説明

半導体装置

【課題】取付板を制御基板部へより強固に取り付けることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】制御基板部CBのプリント基板2の一方の面のランド3と取付板5との間に、ばね座金9を平座金8aと平座金8bとで挟み込む態様で介在させて、プリント基板2の他方の面からプリント基板2を貫通する基板貫通穴2a、平座金8a、ばね座金9および平座金8bにねじ6を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5aに締め付けることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、半導体素子を備えた半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の一つに、たとえば、サイリスタがある。サイリスタは、サイリスタを制御する制御基板部のプリント基板に形成された所定の回路パターンに取り付けられる。プリント基板の表面には、制御回路素子を構成するコンデンサおよびトランジスタ等が実装されている。制御基板部には、制御回路素子等に電気的に接続される外部の電源や信号線等を中継させたり、あるいは、固定させるために、取付板が所定の位置に固定される。
【0003】
取付板は、プリント基板のランドを貫通する基板貫通穴に、プリント基板の裏面から挿通されるねじを、取付板に設けられたねじ穴にねじ止めすることによって固定される。制御回路素子等に通電して動作させる際に、外部からの電気的ノイズを遮断するため、取付板は、プリント基板のグランド(接地電位)に電気的に接続されている必要がある。このため、取付板とプリント基板のグランドとは、ねじとして金属製のねじを適用することによって、取付板をグランドに電気的に接続させている。なお、この種の技術分野を開示した特許文献として、特許文献1および特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−203931号公報
【特許文献2】特開2004−281743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した半導体装置には、搭載される対象によっては、耐振性が要求される。特に、サイリスタ等の電力用の半導体素子を備えた半導体装置では、この耐震性の要求が高い。このため、半導体装置では、外部の電源や信号線等を中継させたり等するための取付板は、制御基板部に確実に固定されることが求められる。本発明は、そのような開発の一環においてなされたものであり、その目的は、取付板を制御基板部へより強固に取り付けることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、半導体素子を搭載した制御基板部を有する半導体装置である。その制御基板部は、基板本体と取付板とを備えている。基板本体は、互いに対向する第1主表面および第2主表面を有し、第1主表面に半導体素子を実装している。取付板は、基板本体の第1主表面側に所定のねじによって固定され、制御基板部との電気的な接続に使用される部材が取り付けられる。その取付板は、基板本体の第1主表面と取付板との間に、弾性力を有する弾性座金を、所定のねじが挿通される貫通穴がそれぞれ形成された第1板状部材と第2板状部材とで挟み込む態様で介在させて、基板本体の第2主表面側から基板本体を貫通する基板貫通穴、第1板状部材、弾性座金および第2板状部材に所定のねじを挿通し、取付板に形成されたねじ穴に締め付けることによって、基板本体に固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る半導体装置では、取付板を制御基板部へより強固に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の外観を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分分解斜視図である。
【図3】同実施の形態において、取付板を制御基板部へ取り付けるために用いられるねじを示す斜視図である。
【図4】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図5】比較例に係る半導体装置における、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る半導体装置における、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る半導体装置における、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る半導体装置に適用される導電部材を示す斜視図である。
【図9】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分分解斜視図である。
【図10】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る半導体装置に適用される導電部材を示す斜視図である。
【図12】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分分解斜視図である。
【図13】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図14】本発明の実施の形態6に係る半導体装置に適用される導電部材を示す斜視図である。
