説明

半導体リレー装置

【課題】半導体リレー装置において、特殊なプロセスを用いることなく、充放電回路全体の耐圧を向上させることを可能にして、低コストで出力用MOSFETの低オン抵抗化を図る。
【解決手段】出力用MOSFET5のゲート・ソース間に配された複数の充放電回路7a、7bを直列に接続し、これらの充放電回路7a、7bの各々に、2つのフォトダイオードアレイ3a、3bの各々を並列に接続した。この構成においては、各フォトダイオードアレイ3a、3bの光起電力に相当する電圧が、そのフォトダイオードアレイに並列に接続された充放電回路(7a又は7b)内のMOSFET(8a又は8b)のみにかかり、それ以外の充放電回路内のMOSFETにはかからない。従って、2つの充放電回路7a、7bの全体の耐圧を、これらの充放電回路7a、7bに含まれる、複数のMOSFET8a、8bの耐圧の合計にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からの光信号に基づいて駆動される、光結合型の半導体リレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の電磁リレー装置に代わり、光結合型の半導体リレー装置が用いられることが多くなってきた。この光結合型の半導体リレー装置は、電磁リレー装置と比べて、小型、高感度、高信頼性といった利点を有している。光結合型の半導体リレー装置では、入力(電気)信号を発光素子(例えばLED(Light Emitting Diode))で光信号に変換し、この発光素子と光結合された受光素子(例えばフォトダイオードアレイ)で、受光した光信号を電気信号に変換する。そして、光結合型の半導体リレー装置は、上記の受光素子で変換された電気信号によって、MOSFETやバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子を駆動することにより、出力端子から信号を出力するようになっている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
次に、図2を参照して、従来例の半導体リレー装置の回路について説明する。まず、この半導体リレー装置100の回路構成について説明する。半導体リレー装置100は、入力端子IT1、IT2から入力される入力信号に基づいて発光するLED102と、LED102からの光を受光して、光起電力を発生するフォトダイオードアレイ103とを備えている。また、半導体リレー装置100は、フォトダイオードアレイ103と並列に接続された充放電回路107と、この充放電回路107及びフォトダイオードアレイ103に接続された出力用MOSFET105とを備えている。充放電回路107は、nチャネル型でデプレッション型のMOSFET108と、抵抗109とを有している。
【0004】
上記のフォトダイオードアレイ103の正極端(アノード側)は、出力用MOSFET105のゲートに接続され、負極端(カソード側)は、充放電回路107内の抵抗109を介して、出力用MOSFET105のソースに接続されている。また、上記のデプレッション型のMOSFET108は、出力用MOSFET105のゲート・ソース間に接続されている。MOSFET108のゲート・ソース間には、上記の抵抗109が接続されている。
【0005】
次に、半導体リレー装置100の回路の動作について説明する。入力端子IT1、IT2から信号が入力されると、LED102に電流が流れて、LED102が発光する。フォトダイオードアレイ103は、LED102からの光を受光すると、その両端に光起電力を発生する。この光起電力により、電流が図中の矢印A’の方向に流れる。この時点では、デプレッション型で、ノーマル・オンのタイプのMOSFET108が導通状態のままであるので、フォトダイオードアレイ103から矢印A’の方向に流れた電流は、矢印B’の経路に流れる。これにより、MOSFET108のドレイン・ソース間に配された抵抗109に電流が流れるので、この抵抗109の両端に、図に示されるような電位差が生じる。
【0006】
そして、抵抗109における+側と−側の電位差が所定のレベル以上に達すると、デプレッション型のMOSFET108がオンからオフに切り換わる。このため、フォトダイオードアレイ103から矢印A’の方向に流れた電流は、矢印B’の経路に流れず、矢印E’の経路に流れるようになる。この電流により、出力用MOSFET105のゲートに電荷が蓄積されるので、出力用MOSFET105のゲート・ソース間に電位差が発生して、出力用MOSFET105は、オン(導通状態)(閉じた状態)になり、外部出力端子OT1、OT2間は導通され、リレーが閉じられる。
【0007】
