説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】銅を主成分とする配線層を有し、かつヒューズの切断によって特性の悪化を招くことのない半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、銅を主成分とするメタル配線34と、メタル配線34よりも上層に形成された最上層配線5と、メタル配線34と最上層配線5との間を接続するためのプラグ9が形成されるプラグ形成層10に少なくとも一部が形成され、銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料で形成されたヒューズ膜4とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層配線構造内にヒューズが形成された半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ等の半導体装置は、金属配線層にヒューズを備える場合がある。ヒューズは、レーザ光の照射や閾値以上の電流の通電によって切断できるように構成されている。ヒューズの切断/非切断を選択することによって、半導体装置に組み込まれた電子回路の特性を調整(トリミング)したり、半導体装置内の不良箇所を切り離したりすることができる。ヒューズは、金属配線層に設けられ、金属配線と同じ材料で構成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−297289号公報
【特許文献2】特開2002−176055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線の材料には、Al(アルミニウム)が広く用いられてきたが、最近では、とくに大電力を消費するパワー半導体装置において、配線抵抗の低減が望まれている。そこで、配線材料としてAlよりも導電性の高いCu(銅)を用いた半導体装置の構造が提案されている。この場合、一般的な先行技術に倣ってヒューズを形成するとすれば、銅配線層に銅からなるヒューズが形成されることになる。
【0005】
しかし、レーザ光等でヒューズを切断すると、ヒューズを構成する銅の砕片が配線構造内に飛び散る。銅は、層間絶縁膜の典型的な材料である酸化シリコン中に容易に拡散するから、半導体基板に形成された素子領域に達し、素子動作に悪影響を与えるおそれがある。また、ヒューズが銅で構成されている場合、ヒューズは、切断によって露出した表面から容易に腐食する。この腐食は、ヒューズに接続された電流経路を通って、半導体基板の近傍にまで至るおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、銅を主成分とする配線層を有し、かつヒューズの切断によって特性の悪化を招くことのない半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の半導体装置は、銅を主成分とする導電性材料からなる下配線層と、前記下配線層よりも上層に形成された上配線層と、前記下配線層と前記上配線層との間を接続するためのプラグが形成されるプラグ形成層に少なくとも一部が形成され、銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料で形成されたヒューズ膜とを含む、半導体装置である(請求項1)。
【0008】
この半導体装置は、銅を主成分とする下層配線と、上層配線とが、プラグ形成層に形成されたプラグによって互いに接続された多層配線構造を有している。ヒューズ膜は、プラグ形成層に少なくとも一部が形成され、銅以外の金属を主成分とする導電性材料で構成されている。したがって、ヒューズ膜の切断の際に、銅の砕片が飛び散らないので、半導体装置の故障や動作特性悪化を招くことがない。また、ヒューズ膜が銅以外の金属材料で形成されているから、切断面からの腐食が生じ難い。したがって、ヒューズ膜から始まる腐食に起因する半導体装置の故障または動作特性悪化を抑制または防止できる。このように、銅を主成分とする配線を有し、かつヒューズの切断によって特性悪化を招くことのない半導体装置を提供できる。
【0009】
前記上層配線は、銅以外の金属を主成分とする導電性材料からなっていることが好ましい。
請求項2記載の発明は、前記ヒューズ膜と前記上配線層とを接続するように前記プラグ形成層に形成され、銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料で形成されたヒューズ用プラグをさらに含む、請求項1記載の半導体装置である。
【0010】
この構成によれば、ヒューズ膜は、ヒューズ用プラグを介して上配線層に電気的に接続される。したがって、ヒューズ膜を、上配線層を介して半導体装置内の内部回路に接続することができる。ヒューズ用プラグは銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料からなっているので、ヒューズ膜の切断によってヒューズ用プラグが露出したとしても、このヒューズ用プラグから腐食が始まることはない。これにより、ヒューズに起因する故障または特性悪化が生じ難い構造とすることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、下部電極層、絶縁層および上部電極層を積層したキャパシタをさらに含み、前記上部電極層が上記下配線層よりも上層の金属層からなり、上記ヒューズ膜が、当該上部電極層と同一層に当該上部電極層と同一材料で形成された第1金属層を含む、請求項1または2記載の半導体装置である。
この構成によれば、キャパシタの上部電極層と同一層に同一材料で形成された第1金属層を用いてヒューズ膜を形成できる。つまり、キャパシタの上部電極層と同一工程でヒューズ膜を形成できる。したがって、少ない工程数でヒューズ膜を形成できるから、製造コストの増加を抑えることができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記ヒューズ膜が、前記ヒューズ用プラグと同一層に当該ヒューズ用プラグと同一材料で形成された第2金属層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置である。
