説明

半導体レーザモジュール

【課題】広い強度範囲にわたってレーザ発振波長と出力光強度とが経時的に安定した半導体レーザモジュールを提供すること。
【解決手段】半導体レーザ素子が出力するレーザ光の一部を該半導体レーザ素子に向けて反射する光反射部を有する複屈折光ファイバは、半導体レーザ素子と光反射部との間に設けられ、対向する接続面における複屈折軸が互いに20度以上45度以下である第1角度をなすように接続した第1接続部と、第1接続部と光反射部との間に設けられ、対向する接続面における複屈折軸が互いに90度から所定誤差の範囲である第2角度をなすように接続した第2接続部とを有し、複屈折軸間の屈折率差をΔn、レーザ発振波長をλ、第1接続部から第2接続部までの長さをL、第2接続部から光反射部までの長さをL、N、Nを1以上の任意の整数とすると、L=Nλ/(2Δn)かつL=Nλ/(4Δn)が成り立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば光ファイバ増幅器用の励起光源として用いられている半導体レーザモジュールは、光出力用の光ファイバの途中に、外部共振器を構成するため光反射部を備えている。このような半導体レーザモジュールは、光反射部によってレーザ光の一部を半導体レーザ素子に光帰還させることによって、半導体レーザ素子から出力されるレーザ光の波長を安定させている。なお、光反射部としては、たとえばファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:FBG)が用いられる。
【0003】
特許文献1に開示される半導体レーザモジュールは、光出力用の光ファイバとして複屈折光ファイバを用い、半導体レーザ素子と光反射部であるFBGとの間に、複屈折光ファイバの対向する複屈折軸が互いに角度をなすように接続した接続部を有している。この半導体レーザモジュールは、このような接続部を有することによって、高いモード抑圧比であり、かつ光強度が安定したレーザ発振を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−154068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の光通信システムの高機能化に伴い、光ファイバ増幅器に対して、その出力光強度を低強度から高強度まで広範囲に制御できることが要求されてきている。これに伴って、励起光源として用いられている半導体レーザモジュールにも、従来の高強度(数百mW)での動作だけでなく、低強度(数十mW)までの広範囲にわたる動作が必要とされてきている。したがって、広い強度範囲にわたって、レーザ発振波長が安定しているとともに、出力光強度が安定していることが要求されてきている。
【0006】
しかしながら、半導体レーザモジュールを低強度で動作させた場合は、半導体レーザ素子のレーザ発振状態が、シングルモード発振状態とマルチモード発振状態とで時間的にランダムにスイッチングをおこすため、経時的な出力光強度が不安定になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、広い強度範囲にわたってレーザ発振波長と出力光強度とが経時的に安定した半導体レーザモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る半導体レーザモジュールは、半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子に光学的に接続し、前記半導体レーザ素子が出力するレーザ光の一部を該半導体レーザ素子に向けて反射する光反射部を有する複屈折光ファイバと、を備え、前記複屈折光ファイバは、前記半導体レーザ素子と前記光反射部との間に設けられ、対向する接続面における複屈折軸が互いに20度以上45度以下である第1角度をなすように接続した第1接続部と、前記第1接続部と前記光反射部との間に設けられ、対向する接続面における複屈折軸が互いに90度から所定誤差の範囲である第2角度をなすように接続した第2接続部とを有し、複屈折軸間の屈折率差をΔn、レーザ発振波長をλ、前記第1接続部から前記第2接続部までの長さをL、前記第2接続部から前記光反射部までの長さをL、N、Nを1以上の任意の整数とすると、L=Nλ/(2Δn)かつL=Nλ/(4Δn)が成り立つことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る半導体レーザモジュールは、上記の発明において、前記第1角度が45度であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る半導体レーザモジュールは、上記の発明において、前記第2角度が90度であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る半導体レーザモジュールは、上記の発明において、前記光反射部は、ファイバブラッググレーティングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広い強度範囲にわたってレーザ発振波長と出力光強度とが経時的に安定した半導体レーザモジュールを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施の形態に係る半導体レーザモジュールの模式的な構成図である。
【図2】図2は、図1に示す複屈折光ファイバの模式的な断面図である。
【図3】図3は、図1に示す第1接続部における対向する複屈折光ファイバの接続面を示す図である。
【図4】図4は、図1に示す第2接続部における対向する複屈折光ファイバの接続面を示す図である。
【図5】図5は、異なる角度θ1に対する、出力光強度と光強度変動との関係を示す図である。
【図6】図6は、比較例に係る半導体レーザモジュールの出力光強度スペクトルを示す図である。
