説明

半導体装置

【課題】インナーリードのファインピッチ化を実現し得る半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体チップ96のエッジからの距離が相対的に小さい位置に配設された外周側突起電極98a間には、上記エッジからの距離が相対的に大きい位置に配設された内周側突起電極98bに接合される2本の内周インナーリードが設けられている。この内周インナーリードのうちの少なくとも1本は、内周側突起電極との接合位置に応じて屈曲している。また、突起電極は、上記半導体チップの内周側の列であるほど同一列に配設された数が増加している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、詳細には、ファインピッチ化されたインナーリードを有する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ドライバ用のパッケージとして、LSI等からなる半導体チップをフィルム基板上に搭載してなるCOF(Chip On Film)が使用される。COFの場合、半導体チップの周縁部に、所定の配列ピッチにて、突起電極が設置されている。そして、この突起電極は、上記半導体チップと上記フィルム基板とを接続するための上記フィルム基板上のインナーリードに接合している。すなわち、図9(a)に示すように、半導体チップ16上に突起電極18が設けられ、該突起電極18と、図示しないフィルム基板に支持されたインナーリード10とが接続される。インナーリード10は、図9(b)に示すように、半導体チップ16の端辺であるエッジから突起電極18まで直線的に配設されて、突起電極18に接合している。
【0003】
近年、微細加工技術の発達に伴って、半導体チップ16の入出力端子を外部配線へ接続するために、突起電極数の増加による多出力化が進められている。また、半導体装置の小型化等の点から半導体チップ16の縮小化が進められている。このような多出力化や半導体チップ16の縮小化を実現するためには、半導体チップ16上の突起電極18のファインピッチ化を進める必要がある。
【0004】
具体的には、図10(a)に示すように、半導体チップ16の周縁部に一列に並んで形成されている突起電極19を高密度に配置して、ファインピッチ化を図っている。このように、突起電極19を高密度に配置するためには、図10(b)に示すように、突起電極19間の間隔を狭くする、あるいは、突起電極19の幅を小さくする必要が生じる。
【0005】
しかしながら、突起電極19間の間隔や突起電極19の幅を小さくすると、突起電極19とインナーリード11とを接合する際のボンディング精度が低下してしまうという問題が生じる。つまり、半導体チップ16上の突起電極19とフィルム基板上のインナーリード11とは、加熱圧着によって接合される。このとき、加熱圧着部分にて、有機物からなるフィルム基板が熱膨張して10〜20μm程度の伸びが生じ、フィルム基板上のインナーリード11の位置にばらつきが生じる。そのため、半導体チップ16上に形成された突起電極19の形成位置に対応するように形成されたフィルム基板上のインナーリード11が、熱膨張によって、上記突起電極19の形成位置からずれてしまうことがある。
【0006】
上記熱膨張によるインナーリード11と半導体チップ16上の突起電極19の加熱圧着時の位置ずれは、半導体チップ16が長方形型である場合には、特に長辺側の半導体チップ16の端部の突起電極19で発生し、中央部の突起電極19では発生しない。これは、フィルム基板の熱膨張が半導体チップ16の端部に行くほど累積して大きくなるためである。
【0007】
上記のようなインナーリード11の位置のずれは、突起電極19とインナーリード11との接合におけるボンディング精度を低下させる原因となる。すなわち、上記インナーリード11の位置のずれにより、加熱圧着による接合に際して、インナーリード11が接合されるべき突起電極19以外の突起電極に接触して、ショートやリーク不良を招くことになる。
【0008】
このような理由から、突起電極19間の間隔や突起電極19の幅を小さくすることには限界があり、従って、インナーリード11のファインピッチ化にも限界がある。具体的には、現在量産されている図10(a)に示すCOFでは、図10(b)に示すように、突起電極19の幅w10は25μmであり、突起電極19間の距離d10が15μmとなっている。これにより、突起電極19の配列ピッチm10は40μmとなる。つまり、現在のボンディング精度では、上記COFのインナーリードのピッチp10は40μm程度に留まることになる。このように、図10(a)に示すCOFでは、上記した突起電極19間の間隔を縮小することや、突起電極19の幅を縮小することによって、ショートやリーク不良の生じる可能性があり、さらなるファインピッチ化を図ることは困難となっている。
【0009】
そこで、ファインピッチ化を図る他の手法として、図11(a)に示すように、半導体チップ16の周縁部に、千鳥状に突起電極17a・17bを配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1・2等)。このように、千鳥状に突起電極17a・17bを配置した場合には、外周側に位置する突起電極(以下、外周側突起電極と記載する)17aは、図9(a)(b)に基づいて説明したように、半導体チップ16のエッジから直線的に配置されるインナーリード12aに接合される。また、内周側に位置する突起電極(以下、内周側突起電極と記載する)17bには、半導体チップ16のエッジから外周側突起電極17aの間を通って、1本のインナーリード12bが配置される。
【0010】
このとき、外周側突起電極17a間には、図11(b)に示すように、内周側突起電極17bに接合されるインナーリード12bが外周側突起電極17aに接触しないように、所定のスペースが設けられる。また、内周側突起電極17bは、外周側突起電極17a間を通るインナーリード12bと直線的に接合されるように配置される。
【0011】
このように、外周側突起電極17a間に、インナーリード12bを配置するためのスペースが確保されるために、外周側突起電極17aの配列ピッチは、図10(a)に示すCOFの突起電極19の配列ピッチよりも小さくなる。しかしながら、図11(a)に示すCOFでは、突起電極17a・17bが千鳥状に配置されているので、半導体チップ16上には、図10(a)に示すCOFと同様に、高密度に突起電極17a・17bを配置することができる。
【特許文献1】特開平7−335692号公報(平成7(1995)年12月22日公開)
【特許文献2】特開2000−269611号公報(2000年9月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、千鳥状に突起電極が形成された上記従来のCOFであっても、ファインピッチ化はせいぜい35μm程度に留まるという問題を有している。
【0013】
すなわち、図11(b)に示されるように、15μmの幅v11を有するインナーリード12a・12bが、25μmの幅w11を有する突起電極17a・17bの中心を通るように接合され、外周側突起電極17a間に配置されるインナーリード12bと外周側突起電極17aとの距離f11が15μmである場合、インナーリードのピッチp11は35μmとなる。
【0014】
さらなるファインピッチ化を図るためには、突起電極17aの幅を縮小すればよいが、突起電極17aの幅を小さくすることによって、半導体チップ16とインナーリード12a・12bとの加熱圧着による接合精度が低下して、インナーリード12a・12bの位置ずれが発生しやすくなる。インナーリード12bの位置ずれは、上記したように、ショートやリーク不良を引き起こす原因になる。そのため、図11(b)に示すCOFにて突起電極17a・17bの幅を縮小すれば、インナーリード12a・12bのボンディング精度を高めなければならず、現在のボンディング精度では、インナーリードのさらなるファインピッチ化は困難となっている。
【0015】
このように、従来のCOFでは、ファインピッチ化に限界があり、35μm以下のインナーリードピッチを達成することが困難であるという問題がある。インナーリードのファインピッチ化を実現することができなければ、半導体チップのサイズの縮小化を達成することができなくなる。また、ウエハ内での半導体チップの歩留まりを上げることができず、コスト削減を図ることが困難となる。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、インナーリードのボンディング精度を向上することなく現在のボンディング精度にて、インナーリードのファインピッチ化を実現し得る半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の半導体装置は、上記課題を解決するために、半導体チップ上に、該半導体チップのエッジからの距離が相対的に小さい位置に配設されたエッジ側突起電極と、上記エッジからの距離が相対的に大きい位置に配設された内部側突起電極とを備え、フィルム基板上に形成されたリード配線が、上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極に接合されてなる半導体装置において、互いに隣り合う上記エッジ側突起電極間には、上記内部側突起電極に接合される少なくとも2本の内部側突起電極用リード配線が設けられ、上記内部側突起電極用リード配線のうちの少なくとも1本は、上記内部側突起電極との接合位置に応じて屈曲していてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、エッジ側突起電極間に2本以上の内部側突起電極用リード配線が形成され、このうち少なくとも1本の内部側突起電極用リード配線が屈曲している。すなわち、内部側突起電極用リード配線は、内部側突起電極の配設位置に応じて、該内部側突起電極との接合が可能となるように屈曲している。