これに対して、入力端子IT1、IT2から信号が遮断されて(LED102に電流が流れなくなって)、LED102が発光しなくなると、フォトダイオードアレイ103に光起電力が生じなくなる。これにより、外部出力端子OT1、OT2間が導通した状態においては存在した、抵抗109における+側と−側の電位差が無くなってしまうので、デプレッション型のMOSFET108のゲートに負の電圧がかからなくなり、MOSFET108がオフからオンに切り換わる。これにより、出力用MOSFET105のゲートに蓄積されていた電荷が、矢印B’の経路を通って(MOSFET108のドレイン・ソース間を通って)、出力用MOSFET105のソース側に流れ、放電されるので、出力用MOSFET105は、オフ(非導通状態)(開いた状態)になる。このため、外部出力端子OT1、OT2間は遮断されて、リレーが開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−88550号公報
【特許文献2】特開昭64−41316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の半導体リレー装置には、近年の省電力化の要求の高まりに伴い、リレーが閉じた状態(出力端子間の導通時)における電力損失を防ぐために、出力用MOSFETの低オン抵抗化が求められている。この出力用MOSFETの低オン抵抗化を図るためには、出力用MOSFETのゲートに印加する電圧を大きくして、出力用MOSFETのチャネルの断面積を大きくすればよい。ところが、出力用MOSFETのゲートに印加可能な電圧の大きさは、出力用MOSFETのゲートに接続されている、充放電回路内の半導体スイッチング素子(図2中のMOSFET108に相当)の耐圧(降伏電圧)に制限される。
【0010】
上記の充放電回路内の半導体スイッチング素子の耐圧を向上させるためには、特殊なプロセスが必要になる。例えば、半導体スイッチング素子がMOSFETである場合には、このMOSFETのゲート酸化膜を厚くするためのプロセスが必要になる。このような特殊のプロセスの存在は、半導体リレー装置の製造コストの上昇につながる。そこで、充放電回路内に複数の半導体スイッチング素子を設けて、これらのスイッチング素子の耐圧を合わせて(充放電回路全体の耐圧を、これらのスイッチング素子の耐圧の合計にすることにより)、充放電回路全体の耐圧を向上させることが考えられる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献2の第1図に示されるように、単純に、充放電回路内に複数の半導体スイッチング素子を設けて、これらのスイッチング素子を直列接続しただけでは、これらの半導体スイッチング素子の間で、(出力用MOSFETのゲート・ソース間の)電圧が均等には分圧されない。このため、充放電回路全体の耐圧が、これらのスイッチング素子のうちで最も大きな電圧がかかる(印加される)スイッチング素子の耐圧に制約されてしまうので、充放電回路全体の耐圧を向上させることが難しい。従って、出力用MOSFETのゲートに印加する電圧を大きくすることが難しいので、出力用MOSFETの低オン抵抗化を図ることが難しい。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、特殊なプロセスを用いることなく、充放電回路全体の耐圧を向上させることができるようにして、低コストで出力用MOSFETの低オン抵抗化を図ることが可能な半導体リレー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の半導体リレー装置は、入力信号に基づいて発光する発光素子と、前記発光素子からの光を受光して光起電力を発生するフォトダイオードアレイと、前記フォトダイオードアレイと接続された出力用MOSFETと、半導体スイッチング素子を有し、前記フォトダイオードアレイで発生する光起電力に基づいて、前記半導体スイッチング素子のオン/オフを切り換えることにより、前記出力用MOSFETのゲートの充電と放電とを切り換えて、前記出力用MOSFETを開閉する充放電回路とを備えた半導体リレー装置において、前記充放電回路と前記フォトダイオードアレイとを複数備え、これらの充放電回路とフォトダイオードアレイの全てが、前記出力用MOSFETのゲート・ソース間に接続されており、前記複数の充放電回路が直列に接続されており、これらの充放電回路の各々に、前記複数のフォトダイオードアレイの各々が並列に接続されていることを特徴とする。
【0014】
この半導体リレー装置において、前記複数のフォトダイオードアレイの各々で発生する光起電力は、各フォトダイオードアレイに並列に接続されている充放電回路に含まれる前記半導体スイッチング素子の耐圧よりも低いことが望ましい。
【0015】
この半導体リレー装置において、前記複数のフォトダイオードアレイの各々は、それぞれのフォトダイオードアレイに並列に接続されている充放電回路と同一のチップに集積化されていることが望ましい。
【0016】