この構成によれば、ヒューズ用プラグと同一層に同一材料で形成された第2金属層を用いてヒューズ膜を形成できる。つまり、ヒューズ用プラグと同一工程でヒューズ膜を形成できる。したがって、少ない工程数でヒューズ膜を形成できるから、製造コストの増加を抑えることができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記ヒューズ用プラグと前記第2金属層とが一体化している、請求項4記載の半導体装置である。この構成によれば、ヒューズ用プラグと第2金属層(ヒューズ膜)とが一体化しているので、それらを個別に形成する必要がない。したがって、半導体装置の製造が一層容易になる。
むろん、ヒューズ用プラグと第2金属層とが分離されていてもよい。すなわち、ヒューズ膜の第1領域および第2領域に一対のヒューズ用プラグが接し、ヒューズ膜の第3領域に第2金属層が形成されていてもよい。この場合、第1、第2および第3領域は、互いに分離された領域であり、第1および第2領域の間に第3領域が位置している。
【0014】
請求項6記載の発明は、平面視において前記ヒューズ膜を取り囲むように筒状に形成されたシールリング(たとえば銅を主成分とする金属材料からなるもの)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置である。
この構成によれば、筒状のシールリングによってヒューズ膜が取り囲まれるので、ヒューズの切断時にヒューズを起点とするクラックが生じても、このクラックの広がりをシールリング内に押さえ込むことができる。これにより、多層配線構造を保護できるので、半導体装置の故障または特性劣化を抑制または防止できる。
【0015】
請求項7記載の発明は、銅を主成分とする導電性材料からなる下配線層を形成する工程と、前記下配線層上にプラグ形成層を形成する工程と、前記プラグ形成層に銅以外の金属を主成分とする導電性材料からなるヒューズ膜を形成する工程と、前記プラグ形成層に、層間接続用プラグおよびヒューズ用プラグのための開口を形成する工程と、前記開口に銅以外の金属を主成分とする導電性材料を埋め込んで前記層間接続用プラグおよび前記ヒューズ用プラグを形成し、前記ヒューズ用プラグを前記ヒューズ膜に結合させる工程と、前記ヒューズ用プラグおよび前記層間接続用プラグに接続する上配線層を前記プラグ形成層よりも上層に形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法である。
【0016】
この方法により、請求項2に記載した構造の半導体装置を製造できる。そして、層間接続用プラグとヒューズ用プラグとを同じ工程で形成できるので、少ない工程数で、ヒューズ膜に起因する故障または特性劣化を抑制または防止できる構造の半導体装置を作製できる。
請求項8記載の発明は、前記ヒューズ膜を形成する工程が、前記下配線層よりも上層に、下部電極膜、絶縁膜および上部電極膜を有するキャパシタ構造を形成するとともに、前記上部電極膜と同一層に当該上部電極膜と同一金属材料からなる第1金属層を形成する工程を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法である。
【0017】
この方法により、請求項3に記載した構造の半導体装置を製造できる。そして、キャパシタの上部電極膜を形成する工程で、同時にヒューズ膜を構成する第1金属膜を形成できる。これにより、少ない工程数で半導体装置を製造できる。
請求項9記載の発明は、前記プラグのための開口を形成する工程において、前記ヒューズ膜を形成するためのヒューズ膜用開口を同時に形成し、前記プラグを埋め込む工程において、前記ヒューズ膜の少なくとも一部を構成するように前記プラグと同一材料の金属を前記ヒューズ膜用開口に埋め込んで第2金属層(前記ヒューズ膜の一部)を形成する、請求項7または8記載の半導体装置の製造方法である。
【0018】
この方法により、請求項4に記載した構造の半導体装置を製造できる。そして、プラグ形成工程で同時にヒューズ膜を構成する第2金属層を形成できる。これにより、少ない工程数で半導体装置を製造できる。
この方法が請求項8の特徴と組み合わせられる場合には、ヒューズ膜用開口は、平面視において第1金属層の形成領域内に収まる領域に形成されることが好ましい。これにより、ヒューズ膜用開口を形成するためのエッチングを第1金属層で停止させることができるので、ヒューズ膜を構成する第2金属層の膜厚を正確に制御できる。第1金属層を設けない場合には、下層配線層に確実に達するようにプラグ用の開口のためのエッチング条件を定めると、ヒューズ膜用開口はヒューズ膜に必要な膜厚よりも深くなる。そのため、ヒューズ膜は必要以上の膜厚を有することになる。したがって、たとえば、レーザ加工によってヒューズ膜を切断(溶断)するとすれば、必要なレーザ光出力が大きくなる。そこで、第1金属層を予め形成しておき、この第1金属層によってヒューズ膜用開口を形成すれば、第2金属層の膜厚を必要十分な厚さに制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、この発明の第1の実施形態に係る半導体装置の部分断面図である。
【図2】図2は、図1に示された構成の部分平面図である。
【図3A】図3Aは、前記第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの次の工程を示す断面図である。
【図3C】図3Cは、図3Bの次の工程を示す断面図である。
【図3D】図3Dは、図3Cの次の工程を示す断面図である。
【図3E】図3Eは、図3Dの次の工程を示す断面図である。
【図3F】図3Fは、図3Eの次の工程を示す断面図である。
【図4】図4は、この発明の第2の実施形態に係る半導体装置の主要部の構成を説明するための断面図である。
【図5A】図5Aは、前記第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの次の工程を示す断面図である。
【図5C】図5Cは、図5Bの次の工程を示す断面図である。
【図6】図6は、この発明の第3の実施形態に係る半導体装置の主要部の構成を説明するための断面図である。
【図7A】図7Aは、前記第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aの次の工程を示す断面図である。
