説明

半導体装置

【課題】インダクタンスを低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】整流用MOSFET20と転流用MOSFET21、及びこれらを駆動する駆動用IC22を一つのパッケージに実装した半導体装置において、整流用MOSFET20、金属板25、転流用MOSFET21を積層し、主回路の電流はパッケージの裏面から表面に向かって流れ、金属板25はパッケージ内の配線を経由して出力端子に繋がり、駆動用IC22と整流用MOSFET20、及び転流用MOSFET21を繋ぐ配線にワイヤボンディング23を用い、全ての端子が同一面に配置されている。これにより、インダクタンスが小さくなり、電源損失及びスパイク電圧が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に係り、特に、電子機器等に用いられる半導体装置及び電源装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器等に用いられる電源装置として、図2に示すような電源装置が知られている。図2に示す電源装置では、直流入力電源60から入力コンデンサ61を含んで構成された入力部51に入力された直流電力を駆動部70から出力される制御信号に基づいてスイッチング部52でスイッチングし、転流ダイオード63や出力フィルタ55を含んで構成された出力部53から負荷66に対して電力が供給される。また、負荷66へ出力される電圧や電流は検出部67で検出され、この検出値と設定部68で設定された負荷66の制御目標値とが比較演算部69で比較され、駆動部70から比較結果に基づいた制御信号がスイッチング部52に出力される。このようにして、負荷に供給される電力が制御目標値と一致するように制御される。
【0003】
このような電源装置の具体的な回路構成を図3に示す。スイッチング部52は、能動素子(例えばトランジスタやMOSFET等)62で構成されている。出力部53は、転流ダイオード63と、チョークコイル64及びコンデンサ65で構成された出力フィルタとで構成されている。制御部54は、比較演算部69、設定部68、駆動部70で構成されている。さらに、制御部54は図示しない発振回路を備えており、駆動部70からパルス信号を能動素子62に出力する。これにより、能動素子62に印加される直流入力電源60からの直流電圧Vinがスイッチングされる。
【0004】
図3に示す電源装置では、能動素子62がオンの場合には、直流電力はチョークコイル64及びコンデンサ65にチャージされると共に負荷66へ供給される。能動素子62がオフの場合は、チョークコイル64及びコンデンサ65にチャージされていたエネルギーが転流ダイオード63を介して負荷66に供給される。
【0005】
このとき、制御部54では、比較演算部69において検出部67で検出した出力電圧Voをモニタし、これと設定部68で設定された制御目標値と比較し、駆動部70から比較結果に基づいた制御信号をスイッチング部52に出力する。これにより、能動素子62がオンオフ制御され、負荷に供給される電力が制御目標値と一致するように制御される。このときの出力電圧Voは、以下の(1)式で示される。
【0006】
Vo=Vin×(Ton/T)・・・(1)
ただし、Vinは入力直流電圧、Tは駆動部70から出力されるパルス信号の周期、Tonは周期Tのうち能動素子62が導通の時間を示す。すなわち、Ton/Tはデューティ比を示す。
【0007】
ところで、出力部53における転流側には、図3に示すように受動素子であるダイオードを使用するのが通常であるが、転流ダイオード63は、図4に示すような電流−電圧特性を有しており、電流がある所定値以上になると、順方向電圧が飽和状態になる。この飽和電圧は、高速ダイオードにおいては0.9V〜1.3V、ショットキーダイオードでは0.45V〜0.55V程度となっている。このように、転流ダイオード63の順方向電圧が飽和することにより電力損失が生じ、電源変換効率を悪化させるという問題があった。さらに、電力損失が大きく素子のジャンクション温度が上昇するため、出力電流を大きくする程、転流ダイオード63を多くして(2個や3個等)並列接続し、1素子当たりの電力損失を分散させ、ジャンクション温度を抑制する必要があるという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、図5に示すように、転流側に転流用MOSFET3(ダイオード3A)を使用した同期整流方式の電源装置が知られている。図5において、1は直流入力電源、2は整流用MOSFET(ダイオード2A)、4はチョークコイル、5は出力コンデンサ、6は負荷となるLSIを示す抵抗、7は入力コンデンサ、9は制御回路である。これは図6に示すように、ダイオードの電流−電圧特性が非線形性であるのに対し、MOSFETの電流−電圧特性がゲート電圧によっては線形性になり、電圧降下がダイオードの場合と比較して小さいことを利用したものである。
【0009】
