説明

半導体装置及びそのワイヤーボンディング方法

【課題】キャピラリーとワイヤーとの干渉・接触を避けながらボンディングパッドとフィンガーが接合される半導体素子及びそのワイヤーボンディング方法を提供すること。
【解決手段】半導体素子10は、ボンディングパッド12を備えた矩形の半導体チップ14とフィンガー16を備えた矩形のリードフレームよりなる。ワイヤー20により、それぞれのボンディングパッド12とそれぞれのフィンガー16は接合される。ワイヤーは、比較的短い第1のワイヤー群20と、比較的長い第2のワイヤー群(図示せず)に振り分けられる。第1のワイヤー群20のボンディングパッド側接合点は、半導体チップ14の外縁に近い位置に、第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点は、半導体チップ14の外縁から離れた位置にずれている。これにより、先行形成されたワイヤーとキャピラリーの干渉を避けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップのボンディングパッドと基板のフィンガーとをキャピラリーを用いてワイヤー接合するための、半導体装置のワイヤーボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の半導体装置の要部平面図、図8は図7の正面図を示している。半導体装置60は、ボンディングパッド62を備えた半導体チップ64とフィンガー66を備えた基板68よりなる。それぞれのボンディングパッド62とそれぞれのフィンガー66は、ワイヤー70により接合される。この種の半導体装置60の製造方法は、専ら、プロービング工程とボンディング工程よりなる。プロービング工程では、探針(図示せず)がボンディングパッド62の表面中心に接触し、内部回路の正常動作の確認及び検査を行う。このとき、一般的に、プローブ痕がボンディングパッド62の表面に生じる。ボンディング工程では、一般的に、キャピラリー72を利用して、ボンディングパッド62の中心とフィンガー66とがワイヤー70により接合される。
【0003】
図7及び図8を参照して、ボンディング工程を詳細に説明する。ボンディングパッド62は半導体チップ64の外縁に沿って整列するように設けられている。フィンガー66は基板68の外縁に沿って整列するように設けられている。ボンディングパッド62は千鳥状で複列に配置されることがあり、フィンガー66も千鳥状で複列に配置される場合もある。ここでは、ボンディングパッド62は単列とし、フィンガー66は千鳥状で複列であるとする。
【0004】
フィンガー66が千鳥状で複列であるので、短いワイヤーと長いワイヤーが存在する。通常、短いワイヤーが先行してボンディングパッド64及びフィンガー66に接合される。長いワイヤーが先行すると、短いワイヤーが基板68に接合されるとき、キャピラリーが先行して接合された長いワイヤーに接触するためである。より具体的には、キャピラリーは、ボンディングパッドの幅(ピッチ)より最大直径が大きく、ボンディングパッドへのボンディング時には接触せずとも、フィンガーへのステッチボンディング時に干渉や接触をするからである。そのため、まず、短いワイヤーによりボンディングパッドとフィンガーが接合される。その後、長いワイヤーによりボンディングパッドとフィンガーが接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3046630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のボンディング方法では、2つの問題がある。
(1)第1に、プローブ痕とボンディング位置が同じであることに問題がある。探針によりプロービング工程を行うと、ボンディングパッドの表面が荒れる。プローブ痕の上でワイヤーボンディングを行うと、接合が不安定になる。上記従来例では、ボンディングパッドが単列である場合を例示したが、ボンディングパッドが千鳥状で複列であっても同じ問題がある。
【0007】
(2)第2に、先に、短いワイヤーによりボンディングパッドとフィンガーが接合されても、後続する長いワイヤーによりボンディングパッドとフィンガーが接合される場合、先行形成した短いワイヤーにキャピラリーが干渉・接触する問題がある。詳細には、キャピラリーは、金線をトーチで溶かしながら圧着ボールを形成する。その後、キャピラリーは、ボンディングパッドに圧着ボールを押し付ける。その際、短いワイヤーが先に形成されていても、キャピラリーがワイヤーと接触する。フィンガー側は、通常、スペースに余裕があるので、キャピラリーが干渉・接触することは少ない。しかし、ボンディングパッドは、半導体チップの外縁で密に設けられているので、キャピラリーが短いワイヤーに干渉・接触する危険が高くなる。特に、ワイヤーは半導体チップを中心に放射状に形成されることが多い。これは、フィンガーのピッチの方がボンディングパッドのピッチより広くなるためである。そのため、傾斜角度が大きくなると、図7に示されるように、ワイヤーがキャピラリーの移動軌跡と干渉することにもなる。ワイヤーに長短がない場合においても、ワイヤーが放射状であると、その傾斜角度によっては、先行するワイヤーにキャピラリーが干渉・接触する問題がある。
【0008】
