は、凹八角形等の凹多角形(凸と凹が交互にある多角形)である。
【0035】
そのキャビティ20bの大きさは特に限定されないが、本実施形態では一辺の長さL2の仮想正方形E2に内接する大きさにキャビティ20bを形成する。
【0036】
図12は、この半導体チップトレイ20の断面図であって、図8のII−II線に沿う断面図に相当するものである。
【0037】
図12に示されるように、半導体チップトレイ20の表面20xには嵌合凸部20dが設けられ、半導体チップトレイ20の裏面20yには嵌合凹部20cが設けられる。
【0038】
半導体チップを搬送するときには、このような半導体チップトレイ20を複数用意し、その各々の嵌合凸部20dと嵌合凹部20c同士を嵌合させることで、複数の半導体チップトレイ20を重ねて使用する。
【0039】
このとき、各半導体チップトレイ20同士が固く嵌合するのを防ぐため、嵌合凹部20cの内径D1を嵌合凸部20dの外径D2よりも1mm程度大きくすることにより、嵌合凹部20cと嵌合凸部20dにスタックガタを設けるのが好ましい。
【0040】
図13は、このようにして交互に重ねられた複数の半導体チップトレイ20の斜視図である。
【0041】
また、図14は、重ねられた複数の半導体チップトレイ20のうち上下に隣接する二つの半導体チップトレイ20の拡大平面図である。
【0042】
図14に示すように、ポケット20aの開口端20eを凸多角形とし、キャビティ20bの開口端20fを凹多角形としたので、平面視ではこれらの開口端20e、20fは各交差点Pにおいて交差することになる。すなわち、ポケット20aの開口端20eの一辺20mと、当該一辺20mと上下方向に対向するキャビティ20bの開口端20fの一辺20nが点Pにおいて交錯する。このような辺同士の交錯は、以下の各実施形態でも生じる。
【0043】
また、図15(a)は図14のIII−III線に沿う断面図であり、図15(b)は図14のIV−IV線に沿う断面図である。
【0044】
図15(a)、(b)に示すように、ポケット20aとキャビティ20fは協働して半導体チップ2を囲う空間Sを作る。
【0045】
半導体チップ2は、このように空間Sに収容された状態で搬送されることになるが、既述のスタックガタが原因で搬送時に上下の半導体チップトレイ20がずれることがある。
【0046】
図16は、そのようなずれが生じたときの半導体チップトレイ20の拡大平面図である。
【0047】
図16に示すように、上下の半導体チップトレイ20同士がずれると、開口端20eの横に、ハッチングで示す下側の半導体チップトレイ20の平坦面20gが露出する。
【0048】
但し、本実施形態では、各開口端20e、20fを平面視で交差させるようにしたので、その平坦面20gが開口端20eの周囲に連続して露出することはなく、交差点Pによって各々の平坦面20gが分断されるようになる。更に、このように分断された結果、各平坦面20gの面積も、開口端20e、20fが交差しない場合よりも小さくなる。
【0049】
図17(a)は、図16のV−V線に沿う断面図であり、図17(b)は図16のVI−VI線に沿う断面図である。
【0050】
上記のような平坦面20gの分断化とその面積の縮小化により、本実施形態では半導体チップ2が平坦面20gに乗り上げる危険性が低減され、上下の半導体チップトレイ20の間に半導体チップ2が挟まって半導体チップ20の外形に欠けが生じるのを防止できる。
【0051】
半導体チップトレイ20に収容する半導体チップ2は特に限定されないが、バックグラインド処理による薄型化で上下の半導体チップトレイ20の間に挟まり易い半導体チップ20を収容する場合に本実施形態は特に効果がある。
【0052】
また、図18(a)、(b)は、半導体チップ2の他の例について示す断面図であって、図16のVI−VI線に沿う断面図に相当する。
【0053】
図18(a)に示すように、半導体チップトレイ20には、一方の主面2aにはんだバンプ等の突起電極9が形成された半導体チップ2も収容し得る。その場合、半導体チップ2は、突起電極9をキャビティ20b側に向けてポケット20a内に収容される。
【0054】
このように突起電極9が設けられた半導体チップ2を収容するときは、キャビティ20bの側面20kをポケット20aの底面20hに対して傾斜させるのが好ましい。
【0055】
このようにすると、図18(b)のように、上下の半導体チップトレイ20同士がずれて僅かに露出した平坦面20gに半導体チップ2が乗り上がろうとしても、側面20kに突起電極9が当接して半導体チップ2の動きが規制される。
【0056】
その結果、半導体チップ2が平坦面20gに乗り上げる危険性をより一層低減することが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態では、複数枚を交互に重ねて使用するタイプの半導体チップトレイ20について説明したが、本実施形態では下蓋と上蓋とを有する半導体チップトレイについて説明する。
