説明

半導体装置

【課題】本発明は、半導体装置のケースに損傷を与えることなく、当該半導体装置と本体装置との締結時の締結トルクを増加させることができる、半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置100は、半導体素子1と、半導体素子1と接続される主電極81,82と、半導体素子1を封止する、ケース11とを備えている。主電極81,82は、ケース11内部からケース11外部に延設されており、ケース11外部へ延設されている主電極81,82の延設部分81Aにおいて、外部端子と締結する雄ねじまたは雌ねじが、一体的に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電力用などの半導体装置に関するものであり、特に当該半導体装置のケース部分に関するものでる。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置などでは、本体装置(外部アプリケーション)と独立して、大電力用の半導体素子を搭載した半導体装置が使用される。当該半導体装置は、半導体素子がケース内部に封止されている。
【0003】
また、当該半導体装置では、半導体素子と電気的に接続された主電極が、ケース外部へと延設されている。一方、ケース内部にはナットが配設されており、インバータ側の電極と電気的に接続されたボルトは、主電極を介して、当該ナットと締結する。これにより、本体装置と半導体装置とが接続される。
【0004】
なお、上記締結を可能せしめる半導体装置側の構造を示す先行文献として、たとえば特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−98036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体装置と本体装置との締結は、上記の通り、ケースにアウトサートされたナットで行われている。半導体装置の締結耐力は、ナットとケースで保持しており、従来では、締結の限界はケースが破損する耐力であった。
【0007】
一方近年、当該締結のトルクアップの要求が生じている。しかしながら、ケースは、PPS樹脂などで形成されており、当該PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂の締結耐力は大きくない。したがって、締結によるケースの亀裂・破損を防止するため、締結トルクの設定には限界があった。
【0008】
そこで、本発明は、半導体装置のケースに損傷を与えることなく、当該半導体装置と本体装置との締結時の締結トルクを増加させることができる、半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子と接続される主電極と、前記半導体素子を封止する、ケースとを備えており、前記主電極は、前記ケース内部から前記ケース外部に延設されており、前記ケース外部へ延設されている前記主電極の延設部分において、外部端子と締結する雄ねじまたは雌ねじが、一体的に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る半導体装置では、ケース外部へ延設されている主電極の延設部分において、外部端子と締結する雄ねじまたは雌ねじが、一体的に設けられている。
【0011】
したがって、半導体装置と本体装置との締結の際にかかる力は、ケースでなく、金属製である主電極に印加される。これにより、半導体装置のケースに損傷を与えることなく、当該半導体装置と本体装置との締結時の締結トルクを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】半導体装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体装置の要部構成(主電極の延設部分付近領域)を示す拡大断面図である。
【図3】主電極の延設部分を折り曲げる前の状態を示す拡大断面図である。
【図4】実施の形態2に係る半導体装置の要部構成(主電極の延設部分付近領域)を示す拡大断面図である。
【図5】実施の形態3に係る半導体装置の要部構成(主電極の延設部分付近領域)を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0014】
<実施の形態1>
まず、半導体装置全体の概略構成について説明する。図1は、半導体装置100の全体構成を例示する断面図である。
【0015】
半導体素子1は、基板3に対して、はんだ2によって接合される。基板3は、表面電極41,42と、絶縁板31と、裏面電極32とから構成されている。
【0016】
具体的に、絶縁板31の第一の主面に、表面電極41,42が接合され、絶縁板31の第二の主面に、裏面電極32が接合されている。そして、図1の例では、表面電極41上に、はんだ2を介して半導体素子1が接合されている。また、基板3は、裏面電極32を介して、はんだ5によってベース板6に接合されている。
