説明

半導体集積回路及びデータ処理システム

【課題】通常動作の負荷を増大させずにサーバ管理のためのデータ伝送の高速化に寄与する。
【解決手段】中央処理装置(31)、外部メモリインタフェース回路(32)、ネットワークインタフェース回路(33)、画像処理部(23)、及びデータの圧縮部(24)を備える。画像処理部は外部バスからの入力に応答して画像処理を行ない、画像処理部は専用内部バス(37)により外部メモリインタフェース回路に接続され、画像処理部は画像データを専用内部バス経由で外部メモリに格納する。圧縮部は前記画像処理部に接続され、画像処理部から供給された画像データを圧縮可能である。画像情報を画像処理部が受け取って外部メモリに格納する専用内部バスは共通内部バスから分離されるから、外部からの指示に応答する画像処理部による画像処理のデータが、ネットワークインタフェース回路からの指示によるデータ処理のためのデータと共通内部バス上で競合しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバのリモートマネジメントに利用可能な半導体集積回路、更にはIPMI(Intelligent Platform Management Interface)等に準拠するインタフェース機能を実現するための半導体集積回路に関し、例えばリモートマネジメント機能を有するサーバのようなデータ処理システムに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なコンピュータ用マザーボードは、メインCPU、メモリコントローラハブのようなノースブリッジ、I/Oコントローラハブのようなサウスブリッジ、グラフィクスコントローラ、ネットワークインタフェースコントローラ、周辺入出力回路(キーボード、マウス、FDD、CD−ROM、シリアル・ポート、パラレルポート、モデム等)、メインメモリ、並びにその他の機能からなる。上記マザーボードを使用したPCサーバにおけるリモートマネジメント機能の一部として、遠隔地にあるサーバ等のコンピュータ(以下リモートマシンとも称する)を操作する際、手元のコンピュータ(以下ホストマシンとも称する)からネットワーク経由でキーボード、マウス等の操作情報を送り、リモートマシン上で必要な処理を実行した上で、画面の情報(ビデオ情報)を同様にネットワーク経由でホストマシンに送付して画面に表示するという機能がある。この場合、キーボード、マウスのデータ量に比して、ビデオ情報のそれは極めて大量であり、データ伝送用ネットワークの帯域幅によっては、実質転送可能データ量以下に抑えるため、データ圧縮機能をソフトウェア、または専用ハードウェアで実装する場合もある。また、ネットワークを介して伝送されるデータはキーボード、マウス、ビデオ情報に限らず、FDD、モデム、CD−ROM、ハードディスク等リモートコンピュータに接続されたあらゆる周辺機器のものを包含する。
【0003】
尚、サーバのリモートマネジメント機能について記載された文献の例として特許文献1がある。リモートマネジメントのためのインタフェース仕様であるIPMIの詳細はhttp://www.intel.com/design/servers/ipmiのintelウェブサイトから取得することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−326737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記リモート制御機能は、従来はPCやサーバ等のコンピュータのマザーボード上に、夫々別々にLSI化されたBMC(ベースボード・マネジメント・コントローラ)、グラフィクスコントローラ、データ圧縮コントローラを組合せて実現されていた。このようなマルチチップの構成では、それら複数LSIがデータ処理用メモリを個々に持っていたため、部品点数・コスト増加となっていた。部品点数増はセットの実装面積の増加にもつながり、小型高密度化の妨げにもなっている。同様にマザーボード上で信号が結線されるため、高速動作に際し回路設計上の制約等が発生し、性能向上の妨げとなっていた。しかしながら、BMC、グラフィクスコントローラ、及びデータ圧縮コントローラを1チップに集積したとき単に共通バスに接続しただけでは最大の性能向上を得ることは難しい。グラフィックスコントローラはリモートマネジメント機能だけに用いるものではなく、BMCの動作がサーバ等の通常動作の負荷を増大させない考慮が必要である。また、BMCの機能上、サーバ等のシステムの状況に応じて柔軟なリセット機能を実現することも重要になる。
【0006】
