説明

半導体素子のダイボンド接合構造、サブマウント基板、該接合構造又は該基板を用いた発光装置、及び該発光装置を用いた照明器具、並びに半導体素子パッケージの製造方法

【課題】半導体素子と基板とのダイボンディング接合において、半導体素子が実装される装置の大型化を引き起こすことなく、接合部位からのダイボンド剤の溢れ出しを起こりにくくし、かつ半導体素子から基板への放熱が効率良く起こるようにする。
【解決手段】半導体素子(LED)3が載置される素子載置面2aに、複数の環状凸条部2bが設けられる。LED3と素子載置面2aとをダイボンディング接合する際に、環状凸条部2bがダイボンド剤4の広がりを抑制するため、ダイボンド剤4は素子載置面2aの周辺部へ溢れ出しにくくなる。また、環状凸条部2bは、LED3と素子載置面2aとの接合面面積を大きくするため、LED3の放熱効率を向上することができる。更に、環状凸条部2bは、素子載置面2aの直下に設けられるため、LED3が実装される装置の大型化を引き起こさない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を基板へダイボンディング接合する際に利用される半導体素子のダイボンド接合構造、及びこの接合構造を備えたサブマウント基板に関する。また、本発明は、その接合構造又は基板を用いた発光装置、及びこの発光装置を用いた照明器具、並びに半導体素子パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を基板へダイボンディング接合する際には、半導体素子と基板との間にこれらを接合させる接着剤としてダイボンド剤が充填される。このとき、充填されたダイボンド剤の量が多すぎると、半導体素子と基板との接合部位から溢れ出したダイボンド剤が、半導体素子周辺の配線パターン等に接触し、電極間ショート等を引き起こすことがある。
【0003】
そこで、特許文献1に示されるように、半導体素子と基板との接合部位の周囲にプリントされたインクから成るダム部を設け、半導体素子を基板へ接合する際に、接合部位から溢れ出したダイボンド剤をダム部により堰き止めることが知られている。
【0004】
また、特許文献2に示されるように、ダイボンド領域内の周辺部にダイボンド剤を堰き止めるバンプを設けることが知られている。
【0005】
ところで、一般的に、半導体素子の基板への接合は、サブマウント基板を介して行われる。サブマウント基板の役割の一つは、半導体素子から発せられた熱を吸収して放熱することにより、半導体素子を冷却することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−179576号公報
【特許文献2】特開2007−194383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に示されるような構成においては、ダム部及びバンプは、半導体素子と基板との接合部位から溢れ出したダイボンド剤を堰き止めるものであって、ダイボンド剤の溢れ出しそのものを防ぐものではない。そのため、半導体素子と基板との適切な接合に必要とされるダイボンド剤まで溢れ出してしまうと、半導体素子と基板との接合面面積が小さくなり、十分な接合強度、放熱性、又は所定の電気特性が得られない虞がある。また、半導体素子と基板との接合面面積が元々小さいため、半導体素子から基板への放熱が十分ではない。更に、ダム部は、接合部位の周囲に配置されるため、その分だけ半導体素子が搭載された装置の大型化を引き起こし、装置の小型化及び高集積化を妨げる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであって、装置を大型化することなく、半導体素子と基板との接合部位からのダイボンド剤の溢れ出しを抑制し、かつ半導体素子から基板への放熱が効率良く行われる半導体素子のダイボンド接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ダイボンディングによって半導体素子を該素子載置面に実装して成る半導体素子のダイボンド接合構造であって、前記素子載置面は、該素子載置面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条部を備え、前記環状凸条部の各々は、最も内側にある環状凸条部から外側に向かって順に、内側にある環状凸条部を取り囲むように構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記接合構造において、前記環状凸条部の各々は、前記素子載置面と直交する側面方向から見て外側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凸曲面となる断面形状を有していることが好ましい。
【0011】