【図7】図7は、実施例に係る半導体レーザモジュールの出力光強度スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明に係る半導体レーザモジュールの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体レーザモジュールの模式的な構成図である。図1に示すように、この半導体レーザモジュール100は、筐体1に収容された半導体レーザ素子2と、筐体1に挿入され、半導体レーザ素子2と光学的に接続した光出力用の複屈折光ファイバ3と、複屈折光ファイバ3に接続部C3において接続し、先端に光コネクタ4aが取り付けられた光ファイバ4と、を備えている。
【0016】
半導体レーザ素子2は、たとえば980nm帯、または1480nm帯の波長においてレーザ発振する公知の半導体レーザ素子である。
【0017】
複屈折光ファイバ3は、光反射部であるFBG3aを有している。FBG3aは、反射中心波長が、レーザ発振をさせたい波長に設定されたものである。また、複屈折光ファイバ3は、半導体レーザ素子2とFBG3aとの間に設けられた第1接続部C1と、第1接続部C1とFBG3aとの間に設けられた第2接続部C2とを有している。また、複屈折光ファイバ3の半導体レーザ素子2に対向する端部はレンズ加工されている。なお、レンズ加工をせずに、またはレンズ加工とともに、複屈折光ファイバ3と半導体レーザ素子2との間に光結合のための光学系を設けてもよい。
【0018】
ここで、複屈折光ファイバ3の、半導体レーザ素子2に対向する端部から第1接続部C1までの部分3bの長さをLとする。第1接続部C1から第2接続部C2までの部分3cの長さをLとする。第2接続部C2からFBG3aまでの部分3dの長さをLとする。なお、長さLは、FBG3aの長さ方向中央部の位置までの長さとする。また、半導体レーザ素子2に対向する端部からFBG3aまでの長さをLとすると、L=L+L+Lである。
【0019】
つぎに、複屈折光ファイバ3の断面構造について説明する。図2は、図1に示す複屈折光ファイバ3の模式的な断面図である。図2に示すように、複屈折光ファイバ3は、いわゆるPANDA型の光ファイバであって、コア部31と、コア部31の周囲に形成されたクラッド部32と、クラッド部32内のコア部31を挟む位置に形成された2つの応力付与部33を有している。この複屈折光ファイバ3は、応力付与部33の存在によって複屈折性が発生し、互いに直交する複屈折軸である遅相軸AX1、速相軸AX2が形成されている。
【0020】
つぎに、複屈折光ファイバ3の接続部における接続状態について説明する。図1に示す第1接続部C1における対向する複屈折光ファイバ3の接続面、すなわち部分3b、3cの接続面を示す図である。図4は、図1に示す第2接続部C2における対向する複屈折光ファイバ3の接続面、すなわち部分3c、3dの接続面を示す図である。なお、図3、4においては、部分3bの遅相軸AX1がX軸、速相軸AX2がY軸になるようにXY軸を定義している。
【0021】
図3に示すように、第1接続部C1では、対向する部分3b、3cの遅相軸AX1が、互いに第1角度であるθ1をなすように接続している。ここで、本実施の形態では、θ1は45度であるとする。また、図4に示すように、第2接続部C2では、対向する部分3c、3dの遅相軸AX1が、互いに第2角度であるθ2をなすように接続している。ここで、本実施の形態では、θ2は90度であるとする。したがって、部分3bと部分3dの遅相軸AX1は、互いに(θ1+θ2)をなすこととなる。
【0022】
つぎに、本実施の形態に係る半導体レーザモジュール100の動作について説明する。はじめに、半導体レーザ素子2から略直線偏波のレーザ光を出力する。複屈折光ファイバ3は、レンズ加工された部分3bの端部においてレーザ光を受光し、伝搬させる。なお、このとき、複屈折光ファイバ3は、部分3bの遅相軸AX1が、入力されるレーザ光の直線偏波の向きと一致するように軸周りの回転角度が調整されているので、レーザ光は部分3bを直線偏波状態で伝搬する。
【0023】
つぎに、複屈折光ファイバ3の部分3c、3dは、部分3bを伝搬したレーザ光をさらに伝搬させる。上述したように、部分3c、3dは、その遅相軸AX1が、部分3bの遅相軸AX1に対して角度をなして接続されているため、レーザ光は、接続部C1、C2において、偏波状態が変更されて、部分3c、3dを伝搬する。
【0024】
つぎに、FBG3aは、部分3c、3dを伝搬したレーザ光の一部を半導体レーザ素子2に向けて反射する。反射したレーザ光は、複屈折光ファイバ3を介して半導体レーザ素子2に戻される。半導体レーザ素子2は、この反射したレーザ光の光帰還によって、FBG3aの反射中心波長に対応する波長でレーザ発振するため、そのレーザ発振波長が安定する。
【0025】
ここで、本実施の形態に係る半導体レーザモジュール100では、複屈折光ファイバ3が、第1接続部C1において、遅相軸AX1が互いに45度をなすように接続し、第2接続部C2において、遅相軸AX1が互いに90度をなすように接続している。さらに、複屈折光ファイバ3の速相軸AX2と遅相軸AX1との屈折率差をΔn、レーザ発振波長をλとし、N、Nを1以上の任意の整数とすると、部分3cの長さLと、部分3dの長さLとが、L=Nλ/(2Δn)かつL=Nλ/(4Δn)が成り立つように設定されている。これによって、半導体レーザモジュール100は、広い強度範囲にわたってレーザ発振波長と経時的光出力強度とが安定化する。
【0026】
以下、本実施の形態に係る半導体レーザモジュール100において広い強度範囲にわたってレーザ発振波長と経時的光出力強度とが安定化する作用を説明する。はじめに、複屈折光ファイバ3の遅相軸AX1に平行な直線偏波を有するレーザ光が、複屈折光ファイバ3を伝搬し、FBG3aにより反射する場合の反射率Rは、伝達行列法によって以下の式(1)で表すことができる。
【0027】
【数1】