【図7C】図7Cは、図7Bの次の工程を示す断面図である。
【図7D】図7Dは、図7Cの次の工程を示す断面図である。
【図7E】図7Eは、図7Dの次の工程を示す断面図である。
【図7F】図7Fは、図7Eの次の工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る半導体装置の部分断面図であり、図2は、図1に示された構成の部分平面図である。この半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1の表面上に形成された多層配線構造2と、多層配線構造2を覆うパッシベーション膜(表面保護膜)3とを有している。半導体基板1は、シリコン基板であってもよく、その表層部には、図示は省略するが、トランジスタ等の能動素子に代表される半導体素子が形成されている。多層配線構造2は、第1〜第9層間絶縁膜11〜19、第1〜第7エッチングストップ層21〜27、第1〜第4メタル配線31〜34、ヒューズ膜4、最上層配線5等を含む。パッシベーション膜3は、たとえば窒化膜(窒化シリコン膜)からなっていてもよく、最上層配線5の表面を覆っている。
【0021】
多層配線構造2は、この実施形態では、平面視においてヒューズ膜4を取り囲む筒状(たとえば四角筒状)に形成されたシールリング6を含む。また、この実施形態では、多層配線構造2にキャパシタ7が作り込まれている。
多層配線構造2においては、第1層間絶縁膜11、第1エッチングストップ層21、第2層間絶縁膜12、第2エッチングストップ層22、第3層間絶縁膜13、第3エッチングストップ層23、第4層間絶縁膜14、第4エッチングストップ層24、第5層間絶縁膜15、第5エッチングストップ層25、第6層間絶縁膜16、第6エッチングストップ層26、第7層間絶縁膜17、第7エッチングストップ層27、第8層間絶縁膜18、キャパシタ容量膜70、および第9層間絶縁膜19が、半導体基板1の表面からこの順に積層されている。層間絶縁膜11〜19は、たとえば、SiOからなる。また、エッチングストップ層21,23,25,27は、たとえば、SiCNからなる。エッチングストップ層22,24,26は、たとえば、SiCとSiCNとの積層膜からなる。キャパシタ容量膜70は、たとえば、SiNまたはSiCNからなる。
【0022】
第1メタル配線31は第2層間絶縁膜12と同じ配線層(第1メタル配線層)に形成されており、第2メタル配線32は第4層間絶縁膜14と同じ配線層(第2メタル配線層)に形成されており、第3メタル配線33は第6層間絶縁膜16と同じ配線層(第3メタル配線層)に形成されており、第4メタル配線34は第8層間絶縁膜18と同じ配線層(第4メタル配線層)に形成されている。第1〜第4メタル配線31〜34は、銅を主成分とする導電性材料からなる配線(銅配線)である。
【0023】
これらの第1〜第4メタル配線31〜34は、第2、第4、第6および第8層間絶縁膜12,14,16,18にそれぞれ形成された配線溝に埋め込まれている。より具体的には、第1メタル配線31は、ダマシンプロセスによって第2層間絶縁膜12に形成された配線溝に埋め込まれている。この第1メタル配線31は、第1層間絶縁膜11に埋め込まれたプラグ30を介して、半導体基板1の表面に形成された素子(トランジスタ素子等の機能素子)に電気的に接続されている。プラグ30は、たとえば、W(タングステン)からなる。このプラグ30と第1層間絶縁膜11との間には、バリアメタル層39(たとえばTaからなる)が介在されている。また、第2〜第4メタル配線32〜34は、デュアルダマシンプロセスによって、第4、第6および第8層間絶縁膜14,16,18にそれぞれ形成された配線溝に埋め込まれ、かつ、第3、第5および第7層間絶縁膜13,15,17にそれぞれ形成されたビア(孔)に埋め込まれている。これにより、第2〜第4メタル配線32〜34は、各直下のメタル配線31,32,33に電気的に接続されている。配線溝およびビアの内壁面には、銅の拡散を防ぐためのバリアメタル層36が形成されている。このバリアメタル層36およびエッチングストップ層22,24,26に囲まれた領域に、銅を主成分とする第1〜第4メタル配線31〜34が配置されている。エッチングストップ層21,23,25,27は、配線溝を形成するために層間絶縁膜12,14,16,18に対して行うエッチングを停止させるための層である。また、エッチングストップ層22,24,26は、ビアを形成するために層間絶縁膜13,15,17に対して行うエッチングを停止させるための層である。
【0024】
ヒューズ膜4は、この実施形態では、平面視において2本平行に配置されており、それぞれ直線状(帯状)に形成されている。これらのヒューズ膜4は、最上層配線51,52(5)の間、および最上層配線53,54(5)の間をそれぞれ電気的に接続している。具体的には、各ヒューズ膜4の一端に最上層配線51,53が接続されており、各ヒューズ膜4の他端に最上層配線52,54が接続されている。ヒューズ膜4は、最上層配線5(上配線層)をその下の第4メタル配線34(下配線層)に接続するためのプラグ9が形成されるプラグ形成層10に形成されている。プラグ形成層10は、第9層間絶縁膜19が形成されている層である。
【0025】
一つのヒューズ膜4に接続された最上層配線51,52は、一方または両方が、当該半導体装置の内部回路に接続されている。同様に、もう一つのヒューズ膜4に接続された最上層配線53,54は、一方または両方が当該半導体装置の内部回路に接続されている。ヒューズ膜4を切断しなければ、当該ヒューズ膜4に接続された一対の最上層配線間が電気的に接続された状態となり、ヒューズ膜4を切断すれば、当該一対の最上層配線間の電気的接続が遮断される。こうして、半導体装置に組み込まれた電子回路の特性を調整したり、半導体装置内の不良箇所を切り離したりすることができる。
【0026】
ヒューズ膜4は、キャパシタ容量膜70上に形成された第1金属膜41(第1金属層)、および第1金属膜41上に形成された第2金属膜42(第2金属層)を含む。第1金属膜41と第2金属膜42との間には、第2金属膜42の金属材料の拡散を防ぐためのバリアメタル層43が形成されており、ヒューズ膜4の一部を構成している。より具体的には、第1金属膜41の上方には、ヒューズ膜4の形状に対応した溝が第9層間絶縁膜19に形成されている。この溝の側壁(第9層間絶縁膜19の側壁)および底面(第1金属膜41の表面)がバリアメタル層43によって覆われている。このバリアメタル層43によって囲まれた溝内に第2金属膜42が配置されている。第2金属膜42は、ヒューズ膜4を最上層配線5(51〜54)に接続するためのヒューズ用プラグを兼ねている。すなわち、第2金属膜42は、ヒューズ用プラグと一体化している。