本発明の目的は、通常動作の負荷を増大させずにサーバ管理のためのデータ伝送の高速化に寄与する半導体集積回路を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、通常動作の負荷を増大させずにサーバ管理のためのデータ伝送の高速化を実現することができるデータ処理システムを提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、本発明に係る半導体集積回路は、中央処理装置、外部メモリインタフェース回路、ネットワークインタフェース回路、画像処理部、及びデータの圧縮部を1個の半導体基板に備える。前記画像処理部は外部バスからの入力に応答して画像処理を行ない、前記画像処理部は専用内部バスにより前記外部メモリインタフェース回路に接続され、前記画像処理部は画像データを前記専用内部バス経由で前記外部メモリに格納する。圧縮部は前記画像処理部に接続され、画像処理部から供給された画像データを圧縮可能である。これによれば、画像情報を画像処理部が受け取って外部メモリに格納する専用内部バスは共通内部バスから分離される。共通内部バスにはネットワークインタフェース回路と共に中央処理装置が接続され、この共通内部バスを経由することを要しないデータパスについては前記専用内部バスにしているから、外部からの指示に応答する画像処理部による画像処理のデータが、ネットワークインタフェース回路からの指示によるデータ処理のためのデータと共通内部バス上で競合することはない。1個の半導体基板に形成されているから共通内部バス及び専用内部バス上でのデータ伝送速度は速い。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0012】
すなわち、通常動作の負荷を増大させずにサーバ管理のためのデータ伝送の高速化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.代表的な実施の形態
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0014】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る半導体集積回路(20)は、外部バス(15)からの入力に応答して画像処理を行なう画像処理部(23)と、前記画像処理部に接続され画像データを圧縮可能な圧縮部(24)と、サーバの管理に利用可能なインタフェース部(25)と、を1個の半導体基板に有する。前記インタフェース部は、共通内部バス(30)に接続された中央処理装置(31)、外部メモリインタフェース回路(32)、及びネットワークインタフェース回路(33)を備える。前記外部メモリインタフェース回路は外部メモリ(22)に接続可能にされる。前記ネットワークインタフェース回路は外部ネットワークコントローラ(17)に接続可能にされる。前記圧縮部は前記共通内部バスに接続される。前記画像処理部は専用内部バス(37)により前記外部メモリインタフェース回路に接続され、前記画像処理部は画像データを前記専用内部バス経由で前記外部メモリに格納する。前記圧縮部は画像処理部から供給された画像データを圧縮可能である。
【0015】
上記半導体集積回路を例えばサーバに搭載し、リモートマネジメントに利用するとき、ネットワーク経由によりリモートマシン上で必要な処理を実行した上で、そのリモートマシンの画面情報をネットワーク経由でホストマシンに伝達するような場合、その画像情報を画像処理部が受け取って外部メモリに格納する専用内部バスは共通内部バスから分離される。共通内部バスにはリモートマネジメントのためのネットワークインタフェース回路と共に中央処理装置が接続され、この共通内部バスを経由することを要しないデータパスについては前記専用内部バスにしているから、外部バスからの指示に応答する画像処理部によるグラフィック処理の画像データがメモリマネージメントのためのデータと共通内部バス上で競合することはない。1個の半導体基板に形成されているから共通内部バス及び専用内部バス上でのデータ伝送速度は速い。外部メモリインタフェースに接続する外部メモリを画像圧縮のためのバッファメモリや中央処理装置のワークメモリ等にも利用でき、メモリの共通化が可能である。
【0016】
一つの具体的な形態として、前記インタフェース部はサーバの周辺装置に接続可能な周辺インタフェース回路(40,41)を有する。リモートマネジメントのために周辺回路からの監視情報等を容易にネットワークインタフェース回路経由でホストマシンに伝達することができる。
【0017】
別の具体的な形態として、前記内部バスに接続された暗号化復号回路(43)を有する。ネットワーク上におけるデータの秘匿性を確保することが容易になる。
【0018】
更に別の具体的な形態として、前記共通内部バスに接続されたダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラ(34)を有する。中央処理装置によるデータ転送の負担を軽減することができる。
【0019】
更に別の具体的な形態として、前記画像処理部は専用の外部バッファメモリ(44)に接続可能である。外部メモリインタフェース回路の帯域が十分で無い場合等に性能低下を回避できる。
【0020】