【0019】
そのため、エッジ側突起電極間にて、2本以上の内部側突起電極用リード配線が相互に接触しない範囲内で、内部側突起電極用リード配線をファインピッチ化して形成しても、該内部側突起電極用リード配線と内部側突起電極とを好適に接合することができる。すなわち、内部側突起電極用リード配線が内部側突起電極の配設位置に応じて屈曲する構成とすることにより、エッジ側突起電極間での内部側突起電極用リード配線のピッチに関係なく、内部側突起電極のピッチに応じて、該内部側突起電極と内部側突起電極用リード配線とを接合することができる。
【0020】
従って、エッジ側突起電極間での内部側突起電極用リード配線をファインピッチ化することにより、内周側突起電極に接合される内部側突起電極用リード配線の数を増加させることができる。その結果、リード配線のファインピッチ化を図ることができる。
【0021】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極用リード配線は、上記内部側突起電極との接合位置よりも上記エッジ側突起電極間にて、ピッチが小さくなるように設けられていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、エッジ側突起電極間における内部側突起電極用リード配線のピッチは、内部側突起電極に接合している内部側突起電極用リード配線のピッチよりも小さくなっている。つまり、エッジ側突起電極間には、内部側突起電極用リード配線が集約するように配置されている。そのため、エッジ側突起電極間により多くの内部側突起電極用リード配線を配置することができるので、高密度に配設された内部側突起電極に接合することができる。これにより、内部側突起電極の高密度化、及びリード配線のファインピッチ化を図ることができる。
【0023】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極間における上記内部側突起電極用リード配線は、1μm以上15μm以下の幅を有することが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極間の距離は、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0025】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極用リード配線は、上記内部側突起電極に接合した場合に、上記エッジから、上記内部側突起電極の上記半導体チップの内部側の端部までの長さが100μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0026】
上記の各構成によれば、内部側突起電極及びエッジ側突起電極に接合される配線リードのファインピッチ化を図ることができる。具体的には、半導体チップ上のエッジにおける上記配線リードのピッチを、実質的に35μm以下にすることが可能となる。
【0027】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記半導体チップは4つのエッジを有し、該エッジのうちの少なくとも1つのエッジの周縁部に、上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極が設けられ、該内部側突起電極の数は、エッジ側突起電極の数よりも多い。
【0028】
なお、上記半導体チップ上に配設された突起電極は、上記半導体チップの内周側の列であるほど同一列に配設された数が増加している。
【0029】
上記の構成によれば、1つのエッジの周縁部に設けられるエッジ側突起電極の数を内部側突起電極の数よりも少なくすることにより、エッジ側突起電極間に、内部側突起電極用リード配線を配置するための領域を確保することが可能になる。これにより、内部側突起電極と内部側突起電極用リード配線との接合を容易にすることができる。従って、内部側突起電極用リード配線とエッジ側突起電極との接触を防止し、リード配線のショートやリーク不良を低減することができる。
【0030】
また、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極の少なくとも一部は、上記エッジ側突起電極の配設方向とは異なる配設方向となるように配設されていてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、内部側突起電極用リード配線は屈曲されて形成されるので、種々の配設方向に配設された内部側突起電極に対しても、内部側突起電極用リード配線を接合することができる。それゆえ、種々の配設方向に配設された内部側突起電極を有する半導体チップに接続されるリード配線をファインピッチ化することができる。
【0032】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極のうち、少なくとも両端とそれに隣接する位置とに配設されるエッジ側突起電極間に設けられる上記内周側突起電極用リード配線数は、上記両端以外の位置に配設されるエッジ側突起電極間に設けられる上記内周側突起電極用リード配線数よりも少なくてもよい。
【0033】
両端以外の領域に配設される突起電極とリード配線とは、該突起電極とリード配線の接合に際して、比較的接合位置にずれが生じにくい。これに対し、両端とそれに隣接する位置とに配設される突起電極とリード配線との接合では、接合位置にずれが生じやすい。接合位置のずれは、リード配線のショートやリーク不良を引き起こす原因になる。
【0034】
そのため、上記の構成を採用することによって、接合位置にずれが生じやすい両端とそれに隣接する位置とでは、内周側突起電極用リード配線数をより少なくすることによって、リード配線のショートやリーク不良を防止している。また、接合位置にずれが生じ難い上記両端以外の領域では、内周側突起電極用リード配線数をより多くすることによって、リード配線のファインピッチ化を図っている。これにより、リード配線のショートやリーク不良を防止するとともに、リード配線のファインピッチ化を図ることが可能になる。
【0035】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極のうち、少なくとも両端に配設されるエッジ側突起電極及び内部側突起電極のそれぞれが有する幅は、上記両端以外の位置に配設されるエッジ側突起電極及び内部側突起電極のそれぞれが有する幅よりも大きくてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、突起電極とリード配線との接合位置のずれの生じやすさに応じて、突起電極の幅を変化させている。これにより、接合位置のずれが生じやすい両端に配設される突起電極によって、リード配線のショートやリーク不良を防止することができる。また、接合位置のずれが生じ難い上記両端以外の領域に配設される突起電極によって、ファインピッチ化を図ることが可能になる。
【0037】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極は、さらに、半導体チップのエッジからの距離が相対的に小さい位置に配設された第1の内部側突起電極と、上記エッジからの距離が相対的に大きい位置に配設された第2の内部側突起電極とを備え、上記第2の内部側突起電極に接合される内部側突起電極用リード配線は、上記第1の内部側突起電極間に設けられている。
【0038】
上記の構成によれば、半導体チップのエッジからの距離が異なる位置に配設された第1の内部側突起電極と第2の内部側突起電極とが備えられている場合にも、第1の内部側突起電極間に、少なくとも1本の内部側突起電極用リード配線を設けることによって、リード配線のファインピッチ化を図ることができる。
【0039】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極のうちの少なくとも一部は、上記半導体チップ上の半導体素子及びチップ配線の少なくとも一方に接続されている。
【0040】
上記の構成によれば、半導体素子の配置位置に合わせて内部側突起電極が配設されている場合にも、内部側突起電極の配設位置に合わせて内部側突起電極用リード配線を接合することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の半導体装置は、以上のように、互いに隣り合うエッジ側突起電極間には、内部側突起電極に接合される少なくとも2本の内部側突起電極用リード配線が設けられ、内部側突起電極用リード配線のうちの少なくとも1本は、上記内部側突起電極との接合位置に応じて屈曲しているものである。
【0042】
それゆえ、エッジ側突起電極間にて、内部側突起電極用リード配線をファインピッチ化して形成しても、該内部側突起電極用リード配線と内部側突起電極とを好適に接合することができるという効果を奏する。また、エッジ側突起電極間での内部側突起電極用リード配線をファインピッチ化することにより、内周側突起電極に接合される内部側突起電極用リード配線の数を増加させることができる。その結果、リード配線のファインピッチ化を図ることができるという効果を奏する。
【0043】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極用リード配線は、上記内部側突起電極との接合位置よりも上記エッジ側突起電極間にて、ピッチが小さくなるように設けられているものである。
【0044】
それゆえ、エッジ側突起電極間により多くの内部側突起電極用リード配線を配置することができるので、高密度に配設された内部側突起電極と内部側突起電極用リード配線とを接合することができる。これにより、内部側突起電極の高密度化、及びリード配線のファインピッチ化を図ることができるという効果を奏する。