【0027】
平面視において、第1金属膜41は、第2金属膜42およびバリアメタル層43よりも広い領域(この実施形態では、ヒューズ膜4の形状に対応した長尺な矩形状の領域)に形成されており、第2金属膜42およびバリアメタル層43は、第1金属膜41の形成領域内に収まっていて、当該第1金属膜41の形成領域からのはみ出し部分を有していない。すなわち、平面視において、第2金属膜42およびバリアメタル層43は、第1金属膜41の縁から内方に後退した位置にそれらの縁を有している。この実施形態では、第2金属膜42およびバリアメタル層43の縁と第1金属膜41の縁とは、全周に渡ってほぼ均等な間隔で離れている。
【0028】
第1金属膜41は、銅以外の金属を主成分とする導電性材料、たとえば、TiNからなる。また、第2金属膜42は、銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料、たとえばW(タングステン)からなる。さらに、バリアメタル層43は、たとえば、第1金属膜41側から順に、Ta、TaN、Ti、およびTiNを積層した積層膜からなる。
最上層配線5は、たとえば、本体部5aと、本体部5aの下側に積層されたバリア層5bと、本体部5aの上側に積層された表面金属膜5cとを含む。本体部5aは、銅以外の金属(たとえばアルミニウム)を主成分とする導電性材料、たとえばAlCuからなり、バリア層5bはたとえば下側から順に積層したTiおよびTiNの積層膜からなり、表面金属膜5cはたとえばTiNからなる。
【0029】
シールリング6は、図2に示すとおり、平面視においてヒューズ膜4を取り囲む筒状(個の実施形態では四角筒状)に形成されており、第1〜第4メタル配線31〜34をそれぞれ環状(この実施形態では四角環状)に形成することによって構成されている。シールリング6を構成する環状の第1〜第4メタル配線31〜34の下部には、それらに対応する環状に形成された環状ビア61〜64が形成されている。第2〜第4メタル配線32〜34は、それらの直下の環状ビア62〜64を埋め込むように形成されている。また、第1メタル配線層32の直下の環状ビア61には、環状金属プラグ37が埋め込まれている。この環状金属プラグ37は、この実施形態では、半導体基板1上に形成されたポリシリコン配線層38に接続されている。ポリシリコン配線層38は、たとえば、半導体基板1上に形成されたトランジスタのゲート電極を構成するポリシリコン電極と同一層に形成されていてもよい。環状金属プラグ37は、たとえば、W(タングステン)からなる。この環状金属プラグ37と第1層間絶縁膜11との間には、バリアメタル層39(たとえばTaからなる)が介在されている。
【0030】
キャパシタ7は、下部電極71(下部電極層)と、キャパシタ容量膜70と、上部電極72(上部電極層)とを含む。下部電極71および上部電極72がキャパシタ容量膜70を挟んで対向することにより、キャパシタ構造が形成されている。下部電極71は、第4メタル配線34の一部で構成されている。キャパシタ容量膜70は、第4メタル配線34上および第8層間絶縁膜18上に形成されている。上部電極72は、ヒューズ膜4の第1金属膜41と同一層の金属膜からなる。下部電極71は、プラグ91(9)を介して最上層配線層56(5)に接続されており、上部電極72は、プラグ92(9)を介して最上層配線層57(5)に接続されている。キャパシタ容量膜70は、上部電極72および第1金属膜41をマスクとしてエッチングされるので、上部電極72および第1金属膜41の直下の部分の膜厚が、その他の部分の膜厚よりも大きくなっている。下部電極71は、上部電極72よりも大きく、平面視において、上部電極72からはみ出したはみ出し部を有している。このはみ出し部において、プラグ91がキャパシタ容量膜70を貫通して下部電極71に接続されている。
【0031】
パッシベーション膜3には、最上層配線5の表面に対する電気的接続(たとえばワイヤボンディングによる接続)のための開口46が形成されている。最上層配線5において開口46から露出した部分は、外部との電気的接続のためのパッド47である。さらに、パッシベーション膜3には、シールリング6の直上の位置に、環状の開口48が形成されている。この環状の開口48は、平面視において、シールリング6の内方側の領域と、その外方側の領域とにパッシベーション膜3を分離している。さらに、ヒューズ膜4の中間部の直上を含む領域(この実施形態では2本のヒューズ膜4の各中間領域に跨がる矩形領域)には、パッシベーション膜3を薄膜化して形成された凹部49が形成されている。この凹部49は、開口46,48のためのエッチング工程において同時に形成されてもよい。凹部49は、たとえば、ヒューズ膜4をレーザ加工で切断(溶断)するときの切断加工窓として利用される。ヒューズ膜4をレーザ加工等で切断するときに凹部49においてパッシベーション膜3にクラックが生じても、このクラックは環状の開口48で停止し、その外方のパッシベーション膜3には波及しない。
【0032】
このように、この実施形態の半導体装置においては、ヒューズ膜4は、プラグ形成層10に少なくとも一部が形成され、銅以外の金属を主成分とする導電性材料で構成されている。したがって、ヒューズ膜4の切断の際に、銅の砕片が飛び散らないので、半導体装置の故障や動作特性悪化を招くことがない。また、ヒューズ膜4が銅以外の金属材料で形成されているから、切断面からの腐食が生じ難い。したがって、ヒューズ膜4から始まる腐食に起因する半導体装置の故障または動作特性悪化を抑制または防止できる。このように、銅を主成分とする配線を有し、かつヒューズの切断によって特性悪化を招くことのない半導体装置を提供できる。
【0033】
また、この実施形態では、キャパシタ7の上部電極72と同一層に同一材料で形成された第1金属膜41がヒューズ膜4の一部を構成している。そのため、後述のとおり、上部電極72と同一工程でヒューズ膜4を形成できる。したがって、少ない工程数でヒューズ膜4を形成できるから、製造コストの増加を抑えることができる。