上記接合構造において、前記環状凸条部の各々は、前記素子載置面と直交する側面方向から見て内側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凹曲面となる断面形状を有していることが好ましい。
【0012】
上記接合構造において、前記凹曲面には、光反射材が積層されていることが好ましい。
【0013】
上記接合構造において、前記半導体素子の周縁部に位置する前記環状凸条部は、他の環状凸条部より前記半導体素子側に迫り出し、前記半導体素子の外周側面と当接する位置決め部材となることが好ましい。
【0014】
上記接合構造において、前記環状凸条部は、複数のバンプから構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明は、ダイボンディングによって半導体素子が実装されるサブマウント基板であって、前記半導体素子を実装する実装面は、該実装面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条部を備え、前記環状凸条部の各々は、最も内側にある環状凸条部から外側に向かって順に、内側にある環状凸条部を取り囲むように構成されていることを特徴とする。
【0016】
上記基板において、前記環状凸条部の各々は、前記実装面と直交する側面方向から見て外側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凸曲面となる断面形状を有していることが好ましい。
【0017】
上記基板において、前記環状凸条部の各々は、前記実装面と直交する側面方向から見て内側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凹曲面となる断面形状を有していることが好ましい。
【0018】
上記基板において、前記凹曲面には、光反射材が積層されていることが好ましい。
【0019】
上記基板において、前記半導体素子の周縁部に位置する前記環状凸条部は、他の環状凸条部より前記半導体素子側に迫り出し、前記半導体素子の外周側面と当接する位置決め部材となることが好ましい。
【0020】
本発明は、上記半導体素子のダイボンド接合構造のいずれか一つを用いて、前記半導体素子として固体発光素子を実装して成る発光装置であり、また、この発光装置を用いた照明器具である。
【0021】
本発明は、上記サブマウント基板のいずれか一つを用いて、前記半導体素子として固体発光素子を実装して成る発光装置であり、また、この発光装置を用いた照明器具である。
【0022】
本発明は、ダイボンディングによって半導体素子を該素子載置面に実装する半導体素子パッケージの製造方法であって、前記素子載置面に、該素子載置面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条のバンプを、最も内側にある環状凸条のバンプから外側に向かって順に、内側にある環状凸条のバンプを取り囲むように形成し、該バンプ上に半田を介して前記半導体素子を実装して成ることを特徴とする。
【0023】
本発明は、ダイボンディングによって半導体素子を該素子載置面に実装する半導体素子パッケージの製造方法であって、前記素子載置面に、該素子載置面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条部を、最も内側にある環状凸条部から外側に向かって順に、内側にある環状凸条部を取り囲むように構成されるサブマウント基板を用い、該サブマウント基板上に半田を介して前記半導体素子を実装して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、半導体素子を基板の素子載置面へダイボンディング接合する際に、素子載置面に設けられた環状凸条部がダイボンド剤の広がりを抑えるため、半導体素子装置を大型化することなく、ダイボンド剤の素子載置面周辺への溢れ出しを抑制できる。また、環状凸条部は、半導体素子と素子載置面との接合面面積を大きくするため、半導体素子の放熱効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体素子のダイボンド接合構造を示す斜視図。
【図2】(a)は上記接合構造の横断面図、(b)は(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図。
【図3】上記接合構造の一変形例の横断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体素子のダイボンド接合構造を示す斜視図。
【図5】(a)は上記接合構造の横断面図、(b)は(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図。