このような電源装置では、図7に示すような回路の形状に起因する寄生成分が存在する。例えば、主回路の寄生抵抗10、主回路の寄生インダクタンス11、MOSFETゲート駆動回路の寄生抵抗12、MOSFETゲート駆動回路の寄生インダクタンス13がこれに該当する。図8は、主回路の寄生インダクタンス11と電源損失の関係を示したもので、インダクタンスが大きくなるにしたがい、損失が増加することが分かる。主回路の寄生抵抗10、MOSFETゲート駆動回路の寄生抵抗12、MOSFETゲート駆動回路の寄生インダクタンス13についても同様に、数値が大きくなるに従い、損失が増加するという傾向を示す。
【0010】
主回路の寄生インダクタンス11を低減する手段として、複数の半導体チップを一つのパッケージに実装する手法があり、マルチチップモジュール(MCM:Multi Chip Module)、またはSiP(Syetem in Package)と呼ばれている。最近、図9に示す駆動部15と整流用MOSFET2、転流用MOSFET3を機能ブロック16として集積化したモジュールが製品化されており、これらの内容は、特開2004−342735号公報(特許文献1)に詳細に記述されている。
【0011】
図10は、上記特許文献1に示された図で、QFNパッケージ(Quad FlatNo−Lead)に整流用MOSFET20、転流用MOSFET21、駆動用IC22を集積し、チップ間の接続とチップとリードフレーム24の接続はワイヤボンディング23を用いている。図11は、図10の断面図(a−a’線)を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−342735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、この半導体装置は主回路の電流経路にワイヤボンディングを用いているため、インダクタンスが大きいという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、インダクタンスを低減できる半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
本発明は、上記目的を達成するために、整流用MOSFETと転流用MOSFET、及びこれらを駆動する駆動用IC(Integrated Circuit)を一つのパッケージに実装した半導体装置において、整流用MOSFET、金属板、転流用MOSFETを積層し、主回路の電流はパッケージの裏面から表面に向かって流れ、上記金属板はパッケージ内の配線を経由して出力端子に繋がり、駆動用ICと整流用MOSFET、及び転流用MOSFETを繋ぐ配線にワイヤボンディングを用い、全ての端子が同一面に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
本発明によれば、半導体装置の主回路インダクタンスを低減し、電源損失及び電圧スパイクを低減できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施例における半導体装置を示す断面図である。
【図2】従来の電源装置の機能を説明するための構成図である。
【図3】従来の電源装置の機能及び電気回路を説明するための構成図である。
【図4】ダイオードの電圧降下と電流の関係を示す図である。
【図5】従来の電源装置の電気回路を説明するための図である。
【図6】ダイオード及びMOSFETの電圧降下と電流の関係を示す図である。
【図7】電源装置の寄生インダクタンスと寄生抵抗を説明するための図である。
【図8】主回路インダクタンスと電源損失の関係を示す図である。
【図9】従来の半導体装置の機能を説明するための図である。
【図10】従来の半導体装置を示す平面図である。
【図11】従来の半導体装置を示す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施例における半導体装置を示す平面図である。
【図13】本発明の効果を説明するための図である。
【図14】本発明の他の実施例(第2)における半導体装置を示す平面図である。
【図15】本発明の他の実施例(第3)における半導体装置を示す平面図である。
【図16】本発明の他の実施例(第3)における半導体装置を示す断面図である。
【図17】本発明の他の実施例(第4)における半導体装置を示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施例(第4)における半導体装置を示す断面図である。
【図19】本発明の他の実施例(第5)における半導体装置を示す平面図である。
【図20】本発明の他の実施例(第6)における半導体装置を示す平面図である。
【図21】本発明の他の実施例(第7)における半導体装置を示す平面図である。
【図22】本発明の他の実施例(第7)における半導体装置を示す断面図である。
【図23】本発明の他の実施例(第8)における半導体装置を示す断面図である。
【図24】本発明の他の実施例(第8)における半導体装置を示す断面図である。
【図25】本発明の半導体装置を応用した実施例(第10)を示す断面図である。
