説明

半導体集積回路および電源装置

【課題】エネルギー効率を向上することのできる半導体集積回路および電源装置の提供を図る。
【解決手段】第1電源線と第2電源線との間に直列に設けられた第1および第2トランジスタTp,Tnを有し、基準電圧Vrに従って前記第1および第2トランジスタをオン/オフ制御する半導体集積回路1であって、前記第1および第2トランジスタのオン/オフ制御による出力電圧Voutが、第1出力電圧V01から該第1出力電圧よりも低い第2出力電圧V02に切り替わる場合に、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を引き込むように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、半導体集積回路および電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を始めとする様々な携帯機器は、ますます高機能化が進み、様々な電源電圧を必要としている。具体的に、例えば、携帯電話では、基地局との距離に応じて出力電力を制御するために、高周波出力段に印加する電圧を制御することが行われている。
【0003】
すなわち、例えば、携帯電話では、基地局までの距離が近い場合に高周波出力段に印加する電圧を低減(ステップダウン)して消費電力の低減を行うようになっている。
【0004】
図1は従来の電源装置の一例を示すブロック図である。図1において、参照符号9は半導体集積回路、2はコイル、そして、3は平滑用コンデンサを示している。
【0005】
図1に示されるように、半導体集積回路9は、誤差増幅器(エラーアンプ)91、PWM制御回路92、三角波発振器(OSC)93、AST(Anti Shoot Through)回路94、内部回路95、トランジスタTp,Tn、および、抵抗R1,R2を有する。
【0006】
ここで、AST回路94は、トランジスタTpおよびTnが同時にオンして貫通電流が流れるのを防止する回路であり、具体的には、トランジスタTpのオンとトランジスタTnのオンとの間に所定のディレイ時間を設けるようになっている。
【0007】
また、内部回路95は、例えば、半導体集積回路(同期整流型DC/DCコンバータIC)9として必要とされる図示していない他の様々な制御回路等をまとめて示すものである。
【0008】
半導体集積回路9は、端子VIN,LX,PGND,VREFIおよびINを有し、端子VINには電源電圧Vccが供給され、また、端子PGNGは接地(GND)されている。
【0009】
端子LXは、直列に設けられたコイル2を介して電源装置の出力端子OUTに接続され、この出力端子OUTには、一端が接地されたコンデンサ3の他端が接続されている。そして、出力端子OUTからは、電源装置の出力電圧Voutが取り出され、例えば、携帯電話の高周波出力段を始めとする様々な回路に供給される。
【0010】
図1中の参照符号Aに示されるように、端子INには出力電圧Voutがフィードバックされ、その出力電圧Voutを抵抗R1およびR2で分圧した電圧がエラーアンプ91の負入力(反転入力端子)に印加される。エラーアンプ91の正入力(非反転入力端子)には、端子VREFIを介して外部基準電圧Vrが印加される。
【0011】
PWM制御回路92は、エラーアンプ91の出力信号を受け取ってOSC93の出力波形におけるパルス幅(デューティ比)を調整し、そのデューティ比が調整されたパルス信号をAST回路94に供給する。
【0012】
AST回路94は、pMOSトランジスタTpおよびnMOSトランジスタTnのゲート信号GSpおよびGSnを制御して、これらトランジスタTpおよびTnのスイッチングを制御する。これにより、トランジスタTpおよびTnの共通ドレインから端子LXを介して出力される信号のパルス幅が制御される。
【0013】
なお、端子LXを介して出力された信号(電圧)は、コイル2およびコンデンサ3によりリップル等を除去して平滑化され、出力端子OUTから電源装置の出力電圧Voutとして出力される。
【0014】
図1に示す電源装置は、例えば、外部基準電圧Vrのレベルを変化させることにより、出力電圧Voutを高電位レベルV01または低電位レベルV02に切り替えて出力することができるようになっている。
【0015】
ところで、従来、出力電圧からリップルを除去して平滑化するためのコンデンサを用いたDC/DCコンバータを有する電源装置が知られている。
【0016】
このような電源装置として、例えば、電源をオフした後にコンデンサに蓄電された残留電荷が負荷側に供給されつづけることで生じる電源供給停止の遅れを改善するために、そのコンデンサに保持された電荷を入力側に回生させるものが提案されている。
