説明

半導体デバイス及びその製造方法

【課題】接合障壁ショットキーダイオード及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の導電型を有する半導体層と、この半導体層上にあり、半導体層と共にショットキー接合部を形成する金属接点と、半導体層内に半導体領域とを含んでいる。半導体領域と半導体層とが、第1のp−n接合部を、ショットキー接合部と並列に形成する。第1のp−n接合部は、ショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、ショットキー接合部に隣接する半導体層内に空乏領域を発生させるように構成され、それによってショットキー接合部を通る逆漏れ電流が制限される。第1のp−n接合部は、ショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、第1のp−n接合部のパンチスルーが、ショットキー接合部の降伏電圧よりも低い電圧で起こるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス及びその製造方法に関し、より詳細には、降伏が制御された接合障壁ショットキー(Junction Barrier Schottky)(JBS)ダイオードを含む半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、約600V〜約2.5kVの電圧阻止定格を有することができる高電圧シリコンカーバイド(SiC)ショットキーダイオードは、同様の電圧定格を有するシリコンPINダイオードに匹敵することが期待される。そうしたダイオードは、その活性領域の設計に応じて、約100アンペア以上もの順電流を扱うことができる。高電圧ショットキーダイオードには、特に、電力の調整、分配、及び制御の分野で、いくつかの重要な用途がある。
【0003】
そうした用途におけるSiCショットキーダイオードの重要な一特性は、そのスイッチング速度である。シリコンベースのPINデバイスは一般に、比較的遅いスイッチング速度を呈する。シリコンPINダイオードは、その電圧定格に応じて、約20kHzの最大スイッチング速度を有することができる。それとは対照的に、シリコンカーバイドベースのショットキーデバイスでは、例えば、シリコンよりも約100倍超優れた、ずっと高いスイッチング速度が理論的に可能である。さらに、シリコンカーバイドデバイスは、シリコンデバイスよりも高い電流密度を扱うことができる。
【0004】
従来のSiCショットキーダイオード構造は、n型SiC基板を有し、その上に、ドリフト領域として機能するnエピタキシャル層が形成される。このデバイスは一般に、n層上に直接形成されたショットキー接点を含んでいる。ガードリング及び/又はp型JTE(ジャンクションターミネーションエクステンション(junction termination extension))領域などの接合終端領域が一般に、ショットキー接合活性領域を囲むように形成される。接合終端領域の目的は、ショットキー接合部の縁部に集まる電界を低減又は抑制すること、また、空乏領域がデバイスの表面と相互作用するのを低減又は防止することである。表面効果によって、空乏領域が不均一に広がり、それによって、デバイスの降伏電圧に悪影響が及ぶ恐れがある。その他の終端技術には、表面効果の影響をより強く受ける恐れがあるフィールドプレートやフローティングフィールドリングが含まれる。空乏領域がデバイスの縁部まで広がらないようにするために、チャネルストップ領域をn型ドーパントの注入によって形成することもできる。
【0005】
使用される終端のタイプに関わらず、十分に大きな逆電圧が接合部に印加された場合、ショットキーダイオードは故障する。そうした故障は、一般に破局的であり、デバイスに損傷を与える、又はデバイスを破壊する恐れがある。さらに、ショットキーダイオードには、接合部が故障する前であっても、大きな逆漏れ電流が起こることがある。そうした漏れ電流を低減するために、接合障壁ショットキー(JBS)ダイオードが開発された。JBSダイオードは、マージドPINショットキー(Merged PIN−Schottky)(MPS)ダイオードと呼ばれることもある。
【0006】
図1は、従来型のJBSダイオードを示す断面図である。従来型のJBSダイオード10は、n型基板12を備え、そのn型基板12上に、nドリフト層14が形成されている。このnドリフト層14の表面内に、複数のp+領域16が、一般にイオン注入によって形成されている。金属アノード接点(contact)18が、nドリフト層14の表面上に、nドリフト層14及びp+領域16の両方に接触して形成されている。金属アノード接点18は、nドリフト層14の露出部分とともにショットキー接合部J1を形成し、p+領域16とともにオーム接点を形成することができる。カソード接点(contact)20が、n型基板12上に形成されている。シリコンカーバイドベースのJBSダイオードについて、文献に記載されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0007】
順方向動作では、金属アノード接点18とnドリフト層14の間のショットキー接合部J1が、p+領域16とnドリフト層14の間のPN接合部J2より先にオンになる。したがって、低順電圧では、デバイスは、ショットキーダイオードの挙動を呈する。すなわち、デバイス内の電流輸送が、低順電圧でショットキー接合部J1を越えて注入された多数キャリア(電子)によって支配される。正常動作電圧では、デバイス内に少数キャリアが注入される可能性がなく(したがって、少数電荷が蓄積される可能性がない)ので、JBSダイオードは、ショットキーダイオードの速いスイッチング速度特性を有する。
【0008】
しかし、逆バイアス条件下では、p+領域16とnドリフト層14の間のPN接合部J2によって形成される空乏領域が広がって、デバイス10を通る逆電流が阻止され、それによってショットキー接合部J1が保護され、また、デバイス10内の逆漏れ電流が制限される。したがって、逆バイアスでは、JBSダイオード10は、PINダイオードのように挙動する。デバイス10の電圧阻止能力は一般に、ドリフト層14の厚さ及びドーピングと、縁部終端の設計とによって決まる。
【0009】
順方向バイアス動作下での、シリコンカーバイドベースのショットキーダイオードに関連する1つの問題は、ショットキー接合部J1の性質のため生じる。すなわち、シリコンカーバイドベースのデバイスのショットキー接合部J1が、例えば、PIN接合部と比較して、比較的高い抵抗を有することがある。いくつかの電力スイッチング用途では、電流サージ(例えば、過渡電流スパイク)を時々受けることがある。ショットキーデバイスでは、そうした電流サージによって、ショットキー接合部J1で大量の電力が消費され、それによりショットキー接合部J1が発熱することがある。ショットキー接合部J1が発熱すると、ショットキー接合部J1の障壁が低下して、さらに多くの電流がデバイス内を流れることができる。熱暴走として知られるこの現象は、デバイスに損傷を与える、又はデバイスを破壊する恐れがある。
