説明

半導体メモリカード

【課題】マスク材の剥がれや破れを抑制して、信頼性を向上することが可能な半導体メモリカードを提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体メモリカード100は、上部側に開口部3aが形成されたベースカード3と、半導体メモリと電気的に接続されるとともに外部装置に接続して信号を入出力するための入出力端子2が形成され、この入出力端子2が開口部3aを介して露出するようにベースカード3内に載置された半導体パッケージ1と、ベースカード3の側壁3bの上部に載置され、入出力端子2の一部が露出するように半導体パッケージ1を被覆するマスク板4とを備える。ベースカード3とマスク板4とが接する部には、ベースカード3またはマスク板4に樹脂から成る溶融部5が設けられ、ベースカード3とマスク板4とが溶融部5を超音波振動により溶融することにより超音波溶着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器と接続して使用する半導体メモリカードに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯音楽プレーヤなどのデジタル機器用データ記憶媒体として、半導体メモリチップを内蔵した半導体メモリカードが広く使用されている。この半導体メモリカードは、外部装置であるデジタル機器のソケットに挿入することによって、当該デジタル機器の内部回路とのアクセスが行われ、データの書き込みや読み出しが実行されるものである。
【0003】
従来の半導体メモリカードには、例えば、上部に開口部が形成されたベースカードと、所望のデータを記憶する半導体メモリ含み、上面にこの半導体メモリと電気的に接続されるとともに外部装置に接続して信号を入出力するための入出力端子が形成され、この入出力端子が開口部を介して露出するようにベースカード内に載置された半導体パッケージと、ベースカードの上部に接着され、入出力端子の少なくとも一部が露出するように半導体パッケージを被覆するシール状のラベル(マスク材)とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような構成により、半導体パッケージのベースカードからの離脱を防止するとともに、半導体パッケージ内への汚染源や水分の侵入を抑制するものである。
【0005】
しかし、上記従来技術では、例えば、ベースカードと半導体パッケージとの間の段差部分で十分にラベル(マスク材)が接着されず、ベースカードの端部で浮きが発生し、さらにはカード用ソケットへの挿抜を繰り返すことで、ラベル(マスク材)に剥がれや破れが生じ得る。また、該ラベル上に製品名称やウィクリーコード等をレーザーマークした場合、マーク箇所から破れが生じ得る。
【0006】
このようにラベル(マスク材)が剥がれ、破れたりすると、例えば、半導体パッケージがベースカードから離脱し、また、入出力端子に不要な信号が入力され半導体メモリカードが誤動作する等して信頼性が低下し得るという問題があった。
【特許文献1】特開2003−346109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マスク材の剥がれや破れを抑制して、半導体パッケージのベースカードから離脱を防止し、信頼性を向上することが可能な半導体メモリカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体メモリカードは、
外部装置に接続して信号を入出力する半導体メモリカードであって、
上部側に開口部が形成されたベースカードと、
所望のデータを記憶する半導体メモリ含み、上面にこの半導体メモリと電気的に接続されるとともに前記外部装置に接続して信号を入出力するための入出力端子が形成され、この入出力端子が前記開口部を介して露出するように前記ベースカード内に載置された半導体パッケージと、
前記ベースカードの側壁の上部に載置され、前記入出力端子の少なくとも一部が露出するように前記半導体パッケージを被覆するマスク板と、を備え、
前記ベースカードおよび前記マスク板とは樹脂で構成されるとともに、前記ベースカードと前記マスク板とが接する部分であって前記ベースカードまたは前記マスク板の少なくとも何れか一方に樹脂から成る溶融部が設けられ、前記ベースカードと前記マスク板とが前記溶融部で超音波溶着されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る半導体メモリカードによれば、マスク材の剥がれや破れを抑制して、半導体パッケージのベースカードから離脱を防止し、信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を外部装置に接続して信号を入出力する半導体メモリカードとしてSDメモリカードTMに適用した実施例について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、半導体メモリカードとして他のメモリカードにも同様に適用が可能である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの半導体パッケージの要部の構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、所望のデータを記憶する半導体メモリを含む矩形平面形状の半導体パッケージ1の上面には、この半導体メモリと電気的に接続されるとともに外部装置(図示せず)に接続して信号を入出力するための入出力端子2が形成されている。