【0028】
ここで、RFBG(λ)は、波長λにおけるFBG3aの反射率である。なお、RFBG(λ)は、波長λを中心として、レーザ光の波長幅よりも広い反射帯域幅を有している。また、exp()は自然対数のべき乗を表す記号である。また、nは、複屈折光ファイバ3の遅相軸AX1方向の屈折率である。また、波長λの単位は[nm]であり、長さL、L、Lの単位は[m]である。
【0029】
式(1)に含まれる以下の式を式(2)、式(3)とする。
【数2】

【数3】

【0030】
この半導体レーザモジュール100においては、まず、複屈折光ファイバ3が、第1接続部C1において遅相軸AX1が互いに45度をなすように接続している。これによって、遅相軸AX1と速相軸AX2との間の屈折率差によって伝搬するレーザ光に位相差が生じ、レーザ光のコヒーレンシが低下する。その結果、低強度で動作させた場合の半導体レーザ素子2は、マルチモード発振状態になりやすくなるため、シングルモード発振状態へのスイッチングが抑制される。また、高強度で動作させた場合には、半導体レーザ素子2のマルチモード発振状態がより安定する。このように、低強度および高強度の両方の動作において、より安定したマルチモード発振状態となるため、広い強度範囲にわたって経時的出力光強度が安定する。
【0031】
しかしながら、この第1接続部C1のみがある場合は、反射率Rは、以下の式(4)となる。
【数4】

