半導体光検出素子
【課題】シリコンを用いた半導体光検出素子であって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有している半導体光検出素子を提供すること。
【解決手段】半導体光検出素子SP1は、第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1及び第2主面21a,21bを有すると共に第1主面21a側に第2導電型の半導体層23が形成されたシリコン基板21と、第1主面21a上に設けられ、発生した電荷を転送する電荷転送電極25と、を備え、表面入射型である。シリコン基板21には、第2主面21b側にシリコン基板21よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層31が形成され、第2主面21bにおける少なくとも半導体領域23に対向する領域に不規則な凹凸10が形成されている。シリコン基板21の第2主面21bにおける不規則な凹凸10が形成された領域は、光学的に露出している。
【解決手段】半導体光検出素子SP1は、第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1及び第2主面21a,21bを有すると共に第1主面21a側に第2導電型の半導体層23が形成されたシリコン基板21と、第1主面21a上に設けられ、発生した電荷を転送する電荷転送電極25と、を備え、表面入射型である。シリコン基板21には、第2主面21b側にシリコン基板21よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層31が形成され、第2主面21bにおける少なくとも半導体領域23に対向する領域に不規則な凹凸10が形成されている。シリコン基板21の第2主面21bにおける不規則な凹凸10が形成された領域は、光学的に露出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外の波長帯域に高い分光感度特性を有するフォトダイオードとして、化合物半導体を用いたフォトダイオードが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフォトダイオードでは、InGaAsN、InGaAsNSb、及びInGaAsNPのいずれかからなる第1受光層と、第1受光層の吸収端より長波長の吸収端を有し、量子井戸構造からなる第2受光層と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような化合物半導体を用いたフォトダイオードは、未だ高価であり、製造工程も複雑なものとなってしまう。このため、安価で且つ製造が容易なシリコンフォトダイオードであって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度を有しているものの実用化が求められている。シリコンフォトダイオードは、一般に、分光感度特性の長波長側での限界は1100nm程度ではあるものの、1000nm以上の波長帯域における分光感度特性は十分なものではなかった。
【0005】
本発明は、シリコンを用いた半導体光検出素子であって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有している半導体光検出素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体光検出素子は、第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板と、シリコン基板の第1主面上に設けられ、発生した電荷を転送する転送電極部と、を備え、シリコン基板には、第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、シリコン基板の第2主面における不規則な凹凸が形成された領域は、光学的に露出していることを特徴とする半導体光検出素子。
【0007】
本発明に係る半導体光検出素子では、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されているために、半導体光検出素子に入射した光は当該領域にて反射、散乱、又は拡散されて、シリコン基板内を長い距離進む。これにより、半導体光検出素子に入射した光は、その大部分が半導体光検出素子(シリコン基板)を透過することなく、シリコン基板で吸収されることとなる。したがって、上記半導体光検出素子では、半導体光検出素子に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるため、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0008】
また、シリコン基板の第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されているため、第2主面側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、第1導電型の上記アキュムレーション層は、シリコン基板の第2主面付近で光により発生したキャリアが該第2主面でトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、第2導電型の半導体領域とシリコン基板とのpn接合部へ効率的に移動し、半導体光検出素子の光検出感度を向上することができる。
【0009】
本発明に係る半導体光検出素子において、第2導電型の半導体領域に対向する領域のうち一部の領域に、不規則な凹凸が形成されていてもよい。この場合、半導体光検出素子において不規則な凹凸が形成された領域に対応する部分では、上述したように、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0010】
本発明に係る半導体光検出素子において、シリコン基板は、第2導電型の半導体領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して第2主面側より薄化されていてもよい。この場合、シリコン基板の第1主面及び第2主面側をそれぞれ光入射面とした半導体光検出素子を得ることができる。
【0011】
本発明に係る半導体光検出素子において、第1導電型のアキュムレーション層の厚みが、不規則な凹凸の高低差よりも大きいことが好ましい。この場合、上述したように、アキュムレーション層による作用効果を確保することができる。
【0012】
本発明に係る半導体光検出素子において、シリコン基板は、その厚みが画素ピッチ以下に設定されていることが好ましい。この場合、画素間でのクロストークの発生を抑制することができる。
【0013】
本発明に係るフォトダイオードは、第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板を備え、シリコン基板には、第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、シリコン基板の第2主面における第2導電型の半導体領域に対向する領域は、光学的に露出していることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るフォトダイオードでは、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されているために、フォトダイオードに入射した光は当該領域にて反射、散乱、又は拡散されて、シリコン基板内を長い距離進む。これにより、フォトダイオードに入射した光は、その大部分がフォトダイオード(シリコン基板)を透過することなく、シリコン基板で吸収されることとなる。したがって、上記フォトダイオードでは、フォトダイオードに入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるため、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0015】
また、シリコン基板の第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されているため、第2主面側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、第1導電型の上記アキュムレーション層は、シリコン基板の第2主面付近で光により発生したキャリアが該第2主面でトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、第2導電型の半導体領域とシリコン基板とのpn接合部へ効率的に移動し、フォトダイオードの光検出感度を向上することができる。
【0016】
好ましくは、シリコン基板は、第2導電型の半導体領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して第2主面側より薄化されている。この場合、シリコン基板の第1主面及び第2主面側をそれぞれ光入射面としたフォトダイオードを得ることができる。
【0017】
好ましくは、第1導電型のアキュムレーション層の厚みが、不規則な上記凹凸の高低差よりも大きい。この場合、上述したように、アキュムレーション層による作用効果を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シリコンを用いた半導体光検出素子であって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有している半導体光検出素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図2】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図6】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図7】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係るフォトダイオードの構成を示す図である。
【図12】実施例1及び比較例1における、波長に対する分光感度の変化を示す線図である。
【図13】実施例1及び比較例1における、波長に対する温度係数の変化を示す線図である。
【図14】第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図15】第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図16】第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図17】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図18】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図19】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図20】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図21】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図22】第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図23】第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図24】第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図25】第5実施形態に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。
【図26】第5実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【図27】第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。
【図28】第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【図29】分光器の構成を説明するための模式図である。
【図30】第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図1〜図10を参照して、第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図1〜図10は、第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0022】
まず、シリコン(Si)結晶からなり、互いに対向する第1主面1a及び第2主面1bを有するn−型半導体基板1を準備する(図1参照)。n−型半導体基板1の厚みは300μm程度であり、比抵抗は1kΩ・cm程度である。本実施形態では、「高不純物濃度」とは例えば不純物濃度が1×1017cm−3程度以上のことであって、「+」を導電型に付けて示し、「低不純物濃度」とは不純物濃度が1×1015cm−3程度以下であって「−」を導電型に付けて示すものとする。n型不純物としてはアンチモン(Sb)や砒素(As)などがあり、p型不純物としては硼素(B)などがある。
【0023】
次に、n−型半導体基板1の第1主面1a側に、p+型半導体領域3及びn+型半導体領域5を形成する(図2参照)。p+型半導体領域3は、中央部が開口したマスクなどを用い、n−型半導体基板1内において第1主面1a側からp型不純物を高濃度に拡散させることにより形成する。n+型半導体領域5は、周辺部領域が開口した別のマスクなどを用い、p+型半導体領域3を囲むように、n−型半導体基板1内において第1主面1a側からn型不純物をn−型半導体基板1よりも高濃度に拡散させることにより形成する。p+型半導体領域3の厚みは、例えば0.55μm程度であり、シート抵抗は、例えば44Ω/sq.である。n+型半導体領域5の厚みは、例えば1.5μm程度であり、シート抵抗は、例えば12Ω/sq.である。
