説明

半導体製造装置

【課題】 インライン型半導体製造装置を採用して、基板処理室内の基板滞留を防止しつつ、高スループット化を図る。
【解決手段】 インライン型半導体製造装置は、真空ロボットVRを有する複数の基板処理モジュールMDと、1台の大気ロボットARを有する大気ローダLMとを備える。基板処理モジュールは、プロセスチャンバPMとバキュームロックチャンバVLとからなる。制御手段CNTは、チャンバPMからチャンバVLに処理済みウェハが搬出されたら、チャンバVLが真空圧から大気圧に戻される工程と並行して、ロードポートLPから未処理ウェハを大気ローダLMに搬出させ、アライナユニットAUでアライメントを行わせ、チャンバVLの前で待機させる。処理済みウェハが冷却完了したら、待機させていた未処理ウェハをチャンバVLに搬入させ、処理済みウェハをロードポートLPに搬出させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空気密可能な複数の基板処理モジュールと大気搬送室とを備える半導体製造装置に係り、特に大気搬送室に設けた1台の基板搬送装置を使って基板搬送を有効に制御するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造装置は、チャンバ配列によって、2つのタイプに分類することができる。1つは、複数のチャンバが搬送室の回りに星状に配列されたクラスタ型半導体製造装置である。他の1つは、チャンバと搬送室とが一直線に配列されているインライン型半導体製造装置である。
【0003】
図10にクラスタ型半導体製造装置の構成例を示す。
クラスタ型半導体製造装置は、真空側と大気側とに分れる。真空側には、中央の真空搬送室TMと、その外周に星型に配置された複数のチャンバ(バキュームロックチャンバ(ロードロックチャンバ)VL1,VL2、冷却チャンバCS1,CS2、プロセスチャンバPM1〜PM4)とが設けられる。真空搬送室TMには1台の真空ロボットVRが設けられ、各チャンバ間でウェハWの搬送を行なうことが可能になっている。大気側には、チャンバVL1,VL2に接続された大気搬送室(大気ローダ)LMと、この大気ローダLMに接続された複数台のロードポートLP1〜LP3とが設けられる。大気ローダLMには1台の大気ロボットARが設けられ、チャンバVL1,VL2とロードポートLP1〜LP3との間でウェハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0004】
真空搬送室TM内の真空ロボットVRによりウェハWをバキュームロックチャンバVL1から受け取り、プロセスチャンバPM1〜PM4のいずれかに搬入して、ウェハWの処理を行う。ウェハWの処理が完了すると、真空ロボットVRにより処理済みウェハWを受け取り、クーリングチャンバ(クーリングステージ)CS1又はCS2のいずれかに保持して、ウェハWを冷却する。冷却後、真空ロボットVRによりウェハWをクーリングチャンバCS1又はCS2から取り出し、バキュームロックチャンバVL1又はVL2のいずれかに搬入する。大気ロボットARによりバキュームロックチャンバVL1又はVL2から冷却済みウェハWを取り出し、大気ローダLMを介してロードポートLP1〜LP3のいずれかに払い出す。
そして、ロードポートLP1〜LP3のいずれかから、未処理のウェハWを大気ロボットARによりバキュームロックチャンバVL1又はVL2のいずれかに搬入して、上述した処理を繰り返す。
【0005】
図12にインライン型半導体製造装置の構成例を示す。インライン型半導体製造装置も、真空側と大気側とに分れる。真空側には、複数のラインを構成する基板処理モジュールMD1,MD2が設けられる。基板処理モジュールMD1,MD2は、それぞれインライン接続されたプロセスチャンバPM1,PM2とバキュームロックチャンバ(真空搬送室)VL1,VL2とが設けられる。各バキュームロックチャンバVL1,VL2には、それぞれ1台の真空ロボットVR1,VR2が設けられ、プロセスチャンバPM1とバキュームロックチャンバVL1、又はプロセスチャンバPM2とバキュームロックチャンバVL2間でウェハWの搬送を独立して行なうことが可能になっている。大気側には、基板処理モジュールMD1,MD2を構成するチャンバVL1,VL2に接続された大気ローダLMと、この大気ローダLMに接続された2台のロードポートLP1,LP2とが設けられる。大気ローダLMには1台の大気ロボットARが設けられ、チャンバVL1,VL2とロードポートLP1,LP2との間でウェハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0006】
各基板処理モジュールMD1、MD2では搬送が独立に行なわれる。真空ロボットVR1又はVR2により、ウェハWをバキュームロックチャンバVL1又はVL2内のウェハ保持部HL1又はHL2から受け取り、プロセスチャンバPM1又はPM2に搬入して、ウェハWの処理を行う。ウェハWの処理が完了すると、真空ロボットVR1又はVR2により処理済みウェハWを受け取り、ウェハ保持部HL1又はHL2に保持して、ウェハWを冷却する。バキュームロックチャンバVL1又はVL2を大気圧に復帰させ、大気ロボットARによりバキュームロックチャンバVL1又はVL2から冷却済みウェハWを取り出し、大気ローダLMを介してロードポートLP1又はLP2に払い出す。
払出し後、ロードポートLP1又はLP2から、未処理のウェハWを大気ロボットARによりバキュームロックチャンバVL1又はVL2に搬入して、上述した処理を繰り返す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のクラスタ型半導体製造装置、及びインライン型半導体製造装置では、つぎのような問題点があった。
【0008】
(1)クラスタ型半導体製造装置
複数のプロセスチャンバで同一プロセス処理を行なう場合、プロセス終了後ウェハを直ちに搬出するために、一定タクト時間で搬送タイミングが重ならないようにスケジュール通りに運用しなければならない。
この点で、従来のクラスタ型半導体製造装置では、真空搬送室内に設けられる真空ロボットが複数のプロセスチャンバに対して1台しかないため、プロセス完了直後、真空ロボットが他のプロセスチャンバや、バキュームロックチャンバへの搬送を行っていた場合や、搬送予約がされていた場合、ウェハをプロセスチャンバから搬出することができず、ウェハがチャンバ内に滞留することがある。ウェハがプロセスチャンバ内に滞留すると、CVDなどの成膜を行うプロセスの場合、残留ガスや温度の影響でウェハの膜質、膜厚に悪影響を及ぼすことがある。
【0009】
これを回避する手段として、図11に示すような搬送スケジュールを運用前に組立てることで、1台しかない真空ロボットによる搬送時間を考慮した1つのプロセスの搬送タイミング(図中破線を入れた真空搬送部分)が、他のプロセスの搬送タイミングと重ならないようにして、滞留を防ぐことは可能である。
しかし、プロセス搬送タイミングが互いに重ならないように処理プログラムを組むにはプログラムが煩雑となる。また、タクト時間が長くなるため、スループットが低下する。また、プロセス遅延により運用スケジュールが破綻する場合がある。例えば、プロセス終了時刻が設定温度待ちなどにより遅延した場合、タクト時間が守れなくなり、スケジュール運用が破綻する。スケジュール運用が破綻すると、運用を中止せざるを得ない状態となる。
【0010】