【図6】(a)は上記接合構造の一変形例の横断面図、(b)は(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体素子のダイボンド接合構造を示す斜視図。
【図8】(a)は上記接合構造の横断面図、(b)は(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る半導体素子のダイボンド接合構造を示す斜視図。
【図10】上記接合構造におけるサブマウント基板の拡大図。
【図11】上記接合構造の横断面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る発光装置の分解斜視図。
【図13】本発明の一実施形態に係る照明器具の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る半導体素子のダイボンド接合構造(以下、接合構造という)、サブマウント基板、この接合構造又はこの基板を用いた発光装置、この発光装置を用いた照明器具、及び半導体素子パッケージの製造方法について、図面を参照して説明する。以下の説明においては、半導体素子として発光ダイオード(以下、LED(Light emitting diode)という)を用いた構成を示す。
【0027】
図1及び図2に示されるように、本発明の第1の実施形態に係る接合構造1は、サブマウント基板2上に設けられる。サブマウント基板2上にはLED3が、ダイボンド剤4によりダイボンディング接合される。なお、通常、サブマウント基板2上には複数のLED3が設けられるが、本実施形態においては、説明を簡略化するため1つのLED3のみが示される(以下、同様)。
【0028】
サブマウント基板2は、四角状の基板であり、優れた熱伝導率及び電気絶縁性を持つ金属窒化物又は金属酸化物等から成り、例えば、窒化アルミ(AlN)から構成される。サブマウント基板2は、その上面中央にLED3が載置される円形の素子載置面2aを備える。図1に示されるように、素子載置面2aは、素子載置面2a方向から見て曲線形から成る複数の環状凸条部2bを備え、環状凸条部2bの各々は、最も内側にある環状凸条部2bから外側に向かって順に、内側にある環状凸条部2bを取り囲むように構成される。本実施形態においては、図2(a)(b)に示されるように、環状凸条部2bの各々は、素子載置面2aと直交する側面方向から見て外側に向かって下り傾斜で、かつLED3に対して凸曲面となる断面形状を有する。このような形状の環状凸条部2bを備えたサブマウント基板2は、環状凸条部2bの形状に加工した金型を用いて窒化アルミニウムの粉末を焼結成形することにより得られる。
【0029】
サブマウント基板2の上面には、電極2c、2dが配置される。電極2c、2dは、それぞれLED3のn−パッド3a及びp−パッド3bと金ワイヤ5(図2(a)参照)により電気的に結ばれる。また、図示されていないが、電極2c、2dは、LED3への通電を制御する外部回路とも接続される。
【0030】
LED3は、本実施形態においては、フェイスアップタイプの横型LEDチップである。LED3は、その上面にn−パッド3aとp−パッド3bとを備える。n−パッド3aは、n−電極としても働き、例えば、Ti/Alから構成される。p−パッド3bは、その下方においてp−電極3cと接している。p−電極3cは、透明電極とされ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)電極から構成される。n−パッド3a及びp−電極3cの下方には、発光部3dが支持体3e上に載置された状態で配置される。支持体3eは、発光部3dより出射された光を透過させる材料から構成され、例えば、サファイア基板から成る。p−電極3c及び支持体3eが発光部3dより出射された光を透過させる材料から構成されているため、LED3は、その上方及び下方の両方に光を照射することができる。
【0031】
ダイボンド剤4としては、クリーム半田又はSn−Ag−Cu鉛フリー半田等が利用可能である。ダイボンド剤4には、高い熱伝導率と、LED3より発せられる光によって劣化しない特性とが求められる。
【0032】
ダイボンド剤4によるサブマウント基板2とLED3とのダイボンディング接合は、以下のように行われる。まず、ダイボンド剤4が、サブマウント基板2の素子載置面2a中央に配置され、ダイボンド剤4の融点以上の温度まで加熱されることにより溶融される。この溶融されたダイボンド剤4の上にLED3が載置された後、これらの部材はダイボンド剤4の融点以下の温度まで徐冷される。これにより、ダイボンド剤4が素子載置面2aとLED3とをつなぎ合わせた状態で固化し、素子載置面2aとLED3とが接合される。
【0033】