【0045】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極間における上記内部側突起電極用リード配線は、1μm以上15μm以下の幅を有することが好ましい。
【0046】
さらに、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極間の距離は、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0047】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極用リード配線は、上記内部側突起電極に接合した場合に、上記エッジから、上記内部側突起電極の上記半導体チップの内部側の端部までの長さが100μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0048】
それゆえ、半導体チップ上のエッジにおける上記配線リードのピッチを、実質的に35μm以下にすることが可能になるという効果を奏する。
【0049】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記半導体チップは4つのエッジを有し、該エッジのうちの少なくとも1つのエッジの周縁部に、上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極が設けられ、該内部側突起電極の数は、エッジ側突起電極の数よりも多いものである。
【0050】
それゆえ、エッジ側突起電極間に、内部側突起電極用リード配線を配置するための領域を確保することが可能になる。これにより、内部側突起電極と内部側突起電極用リード配線との接合を容易にすることができる。従って、内部側突起電極用リード配線とエッジ側突起電極との接触を防止し、リード配線のショートやリーク不良を低減することができるという効果を奏する。
【0051】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極のうち、少なくとも両端とそれに隣接する位置とに配設されるエッジ側突起電極間に設けられる上記内周側突起電極用リード配線数は、上記両端以外の位置に配設されるエッジ側突起電極間に設けられる上記内周側突起電極用リード配線数よりも少ないものである。
【0052】
それゆえ、接合位置にずれが生じやすい両端では、内周側突起電極用リード配線数をより少なくすることによって、リード配線のショートやリーク不良を防止することができる。また、接合位置にずれが生じ難い上記両端以外の位置では、内周側突起電極用リード配線数をより多くすることによって、リード配線のファインピッチ化を図ることができる。これにより、リード配線のショートやリーク不良を防止するとともに、リード配線のファインピッチ化を図ることが可能になるという効果を奏する。
【0053】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極のうち、少なくとも両端に配設されるエッジ側突起電極及び内部側突起電極のそれぞれが有する幅は、上記両端以外の位置に配設されるエッジ側突起電極及び内部側突起電極のそれぞれが有する幅よりも大きいものである。
【0054】
それゆえ、接合位置のずれが生じやすい両端に配設される突起電極によって、リード配線のショートやリーク不良を防止することができる。また、接合位置のずれが生じ難い上記両端以外の位置に配設される突起電極によって、ファインピッチ化を図ることが可能になる。
【0055】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極は、さらに、半導体チップのエッジからの距離が相対的に小さい位置に配設された第1の内部側突起電極と、上記エッジからの距離が相対的に大きい位置に配設された第2の内部側突起電極とを備え、上記第2の内部側突起電極に接合される内部側突起電極用リード配線は、上記第1の内部側突起電極間に設けられているものである。
【0056】
それゆえ、内部側突起電極として、第1の内部側突起電極と第2の内部側突起電極とが備えられている場合にも、第1の内部側突起電極間に、少なくとも1本の内部側突起電極用リード配線を設けることによって、リード配線のファインピッチ化を図ることができる。
【0057】
また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置において、上記内部側突起電極のうちの少なくとも一部は、上記半導体チップ上の半導体素子及びチップ配線の少なくとも一方に接続されていることを特徴としている。
【0058】
それゆえ、半導体素子の配置位置に合わせて内部側突起電極が配設されている場合にも、内部側突起電極の配設位置に合わせて内部側突起電極用リード配線を接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0060】
本実施の形態のCOF(Chip On Film、半導体装置)は、図2(b)に示すように、フィルム基板101に支持されたインナーリード(リード配線)100と、半導体チップ96に設けられた突起電極98とが、互いに対向するように配置され、インナーリード100と突起電極98とが電気的に接続されている。
【0061】
フィルム基板101上のインナーリード100上には、耐熱性に優れたポリイミド系やポリウレタン系の材料からなる保護膜としてのソルダレジスト94が形成されている。このソルダレジスト94は、導電性やイオン性の異物の付着によるインナーリードの腐食やリーク不具合等を防止するために設けられている。また、上記ソルダレジスト94は、外部外力によるインナーリードの断線を防止し、折り曲げ時にインナーリードを保護する。なお、ソルダレジスト94は、3μm〜30μmの厚さにて形成されている。また、突起電極98とインナーリード100とを接合するために、例えば、エポキシ系のアンダーフィル材を流し込んで硬化させてなる樹脂99が形成されている。
【0062】
上記COFは、図2(a)に示すように、半導体チップ96の入出力端子がインナーリード100(図2(b))を介して、外部配線である入力側アウターリード91と、出力側アウターリード95とに接続されている。一般に、入力側アウターリード91は比較的粗いピッチにて形成され、出力側アウターリード95は近年の多出力化に伴って、ファインピッチ化されている。現在では、480出力のCOFが量産化されている。
【0063】
上記フィルム基板101は、ポリイミド系等の絶縁性の有機物であり、自由に折り曲げが可能な厚さを有している。該フィルム基板101に支持されるインナーリード100は、銅箔によって形成され、錫メッキが施されている。インナーリード100の厚さは、8μm〜12μmである。また、インナーリード100の長さは、半導体チップ96上の突起電極98の形成位置に応じて、半導体チップ96の端辺(エッジ)から100μm以上500μm以下の範囲内の長さとなるように形成されていることが好ましい。
【0064】
また、上記突起電極98は、その形状は特に限定されないが、例えば、図1(a)に示すように、長辺が60μm〜120μmであり、短辺が25μm〜40μmである長方形型であって、10μm〜18μmの厚さを有している。上記突起電極98は、金によって形成され、インナーリード100と金−錫金属間接合によって接合される。
【0065】
上記COFの半導体チップ96は、図2(a)に示すように、その形状は特に限定されないが、例えば、長辺が15mm〜22mmであり、短辺が1.5mm〜2.5mmである長方形型である。上記半導体チップ96には、図1(a)に示すように、その周縁部に、半導体チップ96のエッジである端辺に平行であって、かつ所定の配列ピッチにて突起電極98aが設けられている。また、半導体チップ96の端辺からの距離を上記突起電極98aとは異にして、半導体チップ96の端辺に平行であって、かつ所定の配列ピッチにて突起電極98bが形成されている。つまり、上記半導体チップ96では、その端辺からの距離を異にして、所定のピッチにて形成された突起電極98a及び突起電極98bが2列に形成されている。
【0066】
以下では、半導体チップ96の端辺からの距離が相対的に小さい突起電極98aを外周側突起電極(エッジ側突起電極)98aと記載し、半導体チップ96の端辺からの距離が相対的に大きい突起電極98bを内周側突起電極(内部側突起電極)98bと記載する。また、外周側突起電極98a、内周側突起電極98bのいずれか又は両方を指す場合には、突起電極98と記載する。
【0067】
なお、本実施の形態では、図1(a)に示すように、半導体チップ96が有する4辺のうちの1辺の周縁部に、外周側突起電極98a及び内周側突起電極98bが2列に形成され、残りの3辺(以下、他の辺と記載する)の周縁部には、1列の突起電極のみが配置されている場合について説明するが、他の辺の少なくとも1辺に2列の突起電極が配置されていてもよい。
【0068】
図1(b)に示すように、上記外周側突起電極98aの配列ピッチは、内周側突起電極98bの配列ピッチよりも大きくなっている。すなわち、外周側突起電極98a間の距離は、内周側突起電極98b間の距離よりも大きくなっている。そのため、本実施の形態では、隣接する2つの外周側突起電極98aの設置位置に挟み込まれるように、2つの内周側突起電極98bが設置されている。それゆえ、内周側突起電極98bの数は、外周側突起電極98aの数と同等以上となっている。
【0069】
また、図1(a)に示すように、内周側突起電極98bのうちの両端に位置する突起電極は、半導体チップ96の他の辺に配置された突起電極と交差するのを避けるために、外周側突起電極98aのうちの両端に位置する突起電極よりも内側に配置されている。
【0070】