(2)インライン型半導体製造装置
従来のインライン型半導体製造装置は、各プロセスチャンバが真空ロボットを占有しているので、クラスタ型のようにプログラムの煩雑化、スループットの低下、運用スケジュールの破綻というような問題がない点で優れている。
しかし、大気搬送室では、大気ロボットを共有しているため、双方のライン(プロセスモジュールとバキュームロックチャンバからなる基板処理モジュール)を並行して使用する運用の場合、各処理時間の違いによっては大気ロボットが競合してしまい、片方のラインの処理が待たされることになる。これによりプロセス処理時間が短い運用の場合は、ラインの処理待ちが搬送律速となり、高スループット化が図れないという問題があった。
【0011】
特に、バキュームロックチャンバを大気圧に復帰させ、処理済みウェハWを取り出してロードポートに払い出してから、次の未処理のウェハをロードポートからバキュームロックチャンバに搬入するようにしているため、ラインの処理待ちが長くなり、高スループット化が図れなかった。
【0012】
本発明の課題は、基板搬送装置を独立に有する複数の基板処理モジュールを備えるタイプを採用することによって、上述した従来技術の問題点を解消して、基板処理室内の基板滞留を防止しつつ、高スループット化を図ることが可能な半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、大気搬送室と、前記大気搬送室の一側に並列接続される真空気密可能な基板処理モジュールであって前記大気搬送室の一側に連通する前室及び該前室と連通する基板処理室から構成される複数の基板処理モジュールと、前記大気搬送室の他側に接続され、複数枚の基板を保持する基板収納部と、前記大気搬送室に備えられ大気搬送室を介して前記基処理モジュール又は前記基板収納部に対して基板の搬送を行なう1台の第1の基板搬送装置と、前記複数の基板処理モジュールを構成する複数の前室にそれぞれ備えられ、前室と基板処理室との間で基板を搬送する第2の基板搬送装置と、前記第1の基板搬送装置、第2の基板搬送装置、及び前記前室の圧力を制御する制御手段とを備えた半導体製造装置において、前記制御手段は、複数の基板処理モジュールの中で、基板処理室での処理が済んだ基板処理モジュールの該基板処理室から前記前室に処理済みの基板を搬送するよう前記第2の基板搬送装置を制御し、前記処理済みの基板が前記前室に搬送されたことを検知すると、前記処理済みの基板が搬送された前室を真空圧から大気圧に復帰させるよう前記前室の圧力を制御するとともに、前記大気圧復帰制御と並行して、前記処理済み基板の搬送された前記基板処理モジュールに対して前記未処理基板を搬送するために、前記基板収納部から次の未処理基板を前記大気搬送室に搬送して待機させるよう前記第1の基板搬送装置を制御するものであることを特徴とする半導体製造装置である。
【0014】
複数の基板処理モジュールを構成する各基板処理室で基板処理が行なわれる。制御装置は、第2の基板搬送装置を制御して、各基板処理室の中で処理が済んだ基板処理室からその前室に処理済みの基板を搬送する。その際、制御装置は、第2の基板搬送装置により、処理済みの基板が前室に搬送されたことを検知すると、処理済み基板の搬送された基板処理モジュールに対して未処理基板を搬送するために、第1の基板搬送装置を制御して、前室で真空圧から大気圧に復帰されている工程と並行して、基板収納部から次の未処理基板を大気搬送室に搬送して待機させる。
【0015】
このように、第2の基板搬送装置を複数の基板処理モジュールのそれぞれに独立して設けるタイプの半導体製造装置を採用することにより、基板処理室内の処理済み基板の滞留を防止することができる。また、大気搬送室に第1の基板搬送装置が1台しかなくても、基板処理モジュールから処理済み基板を大気搬送室に搬送する前に、当該基板処理モジュールに対する次の未処理基板を待機させて、処理済み基板と未処理基板との交換を素早く行なうようにしたことにより、スループットを向上することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、大気搬送室には基板位置補正装置が設けられており、この基板位置補正装置により前記未処理基板の位置補正をしてから、前記処理済み基板の搬送された前記前室を構成する前記基板処理モジュールに対して、前記未処理基板を搬送するために待機させるよう前記第1の基板搬送装置を制御するようにした半導体製造装置である。
位置補正をしてから、基板処理モジュールに対して未処理基板を待機させるようしたので、スループットをより向上することができる。
【0017】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記処理済みの基板が前記前室に搬送されたことを検知する手段は、第2の基板搬送装置の基板載置部に処理済み基板が載置され、かつ前記第2の基板搬送装置の基板載置部が前室内にあることを検知するセンサで構成されているか、又は前室に設けられた基板保持部に保持される処理済み基板を検知するセンサで構成されている半導体製造装置である。
処理済みの基板の前記前室への搬送を検知する手段は、第2の基板搬送装置に載置される基板の有無で検知するようにしても、又は前室に設けられた基板保持部に保持される基板の有無で検知するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板処理室内の基板滞留を防止しつつ、高スループット化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を説明する。実施の形態の半導体製造装置は、インライン型半導体製造装置であって、プロセスチャンバとバキュームロックチャンバとからなる基板処理モジュールが、2つ並列に大気搬送室に接続されたものである。このインライン型半導体製造装置を説明する前に、基板処理モジュールを構成するプロセスチャンバについて、予め説明しておく。
【0020】
プロセスチャンバは、例えばプラズマ処理炉で構成されている。このプラズマ処理炉は、電界と磁界により高密度プラズマを生成できる変形マグネトロン型プラズマ源(Modified Magnetron Typed Plasma Source)を用いてウエハ等の基板をプラズマ処理する基板処理炉(以下、MMT装置と称する)である。このMMT装置は、真空気密性を確保した処理室に基板を設置し、シャワープレートを介して反応ガスを処理室に導入し、処理室をある一定の圧力に保ち、放電用電極に高周波電力を供給して電界を形成するとともに磁界をかけてマグネトロン放電を起こす。放電用電極から放出された電子がドリフトしながらサイクロイド運動を続けて周回することにより長寿命となって電離生成率を高めるので高密度プラズマを生成できる。このように反応ガスを励起分解させて基板表面を酸化または窒化等の拡散処理、または基板表面に薄膜を形成する、または基板表面をエッチングする等、基板へ各種のプラズマ処理を施すことができる。
【0021】
図9に、このようなMMT装置の概略構成図を示す。MMT装置は、第2の容器である下側容器211と、該下側容器211の上に被せられる第1の容器である上側容器210とから処理室201が形成されている。上側容器210はドーム型の酸化アルミニウム又は石英で形成されており、下側容器211はアルミニウムで形成されている。また後述するヒータ一体型の基板保持手段であるサセプタ217を窒化アルミニウムや、セラミックス又は石英で構成することによって、処理の際に膜中に取り込まれる金属汚染を低減している。
