説明

半導体発光装置、半導体発光モジュール及び照明装置

【課題】本発明は、光出射方向に発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向の周囲に発せられる光の光度を向上することができる半導体発光装置、半導体発光モジュール及び照明装置を提供する。
【解決手段】半導体発光装置1は、第1の方向Xの寸法が第2の方向Yの寸法に対して長い開口213が構成されたリセス21Rを有するパッケージ基板2と、リセス21Rの底部211Bの第1の方向Xに複数配設された発光素子3と、リセス21Rの内部に発光素子3を覆って配設された透光性樹脂6と、発光素子3から発せられ開口213を通過する光を第2の方向Yの光出射方向Aeに集光し、集光の割合を第1の方向Xに渡って一定に保持する主レンズ領域81を有し、第1の方向Xの一端及び他端に発光素子3から発せられる光を第1の方向Xに屈折させる副レンズ領域82を有する集光レンズ8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置、半導体発光モジュール及び照明装置に関し、特に照明に好適な半導体発光装置、その半導体発光装置をモジュール化した半導体発光モジュール及びこの半導体発光モジュールを組み込んだ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)のバックライトの発光源に半導体発光装置が使用される傾向にある。この半導体発光装置は具体的には発光ダイオード(LED:light emitting diodes)である。発光ダイオードは、消費電力が少なく、寿命が長く、しかも水銀等の有害物質を含まない環境に配慮された発光源である。
【0003】
バックライトは、液晶表示パネルの裏面に配置される導光板と、この導光板の側面に配列される半導体発光装置とを備えている。液晶表示装置は大型化並びに薄型化の傾向にあり、液晶表示パネルとともに、バックライトの大型化並びに薄型化が重要な技術的課題になっている。
【0004】
公知ではないが、本願出願人により先に出願された特願2008−155822号には、液晶表示装置又は照明装置の大型化並びに薄型化に最適な半導体発光装置が開示されている。特許文献1に開示された半導体発光装置は、導光板の厚さと同程度の幅を持ち導光板の面方向に細長い直方体形状を有し、導光板の側面に対向する開口が配設されたリセスを有するパッケージ基板と、リセスの底部に導光板の面方向に配列された複数の発光素子と、発光素子を覆ってリセスの内部に配設された透光性樹脂とを備えている。発光素子には例えば発光ダイオードが使用されている。
【0005】
この半導体発光装置においては、導光板の厚さと同程度の幅を有するパッケージ基板を使用しているので、バックライトを薄型化することができ、液晶表示装置の薄型化を図ることができる。更に、この半導体発光装置においては、1つのパッケージ基板のリセスの内部に導光板の面方向に渡って複数の発光素子を備え、単位面積当たりの輝度を高めているので、導光板の大型化に対応して十分な輝度特性を確保することができ、液晶表示装置の大型化を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、上記特許文献1に開示された半導体発光装置を用い、消費電力が少なく、寿命が長く、しかも有害物質を含まない環境に配慮された照明装置、特に道路や歩道の照明を行う街灯の開発中である。前述の半導体発光装置は、主に液晶表示装置のバックライトの発光源として開発され、導光板の側面に近接して配置しこの側面に光を出射する構造を備えている。このため、半導体発光装置のパッケージ基板の光出射面(リセスの開口側表面)は、特にレンズを配設することなく、フラットな面である。また、半導体発光装置を街灯として使用する場合には、適用箇所における安全性を確保するために安全基準を満たした光度(輝度)が必要である。
【0007】
そこで、本願発明者は、道路や歩道に面した下側に筐体開口を有する街灯筐体に複数個の半導体発光装置を一定間隔において配列し、筐体開口を塞ぐクリアカバーを装着した街灯を試作した。街灯筐体の内面は反射板としての機能を備え、クリアカバーは半導体発光装置から発せられる光を透過させるとともに半導体発光装置を風雨等の外部環境から保護する機能を備える。
【0008】
このように試作された街灯においては、十分な光度を持って道路や歩道を照明することができたが、道路や歩道側に照明範囲が集中し、街灯の側面方向への照明が不十分であった。つまり、この試作された街灯は、その直下の道路や歩道の照明としては最適な明るさを有するが、その周囲の照明としては不十分であり、街灯の周囲の十分な明るさを得られないので、防犯対策上適切ではなかった。
【0009】
本願発明者は、凸型ストライプ形状を有するクリアカバーを採用し、街灯の周囲への光の分散を試みた。しかしながら、半導体発光装置においてパッケージ基板の光出射面はフラットな面であり、この半導体発光装置から発せられる光の光出射方向がある程度光出射面に対して鉛直方向に近い特性を持っているので、街灯の周囲への光の分散(街灯の側面の光度向上)には限界があった。
【0010】
本願発明者は、試行錯誤の結果、パッケージ基板の光出射面にレンズを装着し、半導体発光装置から発せられる光の光出射方向を直接制御することに着目した。パッケージ基板は直方体形状を有しているので、パッケージ基板の幅方向に光を収束する一定の曲率半径を有し、この集光の割合を長手方向に一定に保持する半円柱形状(蒲鉾形状)を有するレンズが採用された。このレンズを装着した半導体発光装置においては、道路や歩道の延伸方向に対してパッケージ基板の長手方向を一致させると、道路や歩道の幅方向において光を集光し、十分な光度を持って道路や歩道を照明することができ、非常に明るい街灯を製作することができた。しかしながら、このレンズを装着した半導体発光装置においても、パッケージ基板の短手方向への光の分散はほとんど得られず、街灯の周囲の照明には適切ではないので、防犯対策上の好適な街灯を製作することができなかった。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、光出射方向に発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向の周囲に発せられる光の光度を向上することができる半導体発光装置を提供することである。
【0012】
更に、本発明は、上記半導体発光装置を照明装置に簡易に組み込むことができる半導体発光モジュールを提供することである。
【0013】
更に、本発明は、道路や歩道に対して十分な明るさを有し、かつ周囲に適度な明るさを持って防犯対策上好適な照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の実施例に係る第1の特徴は、半導体発光装置において、第1の方向の寸法が第1の方向と交差する第2の方向の寸法に対して長い開口が構成されたリセスを有するパッケージ基板と、リセスの底部において第1の方向に複数配設された発光素子と、リセスの内部に発光素子を覆って配設された透光性樹脂と、発光素子から発せられ開口を通過する光を第2の方向において光出射方向に集光し、この集光の割合を第1の方向に渡って一定に保持する主レンズ領域を有し、第1の方向の一端及び他端に発光素子から発せられる光を第1の方向に屈折させる副レンズ領域を有する集光レンズとを備える。
【0015】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズにおいて、副レンズ領域の光を第1の方向に屈折させる屈折面と副レンズ領域の開口側の底面との内角は鋭角の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0016】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズにおいて、副レンズ領域の屈折面と底面との内角は30度−80度の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0017】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズにおいて、副レンズ領域の屈折面は主レンズ領域の光出射方向の厚さの2割以上に配設されていることが好ましい。