半導体チップ96上に設置された外周側突起電極98a及び内周側突起電極98bは、図1(a)に示すように、それぞれ、フィルム基板101(図2(a))に設けられたインナーリード100a・100bによって、電気的に接合されている。なお、以下では、外周側突起電極98aに接合されるインナーリード100aを外周インナーリード100aと記載し、内周側突起電極98bに接合されるインナーリード100bを内周インナーリード(内部側突起電極用リード配線)100bと記載する。また、外周インナーリード100a、内周インナーリード100bのいずれか又は両方を指す場合には、インナーリード100と記載する。
【0071】
外周インナーリード100a・内周インナーリード100bは、それぞれ、半導体チップ96の端辺から、外周側突起電極98a・内周側突起電極98bそれぞれの、上記端辺に平行な対向する2辺に直交するように配置される。上記外周インナーリード100a・内周インナーリード100bは、この対向する2辺のほぼ中心を通って、外周側突起電極98a・内周側突起電極98b上に直線状に配置されるように設計されている。
【0072】
それゆえ、図1(b)に示すように、外周側突起電極98aの配列ピッチと、外周側突起電極98aに接合された外周インナーリード100aのピッチ(以下、外周インナーリード100aの接合ピッチと記載する)p(o)とは、ほぼ同一のピッチとなる。また、内周側突起電極98bの配列ピッチと、内周側突起電極98bに接合された内周インナーリードのピッチ(以下、内周インナーリード100bの接合ピッチと記載する)p(i)とは、同一のピッチとなる。
【0073】
本実施の形態では、上記したように、外周側突起電極98aと内周側突起電極98bとが2列に形成されているので、外周インナーリード100bは、内周側突起電極98bに接触しないように形成される必要がある。また、本実施の形態では、上記したように、隣接する2つの外周側突起電極98bの配設位置に挟み込まれるように、2つの内周側突起電極98aが配設されているので、外周側突起電極98a間には、2本の内周インナーリード100bが配置される。そのため、外周側突起電極98a間に配置される2本の内周インナーリード100bが互いに接触しないように、また外周側突起電極98aに接触しないように配置する必要がある。
【0074】
具体的には、図1(a)に示すように、外周側突起電極98a上に配置される外周インナーリード100aは、半導体チップ96の端辺から外周側突起電極98a上にて直線状となり、また、外周側突起電極98aの上記端辺に平行な対向する2辺と交差するように配置される。そして、外周インナーリード100aが内周側突起電極98bに接触しないように、半導体チップ96上における外周インナーリード100aの先端部は、内周側突起電極98bの形成位置に達する直前に配置される。
【0075】
これに対し、内周側突起電極98b上に配置される内周インナーリード100bは、図1(a)に示すように、半導体チップ96の端辺から外周側突起電極98a間に配置される2本の内周インナーリード100bが、互いに接触しないように、かつ外周側突起電極98bに接触しないように、外周側突起電極98b間に直線状に配置される。さらに、内周インナーリード100bと内周側突起電極98bとの接合を可能とするために、外周側突起電極98aの配設位置と内周側突起電極98bとの配設位置との間で、内周側突起電極98bの配設位置に応じて内周インナーリード100bが屈曲している。これにより、内周側突起電極98bの上記端辺に平行な対向する2辺を直線的に、内周インナーリード100bが通過し、内周側突起電極98bと内周インナーリード100bとが接合される。
【0076】
具体的には、内周側突起電極98bとの接合位置に合わせて、外周側突起電極98a間での2つの内周インナーリード100bの距離を広げるように、上記内周インナーリード100bは、外周側突起電極98a間を通過した位置にて屈曲している。また、内周インナーリード100bは、内周側突起電極98bの上記対向する2辺と交差することができるように、内周側突起電極98bの形成位置の直前にて、さらに屈曲している。
【0077】
上記のように、外周側突起電極98a形成位置と内周側突起電極98bとの形成位置との間で、内周インナーリード98bを屈曲させることにより、内周インナーリード100bの接合ピッチと、外周側突起電極98a間に配置される2本の内周インナーリード100bのピッチ(以下、内周インナーリード100bの電極間ピッチと記載する)とを異ならせることができる。特に、内周インナーリード100bの電極間ピッチは、外周側突起電極98a間に配置される2本の内周インナーリード100bが互いに接触しない程度の大きさであればよいので、内周インナーリード100bの接合ピッチよりも小さくすることが可能である。これにより、内周側突起電極98bに接合される内周インナーリード100bの数を増やすことができる。
【0078】
このように、外周側突起電極98a間に設けられる内周インナーリード100bの電極間ピッチを微細化することにより、突起電極98を高密度に配置し、突起電極98のファインピッチ化、インナーリード100のファインピッチ化を図ることができる。
【0079】
なお、上記内周インナーリード100bは、後述する内周インナーリード100bと内周側突起電極98bとの接合に際して生じる内周インナーリード100bの断線やクラックを防止するために、屈曲位置にてR0.05mm〜0.2mmとすることが好ましい。
【0080】
また、外周側突起電極98a間の距離は、上記したように、外周側突起電極98a間に配置される2本の内周インナーリード100bが互いに接触せず、かつ、外周側突起電極98aに接触しないように配置することができる距離である。
【0081】
具体的には、外周側突起電極98aと内周インナーリード100bとの距離は15μm程度確保することが好ましい。また、インナーリード100のファインピッチ化を図るためには、内周インナーリード100bの電極間ピッチは、30μm以下とすることが好ましいので、インナーリード100の幅は、15μm以下とすることが好ましい。これにより、外周側突起電極98a上に接合される外周インナーリード100aが、たとえ外周側突起電極98a上からはみ出して接合された場合にも、ショートやリーク不良を防止することができる。
【0082】
次に、上記COFの製造方法について説明する。
【0083】
上記COFのフィルム基板101として、上記したように自由に折り曲げが可能な厚さであって、さらに図2(a)に示すように、スプロケットホール93を使用した装置での搬送が可能となるような厚さのものを使用する。また、このフィルム基板101には、インナーリード100を形成するための銅箔が5μm〜9μmの厚さで形成されていることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。銅箔を有するフィルム基板101は、具体的には、上記したポリイミド系の有機物からなる基材に、CrやNi等の金属をスパッタ法によって付着させ、この金属上にメッキ法にて銅箔を形成するメタライズ法によって作製される。あるいは、銅箔にポリイミドワニスを塗って硬化させるキャスティング法によっても作製することができる。
【0084】
続いて、フィルム基板101上の銅箔をエッチングして、所望する配線パターンにてインナーリード100を形成する。上記のように、銅箔が5μm〜9μmという薄膜状に形成されている場合には、インナーリード100のファインピッチ化を行うことが可能となっている。また、フィルム基板101に支持されるように銅箔を形成しているので、インナーリード100がフィルム基板101上に固定されている。そのため、インナーリード100が有する幅が1μm〜15μmと細く、また内周側突起電極98bの配設位置に応じてインナーリード100bが屈曲する場合にも、インナーリード100の変形や断線等の不良を招くことはない。
【0085】
具体的には、厚さが5μmの銅箔を用いた場合には、インナーリード100を幅1μm以上15μm以下で形成し、さらにインナーリード100のピッチを15μmにて形成することが可能である。また、上記の方法にて、フィルム基板101上にインナーリード100を形成した場合、フィルム基板101とインナーリード100との密着強度は、5N/cm以上とすることができる。なお、上記の手法にて形成されたインナーリード100の長さのばらつきは、±20μmである。
【0086】
このようにインナーリード100を形成した後、インナーリード100の所定領域を被覆するようにソルダレジスト94を形成する。
【0087】
次いで、インナーリード100が形成されたフィルム基板101と、突起電極98が形成された半導体チップ96とを、インナーリード接合装置を用いて、接合する。すなわち、図3に示すように、インナーリード接合装置のボンディングステージ112上に半導体チップ96を固定する。さらに、上記インナーリード接合装置の固定クランパ111を用いて、インナーリード100上のソルダレジスト94が形成された領域にて、フィルム基板101を固定する。このとき、フィルム基板101上のインナーリード100と、半導体チップ96に備えられた突起電極98とが対向するように、フィルム基板101及び半導体チップ96を固定する。
【0088】
その後、フィルム基板101のインナーリード100と、半導体チップ96の突起電極98との位置合わせを行い、図3に示すように、インナーリード接合装置の加熱ツール110とボンディングステージ112とを図中矢印方向に移動させる。なお、上記の位置合わせを好適に行うために、図1(a)に示すインナーリード100のうち、両端に位置するインナーリード100に直交するように、50μm〜100μmの長さを有する突起状の位置決め凸部(図示せず)を形成しておいてもよい。
【0089】
これにより、フィルム基板101と半導体チップ96とが、加熱ツール110及びボンディングステージ112に挟み込まれ、上記インナーリード100と突起電極98との接合位置に樹脂99(図2(b))を塗布して、0.5s〜3s間の加熱圧着することにより、上記インナーリード100と突起電極98とが樹脂99によって接合される。なお、この加熱圧着に際しては、ボンディングステージ112及び加熱ツール110を所定温度にまで加熱して行う。このようにして、インナーリード100表面の錫と突起電極98の金とが、金属間接合によって電気的に接続される。