【図15】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分分解斜視図である。
【図16】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【図17】本発明の実施の形態7に係る半導体装置に適用される導電部材を示す斜視図である。
【図18】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分分解斜視図である。
【図19】同実施の形態において、取付板の制御基板部への取付構造を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る半導体装置について説明する。各実施の形態では、半導体素子の一例として、ゲート転流型のサイリスタ(GCT:Gate Commutated Turn-off)を例に挙げる。
【0010】
まず、半導体装置の全体の概要について説明する。図1に示すように、半導体装置SDでは、制御基板部CBのプリント基板2(基板本体)における所定の回路パターンに、ゲート転流型のサイリスタ1が取り付けられている。そのサイリスタ1の近傍に、制御回路素子CDを構成するコンデンサCが実装されている。コンデンサCは、サイリスタ1を挟み込むように、プリント基板2における互いに対向するそれぞれの端部に沿って実装されている。また、コンデンサCの他に、サイリスタ1の近傍には、制御回路素子CDとしてトランジスタT等が実装されている。
【0011】
さらに、プリント基板2には、そのような制御回路素子CD等に電気的に接続される外部の電源や信号線等を中継させたり、固定させるために、取付板5が取り付けられている。取付板5は、たとえば、アルミニウム等の金属から形成され、トランジスタT等が実装されている領域を挟み込むように取り付けられている。なお、取付板5は、制御基板部CBを持ち運ぶ際の取っ手としても用いることができ、また、取付板5に冷却用のフィンを取り付けることもできる。
【0012】
次に、その取付板5のプリント基板2への取付構造について説明する。図2に示すように、制御基板部CBのプリント基板2の一方の面のランド3と取付板5との間に、ばね座金9を平座金8aと平座金8bとで挟み込む態様で介在させて、プリント基板2の他方の面からプリント基板2(ランド3)を貫通する基板貫通穴2a、平座金8a、ばね座金9および平座金8bにねじ6を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5aに締め付けることによって、取付板5がプリント基板2に固定される(図4参照)。なお、平座金8aと平座金8bとは、同じ平座金である。また、ねじ6は金属製のねじであり、図3に示すように、ねじ6の頭には、六角レンチが嵌め込まれる六角穴が形成されている。
【0013】
図4に示すように、金属製のねじ6によって取付板5がプリント基板2に固定された状態では、取付板5がプリント基板2のランド3に電気的に接続されて、取付板5が接地電位に固定される。取付板5を接地電位に固定することで、制御回路素子等に通電して動作させる際に、外部からの電気的ノイズを遮断して、半導体装置を安定して動作させることができる。
【0014】
上述した半導体装置における取付板5のプリント基板2への取付構造では、金属製のばね座金9を用いることで、取付板5が振動等によってがたついたり等するのを効果的に防止することができる。このことについて、比較例に係る半導体装置を交えて説明する。
【0015】
図5に示すように、比較例に係る半導体装置では、プリント基板102の一方の面のランド103と取付板5との間に、樹脂製のワッシャ104を介在させて、プリント基板102の他方の面からプリント基板102(ランド103)を貫通する基板貫通穴102aおよびワッシャ104にねじ106を挿通し、取付板105に形成されたねじ穴105aに締め付けることによって、取付板105がプリント基板102に固定される。ねじ6の頭とプリント基板102のランド103とははんだ付け107される。
【0016】
比較例に係る半導体装置では、ワッシャ104として、テフロン(登録商標)等のプラスチック製のワッシャ104が用いられている。このため、ねじ106の頭をはんだ付け107する際に、その熱によってワッシャ104が変形したり、経年変化等によってワッシャ104の厚みが減少するなどして、取付板105ががたつくことがある。そのようなプリント基板102を含む制御基板部に振動が及ぶような場合には、取付板105がプリント基板102から外れてしまうおそれがある。
【0017】
このような取付板105のがたつきをなくすために、ねじ106を締め付ける際のトルクを上げる対策が考えられる。しかしながら、トルクを上げることによって、プラスチック製のワッシャ104が、取付板105とプリント基板102とによって圧縮されてしまい、ワッシャ104の厚みが減少することが実験により明らかにされている。
【0018】
これに対して、上述した半導体装置では、金属製のばね座金9を用いることで、制御基板部CB5が振動するようなことがあったとしても、ばね座金9の弾性力によって、取付板5ががたついたりするのを効果的に防止することができる。これにより、取付板5がプリント基板2から外れてしまい、電源や信号線等がぶらついて、プリント基板に実装されている制御回路素子等損傷させてしまったり、プリント基板の配線を切断したり、短絡させてしまうのを未然に防ぐことができる。