【図26】本発明の半導体装置を応用した実施例(第11)を示す平面図である。
【図27】コンデンサの周波数特性を説明するための図である。
【図28】本発明の半導体装置を応用した実施例(第12)の電気回路を示す図である。
【図29】本発明の半導体装置を応用した実施例(第13)の機能を示す図である。
【図30】本発明の他の実施例(第9)における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
また、図面において、半導体装置を示す平面図は、実際には上面が封止材で覆われているが、分かりやすくするために、封止材を取り除いて内蔵している部品が露出した状態を示している。さらに、半導体装置を示す断面図は、主要な部品を切断するように線を決め、この線で切断した断面を示している。
【0023】
本発明の実施の形態における半導体装置は、前述した図5に示すような同期整流方式の電源装置に用いられる。すなわち、この電源装置は、整流用MOSFETの一方の主端子が直流入力電源の正電位側に接続され、整流用MOSFETの他方の主端子がチョークコイルと転流用MOSFETの一方の主端子に接続され、転流用MOSFETの他方の主端子が直流入力電源の負電位側に接続され、出力コンデンサの一方の端子がチョークコイルの他方の端子に接続され、出力コンデンサの他方の端子が転流用MOSFETの他方の主端子に接続され、負荷となる半導体装置に電力を供給する端子の一方がチョークコイルの他方の端子に接続され、負荷となる半導体装置に電力を供給する端子の他方が転流用MOSFETの他方の主端子に接続され、制御回路により整流用MOSFET及び転流用MOSFETのゲートを駆動するような構成となっている。
【0024】
以下において、本発明の実施の形態を、各実施例に分けて説明する。
【0025】
(第1の実施例)
図12、図1を用いて、本発明の第1の実施例における半導体装置について説明する。図12に示すように、本実施例の半導体装置は、整流用MOSFET20と転流用MOSFET21、及びこれらを駆動する駆動用IC(Integrated Circuits)22を備え、整流用MOSFET20、金属板(導電体)25、転流用MOSFET21を積層し、ワイヤボンディング23により駆動用IC22と整流用MOSFET20、及び転流用MOSFET21を接続し、整流用MOSFET20と出力端子LXに繋がるリードフレームを金属板25とワイヤボンディングを介して接続し、転流用MOSFET21とグランド端子Gndに繋がるリードフレームをワイヤボンディングで接続する。主回路の端子と駆動用ICの端子は同一面上に配置される。その理由は、本発明に係る半導体装置は電気回路基板に実装されるので、端子を3次元的に取り出すことが困難であるためである。図1は、図12の断面図(a−a’線)を示す。
【0026】
次に、この半導体装置の電流経路について説明する。電流は、主回路電流とゲート電流の2種類があり、また主回路電流は2つの期間に分けることができる。つまり、「電力を供給する期間」と「転流期間」で、「電力を供給する期間」は、整流用MOSFET20がオン、転流用MOSFET21がオフで、電流は図12の電源端子Vinに繋がるリードフレーム24から、整流用MOSFET20を裏面から表面に向かって流れ、金属板25を通り、図9のチョークコイル4と出力コンデンサ5からなる出力フィルタを介して負荷に流れ込む。一方、「転流期間」の電流は、グランド端子Gndから金属板25を通って、転流用MOSFET21を表面から裏面に向かって流れ、リードフレーム24を経由してチョークコイル4に流れ込む。図12では、整流用MOSFET20、転流用MOSFET21ともに表面側がソース、裏面側がドレインの所謂「縦型デバイス」を想定している。
【0027】
図13は、本発明と従来例の電源損失を比較したものである。従来例の主回路インダクタンスが2.3nHであるのに対して、本発明では0.5nHに低減でき、電源損失は約5.5Wから5.1Wへ改善する。
【0028】
(第2の実施例)
次に、金属板25の応力を緩和した実施例について述べる。本発明の半導体装置の製造工程には、リフローと呼ばれる高温のプロセスが含まれる。リフローの際には、半導体と金属の熱膨張係数が異なるため、半導体チップにクラックが発生するなどの問題がある。図14の実施例では、金属板25に複数の溝46を設けることでリフロー時の応力を緩和することができる。
【0029】
(第3の実施例)
次に、第1の実施例と比べてインダクタンスを更に低減できる、他の実施例について述べる。図12では、金属板25からリードフレーム24、及び転流用MOSFET21からグランド端子の接続にワイヤボンディングを用いているが、ワイヤボンディングのインダクタンスは金属板に比べて大きいという問題がある。
【0030】
図15は、金属板25からリードフレーム24、及び転流用MOSFET21とグランド端子の接続に金属板25と金属板28を用いた実施例で、第1の実施例と比べて主回路のインダクタンスを大幅に低減することができる。図16は、図15の断面図(a−a’線)を示す。