【0010】
熱暴走は、また、デバイス内で、逆バイアス条件下でも起こることがある。というのも、熱暴走の結果、逆漏れ電流が温度と共に増大する可能性があるためである。さらに、逆バイアス条件下では、その他の問題が生じる可能性がある。例えば、上述したように、デバイスは、デバイスの阻止電圧を超えた場合、制御されない形で降伏(breakdown)し、そのためデバイスに損傷を与える、又はデバイスを破壊する恐れがある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,104,043号明細書
【特許文献2】米国特許第6,524,900号明細書
【特許文献3】公開PCT出願国際公開第97/08754号パンフレット
【特許文献4】米国特許第7,026,650号明細書
【非特許文献1】Singh等による、"Planar Terminations in 4H-SiC Schottky Diodes With Low Leakage And High Yields", ISPSD '97, pp. 157-160
【非特許文献2】Ueno等による、"The Guard-Ring Termination for High-Voltage SiC Schottky Barrier Diodes", IEEE Electron Device Letters, Vol. 16, No. 7, July 1995, pp. 331-332
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、接合障壁ショットキー(JBS)ダイオードを含む半導体デバイス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のいくつかの実施形態による半導体デバイスは、第1の導電型で、半導体デバイスの活性領域がその中に構成された表面を有する半導体層と、活性領域内に配置された、複数の離隔された第1のドープ領域とを含んでいる。複数の第1のドープ領域は、第1の導電型とは反対の第2の導電型と、第1のドーパント濃度とを有する。複数の第1のドープ領域は、活性領域内に、半導体層の複数の露出部分を構成する。半導体デバイスは、半導体層内に第2のドープ領域を含んでいる。第2のドープ領域は、第2の導電型と、第1のドーパント濃度よりも高い第2のドーパント濃度とを有する。半導体デバイスはさらに、半導体層の表面上に金属層を含んでいる。金属層は、半導体層の構成された露出部分と共にショットキー接合部を形成し、第2のドープ領域と共にオーム接点を形成する。
【0014】
金属層は、半導体層の露出部分及び第1のドープ領域に接触する第1の金属領域と、第2のドープ領域に接触する第2の金属領域とを含むことができる。第1の金属領域は、第2の金属領域とは異なる金属を含むことができる。第1の金属領域は、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルを含むことができ、第2の金属領域は、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルを含むことができる。
【0015】
半導体層は、シリコンカーバイド半導体層を含むことができる。第1のドープ領域は、約1×1017から約1×1018cm-3のドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことができ、第2のドープ領域は、約5×1018cm-3よりも高いドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことができる。
【0016】
半導体デバイスはさらに、半導体層内に、複数の第2のドープ領域を含むことができる。複数の第1のドープ領域を、半導体層内に、ストライプ及び/又はアイランドとして構成することができる。
【0017】
半導体層は、シリコンカーバイドからなるエピタキシャル層を含むことができる。半導体デバイスはさらに、第1の導電型を有するシリコンカーバイド基板を含むことができ、半導体層はその基板上にあってよい。半導体デバイスはさらに、基板上にオーム接点を含むことができる。
【0018】
第1の導電型をn型に、また、第2の導電型をp型にすることができる。いくつかの実施形態では、第1の導電型をp型に、また第2の導電型をn型にすることができる。
【0019】
第1のドープ領域及び第2のドープ領域を、半導体層の表面に配置することができる。第1のドープ領域及び第2のドープ領域により占有される表面積の、ダイオードの活性領域の全表面積に対する比を、約0.3とすることができる。
【0020】
第2のドープ領域と半導体層との間のp−n接合部のターンオン電圧を、金属層と半導体層の露出部分との間のショットキー接合部のターンオン電圧よりも高くすることができる。
【0021】
第1のドープ領域は、第1のドープ領域と半導体層との間の接合部のパンチスルーが、金属層と半導体層の露出部分との間のショットキー接合部のアバランシェ降伏よりも低い電圧で起こるような、ドーパント濃度及び厚さを有することができる。
【0022】
半導体デバイスはさらに、縁部終端領域を含むことができ、第1のドープ領域は、第1のドープ領域と半導体層との間の接合部のパンチスルーが、縁部終端の降伏電圧よりも低い電圧で起こるような、ドーパント濃度及び厚さを有することができる。
【0023】
本発明の他の実施形態による半導体デバイスは、第1の導電型を有する半導体層と、半導体層上にあり、半導体層と共にショットキー接合部を形成する金属接点と、半導体層内に半導体領域とを含んでいる。半導体領域及び半導体層は、ショットキー接合部と並列に第1のp−n接合部を形成する。第1のp−n接合部は、ショットキー接合部を通る逆漏れ電流を制限するためにショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、ショットキー接合部と隣接する半導体層内に空乏領域を発生するように構成される。第1のp−n接合部をさらに、ショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、第1のp−n接合部のパンチスルーが、ショットキー接合部の降伏電圧よりも低い電圧で起こるように構成することができる。
【0024】
半導体デバイスはさらに、ショットキー接合部及び第1のp−n接合部と並列に第2のp−n接合部を形成する、第2の半導体領域を含むことができる。第2のp−n接合部を、ショットキー接合部よりも高い順電圧でオンするように構成することができる。
【0025】
第1の半導体領域は、第1のドーパント濃度を有することができ、第2の半導体領域は、第1の半導体領域のドーパント濃度よりも高い第2のドーパント濃度を有することができる。
【0026】