【0013】
半導体パッケージ1に搭載される半導体メモリには、例えば、NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリが含まれる。そして、半導体パッケージ1は、さらに、入出力端子2から入力される信号に基づいて半導体メモリを制御するコントローラが含まれている。
【0014】
図2は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードのベースカードの要部の構成を示す図である。
【0015】
図2に示すように、矩形のベースカード3は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂により構成されている。このベースカード3の上部側には開口部3aが形成されており、この開口部3aを介して半導体パッケージ1は入出力端子2が露出するようにベースカード3内に載置されるようになっている。
【0016】
図3は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードのマスク板の要部の構成を示す下面図である。
【0017】
マスク板4は、例えば、ベースカード3と同様のポリカーボネート等の樹脂により構成されている。このマスク板4は、ベースカード3の側壁3bの上部に載置され、入出力端子2の少なくとも一部が露出するように半導体パッケージ1を被覆する。図3に示すように、このマスク板4のベースカード4と接する部分である外周部4a、4b、4cには、例えば、ポリカーボネート等の樹脂から成る溶融部5が設けられている。また、このマスク板4は、上述のように、ポリカーボネート等の樹脂で構成されているため、従来の紙で構成されたラベルのように、例えば、カード用ソケットへの挿抜で破損しない。
【0018】
溶融部5は、例えば、断面が三角形のリブ状に外周部4a、4b、4cに沿って形成されている。これにより、この溶融部5に超音波振動を集中的に与え、樹脂溶融温度まで短時間で発熱させ、効率良く溶着することができるようになっている。
【0019】
次に、以上のような構成要素を備える半導体メモリカードについて説明する。図4は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す図である。また、図5は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す断面図である。
【0020】
図4に示すように、半導体メモリカード100は、ベースカード3と、入出力端子2が開口部3aを介して露出するようにベースカード3内に載置された半導体パッケージ1と、ベースカード3の側壁3bの上部に載置され、入出力端子2の少なくとも一部が露出するように半導体パッケージ1を被覆するマスク板4と、を備えている。
【0021】
図5に示すように、ベースカード3とマスク板4とが溶融部5を超音波振動により溶融することにより超音波溶着される。既述のように、溶融部5は断面が三角形のリブ状に形成されているので、超音波振動を集中的に与え、樹脂溶融温度まで短時間で発熱させ、効率良く溶着することができる。そして、従来のシール状のラベルを半導体パッケージに貼り付ける場合と比較して、ベースカード3とマスク板4とが溶着されているのでベースカード3とマスク板4との間の結合の強度が高く、ラベルとなるマスク板4の破損を防止することができる。また、樹脂からなるマスク板4上に製品名称やウィクリーコード等をレーザーマークした場合も、上記従来技術と比較してマーク箇所からの破損を防止することができる。
【0022】
ここで、マスク板の溶融部の他の例について説明する。図6および図7は、本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの他のマスク板の要部の構成を示す図である。
【0023】
既述のように、マスク板4は溶融部5が外周部4a、4b、4cに沿って形成されているが、例えば、図6に示すように外周部4a、4cのみに溶融部5を設けてもよい。また、図7に示すように、溶融部5を所望の間隔を空けて分割してもよい。これにより、超音波振動により溶融した樹脂の体積を減らし、溶着バリを防止することができる。
【0024】