【0019】
また、ばね座金9を挟み込むように、金属製の平座金8a,8bを介在させることで、ばね座金9がプリント基板2のランド3あるいは取付板5を傷つけたり、変形させたりするのを防止することができる。プリント基板2のランド3が傷ついたり変形した場合には、ランド3に接触する部品の電気的な接触が良好に行われなく危険性がある。また、取付板5が傷ついたり変形した場合には、取付板5のプリント基板2からの寸法B(図4参照)が規定値に達しなくなるおそれがあり、たとえば、取付板5による電気的なノイズの遮断に影響を与えるおそれがある。上述した半導体装置では、金属製の平座金8a,8bを介在させることで、このような不具合を未然に防ぐことができる。
【0020】
さらに、平座金8a、ばね座金9および平座金8bを、ねじ6の頭の側に介在させないことで、ねじの頭がプリント基板2の一方の面から突出する高さは、比較例に係る半導体装置の場合と同様に最小限に抑えられる。ねじ6の頭がプリント基板2の一方の面から突出する高さは、可能な限り低い方が好ましく、5mm以下に抑えることが好ましいとされる。これは、半導体装置では、耐電圧が6500Vと極めて高い電圧を制御しているために、制御基板部と外部の筐体(図示せず)との電気的な絶縁性を高めて、安全性を確保することを考慮したものである。
【0021】
実施の形態2
本発明の実施の形態2に係る半導体装置について説明する。図6に示すように、本半導体装置における取付板5のプリント基板2への取付構造では、取付板5をプリント基板2に固定する複数のねじ6のそれぞれについて、ねじ6の頭とランド3とがはんだ付け7によって接合されている。なお、これ以外の構成については、図2および図4に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
【0022】
上述した半導体装置では、前述した、ばね座金9による取付板5のがたつきを防止する効果と、平座金による取付板5等の損傷を抑制する効果に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、複数のねじ6のそれぞれについて、ねじ6の頭とランド3とがはんだ付け7によって接合されていることで、ねじ6が緩むのを確実に防止することができる。これにより、取付板5のがたつき等をより効果的に防止することができる。さらに、ねじ6の頭をはんだ7によってランド3に固定することで、ねじ6とランド3との接触抵抗を軽減することができ、取付板5を接地電位に確実に固定することができる。
【0023】
実施の形態3
本発明の実施の形態3に係る半導体装置として、前述した半導体装置(実施の形態2)の変形例について説明する。
【0024】
図7に示すように、本半導体装置では、取付板5をプリント基板2に固定する複数のねじ6のうち、1本のねじ6について、そのねじ6の頭とランド3とがはんだ付け7によって接合されている。残りのねじ6については、ねじ6の先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、取付板5がプリント基板2に固定されている。また、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5をプリント基板2に固定するようにしてもよい。なお、これ以外の構成については、図2および図4に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
【0025】
上述した半導体装置では、前述した、ばね座金9による取付板5のがたつきを防止する効果と、平座金による取付板5等の損傷を抑制する効果に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、複数のねじ6のうち、1本のねじ6について、そのねじ6の頭とランド3とをはんだ7付けにより接合することで、はんだ付けの作業が簡略化されて、作業効率の向上を図ることができる。また、はんだ7付けにより、ねじ6とランド3との接触抵抗を軽減することができ、取付板5を接地電位に確実に固定することができる。
【0026】
さらに、はんだ7付けを行わないねじについては、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5をプリント基板2により強固に固定することができる。これにより、取付板5のがたつき等をより確実に防止することができる。
【0027】
なお、メック加工10aが施されたねじ、または、接着剤10bを用いて、取付板5をプリント基板2に固定する場合には、メック加工10aまたは接着剤10bが電気的絶縁物であるため、取付板5とねじ6とを電気的に良好に接続することができない場合が想定される。このため、そのようなねじ6を挿通する基板貫通穴2aが形成されているランド3については、プリント基板2のグランドとは必ずしも電気的に接続されている必要はない。
【0028】
実施の形態4
本発明の実施の形態4に係る半導体装置について説明する。ここでは、実施の形態1において説明したばね座金を挟み込む2つの平座金のうちの一方の平座金に替えて、導電部材を適用した半導体装置の第1例について説明する。
【0029】
図8に示すように、導電部材11は、ねじが挿通されるねじ挿通穴が形成された板状部11aと、プリント基板の接地電位に電気的に接続される接地電位接続部11bとを備えている。
【0030】