半導体層は、シリコンカーバイド半導体層を含むことができる。第1の半導体領域は、約1×1017から約1×1018cm-3のドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことができ、第2の半導体領域は、約5×1018cm-3よりも高いドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことができる。
【0027】
第1の半導体領域は、半導体層内に複数の第1のドープ領域を含むことができ、第2の半導体領域は、半導体層内に複数の第2のドープ領域を含むことができる。複数の第1のドープ領域を、半導体層内にストライプ及び/又はアイランドとして構成することができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態による半導体デバイスの製造方法は、半導体層内に第1のドープ領域を形成すること、及び半導体層上に金属層を形成することを含んでいる。半導体層と第1のドープ領域とがp−n接合部を形成するように、半導体層が第1の導電型を有し、また、第1のドープ領域が、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有する。金属層が、半導体層と共にショットキー接合部を形成し、第1のドープ領域と接触する。第1のドープ領域は、ショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、p−n接合部のパンチスルーが、金属層と半導体層との間のショットキー接合部のアバランシェ降伏電圧よりも低い電圧で起こるような、厚さ及びドーパント濃度を有することができる。
【0029】
それらの製造方法はさらに、半導体層内に、半導体層の導電型とは反対の導電型と、第1のドープ領域のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度とを有する第2のドープ領域を形成することを含むことができる。
【0030】
第2のドープ領域と半導体層との間の接合部を、金属層と半導体層との間のショットキー接合部のターンオン電圧よりも高い電圧でオンするように構成することができる。
【0031】
金属層を形成することには、第2のドープ領域上に第1の金属層を形成することを含むことができる。第1の金属層は、第2のドープ領域と共にオーム接点を形成する。金属層を形成することにはさらに、半導体層及び第1のドープ領域上に、半導体層と共にショットキー接合部を形成する第2の金属層を形成することを含むことができる。
【0032】
本発明の更なる理解をもたらすために含まれ、また本願に組み込まれてその一部分をなす添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は、多くの異なる形で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。そうではなく、これらの実施形態は、本開示が、網羅的で完全なものとなるように、また本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、提供するものである。同じ数字は、全体を通じて同じ要素を表す。
【0034】
さまざまな要素について説明するために、本明細書において、第1、第2などの語が使用されることがあるが、それらの要素は、そうした語によって限定されるべきではないことが理解されよう。そうした語は、ある要素と別の要素を区別するために使用されるにすぎない。例えば、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、第1の要素を、第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を、第1の要素と呼ぶことができる。本明細書では、「及び/又は」という語は、列挙された関連する諸項目のうち1つ又は複数のあらゆる組合せを含んでいる。
【0035】
本明細書で使用される語は、特定の諸実施形態について説明するためのものに他ならず、本発明を限定するものではない。本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに示す場合を除き、複数形も含むものとする。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」という語は、本明細書において使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つあるいは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を妨げないことが、さらに理解されよう。
【0036】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本明細書にふさわしい当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるその意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味に解釈されないことが、さらに理解されよう。
【0037】
層、領域、又は基板などの要素が、別の要素「上に(on)」ある、又は別の要素「上に(onto)」広がるといわれる場合、その要素は直接他の要素上にあっても、直接他の要素上に広がってもよく、又は介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。それとは対照的に、要素が、別の要素の「直接上に(directly on)」ある、又は別の要素の「直接上に(directly onto)」広がるといわれる場合、介在する要素は存在しない。要素が、別の要素に「接続される」又は「結合される」といわれる場合、その要素は他の要素に直接接続されても、結合されてもよく、又は介在する要素が存在してもよいことも理解されよう。それとは対照的に、要素が、別の要素に「直接接続される」又は「直接結合される」といわれる場合、介在する要素は存在しない。
【0038】
本明細書において、図中に示す、ある要素、層、又は領域の、別の要素、層、又は領域との関係を記載するために、「下方の」、「上方の」、「高い方の」、「低い方の」、「水平の」、「横の」、又は「垂直の」などの相対語が使用されることがある。これらの語は、図中に描かれた向きに加えて、デバイスのさまざまな向きを含むものであることが理解されよう。
【0039】