このとき、図2(a)(b)に示されるように、環状凸条部2bは、素子載置面2aの周辺部へ溢れ出そうとするダイボンド剤4を堰き止める土手として働く。周辺部へ溢れ出そうとするダイボンド剤4は、環状凸条部2bが連続的かつ複数設けられているため、それらを乗り越えようとする度に堰き止められる。この作用により、環状凸条部2bは、ダイボンド剤4の周辺部への溢れ出しを効率良く抑制することができる。
【0034】
また、環状凸条部2bを設けることにより、LED3からサブマウント基板2への放熱効率が向上する。通常、半導体素子が基板上に接合されるとき、その接合面は平面であるため、接合面面積が小さく、半導体素子から基板への放熱効率は低い。これに対し、本実施形態においては、環状凸条部2bを設置することによりサブマウント基板2上面の表面積が増大し、結果として、サブマウント基板2とLED3との接合面面積が大きくなる。これにより、サブマウント基板2は、LED3から発せられた熱を効率良く吸収して放熱することが可能となる。更に、環状凸条部2bは、素子載置面2aの下方に設けられるため、サブマウント基板2の大型化を引き起こさない。
【0035】
図3に示されるように、上記実施形態の一変形例である接合構造1aは、上記とは一部形状を相違する環状凸条部2bを備える。各々の環状凸条部2bは、素子載置面2aと直交する側面方向から見て外側に向かって下り傾斜となっている辺を斜辺とする直角三角形を断面形状として有する。接合構造1aは、上記接合構造1と同様の機能を有する。
【0036】
本実施形態及びその変形例によれば、ダイボンド剤4によりサブマウント基板2とLED3とをダイボンディング接合する際に、サブマウント基板2の大型化を引き起こすことなく、ダイボンド剤4の溢れ出しを起こりにくくすることができる。また、LED3からサブマウント基板2への放熱効率を向上することができる。
【0037】
図4及び図5に示されるように、本発明の第2の実施形態に係る接合構造11は、サブマウント基板21上に設けられる。サブマウント基板21上にはLED3が、ダイボンド剤41によりダイボンディング接合される。
【0038】
サブマウント基板21は、その上面中央にLED3を載置する素子載置面2aを備える。図4に示されるように、素子載置面2aは、素子載置面2a方向から見て曲線形から成る複数の環状凸条部2bを備え、環状凸条部2bの各々は、最も内側にある環状凸条部2bから外側に向かって順に、内側にある環状凸条部2bを取り囲むように構成される。ここで、図5(a)(b)に示されるように、環状凸条部2bの各々は、素子載置面2aと直交する側面方向から見て内側に向かって下り傾斜で、かつLED3に対して凹曲面となる断面形状を有する。
【0039】
ダイボンド剤41は、LED3より出射された光を透過させるものであり、例えば、シリコーンをベースとしたダイボンド剤である。
【0040】
図5(a)(b)に示されるように、LED3の発光部3dから下方へ出射された光は、支持体3e及びダイボンド剤41を透過し、サブマウント基板21上面の環状凸条部2bに達する。ここで、環状凸条部2bは、その凹曲面をLED3に対して配向しているため、LED3から出射された光を上方へと反射する(破線矢印で示す)。上方へと反射された光は、LED3の支持体3e及びp−電極3cを透過し、LED3の上方へと照射される。このようにして、サブマウント基板21は、サブマウント基板2と比較して、より多くの光を上方へと照射させることができる。
【0041】
図6(a)(b)に示されるように、本実施形態の変形例である接合構造11aを備えたサブマウント基板21aは、その環状凸条部2bの凹曲面に蒸着により積層された光反射材2eを備える。光反射材2eは、例えば、90%以上の光反射率を有する銀やアルミニウム等の薄膜から構成される。これにより、サブマウント基板21aは、サブマウント基板21と比較して、LED3より下方に出射された光を更に効率良く上方へ反射することが可能となる。
【0042】
本実施形態及びその変形例によれば、サブマウント基板2が与える効果に加え、LED3からの光取り出し効率を向上することができる。
【0043】
図7及び図8に示されるように、本発明の第3の実施形態に係る接合構造12は、サブマウント基板22上に設けられる。サブマウント基板22上にはLED3が、ダイボンド剤4によりダイボンディング接合される。
【0044】
図7に示されるように、サブマウント基板22は、その上面中央にLED3を載置する素子載置面2aを備える。素子載置面2aは、素子載置面2a方向から見て多角形(四角形)から成る複数の環状凸条部2bを備え、環状凸条部2bの各々は、最も内側にある環状凸条部2bから外側に向かって順に、内側にある環状凸条部2bを取り囲むように構成される。
【0045】