【0017】
さらに、従来、DDR(Double Data Rate)およびQDR(Quad Data Rate:登録商標)メモリターミネーション用のステップダウンコントローラとして、コンデンサに蓄積された電荷を回生させて使用するものも提案されている。
【0018】
【特許文献1】特開2002−262550号公報
【非特許文献1】リニア・テクノロジー社(LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION)、"LTC3717 - Wide Operating Range, No RSENSE Step-Down Controller for DDR/QDR Memory Termination"、2001年、[平成20年10月24日検索]、インターネット<URL:http://www.linear.com/pc/downloadDocument.do?navId=H0,C1,C1003,C1042,C1093,P1595,D3124>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図1を参照して説明したように、従来、外部基準電圧Vrのレベルを変化させることにより、出力電圧Voutを高電位レベルV01または低電位レベルV02に切り替えて出力することができる電源装置が知られている。
【0020】
この従来の電源装置は、出力電圧Voutを高電位レベルV01から低電位レベルV02に切り替えるステップダウン(降圧)動作時に、コンデンサ3に蓄積された余分な電荷を、nMOSトランジスタTnをオンすることで接地側へ逃がすようにしている。
【0021】
すなわち、図1に示す電源装置は、ステップダウン動作時において、電流Isdgをコンデンサ3からコイル2およびnMOSトランジスタTnを介して接地GNDに流すため、電荷を無駄に捨てることになっていた。
【0022】
この出願は、上述した課題に鑑み、エネルギー効率を向上することのできる半導体集積回路および電源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1実施形態によれば、第1電源線と第2電源線との間に直列に設けられた第1および第2トランジスタを有し、基準電圧に基づいて前記第1および第2トランジスタをオン/オフ制御する半導体集積回路が提供される。
【0024】
この半導体集積回路は、第1および第2トランジスタのオン/オフ制御による出力電圧が、第1出力電圧から該第1出力電圧よりも低い第2出力電圧に切り替わる場合に、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を引き込む。
【0025】
第2実施形態によれば、第1実施形態の半導体集積回路と、前記第1および第2トランジスタの共通接続ノードに一端が接続されたコイルと、該コイルの他端と前記第2電源線との間に設けられた平滑用コンデンサと、を有する電源装置が提供される。
【発明の効果】
【0026】
各実施形態によれば、エネルギー効率を向上することのできる半導体集積回路および電源装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
まず、電源装置の一実施形態を、図2および図3を参照して説明する。
図2は電源装置の一実施形態を概略的に示すブロック図である。図1において、参照符号1は半導体集積回路、2はコイル、3は平滑用コンデンサ、そして、4は回生用コンデンサを示している。
【0028】
図2に示されるように、半導体集積回路1は、誤差増幅器(エラーアンプ)11、PWM制御回路12、三角波発振器(OSC)13、AST回路14、内部回路15、保護回路16、昇圧動作制御回路17、トランジスタTp,Tnおよび抵抗R1,R2を有する。ここで、内部回路15は、例えば、半導体集積回路(同期整流型DC/DCコンバータIC)9として必要とされる図示していない他の様々な制御回路等をまとめて示すものである。
【0029】
ここで、AST回路14は、トランジスタTpおよびTnが同時にオンして貫通電流が流れるのを防止する回路であり、具体的には、トランジスタTpのオンとトランジスタTnのオンとの間に所定のディレイ時間を設けるようになっている。
【0030】
半導体集積回路1は、端子VIN,LX,PGND,VREFIおよびINを有し、端子VINには電源電圧Vccが供給され、また、端子PGNGは接地(GND)されている。
【0031】