なお、上記半導体装置は、ボンディングパッドが単列である場合を例示したが、特許第3046630号公報の図1に示されるように、外側列及び内側列のボンディングパッドが千鳥状で複列に配置された半導体装置も提案されている。このような半導体装置は、ボンディングパッドの高密度化という観点では優れている。しかし、上記第1の問題が解決に至っていない。なお、上記第2の問題は、外側列のボンディングパッドからワイヤーにより接合されると、上記第2の問題は一応解決される。しかし、その一方で、外側列及び内側列のボンディングパッドが千鳥状に複列に配置されると、ボンディングパッド毎にワイヤーの属性が固定されてしまうため、半導体装置の汎用性が低くなるという問題が生じる。また、ボンディングパッドが千鳥状に複列で配置されていても、ボンディングパッドの高密度化が進むと、外側列及び内側列の個々の列において、先行形成したワイヤーにキャピラリーが干渉・接触する問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、キャピラリーから送出されるワイヤーによりボンディングパッドとワイヤーが次々と接合される場合において、キャピラリーとワイヤーとの干渉・接触を避けながらボンディングパッドとフィンガーが接合された半導体装置及びそのワイヤーボンディング方法を提供することにある。本発明の他の目的は、ワイヤー属性、例えば、長さや傾斜角度を参照して、干渉・接触を生じることがないように、ワイヤーボンディングの順番を自動的に演算することができる、ワイヤーボンディング方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、ボンディングパッド上でプローブ痕とワイヤー接合部の中心をずらすことにより、ボンディングパッドのプローブ痕を極力避けてボンディング工程を行うことができる、ワイヤーボンディング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、半導体チップの複数のボンディングパッドと基板の複数のフィンガーとがワイヤーで接合された半導体装置において、前記ボンディングパッドが、前記半導体チップの外縁に沿って少なくとも一部分が整列して配置され、少なくとも1つのワイヤーにおけるボンディングパッド側接合点が、当該ワイヤーに隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点と前記外縁に向う方向にずれていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0011】
ボンディングパッドが千鳥状であれば、ワイヤーによりボンディングパッドとフィンガーが接合される場合に、先行形成されたワイヤーとキャピラリーが干渉・接触することは少ない。しかし、整列して配置されたボンディングパッド上でワイヤーを接合する場合、特に、半導体チップ上でボンディングパッドが高密度で配置されている場合は、整列するボンディングパッド同士において先行形成されたワイヤーとキャピラリーが干渉・接触する。本発明では、少なくとも1つのワイヤーにおいて、そのボンディングパッド側接合点が隣合う同列のワイヤーのボンディングパッド側接合点と外縁に向う方向にずれている。例えば、隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点が、ボンディングパッドの中心にある場合は、当該ワイヤーのボンディングパッド側接合点は、半導体チップの外縁に向って、又は、半導体チップの外縁と反対側に向ってずれている。また、例えば、隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点が、ボンディングパッドの外縁に偏寄している場合は、当該ワイヤーのボンディングパッド側接合点は、半導体チップの外縁と反対側に向ってずれている。ボンディングパッドが半導体チップの外縁に沿って単列で配置されていようと、ボンディングパッドが半導体チップの外縁に沿って複列で配置されていようと、同列内でキャピラリーによりワイヤーを接合する場合は同じである。このように構成された半導体装置では、比較的外縁に近いボンディングパッド側接合点のワイヤーが先行して形成され、その後、比較的外縁から遠いボンディングパッド側接合点のワイヤーが形成される。キャピラリーの周辺には、先行形成されたワイヤーが存在することがなくなり、ワイヤーとキャピラリーとの干渉・接触を避けることができる。
【0012】
以上は、ボンディングパッド側接合点に着目したが、フィンガー側接合点においても同様の問題を回避することが好ましい。もっとも、公知の基板は、フィンガーが基板の外縁に沿って整列しているものに加えて、フィンガーが基板の外縁に向う方向にずれているものがある。これらの半導体装置において、フィンガーの位置を無視してボンディングパッド側接合点をずらせるのではなく、フィンガー側接合点の位置に着目して、前記ワイヤーが互いに近接するボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を備えた第1のワイヤー群と、互いに離間するボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を備えた第2のワイヤー群に振り分けている。すなわち、フィンガーが基板の外縁に沿って整列しているものでは、フィンガー側接合点をずらせて第1のワイヤー群及び第2のワイヤー群が形成される。また、フィンガーが基板の外縁に向う方向にずれているものでは、それぞれのフィンガーを基準に第1のワイヤー群及び第2のワイヤー群が形成される。こうすることにより、ボンディングパッド側接合点だけでなく、フィンガー側接合点においても、ワイヤーとキャピラリーとの干渉・接触を避けることができる。なお、第1のワイヤー群と第2のワイヤー群と配置は、先行形成したワイヤーとキャピラリーとの干渉・接触がない限り、1つのボンディングパッド列において、ランダムに配列されていても、交互に配列されていてもよい。
【0013】
本発明は、特に、半導体チップの複数のボンディングパッドと前記半導体チップを囲繞する基板の複数のフィンガーとがワイヤーで接合され、隣合うワイヤー間の間隔が前記基板の外縁に向って広がるように構成された半導体装置に対して有用である。一般的な半導体装置は、半導体チップの数倍ある基板を備えている。ワイヤーは、実質的に放射状に形成され、隣合うワイヤーは間隔を漸増させている。その結果、半導体チップの四隅のワイヤーは半導体チップの外縁に対して傾斜する。傾斜角度は、四隅ほど大きくなる。このような半導体装置では、ワイヤーがボンディングパッドに接合されるとき、先行形成された四隅のワイヤーとキャピラリーが干渉・接触しやすい。ただし、各辺の中央付近のワイヤーは干渉・接触することは少ない。したがって、各辺の両端近傍のワイヤーにおけるボンディングパッド側接合点が、当該ワイヤーに隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点と前記外縁に向う方向にずれていれば十分に干渉・接触を避けることができる。各辺の中央近傍のワイヤーについては、干渉が生じないのであれば、あえて隣合うワイヤー同士でボンディングパッド側接合点をずらす必要がないが、ずらすことによりワイヤー属性のグループ化を単純化することができる場合はずらすことが可能である。