【0022】
上側容器210の上部にはガス分散空間であるバッファ室237を形成するシャワーヘッド236が設けられ、シャワーヘッド上壁にはガス導入用の導入口であるガス導入口234が設けられ、下壁はガスを噴出する噴出孔であるガス噴出孔234aを有するシャワープレート240からなっており、前記ガス導入口234は、ガスを供給する供給管であるガス供給管232により開閉弁であるバルブ243a流量制御手段であるマスフローコントローラ241を介して図中省略の反応ガス230のガスボンベに繋がっている。シャワーヘッド236から反応ガス230が処理室201に供給され、また、サセプタ217の周囲から処理室201の底方向へ基板処理後のガスが流れるように下側容器211の側壁にガスを排気する排気口であるガス排気口235が設けられている。ガス排気口235はガスを排気する排気管であるガス排気管231により圧力調整器であるAPC242、開閉弁であるバルブ243bを介して排気装置である真空ポンプ246に接続されている。
【0023】
供給される反応ガス230を励起させる放電手段として断面が筒状であり、好適には円筒状の第1の電極である筒状電極215が設けられる。筒状電極215は処理室201の外周に設置されて処理室201内のプラズマ生成領域224を囲んでいる。筒状電極215にはインピーダンスの整合を行う整合器272を介して高周波電力印加する高周波電源273が接続されている。
【0024】
また、断面が筒状であり、好適には円筒状の磁界形成手段である筒状磁石216は筒状の永久磁石となっている。筒状磁石216は、筒状電極215の外表面の上下端近傍に配置される。上下の筒状磁石216、216は、処理室201の半径方向に沿った両端(内周端と外周端)に磁極を持ち、上下の筒状磁石216、216の磁極の向きが逆向きに設定されている。従って、内周部の磁極同士が異極となっており、これにより、筒状電極215の内周面に沿って円筒軸方向に磁力線を形成するようになっている。
【0025】
処理室201の底側中央には、基板であるウエハ200を保持するための基板保持手段としてサセプタ217が配置されている。サセプタ217はウエハ200を加熱できるようになっている。サセプタ217は、例えば窒化アルミニウムで構成され、内部に加熱手段としてのヒータ(図中省略)が一体的に埋め込まれている。ヒータは高周波電力が印加されてウエハ200を500℃程度にまで加熱できるようになっている。
【0026】
また、サセプタ217の内部には、さらにインピーダンスを可変するための電極である第2の電極も装備されており、この第2の電極がインピーダンス可変機構274を介して接地されている。インピーダンス可変機構274は、コイルや可変コンデンサから構成され、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することによって、上記電極及びサセプタ217を介してウエハ200の電位を制御できるようになっている。
【0027】
ウエハ200をマグネトロン型プラズマ源でのマグネトロン放電により処理するための処理炉202は、少なくとも前記処理室201、サセプタ217、筒状電極215、筒状磁石216、シャワーヘッド236、及び排気口235から構成されており、処理室201でウエハ200をプラズマ処理することが可能となっている。
【0028】
筒状電極215及び筒状磁石216の周囲には、この筒状電極215及び筒状磁石216で形成される電界や磁界を外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさないように、電界や磁界を有効に遮蔽する遮蔽板223が設けられている。
【0029】
サセプタ217は下側容器211と絶縁され、サセプタ217を昇降させる昇降手段であるサセプタ昇降機構268が設けられている。またサセプタ217には貫通孔217aを有し、下側容器211底面にはウエハ200を突上げるための基板突上手段であるウエハ突上げピン266が少なくとも3箇所に設けられている。そして、サセプタ昇降機構268によりサセプタ217が下降させられた時にはウエハ突上げピン266がサセプタ217と非接触な状態で貫通孔217aを突き抜けるような位置関係となるよう、貫通孔217a及びウエハ突上げピン266が設けられる。
【0030】
また、下側容器211の側壁には仕切弁となるゲートバルブ244が設けられ、開いている時には図中省略の搬送手段により処理室201へウエハ200が搬入、または搬出され、閉まっている時には処理室201を気密に閉じることができる。
【0031】
また、制御手段であるコントローラ121は高周波電源273、整合器272、バルブ243a、マスフローコントローラ241、APC242、バルブ243b、真空ポンプ246、サセプタ昇降機構268、ゲートバルブ244、サセプタに埋め込まれたヒータに高周波電力を印加する高周波電源と接続し、それぞれを制御している。
【0032】
上記のような構成において、ウエハ200表面を、又はウエハ200上に形成された下地膜の表面を所定のプラズマ処理を施す方法について説明する。
【0033】
ウエハ200は処理炉202を構成する処理室201の外部からウエハを搬送する図中省略の搬送手段によって処理室201に搬入され、サセプタ217上に搬送される。この搬送動作の詳細は、まずサセプタ217が下った状態になっており、ウエハ突上げピン266の先端がサセプタ217の貫通孔217aを通過してサセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突き出された状態で、下側容器211に設けられたゲートバルブ244が開き、図中省略の搬送手段によってウエハ200をウエハ突上げピンの先端に載置し、搬送手段は処理室201外へ退避すると、ゲートバルブ244が閉まり、サセプタ217がサセプタ昇降機構268により上昇すると、サセプタ217上面にウエハ200を載置することができ、更にウエハ200を処理する位置まで上昇する。
【0034】
サセプタ217に埋め込まれたヒータは予め加熱されており、搬入されたウエハ200を室温〜500℃の範囲内でウエハ処理温度に加熱する。真空ポンプ246、及びAPC242を用いて処理室201の圧力を0.1〜100Paの範囲内に維持する。
【0035】
ウエハ200を処理温度に加熱したら、ガス導入口234からシャワープレート240のガス噴出孔234aを介して、反応ガスを処理室201に配置されているウエハ200の上面(処理面)に向けてシャワー状に導入する。同時に筒状電極215に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加する。このときインピーダンス可変機構274は予め所望のインピーダンス値に制御しておく。
【0036】
筒状磁石216、216の磁界の影響を受けてマグネトロン放電が発生し、ウエハ200の上方空間に電荷をトラップしてプラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成される。そして、生成された高密度プラズマにより、サセプタ217上のウエハ200の表面にプラズマ処理が施される。表面処理が終わったウエハ200は、図示略の搬送手段を用いて、基板搬入と逆の手順で処理室201外へ搬送される。
【0037】