端子LXは、直列に設けられたコイル2を介して電源装置の出力端子OUTに接続され、この出力端子OUTには、一端が接地されたコンデンサ3の他端が接続されている。そして、出力端子OUTからは、電源装置の出力電圧Voutが取り出され、例えば、携帯電話の高周波出力段を始めとする様々な回路に供給される。
【0032】
図2中の参照符号Aに示されるように、端子INには出力電圧Voutがフィードバックされ、その出力電圧Voutを抵抗R1およびR2で分圧した電圧がエラーアンプ11の負入力(反転入力端子)に印加される。エラーアンプ91の正入力(非反転入力端子)には、端子VREFIを介して外部基準電圧Vrが印加される。
【0033】
PWM制御回路12は、エラーアンプ11の出力信号を受け取ってOSC13の出力波形におけるパルス幅(デューティ比)を調整し、そのデューティ比が調整されたパルス信号をAST回路14に供給する。
【0034】
AST回路14は、pMOSトランジスタTpおよびnMOSトランジスタTnのゲート信号GSpおよびGSnを制御して、これらトランジスタTpおよびTnのスイッチングを制御する。これにより、トランジスタTpおよびTnの共通ドレインから端子LXを介して出力される信号のパルス幅が制御される。
【0035】
なお、端子LXを介して出力された信号(電圧)は、コイル2およびコンデンサ3によりリップル等を除去して平滑化され、出力端子OUTから電源装置の出力電圧Voutとして出力される。
【0036】
保護回路16は、出力電圧Voutを高電位レベルV01から低電位レベルV02に切り替えるステップダウン(降圧)動作時の過電流を防ぐため、pMOSトランジスタTpのソースと端子VIN(内部回路15)との間に設けられ、電流Isdrの制御等を行う。なお、後述するように、保護回路16の出力により、昇圧動作制御回路17等を介してnMOSトランジスタTnを制御することもできる。
【0037】
ステップダウン時における昇圧動作を制御する昇圧動作制御回路17は、外部基準電圧VrおよびトランジスタTp,Tnの共通ドレイン電圧等を受け取り、その出力信号をnMOSトランジスタTn等に供給する。
【0038】
なお、保護回路16および昇圧動作制御回路17の詳細は、図4〜図10に示す第1〜第7実施例を参照して説明する。
【0039】
図2に示す電源装置は、端子VINと接地GNDとの間にコンデンサ4を設け、出力電圧Voutを高電位レベルV01から低電位レベルV02に切り替えるステップダウン動作時に、コンデンサ3に蓄積された電荷を電流Isdrにより回生するようになっている。
【0040】
すなわち、ステップダウン動作時には、電流Isdrをコンデンサ3からコイル2,端子LXおよびpMOSトランジスタTp等を介して流し、電荷を、電源電圧Vccを供給する電源側およびコンデンサ4に戻す(蓄える)ようになっている。
【0041】
そして、電源側に戻された電荷或いはコンデンサ4に蓄えられた電荷は、電源装置の通常の動作に利用され、電荷の無駄な浪費を無くしてエネルギー効率を向上させるようになっている。なお、後述するように、コンデンサ4は、半導体集積回路1の外部ではなく、内部に設けることもできる。
【0042】
図3は図2に示す電源装置の動作を説明するための波形図である。
図3に示されるように、まず、pMOSトランジスタTpおよびnMOSトランジスタTnは、AST回路14からのゲート信号GSpおよびGSnによりスイッチング制御され、高電位レベルV01の出力電圧Voutを出力する。
【0043】
そして、出力電圧Voutが高電位レベルV01から低電位レベルV02に切り替わるステップダウン動作時において、降圧期間P1では、電流Isdrが正であったのが、電源充電動作期間(昇圧動作期間)P2では、電流Isdrが負となる。このとき、エラーアンプ11の出力は、図3のように変化する。
【0044】
すなわち、ステップダウン動作時においては、電流Isdrがコンデンサ3からコイル2,端子LXおよびpMOSトランジスタTp介して負の向きに流れ、電荷(エネルギー)の回生が行われることになる。なお、出力電圧Voutが低電位レベルV02になると、電流Isdrは再び正になって通常の電源装置としての動作が行われる。
【実施例】
【0045】
以下、半導体集積回路および電源装置の実施例を、添付図面を参照して詳述する。
図4は第1実施例の電源装置を示すブロック図である。
図4に示されるように、本第1実施例の電源装置の半導体集積回路1において、保護回路16は、pMOSトランジスタTpのソースと端子VIN(内部回路15)との間に設けられた抵抗161、過電流検出アンプ162およびエラーアンプ163を有する。