【0032】
この場合、式(2)で表される光の干渉が生じるため、レーザ光の強度スペクトルのピークが分裂し、経時的出力光強度が安定するものの、レーザ発振波長は不安定となる。
【0033】
そこで、この半導体レーザモジュール100では、さらに、第2接続部C2において、遅相軸AX1が互いに90度をなすように接続することによって、式(1)で表されるように、反射率Rにさらに式(3)が含まれるようにしている。
【0034】
反射率Rが式(1)で表される場合、N、Nを1以上の任意の整数として、L=Nλ/(2Δn)かつL=Nλ/(4Δn)が成り立つようにL、Lを設定すると、式(1)において光の干渉を表す項である以下の式(5)が、絶対値が1の実数となるため、光の干渉の影響が無くなる。その結果、強度スペクトルのピークの分裂が防止され、レーザ発振波長が安定化する。
【数5】

【0035】
なお、上記のように長さL、Lを設定すると、たとえば複屈折光ファイバ3の製造ばらつきや環境温度の変化によって屈折率差Δnが変動しても、LとLとの比2N/Nは常に一定に保たれる。したがって、屈折率差Δnが変動しても式(5)の値に影響しないので、強度スペクトルのピークの分裂は抑制され、レーザ発振波長が安定化する。なお、N=Nとすれば、LとLとの比は常に2であるため、長さの設定が容易である。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る半導体レーザモジュール100は、広い強度範囲にわたってレーザ発振波長と経時的光出力強度とが安定化する。
【0037】
つぎに、複屈折光ファイバ3の第1接続部C1における第1角度θ1の好ましい範囲について説明する。以下では、図1に示す半導体レーザモジュール100において、複屈折光ファイバ3の接続部C2における第2角度θ2を0度に設定して実質的に第1接続部C1だけを設けた状態とし、第1角度θ1として0度から45度の範囲で5度間隔で異なる角度に設定した半導体レーザモジュールを作製した。そして、これら半導体レーザモジュールにおいて、レーザ光の出力光強度と光強度変動との関係を測定する実験を行なった。
【0038】
ここで、光強度変動は、以下の式(6)により定義する。
(光強度変動)[%]=[(所定時間内での最大出力光強度)−(所定時間内での最小出力光強度)]/(所定時間内での平均出力光強度)×100 ・・・ (6)
なお、本実験では、所定時間を60秒に設定した。
【0039】
図5は、異なる角度θ1に対する、出力光強度と光強度変動との関係を示す図である。図5に示すように、角度θ1が0度の場合、出力光強度を20mWとすると光強度変動は1%以下であったが、出力光強度を11mWとすると図中実線で示す約17%に急激に増加し、出力光強度を低下するについて増加し続けた。
【0040】
これに対して、角度θ1を20度とすると、光強度変動が約17%となる出力光強度が約9.5mWに減少し、さらに角度θ1を45度にした場合に、光強度変動が約17%以上となる出力光強度が約6mWに急激に減少し、広い強度範囲にわたって経時的出力光強度が安定することが確認された。このように、第1角度θ1は、20度以上であることが好ましく、30度以上45度以下であることが特に好ましい。
【0041】
また、複屈折光ファイバ3の第2接続部C2における第2角度θ2については、90度が最適であるが、90度から所定誤差αの範囲、すなわち、90±α度の範囲であれば、強度スペクトルのピークの分裂を抑制する効果を奏する。所定誤差αは、たとえば製造誤差を勘案して5度〜10度である。
【0042】
つぎに、シミュレーション計算結果を用いて本発明の効果について説明する。まず、本発明の実施例として、上記の実施の形態に係る半導体レーザモジュール100の光出力強度を伝達行列法によるシミュレーション計算した。なお、第1接続部C1における角度θ1を45度、第2接続部C2における角度θ2を90度として、レーザ発振波長λを980nm、複屈折光ファイバ3の部分3b、3c、3dの各長さL、L、Lをそれぞれ0.2m、0.4m、0.2mとした。また、複屈折光ファイバ3の遅相軸AX1方向の屈折率nは1.45、屈折率差Δnは3×10−4とした。また、比較例として、第2接続部C2における角度θ2を0度に設定して実質的に第1接続部C1のみとした以外は、実施例と同様に各パラメータを設定して、光出力強度をシミュレーション計算した。
【0043】
図6は、比較例に係る半導体レーザモジュールの出力光強度スペクトルを示す図である。図7は、実施例に係る半導体レーザモジュールの出力光強度スペクトルを示す図である。図6、7に示すように、比較例に係る半導体レーザモジュールの場合は、出力光強度スペクトルのピークが分裂しているが、実施例に係る半導体レーザモジュールの場合は、ピークの分裂がない好ましい形状の出力光強度スペクトルが得られた。
【0044】
つぎに、長さL、L、Lの設定例について説明する。以下の設定例では、第1接続部C1を設けることによって長さLの部分3cにおいて発生する光の干渉のモード間隔を、FBG3aの反射帯域以下に狭くすることによって、レーザ発振波長をより安定化することができる。
【0045】
まず、部分3cにおいて発生する光干渉のモード間隔をΔλL1とすると、ΔλL1は、以下の式(7)で表される。
【数6】