【0014】
なお、ボンディングパッドが、前記外縁に向う方向に縦長であり、前記ワイヤーのボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの中心から前記外縁に向う方向にずれていることが好ましい。ボンディングパッド側接合点を中心からずらせることにより、ボンディングパッド上には、ボンディングパッド側接合点以外に比較的広いスペースを確保することができる。こうすることにより、プロービング工程を行う際、ボンディングパッド上のボンディングパッド側接合点以外でプローブ探針を押し当てることができる。ボンディングパッド表面が荒れた状態のプローブ痕にボンディングパッド側接合点を求めると、ワイヤーとの接合が不十分になることが予想されるが。本発明では、ボンディングパッド側接合点以外でプロービング工程を行うことができるので、ワイヤー接合時の不良発生を抑えることができる。
【0015】
また、本発明は、半導体チップの複数のボンディングパッドと基板の複数のフィンガーとがキャピラリーから送出されるワイヤーで接合された半導体装置におけるワイヤーボンディグ方法において、フィンガー側接合点によって、比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群に振り分け、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を結ぶそれぞれのワイヤー軌道と前記ワイヤーを形成するキャピラリーの軌跡とが干渉するワイヤーについてボンディングパッド側接合点を前記半導体チップの外縁に向う方向にずらす工程;前記第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;及び前記第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;を含むワイヤーボンディング方法を提供する。
【0016】
半導体チップ及び基板が与えられると、ボンディングパッドの定点を基準にボンディングパッド側接合点が仮決めされる。仮決めされたボンディングパッド側接合点は、ボンディングパッドの中心又は外縁に向う方向に偏寄した位置とする。また、ここでは、フィンガー側接合点は常に中心を定点として説明する。仮決めされたボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが決定されると、それぞれのワイヤーについてワイヤー軌道が決定される。次いで、ワイヤー軌道に基づいてキャピラリーの軌跡が決定される。キャピラリーは、ワイヤーと異なり一定の幅がある。したがって、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が干渉する恐れがある。そこで、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が干渉する場合には、そのワイヤーのボンディングパッド側接合点を外縁に向う方向にずらせる。例えば、仮決めしたボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの中心である場合には、干渉しているワイヤーのボンディングパッド側接合点を外縁に近付く方向にずらすことにより、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡は非干渉となる。また、例えば、仮決めしたボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの外縁に近付く方向に偏寄している場合には、干渉しているキャピラリー軌跡のワイヤーのボンディングパッド側接合点を外縁に近付く方向と反対方向にずらすことにより、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡は非干渉となる。さらに、例えば、仮決めしたボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの外縁から離れる方向に偏寄している場合には、干渉しているワイヤーのボンディングパッド側接合点を外縁に近付く方向ずらすことにより、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡は非干渉となる。
【0017】
その後、第1のワイヤー群を先行させて、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とがそのワイヤー群で接合される。次いで、第2のワイヤーにより、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とがそのワイヤー群で接合される。こうすることにより、キャピラリーを利用してワイヤーがボンディングパッドに接合される際、先行する第1のワイヤーが存在していても、後続の第2のワイヤー群は、それを形成するキャピラリーが先行する第1のワイヤー群と干渉することがなくなる。
【0018】