【0017】
また、半導体素子1および基板3は、絶縁性のケース11によって覆われている。
【0018】
ケース11には、例えば、PPS等のプラスチック材料の成型品(つまり、樹脂製品)を用いることができる。ケース11には開口部11aが形成されており、ケース11内の電気絶縁性を向上するために、開口部11aを介して、ゲル9がケース11内に充填される。さらに、ケース11内の耐湿性を向上させるために、開口部11aを介して、エポキシ樹脂10が充填される。当該エポキシ樹脂10により、ケース11の上面が封止される。
【0019】
また、図1の例では、半導体素子1のエミッタ電極は、表面電極41およびはんだ7を介して、主電極81と接続されている。また、半導体素子1のコレクタ電極は、アルミワイヤ14、表面電極42およびはんだ7を介して、主電極82と接続されている。各主電極81,82は、ケース11内からケース11外へと引出されている(延設されている)。ここで、各種電極41,42,32,81,82は、銅などの金属成型品を採用できる。
【0020】
また、本実施の形態に係る半導体装置100では、インバータ等の本体装置の電極(より具体的には、当該電極と電気的に接続したボルト)は、主電極81,82を介して、ナット12によって接続される。これにより、半導体装置100の半導体素子1と、本体装置の外部回路とは、電気的に接続される。
【0021】
なお、図示していない放熱器は、取り付け穴13を用いてベース板6にねじ止めされる。
【0022】
以下、図1に示す丸で囲まれた領域付近の具体的な構成について説明する。なお、以下、本実施の形態を含め、他の実施の形態においても、主電極81側の丸で囲まれた領域付近の構成について説明するが、主電極82側の丸で囲まれた領域付近の構成についても同様の説明が適用される。
【0023】
図2は、本実施の形態に係るケース11外に延設された主電極81の部分付近の構成を示す拡大断面図である。
【0024】
図2に示すように、主電極81は、ケース11内からケース11外にかけて延設されている。ここで、ケース11外に配設されている主電極81の部分を、延設部分81Aと称することとする。主電極81の延設部分81Aは、ケース11の上面部と面するように配設されている。また、延設部分81Aには、穴81Bが形成されている。
【0025】
これに対して、延設部分81Aと面するケース11の上面には、図2に示すように、凹部11Hが形成されている。そして、当該ケース11の凹部11H内部には、アウトサートにより、ナット12が配設(埋設)されている。ここで、ナット12に設けられた穴(図示省略)の中心と、延設部分81Aに設けられた穴81Bの中心とは、略一致している。
【0026】
さらに、本実施の形態では、延設部分81Aの下面とナット12の上面とが、溶接されている。図2において当該溶接の箇所、溶接部分20として図示されている。ここで、延設分81Aの穴81Bの部分と、ナット12の穴の部分とが面する領域には、溶接部分20は存在しない。
【0027】
次に、図2に示す構成の製造方法について説明する。
【0028】
まず、予め、所望の形状の樹脂製のケース11を製造する。ここで、当該製造されたケース11には、ナット12が配設される凹部11H、主電極81,82が貫通可能な穴および開口部11a等が形成されている。
【0029】
一方で、図1に示す構成の基板3の表面電極41上に、はんだ2により半導体素子1を接合し、基板3の裏面電極32に、はんだ5によりベース板6を接合する。また、表面電極41と主電極81とをはんだ7により接合することにより、半導体素子1のエミッタ電極は、主電極81と接続される。また、半導体素子1と表面電極42とをアルミワイヤ14により接続し、表面電極42と主電極82とをはんだ7により接合することにより、半導体素子1のコレクタ電極は、主電極82と接続される。ここまで工程で作製された部材を、半導体素子構成体と称する。
【0030】
次に、半導体素子構成体を覆うようにケース11を配置させ、ケース11とベース板6とを接着する。ここで、前記半導体素子構成体では、各主電極81,82の延設部分81Aは、図1の下から上方向に立ち上がっている。したがって、前記のようにケース11を配置させる際に、ケース11に設けられた穴に、各主電極81,82の延設部分81Aを貫通させる。ケース11とベース板6とを接着した状態おいて、当該延設部分81Aは、ケース11の上面から突出して、立ち上がった状態となっている。
【0031】
次に、ケース11に形成された開口部11aから、ゲル9をケース11内に充填し、その後、当該開口部11aから、エポキシ樹脂10をケース11内に充填する。ここまでの工程により、半導体素子構成体は、ケース11、エポキシ樹脂10およびベース板6により封止される。当該封止後の半導体装置における、主電極81の延設部分81A付近の拡大構成を、図3の断面図に示す。