【0046】
したがって、FBG3aの反射帯域をΔλFBGとすると、ΔλL1≧ΔλFBGが成り立つように、すなわち以下の式(8)が成り立つようにすれば、レーザ発振波長をより安定化することができる。
【数7】

【0047】
また、上記の式(2)から、外部共振器を構成するFBG3aの存在により発生する縦モード間隔の狭い成分であるexp(4nπL/λ)の縦モード間隔(ΔλLとする)は、半導体レーザ素子2の端面が構成する光共振器により発生する縦モード間隔(ΔλLDとする)以下に狭くすることが必要となる。
【0048】
ここで、ΔλLは、以下の式(9)で表される。
【数8】

【0049】
したがって、ΔλLD≧ΔλLが成り立つように、すなわち以下の式(10)が成り立つようにする。
【数9】

【0050】
したがって、上記式(8)とたとえばL/L=2の関係を用いて長さL、Lを決定することができる。また、式(10)を用いて長さLを決定することができる。
【0051】
たとえば、ΔλFBG=1nm、n=1.45、Δn=3×10−4、ΔλLD=0.005nmとすると、L=0.4m、L=0.2mとできる。また、L≧0.006mとできる。なお、L=0.006m、すなわちLが6mm以上であれば、第1接続部C1を筐体1の内部に収容することができる。
【0052】
なお、上記実施の形態では、複屈折光ファイバとしてPANDA型のものを用いているが、楕円コア型等の他の複屈折光ファイバを用いてもよい。また、反射部としてFBGを用いているが、反射フィルタや光ファイバの端面によって反射部を実現してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 筐体
2 半導体レーザ素子
3 複屈折光ファイバ
3a FBG
3b、3c、3d 部分
4 光ファイバ
4a 光コネクタ
31 コア部
32 クラッド部
33 応力付与部
100 半導体レーザモジュール
AX1 遅相軸
AX2 速相軸
C1、C2、C3 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子に光学的に接続し、前記半導体レーザ素子が出力するレーザ光の一部を該半導体レーザ素子に向けて反射する光反射部を有する複屈折光ファイバと、
を備え、前記複屈折光ファイバは、前記半導体レーザ素子と前記光反射部との間に設けられ、対向する接続面における複屈折軸が互いに20度以上45度以下である第1角度をなすように接続した第1接続部と、前記第1接続部と前記光反射部との間に設けられ、対向する接続面における複屈折軸が互いに90度から所定誤差の範囲である第2角度をなすように接続した第2接続部とを有し、複屈折軸間の屈折率差をΔn、レーザ発振波長をλ、前記第1接続部から前記第2接続部までの長さをL、前記第2接続部から前記光反射部までの長さをL、N、Nを1以上の任意の整数とすると、L=Nλ/(2Δn)かつL=Nλ/(4Δn)が成り立つことを特徴とする半導体レーザモジュール。
【請求項2】
前記第1角度が45度であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項3】
前記第2角度が90度であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザモジュール。
【請求項4】
前記光反射部は、ファイバブラッググレーティングであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体レーザモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−23200(P2012−23200A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159816(P2010−159816)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】