説明

半導体メモリ装置および半導体メモリシステム

【課題】消去を許さないパラメタ装置依存パラメタを有するファイルシステムにおいても、ウェアレベリングのために論物変換テーブルの初期化を行えるようにする。
【解決手段】半導体メモリ装置110は、フラッシュメモリ140を管理しているファイルシステムがユーザ独自に利用可能な装置依存パラメタ領域を有するかを判断するID検出手段152と、フラッシュメモリ140の物理アドレスと外部からアクセスする際の論理アドレスとを対応づける論物変換テーブルを初期化するテーブル初期化手段154とを含むメモリ情報管理手段150と、を具備し、テーブル初期化手段154による論物変換テーブルの初期化前に、フラッシュメモリ140上の装置依存パラメタを取得してカード依存パラメタ記憶手段155に記録し、論物変換テーブルの初期化後に、カード依存パラメタ記憶手段155中の装置依存パラメタをフラッシュメモリ140に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードなどを含む半導体メモリ装置および半導体メモリシステムに関し、特に半導体メモリ装置内部の不揮発性メモリの性能劣化による信頼性低下を防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラッシュメモリが内蔵されたカード型の記録媒体であるSD(SecureDigital)カード等の半導体メモリ装置は、超小型、超薄型であり、その取り扱い易さから、ディジタルカメラ、携帯機器等において画像等のデータを記録するために広く利用されている。
【0003】
この半導体メモリ装置に内蔵されているフラッシュメモリは、一定サイズのブロック単位でデータを消去し書き換えできる不揮発性のメモリである。昨今の大容量化の要請に対応すべく、フラッシュメモリはプロセスの微細化が進むとともに、1セルで2ビット以上のデータを蓄積可能なフラッシュメモリが商品化されてきており、書き換え回数が減り、データ保持期間が短くなってきている。
【0004】
図3を用いて、1セルあたり1ビットの情報を表現するSLC(シングルレベルセル)フラッシュメモリ(以下、フラッシュメモリ)のフローティングゲートに蓄積する電子の数と閾値電圧(Vth)の関係を説明する。
【0005】
図3はフラッシュメモリの1セルの構成を示す。フラッシュメモリはPチャンネルサブストレート307上にNチャンネルのソース及びドレイン電極305、306が形成され、その間にトンネル酸化膜304、フローティングゲート303、酸化絶縁膜302及びコントロールゲート301が積層して構成される。このようにフラッシュメモリは揮発性ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)と異なり、フローティングゲート303という電荷を保持する領域がトランジスタ内部に追加されている。フローティングゲート303に蓄積されている電荷の状態によって、電流が流れる時の電圧の閾値が変わる。図3(a)は電荷が蓄積されていないデータ書き込み前の初期状態であり、図3(b)は電荷が蓄積されておりデータを書き込んだ状態を示す。
【0006】
フラッシュメモリにおいて、フローティングゲートに電子の蓄積のあるなしで電流が流れる時の電圧が変わり、1セルあたり1ビットの情報を表現する2値フラッシュメモリの場合は電荷の量によって電流が流れる時の閾値電圧が2状態存在する。このように、蓄積する電子のあるなしにより電位が上昇するので、1つのメモリセルに1ビットのデータを記録することができる。
【0007】
フラッシュメモリはフローティングゲート303に蓄積した電荷を保持するために、絶縁機能を持つトンネル酸化膜304を用いる。書き込み時や消去時には、トンネル酸化膜304を電子が通り抜けることになり、トンネル酸化膜304が劣化していく。書き換えを繰り返すとトンネル酸化膜304が損傷して、絶縁の役目を果たさなくなる。このため、フラッシュメモリは書き換え回数が制限されるという特徴を有する。
【0008】
また、書き込み時や消去時の劣化は、フラッシュメモリのブロック単位で起こるために、書き込みや消去を行うブロックの偏りをなくすためのウェアレベリングが必要である。
【0009】
図8を用いて、フラッシュメモリの物理アドレスとホストからアクセスする論理アドレスを変換する論物変換テーブル初期化によりウェアレベリングを行う従来の方法について説明を行う。図8において、半導体メモリシステムは、PCなどのホスト100と、SDカードなどのように内部の半導体メモリにデータを保持する半導体メモリ装置110とで構成される。半導体メモリ装置110は、ホスト100からのアクセスを受け付けるインターフェイス変換手段(以下、IF変換手段)120と、データを記録するフラッシュメモリ140と、フラッシュメモリ140に対してデータの書き込みと読み出しを行うフラッシュメモリアクセス手段130と、半導体メモリ装置の情報を管理するメモリ情報管理手段150から構成される。さらに、メモリ情報管理手段150は、ホスト100からアクセスする論理アドレスとフラッシュメモリ140へアクセスする物理アドレスを変換するテーブル情報を初期化するテーブル初期化手段154を有する。テーブル情報が保存される領域は、フラッシュメモリ140に割り当てられた領域として説明をする。
