説明

半導体集積回路装置とその実装方法

【課題】コーナー部にも良好なフィレットを形成できる半導体集積回路装置を提供する。
【解決手段】半導体素子1を配線基板2にフリップチップ実装し、封止樹脂材5によって半導体素子1を配線基板2に係止した半導体集積回路装置であって、半導体素子1の裏面に、半導体素子1の辺1a〜1dに沿って延び、かつ半導体素子1の電極3よりも内側の位置に、配線基板2の側に向かって突出した凸部7a〜7dを形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフリップチップ実装タイプの半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ実装タイプの半導体装置は図8(a)〜(c)に示すように構成されている。
半導体素子1を配線基板2に実装したこの種の半導体装置は、半導体素子1の裏面に形成された外部接続用の突起電極3が、配線基板2の上に形成された基板電極4に当設し、半導体素子1と配線基板2の間には硬化した封止樹脂材5が設けられている。封止樹脂材5は半導体素子1が配線基板2の実装位置から移動しないように固定する役目と、突起電極3と基板電極4との接触部を封止して良好な電気接続状態を維持する役目を果たしている。
【0003】
実装の工程は図9のように実施されている。
図9(a)(b)に示すように、配線基板2の基板電極4の上に、シート状の封止樹脂材5を貼り付ける。次に図9(c)に示すように、半導体素子1を、この半導体素子1の突起電極3が形成されている裏面を配線基板2の側に向けて、熱可塑性の封止樹脂材5の上に配置し、熱をかけながら半導体素子1を配線基板2の側に押し付けると、封止樹脂材5が軟化して図8(b)に示すように半導体素子1の外側に流動する。このとき、半導体素子1の突起電極3と配線基板2の基板電極4とが当設して導通する。この状態で、温度を下げて封止樹脂材5を硬化させると、図9(d)に示すように配線基板2における半導体素子1の位置が、硬化した封止樹脂材5によって固定されて実装が完了する。
【特許文献1】特開2001−358175公報(図1)
【特許文献2】特開2002−134559公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8(b)は図8(a)のA−A断面図、図8(c)は図8(a)のB−B断面図を示しているが、平面形状が矩形の半導体素子1の場合には、4つの辺1a,1b,1c,1dから外側へは封止樹脂材5の十分な量の流出が発生して、硬化した封止樹脂材5によって半導体素子1を配線基板2に十分な接合力で係止できる。しかし、図8(c)に示すように半導体素子1のコーナー部6への封止樹脂材5の流出の不足のために、硬化した封止樹脂材5による良好なフィレットが形成されない。
【0005】
これは、半導体素子1の薄型化などのために、図10に示すように半導体素子1に反りが発生した場合には、突起電極3と基板電極4との導通の不良が発生する。
なお、(特許文献1)には、中央部での接合力の不足を改善することを目的として、接合材料が不均一にはみ出すことを規制するために、半導体回路素子1の突起電極配列の大きな隙間にダミーの突起電極としての接合材料流動規制部材3を設けて接合材料の分布の均一化を図ることが記載されており、(特許文献2)には、中央部での接合力の不足を改善することを目的として、接合材料が不均一にはみ出すことを規制するために、配線基板としての回路形成体6−1の側に接合材料流動規制部材303を設けて接合材料の分布の均一化を図ることが記載されている。しかし、このように構成しても、図8(c)に示したようなコーナー部6に良好なフィレットを形成できない。
【0006】
本発明はコーナー部にも良好なフィレットを形成できる半導体集積回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体集積回路装置は、半導体素子を配線基板にフリップチップ実装し、半導体素子と配線基板の間に介在する封止樹脂材によって半導体素子を配線基板に係止した半導体集積回路装置であって、前記半導体素子の裏面に、前記半導体素子の辺に沿って延び、かつ前記半導体素子の電極よりも内側の位置に、前記配線基板の側に向かって突出した凸部を有し、前記凸部は前記半導体素子のコーナ部で開口していることを特徴とする。また、前記凸部の平面形状が、半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行に延びた矩形であることを特徴とする。また、前記凸部の平面形状が、一辺が半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行で、残る二辺が前記半導体素子の内側から外側に延びた三角形であることを特徴とする。