なお、前記振り分ける工程が、比較的短い第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点をボンディングパッドの中心から半導体チップの外縁に向ってずらす工程と、比較的長い第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点をボンディングパッドの中心から半導体チップの外縁と反対に向ってずらす工程を含むことが好ましい。それぞれのボンディングパッドにおいて、比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群をボンディングパッドの中心から互いにずらせることにより、第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点と第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点との間隔が広がる。これにより、第2のワイヤー群がボンディングパッドに接合される際、第1のワイヤー群とキャピラリーとが確実に干渉・接触しなくなる。
【0019】
また、前記振り分ける工程において、前記ワイヤーを比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群を交互に振り分けることが好ましい。第1のワイヤー群と第2のワイヤー群を交互に振り分けることにより、第1のワイヤー群と第2のワイヤー群のそれぞれのボンディングパッド側接合点の間隔は、同じワイヤー群が隣合う場合のボンディングパッド側接合点の間隔に比べて広くなる。こうすることより、先行形成されたワイヤー群とキャピラリーとが確実に干渉・接触しなくなる。
【0020】
上記形態では、ボンディングパッド側接合点にのみ着目して、隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点をずらせることを意図しているが、フィンガー側接合点においても同様にその接合点をずらせることが好ましい。そこで、基板が半導体チップに近いフィンガーと半導体チップに遠いフィンガーを備えている半導体装置では、前記ワイヤーを、半導体チップに近いフィンガーに対応させて比較的短い第1のワイヤー群を割り当て、半導体チップに遠いフィンガーに対応させて比較的長い第2のワイヤー群を割り当てることが好ましい。こうすることにより、フィンガー側接合点においても、先行形成された第1のワイヤー群と第2のワイヤー群を送出するキャピラリーとが干渉・接触しなくなる。
【0021】
さらに、本発明では、半導体チップの複数のボンディングパッドと基板の複数のフィンガーとがキャピラリーから送出されるワイヤーで接合された半導体装置におけるワイヤーボンディグ方法において、フィンガー側接合点によって、比較的短い第1のワイヤー群、比較的長い第2のワイヤー群、第1のワイヤー群と第2のワイヤー群との中間的な長さの初期設定ワイヤー群に振り分け、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を結ぶそれぞれのワイヤー軌道と前記ワイヤーを形成するキャピラリーの軌跡とが干渉する第1のワイヤー群と第2のワイヤー群に含まれるワイヤーについてボンディングパッド側接合点を前記半導体チップの外縁に向う方向にずらす工程;前記第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;前記長さ不変の初期設定ワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;及び前記第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;を含むワイヤーボンディング方法を提供する。
【0022】
半導体チップ及び基板が与えられると、ボンディングパッドの定点を基準にボンディングパッド側接合点が仮決めされる。仮決めされたボンディングパッド側接合点は、ボンディングパッドの中心とする。また、フィンガー側接合点は常に中心として説明する。仮決めされたボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが決定されると、それぞれのワイヤーについてワイヤー軌道が決定される。次いで、ワイヤー軌道に基づいてキャピラリーの軌跡が決定される。キャピラリーは、ワイヤーと異なり一定の幅がある。したがって、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が干渉する恐れがある。そこで、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が干渉する可能性が極めて高い場合には、一部のワイヤーにおいてボンディングパッド側接合点を外縁に近付く方向にずらし、一部のワイヤーにおいてボンディングパッド側接合点を外縁から離れる方向にずらせる。例えば、仮決めしたボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの中心である場合には、干渉しているワイヤーのボンディングパッド側接合点を外縁に近付く方向にずらすことにより、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡は非干渉となる。また、干渉してないワイヤーのボンディングパッド側接合点を外縁から離れる方向にずらすことにより、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡は確実に非干渉となる。
【0023】
その後、第1のワイヤー群、長さ不変の初期設定ワイヤー群、第2のワイヤー群の順番で、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とがそれぞれのワイヤー群で接合される。こうすることにより、キャピラリーを利用してワイヤーがボンディングパッドに接合される際、先行するワイヤーが存在していても、後続のワイヤー群は、それを形成するキャピラリーが先行するワイヤー群と干渉することがなくなる。
【0024】