【0018】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズにおいて、副レンズ領域の屈折面は、開口の第1の方向の一端及び他端であってこの開口と重複する領域に配設されていることが好ましい。
【0019】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズにおいて、副レンズ領域の屈折面は、開口の第1の方向の一端及び他端であってこの開口の第1の方向の外側に配設されていることが好ましい。
【0020】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズにおいて、副レンズ領域の屈折面は、開口の第1の方向の一端及び他端であってこの開口の第1の方向の外側に配設され、発光素子から発せられ開口を通過する光を第1の方向に集光する集光面であることが好ましい。
【0021】
第1の特徴に係る半導体発光装置の集光レンズは、半円柱形状を有する主レンズ領域と、第1の方向の一端、他端のそれぞれに集光面となる凸レンズ形状を有する副レンズ領域とを備え、集光レンズは、主レンズ領域の第1の方向に沿って延伸する縁部に配設され、パッケージ基板の第1の方向に延伸し対向する第1の側面及び第2の側面に対して位置決めをなす第1の位置決め部及び第2の位置決め部と、副レンズ領域の開口側の底面に配設され、パッケージ基板の第2の方向に延伸し対向する第3の側面及び第4の側面に対して位置決めをなす第3の位置決め部及び第4の位置決め部とを更に備えたことが好ましい。
【0022】
本発明の実施例に係る第2の特徴は、半導体発光モジュールにおいて、第1の方向の寸法が第1の方向と交差する第2の方向の寸法に対して長い開口が構成されたリセスを有するパッケージ基板と、リセスの底部において第1の方向に複数配設された発光素子と、リセスの内部に発光素子を覆って配設された透光性樹脂と、発光素子から発せられ開口を通過する光を第2の方向において光出射方向に集光し、この集光の割合を第1の方向に渡って一定に保持する主レンズ領域を有し、第1の方向の一端及び他端に発光素子から発せられる光を第1の方向に屈折させる副レンズ領域を有する集光レンズとを有する複数の半導体発光装置と、半導体発光装置を第2の方向に一定間隔において配列し実装する実装基板とを備える。
【0023】
本発明の実施例に係る第3の特徴は、照明装置において、第2の特徴に係る半導体発光モジュールを配設し、半導体発光モジュールの半導体発光装置の集光レンズを通して発せられる光を光出射方向に通過させる照明用開口を有する照明装置筐体と、照明用開口を塞ぐ透光カバーと、半導体発光モジュールと電源とを接続するための電源接続ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光出射方向に発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向の周囲に発せられる光の光度を向上することができる半導体発光装置を提供することができる。
【0025】
更に、本発明によれば、上記半導体発光装置を照明装置に簡易に組み込むことができる半導体発光モジュールを提供することができる。
【0026】
更に、本発明によれば、道路や歩道に対して十分な明るさを有し、かつ周囲に適度な明るさを持って防犯対策上好適な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体発光装置の部分切欠き斜視図である。
【図2】図1に示す半導体発光装置の第2の方向において切断した断面図である。
【図3】図1に示す半導体発光装置の第3の方向から見た上面図である。
【図4】図1に示す半導体発光装置の集光レンズの側面図である。
【図5】(A)は図1に示す半導体発光装置の側面図、(B)は第1の比較例に係る半導体発光装置の側面図、(C)は第2の比較例に係る半導体発光装置の側面図である。
【図6】図5に示す半導体発光装置の第1の方向の配向特性を示す図である。
【図7】図5に示す半導体発光装置の第2の方向の配向特性を示す図である。
【図8】図1に示す半導体発光装置において集光レンズの副レンズ領域の割合を変化させた状態を示す側面図である。
【図9】図8に示す半導体発光装置の第1の方向の配向特性を示す図である。
【図10】図1に示す半導体発光装置において集光レンズの副レンズ領域の屈折面の角度を変化させた状態を示す側面図である。
【図11】図10に示す半導体発光装置の第1の方向の配向特性を示す図である。
【図12】実施例1に係る半導体発光モジュールの平面図である。
【図13】実施例1に係る照明装置の斜視図である。
【図14】図13に示す照明装置の設置状態を示す側面図である。
【図15】図13に示す照明装置の設置状態を示す正面図である。
【図16】図13に示す照明装置の照度分布図である。
【図17】本発明の実施例2に係る半導体発光装置の断面図である。
【図18】本発明の実施例3に係る半導体発光装置の斜視図である。
【図19】図18に示す半導体発光装置の側面図である。
【図20】実施例3に係る半導体発光装置の集光レンズの裏面斜視図である。
【図21】本発明の実施例4に係る半導体発光装置の第2の方向において切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0029】
また、以下に示す実施例はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0030】
(実施例1)
本発明の実施例1は、照明装置特に道路や歩道の照明に使用される街灯の発光源としての半導体発光装置、この半導体発光装置を組み込んだ半導体発光モジュール及びこの半導体発光モジュールを備えた照明装置に本発明を適用した例を説明するものである。
【0031】
[半導体発光装置の全体構造]
図1乃至図3に示すように、実施例1に係る半導体発光装置1は、第1の方向Xの寸法が第1の方向Xと交差する第2の方向Yの寸法に対して長い開口213が構成されたリセス21Rを有するパッケージ基板2と、リセス21Rの底部211Bにおいて第1の方向Xに複数配設された発光素子3と、リセス21Rの内部に発光素子3を覆って配設された透光性樹脂6と、発光素子3から発せられ開口213を通過する光を第2の方向Yにおいて光出射方向Aeに集光し、この集光の割合を第1の方向Xに渡って一定に保持する主レンズ領域81を有し、第1の方向Xの一端及び他端に発光素子3から発せられる光を第1の方向X(光分散方向Aa)に屈折させる副レンズ領域82を有する集光レンズ8とを備える。
【0032】
ここで、第1の方向Xとは、座標軸のX軸に一致する方向であり、パッケージ基板2の長手方向と一致する方向である。第2の方向Yとは、基本的に第1の方向Xに対して0度を超えて180度未満の角度範囲の方向であればよいが、実施例1においては直交座標軸のY軸に一致する方向であり、第1の方向Xに対して直交し、パッケージ基板2の短手方向と一致する方向である。更に、光出射方向Aeとは、発光素子3から発せられた光の大半を主に出射する方向であり、パッケージ基板2の上面21A、リセス21Rの底部211Bの表面(底面)のそれぞれに対して鉛直方向である。この光出射方向Aeは、ここでは直交座標軸のZ軸に一致する方向であり、第3の方向Zである。また、前述の光分散方向Aaとは、第1の方向Xと光出射方向Aeとの間の範囲の方向であり、パッケージ基板2の短手方向に積極的に分散させる方向である。
【0033】
[パッケージ基板の構造]
パッケージ基板2は、図1乃至図3に示すように、第1のリセス211Rを有し、熱伝導性を有する放熱体21と、この放熱体21に装着され、第2のリセス212Rを有し、光反射性を有する樹脂体22とを備えている。リセス21Rは第1のリセス211Rと第2のリセス212Rとによって構成されている。
【0034】
放熱体21の第1のリセス211Rは、光出射方向Ae(第3の方向Z)に第1の開口213Aを有し、光出射方向Aeとは反対側に底部211Bを有し、第1の開口213A及び底部211Bの周縁に沿って配設された第1の内側面21Sを有する断面凹型形状の収納部である。放熱体21は、パッケージ基板2のベース基板としての機能を有するとともに、底部211Bにマウントされた複数の発光素子3の発光動作によって発生する熱を外部、特に放熱体21の第1のリセス211Rが配設された側とは反対の裏面21BSから放熱する機能を有する。放熱体21の第1のリセス211Rの内部には透光性樹脂6の一部(第1の透光性樹脂61)が充填されている。