【0008】
本発明の半導体集積回路装置の実装方法は、半導体素子を配線基板にフリップチップ実装するに際し、平面形状が前記半導体素子の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材を、半導体素子と配線基板の間に挟み、前記半導体素子と配線基板の間の隙間を小さくして、半導体素子の裏面のコーナー部に接した辺への前記封止樹脂材の流動抵抗が前記コーナー部への前記封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるよう前記配線基板の側に向かって突出して前記半導体素子の裏面のコーナー部に対応して形成された凸部によって、前記封止樹脂材を前記半導体素子の外側に向かって押し出すことを特徴とする。
【0009】
また、半導体集積回路装置は、半導体素子を配線基板の実装位置にフリップチップ実装し、半導体素子と配線基板の間に介在する封止樹脂材によって半導体素子を配線基板に係止した半導体集積回路装置であって、配線基板の側で実装された前記半導体素子よりも外側の位置に、前記半導体素子のコーナー部に接した辺と並行に延びた凸部を有していることを特徴とする。また、前記凸部の上面に、軟化した封止樹脂材に対する濡れ性が前記凸部の表面より悪い濡れ性低減領域を形成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の半導体集積回路装置の実装方法は、半導体素子を配線基板2にフリップチップ実装するに際し、平面形状が前記半導体素子の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材を、半導体素子と配線基板の間に挟み、前記半導体素子と配線基板の間の隙間を小さくして、半導体素子のコーナー部に接した辺から流れ出した前記封止樹脂材を、配線基板の側で実装される前記半導体素子よりも外側の位置に形成された凸部によって、半導体素子の前記コーナー部へ導くことを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体集積回路装置は、半導体素子を配線基板にフリップチップ実装し、半導体素子と配線基板の間に介在する封止樹脂材によって半導体素子を配線基板に係止した半導体集積回路装置であって、配線基板の側で実装された前記半導体素子よりも内側の位置に、前記半導体素子の側に向かって突出した凸部を有し、前記凸部は前記半導体素子のコーナ部で開口していることを特徴とする。また、前記凸部の平面形状が、半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行に延びた矩形であることを特徴とする。また、前記凸部の平面形状が、一辺が半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行で、残る二辺が前記半導体素子の内側から外側に延びた三角形であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の半導体集積回路装置の実装方法は、半導体素子を配線基板にフリップチップ実装するに際し、平面形状が前記半導体素子の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材を、半導体素子と配線基板の間に挟み、前記半導体素子と配線基板の間の隙間を小さくして、半導体素子の裏面のコーナー部に接した辺への前記封止樹脂材の流動抵抗が前記コーナー部への前記封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるよう前記半導体素子の側に向かって突出して配線基板の側に形成された凸部によって、前記封止樹脂材を前記半導体素子の外側に向かって押し出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この構成によると、半導体素子のコーナー部に接した辺への封止樹脂材の流動抵抗が、半導体素子のコーナー部への封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるように、配線基板の側に向かって突出した凸部を半導体素子の裏面に形成するか、半導体素子のコーナー部に接した辺から流れ出した封止樹脂材を半導体素子のコーナー部へ導くよう凸部を配線基板の側で半導体素子よりも外側の位置に形成するか、半導体素子のコーナー部に接した辺への封止樹脂材の流動抵抗が、半導体素子のコーナー部への封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるように、半導体素子の側に向かって突出した凸部を配線基板の側で実装された半導体素子よりも内側の位置に形成したことによって、コーナー部にも良好なフィレットを形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1と図2は本発明の(実施の形態1)を示す。