更に別の具体的な形態として、前記画像処理部、前記圧縮部及び前記インタフェース部に供給する第1乃至第3の内部リセット信号を生成するリセットロジック回路(36)を有する。前記第1の内部リセット信号(res_tp1)は、外部リセット信号(RES)の変化、第1レジスタ(50)の設定がリセット・イネーブルにされた状態におけるウォッチドッグタイマ(35)のタイムアウト、又は第2レジスタ(51)に対するリセット・イネーブルの設定のいずれかによってリセットを指示する。前記第2の内部リセット信号(res_tp2)は、外部リセット信号の変化、又はウォッチドッグタイマのタイムアウトのいずれかによってリセットを指示する。前記第3の内部リセット信号(res_tp3)は、外部リセット信号の変化によってリセットを指示する。上記3種類の内部リセット信号を用いることにより、一部の回路の異常を解消するのにサーバ全体の動作停止を招くことなくリセットを行うことができ、サーバ管理に好適である。
【0021】
〔2〕本発明の代表的な実施の形態に係るデータ処理システムは、ホストプロセッサ(2)、前記ホストプロセッサに接続されたノースブリッジ(3)、前記ノースブリッジに接続されたメインメモリ(9)、前記ノースブリッジに接続されたサウスブリッジ(4)、インタフェース制御LSI(20)、ローカルメモリ(22)、及びネットワークインタフェースコントローラ(17)を有する。前記インタフェース制御LSIは、前記サウスブリッジからメインバンドバス(15)を介する入力に応答して画像処理を行なう画像処理部(23)と、前記画像処理部に接続され画像データを圧縮可能な圧縮部(24)と、インタフェース部(25)と、を1個の半導体基板に有する半導体集積回路である。前記インタフェース部は、共通内部バス(30)に接続された中央処理装置(31)、外部メモリインタフェース回路(32)、及びネットワークインタフェース回路(33)を備える。前記外部メモリインタフェース回路は前記ローカルメモリに接続可能にされる。前記ネットワークインタフェース回路は前記メインバンドバスに接続する前記ネットワークインタフェースコントローラに、サイドバンドバス(21)を介して接続される。前記圧縮部は前記共通内部バスに接続される。前記画像処理部は専用内部バス(37)により前記外部メモリインタフェース回路に接続される。前記画像処理部は画像データを前記専用内部バス経由で前記ローカルメモリに格納する。前記圧縮部は画像処理部から供給された画像データを圧縮可能である。
【0022】
これによれば、上記同様に、外部バスからの指示に応答する画像処理部によるグラフィック処理の画像データがメモリマネージメントのためのデータと共通内部バス上で競合することはない。共通内部バス及び専用内部バス上でのデータ伝送速度は速い。メモリの共通化が可能である。
【0023】
一つの具体的な形態として、前記インタフェース部はIPMIに準拠したインタフェース機能を用いてサーバのリモートマネジメントを行う。
【0024】
2.実施の形態の説明
次に、実施の形態について更に詳述する。
【0025】
《PCサーバにメインボード》
図1には本発明に係るデータ処理装置としてPCサーバのメインボードが例示される。メインボード(MBOARD)1の表面には所定の配線パターンが形成され、その上に所定のデバイスが実装されている。図においてメインボード1は、ホストデバイスとしてホストプロセッサ(HCPU)2を有し、チップセットとしてメモリコントロールハブのようなノースブリッジ(NB)3とI/Oコントロールハブのようなサウスブリッジ(SB)4を有する。ノースブリッジ3にはホストプロセッサ2が接続される。サウスブリッジ4は各種のI/Oが接続される。ノースブリッジ3とホストプロセッサ2は高速なフロントサイドバス(FSB)6で接続される。ノースブリッジ3とサウスブリッジ4の間は数ギガbpsの高速かつ排他的なリンク(HyperTransportなど)7で接続される。ノースブリッジ3は、CPUインタフェース、メモリインタフェース、PCI_Express(PCIexpと記す)などのインタフェース機能を有する。8はノースブリッジ3から引き出されたメモリバスであり、ここにはDDR2_SDRAM(Double Data Rate2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のメインメモリ(MMRY)9が接続される。10はノースブリッジ3に接続するPCIexpバスであり図示を省略するPCIデバイスが接続される。サウスブリッジ4は、PCI_Express、ATA、LPC等のインタフェース機能を有する。11はATAバスであり例えばHDD等のディスクストレージドライブ(STRG)12が接続される。13はLPC(Low Pin Count)やUSB(Universal Serial Bus)等の低速バスであり、マウスやキーボードなどの入出力デバイス(S−I/O)14に接続される。15はサウスブリッジ4に接続するPCIexpバスであり、ネットワークインタフェースコントローラ(NIC)17が接続される。ネットワークインタフェースコントローラ17にとってPCIexpバス15はメインバンドバスとして位置付けられる。