【0090】
上記にて説明したように、図1(a)に示すCOFは、従来のインナーリード接合装置のボンディング精度にて製造することができる。つまり、本実施の形態のCOFは、従来のボンディング精度で製造することによって、インナーリードの変形や断線、リーク不良等を招くことなく、半導体チップ96に搭載される突起電極数を増やし、インナーリードのピッチを向上することができる。
【0091】
なお、本実施の形態では、インナーリード接合装置を用いているので、インナーリード100と突起電極98との加熱圧着を行う際に生じる応力により、半導体チップ96の端辺上に配置されるインナーリード100にダメージ115が生じることがある。このようなダメージ115は、インナーリード100の断線やクラックを引き起こす。そのため、半導体チップの端辺上に位置するインナーリード100は、フィルム基板101上にて直線状となるように形成しておくことが好ましい。
【0092】
なお、図1(a)に示すCOFでは、隣接する2つの外周側突起電極98aの設置位置に挟み込まれるように、2つの内周側突起電極98bが設置されているので、外周側突起電極98a間には、2本の内周インナーリード100bが配置されているが、これに限定されるものではない。すなわち、図4(a)に示すように、隣接する2つの外周側突起電極58aの設置位置に挟み込まれるように、3つの内周側突起電極58bを設けてもよい。この場合、外周側突起電極58a間には、3本の内周インナーリード50bが配置されることになる。
【0093】
外周側突起電極58a間に、3本の内周インナーリード50bを配置した場合にも、上記と同様、半導体チップ96の端辺から、外周側突起電極58a間に配置される3本の内周インナーリード50bが互いに接触しないように、かつ該内周インナーリード50bが外周側突起電極58aに接触しないように、3本の内周インナーリード50bが直線状に配置される。
【0094】
そして、内周インナーリード50bと内周側突起電極58bとの接合を可能とするために、図4(b)に示すように、外周側突起電極58aの形成位置と内周側突起電極58bとの形成位置との間で、3本の内周インナーリード50bのうち、両端の2本の内周インナーリードが屈曲している。これに対し、外周側突起電極50a間に配置される3本の内周インナーリード50bのうち、真ん中に配置される内周インナーリードは、半導体チップ96の端辺から、内周側突起電極58bまで屈曲することなく、直線状に配置されている。
【0095】
これにより、外周側突起電極50aの配列ピッチを小さくするとともに、内周側突起電極58bの配列ピッチを小さくすることもできるので、半導体チップ上に搭載される突起電極58の高密度化を図ることができる。
【0096】
なお、図4(a)に示すCOFでは、外周側突起電極50a間に配置される3本の内周インナーリード50bのうち、真ん中に配置される内周インナーリードを屈曲させることなく直線状に形成しているが、両端に配置される内周インナーリード50bと同様に屈曲させてもよい。あるいは、3本の内周インナーリード50bのうち、1本のみを屈曲させてもよい。すなわち、内周インナーリード50bのいずれを屈曲させるかは、外周側突起電極50a及び内周側突起電極50bの配設位置に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0097】
また、外周側突起電極間に配置される内周インナーリードの数も、上記2本又は3本に限定されるものではなく、4本以上であっても同様に適用することができる。
【0098】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態では、フィルム基板101上の銅箔を使用して、インナーリード100を形成する方法について説明したが、インナーリード100以外の配線を形成する場合にも、上記した方法を同様に適用することができる。また、インナーリード100とともに、他の配線を形成することも可能である。
【0099】
また、本実施の形態では、COFを例に挙げて説明したが、これに限定されるものでもない。すなわち、インナーリードのピッチを40μm以下にて形成した場合に、インナーリードの強度や、インナーリードとフィルム基板との密着強度等を充分に確保することができるものであればよい。但し、TCP(Tape Carrier Package)等では、インナーリードのピッチを40μm以下とした場合には、インナーリードの強度を確保できない可能性があるため、COF等を使用することが好ましい。
【0100】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
本実施の形態の半導体チップ96には、図5(a)に示すように、上記半導体チップ96の端辺からの距離を異にして、所定のピッチにて形成された突起電極が3列に形成されている。以下では、半導体チップ96の端辺から各突起電極までの距離が相対的に小さい方から順に、第1突起電極(エッジ側突起電極)68a、第2突起電極(第1の内部側突起電極)68b、第3突起電極(第2の内部側突起電極)68cと記載する。また、第1突起電極68a、第2突起電極68b、第3突起電極68cのいずれか又は両方を指す場合には、突起電極68と記載する。
【0102】
上記第2突起電極68b及び第3突起電極68cのうち、両端に位置する突起電極は、前記実施の形態1にて説明したように、半導体チップの他の辺に配置された突起電極と交差しないように、第1突起電極68aのうちの両端に位置する突起電極よりも内側に配置されている。
【0103】
また、半導体チップ96上に設置された各突起電極68は、それぞれ、フィルム基板101(図2(a))に設けられたインナーリード60a・60b・60cによって、電気的に接合されている。インナーリード60a・60b・60cは、前記実施の形態にて説明したように、半導体チップ96の端辺から、該端辺に平行である突起電極の対向する2辺を通過するように配置される。
【0104】
なお、以下では、第1突起電極68aに接合されるインナーリード60aを第1インナーリード60a、第2突起電極68bに接合されるインナーリード60bを第2インナーリード60b、第3突起電極68cに接合されるインナーリード60cを第3インナーリード60cと記載する。また、第1インナーリード60a、第2インナーリード60b、第3インナーリード60cのいずれか又は両方を指す場合には、インナーリード60と記載する。
【0105】
上記第1突起電極68aは、図5(a)に示すように、該第1突起電極68a間にて、第2インナーリード60b及び第3インナーリード60cが互いに接触せず、かつ、これらのインナーリード60b・60cが第1突起電極68aに接触することのないような配列ピッチで半導体チップ96上に搭載されている。また、上記第2突起電極68bは、第3インナーリード60cが互いに接触せず、かつ第3インナーリード60cが第2突起電極68bに接触しないように、ランダムな配列ピッチにて半導体チップ96上に搭載されている。さらに、上記第3突起電極68cは、前記実施の形態1にて説明したインナーリード接合装置のボンディング精度を考慮した上で設定される最小の配列ピッチにて、半導体チップ96上に搭載されている。
【0106】
具体的には、図5(b)に示すように、第1突起電極68a上に配置される第1インナーリード60aは、半導体チップ96の端辺から第1突起電極68a上まで直線状に形成され、また、第1突起電極68aの上記端辺に平行である対向する2辺を通過するように配置される。そして、第1インナーリード60aが第2突起電極68bに接触しないように、半導体チップ96上における第1インナーリード60aの先端部は、第2突起電極68bの形成位置に達する直前に配置される。
【0107】
また、第1突起電極間には、2本の第2インナーリード60b及び4本の第3インナーリード60cが配置されている。これら6本のインナーリード60b・60cは、半導体チップ96の端辺から第1突起電極間を通過するまで、直線状に配置されている。この6本のインナーリード60b・60cのうち、両端に位置するインナーリードが第2インナーリード60bとなり、該第2インナーリードに挟まれた4本のインナーリードが第3インナーリード60cとなっている。
【0108】
上記第2インナーリード60bは、第2突起電極68b上に配置されて接合されるので、第1突起電極68aの形成位置と第2突起電極68bとの形成位置との間で屈曲している。これにより、第2突起電極68bの上記端辺に平行である対向する2辺を直線的に通過するように、第2突起電極68b上に第2インナーリード60bを配置して、第2突起電極68bと第2インナーリード60bとを接合することができる。また、上記対向する2辺を直線的に通過した第2インナーリード60bの半導体チップ96上における先端部は、第3突起電極68cの形成位置に達する直前に配置される。これにより、第2インナーリード60bが、第3突起電極68cに接触することはない。
【0109】
このように、第1突起電極68a間に配置されたインナーリード60b・60cのうち、両端に位置するインナーリード60bが第2突起電極68bに接合される。従って、図5(a)に示すように、第3インナーリード60cが配置された第2突起電極68b間と、インナーリード60が配置されていない第2突起電極68b間が繰り返されるように、第2突起電極68bが配置されている。
【0110】