【0015】
図2(a)〜(c)は、図1(a)(b)に示した半導体素子1を配線基板2にフリップチップ実装した半導体集積回路装置を示す。
半導体素子1は、平面形状が矩形で、裏面には、4つの辺1a,1b,1c,1dに沿って多数の突起電極3が配列されている。さらに、半導体素子1の裏面には、コーナー部6に対応して、配線基板2の側に向かって突出した凸部7a,7b,7c,7dが形成されている。さらに詳しくは、凸部7a,7b,7c,7dは、半導体素子1のコーナー部に接した辺と並行に延びた矩形で、突起電極3よりも半導体素子1の内側の位置に形成されている。凸部7a,7b,7c,7dの高さは、突起電極3の高さよりも低い。
【0016】
このように裏面に凸部7a,7b,7c,7dが形成された半導体素子1を、配線基板2にフリップチップ実装した場合することによって、図2に示す半導体集積回路装置が得られる。
【0017】
実装工程は、図9と同じようにように、配線基板2の基板電極4の上にシート状の封止樹脂材5を貼り付け、熱可塑性の封止樹脂材5の上に、半導体素子1を、この半導体素子1の突起電極3が形成されている裏面を配線基板2の側に向けて配置し、熱をかけながら半導体素子1を配線基板2の側に押し付けて熱圧着するが、図1に示した半導体素子1には、凸部7a,7b,7c,7dが形成されているため、半導体素子1を配線基板2に押し付ける図9(c)と図9(d)の間には、軟化した封止樹脂材5は次のように半導体素子1の外側に押し広げられる。
【0018】
配線基板2に貼り付けられたシート状の封止樹脂材5は、前記半導体素子1の平面形状と相似形であって、前記熱圧着によって軟化した封止樹脂材5は、凸部7aの一端と凸部7bの一端と配線基板2との隙間8aと、凸部7bの他端と凸部7cの一端と配線基板2との隙間8bと、凸部7cの他端と凸部7dの一端と配線基板2との隙間8cと、凸部7dの他端と凸部7aの他端と配線基板2との隙間8dとを通過して、半導体素子1のコーナー部6と配線基板2との隙間を介して外側に流動する。
【0019】
また、4つの辺1a,1b,1c,1dに沿って配列されている突起電極3の中央部の付近へは、各凸部7a,7b,7c,7dの先端と配線基板2との隙間9を介して外側に流動する。
【0020】
ここでは隙間9は隙間8a〜8dに比べて断面積が小さく、半導体素子1のコーナー部に接した辺への前記封止樹脂材の流動抵抗が、半導体素子1の前記コーナー部への前記封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなって、隙間9を通過して外側へ流動しにくくなった封止樹脂材5が、矢印10で示すように凸部7a〜7dに沿って隙間8a〜8dに導かれて、隙間8a〜8dからコーナー部6へ流出するため、図2(c)に示すように、半導体素子1のコーナー部へも十分な封止樹脂材5が広がって硬化するため、半導体素子1のコーナー部において従来も良好なフィレットを得ることができ、半導体素子1のコーナー部6を従来に比べて強固に配線基板2に係止することができ、半導体素子1の反りの防止に有効である。
【0021】
なお、ここでは半導体素子1の裏面に、コーナー部6を除いて4つの凸部7a〜7dを形成して、半導体素子1の4つのコーナー部の全部の反りを防止するように構成したが、半導体素子1の4つのコーナー部の内の特定のコーナー部6に対応して半導体素子1の裏面に同様の、半導体素子1の前記特定のコーナー部に接した辺への封止樹脂材の流動抵抗が、半導体素子1の前記特定のコーナー部への封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるように、配線基板2の側に向かって突出した凸部を形成した場合も実施可能である。
【0022】
(実施の形態2)
図3と図4は本発明の(実施の形態2)を示し、(実施の形態1)とは凸部7a〜7dの形状だけが異なっている。つまり、(実施の形態1)では凸部7a〜7dは平面形状が辺1a〜1dと並行に延びた矩形であったが、この(実施の形態2)では、前記凸部7a〜7dの平面形状が、一辺が半導体素子1の前記コーナー部6に接した辺と並行で、残る二辺11,12が前記半導体素子1の内側から外側にコーナー部6に向かって延びた三角形に形成されている。その他は(実施の形態1)と同様である。