【0024】
次に、n−型半導体基板1の第1主面1a側に絶縁層7を形成する(図3参照)。絶縁層7は、SiO2からなり、n−型半導体基板1を熱酸化することによって形成される。絶縁層7の厚みは、例えば0.1μm程度である。そして、p+型半導体領域3上の絶縁層7にコンタクトホールH1を形成し、n+型半導体領域5上の絶縁層7にコンタクトホールH2を形成する。絶縁層7の代わりに、SiNからなるアンチリフレクティブ(AR)層を形成してもよい。
【0025】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1b上及び絶縁層7上に、パッシベーション層9を形成する(図4参照)。パッシベーション層9は、SiNからなり、例えばプラズマCVD法により形成される。パッシベーション層9の厚みは、例えば0.1μmである。そして、n−型半導体基板1の厚みが所望の厚みとなるように、n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩する(図5参照)。これにより、n−型半導体基板1の第2主面1b上に形成されたパッシベーション層9は除去され、n−型半導体基板1が露出することとなる。ここでは、研摩により露出した面も、第2主面1bとする。所望の厚みは、例えば270μmである。
【0026】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図6参照)。ここでは、図7に示されるように、n−型半導体基板1をチャンバC内に配置し、チャンバCの外側に配置されたパルスレーザ発生装置PLDからパルスレーザ光PLをn−型半導体基板1に照射する。チャンバCはガス導入部GIN及びガス排出部GOUTを有しており、不活性ガス(例えば、窒素ガスやアルゴンガスなど)をガス導入部GINから導入してガス排出部GOUTから排出することにより、チャンバC内に不活性ガス流Gfが形成されている。パルスレーザ光PLを照射した際に生じる塵などが不活性ガス流GfによりチャンバC外に排出され、n−型半導体基板1への加工屑や塵などの付着を防いでいる。
【0027】
本実施形態では、パルスレーザ発生装置PLDとしてピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ発生装置を用い、第2主面1bの全面にわたってピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射している。第2主面1bはピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光に荒らされ、図8に示されるように、不規則な凹凸10が第2主面1bの全面に形成される。不規則な凹凸10は、第1主面1aに直交する方向に対して交差する面を有している。凹凸10の高低差は、例えば0.5〜10μm程度であり、凹凸10における凸部の間隔は0.5〜10μm程度である。ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光のパルス時間幅は例えば50fs〜2ps程度であり、強度は例えば4〜16GW程度であり、パルスエネルギーは例えば200〜800μJ/pulse程度である。より一般的には、ピーク強度は、3×1011〜2.5×1013(W/cm2)、フルエンスは、0.1〜1.3(J/cm2)程度である。図8は、第2主面1bに形成された不規則な凹凸10を観察したSEM画像である。
【0028】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図9参照)。ここでは、n−型半導体基板1内において第2主面1b側からn型不純物をn−型半導体基板1よりも高い不純物濃度となるようにイオン注入又は拡散させることにより、アキュムレーション層11を形成する。アキュムレーション層11の厚みは、例えば1μm程度である。
【0029】
次に、n−型半導体基板1を熱処理(アニール)する。ここでは、n−型半導体基板1を、N2ガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1時間程度にわたって加熱する。
【0030】
次に、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去した後、電極13,15を形成する(図10参照)。電極13は、コンタクトホールH1内に形成され、電極15は、コンタクトホールH2内に形成される。電極13,15は、それぞれアルミニウム(Al)などからなり、厚みは例えば1μm程度である。これにより、フォトダイオードPD1が完成する。
【0031】
フォトダイオードPD1は、図10に示されるように、n−型半導体基板1を備えている。n−型半導体基板1の第1主面1a側には、p+型半導体領域3及びn+型半導体領域5が形成されており、n−型半導体基板1とp+型半導体領域3との間にはpn接合が形成されている。電極13は、コンタクトホールH1を通して、p+型半導体領域3に電気的に接触且つ接続されている。電極15は、コンタクトホールH2を通して、n+型半導体領域5に電気的に接触且つ接続されている。
【0032】
n−型半導体基板1の第2主面1bには、不規則な凹凸10が形成されている。n−型半導体基板1の第2主面1b側には、アキュムレーション層11が形成されており、第2主面1bは光学的に露出している。第2主面1bが光学的に露出しているとは、第2主面1bが空気などの雰囲気ガスと接しているのみならず、第2主面1b上に光学的に透明な膜が形成されている場合も含む。
【0033】
フォトダイオードPD1では、第2主面1bに不規則な凹凸10が形成されているために、図11に示されるように、フォトダイオードPD1に入射した光Lは凹凸10にて反射、散乱、又は拡散されて、n−型半導体基板1内を長い距離進む。
【0034】
通常、Siの屈折率n=3.5に対して、空気の屈折率n=1.0である。フォトダイオードでは、光入射面に垂直な方向から光が入射した場合、フォトダイオード(シリコン基板)内で吸収されなかった光は、光入射面の裏面にて反射する光成分とフォトダイオードを透過する光成分に分かれる。フォトダイオードを透過した光は、フォトダイオードの感度には寄与しない。光入射面の裏面にて反射した光成分は、フォトダイオード内で吸収されれば、光電流となり、吸収されなかった光成分は、光入射面において、光入射面の裏面に到達した光成分と同様に、反射又は透過する。
【0035】
フォトダイオードPD1では、光入射面(第1主面1a)に垂直な方向から光Lが入射した場合、第2主面1bに形成された不規則な凹凸10に到達すると、凹凸10からの出射方向に対して16.6°以上の角度にて到達した光成分は、凹凸10にて全反射される。凹凸10は、不規則に形成されていることから、出射方向に対して様々な角度を有しており、全反射した光成分は様々な方向に拡散する。このため、全反射した光成分は、n−型半導体基板1内部で吸収される光成分もあれば、第1主面1aや側面に到達する光成分もある。
【0036】
第1主面1aや側面に到達する光成分は、凹凸10での拡散により様々な方向に進むため、第1主面1aや側面に到達した光成分が第1主面1aや側面にて全反射する可能性は極めて高い。第1主面1aや側面にて全反射した光成分は、異なる面での全反射を繰り返し、その走行距離が更に長くなる。このように、フォトダイオードPD1に入射した光Lは、n−型半導体基板1の内部を長い距離進むうちに、n−型半導体基板1で吸収され、光電流として検出されることとなる。
【0037】
このように、フォトダイオードPD1に入射した光Lは、その大部分がフォトダイオードPD1を透過することなく、走行距離が長くされて、n−型半導体基板1で吸収されることとなる。したがって、フォトダイオードPD1では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0038】
第2主面1bに規則的な凹凸を形成した場合、第1主面1aや側面に到達する光成分は、凹凸にて拡散されているものの、一様な方向に進むため、第1主面1aや側面に到達した光成分が第1主面1aや側面にて全反射する可能性は低くなる。このため、第1主面1aや側面、更には第2主面1bにて透過する光成分が増加し、フォトダイオードに入射した光の走行距離は短くなってしまう。このため、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することは困難となる。
【0039】
ここで、第1実施形態による近赤外の波長帯域での分光感度特性の向上効果を確認するための実験を行なった。
【0040】
上述した構成を備えたフォトダイオード(実施例1と称する)と、n−型半導体基板の第2主面に不規則な凹凸を形成していないフォトダイオード(比較例1と称する)と、を作製し、それぞれの分光感度特性を調べた。実施例1と比較例1とは、パルスレーザ光の照射による不規則な凹凸の形成の点を除いて、同じ構成とされている。n−型半導体基板1のサイズは、6.5mm×6.5mmに設定した。p+型半導体領域3、すなわち光感応領域のサイズは、5.8mm×5.8mmに設定した。フォトダイオードに印加するバイアス電圧VRは、0Vに設定した。
【0041】
結果を図12に示す。図12において、実施例1の分光感度特性はT1で示され、比較例1の分光感度特性は特性T2で示されている。また、図12において、縦軸は分光感度(mA/W)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。一点鎖線にて示されている特性は、量子効率(QE)が100%となる分光感度特性を示し、破線にて示されている特性は、量子効率が50%となる分光感度特性を示している。
【0042】
図12から分かるように、例えば1064nmにおいて、比較例1では分光感度が0.2A/W(QE=25%)であるのに対して、実施例1では分光感度が0.6A/W(QE=72%)となっており、近赤外の波長帯域での分光感度が大幅に向上している。
【0043】
また、実施例1及び比較例1における、分光感度の温度特性についても確認した。ここでは、雰囲気温度を25℃から60℃に上昇させて分光感度特性を調べ、25℃での分光感度に対する60℃での分光感度の割合(温度係数)を求めた。結果を図13に示す。図13において、実施例1の温度係数の特性はT3で示され、比較例1の温度係数の特性は特性T4で示されている。また、図13において、縦軸は温度係数(%/℃)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。
【0044】
図13から分かるように、例えば1064nmにおいて、比較例1では温度係数が0.7%/℃であるのに対して、実施例1では温度係数が0.2%/℃となっており、温度依存性が低い。一般に、温度が上昇すると吸収係数の増大とバンドギャップエネルギーの減少により、分光感度が高くなる。実施例1では、室温の状態でも分光感度が十分に高いことから、温度上昇による分光感度の変化が比較例1に比して小さくなっている。
【0045】
フォトダイオードPD1では、n−型半導体基板1の第2主面1b側にアキュムレーション層11が形成されている。これにより、第2主面1b側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、アキュムレーション層11は、第2主面1b付近で光により発生したキャリアが当該第2主面1bでトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、pn接合部へ効率的に移動し、フォトダイオードPD1の光検出感度を更に向上することができる。
【0046】
第1実施形態では、アキュムレーション層11を形成した後に、n−型半導体基板1を熱処理している。これにより、n−型半導体基板1の結晶性が回復し、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。
【0047】
第1実施形態では、n−型半導体基板1を熱処理した後に、電極13,15を形成している。これにより、電極13,15に比較的融点の低い金属を用いる場合でも、熱処理により電極13,15が溶融するようなことはなく、熱処理の影響を受けることなく電極13,15を適切に形成することができる。
【0048】
第1実施形態では、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成している。これにより、不規則な凹凸10を適切で且つ容易に形成することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図14〜図16を参照して、第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図14〜図16は、第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0050】
第2実施形態の製造方法は、n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩するまでは、第1実施形態の製造方法と同じであり、それまでの工程の説明を省略する。n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩して、n−型半導体基板1を所望の厚みにした後、n−型半導体基板1の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図14参照)。アキュムレーション層11の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。アキュムレーション層11の厚みは、例えば1μm程度である。
【0051】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図15参照)。不規則な凹凸10の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。