なお、コントローラ121により高周波電源273の電力ON・OFF、整合器272の調整、バルブ243aの開閉、マスフローコントローラ241の流量、APC242の弁開度、バルブ243bの開閉、真空ポンプ246の起動・停止、サセプタ昇降機構268の昇降動作、ゲートバルブ244の開閉、サセプタに埋め込まれたヒータに高周波電力を印加する高周波電源への電力ON・OFFをそれぞれを制御している。
【0038】
さて、図1に、上述したプロセスチャンバを備えた実施の形態によるインライン型半導体製造装置の構成例を示す。インライン型半導体製造装置は、真空側と大気側とに分れる。
【0039】
真空側には、2つの基板処理モジュールMD1,MD2が並列に設けられる。基板処理モジュールMD1は、インライン接続された真空気密可能な基板処理室としてのプロセスチャンバPM1と、この前段に設けられた前室としての真空気密可能なバキュームロックチャンバVL1とから構成されている。基板処理モジュールMD2は、インライン接続された真空気密可能な基板処理室としてのプロセスチャンバPM2と、この前段に設けられた前室としての真空気密可能なバキュームロックチャンバVL2とから構成されている。プロセスチャンバPM1とバキュームロックチャンバVL1とはゲートバルブG1で接続されている。プロセスチャンバPM2とバキュームロックチャンバVL2とはゲートバルブG2で接続されている。
【0040】
プロセスチャンバPM1,PM2は、前述したように化学反応(CVD)による成膜など、ウェハに付加価値を与える機能をもっている。また、ガス導入・排気機構、および温度制御・プラズマ放電機構など成膜方式に合せた機構をもっている。
【0041】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、真空又は大気圧のチャンバ内圧力を制御可能に構成されている。また、バキュームロックチャンバVL1,VL2には、第2の基板搬送装置としての真空ロボットVR1,VR2が1台ずつ独立して設けられ、プロセスチャンバPM1とバキュームロックチャンバVL1間、又はプロセスチャンバPM2とバキュームロックチャンバVL2間とでウェハWを搬送することが可能になっている。また、バキュームロックチャンバVL1,VL2は、ウェハWを保持することができる多段型ステージ、例えば上下2段のステージを有する。上段のバッファステージLS1,LS2ではウェハWを保持し、下段のクーリングステージCS1,CS2ではウェハWを冷却する機構をもっている。
【0042】
大気側には、基板処理モジュールMD1,MD2を構成するバキュームロックチャンバVL1,VL2に接続された大気搬送室としての大気ローダLMと、この大気ローダLMに接続された基板収納部としての2台のロードポートLP1,LP2とが設けられる。
大気ローダLMとバキュームロックチャンバVL1とはロードドアG3(ゲートバルブ)で接続されている。大気ローダLMとバキュームロックチャンバVL2とはロードドアG4(ゲートバルブ)で接続されている。大気ローダLMには、1台の大気ロボットARが設けられ、チャンバVL1,VL2とロードポートLP1,LP2との間でウェハWを搬送することが可能になっている。また、大気ローダLMには、基板位置補正装置としてのアライナユニットAUが設けられ、搬送時のウェハWのずれを補正やウェハWのノッチを一定方向に合せるノッチ合わせ(以下、アライメントという)を行なうことが可能になっている。
また、ロードポートLP1,LP2は、複数枚のウェハWが保持可能なキャリアCR1,CR2を、半導体製造装置外部と受渡し可能に構成されている。
【0043】
上述した真空ロボットVR1,VR2,大気ロボットAR、ゲートバルブG1,G2、ロードドアG3,G4、およびプロセスチャンバPM1,PM2のガス導入・排気機構、および温度制御・プラズマ放電機構や、バキュームロックチャンバVL1,VL2の冷却機構等は、制御手段CNTにより制御するようになっている。
【0044】
また、制御手段CNTは、2つの基板処理モジュールMD1,MD2の中で、プロセスチャンバPM1,PM2での処理が早く済んだ基板処理モジュールMD1,MD2のプロセスチャンバPM1,PM2からバキュームロックチャンバVL1,VL2に処理済みのウェハWを搬送するよう大気ロボットARを制御する。また、処理済みのウェハWがバキュームロックチャンバVL1,VL2に搬送されたことを検知すると、バキュームロックチャンバVL1,VL2を真空圧から大気圧に復帰するよう制御するとともに、処理済みウェハWの搬送された基板処理モジュールMD1,MD2に対して未処理ウェハWを搬送するために、この大気圧復帰制御と並行して、ロードポートLP1,LP2から次の未処理ウェハWを大気ローダLMに搬送して待機させるよう真空ロボットVR1,VR2を制御するようになっている。
【0045】
処理済みのウェハWがバキュームロックチャンバVL1,VL2に搬送されたことを検知する手段は、真空ロボットVR1,VR2の基板載置部に処理済みウェハWが載置され、かつ真空ロボットVR1,VR2の基板載置部がバキュームロックチャンバVL1,VL2内にあることを検知するセンサで構成したり、又はバキュームロックチャンバVL1,VL2に設けられた基板保持部に保持される処理済みウェハを検知するセンサで構成したりすることができる。
【0046】
上記センサは、バキュームロックチャンバVLの所定の箇所に取り付けることができる。図2は、そのようなバキュームロックチャンバVLの説明図である。図2(a)は蓋VL0を外したバキュームロックチャンバの斜視図、図2(b)はバッファステージの平面図、図2(c)はバッファステージ及びクーリングステージの側面図である。バキュームロックチャンバVLは、その内部に、アームを有する真空ロボットVRを備える(図2(a))。また、上段のバッファステージLSは、ウェハWを3点支持可能な3本のピンP1〜P3で構成される(図2(b))。下段のクーリングステージCSは、ウェハWを面接触支持可能なプレートPLで構成される(図2(c))。
【0047】
センサは、バキュームロックチャンバVLの蓋VL0に設けられる。例えば、ステージLS,CS上のウェハ有無を検知するセンサS1は、プレートPL上の所定の部位に対応した蓋VL0側に設けられる。プロセスチャンバPMの搬入出の際に、真空ロボットVR上のウェハ有無を検知するセンサS2は、プロセスチャンバPM側に通じる開口APの手前の所定の部位に対応した蓋VL0側に設けられる。センサS1,S2としては例えば受発光ダイオードからなる光学的センサを挙げることができる。センサS1よりも、プロセスチャンバPM寄りに設けたセンサS2の方が、処理済みのウェハがバキュームロックチャンバVLに搬送されたことをより早く検出することができる。なお、以降の説明では、センサS1の場合を説明する。
【0048】
ここで図1に戻る。各基板処理モジュールMD1、MD2ではウェハ搬送が独立に行なわれる。真空ロボットVR1又はVR2により、ウェハWをバキュームロックチャンバVL1又はVL2内のバッファステージLS1又はLS2から受け取り、プロセスチャンバPM1又はPM2に搬入して、ウェハWの処理、例えばプラズマ処理を行う。ウェハWの処理が完了すると、真空ロボットVR1又はVR2により処理済みウェハWを受け取り、バキュームロックチャンバVL1又はVL2内のクーリングステージCS1又はCS2に保持して、ウェハWを冷却する。
【0049】