【0046】
また、図4に示されるように、昇圧動作制御回路17は、基準電圧レベル検出回路171、ORゲート172,176、ダイオードコンパレータ173、ANDゲート174,175、インバータ177およびNORゲート178を有する。ここで、ORゲート176は、3入力のORゲートとされている。
【0047】
過電流検出アンプ162の入力は、抵抗161の両端に接続され、回生電流Isdrにより抵抗161の両端に生じる電圧を増幅してエラーアンプ163の正入力に供給する。
【0048】
エラーアンプ163の負入力には、所定のオフセット電圧が印加されており、エラーアンプ163の出力は、3入力ORゲート176の第1入力に供給されている。
【0049】
ORゲート176の出力は、一方の入力にAST回路14の出力が供給されたANDゲート174の他方の入力に供給されている。すなわち、トランジスタTnのゲート信号GSnは、ANDゲート174の出力信号となっている。
【0050】
基準電圧レベル検出回路171は、エラーアンプ11の出力および外部基準電圧Vrを受け取って基準電圧レベルを検出し、ダイオードコンパレータ173の正入力に印加されるオフセット電圧を制御する。なお、ダイオードコンパレータ173の負入力は、トランジスタTpおよびTnの共通ドレインノード(端子LX)に接続されている。
【0051】
ORゲート172の一方の入力には、OSC13の出力が供給され、ORゲート172の他方の入力には、ダイオードコンパレータ173の出力が供給され、そして、ORゲート172の出力は、ANDゲート175の一方の入力に供給されている。
【0052】
基準電圧レベル検出回路171の出力は、ANDゲート175の他方の入力およびNORゲート178の一方の入力に供給され、また、NORゲート178の他方の入力には、インバータ177を介してダイオードコンパレータ173の出力が供給されている。
【0053】
ANDゲート175の出力は、ORゲート176の第2入力に供給され、NORゲート178の出力は、ORゲート176の第3入力に供給され、そして、上述のように、ORゲート176の出力は、ANDゲート174の他方の入力に供給されている。
【0054】
まず、ステップダウン(降圧)動作時において、ダイオードコンパレータ173は、逆流(端子LXから端子PGNDに流れる方向)を防止する働きをする。すなわち、ステップダウン動作時、基準電圧レベル検出回路171の出力は低レベル『L』で、オフセット電圧は0Vとなっている。
【0055】
従って、ANDゲート175の出力は、常に低レベル『L』となる。なお、NORゲート178の出力は、ダイオードコンパレータ173の出力と同じ論理となっている。
【0056】
そして、AST回路14の出力が高レベル『H』のとき、端子LXの電位が0V以上になると、ダイオードコンパレータ173の出力が高レベル『H』から低レベル『L』に変化する。これにより、ゲート信号GSnは、高レベル『H』から低レベル『L』に変化してトランジスタTnをオフし、電流を遮断する。
【0057】
次に、回生(昇圧)動作時において、エラーアンプ11の出力は低レベル『L』になるが、ゲート信号GSpおよびGSnは、常に高レベル『H』となる。また、基準電圧レベル検出回路171の出力は、高レベル『H』となる。
【0058】
従って、ANDゲート175の出力は、ORゲート172と同じ論理となる。なお、NORゲート178の出力は、常に低レベル『L』となっている。
【0059】
ここで、端子LXの電位がダイオードコンパレータ173の正入力に印加されたオフセット電圧以上になる(ある程度の逆流がある)と、ダイオードコンパレータ173は、低レベル『L』の信号を出力し、ゲート信号GSnが低レベル『L』に変化する。これにより、同じ大きさの回生電流Isdr(コンデンサ3からの電荷)が、端子LXからトランジスタTp(ボディダイオード)を介して端子VINに流れる。
【0060】
そして、OSC13の出力が高レベル『H』になるか、或いは、ダイオードコンパレータ173の出力が高レベル『H』になると、ゲート信号GSnが高レベル『H』になる。
【0061】
すなわち、回生動作時において、AST回路14の出力は両方とも高レベル『H』に固定され、OSC13の出力によりトランジスタTnだけがスイッチングがスイッチング制御される。
【0062】
さらに、端子LXから端子PGNDに向かってある程度電流が流れると、ダイオードコンパレータ173が低レベル『L』を出力してトランジスタTnをオフして電流の流れる向きを端子LXから端子VINに変化させる。なお、端子LXから端子VINへの電流は、トランジスタTpのボディダイオードを介して流れる。