【0052】
次に、第1実施形態と同様に、n−型半導体基板1を熱処理する。そして、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去した後、電極13,15を形成する(図16参照)。これにより、フォトダイオードPD2が完成する。
【0053】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、フォトダイオードPD2に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することができる。
【0054】
第2実施形態では、アキュムレーション層11の厚みを、不規則な凹凸10の高低差よりも大きくしている。このため、アキュムレーション層11を形成した後に、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成しても、アキュムレーション層11が確実に残ることとなる。したがって、アキュムレーション層11による作用効果を確保することができる。
【0055】
(第3実施形態)
図17〜図21を参照して、第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図17〜図21は、第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0056】
第3実施形態の製造方法は、パッシベーション層9を形成するまでは、第1実施形態の製造方法と同じであり、それまでの工程の説明を省略する。パッシベーション層9を形成した後、n−型半導体基板1におけるp+型半導体領域3に対応する部分を当該部分の周辺部分を残して第2主面1b側より薄化する(図17参照)。n−型半導体基板1の薄化は、例えば水酸化カリウム溶液やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム溶液)などを用いたアルカリエッチングによる異方性エッチングにより行なわれる。n−型半導体基板1の薄化された部分の厚みは、例えば100μm程度であり、周辺部分の厚みは、例えば300μm程度である。
【0057】
次に、n−型半導体基板1の周辺部分の厚みが所望の厚みとなるように、n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩する(図18参照)。所望の厚みは、例えば270μmである。
【0058】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図19参照)。不規則な凹凸10の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。
【0059】
次に、n−型半導体基板1の薄化されている部分の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図20参照)。アキュムレーション層11の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。アキュムレーション層11の厚みは、例えば3μm程度である。
【0060】
次に、第1実施形態と同様に、n−型半導体基板1を熱処理した後、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去して、電極13,15を形成する(図21参照)。これにより、フォトダイオードPD3が完成する。
【0061】
第3実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、フォトダイオードPD3に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することができる。
【0062】
第3実施形態では、不規則な凹凸10を形成する前に、n−型半導体基板1におけるp+型半導体領域3に対応する部分を当該部分の周辺部分を残して第2主面1b側より薄化している。これにより、n−型半導体基板1の第1主面1a及び第2主面1b側をそれぞれ光入射面としたフォトダイオードPD3を得ることができる。
【0063】
(第4実施形態)
図22〜図24を参照して、第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図22〜図24は、第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0064】
第4実施形態の製造方法は、n−型半導体基板1を薄化するまでは、第3実施形態の製造方法と同じであり、それまでの工程の説明を省略する。n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩して、n−型半導体基板1を所望の厚みにした後、n−型半導体基板1の薄化されている部分の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図22参照)。アキュムレーション層11の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。アキュムレーション層11の厚みは、例えば3μm程度である。
【0065】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図23参照)。不規則な凹凸10の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。
【0066】
次に、第1実施形態と同様に、n−型半導体基板1を熱処理する。そして、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去した後、電極13,15を形成する(図24参照)。これにより、フォトダイオードPD4が完成する。
【0067】
第4実施形態においても、第1〜第3実施形態と同様に、フォトダイオードPD4に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することができる。
【0068】
第4実施形態では、アキュムレーション層11を形成する前に、n−型半導体基板1におけるp+型半導体領域3に対応する部分を当該部分の周辺部分を残して第2主面1b側より薄化している。これにより、n−型半導体基板1の第1主面1a及び第2主面1b側をそれぞれ光入射面としたフォトダイオードPD4を得ることができる。
【0069】
(第5実施形態)
図25〜図26を参照して、第5実施形態に係る半導体光検出素子SP1について説明する。図25は、第5実施形態に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。図26は、第5実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【0070】
半導体光検出素子SP1は、図25に示されるように、裏面入射型固体撮像素子であって、半導体基板SSの裏面側をKOH水溶液などでエッチングして薄化したBT−CCD(電荷結合素子)である。エッチングされた半導体基板SSの中央領域には凹部TDが形成され、凹部TDの周囲には厚い枠部が存在している。凹部TDの側面は、底面BFに対して鈍角を成して傾斜している。半導体基板SSの薄化された中央領域は光感応領域(撮像領域)であり、この光感応領域に光Lが、Z軸の負方向に沿って入射する。半導体基板SSの凹部TDの底面BFは、光入射面を構成している。なお、この枠部は、エッチングによって除去し、全領域が薄化された裏面入射型固体撮像素子とすることも可能である。
【0071】
半導体光検出素子SP1は、上記半導体基板SSとしてのp型半導体基板21を備えている。p型半導体基板21は、シリコン(Si)結晶からなり、互いに対向する第1主面21a及び第2主面21bを有している。p型半導体基板21は、その厚みが画素ピッチP以下に設定されている。本実施形態では、画素ピッチPは10〜48μm程度であり、p型半導体基板21の厚みは10〜30μm程度である。本実施形態では、2相クロック駆動の例を示しており、各転送電極の下には、電荷の一方向転送を確実にするために不純物濃度を異ならせた領域(不図示)が存在している。
【0072】
p型半導体基板21の第1主面21a側には、電荷転送部としてのn型半導体層23が形成されており、p型半導体基板21とn型半導体層23との間にはpn接合が形成されている。p型半導体基板21の第1主面21a上には、絶縁層27を介して、転送電極部としての複数の電荷転送電極25が設けられている。p型半導体基板21の第1主面21a側には、図示は省略するが、n型半導体層23を垂直CCD毎に電気的に分離するアイソレーション領域も形成されている。n型半導体層23の厚みは、0.5μm程度である。
【0073】
p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29全体には、不規則な凹凸10が形成されている。p型半導体基板21の第2主面21b側には、アキュムレーション層31が形成されており、第2主面21bは光学的に露出している。第2主面21bが光学的に露出しているとは、第2主面21bが空気などの雰囲気ガスと接しているのみならず、第2主面21b上に光学的に透明な膜が形成されている場合も含む。半導体光検出素子SP1が、全体が薄化された裏面入射型固体撮像素子である場合には、p型半導体基板21の第2主面21b全体にわたって、不規則な凹凸10が形成されていてもよい。半導体光検出素子SP1が、光感応領域29付近だけ薄化された裏面入射型固体撮像素子である場合には、p型半導体基板21の薄化されていない周辺の枠部や、枠部にいたる傾斜面も含んだ第2主面21b全体にわたって、不規則な凹凸10が形成されていてもよい。
【0074】
全体が薄化された裏面入射型固体撮像素子は、枠部を設けることなく、半導体基板SSの表面に別の基板を貼り付けた後に、半導体基板SSの裏面側を研磨することにより得ることができる。図30に示されるように、半導体光検出素子SP11は、半導体基板SSの裏面側全体が薄化されている。半導体光検出素子SP11において、半導体基板SSの裏面(第2主面)には、少なくとも光感応領域に対応する領域に不規則な凹凸10が形成されており、また、半導体基板SSの裏面側には、上述したアキュムレーション層(不図示)が形成されている。
【0075】
続いて、本実施形態の半導体光検出素子SP1の製造方法について説明する。
【0076】
まず、p型半導体基板21を用意し、p型半導体基板21の第1主面21a側に、n型半導体層23を形成する。n型半導体層23は、p型半導体基板21内において第1主面21a側からn型不純物を拡散させることにより形成する。
【0077】
次に、p型半導体基板21の第2主面21b側に、アキュムレーション層31を形成する。アキュムレーション層31は、上述した実施形態と同様に、p型半導体基板21内において第2主面21b側からp型不純物をp型半導体基板21よりも高い不純物濃度となるようにイオン注入又は拡散させることにより、形成される。アキュムレーション層31の厚みは、例えば0.5μm程度である。アキュムレーション層31は、不規則な凹凸10を形成する前に形成してもよく、また、不規則な凹凸10を形成した後に形成してもよい。
【0078】
次に、p型半導体基板21を、上述したように薄化する。不規則な凹凸10を形成した後にアキュムレーション層31を形成する場合には、不規則な凹凸10を形成した後に、p型半導体基板21を薄化し、その後、アキュムレーション層31を形成する。
【0079】
次に、p型半導体基板21を、熱処理して、アキュムレーション層31を活性化させる。熱処理は、例えば、N2ガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1.0時間程度にわたって行なう。このとき、p型半導体基板21の結晶性も回復することとなる。
【0080】
次に、p型半導体基板21の第2主面21b側に、不規則な凹凸10を形成する。不規則な凹凸10は、上述した実施形態と同様に、p型半導体基板21の第2主面21bにパルスレーザ光を照射することにより、形成される。パルスレーザ光を照射するパルスレーザ発生装置は、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ発生装置を用いることができる。不規則な凹凸10は、第1主面21aに直交する方向に対して交差する面を有している。凹凸10の高低差は、例えば0.5〜10μm程度であり、凹凸10における凸部の間隔は0.5〜10μm程度である。ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光のパルス時間幅は例えば50fs〜2ps程度であり、強度は例えば4〜16GW程度であり、パルスエネルギーは例えば200〜800μJ/pulse程度である。より一般的には、ピーク強度は、3×1011〜2.5×1013(W/cm2)、フルエンスは、0.1〜1.3(J/cm2)程度である。
【0081】
次に、p型半導体基板21を、熱処理する。熱処理は、例えば、N2ガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1.0時間程度にわたって行なう。熱処理により、p型半導体基板21における結晶損傷の回復及び再結晶化が図れ、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。なお、アキュムレーション層31の形成後の熱処理を省略し、不規則な凹凸10の形成後の熱処理のみとしてもよい。
【0082】
次に、絶縁層27及び電荷転送電極25を形成する。絶縁層27及び電荷転送電極25を形成する工程は既知であり、説明を省略する。電荷転送電極25は、例えばポリシリコン又は金属からなる。絶縁層27は、例えばSiO2からなる。絶縁層27及び電荷転送電極25を覆うように、更に、保護膜を形成してもよい。保護膜は、例えば、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)からなる。これにより、半導体光検出素子SP1が完成する。