【0035】
第1のリセス211Rの第1の内側面21Sは、複数の発光素子3から発せられた光、主に底部211Bに沿って発せられた光を光出射方向Aeに向かって反射する反射面(リフレクタ)としての機能を有する。実施例1において、放熱体21には例えば熱伝導性に優れた銅(Cu)合金材料からなる板材が母体として使用され、その表面にはAgめっき、Pdめっき又はRhめっきが形成されている。また、必ずしもこの数値に限定されるものではないが、実施例1に係る半導体発光装置1のパッケージ基板2の長辺方向(第1の方向X)の寸法L1は例えば13.2mm−13.4mm、短辺方向(第2の方向Y)の寸法L2は例えば5.2mm−5.4mm、厚さ方向(第3の方向Z)の寸法L3は例えば2.4mm−2.6mmに設定されている。
【0036】
このパッケージ基板2のサイズに対して、放熱体21の第1の方向Xの寸法L4は例えば11.3mm−11.5mm、第2の方向Yの寸法L5は例えば4.2mm−4.4mm、第3の方向Zの寸法L6は例えば1.4mm−1.6mmに設定されている。更に、第1のリセス211Rの底部211Bの第2の方向Y(幅方向)の寸法L7は例えば0.6mm−1.0mm、第1の開口213Aの第2の方向Y(幅方向)の寸法L8は例えば1.4mm−1.8mm、第1のリセス211Rの第3の方向Z(深さ方向)の寸法L9は例えば0.3mm−1.0mmに設定されている。
【0037】
樹脂体22は、実施例1において放熱体21にインサート成型されたものであり、放熱体21の裏面21BSを露出させ、放熱体21の側面周囲に一体的に成型され、そのまま光射出方向Aeに向かって厚みを有している。樹脂体22の第2のリセス212Rは、光出射方向Aeに第2の開口213Bを有し、光出射方向Aeとは反対側に底部(底面)212Bを有し、第2の開口213B及び底部212Bの周縁に沿って配設された第2の内側面22Sを有する断面凹型形状の収納部である。第2のリセス212Rの底部212Bと第1のリセス211Rの第1の開口213Aとは連接されている。第2のリセス212Rの底部212B及び第2の開口213Bの平面サイズは、第1のリセス211Rの底部211B及び第1の開口213Aの平面サイズよりも大きく設定されている。
【0038】
樹脂体22は、パッケージ基板2の外形形状を構成するとともに、透光性樹脂6の他の一部(第2の透光性樹脂62)を充填するためのダムとしても機能する。第2のリセス212Rの第2の内側面22Sは、複数の発光素子3から発せられた光を光出射方向Aeに対して交差する方向に反射し、対向する第2の内側面22S間において光を拡散し異なる発光色の光を混色させる光拡散面(リフレクタ)としての機能を有する。実施例1において、樹脂体22には例えば光反射性に優れたホワイト樹脂と称されるナイロン系樹脂、特にポリアミド樹脂を実用的に使用することができる。
【0039】
樹脂体22に配設された第2のリセス212Rの底部212Bの第2の方向Y(短辺方向又は幅方向)の寸法L10は例えば3.9mm−4.3mm、第2の開口213Bの第2の方向Y(短辺方向又は幅方向)の寸法L11は例えば4.2mm−4.4mm、第2のリセス212Rの第3の方向Z(深さ方向)の寸法L12は例えば0.9mm−1.1mmに設定されている。この第2のリセス212Rの寸法L12は、第1のリセス211Rの同一方向の寸法L9に対して深く設定されている。実施例1において、透光性樹脂6は第1のリセス211R内に充填される第1の透光性樹脂61と第2のリセス212Rに充填される第2の透光性樹脂62との2層構造を有しているので、第2のリセス212Rに充填される第2の透光性樹脂62の膜厚は第1のリセス211Rに充填される第1の透光性樹脂61の膜厚に比べて厚く設定されている。換言すれば、第2の透光性樹脂62の膜厚方向(光照射方向Ae)の光路長は第1の透光性樹脂61の膜厚方向の光路長に比べて長く設定されている。
【0040】
放熱体21において、第1のリセス211Rの第1の内側面(反射面)21Sの底部211Bに対する第1の内角α1は、前述の通り反射面として機能させるために、90度を越えて180度未満の鈍角の範囲内に設定される。実施例1において、第1の内角α1は例えば130度−150度に設定されている。樹脂体22において、第2のリセス212Rの第2の内側面(光拡散面)22Sの底部212Bに対する第2の内角α2は、前述の通り光拡散面として機能させるために、第1の内角α1に比べて小さい角度、詳細には鈍角の範囲内に設定される。実施例1において、第2の内角α2は例えば90度−110度に設定されている。
【0041】
[発光素子の構造]
複数の発光素子3は、実施例1において、青色光を発する青色発光素子(青色発光ダイオード)3Bと、この青色発光素子3Bの発する青色光と異なる発光色である赤色光を発する赤色発光素子(赤色発光ダイオード)3Rとを有する。青色発光素子3Bは約450nm−490nmの波長を有する青色光を発光する。この青色発光素子3Bは、例えばサファイア基板上又はシリコン基板上にInGaN系半導体を形成した半導体チップである。赤色発光素子3Rは約620nm−780nmの波長を有する赤色光を発光する。この赤色発光素子3Rは、例えばAlN基板上又はサファイア基板上にAlGaInP系半導体を形成した半導体チップである。
【0042】
これらの半導体チップは、例えば0.2mm−0.6mmの一辺の長さを有する正方形又は長方形の平面形状を有する。そして、青色発光素子3B、赤色発光素子3Rは、図1及び図3に示すように、例えば1.2mm−1.3mmの配列ピッチにおいて、放熱体21の第1のリセス211Rの底部211B上にマウントされ、第1の方向Xに横一列に配列されている。実施例1においては、図1中、左上奥から右下手前に向かって、図3中、左側から右側に向かって、2個の青色発光素子3B、1個の赤色発光素子3R、2個の青色発光素子3B、1個の赤色発光素子3R、2個の青色発光素子3Bが配設され、6個の青色発光素子3B及び2個の赤色発光素子3Rの合計8個の発光素子が配列されている。配列パターンは必ずしも限定されるものではないが、実施例1においては、複数個(2個)の青色発光素子3B毎に1個の赤色発光素子3Rが繰り返し配設されている。なお、実施例1に係る半導体発光装置1は、8個の発光素子3を備えているが、この個数に限定されるものではない。
【0043】
[透光性樹脂の構造]
図1及び図2に示すように、透光性樹脂6の第1のリセス211Rに充填された第1の透光性樹脂61は、複数の発光素子3を覆い外部環境から複数の発光素子3を保護するとともに、主に青色発光素子3Bから発せられる青色光の一部を吸収し、他の波長の光に変換する蛍光体(図示しない。)が含有されている。第1の透光性樹脂61は、ポッティング法を利用して樹脂材を滴下塗布し硬化させて形成しているので、実施例1においては第1のリセス211Rの第1の開口213Aの縁まで硬化前の表面張力を利用して満たされている。
【0044】
実施例1において、第1の透光性樹脂61には例えばシリコーン樹脂が使用される。また、シリコーン樹脂に添加される蛍光体には、例えば青色光の一部を吸収し、補色系となる約580nm−600nmの波長を有する黄色光を発することができるシリケート系蛍光体が使用される。蛍光体は例えば5重量%−40重量%の比率において第1の透光性樹脂61に含有されることが好ましい。また、蛍光体にはYAG系蛍光体、TAG系蛍光体等を使用することができる。ここで、補色系となる光とは、単数又は複数の色の光と混合して白色系の色の光に変換することができる色の光である。
【0045】
透光性樹脂6の第2のリセス212Rに充填された第2の透光性樹脂62は、主に青色発光素子3Bから発せられた青色光、赤色発光素子3Rから発せられた赤色光、青色光の一部を第1の透光性樹脂61により変換した黄色光のそれぞれの、第1の透光性樹脂61から集光レンズ8までの光路として使用されている。実施例1において、第2の透光性樹脂62は、この光路における拡散や散乱をできる限り抑え、集光レンズ8によって効率よく光出射方向Aeに光を集光するために、蛍光体や拡散材を含まない。