この半導体リレー装置において、前記複数の充放電回路と前記複数のフォトダイオードアレイとが、全て同一のチップに集積化され、前記複数のフォトダイオードアレイの全てが、同一の発光素子と光結合されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半導体リレー装置によれば、出力用MOSFETのゲート・ソース間に複数の充放電回路を直列に接続し、これらの充放電回路の各々に、複数のフォトダイオードアレイの各々を並列に接続した。この構成においては、各フォトダイオードアレイの光起電力に相当する電圧が、そのフォトダイオードアレイに並列に接続された充放電回路内の半導体スイッチング素子のみにかかり、それ以外の充放電回路内の半導体スイッチング素子にはかからない。従って、複数の充放電回路全体の耐圧(出力用MOSFETのゲート(・ソース間)に印加可能な電圧の大きさ)を、これらの充放電回路に含まれる、複数の半導体スイッチング素子の耐圧の合計にすることができる。これにより、特殊なプロセスを用いることなく、複数の充放電回路全体の耐圧を向上させることができるので、半導体リレー装置の製造コストを上昇させることなく、出力用MOSFETのゲートに印加可能な電圧を大きくすることができる。従って、低コストで出力用MOSFETの低オン抵抗化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体リレー装置の回路構成図。
【図2】従来例の半導体リレー装置の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体リレー装置について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の半導体リレー装置の回路構成を示す。本実施形態の半導体リレー装置1は、入力端子IT1、IT2から入力される入力信号に基づいて発光するLED2(請求項における発光素子)と、LED2からの光を受光して、光起電力を発生する2つのフォトダイオードアレイ3a、3bとを備えている。これらのフォトダイオードアレイ3a、3bは、それぞれ複数の直列に接続されたフォトダイオードセル4a、4bを有している。
【0020】
また、半導体リレー装置1は、2つの充放電回路7a、7bと、出力用MOSFET5とを備えている。充放電回路7aは、nチャネル型でデプレッション型のMOSFET8aと、抵抗9aとを備えており、また、充放電回路7bは、nチャネル型でデプレッション型のMOSFET8bと、抵抗9bとを備えている。MOSFET8a、8bは、請求項における半導体スイッチング素子に相当する。MOSFET8aのドレインとゲートとは、それぞれフォトダイオードアレイ3aのアノード側とカソード側とに接続されており、また、MOSFET8bのドレインとゲートとは、それぞれフォトダイオードアレイ3bのアノード側とカソード側とに接続されている。詳細は後述するが、MOSFET8a、8bは、それぞれフォトダイオードアレイ3a、3bで発生する光起電力に基づいてオン/オフが切り換えられる。
【0021】
上記の抵抗9aは、その一端が、MOSFET8aのソース、MOSFET8bのドレイン、及びフォトダイオードアレイ3bのアノード側に接続されており、他端が、MOSFET8aのゲート、及びフォトダイオードアレイ3aのカソード側に接続されている。一方、抵抗9bは、その一端が、MOSFET8bのソース、及び出力用MOSFET5のソースに接続されており、他端が、MOSFET8bのゲート、及びフォトダイオードアレイ3bのカソード側に接続されている。抵抗9a、9bは、いずれも数MΩという高い抵抗値を有しており、これらの抵抗に流れる電流が微小(例えば1μA以下)であっても、デプレッション型のMOSFET8a、8bをオフするのに必要な電位差を生じさせることができる。
【0022】
本半導体リレー装置1における受光側の回路群は、フォトダイオードアレイ3aと充放電回路7aとを含む受光回路群11と、フォトダイオードアレイ3bと充放電回路7bとを含む受光回路群12とから構成されている。上記の出力用MOSFET5のゲート・ソース間には、2つの充放電回路7a、7bと、2つのフォトダイオードアレイ3a、3bとが、接続されている。図1に示されるように、2つの充放電回路7a、7bは、直列に接続されており、充放電回路7a、7bには、それぞれ、フォトダイオードアレイ3a、3bが並列に接続されている。充放電回路7a、7bは、各フォトダイオードアレイ3a、3bで発生する光起電力に基づいて、各MOSFET8a、8bのオン/オフを切り換えることにより、出力用MOSFET5のゲートの充電と放電とを切り換えて、出力用MOSFET5を開閉する。これにより、外部出力端子OT1、OT2間の導通と遮断とが、切り換えられる。なお、図中のD1は、出力用MOSFET5の寄生ダイオードを示す。
【0023】
次に、本半導体リレー装置1において行われる、外部出力端子OT1、OT2間の導通と遮断との切り替え処理について詳細に説明する。入力端子IT1、IT2から信号が入力されると、この入力信号に基づいて、LED2が発光する。フォトダイオードアレイ3a、3bは、LED2からの光を受光すると、光起電力を発生する。これにより、受光側回路群11では、電流が図中の矢印A1の方向に流れ、受光側回路群12では、電流が図中の矢印A2の方向に流れる。この時点では、各受光側回路群11、12において、デプレッション型のMOSFET8a、8bが導通状態のままであるので、各フォトダイオードアレイ3a、3bから矢印A1、A2の方向に流れた電流は、それぞれ矢印B1、B2の経路に流れる。これにより、各抵抗9a、9bの両端に、図に示されるような電位差が生じる。