【0083】
半導体光検出素子SP1では、光入射面(第2主面21b)から光が入射すると、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されているために、入射した光は、凹凸10により散乱され、p型半導体基板21内を様々な方向に進む。第1主面21a等に到達する光成分は、凹凸10での拡散により様々な方向に進むため、第1主面21a等に到達した光成分が第1主面21aにて全反射する可能性は極めて高い。第1主面21a等にて全反射した光成分は、異なる面での全反射や第2主面21bでの反射、散乱、又は拡散を繰り返し、その走行距離が更に長くなる。このように、半導体光検出素子SP1に入射した光は凹凸10にて反射、散乱、又は拡散されて、p型半導体基板21内を長い距離進む。そして、半導体光検出素子SP1に入射した光は、p型半導体基板21の内部を長い距離進むうちに、p型半導体基板21で吸収され、光により生じたキャリアがn型半導体層23の画素ごとの電荷となり、転送されて検出されることとなる。したがって、半導体光検出素子SP1では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0084】
半導体光検出素子SP1では、凹凸10による反射、散乱、又は拡散により、画素間でのクロストークが発生し、解像度が低下する懼れがある。しかしながら、p型半導体基板21の厚みが画素ピッチP以下に設定されているので、半導体光検出素子SP1では、画素間でのクロストークの発生を抑制することができる。
【0085】
半導体光検出素子SP1では、p型半導体基板21の第2主面21b側にアキュムレーション層31が形成されている。これにより、第2主面21b側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。アキュムレーション層31は、第2主面21b付近で光により発生したキャリアが当該第2主面21bでトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、pn接合へ効率的に移動し、半導体光検出素子SP1の光検出感度を更に向上することができる。
【0086】
第5実施形態では、アキュムレーション層31を形成した後に、p型半導体基板21を熱処理している。これにより、p型半導体基板21の結晶性が回復し、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。
【0087】
第5実施形態では、p型半導体基板21を熱処理した後に、電荷転送電極25を形成している。これにより、電荷転送電極25に比較的融点の低い材料を用いる場合でも、熱処理により電荷転送電極25が溶融するようなことはなく、熱処理の影響を受けることなく電荷転送電極25を適切に形成することができる。
【0088】
第5実施形態では、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成している。これにより、不規則な凹凸10を適切で且つ容易に形成することができる。
【0089】
ところで、固体撮像素子といった半導体光検出素子において、シリコンからなる半導体基板を厚く設定することにより(例えば、200μm程度)、近赤外の波長帯域に分光感度特性を有する半導体光検出素子を実現することは可能である。しかしながら、上記半導体基板の厚みを大きくした場合、良好な解像度を得るためには、数十ボルト程度の高いバイアス電圧を印加し、半導体基板を完全空乏化する必要がある。完全空乏化されることなく、半導体基板に中性領域が部分的に残っていると、中性領域にて発生したキャリアが拡散して、解像度が劣化するのを防ぐためである。
【0090】
また、半導体基板が厚いと、暗電流も増加する。このため、半導体基板を冷却し(例えば、−70〜−100℃)、暗電流の増加を抑制する必要もある。
【0091】
しかしながら、第5実施形態に係る半導体光検出素子SP1では、上述したように、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されていることにより、半導体光検出素子SP1に入射した光の走行距離が長くされる。このため、半導体基板(p型半導体基板21)、特に光感応領域29に対応する部分を厚くすることなく、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有する半導体光検出素子を実現することができる。したがって、半導体基板を厚くすることにより近赤外の波長帯域に分光感度特性を有する半導体光検出素子よりも、上記半導体光検出素子SP1は、極めて低いバイアス電圧の印加又はバイアス電圧の無印加で、良好な解像度を得ることができる。また、用途によっては、半導体基板の冷却も不要となる。
【0092】
半導体基板、特に光感応領域に対応する部分が薄化されている場合、エタロン現象が生じる懼れがある。エタロン現象は、裏面から入射した披検出光と、入射した被検出光が表面で反射した光との間で干渉する現象であり、近赤外の波長帯域での検出特性に影響を及ぼす。しかしながら、半導体光検出素子SP1では、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されていることにより、入射光の位相に対して、凹凸10で反射される光が、分散した位相差を有するので、これらの光同士が相殺され、エタロン現象が抑制される。
【0093】
第5実施形態では、p型半導体基板21が第2主面21b側より薄化されている。これにより、p型半導体基板21の第1主面21a及び第2主面21b側をそれぞれ光入射面とした半導体光検出素子を得ることができる。すなわち、半導体光検出素子SP1は、裏面入射型固体撮像素子だけでなく、表面入射型固体撮像素子としても用いることができる。
【0094】
アキュムレーション層31を形成した後に、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成する場合、アキュムレーション層31の厚みを、不規則な凹凸10の高低差よりも大きく設定することが好ましい。この場合、パルスレーザ光を照射して不規則な凹凸10を形成しても、アキュムレーション層31が確実に残ることとなる。したがって、アキュムレーション層31による作用効果を確保することができる。
【0095】
続いて、図27〜図28を参照して、第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子SP2について説明する。図27は、第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。図28は、第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【0096】
変形例に係る半導体光検出素子SP2では、p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29は、第1領域29aと第2領域29bとを含み、第2領域29bに不規則な凹凸10が形成されている。すなわち、p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29の第1領域29aには、不規則な凹凸10が形成されていない。
【0097】
変形例に係る半導体光検出素子SP2では、p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29の第2領域29bにおいて、上述したように、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0098】
更なる変形例に係る半導体光検出素子SP21は、図29に示されるように、分光器40の検出素子として用いることができる。分光器40は、コリメートレンズ41、回折格子43、及び半導体光検出素子SP21を備えている。分光器40では、回折格子43により分離された波長成分が半導体光検出素子SP21に入射する。半導体光検出素子SP21は、光感応領域29の第2領域29bが長波長側となり、第1領域29aが短波長側となるように配置される。分光器40に用いられた半導体光検出素子SP21は、全領域が薄化された裏面入射型固体撮像素子である。
【0099】
このように、半導体光検出素子が青色等の短波長帯域の光の感度を確保する必要がある場合、青色等の短波長帯域の光を検出する領域には、不規則な凹凸10が形成されていないことが好ましい。青色等の短波長帯域の光は、吸収されるまでの走行距離が短いために、第2主面21bの近傍でキャリアを発生させ易い。このため、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されていると、発生したキャリアが、不規則な凹凸10が形成された第2主面21bの近傍においてトラップされて、検出感度に寄与し難くなる懼れがある。
【0100】
したがって、半導体光検出素子SP21が、不規則な凹凸10が形成されていない第1領域29aが短波長側となるように配置されることにより、青色等の短波長帯域の光の検出感度を低下させることなく、近赤外の波長帯域での検出感度を向上させることができる。近赤外の波長帯域の光は、吸収されるまでの走行距離が長いため、第2主面21bの近傍でキャリアを発生させる可能性は極めて低い。したがって、近赤外の波長帯域の光の入射により発生したキャリアは、不規則な凹凸10が形成された第2主面21bの近傍においてトラップされ難く、検出感度に十分寄与する。
【0101】
半導体光検出素子SP21が、いわゆる表面入射型固体撮像素子である場合、転送電極部等の影響により、青色等の短波長帯域の光の検出感度が低下する懼れがある。したがって、青色等の短波長帯域の光を検出するためには、半導体光検出素子SP21は、いわゆる裏面入射型固体撮像素子であることが好ましい。
【0102】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0103】
本実施形態では、第2主面1bの全面にわたって、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成しているが、これに限られない。例えば、n−型半導体基板1の第2主面1bにおけるp+型半導体領域3に対向する領域のみに、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成してもよい。
【0104】
本実施形態では、電極15をn−型半導体基板1の第1主面1a側に形成されたn+型半導体領域5に電気的に接触且つ接続しているが、これに限られない。例えば、電極15をn−型半導体基板1の第2主面1b側に形成されたアキュムレーション層11に電気的に接触且つ接続してもよい。この場合、n−型半導体基板1の第2主面1bにおけるp+型半導体領域3に対向する領域外に、電極15を形成することが好ましい。n−型半導体基板1の第2主面1bにおけるp+型半導体領域3に対向する領域に電極15を形成すると、第2主面1bに形成されている不規則な凹凸10が電極15により塞がれ、近赤外の波長帯域における分光感度が低下するという事象が生じるためである。
【0105】
本実施形態に係るフォトダイオードPD1〜PD4及び半導体光検出素子SP1,SP11,SP2,SP21におけるp型及びn型の各導電型を上述したものとは逆になるよう入れ替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、半導体光検出素子及び光検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0107】
1…n−型半導体基板、1a…第1主面、1b…第2主面、3…p+型半導体領域、5…n+型半導体領域、10…不規則な凹凸、11…アキュムレーション層、13,15…電極、21…p型半導体基板、21a…第1主面、21b…第2主面、23…n型半導体層、25…電荷転送電極、27…絶縁層、31…アキュムレーション層、PL…パルスレーザ光、PD1〜PD4…フォトダイオード、SP1,SP11,SP2,SP21…半導体光検出素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外の波長帯域に高い分光感度特性を有するフォトダイオードとして、化合物半導体を用いたフォトダイオードが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフォトダイオードでは、InGaAsN、InGaAsNSb、及びInGaAsNPのいずれかからなる第1受光層と、第1受光層の吸収端より長波長の吸収端を有し、量子井戸構造からなる第2受光層と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような化合物半導体を用いたフォトダイオードは、未だ高価であり、製造工程も複雑なものとなってしまう。このため、安価で且つ製造が容易なシリコンフォトダイオードであって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度を有しているものの実用化が求められている。シリコンフォトダイオードは、一般に、分光感度特性の長波長側での限界は1100nm程度ではあるものの、1000nm以上の波長帯域における分光感度特性は十分なものではなかった。
【0005】
本発明は、シリコンを用いた半導体光検出素子であって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有している半導体光検出素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体光検出素子は、第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板と、シリコン基板の第1主面上に設けられ、発生した電荷を転送する転送電極部と、を備え、シリコン基板には、第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、シリコン基板の第2主面における不規則な凹凸が形成された領域は、光学的に露出していることを特徴とする半導体光検出素子。