本発明の各実施形態を、本明細書では、本発明の理想化された各実施形態(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して説明する。図面内の層及び領域の厚さは、見やすくするために誇張されていることがある。さらに、例えば、製造方法及び/又は公差の結果として、図面の形状との違いが予想される。したがって、本発明の各実施形態は、本明細書に示される領域の特定の形状に限定されるものと解釈すべきではなく、例えば、製造によって生じる形状のずれを含むべきである。例えば、長方形として図示される注入領域は一般に、丸い又は曲線状のフィーチャ、ならびに/あるいは注入領域から非注入領域への明確に区別された変化ではなく、注入濃度の勾配をその縁部に有する。同様に、注入によって形成された埋込み領域は、埋込み領域と注入がそこを介して行われた表面との間の領域内に、いくらかの注入を生じることがある。したがって、図中に示した領域は、実際は概略であり、その形状は、デバイスの領域の実形状を図示するものではなく、本発明の範囲を限定するものではない。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を、層及び/又は領域内の多数キャリア濃度を指すn型又はp型などの導電型を有するものとして特徴付けられる半導体層及び/又は領域に関して説明する。すなわち、n型材料は、負に帯電した電子が大部分の平衡濃度を占め、p型材料は、正に帯電した正孔が大部分の平衡濃度を占める。一部の材料は、別の層又は領域と比べて相対的により高い(「+」)又はより低い(「−」)多数キャリアの濃度を示すために、(n+、n-、p+、p-、n++、n--、p++、p--などのように)「+」又は「−」で示されることがある。しかし、そうした表記は、層又は領域内に、多数又は少数キャリアの特定の濃度が存在することを示唆するものではない。
【0041】
図2は、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードの上面図である。ダイオード100は、上面を有するドリフト層114を備え、上面内には、ドリフト層114とは反対の導電型の、複数の低濃度ドープ領域130が形成されている。図2に示した実施形態では、低濃度ドープ領域130は、ドリフト層114内に、ストライプ形領域として形成されている。しかし、低濃度ドープ領域130を、他の形状に形成してもよい。
【0042】
ドリフト層114を、ダイオード100に関する電圧阻止及びオン抵抗の設計要件に応じて、例えば、約2×1014から約1×1017cm-3のドーパント濃度を有する2H、4H、6H、3C及び/又は15Rポリタイプのn型シリコンカーバイドから形成することができる。GaN、GaAs、シリコン又はゲルマニウムなど、その他のタイプの半導体材料を使用してもよい。特定の実施形態では、ドリフト層114は、n型ドーパントを約5×1015cm-3の濃度でドープした4H−SiCを含んでいる。低濃度ドープ領域130を、例えば、ホウ素及び/又はアルミニウムなどのp型ドーパントを、ドリフト層114内に、約1×1017から約1×1018cm-3の濃度でイオン注入することによって形成することができ、低濃度ドープ領域130は、ドリフト層114の表面の下に、約0.3から約0.5μmの深さまで広がることができる。特定の実施形態では、低濃度ドープ領域130を、約5×1017cm-3のドーパント濃度でドープすることができ、低濃度ドープ領域130は、ドリフト層114の表面の下に、約0.3μmの深さまで広がることができる。
【0043】
複数の高濃度ドープ領域116も、ドリフト層114内に設けられる。高濃度ドープ領域116を、例えば、ホウ素及び/又はアルミニウムなどのp型ドーパントをドリフト層114内に、約1×1018から約1×1019cm-3の濃度でイオン注入することによって形成することができ、高濃度ドープ領域116は、ドリフト層114の表面の下に、約0.3から約0.5μmの深さまで広がることができる。特定の実施形態では、高濃度ドープ領域116を、約5×1018cm-3のドーパント濃度でドープすることができ、高濃度ドープ領域116は、ドリフト層114の表面の下に、約0.3μmの深さまで広がることができる。高濃度ドープ領域116を、例えば、エピタキシャル成長によって形成してもよい。
【0044】
図2に示した実施形態において示す低濃度ドープ領域130は、ドリフト層114の表面の部分114Aを露出させ、また(ドリフト層の露出領域114A及び高濃度ドープ領域116を除き)ドリフト層114の活性領域110全体にわたって広がる、離隔されたストライプの領域として設けられている。金属ショットキー接点(図示せず)が、ドリフト層114を覆い、金属ショットキー接点は、ドリフト層114の露出領域114A、ならびに低濃度ドープ領域130及び高濃度ドープ領域116と接触している。本明細書では、「活性領域」という用語は、ショットキー金属がそこでドリフト層と接触し、また、ドリフト層114の露出部分114Aと、低濃度ドープ領域130と、高濃度ドープ領域116とを含む、半導体デバイスの2次元領域を示している。したがって、活性領域は、ショットキー接合領域を含むが、例えば、以下に説明する縁部終端領域は含まない。
【0045】
ダイオード100は、ダイオード100の活性領域110を取り囲む縁部終端領域115を含むことができる。縁部終端領域115は、ジャンクションターミネーションエクステンション(JTE)領域、フィールドリング、フィールドプレート、ガードリング、ならびに/あるいは前述の又はその他の終端の組合せを含むことができる。
【0046】
SiCショットキーダイオードのその他の従来型終端について、文献に記載されている(例えば、非特許文献1参照)。SiCショットキーバリアダイオード用のp型エピタキシガードリング終端について、文献に記載されている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、その他の終端技法について、文献に記載されている(例えば、"SiC Semiconductor Device Comprising A PN Junction With A Voltage Absorbing Edge"という名称の特許文献3参照)。
【0047】
他のタイプの接合終端が文献に開示されている(例えば、本発明の譲受人に譲渡され、その開示を、その全体が記載されているのと同様に、参照により本明細書に組み込む特許文献4参照)。
【0048】
図3は、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードの断面図である。ダイオード(デバイス)100の、図2の線A−Aに概略沿った断面図である。ダイオード100のいくつかのフィーチャの寸法は、見やすくするために誇張されている。図3から分かるように、ダイオード100は、ドリフト層114がその上に形成された基板112を含んでいる。高濃度ドープ領域116を、ドリフト層114内に注入領域として形成することができる。同様に、低濃度ドープ領域130を、ドリフト層114内に注入領域として形成することができる。高濃度ドープ領域116及び低濃度ドープ領域130が、ドリフト層114とは反対の導電型を有するので、低濃度ドープ領域130は、ドリフト層114とともにp−n接合部J3を形成し、高濃度ドープ領域116は、ドリフト層114とともにp−n接合部J5を形成している。
【0049】