【0010】
まず、カメラレコーダーのような撮像装置が、記録媒体として半導体メモリ装置を用い、映像データを記録する場合の特長について説明する。半導体メモリ装置へ記録された映像データは、記録した記録媒体をそのまま保存するビデオテープとは異なり、データの保存期間が短いなどの理由により、別の記録装置へ移し替えられる。別の記録装置へ移し替えられると、記録に利用した半導体メモリ装置は、再フォーマットされて、次の撮影に利用される。半導体メモリ装置への記録は、メディアの容量いっぱいまで記録されることは少なく、残量に余裕を持って途中までの記録になる。つまり、半導体メモリ装置は、途中までの記録、フォーマット、途中までの記録、フォーマットというように、途中までの記録とフォーマットとが交互に繰り返される利用方法となる。
【0011】
このような使われ方の場合、フラッシュメモリ140のブロックの利用傾向を説明する。具体的には、フラッシュメモリアクセス手段130がホスト100からアクセスされる論理アドレスと、フラッシュメモリ140に対して物理的にアクセスする物理アドレスの変換について説明する。フラッシュメモリアクセス手段130は、IF変換手段120経由で、ホスト100からデータの書き込み要求を受け取ると、フラッシュメモリ140へ書き込む物理ブロックを割り当てる。フラッシュメモリの特徴として、書き込み済みのブロックのデータ更新ができないために、フラッシュメモリアクセス手段130は、消去済みのブロックを確保して、そのブロックへ書き込みを行う。そして、書き込み前のデータが記録されているブロックは、消去して次の書き込みに備え、循環領域のブロックとして登録される。フラッシュメモリアクセス手段130は、このようにブロックの管理を行う。
【0012】
このような処理において、半導体メモリ装置110のフラッシュメモリ140の半分程度の容量までの記録を繰り返した場合、ブロック利用に偏りが生じることについて説明する。通常、ファイルシステム経由で記録メディアへ書き込みを行う場合、ファイルシステムは空いている論理アドレスから小さい論理アドレス番号を優先して選ぶ。領域の半分までの記録では、前半の論理アドレス番号に記録されることになる。つまり、半導体メモリ装置の前半部分に割り当てられている物理ブロックと循環領域の物理ブロックのみが循環して利用されることになり、後半部分の物理ブロックへの書き込みが行われず、書き込まれる物理ブロックが固定化して、書き込み回数が平滑化されない状態になる。
【0013】
特許文献1では、フォーマット時にフラッシュメモリアクセス手段130が管理している論理アドレスと物理アドレスの管理テーブルを初期化する。具体的には、管理テーブルの初期化は全ブロックを循環領域のブロックとして登録する。このことにより、次の書き込みの際には、全ブロックからブロックが選ばれることになる。この方法により、固定化されるブロックをなくして、書き込み回数の平滑化を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2009/090692号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、ファイルシステムの中には、記録デバイスの特長を活かしたアクセスができるように、固有のパラメタをファイルシステムが管理するデータの一部として記録するものが存在している。この固有のパラメタのデータは、ファイルシステムの初期化においても、保持される必要がある。
【0016】
このようなファイルシステムにおいて、上記従来の構成ではファイルシステムのフォーマット処理において、フォーマット時の管理テーブルの初期化により固有のパラメタも消去してしまうために、従来技術を利用できないという課題を有していた。