【0058】
図19(a)は、本実施形態に係る半導体チップトレイの下蓋30の上面図であり、図19(b)は図19(a)のVII−VII線に沿う断面図である。
【0059】
図19(a)、(b)に示すように、下蓋30の表面30xには、半導体チップ2を収容すべくポケット30aが形成されており、その開口端30eの形状は凸八角形等の凸多角形である。
【0060】
また、図20(a)は、上記の下蓋30と合わせて使用される上蓋31の裏面図であり、図20(b)は図20(a)のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0061】
図20(a)、(b)に示されるように、上蓋31の裏面31yにはキャビティ31bが形成される。そのキャビティ31bの開口端31eの形状は、凹八角形等の凹多角形である。
【0062】
図21は、これらの下蓋30と上蓋31とを重ね合わせてなる半導体チップトレイ32の上面図である。
【0063】
図21に示すように、ポケット30aの開口端30eを凸多角形とし、キャビティ31aの開口端30eを凹多角形としたので、平面視でこれらの開口端30e、31eは各交差点Pにおいて交差する。
【0064】
図22(a)は、図21のIX−IX線に沿う断面図であり、図22(b)は図21のX−X線に沿う断面図である。
【0065】
図22(a)、(b)に示すように、ポケット30aとキャビティ31aは協働して半導体チップ2を囲う空間Sを作り、半導体チップ2はその空間Sに収容された状態で搬送されることになる。
【0066】
そのように半導体チップ2を搬送する際、衝撃によって下蓋30と上蓋31とがずれることがある。
【0067】
図23は、そのようなずれが生じたときの半導体チップトレイ32の拡大平面図である。図23では、下蓋30の平坦面30gにハッチングを付してある。
【0068】
下蓋30と上蓋31にずれが生じると、開口端30eの横に下蓋30の平坦面30gが露出することになるが、各開口端30e、31eを交差させたことで平坦面30gは交差点Pで分断され、各平坦面30gの面積が、各開口端30e、31eを交差させない場合よりも小さくなる。
【0069】
図24(a)は、図23のXI−XI線に沿う断面図であり、図24(b)は図23のXII−XII線に沿う断面図である。
【0070】
上記のような平坦面30gの分断化と面積の縮小化とにより、図24(a)、(b)のように各蓋30、31がずれたとしても、ポケット30aの横に下蓋30の平坦面30gが大きく露出しない。したがって、半導体チップ2がその平坦面30gに乗り上げる危険性が低減され、各蓋30、31の間に半導体チップ2が挟まって半導体チップ2の外形に欠けが生じるのを防止できる。
【0071】
(第3実施形態)
第1実施形態では、図9のようにポケット20aの開口端20eの形状を凸多角形とし、図11のようにキャビティ20bの開口端20fの形状を凹多角形とした。各開口端20e、20fの形状はこれらに限定されない。本実施形態では、各開口端20e、20fの形状の他の例について説明する。
【0072】
・第1例
本例では、第1実施形態と比較して、ポケット20aとキャビティ20bの各開口端20e、20fの凹凸を以下のように逆にする。
【0073】
図25は、本例に係るポケット20aの拡大平面図である。図25に示すように、このポケット20aの開口端20eの平面形状は、凹八角形等の凹多角形である。
【0074】
そして、図26は、本例に係るキャビティ20bの拡大平面図である。図26に示すように、本例に係るキャビティ20bの開口端20fの平面形状は、凸八角形等の凸多角形である。
【0075】
図27は、上下に隣接する各半導体チップトレイ20の拡大平面図である。
【0076】
図27に示すように、ポケット20aの開口端20eを凹多角形とし、キャビティ20bの開口端20fを凸多角形としたので、平面視ではこれらの開口端20e、20fは各交差点Pにおいて交差する。
【0077】
図28(a)は図27のXIII−XIII線に沿う断面図であり、図28(b)は図27のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【0078】
図28(a)、(b)に示すように、半導体チップ2は、ポケット20aとキャビティ20fにより作られた空間S内に収容される。
【0079】
ここで、本例では、第1実施形態と比較して各開口端20e、20fの凹凸を逆にしたので、図28(a)、(b)に示すように上側の半導体チップトレイ20の裏面20yが空間S内に露出し難くなる。
【0080】
そのため、半導体チップ2が裏面20yに触れる機会が少なくなり、裏面20yとの接触で半導体チップ2が損傷する危険性を低減できる。
【0081】
図29は、上下の半導体チップトレイ20がずれたときの拡大平面図である。図29では、半導体チップトレイ20の平坦面20gにハッチングを付してある。
【0082】