次に、導電部材11を適用した、取付板のプリント基板への取付構造について説明する。図9および図10に示すように、制御基板部CBのプリント基板2の一方の面のランド3と取付板5との間に、ばね座金9を平座金8と導電部材11の板状部11aとで挟み込む態様で介在させて、プリント基板2の他方の面から基板貫通穴2a、平座金8、ばね座金9および導電部材11の板状部11aにねじ6を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5aに締め付けることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。
【0031】
このとき、導電部材11の接地電位接続部11bは、プリント基板2に形成されたスルーホール2bに挿通されて、はんだ13によってプリント基板2の裏面のランド3に電気的に接続される(スルーホール実装)。また、ねじ6としては、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。なお、これ以外の構成については、図2あるいは図7等に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
【0032】
上述した半導体装置では、ばね座金9に加えて、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5のがたつき等をより確実に防止することができる効果に加えて、次のような効果が得られる。
【0033】
すなわち、メック加工10aあるいは接着剤10によって、ねじ6と取付板5との電気抵抗の増大が懸念されるところ、一つの平座金8b(図2参照)に替えて、取付板5とばね座金9との間に介在させた導電部材11(板状部11a)の接地電位接続部11bが、プリント基板2の裏面に形成されたランド3に電気的に接続される。これにより、取付板5が接地電位に確実に固定されて、制御回路素子等に通電して動作させる際に、外部からの電気的ノイズを遮断して、半導体装置を安定して動作させることができる。
【0034】
また、ばね座金9と取付板5との間に、導電部材11の板状部11aを介在させていることで、平座金8b(実施の形態1等)を介在させた場合と同様に、ねじ6を締め付ける際に、取付板5がばね座金9によって損傷するのを抑制することができる。
【0035】
なお、導電部材11によって取付板5が接地電位に固定されることで、平座金8が接触する、プリント基板2の表面に形成されたランド3は、必ずしもグランドに電気的に接続されている必要はない。
【0036】
実施の形態5
本発明の実施の形態5に係る半導体装置について説明する。ここでは、実施の形態1において説明したばね座金を挟み込む2つの平座金のうちの一方の平座金に替えて、導電部材を適用した半導体装置の第2例について説明する。
【0037】
図11に示すように、導電部材12は、ねじが挿通されるねじ挿通穴が形成された板状部12aと、プリント基板の接地電位に電気的に接続される接地電位接続部12bとを備えている。
【0038】
次に、導電部材12を適用した、取付板のプリント基板への取付構造について説明する。図12および図13に示すように、制御基板部CBのプリント基板2の一方の面のランド3と取付板5との間に、ばね座金9を平座金8と導電部材12の板状部12aとで挟み込む態様で介在させて、プリント基板2の他方の面から基板貫通穴2a、平座金8、ばね座金9および導電部材12の板状部12aにねじ6を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5aに締め付けることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。
【0039】
このとき、導電部材12の接地電位接続部12bは、はんだ13によってプリント基板2の表面のパッド14に電気的に接続される(表面実装)。パッド14は、グランドに電気的に接続される。また、ねじ6としては、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。なお、これ以外の構成については、図2あるいは図7等に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
【0040】
上述した半導体装置では、ばね座金9に加えて、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5のがたつき等をより確実に防止することができる効果に加えて、次のような効果が得られる。
【0041】
すなわち、一つの平座金8b(図2参照)に替えて、取付板5とばね座金9との間に介在させた導電部材12(板状部12a)の接地電位接続部11bが、プリント基板2の表面に形成されたパッド14に電気的に接続される。これにより、取付板5が接地電位に確実に固定されて、制御回路素子等に通電して動作させる際に、外部からの電気的ノイズを遮断して、半導体装置を安定して動作させることができる。
【0042】
また、ばね座金9と取付板5との間に、導電部材12の板状部12aを介在させていることで、平座金8b(実施の形態1等)を介在させた場合と同様に、ねじ6を締め付ける際に、取付板5がばね座金9によって損傷するのを抑制することができる。
【0043】
なお、導電部材12によって取付板5が接地電位に固定されることで、平座金8が接触する、プリント基板2の表面に形成されたランド3は、必ずしもグランドに電気的に接続されている必要はない。