また、ボンディングパッド側接合点を外縁に向う方向にずらせることにより、ボンディングパッド表面にはスペースが形成される。半導体装置は、プロービングによってボンディングより前の工程で検査される。このとき、プローブ探針によってプローブ痕が形成される。本発明では、ボンディングパッド上のボンディングパッド側接合点を避けて、プロービング工程を行うこと提案する。こうすることにより、ボンディングパッド側接合点をプローブ痕がない部分に設定できる。したがって、ワイヤーの接合が安定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、整列したボンディングパッドを備えた半導体チップを用いて半導体装置を製造する際においても、ボンディングパッドの範囲内でワイヤーのボンディングパッド側接合点をずらすことにより、先行形成されたワイヤー軌道と後続するワイヤーを形成するためのキャピラリーの軌跡との間にクリアランスを確保でき、先行形成されたワイヤーにキャピラリーが干渉・接触することがなくなる。したがって、ワイヤーの損傷やワイヤーの変形を生じることなく、品質良好な半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による半導体装置の第1実施形態の概略平面図。
【図2】本発明による半導体装置のワイヤーボンディング方法の演算工程を示すフローチャート。
【図3】本発明による半導体装置のワイヤーボンディング方法の他の演算工程を示すフローチャート。
【図4】本発明による半導体装置の第2実施形態の概略平面図。
【図5】本発明による半導体装置の第3実施形態の概略平面図。
【図6】本発明による半導体装置の第4実施形態の概略平面図。
【図7】従来の半導体装置の要部平面図。
【図8】図7の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明による半導体装置及びそのワイヤーボンディング方法の一実施形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明による半導体装置10の第1実施形態を示している。半導体装置10は、ボンディングパッド12を備えた矩形の半導体チップ14とフィンガー16を備えた矩形の基板18よりなる。ワイヤー20により、それぞれのボンディングパッド12とそれぞれのフィンガー16は接合される。ボンディングパッド12は、半導体チップ14の4辺の外縁に沿って同列且つ単列で配置されている。それぞれのボンディングパッド12は、例えば、外縁に向う方向に縦長で形成された長方形のような矩形である。もっとも、ボンディングパッド12は、他の形状であってもよい。フィンガー16は、公知の形態をしており、例えば、ボンディングパッド12と同数で基板18の外縁に沿って複列で配置されている。ただし、基板18は、半導体チップ14を囲繞しているので、各辺の長さは半導体チップ14より長くなっている。ワイヤー20は、対応するボンディングパッド12とフィンガー16とを電気的に接続する。ボンディングパッド12とフィンガー16とは、このワイヤー20によって接合される。基板18は半導体チップ14より大きいので、それぞれのワイヤー20は、実質的に放射状に形成される。したがって、ワイヤー20は、半導体チップ14及び基板18の四隅ほど傾斜角度が大きくなる。また、四隅ほど傾斜角度が大きくなるので、隣合うワイヤー同士の間隔は基板18に向って漸増する。
【0029】
図1に示されるように、複列のフィンガー16のうち、半導体チップ14に近いフィンガー16aと半導体チップ14から離れたフィンガー16bを基準に、ワイヤーは、比較的短い第1のワイヤー群20と、比較的長い第2のワイヤー群(図示せず)に振り分けられる。第1のワイヤー群20のボンディングパッド側接合点は、半導体チップ14の外縁に近い位置、すなわち、フィンガー16に近い位置に設定されている。一方、第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点は、半導体チップ14の外縁から離れた位置、すなわち、フィンガー16から遠い位置に設定されている。もっとも、第1のワイヤー群20のボンディングパッド側接合点と第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点との一方が、ボンディングパッド12の中心にあってもよい。
【0030】
図4は、本発明による半導体装置30の第2実施形態を示している。半導体装置30は、同形状の細長い長方形のボンディングパッド32を備えた半導体チップと、同形状の細長い長方形のフィンガー34を備えた基板よりなる。ワイヤー36により、それぞれのボンディングパッド32とそれぞれのフィンガー34が接合される。ボンディングパッド32は、第1実施形態と同様に、半導体チップの4辺の外縁に沿って同列且つ単列で配置されている。フィンガー34は、基板の外縁に沿って同列で且つ単列で配置されている。本実施形態のフィンガー34は、放射状に配置されている。ワイヤー36は、対応するボンディングパッド32とフィンガー34とを電気的に接続する。基板は半導体チップより大きいので、それぞれのワイヤー36は、実質的に放射状に形成される。
【0031】
本実施形態では、同形状の細長い長方形のボンディングパッド及び同形状の細長い長方形のフィンガーを利用して、これらを接合するワイヤーの属性を変更する。ワイヤーは、長さ及び高さによって、異なる属性を持つ。図4に明示されるように、第1のワイヤー群36aは、ボンディングパッド及びフィンガーのそれぞれの中心から互いに近付く位置に接合点を持つ。第2のワイヤー群36bは、ボンディングパッド及びフィンガーのそれぞれの中心から互いに離れる位置に接合点を持つ。もっとも、初期設定ワイヤー群として、ボンディングパッド及びフィンガーの中心の接合点を持つワイヤーを混在させてもよい。また、第1のワイヤー群36aは、第2のワイヤー群36bに比べて低い軌道を備えている。このように、それぞれのワイヤー群が、高さにおいて異なる属性を備えているので、実質的なワイヤー間隔が広くなり、ショート防止に有利である。
【0032】