さらにまた、この実施形態では、ヒューズ膜4は、プラグ9と同一層に、当該プラグ9と同一材料で形成された第2金属膜42を含む。そのため、後述のとおり、プラグ9と同一工程でヒューズ膜4を形成できる。したがって、少ない工程数でヒューズ膜を形成できるから、製造コストの増加を抑えることができる。しかも、この実施形態では、第2金属膜42は、ヒューズ用プラグを兼用しているので、ヒューズ用プラグを別に形成する必要がない。したがって、半導体装置の製造が一層容易になる。
【0034】
また、平面視においてヒューズ膜4を取り囲むように筒状に形成されたシールリング6が設けられている。そのため、ヒューズ膜4の切断時に、ヒューズ膜4を起点とするクラックが生じても、このクラックの広がりをシールリング6内に押さえ込むことができる。これにより、多層配線構造2を保護できるので、半導体装置の故障または特性劣化を抑制または防止できる。
【0035】
図3A〜3Fは、前記第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、キャパシタ容量膜70の形成以後の工程が示されている。
図3Aに示すように、第8層間絶縁膜18に第4メタル配線14を埋め込んで平坦化(たとえばCMP(化学的機械的研磨)により平坦化)した後、この平坦化された表面に、キャパシタ容量膜70が形成される。キャパシタ容量膜70は、たとえば、SiNまたはSiCNのようなCu(銅)の拡散を防止できる絶縁性材料からなる。このキャパシタ容量膜70は、たとえば、プラズマCVD(化学的気相成長)法によって、第8層間絶縁膜18および第4メタル配線14の表面を覆うように形成される。その後、キャパシタ容量膜70上に、上部電極72および第1金属膜41を構成する電極膜81が積層される。電極膜81は、たとえばTiNからなり、スパッタ法によって形成される。
【0036】
次に、図3Bに示すように、上部電極72および第1金属膜41に対応するパターンのレジスト82が形成され、このレジスト82をマスクとして電極膜81がエッチングされる。このエッチングは、レジスト82から露出している領域の電極膜81が完全に除去されるまで行われる。そのため、レジスト82から露出している領域においては、上部電極72および第1金属膜41で覆われていないキャパシタ容量膜70が少し(膜厚途中まで)エッチングされることになる。こうして、上部電極72および第1金属膜41が形成され、キャパシタ容量膜70は、上部電極72および第1金属膜41の直下において比較的厚く、それら以外の領域において比較的薄くなる。この後、レジスト82が除去される。
【0037】
次に、図3Cに示すように、第9層間絶縁膜19が形成される。第9層間絶縁膜19は、たとえば、SiOからなり、プラズマCVD法によって形成されてもよい。
次に、図3Dに示すように、ヒューズ用プラグ開口66およびコンタクトプラグ開口67,68に対応する開口を有するパターンのレジスト83が形成される。このレジスト83をマスクとするエッチングによって、第9層間絶縁膜19がエッチングされ、これにより、第9層間絶縁膜19を貫通するヒューズ用プラグ開口66およびコンタクトプラグ開口67,68が形成される。ヒューズ用プラグ開口66は平面視において第1金属膜41の内方の領域に収まっており、コンタクトプラグ開口68は平面視において上部電極72の内方の領域に収まっている。そのため、第9層間絶縁膜19のエッチングは、第1金属膜41および上部電極72で停止する。また、コンタクトプラグ開口67の領域における第9層間絶縁膜19のエッチングは、キャパシタ容量膜70で停止する。すなわち、第1金属膜41、上部電極72およびキャパシタ容量膜70は、エッチング停止層として機能する。第9層間絶縁膜19のエッチングの後、さらに、コンタクトプラグ開口67の底面部に残るキャパシタ容量膜70が除去され、下部電極71を構成する第4メタル配線34の一部の表面が露出させられる。キャパシタ容量膜70のエッチングは、第4メタル配線34で停止する。その後、レジスト83が除去される。
【0038】
次に、図3Eに示すように、バリアメタル層43および電極膜84が形成される。バリアメタル層43は、第9層間絶縁膜19の表面(上面)、プラグ開口66,67,68の内側壁、ならびにこれらのプラグ開口の底面において露出する上部電極72、第1金属膜41および下部電極71の表面を覆うように形成される。このバリアメタル層43の形成後に、電極膜84が形成される。電極膜84は、ヒューズ膜4の第2金属膜42およびプラグ9を構成すべき金属材料からなり、プラグ開口66,67,68を埋め尽くすように全面に堆積される。バリアメタル層43は、たとえば、下側から順にTa膜、TaN膜、Ti膜およびTiN膜を積層して構成された積層膜からなり、それらの構成膜をスパッタ法によって順に堆積して形成されてもよい。電極膜84は、たとえばW(タングステン)からなり、CVD法によって形成されてもよい。
【0039】
次に、図3Fに示すように、たとえばCMP法によって、表面が平坦化され、プラグ開口66,67,68外の電極膜84が除去される。こうして、ヒューズ用プラグ開口66内にはヒューズ用プラグを兼ねる第2金属膜42が配置され、コンタクトプラグ開口67,68にはコンタクトプラグ91,92(層間接続用プラグ)が配置される。
その後は、図1に示すように、最上層配線5が所定のパターンに形成され、この最上層配線5を覆うパッシベーション膜3が形成される。そして、パッシベーション膜3に対する選択的エッチングによって、パッド用の開口46、シールリング6上の環状の開口48、およびヒューズ切断のための加工用窓としての凹部49が形成される。こうして、図1に示す構造の半導体装置が得られる。
【0040】
この方法によれば、キャパシタ7の上部電極72とヒューズ膜4の第1金属膜41とが同一工程で形成され、さらにコンタクトプラグ91,92(層間接続用プラグ)とヒューズ膜4の第2金属膜42とが同一工程で形成される。これにより、少ない工程数で、ヒューズ膜4に起因する故障または特性劣化を抑制または防止できる構造の半導体装置を作製できる。
【0041】