以上のように、本実施例に係る半導体メモリカードによれば、ラベルとなるマスク板(マスク材)の剥がれや破れを抑制して、半導体パッケージのベースカードから離脱を防止し、信頼性を向上することができる。
【実施例2】
【0025】
実施例1では、ベースカードとマスク板とを溶融部を超音波振動により溶融することにより超音波溶着する構成について述べたが、本実施例では、この超音波溶着により生じた溶着バリの外部への流出を防止する構成について述べる。
【0026】
図8は、本発明の一態様である実施例2に係る半導体メモリカード200の要部の構成を示す図である。なお、図中、実施例1と同じ符号は、実施例1と同様の構成を示している。
【0027】
図8に示すように、例えば、ポリカーボネート等の樹脂で構成されるベースカード23は、側壁23bの上部であってマスク板4と溶着される部分の周辺に設けられた縁部23cを有する。この縁部23cは、超音波溶着により生じた溶着バリの外部への流出を防止するダムとして機能する。
【0028】
そして、図8に示すように、ベースカード23とマスク板4とが溶融部5を超音波振動により溶融することにより超音波溶着される。上述の縁部23cが、溶融部5が溶融した樹脂5aが溶融バリとして半導体メモリカード200の外部に流出するのを堰き止めることができる。
【0029】
以上のように、本実施例に係る半導体メモリカードによれば、実施例1と同様にラベルとなるマスク板(マスク材)の剥がれや破れを抑制して、半導体パッケージのベースカードから離脱を防止しつつ、溶着バリの抑制を図ることができる。
【実施例3】
【0030】
実施例2では、マスク板に溶融部が設けられた構成について述べたが、本実施例では、ベースカードの側壁の上部に溶融部が設けられた構成について述べる。
【0031】
図9は、本発明の一態様である実施例3に係る半導体メモリカード300の要部の構成を示す図である。なお、図中、実施例1と同じ符号は、実施例1と同様の構成を示している。
【0032】
図9に示すように、例えば、ポリカーボネート等の樹脂で構成されるベースカード33は、側壁33bの上部であってマスク板4と溶着される部分の周辺に設けられた縁部33cと、例えば、ポリカーボネート等の樹脂から成る溶融部35を有する。
【0033】
この溶融部35は、例えば、断面が三角形のリブ状に側壁33bの上部に沿って形成されている。これにより、この溶融部35に超音波振動を集中的に与え、樹脂溶融温度まで短時間で発熱させ、効率良く溶着することができるようになっている。
【0034】
また、実施例2と同様に、縁部33cにより、超音波溶着により生じた樹脂35aが溶着バリとして外部への流出を防止することができるようになっている。
【0035】
以上のように、本実施例に係る半導体メモリカードによれば、実施例2と同様にラベルとなるマスク板(マスク材)の剥がれや破れを抑制して、半導体パッケージのベースカードから離脱を防止しつつ、溶着バリの抑制を図ることができる。
【実施例4】
【0036】
実施例1では、半導体パッケージに入出力端子が形成された構成について述べたが、本実施例では、半導体パッケージの上面に外部から所望の信号を入出力するための内部端子が形成された構成について述べる。
【0037】
図10は、本発明の一態様である実施例4に係る半導体メモリカード400の要部の構成を示す図である。なお、図中、実施例1と同じ符号は、実施例1と同様の構成を示している。
【0038】
図10に示すように、半導体メモリカード400は、ベースカード3と、組み立て時に半導体メモリを外部から所望の信号を入出力するための内部端子43が上面に形成され、入出力端子42が開口部3aを介して露出するようにベースカード3内に載置された半導体パッケージ41と、ベースカード3の側壁3bの上部に載置され、入出力端子42が露出するとともに内部端子43を被覆するように半導体パッケージ41の上部を被覆するマスク板4とを備えている。
【0039】
実施例1ないし3と同様に、ベースカード3とマスク板4とが溶融部を超音波振動により溶融することにより超音波溶着される。
【0040】
内部端子43は、ここでは半導体メモリカード400の製造者により使用される。例えば、製造者は、半導体メモリカード400の組立工程で搭載した半導体パッケージ1の半導体メモリにプログラム等をこの内部端子43から書き込みし、また、搭載した半導体パッケージ1の半導体メモリに不具合がないかテストするための信号をこの内部端子43から入出力する。そして、製造者によるこれらの作業の終了後、ベースカード3とマスク板4との溶着により、内部端子43はマスク板4により外部から絶縁される。このようにして、ユーザ使用時に不要な内部端子を外部から絶縁して不要な信号の入力を抑制して、半導体メモリカード400の誤動作等を防止される。
【0041】
なお、本実施例においても、実施例2および3と同様に、ベースカード3の側壁3bの上部に縁部を設けて溶融バリの発生を抑制するようにしてもよい。
【0042】