デバイス100の活性領域110の、低濃度ドープ領域130及び高濃度ドープ領域116により占有される表面積と、活性領域110の全表面積との比が、デバイス100の逆漏れ電流とデバイス100の順電圧降下の両方に影響を及ぼし得る。例えば、低濃度ドープ領域130と高濃度ドープ領域116とによって占有された面積が、活性領域110の全面積に対して増大した場合、逆漏れ電流は低減するが、デバイス100の順電圧降下は増大し得る。したがって、デバイス100の活性領域110の、低濃度ドープ領域130及び高濃度ドープ領域116により占有される表面積と、活性領域110の全表面積との比を選択するのに、逆漏れ電流と順電圧降下の間のトレードオフを使用することができる。いくつかの実施形態では、デバイス100の活性領域110の、低濃度ドープ領域130及び高濃度ドープ領域116により占有される表面積と、活性領域110の全表面積との比を、約2%〜40%とすることができる。
【0050】
ドリフト層114の表面上のアノード接点118が、隣接する低濃度ドープ領域130同士の間、及び/又は低濃度ドープ領域130と高濃度ドープ領域116との間のドリフト層114の露出部分114Aとともに、ショットキー接合部J4を形成している。アノード接点(contact)118は、高濃度ドープ領域116とともにオーム接点を形成することができると共に、ドリフト層114とともにショットキー接点を形成することができる、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルなどの金属を含むことができる。
【0051】
カソード接点(contact)120が、ドリフト層114とは反対側の基板112の側面上に形成されている。カソード接点120は、n型シリコンカーバイドへのオーム接点を形成することができる、ニッケルなどの金属を含むことができる。
【0052】
順方向動作では、アノード接点118とドリフト層114の露出部分114Aとの間のショットキー接合部J4が、高濃度ドープ領域116とドリフト層114との間のPN接合部J5より先にオンになる。したがって、低順電圧では、デバイスはショットキーダイオードの挙動を呈する。すなわち、低順電圧では、ダイオード100の動作が、ショットキー接合部J4を越える多数キャリアの注入によって支配される。正常動作条件下では、少数キャリアの注入がないので、ダイオード100は、一般のショットキーダイオードの特性である、非常に速いスイッチング能力を有することができる。
【0053】
高濃度ドープ領域116を、ショットキー接合部J4のターンオン電圧よりも高い順電圧で導通し始めるように設計することができる。したがって、ダイオード100の順電圧を増大させる電流サージが生じた場合、p−n接合部J5が導通し始める。p−n接合部J5が導通し始めた後、ダイオード100の動作は、p−n接合部J5を越える少数キャリアの注入及び再結合によって支配される。その場合、ダイオードのオン抵抗が低下し、それにより、所与の電流レベルについて、ダイオード100によって消費される電力量を低下させることができる。したがって、ダイオード100の順電圧が増大するときにp−n接合部J5がオンになることで、ダイオード100内の順電流暴走を低減及び/又は防止することができる。
【0054】
しかし、逆バイアス条件下では、低濃度ドープ領域130とドリフト層114との間のp−n接合部J3によって形成される空乏領域、及びp−n接合部J5の空乏領域が広がって、デバイス100を通る逆電流を阻止し、それによって、ショットキー接合部J4を保護し、デバイス100内の逆漏れ電流を制限することができる。したがって、逆バイアスでは、ダイオード100は、実質的にPINダイオードのように機能することができる。
【0055】
従来型のJBSショットキーダイオードとは異なり、本発明のいくつかの実施形態によるダイオード100の電圧阻止能力は、低濃度ドープ領域130の厚さ及びドーピングによって決まる。すなわち、十分に大きな逆電圧がダイオード100に印加された場合、低濃度ドープ領域130内の空乏領域が、アノード接点118に関連する空乏領域にパンチスルーし、大きな逆電流がデバイス100内を流れるのを可能にする。低濃度ドープ領域130が、ダイオード100の活性領域110全体にわたって分配されているので、この逆降伏を均一に分配して、逆降伏がダイオード100に損傷を与えることができないように制御することができる。すなわち、デバイス100の降伏を、低濃度ドープ領域130のパンチスルーに局所化することができ、それにより、ダイオード100の活性領域110全体にわたって均等に分配された降伏電流をもたらすことができる。その結果、ダイオード100の降伏特性を制御することができ、ダイオード100は、ダイオード100に損傷を与えずに、かつ/又はダイオード100を破壊することなく、大きな逆電流に耐えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、低濃度ドープ領域130のドーピングを、パンチスルー電圧が、普通ならダイオード100の縁部終端で対応することができる最大逆電圧よりも、わずかに小さくなるように選択することができる。
【0057】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオード内の電界と深さの関係をグラフに示す図である。本発明のいくつかの実施形態によるデバイス内の、例えば、図3の線B−Bに沿った垂直電界分布を、低濃度ドープ領域130内にさまざまなドーピングレベルを有するデバイスに関してシミュレーションしたものの他に、低濃度ドープ領域130がない従来型のJBSショットキーダイオードデバイスに関する垂直電界分布についてもシミュレーションしたグラフを示している。従来型のJBSショットキーダイオードの場合、p+領域16のうちの1つ、及びドリフト層14(図1)を通る垂直電界分布が示してある。具体的には、図4Aは、2.5×1017cm-3(曲線152)、5×1017cm-3(曲線154)、7.5×1017cm-3(曲線156)、及び1×1018cm-3(曲線158)のドーパント濃度を有する低濃度ドープ領域130を含む4つのデバイス、ならびに1つの従来型のJBSショットキーダイオード(曲線160)に関する降伏電圧での垂直電界を示している。
【0058】
低濃度ドープ領域130内に2.5×1017cm-3のドーパント濃度を有するデバイスの場合、低濃度ドープ領域130内の空乏領域がショットキー接点118にパンチスルーし、その結果、曲線152によって示されるように、デバイス内の電界が低減する。低濃度ドープ領域130内に1×1018cm-3のドーパント濃度を有するデバイスの場合、デバイスはむしろ、空乏領域が低濃度ドープ領域130内へ遠方までは広がらない、従来型のJBSショットキーダイオードのように挙動する。残りのデバイスでは、低濃度ドープ領域130内の空乏領域が、ショットキー接点118の下の空乏領域に接近し始める。低濃度ドープ領域130の空乏領域が、ショットキー接点118に関連する空乏領域と接触すると、パンチスルーが生じ始め、それにより逆電流が、ドリフト層114からショットキー接点118に流れて、逆電圧に伴って迅速に増大することが可能になる。
【0059】