ネットワークインタフェースコントローラ17はイーサネット(登録商標)のプロトコル制御を行い、ネットワークケーブル18に接続する。サウスブリッジ4にはPCIexpバス15とLPCバス13を介して、サーバのリモートマネジメントに利用されるBMC(Baseboard Management Controller)コントローラ等を混載したBMC混載LSI(BMCmix)20が接続され、BMC混載LSI20にはローカルメモリ(LMRY)22が接続される。ローカルメモリ22は例えばDDR2_SDRAMとされる。BMC混載LSI20はサブバンドバスとして位置付けられる低速バス21によってもネットワークインタフェースコントローラ17に接続する。低速バス21は例えばRMII(Reduced Media Independent Interface)又はIIC(Inter IC)のようなバスである。尚、BMC混載LSI20はPCI_Expressインタフェース機能を備えるから、破線で示すように、ノースブリッジ3のPCIexpバス10に接続されてもよい。
【0026】
図2にはBMC混載LSI20の一例が示される。BMC混載LSI20は、前記サウスブリッジ4からPCIexpバス15を介する入力に応答して画像処理を行なう画像処理部(GRPH)23と、前記画像処理部23に接続され画像データを圧縮可能な圧縮部(VCE)24と、BMC部(BMCP)25と、を1個の半導体基板に有する。前記BMC部25は、共通内部バス30に接続された中央処理装置(CPU)31、外部メモリインタフェース回路(EXMIF)32、ネットワークインタフェース回路(NETIF)33、ダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラ(DMAC)34、ウォッチドッグタイマ(WDT)35、およびリセット制御論理回路(RSTLOG)36を備える。共通内部バス30はバスブリッジ回路(BBRDG)39を介して周辺バス38に結合され、周辺バス38にはUBSインタフェース回路(USBIF)40及びLPCインタフェース回路(LPCIF)41が設けられ、それらには前記低速バス13が接続する。
【0027】
外部メモリインタフェース回路32は前記ローカルメモリ22に接続可能にされる。前記ネットワークインタフェース回路33はサイドバンドバスとしての低速バス21を介して前記ネットワークインタフェースコントローラ17に接続される。前記圧縮部24は前記共通内部バス30に接続される。
【0028】
特に制限されないが、共通内部バス30はパケット交換方式のスプリットトランザクションバスとされる。このバス30には、転送要求内容を含むリクエストパケットと、応答内容を含むレスポンスパケットがやり取りされる。リクエストパケットを発行してレスポンスパケットを受け取る回路をイニシエータコンポーネント、リクエストパケットを受け取ってレスポンスパケットを返す回路をターゲットコンポーネントと称し、そのバスに接続する回路はバスマスタであるのかバススレーブであるかに応じてそのバスとのインタフェース部分に前記イニシエータコンポーネント又はターゲットコンポーネントを有する。図示は省略するが、このスプリットトランザクションバスは、イニシエータコンポーネントから発行されるリクエストパケットとターゲットコンポーネントから発行されるレスポンスパケットに関する競合を調停するパケットルータが配置される。
【0029】
前記画像処理部23は専用内部バス37により前記外部メモリインタフェース回路32に接続される。前記画像処理部23はサウスブリッジ4からコマンドを受け取り、これに従って画像データに対する画像処理を行なう。画像データはサウスブリッジ4から受け取り、描画や表示のための画像処理を行なう。画像処理部は専用内部バス37を経由して外部メモリインタフェース回路32の制御を行い、受け取った画像データのデータバッファ、画像処理のワークメモリとして前記ローカルメモリ22をアクセスする。前記圧縮部24は、画像処理部23から供給された画像データ、或いはローカルメモリ22から読み出した画像データの圧縮を行う。前記圧縮部24は画像圧縮処理において外部メモリインタフェース回路32を介してローカルメモリ22を使用することができる。
【0030】
中央処理装置31は命令制御部と実行部を有する。命令制御部は命令実行順序を制御すると共に命令フェッチとフェッチした命令のデコードを行なう。命令制御部は命令フェッチアドレスを演算する命令アドレス演算器を有する。実行部は命令デコード結果に従ってオペランドアドレスの演算及びオペランドに対するデータ演算を行って命令を実行する。中央処理装置31はローカルメモリ22に格納されたプログラムを実行することにより、IPMIに準拠したインタフェース機能を実現し、サーバの管理並びに監視のためのリモートマネジメントを行う。リモートマネジメントとして、例えば、電源オン・オフ制御機能、サーバのハードウェア上で生じた事象を収集するリモート情報収集機能、障害の検知と検知した障害情報をサーバから管理用PCに通報する障害検知及び通報機能、電源オンからOS(Operating System)がブートするまでに管理用PC上でサーバ側の画面を見ながらキー操作を可能にするようなリモートコンソール機能等を実現する。例えばメインボード1を使用したPCサーバにおけるリモートマネジメント機能の一部として、遠隔地にあるPCサーバ(リモートマシン)を操作する際、手元のコンピュータ(ホストマシン)からネットワーク18経由でキーボード及びマウス等の操作情報を送り、リモートマシン上で必要な処理を実行した上で、リモートマシン上の画面の画像情報をネットワーク経由でホストマシンが受け取って画面に表示するというような動作が可能にされる。