【0063】
ここで、エラーアンプ163が、抵抗161および過電流検出アンプ162を介して過電流を検出すると、トランジスタTnのゲート信号GSnを高レベル『H』に変化させてコンデンサ3からの電荷を端子LXから端子PGNDに電流を流す。これにより、回生電流Isdrの過電流状態が低減されることになる。
【0064】
なお、図2を参照して説明したように、ステップダウン動作時には、コンデンサ3に蓄積された電荷が電流Isdrにより電源電圧Vccを供給する電源側および回生用コンデンサ4に回生される。
【0065】
そして、電源側に戻された電荷並びにコンデンサ4に蓄えられた電荷は、電源装置の通常の動作に利用され、エネルギー効率を向上させることができるようになっている。これにより、アンダーシュートを小さくして充電電流の制御を行うことも可能になる。なお、上記の効果は、以下に説明する実施例でも同様に発揮されることになる。
【0066】
図5は第2実施例の電源装置を示すブロック図である。
図5と図4との比較から明らかなように、本第2実施例の電源装置(半導体集積回路1)において、保護回路16は、基準電圧レベル検出回路171の出力により制御されるスイッチ164a,164bが設けられている。
【0067】
また、基準電圧レベル検出回路171の出力により、エラーアンプ163の負入力に印加されるオフセット電圧が制御されている。さらに、エラーアンプ163の出力が、基準電圧レベル検出回路171の出力により制御されるスイッチ181を介してAST回路14に供給されるようになっている。
【0068】
ここで、スイッチ181は、ステップダウン動作時に、エラーアンプ163の出力をAST回路14に供給して、過電流検出時にトランジスタTpをオフしてトランジスタTnをオンするように制御する。
【0069】
スイッチ164aおよび164bは、過電流検出アンプ162の負入力および正入力に設けられ、抵抗161の両端に生じる電圧の極性を制御して過電流検出アンプ162に供給する。
【0070】
また、エラーアンプ163の負入力に印加されるオフセット電圧は、基準電圧レベル検出回路171の出力により、ステップダウン動作時とそれ以外の場合とでその電圧レベルを変化させるようになっている。
【0071】
図5に示す第2実施例の電源装置では、回生電流Isdrの過電流だけでなく、ステップダウン動作時以外の場合における端子VINからpMOSトランジスタTpに向かって流れる電流の過電流状態も検出して制御するようになっている。
【0072】
すなわち、図5に描いたスイッチ164a,164bの接続状態では、端子VINからpMOSトランジスタTpに向かって流れる電流を過電流検出アンプ162で検出し、エラーアンプ163により所定のオフセット電圧と比較される。
【0073】
なお、エラーアンプ163の負入力に印加されるオフセット電圧は、回生電流Isdrの過電流を検出する場合と、端子VINからpMOSトランジスタTpに向かって流れる電流の過電流を検出する場合とで、それぞれに適した電圧レベルに設定される。
【0074】
なお、スイッチ164a,164bの接続状態が図5に描いたものと逆の場合は、図4と同様の構成となるので、その説明は省略する。
【0075】
図6は第3実施例の電源装置を示すブロック図である。
図6に示されるように、本第3実施例の電源装置の半導体集積回路1において、保護回路16は、pMOSトランジスタTpのソースと端子VINとの間に設けられた可変抵抗161a、および、コンパレータ165を有する。
【0076】
なお、上述した第1実施例と比較して、エラーアンプ163の削除に伴って、昇圧動作制御回路17における3入力ORゲート176は、2入力ORゲート176aとされている。
【0077】
また、コンデンサ4は、pMOSトランジスタTpのソースとコンパレータ165の正入力(可変抵抗161aの他端)との接続ノードに設けられた端子VCHARGEを介して半導体集積回路1の外部に設けられている。そして、コンパレータ165の出力は、可変抵抗161aの抵抗値を制御する。
【0078】
コンパレータ165の入力は、可変抵抗161aの両端に接続され、可変抵抗161aの両端の電位差に応じて可変抵抗161aの抵抗値を制御するようになっている。
【0079】
すなわち、コンパレータ165は、その正入力の電位が負入力の電位よりも高ければ可変抵抗161aの抵抗値を大きくし、低ければ可変抵抗161aの抵抗値を低くする。
【0080】
なお、コンパレータ165は、ヒステリシス特性を有しており、可変抵抗161aの制御はコンパレータ165のヒステリシス特性を利用して行われることになる。
