説明

半導体装置の製造方法

【課題】 フリップチップボンディング後のチップとテープの位置決め精度を高い精度で評価する。
【解決手段】 チップ3を保持するマウントヘッド5とステージ上のテープ4との間に、退避可能なプリズム型ミラー2と、このプリズム型ミラー2の二つの反射面2bと反射面2cに映じたチップ3のパッドおよびテープ4のバンプ4bの画像等を撮影するカメラ1を配置し、ボンディング直前のチップ3のパッドおよびテープ4のバンプ4bの位置ずれ量を正確に測定し、フリップチップボンディング完了後の、パッドとバンプ4bの位置ずれの良否を高精度判定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、半導体装置の組み立て工程におけるフリップチップボンディング等に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、半導体装置の組み立て工程では、絶縁フィルム上に実装電極パターンが形成されたキャリアテープのバンプ電極に、半導体ペレットの表面電極を一括してフリップチップボンディングするTAB(Tape AutomatedBonding)技術を用いることが知られている。
【0003】このようなフリップチップボンディングを行うフリップチップマウンタは半導体ペレット(チップ)のパターン面とテープの表面を接着面としてマウントする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなフリップチップボンディングでは、ボンディング完了後は、ボンディング部位が外部から見えないため、マウント後に、半導体ペレットの表面電極と、対応するテープ側のバンプ電極との位置ずれ等のマウント精度を測定する事が出来ない、という技術的課題がある。
【0005】なお、チップのエッヂ面とテープの基準面を用いても両者の位置ずれを測定できるが、チップエッヂ面の加工精度以上のボンディング精度が計算できない、という他の技術的課題が生じる。
【0006】本発明の目的は、半導体ペレットおよびボンディング対象物の寸法精度等に影響されることなく、フリップチップボンディングのボンディング位置精度を高精度に評価することが可能な技術を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、フリップチップボンディングの完了後に、ボンディング結果の良否を迅速に判定することが可能な技術を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、ボンディング結果の正確な評価により、半導体装置の信頼性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【0009】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】本発明は、半導体ペレット上に設けられた複数の第1の電極と、ボンディング対象物上に設けられた複数の第2の電極とを一括してボンディングするフリップチップボンダを用いて半導体装置の組み立てを行う半導体装置の製造方法において、フリップチップボンダに、ボンディング直前の互いに対向した状態の第1および第2の電極を同時に観察する電極位置観察機構を設けたものである。
【0012】より具体的には、マウント直前に、チップとテープ等のボンディング対象物のの各々の電極位置を測定し、ボンディング後の両者の電極同士のボンディング精度を理論的に算出する機構を持つフリップチップマウンタを用いてフリップチップボンディングを行う。マウント直前のテープマウント面の真上にチップが来た状態で、テープのバンプ位置とそのバンプに接合されるチップのパット位置を測定する。その時の位置関係からボンディング後のマウント精度として算出する。これにより、ボンディング後の精度をより正確に算出できる。また、フリップチップボンディングにて接合した半導体装置の良、不良がマウント直後に判別できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法に用いられるフリップチップ組立て装置の構成の一例を示す斜視図であり、図2は、その一部を示す斜視図、図3は、その作用の一例を示す説明図である。
【0015】図1において、3はチップ、4はテープ、5はマウントヘッド、5aはボンディングアーム、6はステージ、7は位置決め用カメラ、8はローダ、9はアンローダ、10はプリベーク炉、11はアフターベーク炉、12はモニタ、13はウェハカセット、14は保護テープ、である。
【0016】ローダ8で保護テープ14から分離されて繰り出されたテープ4は、プリベーク炉10を通過して予熱された後、ステージ6とマウントヘッド5の間を通過し、位置決め用カメラ7にて位置決めが行われ、ステージ6とマウントヘッド5の間で挟圧されることでチップ3がフリップチップボンディングされた後、アフターベーク炉11を通過してアンローダ9に至り、保護テープ14とともに巻き取られる。
【0017】本実施の形態の場合、ステージ6とマウントヘッド5の間には、両者の間に図示しない移動機構にてボンディング動作時には退避可能に位置決めされ、チップ3のパッド3aの画像、およびテープ4上のバンプ4bの画像を、二つの反射面2bおよび反射面2cを介して同時に観察するプリズム型ミラー2と、このプリズム型ミラー2の二つの反射面2bおよび反射面2cに映じた画像を取り込むカメラ1が設けられている。
【0018】すなわち、図2に例示されるように、カメラ1とプリズム型ミラー2にて、チップ3とテープ4の各々のボンディング面の画像を取り込み、モニタ12等に写しだし、両者のパッド3aおよびバンプ4b等の位置を測定する。この測定後、プリズム型ミラー2を退避させた後、マウントヘッド5を垂直に降下させてチップ3をテープ4にマウントする。
【0019】図2において、マウントヘッド5に保持されたチップ3の位置はマウント直前の位置となっている。チップ3を垂直に降ろし、テープ4に圧着すればマウント終了となる(図2では破線でボンディング完了状態のチップ3の位置が示されている)。
【0020】上述のように、本実施の形態では、プリズム型ミラー2とカメラ1を用いてチップ3とテープ4のマウント直前の位置が同時に撮影できるようになっている。なお、図2の例では、一つのカメラ1にて、プリズム型ミラー2の二つの反射面2bおよび反射面2cを介してチップ3およびテープ4の画像を撮影しているが、プリズム型ミラー2の二つの反射面2bおよび反射面2cの各々に映じたチップ3およびテープ4の画像を別々のカメラで撮影する構成としてもよい。
【0021】図3に、図2の状態の時のモニタ12のカメラ映像1aを示す。テープ表面4aのターゲットとなるバンプ4bと、チップ3表面のターゲットとなるパッド3aと、プリズム境界2aの位置関係と、プリズム型ミラー2とカメラ1の位置関係によりチップ3とテープ4の水平方向位置ズレ15が測定できる。