図4Bは、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオード内の電界と深さの関係をグラフに示す図である。低濃度ドープ領域130内の空乏領域の形状を、図4Aの曲線154及び160を倍率変更したグラフである図4Bに、より詳細に示している。図4Bから分かるように、低濃度ドープ領域130内に5×1017cm-3のドーパント濃度を有するデバイスの場合、低濃度ドープ領域130とドリフト層114との間のp−n接合部に関連する、低濃度ドープ領域130内の空乏領域が、低濃度ドープ領域130内に、ショットキー接点118によって形成される空乏領域と接触する地点まで広がる。
【0060】
図5Aは、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する逆電流と逆バイアスの関係をグラフに示す図である。低濃度ドープ領域130内にさまざまなレベルのドーピングを有する600V定格のJBSショットキーデバイス、及び低濃度ドープ領域のないデバイスに関して、逆電流と逆バイアスの関係をシミュレーションしたグラフを示している。具体的には、図5Aは、低濃度ドープ領域130内に、2.5×1017cm-3(曲線172)、5×1017cm-3(曲線174)、7.5×1017cm-3(曲線176)、及び1×1018cm-3(曲線178)のドーパント濃度を有する低濃度ドープ領域130を含む4つのデバイス、ならびに1つの従来型のJBSショットキーダイオード(曲線180)に関する逆電流を示している。低濃度ドープ領域130内に2.5×1017cm-3のドーパント濃度を有するデバイス(曲線172)は、早期の降伏を呈するが、曲線178と180は実質的に一致し、1×1018cm-3のドーパント濃度を有するデバイスが、低濃度ドープ領域130のパンチスルーによって降伏し得ないことを示している。
【0061】
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する逆電流と逆バイアスの関係をグラフに示す図である。曲線174及び180を倍率変更したグラフを示している。図5Bから分かるように、5×1017cm-3のドーピング濃度を有する低濃度ドープ領域130を含むショットキーダイオードは、より均一な逆漏れ電流の分布を伴うにもかかわらず、標準ショットキーダイオードと類似する降伏挙動を呈することができる。
【0062】
図6は、本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する阻止電圧とドーピングの関係をグラフに示す図である。本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する阻止電圧とドーピングの関係を示すプロットである。図6に示すように、低濃度ドープ領域130の5×1017cm-3という低いドーパント濃度で、所望の阻止電圧を有するダイオードをもたらすことができる。ただし、ドーパント濃度が約7.5×1017cm-3を超えて増大するにつれて、阻止電圧はほぼ増大しない。しかし、上記で述べたように、低濃度ドープ領域130内により高いドーパント濃度を有するデバイスの場合、降伏機構はパンチスルーしないことがある。
【0063】
本発明に従って製作されたデバイス内に、所望のパンチスルー電圧を得るために必要なドーピング濃度及び寸法が、例えば製造技法の相違のため、上述の濃度及び/又は寸法から変わる可能性があることを、当業者なら理解されよう。
【0064】
図7は、本発明の他の実施形態によるJBSダイオードの断面図である。ダイオード200は、基板112及びドリフト層114を備えている。高濃度ドープ領域116が、ドリフト層114内に、複数の低濃度ドープ領域130とともに形成される。ダイオード200は、さらに、高濃度ドープ領域116上にオーム接点を形成する第1の部分228と、ドリフト層114とともにショットキー接点を形成する第2の部分238とを備え、アノード接点218を有している。図7に示すように、第2の部分238を、アノード接点218の第1の部分228を覆うように形成することができる。第1の部分228は、例えば、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルを含むことができ、第2の部分238は、例えば、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルを含むことができる。シリコンカーバイドへのオーム接点及び/又はショットキー接点を形成するためのその他の適切な材料が、当技術分野で公知であり、そうした材料を、本発明のいくつかの実施形態と共に使用することができる。
【0065】
図8は、本発明の他の実施形態によるJBSダイオードの上面図である。ダイオード300は、図2のデバイス100のストライプ形の領域ではなく、ドリフト層114内に円形のアイランド330として構成された、複数の低濃度ドープ領域330を含むことができる。いくつかの実施形態では、低濃度ドープ領域330は、概して長方形の形状、及び/又は不規則な形状を有することができる。
【0066】
図9は、本発明のいくつかの実施形態による作業をフローチャートに示す図である。それらの方法は、半導体層114内に、低濃度ドープ領域130を形成すること(ブロック410)を含んでいる。上述したように、低濃度ドープ領域130は、半導体層114の導電型とは反対の導電型を有する。
【0067】
それらの方法はさらに、半導体層114内に高濃度ドープ領域116を形成すること(ブロック420)を含んでいる。高濃度ドープ領域116は、低濃度ドープ領域130と同じ導電型を有するが、低濃度ドープ領域130よりも高濃度にドープされる。低濃度ドープ領域130及び高濃度ドープ領域を、イオン注入によって形成することができる。
【0068】
第1の金属層228を、高濃度ドープ領域116上にオーム接点として形成し(ブロック430)、第2の金属層238を、半導体層114及び低濃度ドープ領域130上に形成する(ブロック440)。第2の金属層238は、半導体層114の露出部分114Aと共にショットキー接点を形成することができる。第2の金属層238も、低濃度ドープ領域130と共にショットキー接点を形成することができる。
【0069】
本発明の各実施形態を、特定の作業順序に即して説明してきたが、当業者には理解されるように、順序内のいくつかの作業を並べ替えても、本発明の教示の恩恵を受けることが可能である。したがって、本発明は、本明細書に記載の正確な作業順序に限定されるものと解釈すべきではない。
【0070】
以上、図面及び明細書において、本発明の典型的な実施形態を開示してきた。特定の用語が使用されているが、それらは限定のためではなく、一般的で説明的な意味で使用されているにすぎない。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来型のJBSダイオードを示す断面図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードの上面図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードの断面図である。