【0081】
また、コンデンサ3に蓄えられていた電荷は、コンパレータ165および可変抵抗161aによる端子VINを介した電源側への回生と共に、端子VCHARGEを介してコンデンサ4にも蓄えられる。
【0082】
図7は第4実施例の電源装置を示すブロック図である。
図7と上述した図6との比較から明らかなように、本第4実施例の電源装置では、コンデンサ4を半導体集積回路1の内部に設けたコンデンサ4aとし、これに伴って、第3実施例における端子VCHARGEを削除するようになっている。
【0083】
なお、コンデンサ4a(4)を半導体集積回路1の内部に設けるまたは外部に設けるかは、電源装置が出力する電源電圧および電源容量、並びに、半導体集積回路のチップの大きさ等により決められる。
【0084】
図8は第5実施例の電源装置を示すブロック図である。
図8に示されるように、本第5実施例の電源装置において、保護回路16は、pMOSトランジスタTpのソースと端子VINとの間に設けられた抵抗161およびスイッチ166、並びに、コンパレータ165を有する。
【0085】
図6および図7を参照して説明した第3および第4実施例では、コンパレータ165の出力により可変抵抗161aの抵抗値を制御したが、図8に示す本第5実施例の電源装置では、コンパレータ165の出力によりスイッチ166を制御する。
【0086】
すなわち、コンパレータ165は、ステップダウン動作時において、コンデンサ3に蓄えられていた電荷が端子VINを介して電源側へ回生するのを検出すると、スイッチ166をオフして、その電荷を、端子VCHARGEを介してコンデンサ4に蓄える。
【0087】
ここで、コンパレータ165は、ヒステリシス特性を有しており、スイッチ166をオフした後、正入力および負入力の電位差により再びスイッチ166をオンすることになる。
【0088】
さらに、図8に示されるように、本第5実施例の電源装置において、昇圧動作制御回路17は、前述した各実施例における基準電圧レベル検出回路171の代わりに検出回路179を有している。
【0089】
検出回路179は、エラーアンプ11の出力を負入力で受け取り、正入力に印加されたオフセット電圧と比較して、出力電圧のモード(例えば、V01またはV02)を検出し、ダイオードコンパレータ173の正入力に印加されるオフセット電圧を制御する。
【0090】
このように、本第5実施例の電源装置によれば、ステップダウン動作時における過電流を確実に防ぐことができる。
【0091】
図9は第6実施例の電源装置を示すブロック図である。
図9と図8との比較から明らかなように、本第6実施例の電源装置では、昇圧動作制御回路17において、検出回路179の後段にワンショット回路170を設けるようになっている。
【0092】
すなわち、検出回路179によりステップダウン動作を検出したときに、ワンショット回路170の出力によるワンショットのタイミングだけダイオードコンパレータ173の正入力に印加されるオフセット電圧を制御する。
【0093】
ここで、エラーアンプ11の出力は、外部基準電圧Vrの変化により中間電位になる期間があるが、本第6実施例の電源装置では、エラーアンプ11の出力に関わらず、検出回路179によりステップダウン動作を検出することができる。
【0094】
そして、本第6実施例の電源装置では、ワンショット回路170の出力によりダイオードコンパレータ173の正入力に印加されるオフセット電圧を制御して、nMOSトランジスタTnを所定のタイミング期間だけオン/オフを繰り返して昇圧動作を行う。
【0095】
なお、nMOSトランジスタTnがオフしている期間に、図8を参照して説明した第5実施例と同様のコンデンサ3に蓄積された電荷の回生処理を行う。
【0096】
このように、本第6実施例の電源装置は、ステップダウン動作を確実に検出すると共に、ワンショット回路170を使用してnMOSトランジスタTnを所定のタイミング期間だけオン/オフを繰り返して昇圧動作(回生動作)を行うようになっている。
【0097】
図10は第7実施例の電源装置を示すブロック図である。
図10に示されるように、本第7実施例の電源装置では、昇圧動作制御回路17において、端子VREFIと接地間にコンデンサ170aおよび抵抗170bを設け、それらの共通接続ノードを、オフセット電圧手段を介して検出回路179の負入力に接続する。
【0098】
これにより、外部基準電圧Vrを変化させて行うステップダウン動作を、エラーアンプ11の出力に関わらず検出することができる。
【0099】