【0022】測定したチップ3とテープ4の水平方向位置ズレ15にマウントヘッド5の水平方向精度を加える事により、マウント精度が高精度で算出できる。
【0023】図4は、本実施の形態のフリップチップ組立て装置のボンディング部位の構成の変形例を示す斜視図である。
【0024】この図4の変形例の場合、図1および図2におけるプリズム型ミラー2とカメラ1の代わりに、チップ3およびテープ4の位置検出の為の構成として、上カメラ18および下カメラ19を、光軸を同軸としかつ当該光軸が垂直方向となる姿勢で、当該チップ3とテープ4の間から退避自在に配置し、上カメラ18にてチップ3の画像(位置)を検出し、下カメラ19にてテープ4の画像(位置)を検出する構造となっている。そして、図4の測定の後、マウントヘッド5を垂直に降下させてチップ3をテープ4にマウントする。
【0025】すなわち、上カメラ18および下カメラ19の各々にて検出されるチップ3およびテープ4の画像(位置)はマウント直前の位置となっており、この位置検出後に、チップ3を垂直に降下させて、テープ4に圧着すればマウント終了となる。
【0026】このように、図4の変形例では、上カメラ18と下カメラ19を用いて、フリップチップボンディング直前の位置決め完了状態でのチップ3とテープ4の画像が同時に撮影できるので、撮影した映像からチップ3とテープ4の水平方向位置ズレ16を高精度に測定および評価できる。この結果、上カメラ18と下カメラ19を用いて測定したチップ3とテープ4の水平方向位置ズレ16にマウントヘッド5の水平方向精度を加える事によりマウント精度が高精度で算出できる。
【0027】以上説明したように、本実施の形態の半導体装置の製造方法におけるフリップチップ組立て装置によれば、マウント直前のチップ3とテープ4の位置関係を正確に測定できるので、マウント精度はその位置関係のばらつきに最後のマウント動作による誤差を加えたものとなる。そのデータをマウント精度としてマウント前に出力すれば、ボンディング完了後には外部からボンディング部位が見えないためマウント精度の測定がわかりにくいフリップチップボンディングにおいても、ボンディング精度を正確に評価することができる。
【0028】この結果、チップ3のテープ4に対するフリップチップボンディング時の位置ずれ等の良否判定をより正確に行うことが可能となり、フリップチップボンディング工程における歩留りを向上させることが可能となる。
【0029】また、プリズム型ミラー2を用いる場合には、1台のカメラ1にて、チップ3とテープ4の画像を同時に検出でき、必要以上に多数のカメラを用いる必要がなく、組み立て装置全体を小さく設計できる。
【0030】また、フリップチップボンディング組み立て装置のボンディング精度を算出および評価できるので、当該組み立て装置を用いて組み立てられた半導体装置等の製品の信頼性が向上する。
【0031】さらに、プリズム型ミラー2およびカメラ1の構成、あるいは上カメラ18と下カメラ19を用いて測定したチップ3とテープ4の水平方向位置ズレ16を、それ以降の位置決め用カメラ7による位置決め制御系に実時間でフィードバックすることで、フリップチップボンディングにおけるチップ3とテープ4の位置決め精度を向上させることができる。
【0032】また、フリップチップボンディング組み立て装置の保守管理等における位置決め制御系の調整に、プリズム型ミラー2およびカメラ1の構成、あるいは上カメラ18と下カメラ19を用いて測定したチップ3とテープ4の水平方向位置ズレ16を反映させることで、フリップチップボンディング組み立て装置の高精度な保守管理が可能となる。
【0033】以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0034】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0035】本発明の半導体装置の製造方法によれば、半導体ペレットおよびボンディング対象物の寸法精度等に影響されることなく、フリップチップボンディングのボンディング位置精度を高精度に評価することができる、という効果が得られる。
【0036】本発明の半導体装置の製造方法によれば、フリップチップボンディングの完了後に、ボンディング結果の良否を迅速に判定することができる、という効果が得られる。
【0037】本発明の半導体装置の製造方法によれば、ボンディング結果の正確な評価により、半導体装置の信頼性を向上させることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法に用いられるフリップチップ組立て装置の構成の一例を示す斜視図である。
【図2】その一部を示す斜視図である。
【図3】その作用の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法に用いられるフリップチップ組立て装置のボンディング部位の構成の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 カメラ
1a カメラ映像
2 プリズム型ミラー
2a プリズム境界
2b 反射面
2c 反射面
3 チップ
3a パッド
4 テープ
4a テープ表面
4b バンプ
5 マウントヘッド
5a ボンディングアーム
6 ステージ
7 位置決め用カメラ
8 ローダ
9 アンローダ
10 プリベーク炉
11 アフターベーク炉
12 モニタ
13 ウェハカセット
14 保護テープ
15 水平方向位置ズレ
16 水平方向位置ズレ
18 上カメラ
19 下カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体ペレット上に設けられた複数の第1の電極と、ボンディング対象物上に設けられた複数の第2の電極とを一括してボンディングするフリップチップボンダを用いて半導体装置の組み立てを行う半導体装置の製造方法であって、前記フリップチップボンダに、ボンディング直前の互いに対向した状態の前記第1および第2の電極を同時に観察する電極位置観察機構を設けたことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−176934(P2001−176934A)
【公開日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−362009
【出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233505)日立東京エレクトロニクス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】