【図4A】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオード内の電界と深さの関係をグラフに示す図である。
【図4B】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオード内の電界と深さの関係をグラフに示す図である。
【図5A】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する逆電流と逆バイアスの関係をグラフに示す図である。
【図5B】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する逆電流と逆バイアスの関係をグラフに示す図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態によるJBSダイオードに関する阻止電圧とドーピングの関係をグラフに示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるJBSダイオードの断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるJBSダイオードの上面図である。
【図9】本発明のいくつかの実施形態による作業をフローチャートに示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10 JBSダイオード(デバイス)
12 n型基板
14 nドリフト層
16 p+領域
18 金属アノード接点
20 カソード接点
100 ダイオード
110 活性領域
114 ドリフト層
114A 露出部分
115 縁部終端領域
116 高濃度ドープ領域
118 アノード接点
120 カソード接点
130 低濃度ドープ領域
200 ダイオード
228 第1の部分
238 第2の部分
218 アノード接点
300 ダイオード
330 アイランド(低濃度ドープ領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型で、活性領域がその中に構成された表面を有する半導体層と、
前記活性領域内に配置され、前記第1の導電型とは反対の第2の導電型で、第1のドーパント濃度を有し、前記活性領域内に前記半導体層の複数の露出部分を構成する複数の離隔された第1のドープ領域と、
前記半導体層内に配置され、前記第2の導電型で、前記第1のドーパント濃度よりも高い第2のドーパント濃度を有する第2のドープ領域と、
前記半導体層の前記表面上に配置され、該半導体層の前記構成された露出部分とともにショットキー接合部を構成し、かつ前記第2のドープ領域とともにオーム接点を構成する金属層と
を備えていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記金属層は、前記半導体層の前記露出部分及び前記第1のドープ領域に接触する第1の金属領域と、前記第2のドープ領域に接触する第2の金属領域とを備え、前記第1の金属領域は、前記第2の金属領域とは異なる金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1の金属領域は、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルを含み、前記第2の金属領域は、アルミニウム、チタン及び/又はニッケルを含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記半導体層は、シリコンカーバイド半導体層を備えていることを特徴とする請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1のドープ領域は、約1×1017から約1×1018cm-3のドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含み、前記第2のドープ領域は、約5×1018cm-3よりも高いドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第2のドープ領域は、前記半導体層内に複数構成され、前記複数の第1のドープ領域は、前記半導体層内にストライプとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第2のドープ領域は、前記半導体層内に複数構成され、前記複数の第1のドープ領域は、前記半導体層内にアイランドとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記半導体層は、シリコンカーバイドからなるエピタキシャル層を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1の導電型を有するシリコンカーバイド基板をさらに備え、前記半導体層は、前記基板上にあることを特徴とする請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記オーム接点は、第1のオーム接点を備え、前記半導体デバイスは、前記基板上に第2のオーム接点をさらに備えていることを特徴とする請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型であることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1の導電型はp型であり、前記第2の導電型はn型であることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記複数の第1のドープ領域及び前記第2のドープ領域は、前記半導体層の前記表面に配置され、前記複数の第1のドープ領域と前記第2のドープ領域とによって占有される表面積の、前記活性領域の全表面積に対する比は約0.3であることを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記第2のドープ領域と前記半導体層との間のp−n接合部のターンオン電圧は、前記金属層と前記半導体層の前記露出部分との間の前記ショットキー接合部のターンオン電圧よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記第1のドープ領域は、該第1のドープ領域と前記半導体層との間のp−n接合部のパンチスルーが、前記金属層と前記半導体層の前記露出部分との間の前記ショットキー接合部の降伏よりも低い電圧で起こるような厚さ及びドーパント濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
縁部終端領域をさらに備え、前記第1のドープ領域は、該第1のドープ領域と前記半導体層との間のp−n接合部のパンチスルーが、前記縁部終端領域の降伏電圧よりも低い電圧で起こるような厚さ及びドーパント濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