【0031】
本実施例では、金属板25からリードフレーム24、及び転流用MOSFET21からグランド端子の接続を金属板としたが、どちらか一方を金属板とし、他方をワイヤボンディングとした場合も、第1の実施例と比べて特性を向上できることは言うまでもない。
【0032】
(第4の実施例)
次に、図17と図18を用いて、他の実施例について述べる。本実施例が図15の実施例と異なる点は、駆動用IC22が、絶縁物47を介して転流用MOSFET21と金属板28の上に積層されていることである。駆動用IC22を積層することで、駆動用IC22から、整流用MOSFET20と転流用MOSFET21までの距離が短くなるので、駆動回路のインダクタンスが小さくなる。また、実装面積が小さくなるという効果もある。図18は、図17の断面図(a−a’線)を示す。
【0033】
(第5の実施例)
次に、図19を用いて、他の実施例について述べる。本実施例が第1の実施例と異なる点は、金属板を用いないことである。金属板の代わりに半導体前工程の配線パターンを用いることで、配線の広がり抵抗は増加するが、製造工程を簡略化できるという効果がある。
【0034】
(第6の実施例)
次に、図20を用いて、他の実施例について述べる。本実施例が第1の実施例と異なる点は、駆動用IC22を含まないことである。本実施例では、駆動用ICを外付けする必要があるが、半導体装置のユーザが任意の駆動用ICを選択できるというメリットがある。
【0035】
(第7の実施例)
次に、図21を用いて、他の実施例について述べる。図21が第1の実施例と異なる点は、入力コンデンサ29を半導体装置の中に取り込んだことである。入力コンデンサ29を内蔵することで、入力コンデンサ29の正極から整流用MOSFET20、転流用MOSFET21を通って入力コンデンサ29の負極に戻る主回路ループの距離が短くなり、インダクタンスを低減することができる。
【0036】
図22は、インダクタンスの低減効果を更に高めた例である。入力コンデンサ29を電源端子のリードフレーム24とグランド端子の金属板28の間に配置する。このように、入力コンデンサ29を立体的に配置することで、上記した主回路ループのインダクタンスを最小にすることができる。
【0037】
(第8の実施例)
近年、半導体プロセスの微細化に伴い、電源の負荷となるLSI(Large Scale Integrated Circuits)の動作電圧は下がる傾向にあり、電源の入力電圧が変わらない条件では、電源のデューティーは年々下がることになる。この場合、整流用MOSFET20の導通期間は短くなるので、整流用MOSFET20は導通損失に比べて、スイッチング損失が支配的になる。スイッチング損失を低減するためには帰還容量を下げることが有効で、整流用MOSFET20のチップサイズは転流用MOSFET21と比べて小さくなる。小さい面積の整流用MOSFET20の上に、大きい転流用MOSFET21を積層する場合、ワイヤボンディングの際に、機械的な強度が問題となる。
【0038】
次に、この問題を対策した実施例を述べる。図23は、駆動用IC22と転流用MOSFET21の接続に用いるワイヤボンディング23の位置が整流用MOSFET20と金属板25が積層された位置にあることが特徴である。この構造をとることにより、ボンディング時の衝撃により転流用MOSFET21が傾くのを防ぐことができる。
【0039】
図24が、図23と異なる点は、整流用MOSFET20と同じ厚さのダミーチップ31を挿入したことである。この構造をとることで、整流用MOSFET20のボンディング時の衝撃に対する耐性が向上する。
【0040】
(第9の実施例)
以上、述べたように、半導体チップを積層することで、実装面積が小さくなり、機器が小型化できるというメリットがある。反面、熱抵抗が増加するという問題がある。以下、この問題を解決する実施例を2つ述べる。
【0041】
一つめの実施例を図1を用いて説明する。第1の実施例では、封止材27の例として樹脂を挙げたが、一般に樹脂は熱抵抗が大きいという問題がある。最近、熱伝導導が低い樹脂が報告されており、図1の封止材27に高熱伝導度樹脂を用いることでパッケージの熱抵抗を大幅に低減することができる。高熱伝導樹脂については、日立評論7月号(2005)「ナノテクノロジーによる新素材(高熱伝導樹脂・低誘電損失樹脂・ナノ粒子)」に詳述されている。
【0042】
2つめの実施例を図30を用いて説明する。図30が図1と異なる点は、転流用MOSFET21の上に金属板28を配置し、この金属板28を露出させたことである。本実施例を用いることで、整流用MOSFET20及び転流用MOSFET21の発熱が、金属板28を介して空気中に放出されるので、熱伝導度が大幅に低減できる。
【0043】
(第10の実施例)