図8(a)(b)に示されるように、サブマウント基板22は、LED3の周縁部に位置する環状凸条部2bを備え、これが他の環状凸条部2bよりLED3側に迫り出し、LED3の外周側面と当接する位置決め部材となっている。これにより、サブマウント基板22とLED3とを接合する際に、LED3の位置決めが容易となる。位置決め部材となる環状凸条部2bの高さは、LED3上面へのダイボンド剤4の迫り上がり、及びLED3の上方に配置される部材との干渉を防ぐため、LED3上面の高さよりも低く設定される。
【0046】
本実施形態によれば、サブマウント基板2が与える効果に加え、サブマウント基板22上におけるLED3の接合位置を容易に決定することができる。これにより、LED3の位置精度が向上するため、LED3の光学特性ばらつきが低減するほか、ワイヤボンディング等の後工程における負担が軽減される。
【0047】
図9乃至図11に示されるように、本発明の第4の実施形態に係る接合構造13は、サブマウント基板23上に設けられる。サブマウント基板23上にはLED3が、ダイボンド剤4によりダイボンディング接合される。
【0048】
サブマウント基板23は、その上面中央にLED3を載置する素子載置面2aを備える。図10に示されるように、素子載置面2aは、複数の環状凸条部2bを備え、環状凸条部2bの各々は、最も内側にある環状凸条部2bから外側に向かって順に、内側にある環状凸条部2bを取り囲むように構成される。ここで、環状凸条部2bは、複数のバンプ2fから構成される。
【0049】
バンプ2fは、円錐台形状とされ、隣り合うバンプ2fとは距離を隔てて配置される。バンプ2fは、ワイヤボンダ(ボールボンダ)を応用した装置や、複数の金属ボールを固定保持して一括ボンドする装置等を利用し、素子載置面2aへ容易に設置することができる。なお、バンプ2fの形状は、円錐台形状に限定されない。
【0050】
図11に示されるように、素子載置面2a上にLED3を接合する際、素子載置面2aの周辺部に溢れ出そうとする一部のダイボンド剤4は、バンプ2fによりトラップされるが、他のダイボンド剤4は、バンプ2f間の隙間を通って周辺部へ溢れ出そうとする。しかし、バンプ2f間の隙間を通って周辺部へ溢れ出そうとするダイボンド剤4は、バンプ2fにトラップされたダイボンド剤4により表面張力によって引っ張られるため、バンプ2fが存在しない場合と比較して、周辺部へ溢れ出しにくくなる。これにより、バンプ2fは、ダイボンド剤4の素子載置面2a周辺部への溢れ出しを抑制することができる。
【0051】
本実施形態によれば、サブマウント基板2が与える効果に加え、環状凸条部2bの作製に複雑な形状の金型が不要となるため、サブマウント基板23の製造コストを低減することができる。
【0052】
上記接合構造1、1a、11、11a、12、若しくは13のいずれか、又は上記サブマウント基板2、21、21a、22、若しくは23のいずれかを用い、半導体素子として個体発光素子を実装して成る発光装置を作製することができる。
【0053】
図12に示されるように、本発明の一実施形態に係る発光装置6は、上述したサブマウント基板2と、個体発光素子としてLED3を備える。
【0054】
LED3を備えたサブマウント基板2は、金属基板61上に固着される。金属基板61は、例えば、銅基板とされ、その上面中央にサブマウント基板2が載置されるサブマウント基板載置面61aと、サブマウント基板載置面61aの近傍に配置される電極61b、61cとを備える。電極61b、61cは、それぞれサブマウント基板2の電極2c、2dと金ワイヤ5(図示せず)により電気的に結ばれる。電極61b、61cは、配電線61dを介して、それぞれ電極61e、61fと電気的に接続されている。電極61e、61fは、サブマウント基板2への電力供給を制御する制御装置71a(図13参照)と電気的に接続されている。
【0055】
金属基板61上には、透明樹脂キャップ62が配置される。透明樹脂キャップ62は、略半球面形状であり、シリコーン等から構成され、サブマウント基板2及びLED3を覆うように金属基板61上に固着される。透明樹脂キャップ62は、その表面においてLED3より出射された光を拡散させて均質なものとするほか、サブマウント基板2及びLED3を埃や衝撃等から保護する。
【0056】
透明樹脂キャップ62の上には、蛍光キャップ63が被せられる。蛍光キャップ63は、透明樹脂キャップ62よりも大きい直径を有する略半球面形状であり、シリコーン等から構成され、透明樹脂キャップ62を覆うように金属基板61上に固着される。蛍光キャップ63は、その内側表面に蛍光シート63aを備える。
【0057】
発光装置6は、金属基板61からサブマウント基板2を介してLED3へと通電されることにより、LED3を発光させる。このとき、LED3の発光に伴って生じた熱は、サブマウント基板2により効率良く放熱されるため、LED3の温度上昇を防ぐことができ、安定なLED3の発光を実現することができる。LED3から出射された光は、透明樹脂キャップ62及び蛍光キャップ63を透過して、発光装置6の外部へと照射される。発光装置6の外部へと照射される光は、発光装置6の使用目的に応じて蛍光シート63aを任意に選択することにより、例えば、任意の可視光色、紫外線をカットした光、又は蛍光感のある光とすることができる。