【0046】
第1の透光性樹脂61と同様に、第2の透光性樹脂62は、ポッティング法を利用して樹脂材を滴下塗布し硬化させて形成しているので、実施例1においては第2のリセス212Rの第2の開口213Bの縁まで硬化前の表面張力を利用して満たされている。
【0047】
[リード及びワイヤの構造]
パッケージ基板2の樹脂体22には、一端側(インナーリード)が第2のリセス212Rの底部212B上に配設され、他端側(アウターリード)が樹脂体22の外部に突出し成型されたリード4が配設されている。リード4の一端側は複数の発光素子3のアノード電極(図示しない。)又はカソード電極(図示しない。)にワイヤ5を通して電気的に接続される。リード4の他端側は実施例1においてガルウイング形状に成型されている。なお、リード4の形状はピン挿入型や面実装型であってもよい。
【0048】
リード4は例えばCu合金材料の板材を使用して構成されている。少なくともリード4の一端側及び他端側の接続箇所には、半田実装時の濡れ性を向上するために、Agめっき膜が配設されている。ワイヤ5には例えばAuワイヤ、Pdワイヤ又はRhワイヤが使用されている。ワイヤ5は複数の発光素子3のアノード電極又はカソード電極に熱圧着法を使用して電気的にかつ機械的に接続される。
【0049】
[集光レンズの構造]
集光レンズ8の主レンズ領域81は、図1乃至図4に示すように、複数の発光素子3から発せられ最終的に第2のリセス212Rの第2の開口213Bを通過した光を第2の方向Yにおいて光出射方向Aeに集光する凸レンズ形状を第1の方向Xに渡って一定に保持した半円柱形状により構成されている。パッケージ基板2のサイズ、光出射方向Aeにおける照射範囲等の変化に応じて数値は変化するが、実施例1において、主レンズ領域81は、真円柱を軸心に沿ってほぼ半分に分割した形状を有し、主レンズ領域81の光集光面の曲率半径R1は例えば2.6mm−2.7mmに設定されている。なお、実施例1において、主レンズ領域81の光集光面は、真円若しくはそれに近い形状に設定されているが、楕円面、複数の曲率半径の面を組み合わせた曲面、ポリゴンミラーのような多面体であってもよい。要するに、主レンズ領域81は、発光素子3から発せられた光を光出射方向Aeに集光する機能を備えていればよい。
【0050】
集光レンズ8の副レンズ領域82は、パッケージ基板2の第2のリセス212Rの第1の方向Xの一端及び他端において、発光素子3から発せられる光の一部を光分散方向Aaに屈折させ、パッケージ基板2の短辺方向に積極的に光を分散(出射)させる機能を有する。図4に示すように、副レンズ領域82の光を第1の方向Xに屈折させる屈折面82RSと副レンズ領域82の第2の開口213B(又は第1の開口213A)側の底面83との内角β1は鋭角の範囲内に設定されている。この内角β1の具体的な数値は後述する。更に、図3に示すように、副レンズ領域82の屈折面82RSは実施例1において第2のリセス212Rの第2の開口213Bと重複する領域に配設されている。双方を重複する領域に配設することによって、本来、発光素子3から第2の開口213Bを通過して光出射方向Aeに出射される光の一部を光分散方向Aaに分散させることができる。
【0051】
また、集光レンズ8には、主レンズ領域81の第1の方向Xに沿って延伸する縁部に配設され、パッケージ基板2の第1の方向Xに延伸し対向する第1の側面及び第2の側面に対して位置決めをなす第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bが配設されている。この第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bは、パッケージ基板2の長辺側の上面21Aから側面の一部に当接して又は適度なクリアランスを有してはまり合い、パッケージ基板2に対する集光レンズ8の位置決めを行い、集光レンズ8をパッケージ基板2に装着する機能を有する。集光レンズ8は、第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bを用いてパッケージ基板2の側面を適度に挟持できる場合にはそのままパッケージ基板2に装着してもよいが、接着剤を用いてパッケージ基板2に装着してもよい。
【0052】
集光レンズ8には、例えば光透過性を有し、安価でかつ製作性に優れたアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂のいずれかの樹脂により構成されている。実施例1において、集光レンズ8は、透明材料を使用しているが、これに限定されるものではなく、例えば用途に応じて黄色等に着色してもよい。
【0053】
(A)集光レンズの光配向特性
この集光レンズ8の配向特性は以下の通りである。図5(A)は実施例1に係る集光レンズ8を装着した半導体発光装置1である。図5(B)は第1の比較例、図5(C)は第2の比較例である。第1の比較例は集光レンズを装着しない半導体発光装置1Bである。第2の比較例は、半円柱形状を有し実施例1に係る集光レンズ8の主レンズ領域81に相当する領域のみ有する集光レンズ8Cを装着した半導体発光装置1Cである。
【0054】
図6は、実施例1に係る半導体発光装置1、第1の比較例に係る半導体発光装置1B、第2の比較例に係る半導体発光装置1Cのそれぞれにおいて、第1の方向Xつまりパッケージ基板2の長辺方向の光配向特性を示す。図6中、横軸は光出射角度(度)、縦軸は相対光強度である。データ(A)は図5(A)に示す実施例1に係る半導体発光装置1の光配向特性を示す。データ(B)は図5(B)に示す第1の比較例に係る半導体発光装置1Bの光配向特性を示す。データ(C)は図5(C)に示す第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの光配向特性を示す。
【0055】
第1の比較例に係る半導体発光装置1Bの光配向特性はデータ(B)に示す通りである。光出射角度が0度付近、つまり光出射方向Ae(又は第3の方向Z)であってパッケージ基板2の上面21Aや第1のリセス211Rの底部211Bに対して鉛直方向の相対光強度は最も高い。光出射角度が±90度、つまり光分散方向Aa(第1の方向X)であってパッケージ基板2の上面21Aと同一平面上においてパッケージ基板2の短辺側の相対光強度は限りなくゼロに近く、光分散方向Aaには光の取り出しができない。
【0056】
第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの光配向特性はデータ(C)に示す通りである。集光レンズ8Cを備えたことによって、光出射角度が0度−±70度付近までの広い範囲において、相対光強度は第1の比較例の場合に比べて全体的に押し上げられ高くなる。光出射角度が±90度付近においては、集光レンズ8Cを通して光漏れが1%−2%程度見られるものの、相対光強度は限りなくゼロに近く、光分散方向Aaには実質的な光の取り出しができない。
【0057】
第1の比較例、第2の比較例のそれぞれに対して、実施例1に係る半導体発光装置1の光配向特性はデータ(A)に示す通りである。集光レンズ8を備え、集光レンズ8の主レンズ領域81によって、光出射角度が0度付近においては相対光強度は第2の比較例の場合に比べて更に押し上げられ高くなる。光出射角度が±20度−±70度付近までの範囲において、相対光強度は、第2の比較例の場合に比べて若干減少するものの、第1の比較例の場合に比べて高くなる。そして、光出射角度が±90度付近においては、集光レンズ8の副レンズ領域82によって発光素子3から発せられた光は光分散方向Aaに屈折され、この光分散方向Aaにおいて光の取り出しを実現することができる。この領域における相対光強度は5%−8%程度に達する。
【0058】
図7は、実施例1に係る半導体発光装置1、第1の比較例に係る半導体発光装置1B、第2の比較例に係る半導体発光装置1Cのそれぞれにおいて、第2の方向Yつまりパッケージ基板2の短辺方向の光配向特性を示す。図6と同様に、図7中、横軸は光出射角度(度)、縦軸は相対光強度である。前述と同様に、データ(A)は図5(A)に示す実施例1に係る半導体発光装置1の光配向特性を示す。データ(B)は図5(B)に示す第1の比較例に係る半導体発光装置1Bの光配向特性を示す。データ(C)は図5(C)に示す第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの光配向特性を示す。