バキュームロックチャンバVL1又はVL2を大気圧に復帰させる。バキュームロックチャンバVL1又はVL2を大気圧に復帰させるのと並行して、ロードポートLP1又はLP2のキャリアCR1又はCR2から未処理のウェハを、大気ロボットARにより大気ローダLMに取り出し、アライナユニットAUを経由させてアライメントを行ない、バキュームロックチャンバVL1又はVL2が大気圧に復帰するまで、バキュームロックチャンバVL1又はVL2の前で待機させる(後述する先行動作制御方式)。
【0050】
大気圧復帰後、待機させていたアライメント済みのウェハWを、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL1又はVL2のバッファステージLS1又はLS2に搬入する。他方、大気ロボットARによりバキュームロックチャンバVL1又はVL2から冷却済みウェハWを取り出し、大気ローダLMを介してロードポートLP1又はLP2のキャリアCR1又はCR2に払い出す。上述した一連の処理を繰り返す。
【0051】
ここで、上述した半導体製造装置を制御する制御手段CNTについて具体的に説明する。制御手段CNTは、制御用コントローラとして半導体製造装置に接続されており、制御用コントローラは搬送制御、プロセス制御を行う手段を持つように構成される。図8にそのような制御用コントローラの構成を示す。
【0052】
制御用コントローラは、操作部100、統括制御コントローラ90、プロセスチャンバコントローラPMC1,PMC2が、LAN回路80で接続されている。操作部100では、システム制御コマンドの指示、モニタ表示、ロギングデータ、アラーム解析、パラメータ編集などの画面、機能をもつように構成される。
ここで、制御用コントローラは図1の制御手段CNTに相当する。またプロセスチャンバコントローラPMC1,PMC2は、図9のコントローラ121に相当する。
【0053】
統括制御コントローラ90では、システム全体の運用制御、真空ロボットコントローラ91、大気ロボットコントローラ92、VL排気系(MFC93やバルブ,ポンプ等)などの制御を行なう。
【0054】
プロセスチャンバコントローラPCM1,PCM2では、各プロセスチャンバを個別に制御するために、それぞれ、ガスの流量を制御するマスフローコントローラMFC11、プロセスチャンバ内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラAPC12、チャンバ内の温度を制御する温度調整器13、ガス、排気用のバルブのオン/オフを制御するための入出力バルブI/O14などが接続されている。
【0055】
この制御用コントローラの運用例としては、操作部100からのコマンド指示を受けた統括制御コントローラ90が、ウェハ搬送指示を大気ロボットコントローラ92に指示する。該当ウェハがキャリアCRからバキュームロックチャンバVLのバッファステージLSへ搬送されてから、バキュームロックチャンバVLの真空排気制御(ポンプ、バルブの制御)を実施する。バキュームロックチャンバVLが所定の真空圧力に達したところで、該当プロセスチャンバPM1,PM2へウェハを搬送することを、真空ロボットVRに指示する。搬送が完了しゲートバルブG1,G2を閉じたところで、該当プロセスチャンバコントローラPMC1,PMC2に対してプロセスレシピの実行指示を行なう。
【0056】
ところで、上述したインライン型半導体製造装置の運用方式には、構成例のように、2つの基板処理モジュール((PM+VL)×2)を有する場合、1キャリアCR1を交互に振分けて処理する振分け運用と、キャリアCR1,CR2とプロセスチャンバPM1,PM2が1対1の関係となるように処理する並列運用とがある。これらの一般的な運用制御方式は、次の通りである。
【0057】
(1)振分け運用(図3)
振分け運用は、同一プロセス(同一膜種)を行う場合に採用される。図3は振分け運用制御方式を示した説明図である。振分け運用では、同一条件でのプロセス(成膜など)を目的としており、ウェハ搬送ルートL1,L2で示すように、キャリアCR1内のウェハWはどちらのプロセスチャンバPM1,PM2で処理されても良い。
2つの基板処理モジュールMD1(PM1+VL1),MD2(PM2+VL2)を交互に使用する固定運用とした場合、2つのライン(MD1,MD2)の一方で温度設定値待ちなどプロセス条件が整うまで待つことにより遅延が発生すると、効率良くウェハ搬送できない。この場合、どちらか一方のバキュームロックチャンバVL1又はVL2のクーリングステージCS1又はCS2上に処理済みウェハが載った時点で、該当基板処理モジュールMD1又はMD2が空くと判断して、空きラインにウェハを搬送することで、大気ロボットAR及びラインを効率良く使用することができる。
【0058】
(2)並列運用(図4)
並列運用は、異なるプロセス(不同膜種)を行う場合に採用される。図4は並列運用制御方式を示した説明図である。並列運用では、異なるプロセス条件で処理した場合、一方のロードポートLP1又はLP2内の1キャリアCR1又はCR2のウェハWは、すべて指定のプロセスチャンバPM1又はPM2に搬送され処理される。同時に他方のLP1又はLP2、PM1又はPM2も並行して処理可能である。ウェハ搬送ルートを矢印L1,L2で示す。
【0059】
(3)ウェハ交換手順(図5)
上述した振り分け運用にせよ、並列運用にせよ、ウェハを処理していくためには、未処理ウェハと処理済みウェハとを交換していく必要がある。そのウェハ交換手順を図5に示す。
まず、プロセスチャンバPM1,PM2からクーリングステージCS1,CS2に処理済みウェハW2を搬送した時点で、次の未処理ウェハW1がある場合、ロードポートLP1,LP2のキャリアCR1,CR2からアライナユニットAUへ未処理ウェハW1の搬送を開始する(e1)。次に、バキュームロックチャンバVL1,VL2のベント(大気圧状態にする)と、クーリングステージCS1,CS2でのウェハ冷却が完了した時点で、該当バキュームロックチャンバVL1,VL2のバッファステージLS1,LS2へアライナの終了した未処理ウェハW1を搬入する(e2)。最後に、クーリングステージCS1,CS2のウェハを取り出し、該当ロードポートLP1,LP2の該当キャリアCR1,CR2のスロットへ戻す(e3)。
【0060】
ところで、上述したような一般的な運用制御方式では、半導体製造装置のスループットが上がらない。すなわち、インライン型半導体製造装置の構成例のように、2ラインの基板処理モジュールに対して、大気ロボットが1台しかないため、バキュームロックチャンバVL1,VL2からの処理済みウェハWがキャリアCR1,CR2に戻る準備(冷却完了、かつVL大気圧状態)ができたところで、キャリアCR1,CR2から未処理ウェハWの搬送を開始していたのでは、処理済みウェハと未処理ウェハとの交換に時間がかかり半導体製造装置のスループットが上がらない。また、未処理ウェハをバキュームロックチャンバに搬入する前に、アライメントを行なう必要があるため時間がかかり、このアライメント時間がスループットに影響する。
【0061】
これを解決するためには、実施の形態では、次に処理する未処理ウェハを、予めアライメントを済ませて、該当するバキュームロックチャンバVL1,VL2の前まで搬送しておき、処理済みウェハが戻る準備ができたところで、未処理ウェハをバッファステージLS1,LS2に搬入する一方、処理済みウェハをキャリアCR1,CR2に搬出するように制御するのがよい。このような制御方式を先行動作制御方式という。この先行動作制御方式の採用により、最短時間でウェハを交換することができ、装置全体のスループットを向上することができる。