次に、負荷となるLSI(Large Scaled Integrated Circuits)を含めた実施例について述べる。図25は、本発明の半導体装置と、その負荷となるLSI34を電気回路基板32に搭載し、これらに共通のヒートシンク33を取り付けたものである。ヒートシンクを共通化することで、本発明の半導体装置のためのヒートシンクが不要となり、部品数が削減できる。また、LSIの発熱は本発明の半導体装置と比べると大きいので、LSI用のヒートシンクを大型化する必要はない。
【0044】
(第11の実施例)
次に、本発明の半導体装置と、出力フィルタとなるインダクタンス及びコンデンサを含めた実施例について述べる。図5の電気回路において、整流用MOSFET2と転流用MOSFET3は交互にオンとなり、出力の電流及び電圧は矩形波となるので、出力コンデンサ5とチョークコイル4は電圧と電流を平滑化する役割を果たす。
【0045】
図26は、本発明の半導体装置、チョークコイル、コンデンサと負荷となるLSIのソケットを含めた実施例を示す。ソケット40はLSIを取り付けるソケットで、BGA(Ball Grid Array)やLGA(Land Grid Array)である、ソケットの中心付近に、周波数特性が良いコンデンサ41が置かれ、その周囲に周波数特性が上記コンデンサ41より劣るコンデンサ42が置かれ、その周囲にチョークコイル43が置かれ、その周囲に本発明の半導体装置44が置かれる。このように、電源を構成する部品を密に配置することで、出力フィルタと負荷であるLSIの距離が短くなり、整流用MOSFETがスイッチングする際のLSIの電圧変化を小さくすることができる。
【0046】
ここで、コンデンサの周波数特性を説明する。図27は、コンデンサの周波数特性を示した図で、横軸が周波数、縦軸がインピーダンスを表す。コンデンサの周波数がV字型となる理由は、低周波数領域ではコンデンサの寄生インダクタンスが無視できるのでインピーダンスが純粋なコンデンサ特性を示すのに対し、高周波では寄生インダクタンスが支配的になるので、インピーダンスがインダクタンス特性を示すからである。周波数特性が良いコンデンサは、高い周波数までインピーダンスが低下する。本実施例では、2つの異なる周波数特性を持つコンデンサを例に説明したが、周波数特性が異なるコンデンサを3種以上用いても、同様の効果が得られる。
【0047】
(第12の実施例)
次に、本発明の半導体装置を応用した実施例について述べる。図28は、本発明の半導体装置71を4個並列に用いた実施例で、半導体装置71の前段に、制御信号を出力する制御回路75があり、それぞれの半導体装置71に位相の異なる信号を出力する。図28において、72はチョークコイル、73は出力コンデンサ、74は負荷となるLSIを示す抵抗である。本実施例では、半導体装置71の並列数が4個なので、制御回路75が出力する信号の位相は90度ずつ異なる。このように位相をずらすことで、電源の実効的なスイッチング周波数を、それぞれの周波数の4倍にすることができ、出力電流のリップルを低減することができる。
【0048】
(第13の実施例)
次に、本発明の他の実施例について述べる。他の実施例を示す図29が、図9と異なる点は、制御部14をパッケージに取り込んだことで、点線で示した範囲の機能ブロック45を一つのパッケージに実装したことで、制御部14から整流用MOSFET2と転流用MOSFET3までの距離が短くなるので、制御部14からの信号の遅延が短くなり、負荷となるLSIの電流が急変した場合の応答性が向上する。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、電源装置に係り、特に、電子機器等に用いられる半導体装置及び電源装置に適用して有効である。
【符号の説明】
【0051】
1…直流入力電源、2…整流用MOSFET、3…転流用MOSFET、4…チョークコイル、5…出力コンデンサ、6…負荷となるLSIを示す抵抗、7…入力コンデンサ、9…制御回路、10…主回路の寄生抵抗、11…主回路の寄生インダクタンス、12…駆動回路の寄生抵抗、13…駆動回路の寄生インダクタンス、14…制御部、15…駆動部、16…機能ブロック、20…整流用MOSFET、21…転流用MOSFET、22…駆動用IC、23…ワイヤボンディング、24…リードフレーム、25…金属板、27…封止材、28…金属板、29…入力コンデンサ、31…ダミーチップ、32…電気回路基板、33…ヒートシンク、34…負荷となるLSI、40…ソケット、41,42…コンデンサ、43…チョークコイル、44…本発明の半導体装置、45…機能ブロック、46…溝、47…絶縁物、51…入力部、52…スイッチング部、53…出力部、54…制御部、55…出力フィルタ、60…直流入力電源、61…入力コンデンサ、62…能動素子、63…転流ダイオード、64…チョークコイル、65…コンデンサ、66…負荷、67…検出部、68…設定部、69…比較演算部、70…駆動部、71…本発明の半導体装置、72…チョークコイル、73…出力コンデンサ、74…負荷となるLSIを示す抵抗、75…制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC−DCコンバータ用の半導体装置であって、