また、第1突起電極間68a及び第2突起電極68b間に配置されている上記第3インナーリード60cは、第2突起電極68bの形成位置と第3突起電極68cとの形成位置との間で屈曲している。これにより、第3突起電極68cの上記端辺に平行である対向する2辺に交差するように、第3突起電極68c上に第3インナーリード60cを配置することを可能としている。なお、第3突起電極68c間には、インナーリード60は配置されないので、上記したように、第3突起電極68c間の距離は、ボンディング精度を考慮した上で設定される配列ピッチに基づいて設定すればよい。
【0111】
以上のように、突起電極とインナーリードとを接合するために、インナーリードを屈曲させているので、突起電極間に配置されるインナーリードのピッチ(以下、インナーリードの電極間ピッチと記載する)をファインピッチ化することができる。また、突起電極間にインナーリードが配置されている場合には、突起電極間のインナーリード数に応じて、配列ピッチが決定される。従って、図5(a)に示すように、半導体チップ96上の第1突起電極68aの配列ピッチは、第3突起電極68cの配列ピッチよりも大きくなっている。
【0112】
さらに、突起電極間のインナーリード数に応じて、半導体チップ96上に形成される突起電極数も変化する。図5(a)に示すCOFでは、第1突起電極68a、第2突起電極68b、第3突起電極68cの順に増加している。このように、半導体チップ96の外周側から内周側に向かって、突起電極数を増やすことにより、突起電極68とインナーリード60との接合を容易にしている。さらに、半導体チップ96上に搭載される突起電極68の高密度化を図り、突起電極68に接合されるインナーリード60のファインピッチ化を図っている。
【0113】
なお、本実施の形態では、第2突起電極68b及び第3突起電極68cに接合するためにインナーリード60がすべて屈曲しているが、突起電極68の配置位置に応じて、屈曲しないインナーリードを用いてもよい。すなわち、前記実施の形態1にて説明した図4(a)(b)に示すCOFのように、半導体チップの端辺から突起電極まで屈曲することなく、直線状に配置される場合もあり得る。
【0114】
また、図5(a)に示すCOFでは、半導体チップの端辺からの距離が異なるように、突起電極が3列に配置されているが、これに限定されず、4列以上の突起電極が配設されていてもよい。すなわち、第1突起電極68aと第3突起電極68cとの間の第2突起電極68bを2列以上にて形成してもよい。
【0115】
あるいは、半導体チップ上にランダムに突起電極を配置することによって、ファインピッチ化を図ることも可能である。つまり、突起電極の配設位置に応じて、インナーリードを適宜屈曲させることにより、インナーリードのファインピッチ化を図ることができる。
【0116】
〔参考例1〕
参考例1を図6ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1・2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0117】
COFは、前記実施の形態にて説明した図4(a)に示すCOFの内周側突起電極58bの一部を、残りの内周側突起電極58bとは、上記半導体チップ96の端辺からの距離が異なるように配置している。具体的には、図6に示すように、内周側突起電極58bの、半導体チップ96の端辺からの距離よりも大きくなる位置に、突起電極77を配置している。また、この突起電極77は、外周側突起電極58a及び内周側突起電極58bの配設方向とは異なる配設方向にて配置されている。すなわち、インナーリード70が交差する突起電極77の対向する2辺を、インナーリード58が交差する上記内周側突起電極58bの対向する2辺に対して、垂直になるように、上記突起電極77を配設している。
【0118】
この場合、図6に示すCOFでは、図4(a)に示すCOFでは内周側突起電極58bが配置されていた位置にインナーリード70が配置され、内周側突起電極58bと突起電極77との間で、インナーリード70が屈曲している。
【0119】
このように、突起電極77の配設位置に応じて、突起電極77とインナーリード70との接合位置が変わる場合にも、インナーリード70を屈曲させることにより、半導体チップ96上における突起電極のファインピッチ化を実現することができる。
【0120】
また、半導体チップ96上に配置されている図示しない半導体素子やチップ配線の配置位置によっては、突起電極の方向を変化させる必要がある。すなわち、上記半導体素子やチップ配線は、半導体チップ96上に配置されており、この半導体素子上に突起電極が形成されている。そのため、突起電極の配設位置は、半導体素子の配置位置に依存することになるが、インナーリード70を屈曲させることにより、半導体素子やチップ配線の配置位置に関わらず、突起電極のファインピッチ化を実現することが可能となる。
【0121】
あるいは、図7に示すように、インナーリード71が交差する上記内周側突起電極58bの対向する2辺に対して、45度の角度をなすように、上記突起電極78を配置することも可能である。この場合にも、突起電極78の配設位置や配設方向に応じて、内周側突起電極58bと突起電極78との間でインナーリード71が屈曲している。
【0122】
以上のように、インナーリードを任意に屈曲させることによって、半導体チップ上に搭載される突起電極の配設位置や配設方向が任意に変更された場合にも、インナーリードのファインピッチ化を図ることが可能である。
【0123】
なお、図4(a)に示すCOFにて内周側突起電極58bが配置されていた位置に、インナーリードを配置する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、前記実施の形態にて用いた図1(a)及び図5(a)に示すCOFにも適用可能である。また、図6及び図7に示す内周側突起電極58bの配列ピッチも適宜変更可能であり、突起電極77・78の配置方向も図6及び図7に示す配置方向に限定されない。
【0124】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1、2および参考例1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0125】
半導体チップ96には、図8に示すように、上記半導体チップ96の端辺からの距離を異にして、突起電極が2列に形成されている。各列の突起電極のうち、両端に位置する両端領域に配置された突起電極(以下、両端領域の突起電極と記載する)58は、突起電極の幅が相対的に大きくかつ配列ピッチが相対的に大きくなっている。これに対し、上記両端領域に挟まれる領域(以下、中央領域と記載する)に配置された突起電極(以下、中央領域の突起電極と記載する)88は、突起電極の幅が相対的に小さくかつ配列ピッチが相対的に小さくなっている。中央領域に位置する外周側突起電極88a及び内周側突起電極88bを、それぞれ中央領域の外周側突起電極88a、中央領域の内周側突起電極88bと記載する。
【0126】
なお、以下では、半導体チップ96の端辺から各突起電極までの距離が相対的に小さい方から順に、外周側突起電極58a・88a、内周側突起電極58b・88bと記載する。また、外周側突起電極58a・88a、内周側突起電極58b・88bのいずれか又は両方を指す場合には、突起電極58・88と記載する。
【0127】
上記半導体チップ96上に設置された外周側突起電極58a・88aは、それぞれ、フィルム基板101(図2(a))に設けられた外周インナーリード50a・80aによって、電気的に接合されている。また、内周側突起電極58b・88bは、フィルム基板101に設けられた内周インナーリード58b・88bによって、電気的に接合されている。外周インナーリード50a・80a及び内周インナーリード58b・88bは、前記実施の形態にて説明したように、半導体チップ96の端辺から、該端辺に平行である突起電極の対向する2辺を通過するように配置される。
【0128】
上記外周側突起電極58a・88aは、該外周側突起電極58a・88a間にて内周インナーリード58b・88bを互いに接触せず、かつ、この内周インナーリード58b・88bが外周側突起電極58a・88aに接触することのないような配列ピッチにて、半導体チップ96上に搭載されている。また、上記内周側突起電極58b・88bは、前記実施の形態1にて説明したインナーリード接合装置のボンディング精度を考慮した上で設定される最小の配列ピッチにて、半導体チップ96上に搭載されている。
【0129】
具体的には、図8に示すように、外周側突起電極58a・88a上に配置される外周インナーリード50a・80aは、半導体チップ96の端辺から外周側突起電極58a・88a上まで直線状に形成され、また、上記端辺に平行である外周側突起電極58a・88aの対向する2辺を通過するように配置される。そして、外周インナーリード50a・80aが内周側突起電極58b・88bに接触しないように、半導体チップ96上における外周インナーリード50a・80aの先端部は、内周側突起電極58b・88bの形成位置に達する直前に配置される。
【0130】
また、両端領域の外周側突起電極58a間には、3本の内周インナーリード50bが配置されている。一方、中央領域の外周側突起電極88a間には、4本の内周インナーリード80bが配置されている。これらの内周インナーリー50b・80bは、半導体チップ96の端辺から外周側突起電極58a・88a間を通過するまで、直線状に配置されている。そして、これらの内周インナーリード50b・80bは、前記実施の形態にて説明したように、外周側突起電極58a・88aの形成位置と内周側突起電極58b・88bとの形成位置との間で屈曲している。これにより、上記端辺に平行である内周側突起電極58b・88bの対向する2辺を直線的に通過するように、内周側突起電極58b・88b上に内周インナーリード50b・80bを配置して両者を接合することができる。
【0131】
このように、中央領域の突起電極88の幅を小さくし、さらに、両端領域の突起電極58に比較して中央領域の突起電極88のファインピッチ化を図ることによっても、半導体チップ96上の突起電極58・88のファインピッチ化を図ることができる。