以上のように、本実施例に係る半導体メモリカードによれば、実施例1ないし3と同様に、マスク板の剥がれや破れを抑制して、半導体パッケージのベースカードから離脱を防止しつつ、内部端子への不要な信号の入力を防止して、信頼性の向上を図ることができる。
【0043】
なお、以上実施例においては、溶融部がベースカードまたはマスク板の何れか一方に設けられている構成について説明したが、溶融部がベースカードおよびマスク板の両方に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの半導体パッケージの要部の構成を示す図である。
【図2】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードのベースカードの要部の構成を示す図である。
【図3】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードのマスク板の要部の構成を示す下面図である。
【図4】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す図である。
【図5】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの他のマスク板の要部の構成を示す図である。
【図7】本発明の一態様である実施例1に係る半導体メモリカードの他のマスク板の要部の構成を示す図である。
【図8】本発明の一態様である実施例2に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す図である。
【図9】本発明の一態様である実施例3に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す図である。
【図10】本発明の一態様である実施例4に係る半導体メモリカードの要部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体パッケージ
2 入出力端子
3 ベースカード
3a 開口部
3b 側壁
3c 縁部
4 マスク板
4a、4b、4c 外周部
5 溶融部
5a 樹脂
23、33 ベースカード
23a、33a 縁部
34 マスク板
35 溶融部
35a 樹脂
41 半導体パッケージ
42 入出力端子
43 内部端子
100、200、300、400 半導体メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に接続して信号を入出力する半導体メモリカードであって、
上部側に開口部が形成されたベースカードと、
所望のデータを記憶する半導体メモリ含み、上面にこの半導体メモリと電気的に接続されるとともに前記外部装置に接続して信号を入出力するための入出力端子が形成され、この入出力端子が前記開口部を介して露出するように前記ベースカード内に載置された半導体パッケージと、
前記ベースカードの側壁の上部に載置され、前記入出力端子の少なくとも一部が露出するように前記半導体パッケージを被覆するマスク板と、を備え、
前記ベースカードおよび前記マスク板とは樹脂で構成されるとともに、前記ベースカードと前記マスク板とが接する部分であって前記ベースカードまたは前記マスク板の少なくとも何れか一方に樹脂から成る溶融部が設けられ、前記ベースカードと前記マスク板とが前記溶融部で超音波溶着されている
ことを特徴とする半導体メモリカード。
【請求項2】
前記半導体パッケージの上面には、組み立て時に前記半導体メモリを外部から所望の信号を入出力するための内部端子が形成され、
前記マスク板は、前記半導体パッケージの上部で前記内部端子を被覆することを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリカード。
【請求項3】
前記ベースカードの側壁の上部には、前記マスク板と溶着された部分の周辺に縁部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体メモリカード。
【請求項4】
前記溶融部は、前記ベースカードまたは前記マスク板の少なくとも何れか一方に所望の間隔で配置されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の半導体メモリカード。
【請求項5】
前記樹脂は、ポリカーボネートであることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の半導体メモリカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−52412(P2008−52412A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226391(P2006−226391)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】