【0062】
次に、ロードポートLP1を共通にした振分け運用の場合を例にとって、上述した先行動作制御方式を説明する。図6はその運用タイムチャートである。
【0063】
(1)大気ロボットARにより未処理ウェハ#1をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームによる先行動作により、アライメントを行なう。アライメントを行った未処理ウェハ#1を、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL1の前まで運んでいき、バキュームロックチャンバVL1に搬入する(矢印m1)。搬入した未処理ウェハ#1は上段の未処理基板載置部としてのバッファステージLS1に載置する。ロードドアG3を閉めてバキュームロックチャンバVL1を真空排気(Evac1)する。この間に、大気ロボットARにより未処理ウェハ#2をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入して、アライナユニットAUでアライメントを行う。ゲートバルブG1を開けて真空ロボットVR1によりバキュームロックチャンバVL1の上段のバッファステージLS1からプロセスチャンバPM1に未処理ウェハ#1を搬入する(a)。ゲートバルブG1を閉める。プロセスチャンバPM1で未処理ウェハ#1の成膜処理を先行で開始する(#1:プロセス)。
【0064】
(2)大気ロボットARにより未処理ウェハ#2をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームによる先行動作により、アライナユニットAUでアライメントを行なう。アライメントを行った未処理ウェハ#2を、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL2の前まで運んでいき、バキュームロックチャンバVL2に搬入する(矢印m2)。搬入した未処理ウェハ#2は上段のバッファステージLS2に載置する。ロードドアG4を閉めてバキュームロックチャンバVL2を真空排気(Evac2)する。ゲートバルブG2を開けて真空ロボットVR2によりバキュームロックチャンバVL2の上段のバッファステージLS2からプロセスチャンバPM2に未処理ウェハ#2を搬入する(b)。ゲートバルブG2を閉める。プロセスチャンバPM2で未処理ウェハ#2の成膜処理を後で開始する(#2:プロセス)。
【0065】
(3)大気ロボットARにより未処理ウェハ#3をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームによる先行動作により、アライナユニットAUでアライメントを行なう。アライメントを行った未処理ウェハ#3を、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL1の前まで運んでいく。ロードドアG3を開ける前に、不活性ガスN2を導入し、バキュームロックチャンバVL1内を大気圧状態にする(Vent1)。Vent1が完了したと同時に、ロードドアG3を開けて、未処理ウェハ#3をバキュームロックチャンバVL1に搬入する(矢印m3)。搬入した未処理ウェハ#3は上段のバッファステージLS1に載置する。ロードドアG3を閉めてバキュームロックチャンバVL1を真空排気(Evac3)する。
【0066】
(4)大気ロボットARにより未処理ウェハ#4をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームによる先行動作により、アライナユニットAUでアライメントを行なう。アライメントを行った未処理ウェハ#4を、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL2の前まで運んでいく。ロードドアG4を開ける前に、不活性ガスN2を導入し、バキュームロックチャンバVL2内を大気圧状態にする(Vent2)。Vent2が完了したと同時にロードドアG4を開けて、未処理ウェハ#4をバキュームロックチャンバVL2に搬入する(矢印m4)。搬入した未処理ウェハ#4は上段のバッファステージLS2に載置する。ロードドアG4を閉めてバキュームロックチャンバVL2を真空排気(Evac4)する。
【0067】
(5)先行開始したプロセスチャンバPM1でのウェハ#1の成膜処理が終了したら、直ちにプロセスチャンバPM1のゲートバルブG1を開け、真空ロボットVR1によりプロセスチャンバPM1からバキュームロックチャンバVL1に処理済みウェハ#1を搬出する(c)。搬出した処理済みウェハ#1は、バキュームロックチャンバVL1の下段のクーリングステージCS1に載置して冷却する。このクーリングステージCS1への載置により、センサS1は、処理済みのウェハ#1がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知する。
(6)真空ロボットVR1によりバキュームロックチャンバVL1の上段のバッファステージLS1からプロセスチャンバPM1に未処理ウェハ#3を搬入する(d)。ゲートバルブG1を閉める。プロセスチャンバPM1で未処理ウェハ#3の成膜処理を開始する(#3:プロセス)。
【0068】
(7)センサS1により、処理済みのウェハ#1がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知すると、大気ロボットARにより未処理ウェハ#5をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームによる先行動作により、アライナユニットAUでアライメントを行なう。アライメントを行った未処理ウェハ#5を、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL1の前まで運んでいく。
【0069】
また、センサS1により、処理済みのウェハ#1がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知すると、ロードドアG3を開ける前に、不活性ガスN2を導入し、バキュームロックチャンバVL1内をVent3する。バキュームロックチャンバVL1内のVent3が完了したと同時に、ロードドアG3を開けて、未処理ウェハ#5をバキュームロックチャンバVL1に搬入する(矢印m5)。搬入した未処理ウェハ#5は上段のバッファステージLS1に載置する。この段階で、バキュームロックチャンバVL1の上段のバッファステージLS1に未処理ウェハ#5が、下段のクーリングステージCS1に処理済みウェハ#1が載置されている。
【0070】
(8)この間に、後で開始したプロセスチャンバPM2でのウェハ#2の成膜処理が終了したら、直ちにゲートバルブG2を開け、真空ロボットVR2によりプロセスチャンバPM2からバキュームロックチャンバVL2に処理済みウェハ#2を搬出する(e)。搬出した処理済みウェハ#2は、バキュームロックチャンバVL2の下段のクーリングステージCS2に載置して冷却する。このクーリングステージCS2への載置により、センサS1は、処理済みのウェハ#2がバキュームロックチャンバVL2に搬送されたことを検知する。