整流用縦型MOSFETを備え、前記整流用縦型MOSFETのソース電極と電気的に接続されたソース電極パッドが配置された第1主面と、前記第1主面とは反対側であって、前記整流用縦型MOSFETのドレイン電極が形成された第2主面と、を有する第1半導体チップと、
転流用縦型MOSFETを備え、前記転流用縦型MOSFETのソース電極と電気的に接続されたソース電極パッドが配置された第3主面と、前記第3主面とは反対側であって、前記転流用縦型MOSFETのドレイン電極が形成された第4主面と、を有する第2半導体チップと、
前記第1および第2半導体チップに電気的に接続され、第1表面と前記第1表面とは反対側の第2表面と、を有する第1金属板と、
上面と、前記上面とは反対側の下面と、を有する第1リード端子と、
前記第1リード端子とは電気的に分離された出力リード端子と、
前記第1および第2半導体チップ、前記第1金属板、前記第1および出力リード端子のそれぞれの一部を封止する封止体と、を備え、
前記第1および第2半導体チップは、前記第1半導体チップの前記第1主面が前記第1金属板の前記第1表面と対向するように、かつ前記第2半導体チップの前記第4主面が前記第1金属板の前記第2表面と対向するように前記第1金属板を介して積層されていることにより、前記第1半導体チップの前記ソース電極パッドと前記第2半導体チップの前記ドレイン電極とは電気的に直列で接続され、
前記第1および第2半導体チップ、および前記第1金属板は、前記第1リード端子の前記上面上に積層され、
前記第1金属板は、前記出力リード端子と電気的に接続されている半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップの前記整流用縦型MOSFETと前記第2半導体チップの前記転流用縦型MOSFETとを制御する制御回路を備え、前記制御回路と電気的に接続された第1電極パッドと第2電極パッドとが配置された主面を有する第3半導体チップをさらに有し、
前記第1半導体チップの前記第1主面には、前記整流用縦型MOSFETのゲート電極と電気的に接続されたゲート電極パッドが配置され、
前記第2半導体チップの前記第2主面には、前記転流用縦型MOSFETのゲート電極と電気的に接続されたゲート電極パッドが配置され、
前記第3半導体チップの前記第1電極パッドは、前記第1半導体チップの前記ゲート電極パッドと第1金属ワイヤを介して電気的に接続され、前記第3半導体チップの前記第2電極パッドは、前記第2半導体チップの前記ゲート電極パッドと前記第2金属ワイヤを介して電気的に接続されている。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第3半導体チップは、前記封止体で封止されている。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第3半導体チップは、前記第2半導体チップ上に積層されている。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1リード端子の前記下面は、前記封止体から露出している。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、前記第1半導体チップの前記第2主面が前記第1リード端子の前記上面と対向するように前記第1リード端子の前記上面上に搭載されていることにより、前記第1半導体チップの前記ドレイン電極と前記第1リード端子とが電気的に直列に接続されている。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップと電気的に接続された第2金属板と、
前記第1および出力リード端子とは電気的に分離された第2リード端子と、を有し、
前記第2金属板は、前記第2半導体チップの前記第3主面と対向するように前記第2半導体チップの前記第3主面上に搭載されていることにより、前記第2半導体チップの前記ソース電極パッドと電気的に直列に接続され、
前記第2金属板は、前記第2リード端子と電気的に接続されている。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第1リード端子は、外部から電源電圧が供給される電源リード端子であり、前記第2リード端子は、外部から接地電圧が供給されるGNDリード端子である。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第2リード端子の一部は、前記封止体により封止されている。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−62540(P2013−62540A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278898(P2012−278898)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2010−186748(P2010−186748)の分割
【原出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】