【0044】
実施の形態6
本発明の実施の形態6に係る半導体装置について説明する。ここでは、実施の形態4において説明した、導電部材を適用した半導体装置の変形例について説明する。
【0045】
図14に示すように、導電部材15は、ねじが挿通されるねじ挿通穴が形成された板状部15aと、プリント基板の接地電位に電気的に接続される接地電位接続部15bとを備えている。
【0046】
次に、導電部材15を適用した、取付板のプリント基板への取付構造について説明する。図15および図16に示すように、制御基板部CBのプリント基板2の一方の面のランド3と取付板5との間に、ばね座金9を平座金8aと平座金8bとで挟み込む態様で介在させて、プリント基板2の他方の面から基板貫通穴2a、平座金8a、ばね座金9および平座金8bにねじ6を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5aに締め付けることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。
【0047】
また、ねじ6としては、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。
【0048】
一方、導電部材15の板状部15aは、板状部15aとねじ18の頭との間に平座金17を介在させて、その平座金17およぶ板状部15aにねじ18を挿通し、取付板5の側面部に形成されたねじ穴5bに締め付けることによって、取付板5の側面部に固定される。導電部材15の接地電位接続部15bは、プリント基板2に形成されたスルーホール2bに挿通されて、はんだ13によってプリント基板2の表面または裏面に形成されたランド3に電気的に接続される(スルーホール実装)。なお、これ以外の構成については、図2あるいは図7等に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
【0049】
上述した半導体装置では、ばね座金9に加えて、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5のがたつき等をより確実に防止することができる効果に加えて、次のような効果が得られる。
【0050】
すなわち、導電部材15の板状部15aが取付板5の側面部に固定されるとともに、導電部材15の接地電位接続部15bがプリント基板2の表面あるいは裏面に形成されたランド3に電気的に接続される。これにより、取付板5が接地電位に確実に固定されて、制御回路素子等に通電して動作させる際に、外部からの電気的ノイズを遮断して、半導体装置を安定して動作させることができる。
【0051】
なお、導電部材15によって取付板5が接地電位に固定されることで、平座金8aが接触する、プリント基板2の表面に形成されたランド3は、必ずしもグランドに電気的に接続されている必要はない。
【0052】
実施の形態7
本発明の実施の形態7に係る半導体装置について説明する。ここでは、実施の形態5において説明した、導電部材を適用した半導体装置の変形例について説明する。
【0053】
図17に示すように、導電部材16は、ねじが挿通されるねじ挿通穴が形成された板状部16aと、プリント基板の接地電位に電気的に接続される接地電位接続部16bとを備えている。
【0054】
次に、導電部材16を適用した、取付板のプリント基板への取付構造について説明する。図18および図19に示すように、制御基板部CBのプリント基板2の一方の面のランド3と取付板5との間に、ばね座金9を平座金8aと平座金8bとで挟み込む態様で介在させて、プリント基板2の他方の面から基板貫通穴2a、平座金8a、ばね座金9および平座金8bにねじ6を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5aに締め付けることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。
【0055】
また、ねじ6としては、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5がプリント基板2に固定される。
【0056】
一方、導電部材16の板状部16aは、板状部16aとねじ18の頭との間に平座金17を介在させて、その平座金17および板状部16aにねじ18を挿通し、取付板5に形成されたねじ穴5bに締め付けることによって、取付板5の側面部に固定される。導電部材16の接地電位接続部16bは、プリント基板2の表面に形成されたパッド4にはんだ13によって電気的に接続される(表面実装)。なお、これ以外の構成については、図2あるいは図7等に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
【0057】
上述した半導体装置では、ばね座金9に加えて、先端にメック加工10aが施されたねじ6を用いることによって、あるいは、接着剤10bを用いてねじ6とねじ穴5aとを接着させることによって、取付板5のがたつき等をより確実に防止することができる効果に加えて、次のような効果が得られる。
【0058】
すなわち、導電部材16の板状部16aが取付板5の側面部に固定されるとともに、導電部材16の接地電位接続部16bがプリント基板2の表面に形成されたパッド14に電気的に接続される。これにより、取付板5が接地電位に確実に固定されて、制御回路素子等に通電して動作させる際に、外部からの電気的ノイズを遮断して、半導体装置を安定して動作させることができる。