また、ヒューズ用プラグ開口66は、平面視において第1金属膜41の形成領域内に収まる領域に形成されるので、ヒューズ用プラグ開口66を形成するためのエッチングを第1金属膜41で停止させることができる。そのため、ヒューズ膜4を構成する第2金属膜42の膜厚を正確に制御できる。第1金属膜41を設けない場合には、第4メタル配線34に確実に達するようにコンタクトプラグ開口67のためのエッチング条件(オーバーエッチング量)を定めると、ヒューズ用プラグ開口66はヒューズ膜4に必要な膜厚よりも深くなる。そのため、ヒューズ膜4は必要以上の膜厚を有することになる。したがって、たとえば、レーザ加工によってヒューズ膜を切断(溶断)するとすれば、必要なレーザ光出力が大きくなる。一方、この実施形態では、第1金属膜41を予め形成しておき、この第1金属膜41をエッチングマスクとして利用してヒューズ用プラグ開口66が形成されるので、第2金属膜41の膜厚を必要十分な厚さに制御できる。したがって、低出力で短時間のレーザ出力によって、ヒューズ膜4を切断(溶断)できる。
【0042】
より具体的に説明すると、たとえば、プラグ形成層10の層間絶縁膜19の厚さが700nm、前記オーバーエッチング量が100nmであるとすると、第1金属膜41を設けない場合の第2金属膜42の膜厚は800nm(=700nm+100nm)となる。一方、第1金属膜41の厚さが40nm、その直下のキャパシタ容量膜70の厚さが80nmの場合には、第2金属膜42の厚さは580nm(=700nm−(80nm+40nm))となる。したがって、第1金属膜41を設けることによって、たとえばW(タングステン)等からなる第2金属膜42の厚さを、220nm薄くできる。これにより、レーザ加工によるヒューズ膜4の切断が容易になる。
【0043】
図4は、この発明の第2の実施形態に係る半導体装置の主要部の構成を説明するための断面図である。この図4において、前述の図2に示された各部の対応部分には、図2の場合と同一の参照符号を付して、説明の重複を省く。
この実施形態の半導体装置では、ヒューズ膜4は、第1金属膜41で構成されている。この第1金属膜41の両端部に接するように、一対のヒューズ用プラグ76,77がそれぞれ形成されている。これらのヒューズ用プラグ76,77に接するように最上層配線51,53;52,54が形成されている。ヒューズ用プラグ76,77は、第9層間絶縁膜19に形成されたヒューズ用プラグ開口78,79にそれぞれ埋め込まれている。ヒューズ用プラグ開口78,79の底面(第1金属膜41の表面)および側壁(第9層間絶縁膜19の側面)は、バリアメタル層43で覆われている。このバリアメタル層43に接するようにヒューズ用プラグ76,77がヒューズ用プラグ開口78,79にそれぞれ埋め込まれている。ヒューズ用プラグ76,77は、たとえばW(タングステン)からなる。また、バリアメタル層43は、たとえば、下から順にTa層、TaN層、Ti層およびTiN層を積層した積層膜からなっている。
【0044】
パッシベーション膜3に形成された凹部49(ヒューズ切断加工用の窓)の直下に位置するヒューズ膜4は、第1金属膜41だけで構成されている。これにより、第1の実施形態の場合よりもヒューズ膜4の切断が容易になる。具体的には、レーザ加工によってヒューズ膜4を切断(溶断)する際に、低出力、短時間のレーザ出力でヒューズ膜4を切断できる。
【0045】
図5A〜5Cは、この第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明するための断面図であり、コンタクトプラグ用開口形成以後の工程が示されている。
まず、前述の第1の実施形態の半導体装置の場合と同様に、図3A〜図3Cを参照して前述した工程が実行される。
その後、図5Aに示すように、ヒューズ用プラグ開口78,79およびコンタクトプラグ開口67,68に対応する開口を有するパターンのレジスト86が形成される。このレジスト86をマスクとするエッチングによって、第9層間絶縁膜19がエッチングされ、これにより、第9層間絶縁膜19を貫通するヒューズ用プラグ開口78,79およびコンタクトプラグ開口67,68が形成される。ヒューズ用プラグ開口78,79は平面視において第1金属膜41の内方の領域に収まっており、コンタクトプラグ開口68は平面視において上部電極72の内方の領域に収まっている。そのため、第9層間絶縁膜19のエッチングは、第1金属膜41および上部電極72で停止する。また、コンタクトプラグ開口67の領域における第9層間絶縁膜19のエッチングは、キャパシタ容量膜70で停止する。すなわち、第1金属膜41、上部電極72およびキャパシタ容量膜70は、エッチング停止層として機能する。第9層間絶縁膜19のエッチングの後、さらに、コンタクトプラグ開口67の底面部に残るキャパシタ容量膜70が除去され、下部電極71を構成する第4メタル配線34の一部の表面が露出させられる。その後、レジスト86が除去される。
【0046】
次に、図5Bに示すように、バリアメタル層43および電極膜84が形成される。バリアメタル層43は、第9層間絶縁膜19の表面(上面)、プラグ開口78,79,67,68の内側壁、ならびにこれらのプラグ開口の底面において露出する上部電極72、第1金属膜41および下部電極71の表面を覆うように形成される。このバリアメタル層43の形成後に、電極膜84が形成される。電極膜84は、ヒューズ用プラグ76,77およびプラグ9を構成すべき金属材料からなり、プラグ開口78,79,67,68を埋め尽くすように全面に堆積される。バリアメタル層43は、たとえば、下側から順にTa膜、TaN膜、Ti膜およびTiN膜を積層して構成された積層膜からなり、それらの構成膜をスパッタ法によって順に堆積して形成されてもよい。電極膜84は、たとえばW(タングステン)からなり、CVD法によって形成されてもよい。
【0047】
次に、図5Cに示すように、たとえばCMP法によって、表面が平坦化され、プラグ開口78,79,67,68外の電極膜84が除去される。こうして、ヒューズ用プラグ開口78,79内にはヒューズ用プラグ76,77が配置され、コンタクトプラグ開口67,68にはコンタクトプラグ91,92が配置される。
その後は、図1に示すように、最上層配線5が所定のパターンに形成され、この最上層配線5を覆うパッシベーション膜3が形成される。そして、パッシベーション膜3に対する選択的エッチングによって、パッド用の開口46、シールリング6上の環状の開口48、およびヒューズ切断のための加工用窓としての凹部49が形成される。こうして、図4に示す構造の半導体装置が得られる。