【0059】
第1の比較例に係る半導体発光装置1Bの光配向特性はデータ(B)に示す通りである。光出射角度が0度付近、つまり光出射方向Aeの相対光強度は最も高い。光出射角度が±90度、つまり第2の方向Yであってパッケージ基板2の上面21Aと同一平面上においてパッケージ基板2の長辺側の相対光強度は限りなくゼロに近い。
【0060】
第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの光配向特性はデータ(C)に示す通りである。集光レンズ8Cを備えたことによって、光出射角度が±25度−±90度付近までの範囲において、相対光強度は第1の比較例の場合に比べて減少するものの、光出射角度が0度−±25度付近までの範囲において、相対光強度は第1の比較例の場合に比べて全体的に押し上げられ高くなる。光出射角度が±90度付近においては、集光レンズ8Cを通して光漏れが3%−4%程見られる。
【0061】
実施例1に係る半導体発光装置1の光配向特性はデータ(A)に示す通りである。集光レンズ8の主レンズ領域81は第2の比較例2の集光レンズ8Cと同様の形状を有しているので、主レンズ領域81によって相対光強度は第2の比較例の相対光強度と同様の傾向を示している。また、相対光強度は第2の比較例の相対光強度に比べて若干高くなっている。
【0062】
(B)集光レンズの副レンズ領域の割合
次に、集光レンズ8において副レンズ領域82の適切な割合は以下の通りである。図8は実施例1に係る集光レンズ8を装着した半導体発光装置1を示す。試料として製作された集光レンズ8は、底面83から主レンズ領域81の光出射方向Ae(第3の方向Z)に向かって最も高い位置までの厚さtを2.5mmに設定し、一端及び他端から第1の方向Xに0.6mm、1.3mm、2.0mmのそれぞれの位置まで角度を一定とした屈折面(傾斜平面)82RSを生成した。一定の角度とは、屈折面82Sと底面83との内角β1であり、内角β1はここでは45度に設定した。一端及び他端から0.6mmの位置に屈折面82RSが製作された場合、集光レンズ8の厚さtに対する副レンズ領域82の割合は2割強(約24%)になる。同様に、1.3mmの位置に屈折面82RSが製作された場合、副レンズ領域82の割合は5割強(約52%)、2.0mmの位置に屈折面82RSが製作された場合、副レンズ領域82の割合は8割(80%)になる。
【0063】
図9は実施例1に係る半導体発光装置1において集光レンズ8の副レンズ領域82の割合と第1の方向Xの光配向特性との関係を示す。なお、図9には、前述の第1の比較例に係る半導体発光装置1Bの光配向特性(データ(B))及び第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの光配向特性(データ(C))が併記されている。図9中、横軸は光出射角度(度)、縦軸は相対光強度である。データ(A1)は図8に示す副レンズ領域82の割合が2割強の場合の光配向特性を示す。データ(A2)は副レンズ領域82の割合が5割強の場合の光配向特性を示し、データ(A3)は副レンズ領域82の割合が8割の場合の光配向特性を示す。
【0064】
データ(A1)に示すように、光出射角度が0度−±70度付近までの広い範囲において、相対光強度がほとんど変化しない光配向特性を維持することができる。そして、光出射角度が±90度付近においては、集光レンズ8の副レンズ領域82をたった2割以上設けたことによって発光素子3から発せられた光は光分散方向Aaに屈折され、この光分散方向Aaにおいて光の取り出しを実現することができる。
【0065】
更に、データ(A2)及びデータ(A3)に示すように、光出射角度が0度−±70度付近までの広い範囲において、同様に相対光強度がほとんど変化しない光配向特性を維持することができる。そして、光出射角度が±90度付近においては、集光レンズ8の副レンズ領域82の割合を増加することにより、この光分散方向Aaにおける光の取り出し量を増加することができる。すなわち、集光レンズ8において、副レンズ領域82の厚さtに対する屈折面82RSの割合は2割以上10割以下の範囲に設定することによって、主レンズ領域81による光出射方向Aeにおける光量は十分に確保することができ、更に光分散方向Aaにおける適正な光量も確保することができる。第1の比較例又は第2の比較例に対して、実施例1に係る半導体発光装置1においては、光分散方向Aaにおける光量を最大で約10倍に増加することができる。
【0066】
(C)集光レンズの副レンズ領域の屈折面の角度
次に、集光レンズ8において副レンズ領域82の屈折面82RSの適切な角度(内角β1)は以下の通りである。図10は実施例1に係る集光レンズ8を装着した半導体発光装置1を示す。試料として製作された集光レンズ8は、図8に示す半導体発光装置1の集光レンズ8と同様に底面83から主レンズ領域81の光出射方向Aeに向かって最も高い位置までの厚さtを2.5mmに設定し、一端及び他端から第1の方向Xに1.0mm、2.0mm、3.0mmのそれぞれの位置まで角度を変えて屈折面(傾斜平面)82RSを製作した。一端及び他端から1.0mmの位置に屈折面82RSが製作された場合、この屈折面82RSの角度(内角β11)は約68度になる。同様に、2.0mmの位置に屈折面82RSが製作された場合、この屈折面82RSの角度(内角β12)は約51度、3.0mmの位置に屈折面82RSが製作された場合、この屈折面82RSの角度(内角β13)は約39度になる。
【0067】
図11は実施例1に係る半導体発光装置1において副レンズ領域82の屈折面82RSの角度変化と第1の方向Xの光配向特性との関係を示す。なお、図11には、前述の第1の比較例に係る半導体発光装置1Bの光配向特性(データ(B))及び第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの光配向特性(データ(C))が併記されている。図11中、横軸は光出射角度(度)、縦軸は相対光強度である。データ(A4)は図11に示す副レンズ領域82の屈折面82RSの角度が約68度の場合の光配向特性を示す。データ(A5)は屈折面82RSの角度が約51度の場合の光配向特性を示し、データ(A3)は屈折面82RSの角度が約39度の場合の光配向特性を示す。
【0068】
データ(A4)に示すように、光出射角度が0度−±70度付近までの広い範囲において、相対光強度がほとんど変化しない光配向特性を維持することができる。そして、光出射角度が±90度付近においては、集光レンズ8の副レンズ領域82の屈折面82RSに内角β1が鋭角の範囲内であって若干の傾斜角度を設定することによって発光素子3から発せられた光は光分散方向Aaに屈折され、この光分散方向Aaにおいて光の取り出しを実現することができる。この屈折面82RSにおいては、相対光強度が約2%−3%ではあるが、第1の比較例に係る半導体発光装置1B及び第2の比較例に係る半導体発光装置1Cの相対光強度に比べて高い光配向特性が見られる。
【0069】
更に、データ(A5)及びデータ(A6)に示すように、光出射角度が0度−±70度付近までの広い範囲において、同様に相対光強度がほとんど変化しない光配向特性を維持することができる。そして、光出射角度が±90度付近においては、副レンズ領域82の屈折面82RSの角度を減少することより、光出射方向Aeにおける相対光強度は若干の減少はあるものの、光分散方向Aaにおける光の取り出し量を増加することができる。すなわち、集光レンズ8において、副レンズ領域82の屈折面82RSの角度(内角β1)を小さくすれば、発光素子3から発せられる光を光分散方向Aeに有効に取り出すことができる。光出射方向Aeの相対光強度が損なわれずに光分散方向Aeに適度な光を取り出すために、実施例1に係る半導体発光装置1においては、副レンズ領域82の屈折面82RSの内角β1が30度−80度の範囲内に設定されている。
【0070】
[半導体発光装置の特徴]