図5は、本発明による半導体装置40の第3実施形態を示している。半導体装置40は、同形状の細長い長方形のボンディングパッド42を備えた半導体チップと、リング状の第1のフィンガー44a及び矩形のフィンガー44bを備えた基板よりなる。本実施形態では、リング状の第1のフィンガー44aが内側に配置され、矩形のフィンガー44bが外側に配置されているが、この関係が逆でもよい。ワイヤー46により、それぞれのボンディングパッド42とそれぞれのフィンガー44a,44bが接合される。ボンディングパッド42は、第1実施形態と同様に、半導体チップの4辺の外縁に沿って同列且つ単列で配置されている。ワイヤー46は、対応するボンディングパッド42とフィンガー44a、44bとを電気的に接続する。
【0033】
本実施形態では、同形状の細長い長方形のボンディングパッド並びにリング状のフィンガー44a及び矩形のフィンガー44bを利用して、これらを接合するワイヤーの属性を変更する。ワイヤーは、長さ及び高さによって、異なる属性を持つ。図5に明示されるように、第1のワイヤー群46aは、ボンディングパッドの外縁に近い位置とリング状のフィンガー44aに接合点を持つ。第2のワイヤー群46bは、ボンディングパッドと外縁に遠い位置と矩形のフィンガー44bに接合点を持つ。また、第1のワイヤー群46aは、第2のワイヤー群46bに比べて低い軌道を備えている。BGA(ball grid array)系の半導体装置では、このような配置になることが多い。
【0034】
図6は、本発明による半導体装置50の第4実施形態を示している。半導体装置50は、ボンディングパッド52a,52bを備えた半導体チップと、フィンガーを備えた基板よりなる。図6において、フィンガー、基板及びワイヤーは省略されている。ボンディングパッド52は、半導体チップの4辺の外縁に沿って複列で配置されている。外側列のボンディングパッド52a及び内側列のボンディングパッド52bとも、同形状の細長い長方形である。外側列のボンディングパッドと内側列のボンディングパッドは、先行形成したワイヤーとの干渉・接触を避けるため、本実施形態のように千鳥状に配置されていることが好ましいが、それぞれのボンディングパッド52a,52bが同位相で配置されていてもよい。
【0035】
本実施形態では、同列内において、第1のワイヤー群と第2のワイヤー群が存在する。すなわち、外側列においても、内側列においても、第1のワイヤー群と第2のワイヤー群が存在する。基板及びフィンガーとの関係では、最も近いフィンガー側接合点に外側列の第1のワイヤー群が対応し、順次、外側列の第2のワイヤー群、内側列の第1のフィンガー群、内側列の第2のフィンガー群が対応する。こうすることにより、ワイヤーは異なる属性を持つ。すなわち、ワイヤーの長さは、外側列の第1のフィンガー群、外側列の第2のワイヤー群、内側列の第1のフィンガー群、内側列の第2のフィンガー群の順で長くなる。さらに、ボンディングパッドの中心にボンディングパッド側接合点を持つワイヤー群を混在させる場合もある。
【0036】
次に、ワイヤーボンディング方法について説明する。本発明の方法は、演算工程、すなわち、ワイヤーを振り分ける工程と、プロービング工程と、ワイヤーのボンディング工程を含む。図2は、演算工程を示すフローチャートを示している。半導体チップ及び基板が与えられ、製造装置が決められる。パッドサイズ、ワイヤー径、キャピラリー寸法は、固有値(定数)となる。その後、ボンディングパッド側接合点となるボンディング座標が仮決めされる。この段階で、ワイヤーのループ属性も仮決めされる。ループ属性とは、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点との間の間隔で決定されるワイヤーの長さと、ワイヤーの高さである(ステップS1)。
【0037】
それぞれのワイヤーについて、ボンディングパッド側接合点及びループ属性が決定されると、ワイヤー軌道が決定される。また、同時に、キャピラリーの移動軌跡が決定される。キャピラリーの移動軌跡とは、キャピラリーのヘッドが移動するときに空間を横切る一定幅の軌跡である。図1において、トーンを付して示した領域22が、ボンディングパッド側接合点においてキャピラリーが占有する領域である。例えば、図7のようにワイヤーの軌道とキャピラリーの軌跡が干渉する場合、フィンガー16aに対応するワイヤーと、フィンガー16bに対応するワイヤーのぞれぞれについて、隣接する(隣合う)ワイヤー−キャピラリー間距離の限界値を計算し、それ以上の距離となるようにずらし量を計算する(ステップS2)。
【0038】
次いで、任意の2本の隣接した(隣合う)ワイヤーを選択し(ステップS3)、そのループ属性が同一であるかの判断を行う(ステップS4)。同一とは、例えば、フィンガー16が単列である場合において、半導体チップ14の各辺の中央付近では、ワイヤーが実質的に同じ軌道をもつことを意味する。この場合、ワイヤー20は半導体チップ14の各辺に直交した状態にあり、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が干渉しない場合があり、仮決めされたボンディングパッド側接合点は、そのまま維持の位置を接合点として維持される。
【0039】
ループ属性が異なる場合、さらに、任意の2本のワイヤーについて、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が干渉・接触するかを判断するために距離計算が行われる(ステップS5)。ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡との間にクリアランスがあると、仮決めされたボンディングパッド側接合点は、そのまま維持の位置を接合点として維持される。
【0040】
クリアランスが無いと判断した場合、ボンディングパッド側接合点の位置を変更する(ステップS6)。フィンガーが単列の場合、ボンディングパッド側接合点を中心に維持、ステップ2で決定したずらし量でチップ外側にずらす(半導体チップの外縁に近付く方向に変更)、ステップ2で決定したずらし量でチップ内側にずらす(半導体チップの外縁から離れる方向に変更)を行う。同時に、ワイヤーの高さを設定し、中ループは仮決めされた中程度の高さに維持、低ループは低くする設定(ステップS7)、高ループは高くする設定を行う(ステップS8)。