【0032】
図3に示すように、延設部分81Aは、ケース11の上面から突出している。なお、当該延設部分81Aには、穴81Bが形成されている。
【0033】
次に、図3において、延設部分81Aにナット12を溶接する。具体的に、図3において、延設部分81Aと右側にナット12の上面となる部分とを重ねる。ここで、延設部分81Aの穴81Bの中心とナット12の穴の中心とは、略一致している。前記両穴が重なる部分に、インバータなどに設けられたボルトが挿入される。前記延設部分81Aとナット12とを重ねた後、両者を溶接する。これにより、延設部分81Aとナット12とは固着される。
【0034】
その後、ナット12が溶接された延設部分81Aを、ケース11に設けられた凹部11Hに向けて、折り曲げる。これにより、延設部分81Aはケース11の上面と面することとなり、また延設部分81Aに溶接されたナット12は、ケース11の凹部11H内に収納される。なお、図2の構成と異なり、延設部分81Aがケース11の上面と密着していても当然良い。
【0035】
以上のように、本実施の形態では、主電極81の延設部分81Aが、ケース11の凹部11H内に配設されるナット12と溶接されている。
【0036】
したがって、本体装置の電極に接続されたボルトとナット12とを締結する際に、当該締結の耐力は、ナット12に溶接された金属である主電極81で保持される。つまり、締結の際にかかる力は、樹脂製であるケース11でなく、金属製である主電極81に印加される。これにより、半導体装置100のケース11に損傷を与えることなく、当該半導体装置100と本体装置との締結時の締結トルクを増加させることができる。
【0037】
<実施の形態2>
図4は、本実施の形態に係るケース11外に延設された主電極81の部分付近の構成を示す拡大断面図である。
【0038】
図4に示すように、主電極81は、ケース11内からケース11外にかけて延設されている。ここで、ケース11外に配設されている主電極81の部分を、延設部分81Dと称することとする。主電極81の延設部分81Dは、ケース11の上面部と面するように配設されている。また、延設部分81Dと面するケース11の上面には、図4に示すように、凹部11Hが形成されている。
【0039】
さらに、本実施の形態では、延設部分81Dの一部は、ケース11の凹部11H内部に落ち込んで形成されている。つまり、ケース11外から引出された延設部分81Dは、まずケース11の上面上に配設され、凹部11Hの側面を経由して、ケース11の他の上面上にかけて配設されている。前記のように、凹部11Hの側面上には延設部分81Dが配設されているが、当該凹部11Hの側面に配設された延設部分81Dの露出面には、ねじ山(雌ねじ)81Fが形成されている。また、以下に示す製造方法を採用する場合には、図4に示すように、凹部11Hの底面には、延設部分81Dは形成されない。
【0040】
なお、本実施の形態では、ケース11の凹部11H内にはナットは配設されておらず、当該凹部11H内に配設された延設部分81Dが、実施の形態1で説明したナット12の機能も兼用する(つまり、本体装置の電極に接続されたボルトは、凹部11H内の延設部分81Dと締結する。
【0041】
主電極81の延設部分81Dの形態およびケース11の凹部11H内にナット12が配設されない以外、本実施の形態に係る半導体装置と実施の形態1に係る半導体装置とで、構成は、同じである。したがって、図4以外の本実施の形態に係る半導体装置の構成の説明は、ここでは省略する。
【0042】
次に、図4に示す構成の製造方法について説明する。
【0043】
まず、予め、所望の形状の樹脂製のケース11を製造する。ここで、当該製造されたケース11には、主電極81の延設部分81Dが配設される凹部11H、主電極81,82が貫通可能な穴および開口部11a等が形成されている。
【0044】
一方で、図1に示す構成の基板3の表面電極41上に、はんだ2により半導体素子1を接合し、基板3の裏面電極32に、はんだ5によりベース板6を接合する。また、表面電極41と主電極81とをはんだ7により接合することにより、半導体素子1のエミッタ電極は、主電極81と接続される。また、半導体素子1と表面電極42とをアルミワイヤ14により接続し、表面電極42と主電極82とをはんだ7により接合することにより、半導体素子1のコレクタ電極は、主電極82と接続される。ここまで工程で作製された部材を、半導体素子構成体と称する。
【0045】
次に、半導体素子構成体を覆うようにケース11を配置させ、ケース11とベース板6とを接着する。ここで、前記半導体素子構成体では、各主電極81,82の延設部分81Dは、図1の下から上方向に立ち上がっている。したがって、前記のようにケース11を配置させる際に、ケース11に設けられた穴に、各主電極81,82の延設部分81Dを貫通させる。ケース11とベース板6とを接着した状態おいて、当該延設部分81Dは、ケース11の上面から突出して、立ち上がった状態となっている。
