説明

半導体製造装置

【課題】 インターロックが発生した場合に、不具合箇所の特定に要する時間が不要となり、メンテナンス性を向上させることができる半導体製造装置を提供する。
【解決手段】 配管ヒータによる配管の過熱により、配管の温度が過温度に到達した場合、前記配管ヒータへの電源供給を遮断する複数の過温度防止スイッチを備えた半導体製造装置において、前記複数の過温度防止スイッチが前記電源供給を遮断すべく作動した場合に、前記複数の過温度防止スイッチのうちのどの過温度防止スイッチが遮断したかを表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置に関し、特に配管ヒータの過熱箇所を表示できるようにした半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置として枚葉装置で使用されている配管ヒータには、インターロック機構として120個の過温保護サーモスイッチ(過温度防止スイッチ)を使用している。このため、配管ヒータが過温状態となりインターロックが発生すると、120個のサーモスイッチから不具合箇所を探し出す必要がある。不具合の内容としては、配管ヒータの過温状態、断線、コネクタの非接触、誤配線等が考えられる。これらの不具合を解決しないと、装置として正常動作を行うことができなくなるという恐れがある。このため、従来では、サーモスイッチ作動時において操作画面にインターロックを表示するようにした技術が知られる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−353147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、サーモスイッチ作動時において操作画面にインターロックが表示され、そのメッセージは100V系か200V系かという表示のみであった。このため、インターロックが発生した場合には不具合箇所を探し出す必要がある。しかし、サーモスイッチはその特性上、温度が下がると自動的に復帰してしまうため、120個あるサーモスイッチから配線を追って特定するのは非常に困難であり、非常に時間がかかってしまう。また、このような仕組みとなっているため、据付後のメンテナンス性も悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、インターロックが発生した場合に、不具合箇所特定に要する時間が不要となり、メンテナンス性を向上させることができる半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、配管ヒータによる配管の過熱により、配管の温度が過温度に到達した場合、前記配管ヒータへの電源供給を遮断する複数の過温度防止スイッチを備えた半導体製造装置において、前記複数の過温度防止スイッチが前記電源供給を遮断すべく作動した場合に、前記複数の過温度防止スイッチのうちのどの過温度防止スイッチが遮断したかを表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればインターロックが発生した場合に、不具合箇所特定に要する時間が不要となり、メンテナンス性を向上させることができる半導体製造装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における半導体製造装置を示す平面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における第2プロセスモジュールを示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるヒータ制御ユニットを示す簡略図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるサーモスイッチ動作確認パネルの正面図である。
【図5】サーモスイッチの動作回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
図1に本発明の実施形態に係る半導体製造装置として枚葉装置の断面図を示す。この半導体製造装置は3つのプロセスモジュール1,2,3、真空搬送ロボットを収納したウエハ搬送室4、2つのウエハ冷却室5,6、2つのロードロック室7,8、大気搬送ロボットを収納したウエハ搬送室9、フロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)対応の3つのロードポート10,11,12から構成されるマルチチャンバ方式のφ300mm対応クラスターツールにより構成されている。
【0010】
各プロセスモジュール1,2,3へのウエハ移載は減圧N2雰囲気下で行われ、ウエハを大気暴露させずに高品質のプロセスインテグレーションが可能である。本構成は、弊社開発のプラズマ源により酸化/窒化処理が可能な第1プロセスモジュール1、Hfo系絶縁膜形成可能な第2プロセスモジュール2、ポストデポジションアニール専用第3プロセスモジュール3から成る。
【0011】
大気搬送ロボットを収納したウエハ搬送室9はFOUPオープナ、搬送ロボット、ウエハライメント機構によって構成され、ウエハのアライメント、ロードロック室7,8への投入・FOUPへの回収を行う。
【0012】
ロードロック室7,8はウエハを搬送室へ投入する、又はFOUPへウエハを払い出すための減圧、大気圧復帰等の圧力調整及びロードロック室内雰囲気のN2置換を行う。