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するものであり、消去することが許されないパラメタを有するファイルシステムにおいても、論物変換テーブルの初期化により効率のよいウェアレベリングを実現することを可能にする半導体メモリ装置および半導体メモリシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題を解決するために、本発明の半導体メモリ装置は、不揮発性メモリと、外部機器からの制御コマンドを基に前記不揮発性メモリへのアクセスを制御する不揮発性メモリアクセス手段と、前記不揮発性メモリを管理しているファイルシステムがユーザ独自に利用可能な装置依存パラメタ領域を有するかを判断する識別子検出手段と前記装置依存パラメタを記憶するメモリ依存パラメタ記憶手段と前記不揮発性メモリの物理アドレスと外部からアクセスする際の論理アドレスとを対応づける論物変換テーブルを初期化するテーブル初期化手段とを含むメモリ情報管理手段と、を具備し、前記メモリ情報管理手段は、前記テーブル初期化手段による前記論物変換テーブルの初期化前に、前記不揮発性メモリ上の前記装置依存パラメタを取得して前記メモリ依存パラメタ記憶手段に記録し、前記論物変換テーブルの初期化後に、前記メモリ依存パラメタ記憶手段中の前記装置依存パラメタを前記不揮発性メモリに書き込む。
【発明の効果】
【0019】
上記の構成によれば、半導体メモリ装置の論物変換テーブルの初期化を行う場合においても、半導体メモリ装置に依存するパラメタを保護することが可能になり、半導体メモリ装置の依存パラメタを有するファイルシステムにおいても、半導体メモリ装置の論物変換テーブルの初期化ができることにより、半導体メモリ装置の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態における半導体メモリ装置の構成図
【図2】第1の実施の形態におけるOEMパラメタの構造を示す図
【図3】フラッシュメモリの構造を示す模式図
【図4】第1の実施の形態における半導体メモリ装置のフローチャート
【図5】第1の実施の形態におけるOEMパラメタのデータ割り当てを示す図
【図6】第2の実施の形態における半導体メモリシステムの構成図
【図7】第2の実施の形態における半導体メモリ装置のフローチャート
【図8】従来の半導体メモリ装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
以下第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態における半導体メモリ装置の構成図である。
【0022】
図1において、半導体メモリ装置110は、ホスト100からのアクセスを受け付けるインターフェイス変換手段(以下、IF変換手段)120と、データを記録するフラッシュメモリ140と、フラッシュメモリ140に対してデータの書き込みと読み出しを行うフラッシュメモリアクセス手段130と、半導体メモリ装置110の情報を管理するメモリ情報管理手段150から構成される。
【0023】
メモリ情報管理手段150は、ホスト100からアクセスする論理アドレスとフラッシュメモリ140へアクセスする物理アドレスを変換するテーブル情報を初期化するテーブル初期化手段154に加えて、フラッシュメモリ140のファイルシステムのフォーマットを検出するファイルシステム検出手段(以下FS検出手段)151と、FS検出手段151の検出結果がデバイス依存のパラメタを有するファイルシステムであると検出した場合にデバイス依存のパラメタのIDを検索して所定のIDであることを検出するID検出手段152と、ID検出手段152で有効なGUID(後述)の存在を検出した場合に、有効なGUIDに対して、書き換え回数などのOEMパラメタのCustomDefinedフィールドの情報を記憶するカード依存パラメタ記憶手段155から構成される。
【0024】
本実施の形態の説明では、デバイス依存のファイルシステムとしてマイクロソフト社がフラッシュメモリ向けに開発したファイルシステムであるExtendedFAT(以下exFAT)を具体例として説明する。また、デバイス依存のパラメタは、exFATのOEMパラメタを利用して説明し、これらのパラメタはファイルシステムの初期化時に特定の条件を除いて消去されないデータである。
【0025】
図2を用いて、OEMパラメタの説明を行う。図2(a)は、OEMパラメタの構造を示し、左の列からバイト位置(BP)、バイト長(Length)、名称(FieldName)、説明(Contents)を示す。OEMパラメタは、Parameters[0]からParameters[9]までの、10個のデータを管理することができる。
【0026】
さらに、図2(b)は、それぞれのParameters[]の構造を示し、ParametersGUIDはグローバル一意識別子(Globally Unique Identifier)であり(以下GUIDと表現)、CustomDefinedはGUID毎に独自に定義される。
【0027】
本実施の形態では、OEMパラメタとして書き換え回数を定義するGUIDを割り当て、書き換え回数を管理する領域としてCustomDefinedフィールドを割り当てるものとする。