また、第6実施例の電源装置と同様に、ステップダウン動作を確実に検出してnMOSトランジスタTnのオン/オフを繰り返すことにより、回生動作を確実に行うことができるようになっている。
【0100】
上述した各実施例は、バッテリー駆動の携帯端末を始めとして様々な電子機器に対して幅広く適用することが可能である。
【0101】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
第1電源線と第2電源線との間に直列に設けられた第1および第2トランジスタを有し、基準電圧に基づいて前記第1および第2トランジスタをオン/オフ制御する半導体集積回路であって、
前記第1および第2トランジスタのオン/オフ制御による出力電圧が、第1出力電圧から該第1出力電圧よりも低い第2出力電圧に切り替わる場合に、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を引き込むことを特徴とする半導体集積回路。
【0102】
(付記2)
付記1に記載の半導体集積回路において、
前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷は、コイルを介して平滑用コンデンサに蓄えられた電荷であることを特徴とする半導体集積回路。
【0103】
(付記3)
付記1または2に記載の半導体集積回路において、さらに、
前記第2電源線と前記第2トランジスタの第1端子との間に設けられ、前記出力電圧が前記第1出力電圧から前記第2出力電圧に切り替わる場合に、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を、前記第1トランジスタを介して引き込むように、前記第2トランジスタのオン/オフによる昇圧動作を制御する昇圧動作制御回路を有することを特徴とする半導体集積回路。
【0104】
(付記4)
付記3に記載の半導体集積回路において、
前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を、前記第1電源線を介して外部電源に回生させることを特徴とする半導体集積回路。
【0105】
(付記5)
付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路において、さらに、
前記第1電源線と前記第1トランジスタの第1端子との間に設けられ、前記出力電圧が前記第1出力電圧から前記第2出力電圧に切り替わる場合に、前記引き込む電荷による過電流を検出して前記第1電源線に接続される外部電源を保護する保護回路を有することを特徴とする半導体集積回路。
【0106】
(付記6)
付記5に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記第1電源線と前記第1トランジスタの第1端子との間を流れる電流の極性を検出することを特徴とする半導体集積回路。
【0107】
(付記7)
付記5に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記過電流を検出したときに、前記第1電源線への電流を低減することを特徴とする半導体集積回路。
【0108】
(付記8)
付記5に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記過電流を検出したときに、前記第2トランジスタをオンさせることを特徴とする半導体集積回路。
【0109】
(付記9)
付記5に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記過電流を検出したときに、前記第1電源線への電流を遮断することを特徴とする半導体集積回路。
【0110】
(付記10)
付記5〜9のいずれか1項に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記過電流を検出したときに前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を、回生用コンデンサに蓄えることを特徴とする半導体集積回路。
【0111】
(付記11)
付記9に記載の半導体集積回路において、
前記回生用コンデンサは、前記第1電源線に接続されることを特徴とする半導体集積回路。
【0112】
(付記12)
付記9に記載の半導体集積回路において、
前記回生用コンデンサは、前記第1トランジスタの前記第1端子に接続されることを特徴とする半導体集積回路。
【0113】
(付記13)
付記1〜12のいずれか1項に記載の半導体集積回路において、
該半導体集積回路は、同期整流型DC/DCコンバータICであることを特徴とする半導体集積回路。
【0114】