【0007】
本発明に係る半導体光検出素子では、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されているために、半導体光検出素子に入射した光は当該領域にて反射、散乱、又は拡散されて、シリコン基板内を長い距離進む。これにより、半導体光検出素子に入射した光は、その大部分が半導体光検出素子(シリコン基板)を透過することなく、シリコン基板で吸収されることとなる。したがって、上記半導体光検出素子では、半導体光検出素子に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるため、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0008】
また、シリコン基板の第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されているため、第2主面側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、第1導電型の上記アキュムレーション層は、シリコン基板の第2主面付近で光により発生したキャリアが該第2主面でトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、第2導電型の半導体領域とシリコン基板とのpn接合部へ効率的に移動し、半導体光検出素子の光検出感度を向上することができる。
【0009】
本発明に係る半導体光検出素子において、第2導電型の半導体領域に対向する領域のうち一部の領域に、不規則な凹凸が形成されていてもよい。この場合、半導体光検出素子において不規則な凹凸が形成された領域に対応する部分では、上述したように、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0010】
本発明に係る半導体光検出素子において、シリコン基板は、第2導電型の半導体領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して第2主面側より薄化されていてもよい。この場合、シリコン基板の第1主面及び第2主面側をそれぞれ光入射面とした半導体光検出素子を得ることができる。
【0011】
本発明に係る半導体光検出素子において、第1導電型のアキュムレーション層の厚みが、不規則な凹凸の高低差よりも大きいことが好ましい。この場合、上述したように、アキュムレーション層による作用効果を確保することができる。
【0012】
本発明に係る半導体光検出素子において、シリコン基板は、その厚みが画素ピッチ以下に設定されていることが好ましい。この場合、画素間でのクロストークの発生を抑制することができる。
【0013】
本発明に係るフォトダイオードは、第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板を備え、シリコン基板には、第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、シリコン基板の第2主面における第2導電型の半導体領域に対向する領域は、光学的に露出していることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るフォトダイオードでは、第2主面における少なくとも第2導電型の半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されているために、フォトダイオードに入射した光は当該領域にて反射、散乱、又は拡散されて、シリコン基板内を長い距離進む。これにより、フォトダイオードに入射した光は、その大部分がフォトダイオード(シリコン基板)を透過することなく、シリコン基板で吸収されることとなる。したがって、上記フォトダイオードでは、フォトダイオードに入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるため、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0015】
また、シリコン基板の第2主面側にシリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されているため、第2主面側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、第1導電型の上記アキュムレーション層は、シリコン基板の第2主面付近で光により発生したキャリアが該第2主面でトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、第2導電型の半導体領域とシリコン基板とのpn接合部へ効率的に移動し、フォトダイオードの光検出感度を向上することができる。
【0016】
好ましくは、シリコン基板は、第2導電型の半導体領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して第2主面側より薄化されている。この場合、シリコン基板の第1主面及び第2主面側をそれぞれ光入射面としたフォトダイオードを得ることができる。
【0017】
好ましくは、第1導電型のアキュムレーション層の厚みが、不規則な上記凹凸の高低差よりも大きい。この場合、上述したように、アキュムレーション層による作用効果を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シリコンを用いた半導体光検出素子であって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有している半導体光検出素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図2】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図6】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図7】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係るフォトダイオードの構成を示す図である。
【図12】実施例1及び比較例1における、波長に対する分光感度の変化を示す線図である。
【図13】実施例1及び比較例1における、波長に対する温度係数の変化を示す線図である。
【図14】第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図15】第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図16】第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図17】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図18】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図19】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図20】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図21】第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図22】第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図23】第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図24】第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図25】第5実施形態に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。
【図26】第5実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【図27】第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。
【図28】第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【図29】分光器の構成を説明するための模式図である。
【図30】第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図1〜図10を参照して、第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図1〜図10は、第1実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0022】
まず、シリコン(Si)結晶からなり、互いに対向する第1主面1a及び第2主面1bを有するn−型半導体基板1を準備する(図1参照)。n−型半導体基板1の厚みは300μm程度であり、比抵抗は1kΩ・cm程度である。本実施形態では、「高不純物濃度」とは例えば不純物濃度が1×1017cm−3程度以上のことであって、「+」を導電型に付けて示し、「低不純物濃度」とは不純物濃度が1×1015cm−3程度以下であって「−」を導電型に付けて示すものとする。n型不純物としてはアンチモン(Sb)や砒素(As)などがあり、p型不純物としては硼素(B)などがある。
【0023】
次に、n−型半導体基板1の第1主面1a側に、p+型半導体領域3及びn+型半導体領域5を形成する(図2参照)。p+型半導体領域3は、中央部が開口したマスクなどを用い、n−型半導体基板1内において第1主面1a側からp型不純物を高濃度に拡散させることにより形成する。n+型半導体領域5は、周辺部領域が開口した別のマスクなどを用い、p+型半導体領域3を囲むように、n−型半導体基板1内において第1主面1a側からn型不純物をn−型半導体基板1よりも高濃度に拡散させることにより形成する。p+型半導体領域3の厚みは、例えば0.55μm程度であり、シート抵抗は、例えば44Ω/sq.である。n+型半導体領域5の厚みは、例えば1.5μm程度であり、シート抵抗は、例えば12Ω/sq.である。
【0024】
次に、n−型半導体基板1の第1主面1a側に絶縁層7を形成する(図3参照)。絶縁層7は、SiO2からなり、n−型半導体基板1を熱酸化することによって形成される。絶縁層7の厚みは、例えば0.1μm程度である。そして、p+型半導体領域3上の絶縁層7にコンタクトホールH1を形成し、n+型半導体領域5上の絶縁層7にコンタクトホールH2を形成する。絶縁層7の代わりに、SiNからなるアンチリフレクティブ(AR)層を形成してもよい。
【0025】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1b上及び絶縁層7上に、パッシベーション層9を形成する(図4参照)。パッシベーション層9は、SiNからなり、例えばプラズマCVD法により形成される。パッシベーション層9の厚みは、例えば0.1μmである。そして、n−型半導体基板1の厚みが所望の厚みとなるように、n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩する(図5参照)。これにより、n−型半導体基板1の第2主面1b上に形成されたパッシベーション層9は除去され、n−型半導体基板1が露出することとなる。ここでは、研摩により露出した面も、第2主面1bとする。所望の厚みは、例えば270μmである。
【0026】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図6参照)。ここでは、図7に示されるように、n−型半導体基板1をチャンバC内に配置し、チャンバCの外側に配置されたパルスレーザ発生装置PLDからパルスレーザ光PLをn−型半導体基板1に照射する。チャンバCはガス導入部GIN及びガス排出部GOUTを有しており、不活性ガス(例えば、窒素ガスやアルゴンガスなど)をガス導入部GINから導入してガス排出部GOUTから排出することにより、チャンバC内に不活性ガス流Gfが形成されている。パルスレーザ光PLを照射した際に生じる塵などが不活性ガス流GfによりチャンバC外に排出され、n−型半導体基板1への加工屑や塵などの付着を防いでいる。
【0027】
本実施形態では、パルスレーザ発生装置PLDとしてピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ発生装置を用い、第2主面1bの全面にわたってピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射している。第2主面1bはピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光に荒らされ、図8に示されるように、不規則な凹凸10が第2主面1bの全面に形成される。不規則な凹凸10は、第1主面1aに直交する方向に対して交差する面を有している。凹凸10の高低差は、例えば0.5〜10μm程度であり、凹凸10における凸部の間隔は0.5〜10μm程度である。ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光のパルス時間幅は例えば50fs〜2ps程度であり、強度は例えば4〜16GW程度であり、パルスエネルギーは例えば200〜800μJ/pulse程度である。より一般的には、ピーク強度は、3×1011〜2.5×1013(W/cm2)、フルエンスは、0.1〜1.3(J/cm2)程度である。図8は、第2主面1bに形成された不規則な凹凸10を観察したSEM画像である。