【0058】
本実施形態によれば、サブマウント基板2とLED3とを含む発光装置6を提供することができる。発光装置6は、その個体発光素子と蛍光シート63aとを任意に組み合わせることにより、種々の光学特性を有した光を照射可能である。
【0059】
図13に示されるように、本発明の一実施形態に係る照明器具7は、上述した発光装置6を用いた照明器具である。照明器具7は、発光装置6を搭載し、発光装置6の発光及び消光を制御するユニット配線基板71と、発光装置6から発せられる熱を放熱する放熱シート72と、ユニット配線基板71の上面に固着される光学レンズ73とを備える。
【0060】
ユニット配線基板71は、その上面に複数の発光装置6を備える。本実施形態においては、8つの発光装置6がユニット配線基板71上に正方形を形作るように設置され、その正方形の一辺につき3つの発光装置6が配置される。各々の発光装置6は、ユニット配線基板71の上面中央に設けられた制御装置71aと、配電回路71bにより電気的に結ばれている。制御装置71aは、商用電源(図示せず)と電気的に結ばれており、商用電源から得た電力を配電回路71bを介して発光装置6へと供給する。ユニット配線基板71は、その周辺部に複数のビス孔71cを備え、このビス孔71cを介してビス71dにより放熱シート72へ螺着される。
【0061】
放熱シート72は、例えば、厚さ1mm程度のアクリル系シートから構成され、ユニット配線基板71の下面に接合される。放熱シート72は、ユニット配線基板71のビス孔71cに対応する位置にビス孔72aを備え、このビス孔72aを介してビス71dによりユニット配線基板71へ螺着される。
【0062】
光学レンズ73は、発光装置6から照射される光を透過させるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びガラス等の材料から構成される。光学レンズ73は、その表面の各々の発光装置6に対応する位置にレンズ部73aを有する。レンズ部73aは、レンズを備え、発光装置6から出射された光を屈折させることにより、その光の照射範囲を広げるものである。
【0063】
以上のような構成を備えた照明器具7は、ユーザからの指令に従って発光装置6への通電を制御し、発光装置6を発光及び消光させる。発光装置6の発光に伴って生じた熱は、発光装置6のサブマウント基板2(図示せず)及び放熱シート72により効率良く放熱されるため、照明器具7は、安定な発光を行うことができる。なお、図示されていないが、照明器具7は、放熱シート72の下方に筺体を備え、この筺体に設けられた保持構造を介して天井等に取り付けられる。
【0064】
なお、本発明に係る半導体素子のダイボンド接合構造、サブマウント基板、この接合構造又はこの基板を用いた発光装置、この発光装置を用いた照明器具、及び半導体素子パッケージの製造方法は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、半導体素子は、LEDに限定されず、トランジスタやダイオード等であってもよい。また、サブマウント基板を構成する材料は、窒化アルミ(AlN)に限定されず、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)等であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、1a、11、11a、12、13 半導体素子のダイボンド接合構造
2、21、21a、22、23 サブマウント基板
2a 素子載置面
2b 環状凸条部
2e 光反射材
2f バンプ
3 半導体素子(LED)
4、41 ダイボンド剤
6 発光装置
7 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイボンディングによって半導体素子を該素子載置面に実装して成る半導体素子のダイボンド接合構造であって、
前記素子載置面は、該素子載置面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条部を備え、
前記環状凸条部の各々は、最も内側にある環状凸条部から外側に向かって順に、内側にある環状凸条部を取り囲むように構成されていることを特徴とする半導体素子のダイボンド接合構造。
【請求項2】
前記環状凸条部の各々は、前記素子載置面と直交する側面方向から見て外側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凸曲面となる断面形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のダイボンド接合構造。