【0028】
図4は、半導体メモリ装置110の動作処理を説明するフローチャートである。図4(a)は半導体メモリ装置110の初期化フローを示すフローチャートであり、図4(b)はホスト100から論物変換テーブルの初期化を行うとともに、所定のファイルシステムで半導体メモリ装置110を利用可能なようにフォーマットを行う時のフローを示すフローチャートである。
【0029】
まず、図4(a)を用いて、半導体メモリ装置110の初期化フローを説明する。
【0030】
半導体メモリ装置110は、半導体メモリ装置110へ電源の投入やリセット信号をトリガに初期化を開始する(S101)。フラッシュメモリアクセス手段130はフラッシュメモリ140の初期化を行ってフラッシュメモリ140に対してデータの読み出し・書き込みを行える状態にする(S102)。
【0031】
メモリ情報管理手段150はフラッシュメモリアクセス手段130の指示に従いフラッシュメモリアクセス手段130経由でフラッシュメモリ140からデータを読み出して、FS検出手段151によりフォーマットされているファイルシステムを検出する(S103)。S103において、メモリ情報管理手段150はファイルシステムの種類がexFAT以外であれば初期化完了のステップへ進み(S106)、exFATであれば次のステップ(S104)に進む。
【0032】
S104において、ID検出手段152はフラッシュメモリアクセス手段130経由でフラッシュメモリ140のすべてのOEMパラメタフィールド(Parameters[0]〜[9])を検索して有効なGUIDがParameteresGuidに存在するかを確認する(S104)。ID検出手段152は有効なGUIDが存在しない場合には初期化完了のステップに進み(S106)、有効なGUIDが存在する場合には次のステップ(S105)に進む。S105において、メモリ情報管理手段150は有効なGUIDに対して、書き換え回数などのOEMパラメタのCustomDefinedフィールドの情報をカード依存パラメタ記憶手段155に記憶し、初期化を完了する(S106)。
【0033】
ここで、図5を用いて、書き換え回数をOEMパラメタのCustomDefinedフィールドに反映する例をさらに詳しく説明する。図5では、フラッシュメモリ140の全領域を8つのブロックに分けてそれぞれの書き換え回数を管理する例を示している。最初のCustomDefinedフィールド(Generic Parameters TemplateのBP1〜8)を用いて、書き換え回数は管理される。BPの番号の1がブロック番号の1、BPの番号の2がブロック番号の2のようにBPの番号がそれぞれ対応するブロック番号を示し、それぞれのブロック番号ごとに書き換え回数が管理される。図5では、ブロック番号1は書き換え回数が400であり、ブロック管理番号2が500であることを示す。
【0034】
次に、図4(b)を用いて、管理テーブルの初期化とフォーマット時の動作フローについて説明を行う。ホスト100から管理テーブル初期化コマンドを受信すると(S111)、フラッシュメモリ140がフォーマットされていたファイルシステムの種類により、以降の処理が変更される(S114)。この処理は、図4(b)において、FS検出手段151によるファイルシステムの検出およびID検出手段152によるOEMパラメタのGUID検出した結果を利用するものとする。ファイルシステムがexFAT以外であれば、メモリ情報管理手段150のテーブル初期化手段154はフラッシュメモリアクセス手段130経由でフラッシュメモリ140の論理アドレスと物理アドレスを変換するテーブルを初期化し(S121)、管理テーブル初期化の処理を終了してホストへ完了を通知するが(S117)、ファイルシステムがexFATであれば次のステップ(S115)に進む。S115の処理は、OEMパラメタに有効なGUIDが存在するかを確認して次の処理を変える。有効なGUIDが存在しない場合には、メモリ情報管理手段150は、管理テーブル初期化(S121)を行い、処理を終了してホストへ完了を通知するが(S117)、OEMパラメタに有効なGUIDが存在する場合には、S121と同様の管理テーブルの初期化処理を行い(S120)、S116の処理に移る。メモリ情報管理手段150は、S116において、カード依存パラメタ記憶手段155に保存しているパラメタをフラッシュメモリアクセス手段130経由でフラッシュメモリ140の所定のアドレスのOEMパラメタへ反映し、S117において、ホスト100へ管理テーブルの初期化完了を通知する。さらに、ホスト100は管理テーブルの初期化完了を受け、ファイルシステムフォーマットを行う(S118)。ファイルシステムのフォーマットが完了すれば、フォーマット済みのカードとして利用が可能になる(S119)。
【0035】