【0046】
次に、ケース11に形成された開口部11aから、ゲル9をケース11内に充填し、その後、当該開口部11aから、エポキシ樹脂10をケース11内に充填する。ここまでの工程により、半導体素子構成体は、ケース11、エポキシ樹脂10およびベース板6により封止される。当該封止後の半導体装置における、主電極81の延設部分81D付近の拡大構成は、図3の断面図と同様である。
【0047】
図3での説明と同様に、本実施の形態においても、延設部分81Dは、ケース11の上面から突出している。なお、当該延設部分81Dには、バーリング加工時の下穴となる穴が形成されている。
【0048】
次に、延設部分81Dを、ケース11に設けられた凹部11Hに向けて、折り曲げる。これにより、延設部分81Dはケース11の上面と面することとなる。ここで、当該折り曲げられた延設部分81Dにおいて、上記下穴となる穴の中心と凹部11Hの中心とが略一致している。
【0049】
その後、バーリング加工で使用されるツールの先端を、延設部分81Dの前記下穴となる穴に当接し、凹部11Hの内部に向けて、当該ツールを押し下げる(バーリング加工)。これにより、図4に示すように、延設部分81Dの前記下穴となる穴は押し広げられ、凹部11H内の側面に沿って下方向に(つまり、凹部11H内へ立下がって)配設され、当該凹部11H上の延設部分81Dの前記立下がった部分の露出面には、ねじ山81Fが形成される。このように、バーリング加工により、延設部分81Dに設けられた前記下穴となる穴は拡がり、かつ当該下穴となる穴の周辺は下方向立下げられ、図4に示すように、凹部11Hの底面が露出するような円筒状の開口部が、延設部分81Dには形成される。
【0050】
以上のように、本実施の形態では、主電極81の延設部分81Dが、ケース11の凹部11H内に落ち込むように配設され、当該凹部11H内において延設部分81Dにはねじ山81Fが形成されている。
【0051】
したがって、本体装置の電極に接続されたボルトと延設部分81Dとを締結する際に、当該締結の耐力は、金属である主電極81で保持される。つまり、締結の際にかかる力は、樹脂製であるケース11でなく、金属製である主電極81に印加される。これにより、半導体装置100のケース11に損傷を与えることなく、当該半導体装置100と本体装置との締結時の締結トルクを増加させることができる。
【0052】
<実施の形態3>
図5は、本実施の形態に係るケース11外に延設された主電極81の部分付近の構成を示す拡大断面図である。
【0053】
図5に示すように、主電極81は、ケース11内からケース11外にかけて延設されている。ここで、ケース11外に配設されている主電極81の部分を、延設部分81Lと称することとする。主電極81の延設部分81Lは、ケース11の上面部と面するように配設されている。
【0054】
ここで、本実施の形態では、延設部分81Lと面するケース11の上面には、実施の形態1,2と異なり、凹部11Hは形成されていない(当該凹部11Hが形成されないので、本実施の形態では当然、実施の形態1で説明したナット12も配設されない)。また、本実施の形態では、延設部分81Dには、実施の形態1で説明した穴81Bや実施の形態2で説明したバーリング加工時の下穴などは、形成されていない。
【0055】
また、本実施の形態では、延設部分81Lの上面に、ボルト27が図面上方向に向けて配設されている。そして、延設部分81Lとボルト27との接触部分は、溶接されている。つまり、本実施の形態では、延設部分81Lとボルト27との間に、溶接部分23が形成されている。
【0056】
本実施の形態に係る半導体装置では、延設部分81Lに溶接されたボルト27が、本体装置の電極に接続されたナットと締結する。なお、図5では省略されているが、ボルト27には、ねじ山(雄ねじ)が形成されている。
【0057】
上記以外の構成は、本実施の形態に係る半導体装置と実施の形態1に係る半導体装置とで、同じである。したがって、図5以外の本実施の形態に係る半導体装置の構成の説明は、ここでは省略する。
【0058】
次に、図5に示す構成の製造方法について説明する。
【0059】
まず、予め、所望の形状の樹脂製のケース11を製造する。ここで、当該製造されたケース11には、主電極81,82が貫通可能な穴および開口部11a等が形成されている。
【0060】
一方で、図1に示す構成の基板3の表面電極41上に、はんだ2により半導体素子1を接合し、基板3の裏面電極32に、はんだ5によりベース板6を接合する。また、表面電極41と主電極81とをはんだ7により接合することにより、半導体素子1のエミッタ電極は、主電極81と接続される。また、半導体素子1と表面電極42とをアルミワイヤ14により接続し、表面電極42と主電極82とをはんだ7により接合することにより、半導体素子1のコレクタ電極は、主電極82と接続される。ここまで工程で作製された部材を、半導体素子構成体と称する。