【0048】
図6は、この発明の第3の実施形態に係る半導体装置の主要部の構成を説明するための断面図である。この図6において、前述の図2に示された各部の対応部分には、図2の場合と同一の参照符号を付して、説明の重複を省く。
この実施形態の半導体装置では、ヒューズ膜4は、第1の実施形態における第2金属膜41に相当する金属膜44で構成されている。この金属膜44の両端部の上面に接するように最上層配線51,53;52,54が形成されている。金属膜44は、第9層間絶縁膜19に形成されたヒューズ用プラグ開口80に埋め込まれている。ヒューズ用プラグ開口80の底面および側壁は、バリアメタル層43で覆われている。このバリアメタル層43に接するように金属膜44がヒューズ用プラグ開口80に埋め込まれている。金属膜44は、たとえばW(タングステン)からなる。また、バリアメタル層43は、たとえば、下から順にTa層、TaN層、Ti層およびTiN層を積層した積層膜からなっている。
【0049】
パッシベーション膜3に形成された凹部49(ヒューズ加工用の窓)の直下に位置するヒューズ膜4は、金属膜44およびバリアメタル層43で構成されている。
ヒューズ用プラグ開口80の底面は、第8層間絶縁膜18に臨んでいる。これは、ヒューズ用プラグ開口80を形成するときのオーバーエッチングのために、第8層間絶縁膜18の表層部がエッチングされるからである。また、ヒューズ用プラグ開口8の側壁は、その底部側から順に第8層間絶縁膜18、キャパシタ容量膜70および第9層間絶縁膜19に臨んでおり、これらの側面を露出させている。このようなヒューズ用プラグ開口80内に埋め込まれた金属膜44は、第1の実施形態における第2金属膜42よりも大きな膜厚を有している。
【0050】
図7A〜7Fは、この第3の実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明するための断面図であり、キャパシタ容量膜70の形成以後の工程が示されている。
図7Aに示すように、第8層間絶縁膜18に第4メタル配線14を埋め込んで平坦化(たとえばCMP(化学的機械的研磨)により平坦化)した後、この平坦化された表面に、キャパシタ容量膜70が形成される。キャパシタ容量膜70は、たとえば、SiNまたはSiCNのようなCu(銅)の拡散を防止できる絶縁性材料からなる。このキャパシタ容量膜70は、たとえば、プラズマCVD(化学的気相成長)法によって、第8層間絶縁膜18および第4メタル配線14の表面を覆うように形成される。その後、キャパシタ容量膜70上に、上部電極72および第1金属膜41を構成する電極膜81が積層される。電極膜81は、たとえばTiNからなり、スパッタ法によって形成される。
【0051】
次に、図7Bに示すように、上部電極72に対応するパターンのレジスト82が形成され、このレジスト82をマスクとして電極膜81がエッチングされる。このエッチングは、レジスト82から露出している領域の電極膜81が完全に除去されるまで行われる。そのため、レジスト82から露出している領域においては、上部電極72で覆われていないキャパシタ容量膜70が少し(膜厚途中まで)エッチングされることになる。こうして、上部電極72が形成され、キャパシタ容量膜70は、上部電極72の直下において比較的厚く、それら以外の領域において比較的薄くなる。この後、レジスト82が除去される。
【0052】
次に、図7Cに示すように、第9層間絶縁膜19が形成される。第9層間絶縁膜19は、たとえば、SiOからなり、プラズマCVD法によって形成されてもよい。
次に、図7Dに示すように、ヒューズ用プラグ開口80およびコンタクトプラグ開口67,68に対応する開口を有するパターンのレジスト83が形成される。このレジスト83をマスクとするエッチングによって、第9層間絶縁膜19がエッチングされ、これにより、第9層間絶縁膜19を貫通するヒューズ用プラグ開口80およびコンタクトプラグ開口67,68が形成される。コンタクトプラグ開口68は平面視において上部電極72の内方の領域に収まっている。そのため、第9層間絶縁膜19のエッチングは、上部電極72で停止する。また、ヒューズ用プラグ開口80およびコンタクトプラグ開口67の領域における第9層間絶縁膜19のエッチングは、キャパシタ容量膜70で停止する。第9層間絶縁膜19のエッチングの後、さらに、コンタクトプラグ開口67の底面部に残るキャパシタ容量膜70が除去され、下部電極71を構成する第4メタル配線34の一部の表面が露出させられる。このエッチングは、第4メタル配線34で停止する。その後、レジスト83が除去される。
【0053】
キャパシタ容量膜70のエッチングは、ヒューズ用プラグ開口80においても進行する。また、ヒューズ用プラグ開口80の直下には第4メタル配線34が設けられていないので、ヒューズ用プラグ開口80内のエッチングは、キャパシタ容量膜70を突き抜けて、第8層間絶縁膜18の表層部にまで至る。このようなエッチング条件としなければ、コンタクトプラグ開口67の底面において第4メタル配線34を確実に露出させることはできない。
【0054】
次に、図7Eに示すように、バリアメタル層43および電極膜84が形成される。バリアメタル層43は、第9層間絶縁膜19の表面(上面)、プラグ開口80,67,68の内側壁、ならびにこれらのプラグ開口の底面において露出する第8層間絶縁膜18、上部電極72、および下部電極71の表面を覆うように形成される。このバリアメタル層43の形成後に、電極膜84が形成される。電極膜84は、ヒューズ膜4を構成する金属膜44およびプラグ9を構成すべき金属材料からなり、プラグ開口80,67,68を埋め尽くすように全面に堆積される。バリアメタル層43は、たとえば、下側から順にTa膜、TaN膜、Ti膜およびTiN膜を積層して構成された積層膜からなり、それらの構成膜をスパッタ法によって順に堆積して形成されてもよい。電極膜84は、たとえばW(タングステン)からなり、CVD法によって形成されてもよい。
【0055】
次に、図7Fに示すように、たとえばCMP法によって、表面が平坦化され、プラグ開口66,67,68外の電極膜84が除去される。こうして、ヒューズ用プラグ開口80内にはヒューズ用プラグを兼ねる金属膜44が配置され、コンタクトプラグ開口67,68にはコンタクトプラグ91,92が配置される。