かかる構成によれば、ホスト100がexFATなどのデバイス依存のパラメタを有する特定のファイルシステムであっても、統一的なアクセス方法でファイルシステムを意識せずにフラッシュメモリ140のウェアレベリングを実現するための論理アドレスと物理アドレスの変換テーブルの初期化を行うことが可能になる。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図面を用いて説明する。図6は、本実施の形態の半導体メモリシステムの構成図である。図6において、半導体メモリシステムは、ホスト600と半導体メモリ装置670とを含む。ホスト600は、パーソナルコンピュータ(以下PC)や半導体メモリ装置670を記録メディアにするビデオカメラなどであり、本実施の形態では、PCを例にして説明を行う。
【0037】
ホスト600は、ホスト600の機能を実現するアプリケーション610と、物理的に半導体メモリ装置670を制御するハードウェアとそのハードウェアをソフトウェアで制御するデバイスドライバ660と、アプリケーション610とデバイスドライバ660間で補助的な処理を行うフィルタドライバ620からなる。フィルタドライバ620は、半導体メモリ装置670に記録されているデータをファイルとして管理するファイルシステムドライバ630と、デバイスドライバ660経由で半導体メモリ装置670に対してデータの読み書きなどの処理を指示するアクセス手段650と、実施の形態1と同等の機能を有するメモリ情報更新手段640から構成される。
【0038】
メモリ情報更新手段640は、デバイスドライバ660経由で半導体メモリ装置670のフラッシュメモリのファイルシステムのフォーマットを検出するFS検出手段651と、FS検出手段651の検出結果がデバイス依存のパラメタを有するファイルシステムであると検出した場合に、デバイスドライバ660経由でデバイス依存のパラメタのIDを検索して所定のIDであることを検出するID検出手段652と、ID検出手段652で有効なGUIDの存在を検出した場合に、有効なGUIDに対して、書き換え回数などのOEMパラメタのCustomDefinedフィールドの情報を記憶するカード依存パラメタ記憶手段655から構成される。
【0039】
図7は、ホスト600の動作を示すフローチャートである。ホスト600の動作について図7を用いて詳しく説明する。図7(a)はホスト600が半導体メモリ装置670を検出した時に、ホスト600が半導体メモリ装置670を初期化する処理のフローチャートである。
【0040】
ホスト600は半導体メモリ装置670を検出すると処理を開始する(S701)。S702とS703の処理は、実施の形態1のS103とS104の処理と同様であり、ホスト600は半導体メモリ装置670にアクセスしてファイルシステムを検出して、OEMパラメタに書き換え回数を示すGUIDが存在するかを検出し、処理内容を変える。S704において、ホスト600は、半導体メモリ装置670から書き換え回数などをOEMパラメタから読み出して、メモリ情報更新手段640のカード依存パラメタ記憶手段655に記憶し、初期化を完了する(S705)。
【0041】
図7(b)は、管理テーブルの初期化とフォーマット時の動作フローであり、第1の実施の形態において半導体メモリ装置110内で行っていた処理をホスト600から行う点が異なり、処理そのものは実施の形態1と同様である。管理テーブルの初期化後、S716において、メモリ情報更新手段640はカード依存パラメタ記憶手段655に記録されているデータをアクセス手段650がデバイスドライバ660経由で、半導体メモリ装置670の所定のOEMパラメタの情報として反映する。
【0042】
かかる構成によれば、ホスト600の処理のみで、exFATなどのデバイス依存のパラメタを有する特定のファイルシステムであっても、統一的なアクセス方法でファイルシステムを意識せずにフラッシュメモリのウェアレベリングを実現するための論理アドレスを物理アドレスの変換テーブルの初期化を行うことが可能になる。
【0043】
なお、第1および第2の実施の形態では、半導体メモリ装置の検出時にカード依存パラメタを読み出して保存し、管理テーブル初期化時にOEMパラメタに反映しているが、管理テーブルの初期化前にOEMパラメタの読み出しを行う場合も、同等の効果を得ることが可能になる。
【0044】
更に、フラッシュメモリのみならず、他の不揮発性メモリに適応しても同様の効果が得られる。また、管理テーブルの初期化による不揮発性メモリの初期化を説明したが、実際に物理消去を行うことによっても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本実施の形態の半導体記憶装置は、同じ種類のファイルシステムであれば、デバイスの種類に依存せずに利用することができるので、信頼性を必要とされる業務用分野等で有用である。