【0061】
次に、半導体素子構成体を覆うようにケース11を配置させ、ケース11とベース板6とを接着する。ここで、前記半導体素子構成体では、各主電極81,82の延設部分81Lは、図1の下から上方向に立ち上がっている。したがって、前記のようにケース11を配置させる際に、ケース11に設けられた穴に、各主電極81,82の延設部分81Lを貫通させる。ケース11とベース板6とを接着した状態おいて、当該延設部分81Lは、ケース11の上面から突出して、立ち上がった状態となっている。
【0062】
次に、ケース11に形成された開口部11aから、ゲル9をケース11内に充填し、その後、当該開口部11aから、エポキシ樹脂10をケース11内に充填する。ここまでの工程により、半導体素子構成体は、ケース11、エポキシ樹脂10およびベース板6により封止される。当該封止後の半導体装置における、主電極81の延設部分81L付近の拡大構成は、図3の断面図と同様である。
【0063】
図3での説明と同様に、本実施の形態においても、延設部分81Lは、ケース11の上面から突出している。ただし、本実施の形態では、延設部分81Lには、穴は形成されていない。
【0064】
次に、延設部分81Lを、ケース11上面に向けて、折り曲げる。これにより、延設部分81Lはケース11の上面と面することとなる。なお、図5の構成とことなり、延設部分81Lとケース11の上面とが密着していても当然良い。
【0065】
その後、折り曲げられた延設部分81L上に、ボルト27を起立状態で配置させる。そして、延設部分81Lとボルト27との接触部を溶接する。これにより、延設部分81Lとボルト27との間に、溶接部分23が形成され、延設部分81Lにおいてボルト27が固着される。
【0066】
以上のように、本実施の形態では、主電極81の延設部分81Lに、ボルト27が溶接されている。
【0067】
したがって、本体装置の電極に接続されたナットと延設部分81Lに溶接されたボルト27とを締結する際に、当該締結の耐力は、金属である主電極81で保持される。つまり、締結の際にかかる力は、樹脂製であるケース11でなく、金属製である主電極81に印加される。これにより、半導体装置100のケース11に損傷を与えることなく、当該半導体装置100と本体装置との締結時の締結トルクを増加させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体素子、2,5,7 はんだ、3 基板、6 ベース板、9 ゲル、10 エポキシ樹脂、11 ケース、11a 開口部、11H 凹部、12 ナット、13 取り付け穴、14 アルミワイヤ、20,23 溶接部分、27 ボルト、31 絶縁板、32 裏面電極、41,42 表面電極、81,82 主電極、81A,81D,81L 延設部分、81B 穴、81F ねじ山(雌ねじ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子と接続される主電極と、
前記半導体素子を封止するケースとを、備えており、
前記主電極は、前記ケース内部から前記ケース外部に延設されており、
前記ケース外部へ延設されている前記主電極の延設部分において、外部端子と締結する雄ねじまたは雌ねじが、一体的に設けられている、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ケース外部へ延設されている前記主電極の延設部分は、前記ケース上面部に面しており、
前記延設部分と面する前記ケースには、凹部が形成されており、
前記ケースの前記凹部内部には、ナットが配設されており、
前記ナットと前記主電極の前記延設部分とは、溶接されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ケースには、凹部が形成されており、
前記ケース外部へ延設されている前記主電極の延設部分は、前記ケースの前記凹部内に落ち込んで配設されており、
前記凹部内部に落ち込んでいる部分の前記延設部分には、ねじ山が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ケース外部へ延設されている前記主電極の延設部分は、前記ケース上面部に面しており、
前記延設部分上には、ボルトが突出するように配置されており、
前記ボルトと前記延設部分とは、溶接されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−134300(P2012−134300A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284700(P2010−284700)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】