【0024】
そして、各抵抗9a、9bにおける+側と−側の電位差が所定のレベル以上に達すると、デプレッション型のMOSFET8a、8bのゲートが所定のマイナス電位になり、MOSFET8a、8bがオンからオフに切り換わる。このため、フォトダイオードアレイ3aから矢印A1の方向に流れた電流は、矢印B1の経路に流れず、矢印Eの経路に沿って流れるようになる。また、フォトダイオードアレイ3bから矢印A2の方向に流れた電流は、矢印B2の経路に流れず、矢印Cの経路に沿って流れた後、フォトダイオードアレイ3aからの電流と合流して、矢印Eの経路に流れるようになる。このフォトダイオードアレイ3a、3bからの電流により、出力用MOSFET5のゲートに電荷が蓄積されるので、出力用MOSFET5のゲート・ソース間に電位差が発生して、出力用MOSFET5は、オン(導通状態)(閉じた状態)になり、外部出力端子OT1、OT2間は導通され、リレーが閉じられる。
【0025】
これに対して、入力端子IT1、IT2から信号が遮断されて、LED2が発光しなくなると、フォトダイオードアレイ3a、3bにおいて光起電力が生じなくなる。これにより、各受光側回路群11、12において、外部出力端子OT1、OT2間が導通した状態においては存在した、抵抗9a、9bにおける+側と−側の電位差が無くなってしまうので、デプレッション型のMOSFET8a、8bのゲートに負の電圧がかからなくなり、MOSFET8a、8bがオフからオンに切り換わる。これにより、出力用MOSFET5のゲートに蓄積されていた電荷が、MOSFET8a、8bのドレイン・ソース間を通って、出力用MOSFET5のソース側に流れ、放電されるので、出力用MOSFET5は、オフ(非導通状態)(開いた状態)になる。このため、外部出力端子OT1、OT2間は遮断されて、リレーが開放される。
【0026】
次に、本半導体リレー装置1に採用されている、出力用MOSFET5の低オン抵抗化を図るための工夫について説明する。本半導体リレー装置1では、フォトダイオードアレイ3a、3bで発生する光起電力の合計を、出力用MOSFET5のゲート閾値電圧(Vth)よりもずっと大きくして(例えば、出力用MOSFET5のゲート閾値電圧の10倍以上にして)、出力用MOSFET5のゲート・ソース間の電圧を大きくし、出力用MOSFET5のチャネルの断面積を大きくすることにより、出力用MOSFET5のオン抵抗を小さくしている。ここで、ゲート閾値電圧とは、いわゆるパワーMOSFETに属する出力用MOSFET5がオンし始めるゲート・ソース間の電圧である。
【0027】
上記のように、出力用MOSFET5のゲートに大きな電圧を印加することにより、出力用MOSFET5の低オン抵抗化を図った場合には、従来の充放電回路の耐圧に比べて、充放電回路7a、7bの全体の耐圧を高くしなければならない。本半導体リレー装置1では、従来と異なり、特殊なプロセスを用いることなく、2つの充放電回路7a、7bの全体の耐圧を向上させている。具体的には、本半導体リレー装置1では、上記のように、出力用MOSFET5のゲート・ソース間に配された2つの充放電回路7a、7bを直列に接続し、これらの充放電回路7a、7bの各々に、フォトダイオードアレイ3a、3bの各々を並列に接続した。この構成においては、フォトダイオードアレイ3aの光起電力に相当する電圧が、そのフォトダイオードアレイ3aに並列に接続された充放電回路7a内のMOSFET8aにのみかかり、それ以外の充放電回路7b内のMOSFET8bにはかからない。また、フォトダイオードアレイ3bの光起電力に相当する電圧が、そのフォトダイオードアレイ3bに並列に接続された充放電回路7b内のMOSFET8bにのみかかり、それ以外の充放電回路7a内のMOSFET8aにはかからない。従って、2つの充放電回路7a、7bの全体の耐圧(出力用MOSFET5のゲート(・ソース間)に印加可能な電圧の大きさ)を、これらの充放電回路7a、7bに含まれる、2つのMOSFET8a、8bの耐圧の合計にすることができる。これにより、特殊なプロセスを用いることなく、2つの充放電回路7a、7bの全体の耐圧を向上させることができるので、半導体リレー装置1の製造コストを上昇させることなく、出力用MOSFET5のゲートに印加可能な電圧を大きくすることができる。従って、低コストで出力用MOSFET5の低オン抵抗化を図ることができる。
【0028】
本半導体リレー装置1では、フォトダイオードアレイ3aで発生する光起電力が、フォトダイオードアレイ3aに並列に接続されている充放電回路7aに含まれるMOSFET8aの耐圧よりも低くなるように設定されている。また、フォトダイオードアレイ3bで発生する光起電力が、フォトダイオードアレイ3bに並列に接続されている充放電回路7bに含まれるMOSFET8bの耐圧よりも低くなるように設定されている。これにより、各MOSFET8a、8bの耐圧以上の電圧が、そのMOSFET8a、8bにかかる(印加される)ことがなくなるので、MOSFET8a、8bの絶縁破壊を防ぐことができる。従って、半導体リレー装置1の故障を防ぐことができる。