【0023】
このように構成したため、半導体素子1を配線基板2に熱圧着した場合には、辺11,12に沿って外側に導かれるので、(実施の形態1)の場合に比べて隙間8a〜8dへの流動抵抗を小さくできる。
【0024】
(実施の形態3)
図5は本発明の(実施の形態3)を示し、(実施の形態1)とは凸部7a〜7dを設けた位置が異なっている。つまり、(実施の形態1)では凸部7a〜7dを半導体素子1の裏面に形成したが、この(実施の形態3)では、配線基板2の側に凸部7a〜7dが形成されている。
【0025】
具体的には、図5(a)に示すように配線基板2の側で実装された半導体素子1よりも外側の位置に、半導体素子1のコーナー部に接した辺1a〜1dから流れ出した封止樹脂材5を半導体素子1のコーナー部6へ導くように、半導体素子1の辺1a〜1dと並行に延びた矩形の凸部7a〜7dが形成されている。この場合の凸部7a〜7dは、いずれも配線基板2へのレジスト膜の重ね塗りによって必要高さに形成されている。
【0026】
このように構成したため、平面形状が半導体素子1の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材5を、半導体素子1と配線基板2の間に挟み、半導体素子1を配線基板2に熱圧着すると、半導体素子1のコーナー部6に接した辺1a〜1dから流れ出した封止樹脂材5が、配線基板2の側に設けた凸部7a〜7dによってコーナー部6へ導びかれて、図5(c)に示すように半導体素子1のコーナー部6と配線基板2の間に良好なフィレットを形成することができ、半導体素子1のコーナー部6を従来に比べて強固に配線基板2に係止することができ、半導体素子1の反りの防止に有効である。
【0027】
なお、ここでは配線基板2の側に、半導体素子1を取り囲むように、4つの凸部7a〜7dを形成して、半導体素子1の4つのコーナー部の全部の反りを防止するように構成したが、半導体素子1の4つのコーナー部の内の特定のコーナー部6に接した辺から流れ出した封止樹脂材を半導体素子1の前記特定のコーナー部へ導く凸部を、形成した場合も実施可能である。
【0028】
また、軟化した封止樹脂材に対する濡れ性が凸部7a〜7dの表面より悪い濡れ性低減領域を、凸部7a〜7dの上面に形成した場合には、凸部7a〜7dの高さが低い場合であっても軟化した封止樹脂材が溢れることを防止して、軟化した封止樹脂材を確実に半導体素子1のコーナー部6へ導くことができる。なお、濡れ性低減領域は、凸部7a〜7dの上面だけを化学処理することによって、軟化した封止樹脂材5に対する濡れ性がその周辺部より悪く加工されている。一例としては、凸部7a〜7dの上面の表面荒さを周辺部よりも荒くして濡れ角が大きく加工されている。
【0029】
(実施の形態4)
図6は本発明の(実施の形態4)を示し、(実施の形態1)とは凸部7a〜7dを設けた位置が異なっている。つまり、(実施の形態1)では凸部7a〜7dを半導体素子1の裏面に形成したが、この(実施の形態4)では、配線基板2の側に凸部7a〜7dが形成されている。その他は(実施の形態1)と同様である。
【0030】
具体的には、図6に示すように配線基板2の側で実装された半導体素子1よりも内側の位置に、半導体素子1の側に向かって突出して凸部7a〜7dが形成されている。凸部7a〜7dの先端と半導体素子1の裏面との間には、隙間9aが形成されている。凸部7a〜7dの平面形状は、半導体素子1のコーナー部6に接した辺と並行に延びた矩形である。この場合の凸部7a〜7dは、いずれも配線基板2へのレジスト膜の重ね塗りによって必要高さに形成されている。
【0031】
このように構成したため、平面形状が半導体素子1の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材5を、半導体素子1と配線基板2の間に挟み、半導体素子1を配線基板2に熱圧着すると、熱圧着によって軟化した封止樹脂材5は、凸部7aの一端と凸部7bの一端と配線基板2との隙間8aと、凸部7bの他端と凸部7cの一端と配線基板2との隙間8bと、凸部7cの他端と凸部7dの一端と配線基板2との隙間8cと、凸部7dの他端と凸部7aの他端と配線基板2との隙間8dとを通過して、半導体素子1のコーナー部6と配線基板2との隙間を介して外側に流動する。
【0032】