【0059】
なお、導電部材16によって取付板5が接地電位に固定されることで、平座金8aが接触する、プリント基板2の表面に形成されたランド3は、必ずしもグランドに電気的に接続されている必要はない。
【0060】
また、上述した各半導体装置では、ばね座金を例に挙げて説明したが、弾性力を有する座金であれば、ばね座金に限られず、たとえば、波型座金や皿ばね座金等を適用してもよい。また、半導体素子として、ゲート転流型のサイリスタを例に挙げたが、半導体素子としては、このサイリスタに限られず、汎用のサイリスタをはじめ、種々の半導体素子にも適用することができる。
【0061】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、半導体素子を搭載した制御基板部を備えた半導体装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0063】
SD 半導体装置、CB 制御基板部、CD 制御回路素子、C コンデンサ、T トランジスタ、1 サイリスタ、2 プリント基板、2a 基板貫通穴、2b 基板貫通穴、3 ランド、5 取付板、5a ねじ穴、5b ねじ穴、6 ねじ、7 はんだ、8 平座金、8a 平座金、8b 平座金、9 ばね座金、10a メック加工、10b 接着剤、11 導電部材、11a 板状部、11b 接地電位接続部、12 導電部材、12a 板状部、12b 接地電位接続部、13 はんだ、14 パッド、15 導電部材、15a 板状部、15b 接地電位接続部、16 導電部材、16a 板状部、16b 接地電位接続部、17 平座金、18 ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を搭載した制御基板部を有する半導体装置であって、
前記制御基板部は、
互いに対向する第1主表面および第2主表面を有し、前記第1主表面に前記半導体素子を実装した基板本体と、
前記基板本体の前記第1主表面側に所定のねじによって固定され、前記制御基板部との電気的な接続に使用される部材が取り付けられる取付板と
を備え、
前記取付板は、前記基板本体の前記第1主表面と前記取付板との間に、弾性力を有する弾性座金を、前記所定のねじが挿通される貫通穴がそれぞれ形成された第1板状部材と第2板状部材とで挟み込む態様で介在させて、前記基板本体の前記第2主表面側から前記基板本体を貫通する基板貫通穴、前記第1板状部材、前記弾性座金および前記第2板状部材に前記所定のねじを挿通し、前記取付板に形成されたねじ穴に締め付けることによって、前記基板本体に固定された、半導体装置。
【請求項2】
前記基板本体には、接地電位に電気的に接続されたランドが形成され、
前記所定のねじの頭と前記ランドとがはんだによって接合された、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記取付板は複数の前記所定のねじによって固定され、
複数の前記所定のねじのうち、一つの所定のねじの頭と前記ランドとがはんだ付けによって接合された、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記所定のねじのうち、他の一つの所定のねじとしてメック加工を施したねじを用いる手法、および、前記他の一つの所定のねじを、接着剤により前記取付板の前記ねじ穴に接着させる手法のいずれかの手法によって、前記取付板が前記基板本体に固定された、請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記取付板に固定される板状部、および、前記板状部に接続されるとともに前記基板本体のグランドに電気的に接続される接地電位接続部を含む導電部材を備え、
前記取付板は、前記所定のねじとしてメック加工を施したねじを用いる手法、および、前記所定のねじを、接着剤により前記取付板に接着させる手法のいずれかの手法によって、前記基板本体に固定された、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記導電部材の前記板状部は、前記貫通穴が形成された前記第1板状部材をなし、
前記板状部を、前記弾性座金と前記取付板との間に介在させた、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電部材の前記板状部は、前記取付板において、前記基板本体と対向する底面以外の部分に固定された、請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電部材の前記接地電位接続部は、前記基板本体に形成されたスルーホールに挿通されて、前記基板本体の前記第2主表面側においてグランドに電気的に接続された、請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記導電部材の前記接地電位接続部は、前記基板本体の前記第1主表面側においてグランドに電気的に接続された、請求項6または7に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−62413(P2013−62413A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200526(P2011−200526)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】