(付記14)
付記1〜13のいずれか1項に記載の半導体集積回路と、
前記第1および第2トランジスタの共通接続ノードに一端が接続されたコイルと、
該コイルの他端と前記第2電源線との間に設けられた平滑用コンデンサとを有する電源装置。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】従来の電源装置の一例を示すブロック図である。
【図2】電源装置の一実施形態を概略的に示すブロック図である。
【図3】図2に示す電源装置の動作を説明するための波形図である。
【図4】第1実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図5】第2実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図6】第3実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図7】第4実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図8】第5実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図9】第6実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図10】第7実施例の電源装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0116】
1,9 半導体集積回路
2 コイル
3 コンデンサ(平滑用コンデンサ)
4,4a コンデンサ(回生用コンデンサ)
11,91 誤差増幅器(エラーアンプ)
12,92 PWM制御回路
13,93 三角波発振器(OSC)
14,94 AST回路
15,95 内部回路
16 保護回路
17 昇圧動作制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源線と第2電源線との間に直列に設けられた第1および第2トランジスタを有し、基準電圧に基づいて前記第1および第2トランジスタをオン/オフ制御する半導体集積回路であって、
前記第1および第2トランジスタのオン/オフ制御による出力電圧が、第1出力電圧から該第1出力電圧よりも低い第2出力電圧に切り替わる場合に、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を引き込むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体集積回路において、さらに、
前記第2電源線と前記第2トランジスタの第1端子との間に設けられ、前記出力電圧が前記第1出力電圧から前記第2出力電圧に切り替わる場合に、前記第1出力電圧と前記第2出力電圧との差電圧に基づく電荷を、前記第1トランジスタを介して引き込むように、前記第2トランジスタのオン/オフによる昇圧動作を制御する昇圧動作制御回路を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体集積回路において、さらに、
前記第1電源線と前記第1トランジスタの第1端子との間に設けられ、前記出力電圧が前記第1出力電圧から前記第2出力電圧に切り替わる場合に、前記引き込む電荷による過電流を検出して前記第1電源線に接続される外部電源を保護する保護回路を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記過電流を検出したときに、前記第1電源線への電流を低減することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体集積回路において、
前記保護回路は、前記過電流を検出したときに、前記第2トランジスタをオンさせることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体集積回路と、
前記第1および第2トランジスタの共通接続ノードに一端が接続されたコイルと、
該コイルの他端と前記第2電源線との間に設けられた平滑用コンデンサと、を有する電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−136576(P2010−136576A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312293(P2008−312293)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】