(9)真空ロボットVR2によりバキュームロックチャンバVL2の上段のバッファステージLS2からプロセスチャンバPM2に未処理ウェハ#4を搬入する(f)。ゲートバルブG2を閉める。プロセスチャンバPM2で未処理ウェハ#4の成膜処理を開始する(#4:プロセス)。
(10)その後、大気ロボットARによりバキュームロックチャンバVL1のクーリングステージCS1上の冷却済みのウェハ#1を取り出し、ロードポートLP1へ搬出する(M1(#1払出し))。ロードドアG3を閉めてバキュームロックチャンバVL1を真空排気(Evac5)する。
【0071】
(11)センサS1により、処理済みのウェハ#2がバキュームロックチャンバVL2に搬送されたことを検知すると、大気ロボットARにより未処理ウェハ#6をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームで先行動作によりアライメントを実施した後、さらにそのウェハ#6を大気ロボットARでバキュームロックチャンバVL2の前まで運んでいく。
また、センサS1により、処理済みのウェハ#2がバキュームロックチャンバVL2に搬送されたことを検知すると、ロードドアG4を開ける前に、不活性ガスN2を導入し、バキュームロックチャンバVL2内をVent4する。Vent4が完了したと同時に未処理ウェハ#6をバキュームロックチャンバVL2に入れる(矢印m6)。搬入した未処理ウェハ#6は上段のバッファステージLS2に載置する。この段階で、バキュームロックチャンバVL2の上段のバッファステージLS1に未処理ウェハ#6が、下段のクーリングステージCS1に処理済みウェハ#2が載置されている。
【0072】
(12)その後、クーリングステージCS2上の冷却済みのウェハ#2を大気ロボットARのアームでロードポートLP1へ搬出する(M2(#2払出し))。また、ロードドアG4を閉めてバキュームロックチャンバVL2を真空排気(Evac6)する。
(13)プロセスチャンバPM1でのウェハ#3の成膜処理が終了したら、直ちにゲートバルブG1を開け、真空ロボットVR1によりプロセスチャンバPM1からバキュームロックチャンバVL1に処理済みウェハ#3を搬出する(g)。搬出した処理済みウェハ#3は、バキュームロックチャンバVL1の下段のクーリングステージCS1に載置して冷却する。このクーリングステージCS1への載置により、センサS1は、処理済みのウェハ#3がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知する。
【0073】
(14)真空ロボットVR1によりバキュームロックチャンバVL1の上段のバッファステージLS1からプロセスチャンバPM1に未処理ウェハ#5を搬入する(h)。ゲートバルブG1を閉める。プロセスチャンバPM1で未処理ウェハ#5の成膜処理を開始する(#5:プロセス)。
【0074】
(16)また、センサS1により、処理済みのウェハ#3がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知すると、大気ロボットARにより未処理ウェハ#7をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームによる先行動作により、アライナユニットAUでアライメントを行なう。アライメントを行った未処理ウェハ#7を、大気ロボットARにより大気ローダLMからバキュームロックチャンバVL1の前まで運んでいく。ロードドアG3を開ける前に、不活性ガスN2を導入し、バキュームロックチャンバVL1内をVent5する。Vent5が完了したと同時に、ロードドアG3を開けて、未処理ウェハ#7をバキュームロックチャンバVL1に搬入する(矢印m7)。搬入した未処理ウェハ#7は上段のバッファステージLS1に載置する。この段階で、バキュームロックチャンバVL1の上段のバッファステージLS1に未処理ウェハ#7が、下段のクーリングステージCS1に処理済みウェハ#3が載置されている。
(17)その後、クーリングステージCS2上の冷却済みのウェハ#3を大気ロボットARのアームでロードポートLP1へ搬出する(M3(#3払出し))。
【0075】
(18)この間に、プロセスチャンバPM2でのウェハ#4の成膜処理が終了したら、直ちにゲートバルブG2を開け、真空ロボットVR2によりプロセスチャンバPM2からバキュームロックチャンバVL2に処理済みウェハ#4を搬出する(i)。搬出した処理済みウェハ#4は、バキュームロックチャンバVL2の下段のクーリングステージCS2に載置して冷却する。このクーリングステージCS2への載置により、センサS1は、処理済みのウェハ#4がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知する。
(19)真空ロボットVR2によりバキュームロックチャンバVL2の上段のバッファステージLS2からプロセスチャンバPM2に未処理ウェハ#6を搬入する(j)。ゲートバルブG2を閉める。プロセスチャンバPM2で未処理ウェハ#6の成膜処理を開始する(#6:プロセス)。
【0076】
(20)センサS1により、処理済みのウェハ#4がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知すると、大気ロボットARにより未処理ウェハ#8をロードポートLP1から取り出し、大気ローダLMに搬入する。大気ロボットARのアームで先行動作によりアライメントを実施した後、さらにそのウェハ#8を大気ロボットARでバキュームロックチャンバVL2の前まで運んでいく。
また、センサS1により、処理済みのウェハ#4がバキュームロックチャンバVL1に搬送されたことを検知すると、ロードドアG4を開ける前に、不活性ガスN2を導入し、バキュームロックチャンバVL2内をVent6する。Vent6が完了したと同時に未処理ウェハ#8をバキュームロックチャンバVL2に入れる(矢印m8)。搬入した未処理ウェハ#8は上段のバッファステージLS2に載置する。この段階で、バキュームロックチャンバVL2の上段のバッファステージLS1に未処理ウェハ#8が、下段のクーリングステージCS1に処理済みウェハ#4が載置されている。
(21)この間に、ロードドアG3を閉めてバキュームロックチャンバVL1を真空排気(Evac7)する。
(22)その後、クーリングステージCS2上の冷却済みのウェハ#4を大気ロボットARのアームでロードポートLP1へ搬出する(M4(#4払出し))。また、ロードドアG4を閉めてバキュームロックチャンバVL2を真空排気(Evac8)する。
【0077】
このようにプロセスチャンバPM1でのプロセスと、プロセスチャンバPM2とのプロセスを交互に繰り返して行く。
【0078】
上述したように、実施の形態の先行動作制御方式によれば、大気ロボットARのアームで先行動作によりアライナユニットAUに搬送してアライメント動作を実施した後、更にそのウェハWを大気ロボットARのアームで該当のバキュームロックチャンバVL1又はVL2の前まで運んでいき(VLへの搬入動作準備)、Ventが完了したと同時に未処理ウェハをバキュームロックチャンバのバッファステージLS1又はLS2に入れている。すなわち、VLへの搬入動作準備を、Ventが終了する前に先行動作させている。したがって、アライナユニットAUとバキュームロックチャンバVL前までの搬送時間を短縮することができる。
【0079】