【0028】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図9参照)。ここでは、n−型半導体基板1内において第2主面1b側からn型不純物をn−型半導体基板1よりも高い不純物濃度となるようにイオン注入又は拡散させることにより、アキュムレーション層11を形成する。アキュムレーション層11の厚みは、例えば1μm程度である。
【0029】
次に、n−型半導体基板1を熱処理(アニール)する。ここでは、n−型半導体基板1を、N2ガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1時間程度にわたって加熱する。
【0030】
次に、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去した後、電極13,15を形成する(図10参照)。電極13は、コンタクトホールH1内に形成され、電極15は、コンタクトホールH2内に形成される。電極13,15は、それぞれアルミニウム(Al)などからなり、厚みは例えば1μm程度である。これにより、フォトダイオードPD1が完成する。
【0031】
フォトダイオードPD1は、図10に示されるように、n−型半導体基板1を備えている。n−型半導体基板1の第1主面1a側には、p+型半導体領域3及びn+型半導体領域5が形成されており、n−型半導体基板1とp+型半導体領域3との間にはpn接合が形成されている。電極13は、コンタクトホールH1を通して、p+型半導体領域3に電気的に接触且つ接続されている。電極15は、コンタクトホールH2を通して、n+型半導体領域5に電気的に接触且つ接続されている。
【0032】
n−型半導体基板1の第2主面1bには、不規則な凹凸10が形成されている。n−型半導体基板1の第2主面1b側には、アキュムレーション層11が形成されており、第2主面1bは光学的に露出している。第2主面1bが光学的に露出しているとは、第2主面1bが空気などの雰囲気ガスと接しているのみならず、第2主面1b上に光学的に透明な膜が形成されている場合も含む。
【0033】
フォトダイオードPD1では、第2主面1bに不規則な凹凸10が形成されているために、図11に示されるように、フォトダイオードPD1に入射した光Lは凹凸10にて反射、散乱、又は拡散されて、n−型半導体基板1内を長い距離進む。
【0034】
通常、Siの屈折率n=3.5に対して、空気の屈折率n=1.0である。フォトダイオードでは、光入射面に垂直な方向から光が入射した場合、フォトダイオード(シリコン基板)内で吸収されなかった光は、光入射面の裏面にて反射する光成分とフォトダイオードを透過する光成分に分かれる。フォトダイオードを透過した光は、フォトダイオードの感度には寄与しない。光入射面の裏面にて反射した光成分は、フォトダイオード内で吸収されれば、光電流となり、吸収されなかった光成分は、光入射面において、光入射面の裏面に到達した光成分と同様に、反射又は透過する。
【0035】
フォトダイオードPD1では、光入射面(第1主面1a)に垂直な方向から光Lが入射した場合、第2主面1bに形成された不規則な凹凸10に到達すると、凹凸10からの出射方向に対して16.6°以上の角度にて到達した光成分は、凹凸10にて全反射される。凹凸10は、不規則に形成されていることから、出射方向に対して様々な角度を有しており、全反射した光成分は様々な方向に拡散する。このため、全反射した光成分は、n−型半導体基板1内部で吸収される光成分もあれば、第1主面1aや側面に到達する光成分もある。
【0036】
第1主面1aや側面に到達する光成分は、凹凸10での拡散により様々な方向に進むため、第1主面1aや側面に到達した光成分が第1主面1aや側面にて全反射する可能性は極めて高い。第1主面1aや側面にて全反射した光成分は、異なる面での全反射を繰り返し、その走行距離が更に長くなる。このように、フォトダイオードPD1に入射した光Lは、n−型半導体基板1の内部を長い距離進むうちに、n−型半導体基板1で吸収され、光電流として検出されることとなる。
【0037】
このように、フォトダイオードPD1に入射した光Lは、その大部分がフォトダイオードPD1を透過することなく、走行距離が長くされて、n−型半導体基板1で吸収されることとなる。したがって、フォトダイオードPD1では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0038】
第2主面1bに規則的な凹凸を形成した場合、第1主面1aや側面に到達する光成分は、凹凸にて拡散されているものの、一様な方向に進むため、第1主面1aや側面に到達した光成分が第1主面1aや側面にて全反射する可能性は低くなる。このため、第1主面1aや側面、更には第2主面1bにて透過する光成分が増加し、フォトダイオードに入射した光の走行距離は短くなってしまう。このため、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することは困難となる。
【0039】
ここで、第1実施形態による近赤外の波長帯域での分光感度特性の向上効果を確認するための実験を行なった。
【0040】
上述した構成を備えたフォトダイオード(実施例1と称する)と、n−型半導体基板の第2主面に不規則な凹凸を形成していないフォトダイオード(比較例1と称する)と、を作製し、それぞれの分光感度特性を調べた。実施例1と比較例1とは、パルスレーザ光の照射による不規則な凹凸の形成の点を除いて、同じ構成とされている。n−型半導体基板1のサイズは、6.5mm×6.5mmに設定した。p+型半導体領域3、すなわち光感応領域のサイズは、5.8mm×5.8mmに設定した。フォトダイオードに印加するバイアス電圧VRは、0Vに設定した。
【0041】
結果を図12に示す。図12において、実施例1の分光感度特性はT1で示され、比較例1の分光感度特性は特性T2で示されている。また、図12において、縦軸は分光感度(mA/W)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。一点鎖線にて示されている特性は、量子効率(QE)が100%となる分光感度特性を示し、破線にて示されている特性は、量子効率が50%となる分光感度特性を示している。
【0042】
図12から分かるように、例えば1064nmにおいて、比較例1では分光感度が0.2A/W(QE=25%)であるのに対して、実施例1では分光感度が0.6A/W(QE=72%)となっており、近赤外の波長帯域での分光感度が大幅に向上している。
【0043】
また、実施例1及び比較例1における、分光感度の温度特性についても確認した。ここでは、雰囲気温度を25℃から60℃に上昇させて分光感度特性を調べ、25℃での分光感度に対する60℃での分光感度の割合(温度係数)を求めた。結果を図13に示す。図13において、実施例1の温度係数の特性はT3で示され、比較例1の温度係数の特性は特性T4で示されている。また、図13において、縦軸は温度係数(%/℃)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。
【0044】
図13から分かるように、例えば1064nmにおいて、比較例1では温度係数が0.7%/℃であるのに対して、実施例1では温度係数が0.2%/℃となっており、温度依存性が低い。一般に、温度が上昇すると吸収係数の増大とバンドギャップエネルギーの減少により、分光感度が高くなる。実施例1では、室温の状態でも分光感度が十分に高いことから、温度上昇による分光感度の変化が比較例1に比して小さくなっている。
【0045】
フォトダイオードPD1では、n−型半導体基板1の第2主面1b側にアキュムレーション層11が形成されている。これにより、第2主面1b側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、アキュムレーション層11は、第2主面1b付近で光により発生したキャリアが当該第2主面1bでトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、pn接合部へ効率的に移動し、フォトダイオードPD1の光検出感度を更に向上することができる。
【0046】
第1実施形態では、アキュムレーション層11を形成した後に、n−型半導体基板1を熱処理している。これにより、n−型半導体基板1の結晶性が回復し、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。
【0047】
第1実施形態では、n−型半導体基板1を熱処理した後に、電極13,15を形成している。これにより、電極13,15に比較的融点の低い金属を用いる場合でも、熱処理により電極13,15が溶融するようなことはなく、熱処理の影響を受けることなく電極13,15を適切に形成することができる。
【0048】
第1実施形態では、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成している。これにより、不規則な凹凸10を適切で且つ容易に形成することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図14〜図16を参照して、第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図14〜図16は、第2実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0050】
第2実施形態の製造方法は、n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩するまでは、第1実施形態の製造方法と同じであり、それまでの工程の説明を省略する。n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩して、n−型半導体基板1を所望の厚みにした後、n−型半導体基板1の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図14参照)。アキュムレーション層11の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。アキュムレーション層11の厚みは、例えば1μm程度である。
【0051】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図15参照)。不規則な凹凸10の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。
【0052】
次に、第1実施形態と同様に、n−型半導体基板1を熱処理する。そして、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去した後、電極13,15を形成する(図16参照)。これにより、フォトダイオードPD2が完成する。
【0053】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、フォトダイオードPD2に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することができる。
【0054】
第2実施形態では、アキュムレーション層11の厚みを、不規則な凹凸10の高低差よりも大きくしている。このため、アキュムレーション層11を形成した後に、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成しても、アキュムレーション層11が確実に残ることとなる。したがって、アキュムレーション層11による作用効果を確保することができる。
【0055】
(第3実施形態)
図17〜図21を参照して、第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図17〜図21は、第3実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0056】
第3実施形態の製造方法は、パッシベーション層9を形成するまでは、第1実施形態の製造方法と同じであり、それまでの工程の説明を省略する。パッシベーション層9を形成した後、n−型半導体基板1におけるp+型半導体領域3に対応する部分を当該部分の周辺部分を残して第2主面1b側より薄化する(図17参照)。n−型半導体基板1の薄化は、例えば水酸化カリウム溶液やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム溶液)などを用いたアルカリエッチングによる異方性エッチングにより行なわれる。n−型半導体基板1の薄化された部分の厚みは、例えば100μm程度であり、周辺部分の厚みは、例えば300μm程度である。
【0057】
次に、n−型半導体基板1の周辺部分の厚みが所望の厚みとなるように、n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩する(図18参照)。所望の厚みは、例えば270μmである。
【0058】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図19参照)。不規則な凹凸10の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。
【0059】
次に、n−型半導体基板1の薄化されている部分の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図20参照)。アキュムレーション層11の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。アキュムレーション層11の厚みは、例えば3μm程度である。
【0060】
次に、第1実施形態と同様に、n−型半導体基板1を熱処理した後、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去して、電極13,15を形成する(図21参照)。これにより、フォトダイオードPD3が完成する。