第1の導電型を有する半導体層と、
該半導体層上に配置され、該半導体層とともにショットキー接合部を形成する金属接点と、
前記半導体層内の半導体領域であって、前記半導体領域及び前記半導体層は、前記ショットキー接合部と並列に第1のp−n接合部を形成し、前記ショットキー接合部を通る逆漏れ電流を制限するために該ショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、該ショットキー接合部に隣接する前記半導体層内に空乏領域を発生させるように構成される半導体領域を備え、前記p−n接合部がさらに、該p−n接合部のパンチスルーが前記ショットキー接合部の降伏電圧よりも低い電圧で起こるように構成されていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項18】
前記p−n接合部は、第1のp−n接合部を備え、前記半導体デバイスはさらに、第2のp−n接合部を前記ショットキー接合部及び前記第1のp−n接合部と並列に形成する第2の半導体領域を備え、前記第2のp−n接合部は、前記ショットキー接合部よりも高い順電圧でオンになるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記第1の半導体領域は、第1のドーパント濃度を有し、前記第2の半導体領域は、前記第1の半導体領域の前記ドーパント濃度よりも高い第2のドーパント濃度を有することを特徴とする請求項18に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記半導体層は、シリコンカーバイド半導体層を備えていることを特徴とする請求項19に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記第1の半導体領域は、約1×1017から約1×1018cm-3のドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含み、前記第2の半導体領域は、約5×1018cm-3よりも高いドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことを特徴とする請求項20に記載の半導体デバイス。
【請求項22】
前記第1の半導体領域は、前記半導体層内に複数の第1のドープ領域を備え、前記第2の半導体領域は、前記半導体層内に複数の第2のドープ領域を備えていることを特徴とする請求項18に記載の半導体デバイス。
【請求項23】
前記複数の第1のドープ領域は、前記半導体層内にストライプとして構成されていることを特徴とする請求項22に記載の半導体デバイス。
【請求項24】
前記複数の第1のドープ領域は、前記半導体層内にアイランドとして構成されていることを特徴とする請求項22に記載の半導体デバイス。
【請求項25】
半導体層内に第1のドープ領域を形成するステップであって、前記半導体層と前記第1のドープ領域とがp−n接合部を形成するように、前記半導体層が第1の導電型を有し、前記第1のドープ領域が前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有するステップと、
前記半導体層上に金属層を形成するステップであって、前記金属層が、前記半導体層と共にショットキー接合部を形成し、前記第1のドープ領域と接触するステップとを有し、
前記第1のドープ領域が、前記ショットキー接合部に逆バイアスがかけられたとき、前記p−n接合部のパンチスルーが、前記金属層と前記半導体層との間の前記ショットキー接合部の降伏電圧よりも低い電圧で起こるような厚さ及びドーパント濃度を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項26】
前記半導体層内に第2のドープ領域を形成するステップであって、前記第2のドープ領域は、前記半導体層の前記導電型とは反対の導電型と、前記第1のドープ領域の前記ドーパント濃度よりも高いドーパント濃度とを有するステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項27】
前記第2のドープ領域と前記半導体層との間の第2のp−n接合部が、前記金属層と前記半導体層との間の前記ショットキー接合部のターンオン電圧よりも高い電圧でオンするように構成されることを特徴とする請求項26に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項28】
前記金属層を形成する前記ステップは、
前記第2のドープ領域上に第1の金属層を形成するステップであって、前記第1の金属層は、前記第2のドープ領域とともにオーム接点を形成するステップと、
前記半導体層及び前記第1のドープ領域上に第2の金属層を形成するステップであって、前記第2の金属層は、前記半導体層とともに前記ショットキー接合部を形成するステップとを含むことを特徴とする請求項26に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項29】
前記半導体層は、n型シリコンカーバイドを含み、前記第1のドープ領域は、約1×1017から約1×1018cm-3のドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含み、前記第2のドープ領域は、約5×1018cm-3よりも高いドーパント濃度を有するp型シリコンカーバイドを含むことを特徴とする請求項28に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項30】
前記半導体層内に複数の第1のドープ領域を、さらに前記半導体層内に複数の第2のドープ領域を形成するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項31】
前記複数の第1のドープ領域は、前記半導体層内にストライプとして構成されることを特徴とする請求項30に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項32】
前記複数の第1のドープ領域は、前記半導体層内にアイランドとして構成されることを特徴とする請求項30に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項33】
前記第1のドープ領域及び前記第2のドープ領域は、前記半導体層の表面に形成され、前記第1のドープ領域と前記第2のドープ領域とによって占有される表面積の、前記半導体デバイスの活性領域の全表面積に対する比は、約0.3であることを特徴とする請求項25に記載の半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−42198(P2008−42198A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199468(P2007−199468)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】