前述のように、実施例1に係る半導体発光装置1においては、主レンズ領域81及び副レンズ領域82を有し、この副レンズ領域82に発光素子3から発せられる光を光分散方向Aeに取り出す屈折面82RSを有する集光レンズ8を備えたので、光出射方向Aeに発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向Aaの周囲に発せられる光の光度を向上することができる。
【0071】
また、半導体発光装置1においては、集光レンズ8の副レンズ領域82の割合を集光レンズ8の厚さtに対して2割以上設定しているので、光出射方向Aeに発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向Aaの周囲に発せられる光の光度を向上することができる。
【0072】
更に、半導体発光装置1においては、集光レンズ8の副レンズ領域82の屈折面82RSの角度を鋭角の範囲内に設定しているので、光出射方向Aeに発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向Aaの周囲に発せられる光の光度を向上することができる。
【0073】
[半導体発光モジュールの構造]
図12に示すように、実施例1に係る半導体発光モジュール10は、前述の実施例1に係る複数個の半導体発光装置1(前述の図1乃至図4参照。)と、この半導体発光装置1を第2の方向Yに一定間隔において配列し実装する実装基板101とを備える。この半導体発光モジュール10の実装基板101は、必ずしもこの数値に限定されるものではないが、第1の方向Xの幅寸法W101を例えば30mm−35mmに設定し、第2の方向Yの長さL101を例えば200mm−300mmに設定した長方形の平面形状を有する。実装基板101には、エポキシ系樹脂基板にCu等の配線を有するプリント配線基板を実用的に使用することができる。
【0074】
半導体発光装置1は、そのパッケージ基板2の長辺方向(第1の方向X)を実装基板101の幅方向(第1の方向X)に一致させ、パッケージ基板2の短辺方向(第2の方向Y)を実装基板101の長さ方向(第2の方向Y)に一致させ、例えば15mm−25mm程度の一定間隔においてここでは合計12個配列されている。半導体発光装置1の配列個数はこの個数に限定されるものではない。例えば、半導体発光装置1は、第2の方向Yに2個以上12個未満若しくは12個を超えた個数、又はその第2の方向Yの配列数を維持した状態において第1の方向Xに2列以上配列してもよい。更に、半導体発光装置1は、実装基板1の表面上の第2の方向Yに一直線に配列されているが、第2の方向Yに向かって1個毎若しくは複数個毎にジグザグに配列してもよい。
【0075】
実施例1に係る実装基板101には、半導体発光モジュール10と電源(ここでは商用電源、例えば100V)200とを接続するための電源接続ユニット110が配設されている。この電源接続ユニット110は、その詳細な構造は特に説明しないが、電源200を半導体発光モジュール10において取り扱えるレベルに変換する機能を有する。なお、実施例1においては、この電源接続ユニット110には、半導体モジュール10と電源200のコンセントやケーブルに接続するまでの配線やコネクタも含まれるが、後述する照明装置15の照明装置筐体150側に配設される場合には、半導体発光モジュール10に配設される必要はない。
【0076】
また、実施例1に係る半導体発光モジュール10の実装基板101には、特に符号を付けないが、電源接続ユニット110から出力される電流の整流やレベル変換等に使用されるダイオードや抵抗が実装されている。
【0077】
このように実施例1に係る半導体発光モジュール10においては、半導体発光装置1を実装基板101に複数個実装した組立製品としたので、複数個の半導体発光装置1を後述する照明装置15に簡易に組み込むことができる。従って、照明装置15の生産性を向上することができる。
【0078】
[照明装置の構造]
図13に示すように、実施例1に係る照明装置15は、前述の図12に示す実施例1に係る半導体発光モジュール10を配設し、半導体発光モジュール10の半導体発光装置1の集光レンズ8を通して発せられる光を光出射方向Aeに通過させる照明用開口151を有する照明装置筐体150と、照明用開口151を塞ぐ透光カバー152と、半導体発光モジュール10と電源200とを接続するための電源接続ユニット110とを備えている。
【0079】
実施例1に係る照明装置15は例えば道路や歩道を照明する街灯として使用されている。なお、照明装置15は、街灯に必ずしも限定されるものではなく、家庭やオフィス等の照明器具として使用してもよい。
【0080】
照明装置15の照明装置筐体150は中空楕円柱の一部の側面を照明用開口151としてくり抜いた形状により構成され、この照明装置筐体150の内部に半導体発光モジュール10が収納され取り付けられている。半導体発光モジュール10の実装基板101に実装された半導体発光装置1は照明用開口151側に配設され、半導体発光装置1から発せられる光は光出射方向Aeに出射される。この光出射方向Aeにはここでは道路や歩道が存在するようになっている。照明装置筐体150は、例えばプラスチック、アルミニウム等の金属等により構成されている。
【0081】
透光カバー152は、照明装置筐体150に照明用開口151を塞ぐように装着されている。この透明カバー152は、無色透明若しくは黄色等の必要に応じて適度に着色された光透過性材料、例えばプラスチックやガラスにより構成されている。透明カバー152は、半導体発光装置1から発せられる光を道路や歩道に照射するとともに、雨や風等の外部環境から半導体発光装置1並びに半導体発光モジュール10を保護する機能を有する。なお、透明カバー152は、照明装置筐体150の内部側の内面や外側の外面に着色、反射、拡散等のいずれかを目的としたコーティング材を配設してもよく、又拡散等を目的としてレンズ機能を付加してもよい。
【0082】
図14及び図15に示すように、実施例1に係る照明装置15は、道路若しくは歩道17に設置された支柱16に支持され、装着される。ここで、符号Hは照明装置15の道路若しくは歩道17からの取り付け高さである。符号はδは道路若しくは歩道17に対する(水平面)に対する照明装置15の取り付け角度(仰角)である。
【0083】
図16は実施例1に係る照明装置1の照度分布を示す。図16中、横軸は第1の方向Xの距離(m)、縦軸は第2の方向Yの距離(m)である。ここでは、第1の方向Xは道路や歩道17の延伸方向と一致する方向であり、第2の方向Yは道路や歩道17の延伸方向と直交する方向である。また、照度分布の測定に使用した照明装置1は108Wの出力を有し、取り付け高さHは8.5m、取り付け角度δは0度に設定した。
【0084】
照明装置15においては、半導体発光モジュール10に実装された半導体発光装置1のパッケージ基板2の長辺方向を第1の方向Xに一致させ、半導体発光装置1の集光レンズ8の主レンズ領域81によって発光素子3から発せられる光を集光し絞っているので、道路や歩道17の幅方向(第2の方向Y)の狭い範囲で高い照度分布が得られる。つまり、照明装置15によって道路や歩道17を高い照度において明るく照らすことができる。また、照明装置15においては、半導体発光装置1の集光レンズ8に副レンズ領域82を配設したので、道路や歩道17の延伸方向(第1の方向X)の割と広い範囲に、運転中のドライバーには眩しくなく、照明装置15の周囲を適度に照らし防犯対策に適切な光量の照度分布が得られる。つまり、照明装置15によって道路や歩道17の周囲に適度な光量を分散し適度に明るく照らすことができる。
【0085】
このように、実施例1においては、道路若しくは歩道17に対して十分な明るさを有し、かつ周囲に適度な明るさを持って防犯対策上好適な照明装置15を提供することができる。
【0086】
(実施例2)
本発明の実施例2は、前述の実施例1に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の変形例を説明するものである。
【0087】
[半導体発光装置並びに集光レンズの構造]