本例においても、各開口端20e、20fが平面視で交差するようにしたので、各半導体チップトレイ20がずれた場合でも、第1実施形態と同じ理由によって半導体チップ2が平坦面20gに乗り上げて不良品になるのを防止できる。
【0083】
・第2例
図30は本例に係るポケット20aの拡大平面図である。図30に示すように、ポケット20aの開口端20eの各辺は曲線よりなる。
【0084】
本例に係るポケット20aの大きさは特に限定されないが、本例では一辺の長さL3の仮想正方形E3に内接する大きさにポケット20aを形成する。
【0085】
また、図31は、本例に係るキャビティ20bの拡大平面図である。図31に示すように、キャビティ20bの開口端20fの各辺も曲線よりなる。
【0086】
そのキャビティ20bは、例えば、一辺の長さL4の仮想正方形E4に内接する大きさを有する。
【0087】
図32は、上下に隣接する各半導体チップトレイ20の拡大平面図である。
【0088】
図32に示すように、本例では各開口端20e、20fを曲線状にしたので、平面視でこれらの開口端20e、20fが各交差点Pにおいて交差するようになる。
【0089】
図33(a)は図32のXIII−XIII線に沿う断面図であり、図33(b)は図32のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【0090】
図33(a)、(b)に示すように、半導体チップ2は、ポケット20aとキャビティ20bにより作られた空間S内に収容される。
【0091】
図34は、上下の半導体チップトレイ20がずれたときの拡大平面図である。図34では、トレイ20の平坦面20gにハッチングを付してある。
【0092】
図34のように各トレイ20がずれた場合でも、各開口端20e、20fを平面視で交差するようにしたので、第1実施形態と同じ理由によって半導体チップ2が平坦面20gに乗り上げて不良品になるのを防止できる。
【0093】
しかも、本例では各開口端20e、20fが曲線よりなるので、樹脂の射出成形によって半導体チップトレイ20を作製するときに、金型から半導体チップトレイ20を取り出しやすくなり、半導体チップトレイ20の作製が容易となる。
【符号の説明】
【0094】
1、20…半導体チップトレイ、1a、20a…ポケット、1b、20b…キャビティ、1x、20x…表面、1y、20y…裏面、1c、20c…嵌合凹部、1d、20d…嵌合凸部、1f、20g…平坦面、2…半導体チップ、2a…半導体チップ、20e、20f…開口端、20k…側面、20h…底面、30…下蓋、30a…ポケット、30e、31e…開口端、30x…表面、31…上蓋、31b…キャビティ、32…半導体チップトレイ、30g…平坦面、P…交差点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に重ねたときに半導体チップを収容する空間が形成される半導体チップトレイであって、
表面に前記半導体チップを収容するポケットが形成されていると共に、裏面に前記半導体チップを覆うキャビティが形成され、
前記ポケットの開口形状は、前記キャビティの開口形状とは異なり、
前記複数の半導体チップトレイを重ねあわせたとき、前記ポケットの開口の1辺は、対向する位置の前記キャビティの開口の1辺と交錯する
ことを特徴とする半導体チップトレイ。
【請求項2】
前記ポケットの前記開口端の平面形状は凸多角形であり、
前記キャビティの前記開口端の平面形状は凹多角形であることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップトレイ。
【請求項3】
前記キャビティの側面を、前記ポケットの底面に対して傾斜させたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の半導体チップトレイ。
【請求項4】
半導体チップを収容するポケットが形成された下蓋と、
前記ポケットと協働して前記半導体チップを囲う空間を作るキャビティが形成された上蓋とを有し、
前記ポケットの開口端と前記キャビティの開口端とを平面視で交差させたことを特徴とする半導体チップトレイ。
【請求項5】
表面に半導体チップを収容するポケットが形成され、裏面に前記ポケットの開口形状とは異なる開口形状をしたキャビティが形成され、重ねあわせたとき、前記ポケットの開口の1辺は、対向する位置の前記キャビティの開口の1辺と交錯する半導体チップトレイの前記ポケット内に半導体チップを収容して搬送することを特徴とする半導体チップの搬送方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−99631(P2012−99631A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245950(P2010−245950)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】