【符号の説明】
【0046】
100、600 ホスト
110 半導体メモリ装置
120 IF変換手段
130 フラッシュメモリアクセス手段
140 フラッシュメモリ
150 メモリ情報管理手段
151、651 ファイルシステム検出手段
152、652 ID検出手段
154 テーブル初期化手段
155、655 カード依存パラメタ記憶手段
301 コントロールゲート
302 酸化絶縁膜
303 フローティングゲート
304 トンネル酸化膜
305 ソース
306 ドレイン
307 Pチャンネルサブストレート
610 アプリケーション
620 フィルタドライバ
630 ファイルシステムドライバ
640 メモリ情報更新手段
650 アクセス手段
660 デバイスドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリと、
外部機器からの制御コマンドを基に前記不揮発性メモリへのアクセスを制御する不揮発性メモリアクセス手段と、
前記不揮発性メモリを管理しているファイルシステムがユーザ独自に利用可能な装置依存パラメタ領域を有するかを判断する識別子検出手段と、前記装置依存パラメタを記憶するメモリ依存パラメタ記憶手段と、前記不揮発性メモリの物理アドレスと外部からアクセスする際の論理アドレスとを対応づける論物変換テーブルを初期化するテーブル初期化手段とを含むメモリ情報管理手段と、
を具備し、
前記メモリ情報管理手段は、
前記テーブル初期化手段による前記論物変換テーブルの初期化前に、前記不揮発性メモリ上の前記装置依存パラメタを取得して前記メモリ依存パラメタ記憶手段に記録し、前記論物変換テーブルの初期化後に、前記メモリ依存パラメタ記憶手段中の前記装置依存パラメタを前記不揮発性メモリに書き込む
半導体メモリ装置。
【請求項2】
不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリの物理アドレスと外部からアクセスする際の論理アドレスとを対応づける論物変換テーブルを初期化するテーブル初期化手段と、を有する半導体メモリ装置と、
前記半導体メモリ装置を制御する半導体メモリアクセス手段と、前記半導体メモリ装置の情報を管理するメモリ情報更新手段と、を有するホスト機器と、
からなる半導体メモリシステムであって、
前記メモリ情報更新手段は、
前記半導体メモリ装置を管理しているファイルシステムがユーザ独自に利用可能な装置依存パラメタ領域を有するかを判断する識別子検出手段と、
前記装置依存パラメタを記憶するメモリ依存パラメタ記憶手段と、を具備し、
前記テーブル初期化手段による前記論物変換テーブルの初期化前に、前記半導体メモリアクセス手段を介して、前記不揮発性メモリ上の前記装置依存パラメタを取得して前記メモリ依存パラメタ記憶手段に記録し、前記論物変換テーブルの初期化後に、前記半導体メモリアクセス手段を介して、前記メモリ依存パラメタ記憶手段中の前記装置依存パラメタを前記不揮発性メモリへ書き込む
半導体メモリシステム。
【請求項3】
前記メモリ依存パラメタ記憶手段は、
前記不揮発性メモリの書き換え回数をパラメタとして管理する、
請求項1記載の半導体メモリ装置。
【請求項4】
前記メモリ装置依存パラメタ記憶手段は、
前記半導体メモリ装置の書き換え回数をパラメタとして管理する
請求項2記載の半導体メモリシステム。
【請求項5】
前記識別子検出手段は、ファイルシステムがexFATである場合に識別子を検索する
請求項1および3のいずれか記載の半導体メモリ装置。
【請求項6】
前記識別子検出手段は、ファイルシステムがexFATである場合に識別子を検索する
請求項2および4のいずれか記載の半導体メモリシステム。
【請求項7】
前記不揮発性メモリは、フラッシュメモリである
請求項1、3および5のいずれか記載の半導体メモリ装置。
【請求項8】
前記不揮発性メモリは、フラッシュメモリである
請求項2、4および6のいずれか記載の半導体メモリシステム。
【請求項9】
前記テーブル初期化手段は、不揮発性メモリの物理消去を行う
請求項1、3、5および7のいずれか記載の半導体メモリ装置。
【請求項10】
前記テーブル初期化手段は、不揮発性メモリの物理消去を行う
請求項2、4、6および8のいずれか記載の半導体メモリシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−238080(P2011−238080A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109798(P2010−109798)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】