【0061】
第3実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、フォトダイオードPD3に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することができる。
【0062】
第3実施形態では、不規則な凹凸10を形成する前に、n−型半導体基板1におけるp+型半導体領域3に対応する部分を当該部分の周辺部分を残して第2主面1b側より薄化している。これにより、n−型半導体基板1の第1主面1a及び第2主面1b側をそれぞれ光入射面としたフォトダイオードPD3を得ることができる。
【0063】
(第4実施形態)
図22〜図24を参照して、第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法について説明する。図22〜図24は、第4実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0064】
第4実施形態の製造方法は、n−型半導体基板1を薄化するまでは、第3実施形態の製造方法と同じであり、それまでの工程の説明を省略する。n−型半導体基板1を第2主面1b側から研摩して、n−型半導体基板1を所望の厚みにした後、n−型半導体基板1の薄化されている部分の第2主面1b側に、アキュムレーション層11を形成する(図22参照)。アキュムレーション層11の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。アキュムレーション層11の厚みは、例えば3μm程度である。
【0065】
次に、n−型半導体基板1の第2主面1bにパルスレーザ光PLを照射して、不規則な凹凸10を形成する(図23参照)。不規則な凹凸10の形成は、第1実施形態と同様にして行なう。
【0066】
次に、第1実施形態と同様に、n−型半導体基板1を熱処理する。そして、絶縁層7上に形成されたパッシベーション層9を除去した後、電極13,15を形成する(図24参照)。これにより、フォトダイオードPD4が完成する。
【0067】
第4実施形態においても、第1〜第3実施形態と同様に、フォトダイオードPD4に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することができる。
【0068】
第4実施形態では、アキュムレーション層11を形成する前に、n−型半導体基板1におけるp+型半導体領域3に対応する部分を当該部分の周辺部分を残して第2主面1b側より薄化している。これにより、n−型半導体基板1の第1主面1a及び第2主面1b側をそれぞれ光入射面としたフォトダイオードPD4を得ることができる。
【0069】
(第5実施形態)
図25〜図26を参照して、第5実施形態に係る半導体光検出素子SP1について説明する。図25は、第5実施形態に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。図26は、第5実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【0070】
半導体光検出素子SP1は、図25に示されるように、裏面入射型固体撮像素子であって、半導体基板SSの裏面側をKOH水溶液などでエッチングして薄化したBT−CCD(電荷結合素子)である。エッチングされた半導体基板SSの中央領域には凹部TDが形成され、凹部TDの周囲には厚い枠部が存在している。凹部TDの側面は、底面BFに対して鈍角を成して傾斜している。半導体基板SSの薄化された中央領域は光感応領域(撮像領域)であり、この光感応領域に光Lが、Z軸の負方向に沿って入射する。半導体基板SSの凹部TDの底面BFは、光入射面を構成している。なお、この枠部は、エッチングによって除去し、全領域が薄化された裏面入射型固体撮像素子とすることも可能である。
【0071】
半導体光検出素子SP1は、上記半導体基板SSとしてのp型半導体基板21を備えている。p型半導体基板21は、シリコン(Si)結晶からなり、互いに対向する第1主面21a及び第2主面21bを有している。p型半導体基板21は、その厚みが画素ピッチP以下に設定されている。本実施形態では、画素ピッチPは10〜48μm程度であり、p型半導体基板21の厚みは10〜30μm程度である。本実施形態では、2相クロック駆動の例を示しており、各転送電極の下には、電荷の一方向転送を確実にするために不純物濃度を異ならせた領域(不図示)が存在している。
【0072】
p型半導体基板21の第1主面21a側には、電荷転送部としてのn型半導体層23が形成されており、p型半導体基板21とn型半導体層23との間にはpn接合が形成されている。p型半導体基板21の第1主面21a上には、絶縁層27を介して、転送電極部としての複数の電荷転送電極25が設けられている。p型半導体基板21の第1主面21a側には、図示は省略するが、n型半導体層23を垂直CCD毎に電気的に分離するアイソレーション領域も形成されている。n型半導体層23の厚みは、0.5μm程度である。
【0073】
p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29全体には、不規則な凹凸10が形成されている。p型半導体基板21の第2主面21b側には、アキュムレーション層31が形成されており、第2主面21bは光学的に露出している。第2主面21bが光学的に露出しているとは、第2主面21bが空気などの雰囲気ガスと接しているのみならず、第2主面21b上に光学的に透明な膜が形成されている場合も含む。半導体光検出素子SP1が、全体が薄化された裏面入射型固体撮像素子である場合には、p型半導体基板21の第2主面21b全体にわたって、不規則な凹凸10が形成されていてもよい。半導体光検出素子SP1が、光感応領域29付近だけ薄化された裏面入射型固体撮像素子である場合には、p型半導体基板21の薄化されていない周辺の枠部や、枠部にいたる傾斜面も含んだ第2主面21b全体にわたって、不規則な凹凸10が形成されていてもよい。
【0074】
全体が薄化された裏面入射型固体撮像素子は、枠部を設けることなく、半導体基板SSの表面に別の基板を貼り付けた後に、半導体基板SSの裏面側を研磨することにより得ることができる。図30に示されるように、半導体光検出素子SP11は、半導体基板SSの裏面側全体が薄化されている。半導体光検出素子SP11において、半導体基板SSの裏面(第2主面)には、少なくとも光感応領域に対応する領域に不規則な凹凸10が形成されており、また、半導体基板SSの裏面側には、上述したアキュムレーション層(不図示)が形成されている。
【0075】
続いて、本実施形態の半導体光検出素子SP1の製造方法について説明する。
【0076】
まず、p型半導体基板21を用意し、p型半導体基板21の第1主面21a側に、n型半導体層23を形成する。n型半導体層23は、p型半導体基板21内において第1主面21a側からn型不純物を拡散させることにより形成する。
【0077】
次に、p型半導体基板21の第2主面21b側に、アキュムレーション層31を形成する。アキュムレーション層31は、上述した実施形態と同様に、p型半導体基板21内において第2主面21b側からp型不純物をp型半導体基板21よりも高い不純物濃度となるようにイオン注入又は拡散させることにより、形成される。アキュムレーション層31の厚みは、例えば0.5μm程度である。アキュムレーション層31は、不規則な凹凸10を形成する前に形成してもよく、また、不規則な凹凸10を形成した後に形成してもよい。
【0078】
次に、p型半導体基板21を、上述したように薄化する。不規則な凹凸10を形成した後にアキュムレーション層31を形成する場合には、不規則な凹凸10を形成した後に、p型半導体基板21を薄化し、その後、アキュムレーション層31を形成する。
【0079】
次に、p型半導体基板21を、熱処理して、アキュムレーション層31を活性化させる。熱処理は、例えば、N2ガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1.0時間程度にわたって行なう。このとき、p型半導体基板21の結晶性も回復することとなる。
【0080】
次に、p型半導体基板21の第2主面21b側に、不規則な凹凸10を形成する。不規則な凹凸10は、上述した実施形態と同様に、p型半導体基板21の第2主面21bにパルスレーザ光を照射することにより、形成される。パルスレーザ光を照射するパルスレーザ発生装置は、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ発生装置を用いることができる。不規則な凹凸10は、第1主面21aに直交する方向に対して交差する面を有している。凹凸10の高低差は、例えば0.5〜10μm程度であり、凹凸10における凸部の間隔は0.5〜10μm程度である。ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光のパルス時間幅は例えば50fs〜2ps程度であり、強度は例えば4〜16GW程度であり、パルスエネルギーは例えば200〜800μJ/pulse程度である。より一般的には、ピーク強度は、3×1011〜2.5×1013(W/cm2)、フルエンスは、0.1〜1.3(J/cm2)程度である。
【0081】
次に、p型半導体基板21を、熱処理する。熱処理は、例えば、N2ガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1.0時間程度にわたって行なう。熱処理により、p型半導体基板21における結晶損傷の回復及び再結晶化が図れ、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。なお、アキュムレーション層31の形成後の熱処理を省略し、不規則な凹凸10の形成後の熱処理のみとしてもよい。
【0082】
次に、絶縁層27及び電荷転送電極25を形成する。絶縁層27及び電荷転送電極25を形成する工程は既知であり、説明を省略する。電荷転送電極25は、例えばポリシリコン又は金属からなる。絶縁層27は、例えばSiO2からなる。絶縁層27及び電荷転送電極25を覆うように、更に、保護膜を形成してもよい。保護膜は、例えば、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)からなる。これにより、半導体光検出素子SP1が完成する。
【0083】
半導体光検出素子SP1では、光入射面(第2主面21b)から光が入射すると、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されているために、入射した光は、凹凸10により散乱され、p型半導体基板21内を様々な方向に進む。第1主面21a等に到達する光成分は、凹凸10での拡散により様々な方向に進むため、第1主面21a等に到達した光成分が第1主面21aにて全反射する可能性は極めて高い。第1主面21a等にて全反射した光成分は、異なる面での全反射や第2主面21bでの反射、散乱、又は拡散を繰り返し、その走行距離が更に長くなる。このように、半導体光検出素子SP1に入射した光は凹凸10にて反射、散乱、又は拡散されて、p型半導体基板21内を長い距離進む。そして、半導体光検出素子SP1に入射した光は、p型半導体基板21の内部を長い距離進むうちに、p型半導体基板21で吸収され、光により生じたキャリアがn型半導体層23の画素ごとの電荷となり、転送されて検出されることとなる。したがって、半導体光検出素子SP1では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0084】
半導体光検出素子SP1では、凹凸10による反射、散乱、又は拡散により、画素間でのクロストークが発生し、解像度が低下する懼れがある。しかしながら、p型半導体基板21の厚みが画素ピッチP以下に設定されているので、半導体光検出素子SP1では、画素間でのクロストークの発生を抑制することができる。
【0085】
半導体光検出素子SP1では、p型半導体基板21の第2主面21b側にアキュムレーション層31が形成されている。これにより、第2主面21b側で光によらずに発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。アキュムレーション層31は、第2主面21b付近で光により発生したキャリアが当該第2主面21bでトラップされるのを抑制する。このため、光により発生したキャリアは、pn接合へ効率的に移動し、半導体光検出素子SP1の光検出感度を更に向上することができる。
【0086】
第5実施形態では、アキュムレーション層31を形成した後に、p型半導体基板21を熱処理している。これにより、p型半導体基板21の結晶性が回復し、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。
【0087】
第5実施形態では、p型半導体基板21を熱処理した後に、電荷転送電極25を形成している。これにより、電荷転送電極25に比較的融点の低い材料を用いる場合でも、熱処理により電荷転送電極25が溶融するようなことはなく、熱処理の影響を受けることなく電荷転送電極25を適切に形成することができる。
【0088】
第5実施形態では、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成している。これにより、不規則な凹凸10を適切で且つ容易に形成することができる。
【0089】
ところで、固体撮像素子といった半導体光検出素子において、シリコンからなる半導体基板を厚く設定することにより(例えば、200μm程度)、近赤外の波長帯域に分光感度特性を有する半導体光検出素子を実現することは可能である。しかしながら、上記半導体基板の厚みを大きくした場合、良好な解像度を得るためには、数十ボルト程度の高いバイアス電圧を印加し、半導体基板を完全空乏化する必要がある。完全空乏化されることなく、半導体基板に中性領域が部分的に残っていると、中性領域にて発生したキャリアが拡散して、解像度が劣化するのを防ぐためである。