【0013】
ウエハ冷却室5,6はプロセス処理後のウエハの冷却を行う。
【0014】
真空搬送ロボットを収納したウエハ搬送室4は搬送ロボットにより、ウエハを各モジュールへ搬送を行う。
【0015】
プロセスモジュール1,2,3では、反応室及びガスシステムから構成され、所定の薄膜形を行う。
【0016】
次に、第2プロセスモジュールにおける基板処理条件の例を示す。
【0017】
第2プロセスモジュール2では、図2におけるSource Box13内のタンク16から液体ガスを流すため、そのタンク16から反応室15までの間の配管30で副生成物として付着しないように、配管30を加熱する必要があり、そのために複数の配管ヒータ31を使用している。なお配管30のタンク16と反応室15の間には気化ボックス14が設けられている。
【0018】
そして、その配管ヒータ31に対して過温保護のためサーモスイッチ(過温度防止スイッチ:図5のTSW)が取り付けられている。この配管ヒータ31の温度を調節するユニットとして図3に示すヒータ制御ユニット17が装備されている。
【0019】
ヒータ制御ユニット17の外形寸法は、幅が700mm、奥行きが750nm、高さが2100mm、面積が0.52m2、重さが320kgである。ユニット内には、配管ヒータの温度を調節する多点温調器、サーモスイッチのインターロック回路に含まれるリレーユニット、上位ユニットへ温度情報を送る通信ユニット等の部材を搭載している。そして、配管ヒータ31の過温状態を示すサーモスイッチ動作確認パネル18が設けられている。
【0020】
本実施の形態において使用したサーモスイッチ動作確認パネル18では、120個のサーモスイッチを200V系(10系統)と100V系(5系統)に分け、さらに同じ電圧内でユニットごとに分けて表示するようにしている。また、サーモスイッチ動作確認パネル18に装備されているランプ19の配列を図4に示している。ランプ19の動作仕様としては、一例として図5に示すように、まずサーモスイッチTSWを系統ごとに直列に接続し、その同通内にランプ19とリレーユニット40を介するという回路を構成している。通電しているときは、サーモスイッチ動作確認パネル18のランプ19は消灯しており、サーモスイッチTSWが作動し系統の回路が切断されたときにランプ19が点灯するという回路構成を組んでいる。このランプ19の追加により、インターロックの発生状況を目視で確認することが可能となり、社内製造時の試験作業において大幅な工数の低減となった。同時に客先への納入後もインターロック発生の際、不具合箇所の特定が容易となったため、メンテナンス性の向上にもつながった。
【0021】
<実施の形態2>
上述に示す実施の形態1では、ランプ19は一色しか使用していないが、本実施の形態では、系統毎に色を変えるようにした。サーモスイッチからサーモスイッチ動作確認パネル18までの配線において、ランプと同じ色のケーブルまたはマーキングを施した部材を使用する。他は上述に示す実施の形態1と同じである。これにより色が対応しているもの同士で確認すればよいため、インターロック発生時から不具合箇所特定までの時間がより短縮される。また、配線作業時においても、一目で対応しているもの同士が分るため、誤配線などのポテンシャルを解消することができ、結果的に調整作業時に判明するであろう不具合を解消することができる。
【0022】
<実施の形態3>
実施の形態2では、ヒータ制御ユニット17にサーモスイッチ動作確認パネル18を追加しているが、本実施の形態では、第2プロセスモジュール2の筐体にサーモスイッチ動作確認パネル18を追加する。他は上述に示した実施の形態と同じである。この変更により、サーモスイッチ本体からサーモスイッチ動作確認パネル18までの盤間線(配線)が不要となり、盤間線のケーブル分がコストダウンとなる。また、コネクタの接続部も減少するため、誤配線の恐れも無くなる。
【符号の説明】
【0023】
1 第1プロセスモジュール、2 第2プロセスモジュール、3 第3プロセスモジュール、4 真空搬送ロボットを収納したウエハ搬送室、5 第1ウエハ冷却室、6 第2ウエハ冷却室、7 第1ロードロックモジュール、8 第2ロードロックモジュール、9 大気搬送ロボットを収納したウエハ搬送室、10 第1ロードポート、11 第2ロードポート、12 第3ロードポート、13 Source Box、14 気化ボックス、15 反応室、16 タンク、17 ヒータ制御ユニット、18 サーモスイッチ動作確認パネル、19 ランプ、30 配管、40 リレーユニット、TSW サーモスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管ヒータによる配管の過熱により、配管の温度が過温度に到達した場合、前記配管ヒータへの電源供給を遮断する複数の過温度防止スイッチを備えた半導体製造装置において、
前記複数の過温度防止スイッチが前記電源供給を遮断すべく作動した場合に、前記複数の過温度防止スイッチのうちのどの過温度防止スイッチが遮断したかを表示するようにしたことを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−9629(P2011−9629A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153738(P2009−153738)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】