図17に示すように、実施例2に係る半導体発光装置1においては、集光レンズ8の副レンズ領域82の屈折面82RSが、パッケージ基板2のリセス21Rの開口213、詳細には第2のリセス212Rの第2の開口213Bの第1の方向Xの一端及び他端であってこの第2の開口213Bの第1の方向Xの外側に配設されている。つまり、副レンズ領域82の屈折面82RSは、第2の開口213Bとは平面的に見て(光出射方向Ae又は第3の方向Zから見て)重複した位置には配設されておらず、第2の開口213Bの外側に配設されている。実施例2に係る半導体発光装置1においては、パッケージ基板2の短辺側の側面から集光レンズ8の副レンズ領域82が突出した構造を有する。
【0088】
前述の図5(C)及び図6のデータ(C)に示す第2の比較例に係る半導体発光装置1Cにおいては、実施例1に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の主レンズ領域81に相当する集光レンズ8Cが採用されているが、この集光レンズ8Cの第1の方向Xの端面から数%の光漏れが発生している。実施例2に係る半導体発光装置1は、副レンズ領域82を用いてこの漏れた光を光分散方向Aaに積極的にかつ有効に屈折させ、光分散方向Aaへの光拡散を行う機能を有する。
【0089】
実施例2に係る半導体発光装置1の上記説明以外の基本的構造、例えばパッケージ基板2、発光素子3、集光レンズ8等の基本的構造、特に集光レンズ8の副レンズ領域82の割合や屈折面82RSの角度等の基本的構造は実施例1に係る半導体発光装置1のそれらの基本的構造と同様である。また、半導体発光装置1を実装した半導体発光モジュール10、この半導体発光モジュール10が組み込まれた照明装置15の基本的構造は前述の実施例1に係る半導体発光モジュール10並びに照明装置15の基本的構造と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0090】
[半導体発光装置の特徴]
このように構成される実施例2に係る半導体発光装置1においては、主レンズ領域81及び副レンズ領域82を有し、この副レンズ領域82に発光素子3から発せられ主レンズ領域81側から漏れる光を光分散方向Aaに取り出す屈折面82RSを有する集光レンズ8を備えたので、光出射方向Aeに発せられる光の集光性を向上しつつ、光分散方向Aaに発せられる光の光度を向上することができる。更に、実施例2に係る半導体発光装置1においては、集光レンズ8の主レンズ領域81側から漏れる光を光分散方向Aaに出射する光として有効に利用することができる。
【0091】
(実施例3)
本発明の実施例3は、前述の実施例2に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の変形例を説明するものである。
【0092】
[半導体発光装置並びに集光レンズの構造]
図18乃至図20に示すように、実施例3に係る半導体発光装置1においては、集光レンズ8の副レンズ領域82の屈折面82RSが、パッケージ基板2のリセス21Rの開口213、詳細には第2のリセス212Rの第2の開口213Bの第1の方向Xの一端及び他端であってこの第2の開口213Bの第1の方向Xの外側に配設され、発光素子3から発せられ第2の開口213Bを通過する光を第1の方向X(光分散方向Aa)に集光する集光面として構成されている。
【0093】
前述の実施例2に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の副レンズ領域82と同様に、実施例3に係る半導体発光装置1の副レンズ領域82の屈折面82RSは、第2の開口213Bとは平面的に見て(光出射方向Ae又は第3の方向Zから見て)重複した位置には配設されておらず、第2の開口213Bの外側に配設され、パッケージ基板2の短辺側の側面から突出した構造を有する。この集光レンズ8の副レンズ領域82は、主レンズ領域81側から漏れる光を光分散方向Aaに積極的にかつ有効に屈折させかつ集光し、光分散方向Aaへの光拡散を行う機能を有する。
【0094】
実施例3おいては、この副レンズ領域82は、凸レンズ形状、詳細には球を4分の1に切断したような形状により構成され、主レンズ領域81と同一材料において一体に構成されている。なお、副レンズ領域82の集光面は、必ずしも曲面である必要はなく、漏れた光を集光する機能があれば、楕円面や多面体であってもよい。
【0095】
実施例3に係る半導体発光装置1の集光レンズ8においては、更に主レンズ領域81に、パッケージ基板2の第1の方向Xに延伸し対向する第1の側面及び第2の側面に対して位置決めをなす第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bが配設され、副レンズ領域82に、開口213側の底面に配設され、パッケージ基板2の第2の方向Yに延伸し対向する第3の側面及び第4の側面に対して位置決めをなす第3の位置決め部86A及び第4の位置決め部86Bが配設されている。
【0096】
第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bは、実施例1に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bと同様に、パッケージ基板2の長辺側の上面21Sから側面の一部に当接して又は適度なクリアランスを有してはまり合い、パッケージ基板2に対する集光レンズ8の第2の方向Yの位置決めを行い、集光レンズ8をパッケージ基板2に装着する機能を有する。第3の位置決め部86A及び第4の位置決め部86Bは、パッケージ基板2の短辺側の上面21Sから側面の一部に当接して又は適度なクリアランスを有してはまり合い、パッケージ基板2に対する集光レンズ8の第1の方向Xの位置決めを行い、集光レンズ8をパッケージ基板2に装着する機能を有する。第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85Bは主レンズ領域81に同一材料において一体に構成され、第3の位置決め部86A及び第4の位置決め部86Bは副レンズ領域82に同一材料において一体に構成されている。第3の位置決め部86A及び第4の位置決め部86Bは、必ずしもこの数値に限定されるものではないが、例えば一辺が3.0mm程度のほぼ方形状の平面形状を有し、例えば0.2mm−0.4mm程度の厚さを有する。
【0097】
集光レンズ8は、第1の位置決め部85A及び第2の位置決め部85B、第3の位置決め部86A及び第4の位置決め部86Bの少なくともいずれかの1組を用いてパッケージ基板2の側面を適度に挟持できる場合にはそのままパッケージ基板2に装着してもよいが、接着剤を用いてパッケージ基板2に装着してもよい。
【0098】
なお、前述の実施例2に係る半導体発光装置1の集光レンズ8においても、実施例3に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の第1の位置決め部85A、第2の位置決め部85B、第3の位置決め部86A及び第4の位置決め部86Bを配設することができる。
【0099】
[半導体発光装置の特徴]
このように構成される実施例3に係る半導体発光装置1においては、主レンズ領域81及び副レンズ領域82を有し、この副レンズ領域82に発光素子3から発せられ主レンズ領域81側から漏れる光を光分散方向Aeに取り出し集光させる屈折面82RSを有する集光レンズ8を備えたので、光出射方向Aeに発せられる光の集光性を向上しつつ、光分散方向Aaに発せられる光の光度を向上することができる。更に、実施例3に係る半導体発光装置1においては、集光レンズ8の主レンズ領域81側から漏れる光を光分散方向Aaに出射する光として有効に利用することができる。
【0100】
(実施例4)
本発明の実施例4は、前述の実施例1乃至実施例3のいずれかに係る半導体発光装置1の集光レンズ8の変形例を説明するものである。
【0101】
[半導体発光装置並びに集光レンズの構造]
図21に示すように、実施例4に係る半導体発光装置1においては、集光レンズ8の主レンズ領域81の屈折面81RSが、パッケージ基板2の第1の方向X(長手方向)に沿った側面よりも外側まで突出して配設されている。つまり、実施例4に係る半導体発光装置1の集光レンズ8の主レンズ領域81の曲率半径R1は、実施例1乃至実施例3のいずれかに係る半導体発光装置1の集光レンズ8の主レンズ領域81の曲率半径R1に比べて大きく設定されている。
【0102】