【0031】
《リモートマネジメントによるデータ伝送》
リモートマネジメント機能によって実現されるデータ伝送動作について説明する。図2にはリモートマシン上の画面の画像情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するときのデータの流れが例示される。前記画像処理部23はサウスブリッジ4からコマンドを受け取り、これに従って画像データに対する画像処理を行なう。画像処理部は専用内部バス37を経由して外部メモリインタフェース回路32の制御を行い、受け取った画像データ或いは画像処理された画像データをローカルメモリ22に格納する(経路Pa)。画像処理部23はローカルメモリ22に格納された画像データを圧縮部24に送り(経路Pb)、圧縮部は画像処理部23から供給された画像データを圧縮する。中央処理装置31は圧縮された画像データをネットワークインタフェース回路33からネットワークインタフェースコントローラ17に供給する(経路Pc、Pd)。Peは中央処理装置31による命令フェッチの経路を示している。
【0032】
リモートマシン上の画面データの転送動作で明らかなように、BMC混載LSI20は画像処理部23、圧縮部24及びBMC部25を1個の半導体チップに有しているから、それらの間のデータ転送を高速化できる。BMC混載LSI20をマルチチップで構成する場合に比べて、それらの間のデータ転送を高速化でき、低消費電力並びに部品点数の低減に寄与することができる。また、画像情報を画像処理部が受け取って外部メモリに格納する専用内部バス37を共通内部バス30から分離している。共通内部バス30にはリモートマネジメントのためのネットワークインタフェース回路33と共に中央処理装置31が接続され、前記専用内部バス37はこの共通内部バス30を経由することを要しないデータパスになるから、サウスブリッジ4からの指示に応答する画像処理部23によるグラフィック処理の画像データがメモリマネージメントのための別のデータと共通内部バス30上で競合することはない。この点においても上記データ転送の高速化に寄与する。更に、外部メモリインタフェース回路32に接続するローカルメモリ22を画像圧縮のためのバッファメモリや中央処理装置31のワークメモリ等にも利用でき、メモリの共通化が可能である。画像処理部23、圧縮部24及びBMC部25が夫々個別にワークメモリを持たなくてもよい。
【0033】
図3にはリモートマシン上の画面の画像情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するときDMACを用いるときのデータの流れが例示される。図2との相違点は圧縮部24で圧縮された画像データをネットワークインタフェース回路33からネットワークインタフェースコントローラ17に供給するとき、DMAC34がそのデータ転送制御を行う(経路Pf、Pg)ことである。これにより中央処理装置31の負担を軽減することができる。DMAC34に対するデータ転送制御条件の設定は予め中央処理装置31が行う。この条件設定動作は画像処理部23又は圧縮部24の動作中に行なえばよい。共通内部バス30と専用内部バス37が分離されているので、それらの動作と条件設定動作はバス上で競合しない。
【0034】
図4にはリモートマシン上の画面の画像情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するとき暗号化するときのデータの流れが例示される。図3との第1の相違点は共通内部バス30に暗号化・復号回路(ECDEC)43が配置されていることである。暗号化・復号回路43は、特に制限されないが、中央処理装置31からの指示に従ってデータの暗号化又は復号処理を行なう。第2の相違点は、圧縮部24で圧縮された画像データを中央処理装置31の指示に従って暗号化・復号回路43で暗号化(経路Ph,Pi)し、これによって暗号化されたデータをネットワークインタフェース回路33からネットワークインタフェースコントローラ17に供給するとき、DMAC34がそのデータ転送制御を行う(経路Pj、Pk)ことである。これにより、ネットワークを通じて転送されるデータの秘匿性を高めることができ、他者によるデータの悪用等に対する耐性を高めることができる。
【0035】