また、4つの辺1a,1b,1c,1dに沿って配列されている突起電極3の中央部の付近へは、各凸部7a,7b,7c,7dの先端と配線基板2との隙間9aを介して外側に流動する。
【0033】
ここでは隙間9aは隙間8a〜8dに比べて断面積が小さく、半導体素子1のコーナー部に接した辺への前記封止樹脂材の流動抵抗が、半導体素子1の前記コーナー部への前記封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなって、隙間9aを通過して外側へ流動しにくくなった封止樹脂材5が、矢印10で示すように凸部7a〜7dに沿って隙間8a〜8dに導かれて、隙間8a〜8dからコーナー部6へ流出するため、図6(c)に示すように、半導体素子1のコーナー部へも十分な封止樹脂材5が広がって硬化するため、半導体素子1のコーナー部において従来も良好なフィレットを得ることができ、半導体素子1のコーナー部6を従来に比べて強固に配線基板2に係止することができ、半導体素子1の反りの防止に有効である。
【0034】
(実施の形態5)
図7は本発明の(実施の形態5)を示し、(実施の形態2)とは凸部7a〜7dを設けた位置が異なっている。つまり、(実施の形態2)では凸部7a〜7dを半導体素子1の裏面に形成したが、この(実施の形態5)では、配線基板2の側に凸部7a〜7dが形成されている。その他は(実施の形態2)と同様である。
【0035】
具体的には、図7(a)に示すように凸部7a〜7dの平面形状が、一辺が半導体素子1の前記コーナー部6に接した辺と並行で、残る二辺11,12が前記半導体素子1の内側から外側にコーナー部6に向かって延びた三角形に形成されている。この場合の凸部7a〜7dは、いずれも配線基板2へのレジスト膜の重ね塗りによって必要高さに形成されている。
【0036】
このように構成したため、半導体素子1を配線基板2に熱圧着した場合には、辺11,12に沿って外側に導かれるので、(実施の形態1)の場合に比べて隙間8a〜8dへの流動抵抗を小さくできる。図7(c)に示すように、半導体素子1のコーナー部へも十分な量の封止樹脂材5が広がって硬化するため、半導体素子1のコーナー部において従来よりも良好なフィレットを得ることができ、半導体素子1のコーナー部6を従来に比べて強固に配線基板2に係止することができ、半導体素子1の反りの防止に有効である。
【0037】
上記の各実施の形態において封止樹脂材5は、非導電性の封止樹脂材であっても、導電異方性樹脂材であっても、実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
半導体集積回路装置の高信頼性化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の(実施の形態1)に使用する半導体素子の側面図と裏面図
【図2】同実施の形態の半導体集積回路装置の平面図とそのA−A線とB−B線に沿う断面図
【図3】本発明の(実施の形態2)に使用する半導体素子の側面図と裏面図
【図4】同実施の形態の半導体集積回路装置の平面図とそのA−A線とB−B線に沿う断面図
【図5】本発明の(実施の形態3)の半導体集積回路装置の平面図とそのA−A線とB−B線に沿う断面図
【図6】本発明の(実施の形態4)の半導体集積回路装置の平面図とそのA−A線とB−B線に沿う断面図
【図7】本発明の(実施の形態5)の半導体集積回路装置の平面図とそのA−A線とB−B線に沿う断面図
【図8】従来の半導体集積回路装置の平面図とそのA−A線とB−B線に沿う断面図
【図9】一般的な実装工程を示す断面図
【図10】半導体素子に反りが発生した場合の断面図
【符号の説明】
【0040】
1 半導体素子
1a,1b,1c,1d 半導体素子1の4つの辺
2 配線基板
3 突起電極
4 配線基板2の基板電極
5 封止樹脂材
6 半導体素子1のコーナー部
7a,7b,7c,7d 凸部
8a 凸部7aの一端と凸部7bの一端と配線基板2との隙間
8b 凸部7bの他端と凸部7cの一端と配線基板2との隙間
8c 凸部7cの他端と凸部7dの一端と配線基板2との隙間
8d 凸部7dの他端と凸部7aの他端と配線基板2との隙間
9 各凸部7a,7b,7c,7dの先端と配線基板2との隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を配線基板にフリップチップ実装し、半導体素子と配線基板の間に介在する封止樹脂材によって半導体素子を配線基板に係止した半導体集積回路装置であって、
前記半導体素子の裏面に、前記半導体素子の辺に沿って延び、かつ前記半導体素子の電極よりも内側の位置に、前記配線基板の側に向かって突出した凸部を有し、前記凸部は前記半導体素子のコーナ部で開口している