【0029】
また、本半導体リレー装置1では、2つの充放電回路7a、7bと2つのフォトダイオードアレイ3a、3bとを(受光側回路群11と受光側回路群12とを)、全て同一のチップ(例えば、同一の誘電体分離チップ)に集積化(して形成)するようにした。これにより、これらの回路を、別々のチップに形成した場合と比べて、装置全体の製造コストを削減することができる。また、本半導体リレー装置1では、2つのフォトダイオードアレイ3a、3bが、いずれも同一のLED2と光結合されている。これにより、2つのフォトダイオードアレイ3a、3bに光を照射する発光素子(LED)を共通化することができるので、装置全体の製造コストをより削減することが可能になる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、請求項における(充放電回路内の)半導体スイッチング素子が、デプレッション型のMOSFETである場合の例を示したが、半導体スイッチング素子は、これに限られない。例えば、エンハンスメント型のMOSFETであってもよいし、バイポーラトランジスタであってもよい。また、上記の実施形態では、2つの充放電回路7a、7bと2つのフォトダイオードアレイ3a、3bとを(2つの受光側回路群11、12を)、出力用MOSFET5のゲート・ソース間に接続した場合の例を示した。けれども、出力用MOSFETのゲート・ソース間に、3つ以上の充放電回路とフォトダイオードアレイとを(3つ以上の受光側回路群を)接続してもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、2つの充放電回路7a、7bと2つのフォトダイオードアレイ3a、3bとを(2つの受光側回路群11、12を)、全て同一のチップに形成した場合の例を示したが、充放電回路7aとフォトダイオードアレイ3aとから構成される受光側回路群11と、充放電回路7bとフォトダイオードアレイ3bとから構成される受光側回路群12とを、別々のチップに形成して、これらの受光側回路群11と受光側回路群12との間をワイヤボンディング等で接続してもよい。さらにまた、出力用MOSFETのゲート・ソース間に3つ以上の受光側回路群を接続する場合には、これらの受光側回路群のうちのいくつかを集積化したチップと、他の受光側回路群が形成されたチップとの間をワイヤボンディング等で接続してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 半導体リレー装置
2 LED(発光素子)
3a、3b フォトダイオードアレイ
5 出力用MOSFET
7a、7b 充放電回路
8a、8b MOSFET(半導体スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に基づいて発光する発光素子と、
前記発光素子からの光を受光して光起電力を発生するフォトダイオードアレイと、
前記フォトダイオードアレイと接続された出力用MOSFETと、
半導体スイッチング素子を有し、前記フォトダイオードアレイで発生する光起電力に基づいて、前記半導体スイッチング素子のオン/オフを切り換えることにより、前記出力用MOSFETのゲートの充電と放電とを切り換えて、前記出力用MOSFETを開閉する充放電回路とを備えた半導体リレー装置において、
前記充放電回路と前記フォトダイオードアレイとを複数備え、これらの充放電回路とフォトダイオードアレイの全てが、前記出力用MOSFETのゲート・ソース間に接続されており、
前記複数の充放電回路が直列に接続されており、これらの充放電回路の各々に、前記複数のフォトダイオードアレイの各々が並列に接続されていることを特徴とする半導体リレー装置。
【請求項2】
前記複数のフォトダイオードアレイの各々で発生する光起電力は、各フォトダイオードアレイに並列に接続されている充放電回路に含まれる前記半導体スイッチング素子の耐圧よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体リレー装置。
【請求項3】
前記複数のフォトダイオードアレイの各々は、それぞれのフォトダイオードアレイに並列に接続されている充放電回路と同一のチップに集積化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体リレー装置。
【請求項4】
前記複数の充放電回路と前記複数のフォトダイオードアレイとが、全て同一のチップに集積化され、前記複数のフォトダイオードアレイの全てが、同一の発光素子と光結合されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体リレー装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−110604(P2013−110604A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254430(P2011−254430)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】