図5にはリモートマシン上のキーボードやマウス等の周辺機器の情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するときのデータ流れが例示される。USBIF40やLPCIF41に入力した周辺機器の情報をネットワークインタフェース回路33からネットワークインタフェースコントローラ17に供給するとき、DMAC34がそのデータ転送制御を行う(経路Pm、Pn)。DMAC34の制御に換えて直接中央処理装置31が転送制御を行ってよい。
【0036】
図6には画像処理部及び圧縮部の夫々にバッファメモリを設けたBMC混載LSIの例が示される。画像処理部23に専用のバッファメモリ(BUFM)44を設け、圧縮部24に専用のバッファメモリ(BUFM)45を設ける。外部メモリインタフェース回路32の帯域が十分で無い場合等に性能低下を回避できる。但し、BMC混載LSI20の外部端子数及びパッケージサイズはその分だけ増大する。
【0037】
《リセット機能》
次にBMC混載LSIのリセット機能について説明する。図2等に例示される前記ウォッチドッグタイマ35は所定のインターバルでカウンタリセットが行われる度にカウント動作を初期値からやり直すカウンタを有し、所定のインターバルでカウンタリセットが行われなかったときにタイムアウト信号φtoを出力する。リセット制御論理回路36はマニュアル・リセット・コントロール・レジスタ(MRSTCR)50とソフトウェアリセットレジスタ(SRSTR)51を有し、外部リセット信号RESが入力されると共にタイムアウト信号φtoが入力され、BMC混載LSI20の内部回路に対する内部リセット信号res1〜resnを生成する。内部リセット信号res1〜resnは第1乃至第3タイプの何れかに分類される。
【0038】
図7には内部リセット信号の第1乃至第3タイプの意義が例示される。第1タイプの内部リセット信号res_tp1は、外部リセット信号RESの活性化、MRSTCR50の対応ビットの設定がリセット・イネーブルにされた状態におけるタイムアウト信号φtoの活性化、又はSRSTR51の対応ビットに対するリセット・イネーブルの設定のいずれかによってリセットを指示する。MRSTCR50、SRSTR51の対応ビットとは第1タイプの内部リセット信号毎に割り当てられるビットを意味する。したがって、第1タイプの内部リセット信号res_tp1がどの場合に活性化されるかはMRSTCR50、SRSTR51の設定内容に従って決定される。MRSTCR50、SRSTR51はリセット時に初期値に設定されるが、その後、中央処理装置31によってプログラマブルに設定変更可能にされ、PCサーバの内部状態に応じてリセットを指示する事象とリセット対象回路を可変に制御することができる。第2タイプの内部リセット信号res_tp2は、前記第2の内部リセット信号は、外部リセット信号RESの活性化、又はタイムアウト信号ファイtoの活性化のいずれかによってリセットを指示する。前記第3の内部リセット信号res_tp3は、外部リセット信号RESの活性化によってリセットを指示する。上記3種類の内部リセット信号を用いることにより、一部の回路の異常を解消するのにサーバ全体の動作停止や招くことなくリセットを行うことができ、サーバ管理に好適である。尚、内部リセット信号の幾つかをポートを介してBMC混載LSI20の外部回路に対するリセット信号に利用することも可能である。
【0039】
BMC混載LSI20のリセット動作はPCサーバが極力動作を継続することができるように選択される。中央処理装置31が正常に動作しなくなったときは外部リセット信号RES又はウォッチドッグタイマのタイムアウト信号φtoを用いて全体的なリセットが行われる。周辺バス38に接続する内部回路が正常動作しなくなった時はSRSTR51の対応ビットを設定して、対応回路のみソフトウェアリセットすればよい。スプリットトランザクションバスとして機能される共通内部バス30に接続する回路が正常動作しなくなったときには、ターゲットコンポーネントとイニシエータコンポーネントの状態を把握してソフトウェアリセットを行わなければならない。イニシエータコンポーネントによる発行済みのリクエストパケットに対してターゲットコンポーネントからレスポンスパケットが返されるにはパケットルータによる調停とタイミング制御に依存し、バスの動作サイクル単位内で完結するバス制御とは相違されるからである。
【0040】
図8には共通内部バスに接続された内部回路に対する中央処理装置による内部リセット制御手順が例示される。例えば中央処理装置31が異常を検出すると(S1)、中央処理装置31はリセットに必要な処理以外には共通内部バス30を利用する新たなアクセスを停止する(S2)。次に、イニシエータコンポーネント(INITIA)にパワーダウンリクエスト発行し(S3)、それに対するパワーダウンのアクノリッジを待つ(S4)。イニシエータコンポーネントのパワーダウンを確認した後、中央処理装置31はターゲットコンポーネント(TRG)にパワーダウンリクエスト発行し(S5)、それに対するパワーダウンのアクノリッジを待つ(S6)。ターゲットコンポーネントのパワーダウンを確認した後、SRSTR51の対応ビットを設定することにより(S7)、対応回路がソフトウェアリセットされる(S8)。