【0090】
また、半導体基板が厚いと、暗電流も増加する。このため、半導体基板を冷却し(例えば、−70〜−100℃)、暗電流の増加を抑制する必要もある。
【0091】
しかしながら、第5実施形態に係る半導体光検出素子SP1では、上述したように、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されていることにより、半導体光検出素子SP1に入射した光の走行距離が長くされる。このため、半導体基板(p型半導体基板21)、特に光感応領域29に対応する部分を厚くすることなく、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有する半導体光検出素子を実現することができる。したがって、半導体基板を厚くすることにより近赤外の波長帯域に分光感度特性を有する半導体光検出素子よりも、上記半導体光検出素子SP1は、極めて低いバイアス電圧の印加又はバイアス電圧の無印加で、良好な解像度を得ることができる。また、用途によっては、半導体基板の冷却も不要となる。
【0092】
半導体基板、特に光感応領域に対応する部分が薄化されている場合、エタロン現象が生じる懼れがある。エタロン現象は、裏面から入射した披検出光と、入射した被検出光が表面で反射した光との間で干渉する現象であり、近赤外の波長帯域での検出特性に影響を及ぼす。しかしながら、半導体光検出素子SP1では、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されていることにより、入射光の位相に対して、凹凸10で反射される光が、分散した位相差を有するので、これらの光同士が相殺され、エタロン現象が抑制される。
【0093】
第5実施形態では、p型半導体基板21が第2主面21b側より薄化されている。これにより、p型半導体基板21の第1主面21a及び第2主面21b側をそれぞれ光入射面とした半導体光検出素子を得ることができる。すなわち、半導体光検出素子SP1は、裏面入射型固体撮像素子だけでなく、表面入射型固体撮像素子としても用いることができる。
【0094】
アキュムレーション層31を形成した後に、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成する場合、アキュムレーション層31の厚みを、不規則な凹凸10の高低差よりも大きく設定することが好ましい。この場合、パルスレーザ光を照射して不規則な凹凸10を形成しても、アキュムレーション層31が確実に残ることとなる。したがって、アキュムレーション層31による作用効果を確保することができる。
【0095】
続いて、図27〜図28を参照して、第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子SP2について説明する。図27は、第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子を示す斜視図である。図28は、第5実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を説明するための図である。
【0096】
変形例に係る半導体光検出素子SP2では、p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29は、第1領域29aと第2領域29bとを含み、第2領域29bに不規則な凹凸10が形成されている。すなわち、p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29の第1領域29aには、不規則な凹凸10が形成されていない。
【0097】
変形例に係る半導体光検出素子SP2では、p型半導体基板21の第2主面21bにおける光感応領域29の第2領域29bにおいて、上述したように、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0098】
更なる変形例に係る半導体光検出素子SP21は、図29に示されるように、分光器40の検出素子として用いることができる。分光器40は、コリメートレンズ41、回折格子43、及び半導体光検出素子SP21を備えている。分光器40では、回折格子43により分離された波長成分が半導体光検出素子SP21に入射する。半導体光検出素子SP21は、光感応領域29の第2領域29bが長波長側となり、第1領域29aが短波長側となるように配置される。分光器40に用いられた半導体光検出素子SP21は、全領域が薄化された裏面入射型固体撮像素子である。
【0099】
このように、半導体光検出素子が青色等の短波長帯域の光の感度を確保する必要がある場合、青色等の短波長帯域の光を検出する領域には、不規則な凹凸10が形成されていないことが好ましい。青色等の短波長帯域の光は、吸収されるまでの走行距離が短いために、第2主面21bの近傍でキャリアを発生させ易い。このため、第2主面21bに不規則な凹凸10が形成されていると、発生したキャリアが、不規則な凹凸10が形成された第2主面21bの近傍においてトラップされて、検出感度に寄与し難くなる懼れがある。
【0100】
したがって、半導体光検出素子SP21が、不規則な凹凸10が形成されていない第1領域29aが短波長側となるように配置されることにより、青色等の短波長帯域の光の検出感度を低下させることなく、近赤外の波長帯域での検出感度を向上させることができる。近赤外の波長帯域の光は、吸収されるまでの走行距離が長いため、第2主面21bの近傍でキャリアを発生させる可能性は極めて低い。したがって、近赤外の波長帯域の光の入射により発生したキャリアは、不規則な凹凸10が形成された第2主面21bの近傍においてトラップされ難く、検出感度に十分寄与する。
【0101】
半導体光検出素子SP21が、いわゆる表面入射型固体撮像素子である場合、転送電極部等の影響により、青色等の短波長帯域の光の検出感度が低下する懼れがある。したがって、青色等の短波長帯域の光を検出するためには、半導体光検出素子SP21は、いわゆる裏面入射型固体撮像素子であることが好ましい。
【0102】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0103】
本実施形態では、第2主面1bの全面にわたって、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成しているが、これに限られない。例えば、n−型半導体基板1の第2主面1bにおけるp+型半導体領域3に対向する領域のみに、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸10を形成してもよい。
【0104】
本実施形態では、電極15をn−型半導体基板1の第1主面1a側に形成されたn+型半導体領域5に電気的に接触且つ接続しているが、これに限られない。例えば、電極15をn−型半導体基板1の第2主面1b側に形成されたアキュムレーション層11に電気的に接触且つ接続してもよい。この場合、n−型半導体基板1の第2主面1bにおけるp+型半導体領域3に対向する領域外に、電極15を形成することが好ましい。n−型半導体基板1の第2主面1bにおけるp+型半導体領域3に対向する領域に電極15を形成すると、第2主面1bに形成されている不規則な凹凸10が電極15により塞がれ、近赤外の波長帯域における分光感度が低下するという事象が生じるためである。
【0105】
本実施形態に係るフォトダイオードPD1〜PD4及び半導体光検出素子SP1,SP11,SP2,SP21におけるp型及びn型の各導電型を上述したものとは逆になるよう入れ替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、半導体光検出素子及び光検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0107】
1…n−型半導体基板、1a…第1主面、1b…第2主面、3…p+型半導体領域、5…n+型半導体領域、10…不規則な凹凸、11…アキュムレーション層、13,15…電極、21…p型半導体基板、21a…第1主面、21b…第2主面、23…n型半導体層、25…電荷転送電極、27…絶縁層、31…アキュムレーション層、PL…パルスレーザ光、PD1〜PD4…フォトダイオード、SP1,SP11,SP2,SP21…半導体光検出素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に前記第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板と、
前記シリコン基板の前記第1主面上に設けられ、発生した電荷を転送する転送電極部と、を備え、
前記シリコン基板には、前記第2主面側に前記シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、前記第2主面における少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、
前記シリコン基板の前記第2主面における不規則な前記凹凸が形成された領域は、光学的に露出し、
少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する前記領域に不規則な前記凹凸が形成された前記第2主面に対向する前記第1主面が光入射面とされて、前記第1主面から入射した光が前記シリコン基板内を進む、表面入射型であることを特徴とする半導体光検出素子。
【請求項2】
第2導電型の前記半導体領域に対向する前記領域のうち一部の領域に、不規則な前記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体光検出素子。
【請求項3】
前記シリコン基板は、第2導電型の前記半導体領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して前記第2主面側より薄化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体光検出素子。
【請求項4】
第1導電型の前記アキュムレーション層の厚みが、不規則な前記凹凸の高低差よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
【請求項5】
前記シリコン基板は、その厚みが画素ピッチ以下に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
【請求項6】
前記第1主面から入射し、前記シリコン基板内を進む光が、不規則な前記凹凸により反射、散乱、又は拡散されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
【請求項1】
第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に前記第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板と、
前記シリコン基板の前記第1主面上に設けられ、発生した電荷を転送する転送電極部と、を備え、
前記シリコン基板には、前記第2主面側に前記シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、前記第2主面における少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、
前記シリコン基板の前記第2主面における不規則な前記凹凸が形成された領域は、光学的に露出し、
少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する前記領域に不規則な前記凹凸が形成された前記第2主面に対向する前記第1主面が光入射面とされて、前記第1主面から入射した光が前記シリコン基板内を進む、表面入射型であることを特徴とする半導体光検出素子。
【請求項2】
第2導電型の前記半導体領域に対向する前記領域のうち一部の領域に、不規則な前記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体光検出素子。
【請求項3】
前記シリコン基板は、第2導電型の前記半導体領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して前記第2主面側より薄化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体光検出素子。
【請求項4】
第1導電型の前記アキュムレーション層の厚みが、不規則な前記凹凸の高低差よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
【請求項5】
前記シリコン基板は、その厚みが画素ピッチ以下に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
【請求項6】
前記第1主面から入射し、前記シリコン基板内を進む光が、不規則な前記凹凸により反射、散乱、又は拡散されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図8】
【公開番号】特開2013−65909(P2013−65909A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6062(P2013−6062)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2009−136408(P2009−136408)の分割
【原出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2009−136408(P2009−136408)の分割
【原出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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