【0041】
こうすることにより、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が非干渉となるように、ワイヤーが長さを基準に3種に振り分けられる(ステップS9)。なお、図1では、低ループの比較的短い第1のワイヤー群と、高ループの比較的長い第2のワイヤー群について例示しているが、上記フローチャートのように、3種のワイヤー群の設定も可能である。
【0042】
図3は、他の簡易な演算工程を示すフローチャートを示している。ボンディングパッド側接合点となるボンディング座標を中心に初期設定し、ワイヤーの長さ及び高さに関するループ属性及びずらし量を初期設定する(ステップS11)。この段階において、設定値に基づき、ワイヤーのループ属性から、高ループ、中ループ及び低ループの判定を行う(ステップS12)。ループ属性に基づいて、ボンディングパッドが形成された範囲内で高ループと低ループについてのみボンディングパッド座標を移動・変更する。短ループの場合は、ボンディングパッド側接合点となる座標を外縁に向って移動させ(ステップS13)、高ループの場合は、ボンディングパッド側接合点となる座標を外縁から離れるように移動させる(ステップS14)。以上の流れによって、ワイヤー軌道とキャピラリー軌跡が非干渉となるように、ワイヤーが長さを基準に3種に振り分けられる(ステップS15)。
【0043】
最終的なパッド側ボンディング位置の情報をもとに、プローブカードの針立て仕様が決定される。プロービング工程では、プローブ探針をボンディングパッド12に押し当てる。このとき、図1に示すように、プローブ探針によってプローブ痕24が生じる。そのため、プロービング工程におけるプローブ探針押し当て位置として、ボンディングパッドの範囲内でボンディングパッド側接合点の座標以外の場所を選定する。その後、プロービング工程を行う。
【0044】
プロービング工程が完了すると、ワイヤー群が図1のように比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群よりなる場合には、第1のワイヤー群を先行させてボンディングパッド12とフィンガー16が接合される。その後、第2のワイヤー群によりボンディングパッド12とフィンガー16が接合される。こうすることにより、第2のワイヤー群を形成するキャピラリーが、先行形成された第1のワイヤー群と干渉・接触することがなくなる。ワイヤー群が、長さ不変の初期設定ワイヤー群と比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群よりなる場合には、第1のワイヤー群を先行させてボンディングパッド12とフィンガー16が接合される。その後、長さ不変の初期設定ワイヤー群、第2のワイヤー群の順番で、ボンディングパッド12とフィンガー16が接合される。
【0045】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10,30,40,50 半導体装置
12,32,42,52 ボンディングパッド
14 半導体チップ
16,34,44 フィンガー
18 基板
20,36,46 ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの複数のボンディングパッドと基板の複数のフィンガーとがワイヤーで接合された半導体装置において、
前記ボンディングパッドが、前記半導体チップの外縁に沿って少なくとも一部分が整列して配置され、同列のボンディングパッドにおける少なくとも1つのワイヤーのボンディングパッド側接合点が、当該ワイヤーに隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点と前記外縁に向う方向にずれていることを特徴とする、半導体装置。
【請求項2】
前記ボンディングパッドが、前記半導体チップの外縁に沿って単列で配置されている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ボンディングパッドが、前記半導体チップの外縁に沿って複列で配置されており、それぞれの列のボンディングパッドにおける少なくとも1つのワイヤーのボンディングパッド側接合点が、当該ワイヤーに隣合うワイヤーのボンディングパッド側接合点と前記外縁に向う方向にずれている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記フィンガー側接合点が、前記基板の外縁に向う方向にずれており、互いに近接するボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を備えた第1のワイヤー群と、互いに離間するボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を備えた第2のワイヤー群がランダムに配列されている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記フィンガー側接合点が、前記基板の外縁に向う方向にずれており、互いに近接するボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を備えた第1のワイヤー群と、互いに離間するボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を備えた第2のワイヤー群が交互に配列されている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記フィンガーが、前記基板の外縁に沿って単列で配置され、前記ワイヤーにおける少なくとも1つのワイヤーのフィンガー側接合点が、当該ワイヤーに隣合うワイヤーのフィンガー側接合点と前記外縁に向う方向にずれている、請求項4又は5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ボンディングパッドが、前記外縁に向う方向に縦長であり、前記ワイヤーのボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの中心から前記外縁に向う方向にずれている、請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体チップの複数のボンディングパッドと前記半導体チップを囲繞する基板の複数のフィンガーとがワイヤーで接合され、隣合うワイヤー間の間隔が前記基板の外縁に向って広がるように構成された半導体装置において、