半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記凸部の平面形状が、
半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行に延びた矩形である
請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記凸部の平面形状が、
一辺が半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行で、残る二辺が前記半導体素子の内側から外側に延びた三角形である
請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
半導体素子を配線基板にフリップチップ実装するに際し、
平面形状が前記半導体素子の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材を、半導体素子と配線基板の間に挟み、前記半導体素子と配線基板の間の隙間を小さくして、半導体素子の裏面のコーナー部に接した辺への前記封止樹脂材の流動抵抗が前記コーナー部への前記封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるよう前記配線基板の側に向かって突出して前記半導体素子の裏面のコーナー部に対応して形成された凸部によって、前記封止樹脂材を前記半導体素子の外側に向かって押し出す
半導体集積回路装置の実装方法。
【請求項5】
半導体素子を配線基板の実装位置にフリップチップ実装し、半導体素子と配線基板の間に介在する封止樹脂材によって半導体素子を配線基板に係止した半導体集積回路装置であって、
配線基板の側で実装された前記半導体素子よりも外側の位置に、前記半導体素子のコーナー部に接した辺と並行に延びた凸部を有している
半導体集積回路装置。
【請求項6】
半導体素子を配線基板にフリップチップ実装するに際し、
平面形状が前記半導体素子の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材を、半導体素子と配線基板の間に挟み、前記半導体素子と配線基板の間の隙間を小さくして、
半導体素子のコーナー部に接した辺から流れ出した前記封止樹脂材を、配線基板の側で実装される前記半導体素子よりも外側の位置に形成された凸部によって、半導体素子の前記コーナー部へ導く
半導体集積回路装置の実装方法。
【請求項7】
半導体素子を配線基板にフリップチップ実装し、半導体素子と配線基板の間に介在する封止樹脂材によって半導体素子を配線基板に係止した半導体集積回路装置であって、
配線基板の側で実装された前記半導体素子よりも内側の位置に、前記半導体素子の側に向かって突出した凸部を有し、前記凸部は前記半導体素子のコーナ部で開口している
半導体集積回路装置。
【請求項8】
前記凸部の平面形状が、
半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行に延びた矩形である
請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項9】
前記凸部の平面形状が、
一辺が半導体素子の前記コーナー部に接した辺と並行で、残る二辺が前記半導体素子の内側から外側に延びた三角形である
請求項7記載の半導体集積回路装置。
【請求項10】
半導体素子を配線基板にフリップチップ実装するに際し、
平面形状が前記半導体素子の平面形状と相似形でシート状の封止樹脂材を、半導体素子と配線基板の間に挟み、前記半導体素子と配線基板の間の隙間を小さくして、半導体素子の裏面のコーナー部に接した辺への前記封止樹脂材の流動抵抗が前記コーナー部への前記封止樹脂材の流動抵抗よりも大きくなるよう前記半導体素子の側に向かって突出して配線基板の側に形成された凸部によって、前記封止樹脂材を前記半導体素子の外側に向かって押し出す
半導体集積回路装置の実装方法。
【請求項11】
前記凸部の上面に、
軟化した封止樹脂材に対する濡れ性が前記凸部の表面より悪い濡れ性低減領域を形成した請求項5記載の半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−305812(P2007−305812A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133162(P2006−133162)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】