【0132】
特に、前記実施の形態1にて説明したように、突起電極とインナーリードとを加熱圧着する場合には、上記のように、中央領域と両端領域とで、突起電極の配列ピッチを異ならせることが好ましい。
【0133】
すなわち、インナーリード接合装置によって、突起電極とインナーリードとを加熱圧着する際には、通常、フィルム基板101(図2(a))に400℃以上の熱が加えられる。この加熱によって、フィルム基板101が熱膨張して、10μm〜20μm程度の伸びが生じる。このフィルム基板101の伸びによって、フィルム基板101上に形成されたインナーリード50・80の位置にばらつきが生じる。このばらつきは、突起電極58・88とインナーフィルム50・80との接合における位置ずれを引き起こす原因となる。このような位置ずれは、中央領域の突起電極と88インナーフィルム80との間よりもむしろ両端領域の突起電極58とインナーフィルム50との間で生じやすい。
【0134】
そこで、比較的位置ずれが生じ難い中央領域の突起電極88を、位置ずれが生じやすい両端領域の突起電極58よりも、ファインピッチ化している。このように、位置ずれの生じやすさに応じて、突起電極の幅や配列ピッチを制御することにより、インナーリードのショートやリーク不良を低減して、さらなるファインピッチ化を図ることが可能になる。
【0135】
以上のように、突起電極とインナーリードとを接合するために、インナーリードを屈曲させているので、突起電極間に配置されるインナーリードの電極間ピッチをファインピッチ化することができ、また、各突起電極の配列ピッチも小さくすることが可能になる。また、インナーリードと突起電極とのボンディング精度に応じて、両端領域及び中央領域における突起電極の幅や配列ピッチを変化させているので、インナーリードと突起電極との接続の信頼性を向上させることができる。なお、両端領域における突起電極の幅は、中央領域における突起電極の幅よりも5μm以上大きくすることが好ましい。
【0136】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0137】
〔実施例1〕
図1(a)に示すCOFを形成するために、図1(b)に示すように、半導体チップ96上に、幅w1が25μmの外周側突起電極98a及び内周側突起電極98bを形成した。また、外周側突起電極98a間に、幅が15μmの2本の内周インナーリード100bを30μmの電極間ピッチp(e)1にて配置し、内周インナーリード100bと外周側突起電極98aとの間の距離f1を15μmとするために、半導体チップ96上に外周側突起電極98aの配列ピッチを100μmにて形成した。また、内周側突起電極98b間の距離が少なくとも15μm確保されるように、内周側突起電極98bを50μmの配列ピッチにて形成した。
【0138】
40μm、38μm、25μmのそれぞれの厚さを有するフィルム基板101(図2(a))上に形成された5μmの銅箔をエッチングし、上記半導体チップ96上に形成された突起電極98の配置に応じた配線パターンのインナーリード100を、幅v1を15μmとして形成した。
【0139】
上記突起電極98とインナーリード100とをインナーリード接合装置(図3)を用いて接合し、図1に示すCOFを得た。得られたCOFは、外周インナーリード100aのピッチp(o)1が100μmのピッチにて形成された。また、内周インナーリード100bの接合ピッチp(i)1は、50μmにて形成された。
【0140】
従って、実質的なインナーリードのピッチ(後述)は、100μm/3=33.3μmとなり、ファインピッチ化を実現することができた。また、従来公知のインナーリード接合装置のボンディング精度にて、上記突起電極98とインナーリード100との接合することができた。なお、接合に際して、電極間ピッチp(e)1が30μmにて形成された2本の内周インナーリードが剥れて、あるいは変形して、相互に接触することはなかった。
【0141】
なお、実質的なインナーリードのピッチとは、外周インナーリード及び内周インナーリード100が一定のピッチにて形成されていると仮定した場合の、半導体チップ96のエッジ部分におけるインナーリードのピッチである。本実施例では、外周側突起電極間に配置される2本の内周インナーリードの電極間ピッチp(e)1は30μmであるので、上記実質的なインナーリードのピッチは実際のインナーリードのピッチとは一致しない。つまり、本実施例では、外周突起電極間に、外周インナーリードと2本の内周インナーリードとが等間隔にて配置されていないので、外周インナーリード−内周インナーリード間の距離と、内周インナーリード間の距離とが、異なっている。しかしながら、COFにおけるファインピッチ化を評価するために、上記実質的なインナーリードのピッチは、ファインピッチ化の目安となるので、本実施例及び以下の各実施例では、実質的なインナーリードのピッチを評価値として用いている。
【0142】
〔実施例2〕
図4(a)に示すCOFを形成するために、図4(b)に示すように、半導体チップ96上に、幅w2が25μmの外周側突起電極58a及び内周側突起電極58bを形成した。また、外周側突起電極58a間に、幅15μmの3本の内周インナーリード50bを30μmの電極間ピッチp(e)2にて配置し、内周インナーリード50bと外周側突起電極58aとの間の距離f2を15μmとするために、半導体チップ96上に外周側突起電極58aを130μmの配列ピッチにて形成した。また、内周側突起電極58b間の距離が少なくとも15μmは確保されるように、内周側突起電極58bを43.3μmの配列ピッチにて形成した。
【0143】
また、上記実施例1と同様にして、フィルム基板101(図2(a))上に形成された5μmの銅箔をエッチングし、上記半導体チップ96上に形成された突起電極58の配置に応じた配線パターンのインナーリード50を、幅v2を15μmとして形成し、インナーリード50bを、20μmのピッチにて配置した。
【0144】
上記突起電極58とインナーリード50とをインナーリード接合装置(図3)を用いて接合し、図4(a)に示すCOFを得た。得られたCOFは、外周インナーリード50aのピッチp(o)2が130μmにて形成された。また、内周インナーリード50bの接合ピッチp(i)2は、内周側突起電極58bの配列ピッチと同様の35μmにて形成された。
【0145】
従って、実質的なインナーリードのピッチは、130μm/4=32.5μmとなり、ファインピッチ化を実現することができた。また、従来公知のインナーリード接合装置のボンディング精度にて、上記突起電極とインナーリードとの接合することができた。なお、接合に際して、電極間ピッチp(e)2が20μmにて形成された3本の内周インナーリード50bが剥れて、あるいは変形して、相互に接触することはなかった。
【0146】
〔実施例3〕
図5(a)に示すCOFを形成するために、図5(a)に示すように、半導体チップ96上に、幅が25μmの第1突起電極68a、第2突起電極68b、第3突起電極68cを形成した。また、第1突起電極68a間に、幅15μmの6本の第2インナーリード60b及び第3インナーリード60cを30μmの電極間ピッチp(e)3にて配置し、上記第2インナーリード60bと第1突起電極68aとの間の距離f3を15μmとするために、半導体チップ96上に第1突起電極68aを220μmの配列ピッチにて形成した。
【0147】
また、第2突起電極68b間に、幅15μmの4本の第3インナーリード60cを、上記と同様に、30μmの電極間ピッチp(e)3にて配置し、上記第3インナーリード60cと第2突起電極68bとの間の距離f3を15μmとした。また、第3インナーリード60cが配置されていない第2突起電極68b間の距離は、少なくとも15μm以上を確保した。
【0148】
さらに、第3突起電極68c間の距離が少なくとも15μm確保されるように、第3突起電極68cを55μmの配列ピッチにて形成した。
【0149】
また、上記実施例1と同様にして、フィルム基板101(図2(a))上に形成された5μmの銅箔をエッチングし、上記半導体チップ96上に形成された突起電極68の配置に応じた配線パターンのインナーリード60を、幅v3を15μmとして形成し、第2インナーリード60b及び第3インナーリード60cを30μmの電極間ピッチp(e)3にて形成した。
【0150】
上記突起電極68とインナーリード60とをインナーリード接合装置(図3)を用いて接合し、図5(a)に示すCOFを得た。得られたCOFは、第3インナーリード60aのピッチp(o)3が220μmにて形成された。従って、実質的なインナーリードのピッチは、220μm/7=31.4μmとなり、ファインピッチ化を実現することができた。また、従来公知のインナーリード接合装置のボンディング精度にて、上記突起電極とインナーリードとの接合することができた。なお、接合に際して、電極間ピッチp(e)3が30μmにて形成された第2・第3インナーリード60b・60cが剥れて、あるいは変形して、相互に接触することはなかった。
【0151】
〔実施例4〕
図8に示すCOFを形成するために、半導体チップ96上に、外周側突起電極58a・88a及び内周側突起電極58b・88bを形成した。両端領域の外周側突起電極58a及び内周側突起電極58bには、幅w2が25μmの突起電極を用い、中央領域の外周側突起電極88a及び内周側突起電極88bには、幅w4が20μmの突起電極を用いた。
【0152】
両端領域の外周側突起電極58a及び内周側突起電極58bは、実施例2と同様の配列ピッチ及びインナーリードのピッチにて形成した。
また、中央領域の外周側突起電極88aは、該外周側突起電極88a間に、幅15μmの4本の内周インナーリード88bを30μmの電極間ピッチにて配置した。また、内周インナーリード88bと中央領域の外周側突起電極88aとの間の距離を15μmとするために、半導体チップ96上に外周側突起電極88a間の距離を135μmにて形成した。また、内周側突起電極88b間の距離が15μmとなるように、内周側突起電極88bを30μmの配列ピッチにて形成した。