このことは、図6による実施の形態の運用タイムチャートを、図7に示す従来の運用タイムチャートと比較することによって、明確になる。図7に示す従来例のものが図6と異なる点は、実施の形態のようにバキュームロックチャンバVLへの搬入動作準備をバキュームロックチャンバVLのVent開始と同時(点線矢印で示す先行動作時搬送開始タイミング)に行なわず、Vent後(実線矢印で示す搬送開始タイミング)に行なっている点である。このように従来のものでは、VLへの搬入動作準備をVent後に行なっているため、ウェハ搬送タイミング(m3,m4,m5…)が、図6と比較して、少しずつ遅れ、そのために各プロセスチャンバPM1,PM2でプロセスが終わっても、ウェハWを取り出すための待ち時間WT1,WT2,WT3…が発生し、スループットが低下する。また、待ち時間の間、ウェハWがチャンバPM1,PM2内に滞留するので、CVDなどの成膜を行うプロセスの場合、残留ガスや温度の影響でウェハの膜質、膜厚に悪影響を及ぼすことがある。この点で、実施の形態のものでは、そのようなことがなく、スループットが向上する。
【0080】
なお、実施の形態では、センサ信号を待ってからアライナを行なうようにしたが、振分け運用の場合には、使用するロードポートLP1又はLP2が決まっているので、ウェハ載置信号を待ってからアライナを行なうのではなく、予めアライナユニットAUでのアライナを済ませておき、上記空き基板処理モジュールMD1又はMD2からのウェハ載置信号を待つようにしても良い。
また、本発明は、振分け運用に限定されず、並列運用制御方式においても先行動作制御の適用が可能である。すなわち、装置構成例のようなインライン型の装置において、振分け、並列運用制御方式と先行動作制御を実施することで、チャンバ内のウェハ滞留を防止し、高スループットの性能を確保できる。
【0081】
また、実施の形態では、処理済みウェハがバキュームロックチャンバに搬送されたことを検知する検出手段として、バキュームロックチャンバに設けられたステージに保持される処理済みウェハを検知するセンサで構成したが、これに限定されない。例えば、真空ロボットの基板載置部であるアームのツィーザに処理済みウェハが載置され、かつ真空ロボットのツィーザがバキュームロックチャンバ内にあることを検知するセンサで構成されていてもよい。このような検知は、ツィーザにウェハ載置有無を検出するセンサを設け、このセンサからのウェハ載置信号と、真空ロボットコントローラ91を制御する統括制御コントローラ90からの真空ロボット制御位置信号とに基づいて容易に行うことができる。
【0082】
ところで、インライン型半導体製造装置の基本的な運用では、プロセス処理し、処理済みウェハをクーリングステージCSへ搬送し、バキュームロックチャンバVLを大気開放した後、ウェハが搬出されてくるようになっている。実施の形態では、このうちのCS搬送完了の時点で、未処理ウェハを該当VLの前まで搬送していくように先行動作制御している。この場合において、CS搬送完了を待つのではなく、プロセス処理の残り時間から、処理ケースに応じて、搬送タイミングをその都度算出し、算出結果を残り時間とを比較して、未処理ウェハを対象バキュームロックチャンバVLに搬入することも考えられる。しかし、先行動作制御する場合、できるだけ判断するタイミングを遅くすることで、より障害を避けて正常に動作することができると考える。つまり、プロセス残時間→CS搬送→VL大気開放とするよりも、実施の形態のように、CS搬送完了後にVL大気開放とした方が、障害発生確率が低く、障害発生時の無駄な動きのリスクが少なくなると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態によるインライン型半導体製造装置の構成を示す平面図である。
【図2】実施の形態によるバキュームロックチャンバの説明図である。
【図3】実施の形態によるインライン型半導体製造装置の振分け運用の説明図である。
【図4】実施の形態によるインライン型半導体製造装置の並列運用の説明図である。
【図5】実施の形態によるインライン型半導体製造装置のウェハ交換手順の説明図である。
【図6】実施の形態によるインライン型半導体製造装置の運用タイムチャートである。
【図7】従来例によるインライン型半導体製造装置の運用タイムチャートである。
【図8】実施の形態によるインライン型半導体製造装置の制御用コントローラの構成図である。
【図9】実施の形態によるインライン型半導体製造装置を構成するプロセスチャンバとしてのMMT装置の概略構成図である。
【図10】従来例によるクラスタ型半導体製造装置の構成を示す平面図である。
【図11】従来例によるクラスタ型半導体製造装置の運用タイムチャートである。
【図12】従来例によるインライン型半導体製造装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
LM 大気ローダ(大気搬送室)
MD1,MD2 基板処理モジュール
VL1,VL2 バキュームロックチャンバ(前室)
PM1,PM2 プロセスチャンバ(基板処理室)
LP1,LP2 ロードポート(基板収納部)
AR 大気ロボット(第1の基板搬送装置)
VR 真空ロボット(第2の基板搬送装置)
CNT 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気搬送室と、前記大気搬送室の一側に並列接続される真空気密可能な基板処理モジュールであって前記大気搬送室の一側に連通する前室及び該前室と連通する基板処理室から構成される複数の基板処理モジュールと、前記大気搬送室の他側に接続され、複数枚の基板を保持する基板収納部と、前記大気搬送室に備えられ大気搬送室を介して前記基処理モジュール又は前記基板収納部に対して基板の搬送を行なう1台の第1の基板搬送装置と、前記複数の基板処理モジュールを構成する複数の前室にそれぞれ備えられ、前室と基板処理室との間で基板を搬送する第2の基板搬送装置と、前記第1の基板搬送装置、第2の基板搬送装置、及び前記前室の圧力を制御する制御手段とを備えた半導体製造装置において、
前記制御手段は、
複数の基板処理モジュールの中で、基板処理室での処理が済んだ基板処理モジュールの該基板処理室から前記前室に処理済みの基板を搬送するよう前記第2の基板搬送装置を制御し、
前記処理済みの基板が前記前室に搬送されたことを検知すると、前記処理済みの基板が搬送された前室を真空圧から大気圧に復帰させるよう前記前室の圧力を制御するとともに、前記大気圧復帰制御と並行して、前記処理済み基板の搬送された前記基板処理モジュールに対して前記未処理基板を搬送するために、前記基板収納部から次の未処理基板を前記大気搬送室に搬送して待機させるよう前記第1の基板搬送装置を制御するものである
ことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記大気搬送室には基板位置補正装置が設けられており、この基板位置補正装置により前記未処理基板の位置補正をしてから、前記処理済み基板の搬送された前記前室を構成する前記基板処理モジュールに対して、前記未処理基板を搬送するために待機させるよう前記第1の基板搬送装置を制御するようにした請求項1に記載の半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−5086(P2006−5086A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178471(P2004−178471)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】