前記ボンディングパッドが、前記半導体チップの外縁に沿って少なくとも一部分が整列して配置され、前記半導体チップの一辺の両端近傍のワイヤーにおけるボンディングパッド側接合点が、当該ワイヤーに隣合う同列のワイヤーのボンディングパッド側接合点と前記外縁に向う方向にずれていることを特徴とする、半導体装置。
【請求項9】
前記ボンディングパッドが、前記外縁に向う方向に縦長であり、前記ワイヤーのボンディングパッド側接合点がボンディングパッドの中心から前記外縁に向う方向にずれている、請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体チップの複数のボンディングパッドと基板の複数のフィンガーとがキャピラリーから送出されるワイヤーで接合された半導体装置におけるワイヤーボンディグ方法において、
フィンガー側接合点によって、比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群に振り分け、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を結ぶそれぞれのワイヤー軌道と前記ワイヤーを形成するキャピラリーの軌跡とが干渉するワイヤーについてボンディングパッド側接合点を前記半導体チップの外縁に向う方向にずらす工程;前記第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;及び前記第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;を含むことを特徴とする、ワイヤーボンディング方法。
【請求項11】
比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群に振り分ける際、比較的短い第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点をボンディングパッドの中心から半導体チップの外縁に向ってずらす工程と、比較的長い第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点をボンディングパッドの中心から半導体チップの外縁と反対に向ってずらす工程を含む、請求項10記載のワイヤーボンディング方法。
【請求項12】
前記ワイヤーを比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群をランダムに振り分ける、請求項11記載のワイヤーボンディング方法。
【請求項13】
前記ワイヤーを比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群を交互に振り分ける、請求項11記載のワイヤーボンディング方法。
【請求項14】
基板が半導体チップに近いフィンガーと半導体チップに遠いフィンガーを備えている半導体装置において、
比較的短い第1のワイヤー群と比較的長い第2のワイヤー群に振り分ける際、前記ワイヤーを、半導体チップに近いフィンガーに対応させて比較的短い第1のワイヤー群を割り当て、半導体チップに遠いフィンガーに対応させて比較的長い第2のワイヤー群を割り当てる工程を含む、請求項11記載のワイヤーボンディング方法。
【請求項15】
半導体チップの複数のボンディングパッドと基板の複数のフィンガーとがキャピラリーから送出されるワイヤーで接合された半導体装置におけるワイヤーボンディグ方法において、
フィンガー側接合点によって、比較的短い第1のワイヤー群、比較的長い第2のワイヤー群、第1のワイヤー群と第2のワイヤー群との中間的な長さの初期設定ワイヤー群に振り分け、ボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点を結ぶそれぞれのワイヤー軌道と前記ワイヤーを形成するキャピラリーの軌跡とが干渉する第1のワイヤー群と第2のワイヤー群に含まれるワイヤーについてボンディングパッド側接合点を前記半導体チップの外縁に向う方向にずらす工程;前記第1のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;前記長さ不変の初期設定ワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;及び前記第2のワイヤー群のボンディングパッド側接合点とフィンガー側接合点とが当該ワイヤーで接合される工程;を含むことを特徴とする、ワイヤーボンディング方法。
【請求項16】
前記ボンディングパッド上のボンディングパッド接合点の中心とプローブの接触位置をずらして、プロービング工程を行う、請求項9乃至15のいずれかに記載のワイヤーボンディング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−101051(P2011−101051A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23841(P2011−23841)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2001−214954(P2001−214954)の分割
【原出願日】平成13年7月16日(2001.7.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】