【0153】
また、上記半導体チップ96上に形成された突起電極58・88の配置に応じた配線パターンのインナーリード50・80を、幅15μmにて形成した。
【0154】
上記突起電極58・88とインナーリード50・80とをインナーリード接合装置(図3)を用いて接合し、図8に示すCOFを得た。得られたCOFは、実施例2にて説明したように、両端領域の外周インナーリード50aのピッチp(o)2が130μmにて形成された。従って、両端領域での実質的なインナーリードのピッチは、130μm/4=32.5μmとなった。
【0155】
さらに、中央領域の外周インナーリード80aのピッチp(o)4が155μmのピッチにて形成され、中央領域での実質的なインナーリードのピッチは、155μm/5=31μmとなった。また、内周インナーリード50bの接合ピッチp(i)4は、30μmにて形成された。
【0156】
その結果、両端領域及び中央領域の全領域における、実質的なインナーリードのピッチは、31.8μmとなり、ファインピッチ化を実現することができた。また、従来公知のインナーリード接合装置のボンディング精度にて、上記突起電極とインナーリードとの接合することができた。なお、接合に際して、各電極間ピッチが30μmにて形成された内周インナーリード50b・80bが剥れて、あるいは変形して、相互に接触することはなかった。
【0157】
なお、厚さが5μmの銅箔を使用すると、インナーリードのピッチを20μmにて形成することができるため、両端領域での実質的なインナーリードのピッチは、105μm/4=26.25μmにて形成することができる。また、中央領域での実質的なインナーリードのピッチは、115μm/5=23μmにて形成することができる。その結果、両端領域及び中央領域の全領域における、実質的なインナーリードのピッチは、24.3μmとなり、さらなるファインピッチ化を実現することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】(a)は、本発明におけるCOFの半導体チップの実施の一形態を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるA部分を示す要部の平面図である。
【図2】(a)は、上記COFの上面図であり、(b)は、(a)Q−Q’線矢視断面図である。
【図3】本発明におけるCOFのインナーリードと突起電極とを接合する際に用いられるインナーリード接合装置を示す断面図である。
【図4】(a)は、本発明におけるCOFの他の実施の形態を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるB部分を示す要部の平面図である。
【図5】(a)は、本発明におけるCOFのさらに他の実施の形態を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるC部分を示す要部の平面図である。
【図6】COFの参考例を示す平面図である。
【図7】COFのさらに他の参考例を示す平面図である。
【図8】本発明におけるCOFのさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図9】(a)は、従来のCOFを示す平面図であり、(b)は、(a)におけるX部分を示す要部の平面図である。
【図10】(a)は、従来の他のCOFを示す平面図であり、(b)は、(a)におけるY部分を示す要部の平面図である。
【図11】(a)は、従来のさらに他のCOFを示す平面図であり、(b)は、(a)におけるZ部分を示す要部の平面図である。
【符号の説明】
【0159】
50 インナーリード(リード配線)
50a 外周側インナーリード(リード配線)
50b 内周側インナーリード(リード配線・内部側突起電極用リード配線)
58 突起電極
58a 外周側突起電極(エッジ側突起電極)
58b 内周側突起電極(内部側突起電極)
60 インナーリード(リード配線)
60a 第1インナーリード(リード配線)
60b 第2インナーリード(リード配線・内部側突起電極用リード配線)
60c 第3インナーリード(リード配線・内部側突起電極用リード配線)
68 突起電極
68a 第1突起電極(エッジ側突起電極)
68b 第2突起電極(内部側突起電極・第1の内部側突起電極)
68c 第3突起電極(内部側突起電極・第2の内部側突起電極)
70 インナーリード(リード配線)
77 突起電極
72 インナーリード(リード配線)
78 突起電極
80 中央領域のインナーリード(リード配線)
80a 中央領域の外周側インナーリード(リード配線)
80b 中央領域の内周側インナーリード(リード配線・内部側突起電極用リード配線)
88 中央領域の突起電極
88a 中央領域の外周側突起電極(エッジ側突起電極)
88b 中央領域の内周側突起電極(内部側突起電極)
98 突起電極
98a 外周側突起電極(エッジ側突起電極)
98b 内周側突起電極(内部側突起電極)
100 インナーリード(リード配線)
100a 外周側インナーリード(リード配線)
100b 内周側インナーリード(リード配線・内部側突起電極用リード配線)
101 フィルム基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ上に、該半導体チップのエッジの周縁部に配設されたエッジ側突起電極と、該エッジ側突起電極よりも該半導体チップの内周に配設された少なくとも1列の内部側突起電極とを備え、フィルム基板上に形成されたリード配線が、上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極に接合されてなる半導体装置において、
互いに隣り合う上記エッジ側突起電極間には、上記内部側突起電極に接合される少なくとも2本の内部側突起電極用リード配線が設けられ、
上記内部側突起電極用リード配線のうちの少なくとも1本は、上記内部側突起電極との接合位置に応じて屈曲しており、
上記半導体チップ上に配設された突起電極は、上記半導体チップの内周側の列であるほど同一列に配設された数が増加していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記内部側突起電極用リード配線は、上記内部側突起電極との接合位置よりも上記エッジ側突起電極間にて、ピッチが小さくなるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記エッジ側突起電極間における上記内部側突起電極用リード配線は、1μm以上15μm以下の幅を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上記エッジ側突起電極間の距離は、50μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記内部側突起電極用リード配線は、上記内部側突起電極に接合した場合に、上記エッジから、上記内部側突起電極の上記半導体チップの内部側の端部までの長さが100μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
上記半導体チップは4つのエッジを有し、該エッジのうちの少なくとも1つのエッジの周縁部に、上記エッジ側突起電極と、該エッジ側突起電極よりも該半導体チップの内周に配設された少なくとも1列の内部側突起電極とが設けられ、
上記半導体チップ上に配設された突起電極は、上記半導体チップの内周側の列であるほど同一列に配設された数が増加していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
上記エッジ側突起電極のうち、少なくとも両端とそれに隣接する位置とに配設されるエッジ側突起電極間に設けられる上記内周側突起電極用リード配線数は、上記両端以外の位置に配設されるエッジ側突起電極間に設けられる上記内周側突起電極用リード配線数よりも少ないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
上記エッジ側突起電極及び上記内部側突起電極のうち、少なくとも両端に配設されるエッジ側突起電極及び内部側突起電極のそれぞれが有する幅は、上記両端以外の位置に配設されるエッジ側突起電極及び内部側突起電極のそれぞれが有する幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
上記内部側突起電極は、さらに、半導体チップのエッジからの距離が相対的に小さい位置に配設された第1の内部側突起電極と、上記エッジからの距離が相対的に大きい位置に配設された第2の内部側突起電極とを備え、
上記第2の内部側突起電極に接合される内部側突起電極用リード配線は、上記第1の内部側突起電極間に設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
上記内部側突起電極のうちの少なくとも一部は、上記半導体チップ上の半導体素子及びチップ配線の少なくとも一方に接続されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−36283(P2007−36283A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269552(P2006−269552)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【分割の表示】特願2002−357089(P2002−357089)の分割
【原出願日】平成14年12月9日(2002.12.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】