【0041】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0042】
例えば、BMC混載LSIのバス構造は図2等に限定されず適宜変更可能であり、周辺バス38を更に階層化して種々の周辺機能とのインタフェース回路を接続するようにしてよい。また、本発明はネットワークを経由して遠隔地にあるコンピュータを操作するリモートシステムだけでなく、一般的なサーバ・クライアントシステムのサーバ、更には映像配信用サーバ、或いはリモートマネジメント機能を搭載した一般的なパーソナル・コンピュータ等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るデータ処理装置としてPCサーバのメインボードを例示するブロック図である。
【図2】BMC混載LSIの一例が示すブロック図である。
【図3】リモートマシン上の画面の画像情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するときDMACを用いるときのデータの流れを例示するブロック図である。
【図4】リモートマシン上の画面の画像情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するとき暗号化するときのデータの流れを例示するブロック図である。
【図5】リモートマシン上のキーボードやマウス等の周辺機器の情報をネットワーク経由でホストマシンに出力するときのデータ流れを例示するブロック図である。
【図6】画像処理部及び圧縮部の夫々にバッファメモリを設けたBMC混載LSIを例示するブロック図である。
【図7】内部リセット信号の第1乃至第3タイプの意義を示す説明図である。
【図8】共通内部バスに接続された内部回路に対する中央処理装置による内部リセット制御手順を例示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 メインボード(MBOARD)
2 ホストプロセッサ(HCPU)
3 ノースブリッジ(NB)
4 サウスブリッジ(SB)
6 フロントサイドバス(FSB)
7 高速かつ排他的な接続リンク
8 メモリバス
9 DDR2_SDRAM
10 PCIexpバス
11 ATAバス
12 ディスクストレージドライブ(STRG)
13 低速バス
14 入出力デバイス(S−I/O)
15 PCIexpバス
17 ネットワークインタフェースコントローラ(NIC)
18 ネットワークケーブル
20 BMC混載LSI(BMCmix)
22 ローカルメモリ(LMRY)
23 画像処理部(GRPH)
24 圧縮部(VCE)
25 BMC部(BMCP)
30 共通内部バス
31 中央処理装置(CPU)
32 外部メモリインタフェース回路(EXMIF)
33 ネットワークインタフェース回路(NETIF)
34 ダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラ(DMAC)
35 ウォッチドッグタイマ(WDT)
36 リセット制御論理回路(RSTLOG)
37 専用内部バス
38 周辺バス
39 バスブリッジ回路(BBRDG)
40 UBSインタフェース回路(USBIF)
41 LPCインタフェース回路(LPCIF)
43 暗号化・復号回路(ECDEC)
50 マニュアル・リセット・コントロール・レジスタ(MRSTCR)
51 ソフトウェアリセットレジスタ(SRSTR)
res_tp1 第1タイプの内部リセット信号
res_tp2 第2タイプの内部リセット信号
res_tp3 第3タイプの内部リセット信号
res1〜resn 内部リセット信号
RES 外部リセット信号
φto タイムアウト信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部バスからの入力に応答して画像処理を行なう画像処理部と、前記画像処理部に接続され画像データを圧縮可能な圧縮部と、サーバの管理に利用可能なインタフェース部と、を1個の半導体基板に有する半導体集積回路であって、
前記インタフェース部は、それぞれ共通内部バスに接続された中央処理装置、外部メモリインタフェース回路、及びネットワークインタフェース回路を備え、
前記外部メモリインタフェース回路は外部メモリに接続可能にされ、
前記ネットワークインタフェース回路は外部ネットワークコントローラに接続可能にされ、
前記圧縮部は前記共通内部バスに接続され、
前記画像処理部は専用内部バスにより前記外部メモリインタフェース回路に接続され、前記画像処理部は画像データを前記専用内部バス経由で前記外部メモリに格納し、
前記圧縮部は画像処理部から供給された画像データを圧縮可能である、半導体集積回路。
【請求項2】