その後は、図6に示すように、最上層配線5が所定のパターンに形成され、この最上層配線5を覆うパッシベーション膜3が形成される。そして、パッシベーション膜3に対する選択的エッチングによって、パッド用の開口46、シールリング6上の環状の開口48、およびヒューズ加工用窓としての凹部49が形成される。こうして、図6に示す構造の半導体装置が得られる。
【0056】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することができる。たとえば、図4に二点鎖線で示すように、ヒューズ膜4は、ヒューズ用プラグ76,77から分離された第2金属膜42を有していてもよい。この第2金属膜42は、ヒューズ用プラグ76,77と同一層(プラグ形成層10)に同一材料で形成されることが好ましい。また、図4の構成において、ヒューズ用プラグ76,77をヒューズ膜4の長手方向(図4の左右方向)に延ばし、最上層配線5の縁部よりも凹部49(切断加工窓)寄りにはみ出すように形成してもよい。
【0057】
さらに、多層配線構造2の配線層数は、前述の実施形態に示したものに限らず、任意の配線層数に変更できる。
さらに、前述の実施形態では、シールリング6が四角筒状に形成された例を示したが、銅シールリングの形状は、四角形以外の多角形を底面とする筒状であってもよく、円柱状、楕円柱状等の他の筒形状であってもよい。
【0058】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 半導体基板
2 多層配線構造
3 パッシベーション膜
4 ヒューズ膜
5,51〜54,56〜57 最上層配線
6 シールリング
7 キャパシタ
8 ヒューズ用プラグ開口
9 プラグ
10 プラグ形成層
11〜19 層間絶縁膜
21〜27 エッチングストップ層
30 プラグ
31〜34 メタル配線
36 バリアメタル層36
37 環状金属プラグ
38 ポリシリコン配線層
39 バリアメタル層
41 第1金属膜
42 第2金属膜
43 バリアメタル層
44 金属膜
46 開口
47 パッド
48 環状の開口
49 凹部
61〜64 環状ビア
66 ヒューズ用プラグ開口
67 コンタクトプラグ開口
68 コンタクトプラグ開口
70 キャパシタ容量膜
71 下部電極
72 上部電極
76,77 ヒューズ用プラグ
78,79 ヒューズ用プラグ開口
80 ヒューズ用プラグ開口
80 プラグ開口
81 電極膜
84 電極膜
91,92 コンタクトプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を主成分とする導電性材料からなる下配線層と、
前記下配線層よりも上層に形成された上配線層と、
前記下配線層と前記上配線層との間を接続するためのプラグが形成されるプラグ形成層に少なくとも一部が形成され、銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料で形成されたヒューズ膜とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記ヒューズ膜と前記上配線層とを接続するように前記プラグ形成層に形成され、銅以外の金属材料を主成分とする導電性材料で形成されたヒューズ用プラグをさらに含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
下部電極層、絶縁層および上部電極層を積層したキャパシタをさらに含み、
前記上部電極層が上記下配線層よりも上層の金属層からなり、
上記ヒューズ膜が、当該上部電極層と同一層に当該上部電極層と同一材料で形成された第1金属層を含む、請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ヒューズ膜が、前記ヒューズ用プラグと同一層に当該ヒューズ用プラグと同一材料で形成された第2金属層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ヒューズ用プラグと前記第2金属層とが一体化している、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
平面視において前記ヒューズ膜を取り囲むように筒状に形成されたシールリングをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
銅を主成分とする導電性材料からなる下配線層を形成する工程と、
前記下配線層上にプラグ形成層を形成する工程と、
前記プラグ形成層に銅以外の金属を主成分とする導電性材料からなるヒューズ膜を形成する工程と、
前記プラグ形成層に、層間接続用プラグおよびヒューズ用プラグのための開口を形成する工程と、
前記開口に銅以外の金属を主成分とする導電性材料を埋め込んで前記層間接続用プラグおよび前記ヒューズ用プラグを形成し、前記ヒューズ用プラグを前記ヒューズ膜に結合させる工程と、
前記ヒューズ用プラグおよび前記層間接続用プラグに接続する上配線層を前記プラグ形成層よりも上層に形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ヒューズ膜を形成する工程が、前記下配線層よりも上層に、下部電極膜、絶縁膜および上部電極膜を有するキャパシタ構造を形成するとともに、前記上部電極膜と同一層に当該上部電極膜と同一金属材料からなる第1金属層を形成する工程を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記プラグのための開口を形成する工程において、前記ヒューズ膜を形成するためのヒューズ膜用開口を同時に形成し、
前記プラグを埋め込む工程において、前記ヒューズ膜の少なくとも一部を構成するように前記プラグと同一材料の金属を前記ヒューズ膜用開口に埋め込んで第2金属層を形成する、請求項7または8記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【公開番号】特開2012−164831(P2012−164831A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24390(P2011−24390)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】