【請求項3】
前記環状凸条部の各々は、前記素子載置面と直交する側面方向から見て内側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凹曲面となる断面形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のダイボンド接合構造。
【請求項4】
前記凹曲面には、光反射材が積層されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体素子のダイボンド接合構造。
【請求項5】
前記半導体素子の周縁部に位置する前記環状凸条部は、他の環状凸条部より前記半導体素子側に迫り出し、前記半導体素子の外周側面と当接する位置決め部材となることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の半導体素子のダイボンド接合構造。
【請求項6】
前記環状凸条部は、複数のバンプから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子のダイボンド接合構造。
【請求項7】
ダイボンディングによって半導体素子が実装されるサブマウント基板であって、
前記半導体素子を実装する実装面は、該実装面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条部を備え、
前記環状凸条部の各々は、最も内側にある環状凸条部から外側に向かって順に、内側にある環状凸条部を取り囲むように構成されていることを特徴とするサブマウント基板。
【請求項8】
前記環状凸条部の各々は、前記実装面と直交する側面方向から見て外側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凸曲面となる断面形状を有していることを特徴とする請求項7に記載のサブマウント基板。
【請求項9】
前記環状凸条部の各々は、前記実装面と直交する側面方向から見て内側に向かって下り傾斜で、かつ前記半導体素子に対して凹曲面となる断面形状を有していることを特徴とする請求項7に記載のサブマウント基板。
【請求項10】
前記凹曲面には、光反射材が積層されていることを特徴とする請求項9に記載のサブマウント基板。
【請求項11】
前記半導体素子の周縁部に位置する前記環状凸条部は、他の環状凸条部より前記半導体素子側に迫り出し、前記半導体素子の外周側面と当接する位置決め部材となることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載のサブマウント基板。
【請求項12】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の半導体素子のダイボンド接合構造を用いて、前記半導体素子として固体発光素子を実装して成る発光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の発光装置を用いた照明器具。
【請求項14】
請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載のサブマウント基板を用いて、前記半導体素子として固体発光素子を実装して成る発光装置。
【請求項15】
請求項14に記載の発光装置を用いた照明器具。
【請求項16】
ダイボンディングによって半導体素子を該素子載置面に実装する半導体素子パッケージの製造方法であって、
前記素子載置面に、該素子載置面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条のバンプを、最も内側にある環状凸条のバンプから外側に向かって順に、内側にある環状凸条のバンプを取り囲むように形成し、
該バンプ上に半田を介して前記半導体素子を実装して成ることを特徴とする半導体素子パッケージの製造方法。
【請求項17】
ダイボンディングによって半導体素子を該素子載置面に実装する半導体素子パッケージの製造方法であって、
前記素子載置面に、該素子載置面方向から見て曲線形又は多角形から成る複数の環状凸条部を、最も内側にある環状凸条部から外側に向かって順に、内側にある環状凸条部を取り囲むように構成されるサブマウント基板を用い、
該サブマウント基板上に半田を介して前記半導体素子を実装して成ることを特徴とする半導体素子パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−119485(P2012−119485A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267796(P2010−267796)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】