前記インタフェース部はサーバの周辺装置に接続可能な周辺インタフェース回路を有する請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記内部バスに接続された暗号化復号回路を有する請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記共通内部バスに接続されたダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラを有する請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記画像処理部は専用の外部バッファメモリに接続可能である、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記画像処理部、前記圧縮部及び前記インタフェース部に供給する第1乃至第3の内部リセット信号を生成するリセットロジック回路を有し、
前記第1の内部リセット信号は、外部リセット信号の変化、第1レジスタの設定がリセット・イネーブルにされた状態におけるウォッチドッグタイマのタイムアウト、又は第2レジスタに対するリセット・イネーブルの設定のいずれかによってリセットを指示し、
前記第2の内部リセット信号は、外部リセット信号の変化、又はウォッチドッグタイマのタイムアウトのいずれかによってリセットを指示し、
前記第3の内部リセット信号は、外部リセット信号の変化によってリセットを指示する、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項7】
ホストプロセッサ、前記ホストプロセッサに接続されたノースブリッジ、前記ノースブリッジに接続されたメインメモリ、前記ノースブリッジに接続されたサウスブリッジ、インタフェース制御LSI、ローカルメモリ、及びネットワークインタフェースコントローラを有するデータ処理システムであって、
前記インタフェース制御LSIは、前記サウスブリッジからメインバンドバスを介する入力に応答して画像処理を行なう画像処理部と、前記画像処理部に接続され画像データを圧縮可能な圧縮部と、インタフェース部と、を1個の半導体基板に有する半導体集積回路であって、
前記インタフェース部は、それぞれ共通内部バスに接続された中央処理装置、外部メモリインタフェース回路、及びネットワークインタフェース回路を備え、
前記外部メモリインタフェース回路は前記ローカルメモリに接続可能にされ、
前記ネットワークインタフェース回路は前記メインバンドバスに接続する前記ネットワークインタフェースコントローラにサブバンドバスを介して接続され、
前記圧縮部は前記共通内部バスに接続され、
前記画像処理部は専用内部バスにより前記外部メモリインタフェース回路に接続され、前記画像処理部は画像データを前記専用内部バス経由で前記ローカルメモリに格納し、
前記圧縮部は画像処理部から供給された画像データを圧縮可能である、データ処理システム。
【請求項8】
前記インタフェース部はIPMIに準拠したインタフェース機能を用いてサーバのリモートマネジメントを行う、請求項7記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記インタフェース部は前記サウスブリッジに周辺バスを介して接続可能な周辺インタフェース回路を有する請求項7記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記内部バスに接続された暗号化復号回路を有する請求項7記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記共通内部バスに接続されたダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラを有する請求項7記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記画像処理部は専用の外部バッファメモリに接続された、請求項7記載のデータ処理システム。
【請求項13】
前記画像処理部、前記圧縮部及び前記インタフェース部に供給する第1乃至第3の内部リセット信号を生成するリセットロジック回路を有し、
前記第1の内部リセット信号は、外部リセット信号の変化、第1レジスタの設定がリセット・イネーブルにされた状態におけるウォッチドッグタイマのタイムアウト、又は第2レジスタに対するリセット・イネーブルの設定のいずれかによってリセットを指示し、
前記第2の内部リセット信号は、外部リセット信号の変化、又はウォッチドッグタイマのタイムアウトのいずれかによってリセットを指示し、
前記第3の内部リセット信号は、外部リセット信号の変化によってリセットを指示する、請求項7記載のデータ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−176682(P2008−176682A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11137(P2007−11137)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】