前述の実施例1に係る半導体発光装置1において、図7を用いて説明したように、集光レンズ8の主レンズ領域81を通して第2の方向Yにも光漏れが発生する。この光漏れの主な要因は、発光素子3から発せられた光のリセス21R内の反射や集光レンズ8の底面における屈折によるものである。
【0103】
実施例4に係る半導体発光装置1においては、このような第2の方向Yの光漏れを集光レンズ8の主レンズ領域81の屈折面81RSの形状を上記のように変更することによって、光出射方向Ae(第3の方向Z)に屈折させ集光することができる。実施例4において、主レンズ領域81の曲率半径R1は、光漏れを光出射方向Aeに有効に集光することができるように、パッケージ基板2の第2の方向Yの長さL2の1.2倍以上に設定されている。
【0104】
なお、集光レンズ8の主レンズ領域81の曲率半径R1は一定である必要はなく、光漏れを有効に利用し光出射方向Aeに効率良く屈折させ集光することができるように、主レンズ領域81の屈折面81RSの曲率半径を2以上備えていてもよい。勿論、集光レンズ8は多面体であってもよい。
【0105】
[半導体発光装置の特徴]
このように構成される実施例4に係る半導体発光装置1においては、実施例1乃至実施例3のいずれかに係る半導体発光装置1により得られる効果と同様の効果を奏することができるとともに、集光レンズ8の主レンズ領域81の第2の方向Y側に漏れる光を光分散方向Aaに出射する光として有効に利用することができる。
【0106】
(その他の実施例)
上記のように、本発明を複数の実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。本発明は様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術に適用することができる。例えば、前述の実施例においては、合計8個の発光素子3を横一列に配列した半導体発光装置1に本発明を適用した例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、8個以外の複数個の発光素子3を複数列に配列した半導体発光装置1に適用してもよい。
【0107】
更に、本発明は、青色発光素子3B及び赤色発光素子3Rの2種類の発光素子に限定されるものではなく、青色発光素子3B、赤色発光素子3R及び緑色発光素子の3種類の発光素子を備えた半導体発光装置に適用することができる。
【0108】
更に、本発明は、半導体レーザ、有機エレクトロルミネッセンス等の発光素子を搭載した半導体発光装置、半導体発光モジュール及び照明装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、光出射方向に発せられる光の集光性を向上しつつ、光出射方向の周囲に発せられる光の光度を向上することができる半導体発光装置、半導体発光モジュール及び照明装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1…半導体発光装置
2…パッケージ基板
21R…リセス
213…開口
3…発光素子
4…リード
6…透光性樹脂
8…集光レンズ
81…主レンズ領域
82…副レンズ領域
81RS、82RS…屈折面
83…底面
85A…第1の位置決め部
85B…第2の位置決め部
86A…第3の位置決め部
86B…第4の位置決め部
10…半導体発光モジュール
101…実装基板
110…電源接続ユニット
15…照明装置
150…照明装置筐体
151…照明用開口
152…透明性カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向の寸法が前記第1の方向と交差する第2の方向の寸法に対して長い開口が構成されたリセスを有するパッケージ基板と、
前記リセスの底部において前記第1の方向に複数配設された発光素子と、
前記リセスの内部に前記発光素子を覆って配設された透光性樹脂と、
前記発光素子から発せられ前記開口を通過する光を前記第2の方向において光出射方向に集光し、この集光の割合を前記第1の方向に渡って一定に保持する主レンズ領域を有し、前記第1の方向の一端及び他端に前記発光素子から発せられる光を前記第1の方向に屈折させる副レンズ領域を有する集光レンズと、
を備えたことを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記集光レンズにおいて、前記副レンズ領域の前記光を前記第1の方向に屈折させる屈折面と前記副レンズ領域の前記開口側の底面との内角は鋭角の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記集光レンズにおいて、前記副レンズ領域の前記屈折面と前記底面との内角は30度−80度の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記集光レンズにおいて、前記副レンズ領域の前記屈折面は前記主レンズ領域の前記光出射方向の厚さの2割以上に配設されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記集光レンズにおいて、前記副レンズ領域の前記屈折面は、前記開口の前記第1の方向の一端及び他端であってこの開口と重複する領域に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記集光レンズにおいて、前記副レンズ領域の前記屈折面は、前記開口の前記第1の方向の一端及び他端であってこの開口の前記第1の方向の外側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記集光レンズにおいて、前記副レンズ領域の前記屈折面は、前記開口の前記第1の方向の一端及び他端であってこの開口の前記第1の方向の外側に配設され、前記発光素子から発せられ前記開口を通過する光を前記第1の方向に集光する集光面であることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記集光レンズは、半円柱形状を有する前記主レンズ領域と、前記第1の方向の一端、他端のそれぞれに前記集光面となる凸レンズ形状を有する前記副レンズ領域と、を備え、
前記集光レンズは、前記主レンズ領域の前記第1の方向に沿って延伸する縁部に配設され、前記パッケージ基板の前記第1の方向に延伸し対向する第1の側面及び第2の側面に対して位置決めをなす第1の位置決め部及び第2の位置決め部と、前記副レンズ領域の前記開口側の底面に配設され、前記パッケージ基板の前記第2の方向に延伸し対向する第3の側面及び第4の側面に対して位置決めをなす第3の位置決め部及び第4の位置決め部と、を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
第1の方向の寸法が前記第1の方向と交差する第2の方向の寸法に対して長い開口が構成されたリセスを有するパッケージ基板と、
前記リセスの底部において前記第1の方向に複数配設された発光素子と、
前記リセスの内部に前記発光素子を覆って配設された透光性樹脂と、
前記発光素子から発せられ前記開口を通過する光を前記第2の方向において光出射方向に集光し、この集光の割合を前記第1の方向に渡って一定に保持する主レンズ領域を有し、前記第1の方向の一端及び他端に前記発光素子から発せられる光を前記第1の方向に屈折させる副レンズ領域を有する集光レンズと、を有する複数の半導体発光装置と、
前記半導体発光装置を前記第2の方向に一定間隔において配列し実装する実装基板と、
を備えたことを特徴とする半導体発光モジュール。
【請求項10】
前記請求項9に記載の前記半導体発光モジュールを配設し、前記半導体発光モジュールの前記半導体発光装置の前記集光レンズを通して発せられる光を光出射方向に通過させる照明用開口を有する照明装置筐体と、
前記照明用開口を塞ぐ透光カバーと、
前記半導体発光モジュールと電源とを接続するための電源接続ユニットと、
を備えたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−77168(P2011−77168A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225050(P2009−225050)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】