説明

半導体集積回路装置及びそれを用いた非接触型電子装置

【課題】非接触型電子装置からリーダ・ライタへのデータ送信においてチップに搭載されるレギュレータ回路の電圧抑制動作が、負荷変調電流によるチップ全体の電流変化を減衰してしまい、リーダ・ライタが非接触型電子装置の送信データを受信できなかった。
【解決手段】非接触型電子装置に供給される電力によって、電源回路B5に搭載されるレギュレータ機能の電圧抑制特性を変化させ、非接触型電子装置に供給される電力が小さい場合には、アンテナに流れる電流に対するアンテナ端子(LA−LB)間電圧の電圧変化量を大きくし、非接触型電子装置に供給される電力が大きい場合には、アンテナに流れる電流に対するアンテナ端子(LA−LB)間電圧の電圧変化量を小さくすることで、遠距離通信時における負荷変調回路(送信回路B8)の電流変化に対する全体消費電流の電流変化を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置及びそれを用いた非接触型電子装置に関し、特に、ICカードやICタグを代表とする非接触型電子装置とそれに搭載される半導体集積回路装置の電源回路の構成に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討した技術として、例えば、ICカード、ICタグ、RFID、携帯電話等の非接触型電子装置においては、以下の技術が考えられる。
【0003】
内部にCPUやメモリ等の機能を有した半導体集積回路装置を備える非接触型電子装置が、交通や金融等の分野で普及しつつある。特に限定はされないが、上記非接触型電子装置はバッテリ等の電源を持たず、アンテナで受けた電磁波から電源を生成して動作する。上記非接触型電子装置は、リーダ・ライタ(質問器)から電磁波を変調して送られるデータを受信し、更に、受信したデータをCPUやメモリによって信号処理を行う。その結果、得られたデータに応じて、アンテナ端子間の負荷を変動させることでアンテナで受信している電磁波を変調し、データをリーダ・ライタに送信する。
【0004】
このような非接触型電子装置において、整流機能とレギュレータ機能を融合することで、高効率で安定した電源電圧を生成し、通信距離の拡大を図る回路技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
更に、より広範囲な通信範囲を実現するために、特許文献1に記載される電源回路を利用し、電源回路を構成する素子の耐圧を保護する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−274339号公報
【特許文献2】特開2003−319574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記のような非接触型電子装置の技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0007】
図1には、リーダ・ライタから電磁波の形態で供給される電力を非接触型電子装置に備えられるアンテナで受信したとき、上記アンテナの両側端子から非接触型電子装置内に出力される電流(Current)−電圧(Voltage)特性が示されている。
【0008】
図1の電流−電圧特性W1に示されるように、アンテナ端子間に接続される負荷に流れる電流に依存してアンテナ端の電圧が変化することから、出力抵抗R0をもつ信号振幅V0の電圧源と等価であることを示している。つまり、上記電流−電圧特性W1の電圧軸(Y軸)との交点が上記電圧源の信号振幅V0となり、上記電流−電圧特性の傾きが上記出力抵抗R0となる。
【0009】
一般に、リーダ・ライタと非接触型電子装置の間の距離、いわゆる、通信距離に応じて、上記等価回路における上記電圧源の信号振幅V0と上記出力抵抗R0は変化する。特に遠距離通信時においては、通信距離が遠くなるほど信号振幅V0が減少し、上記出力抵抗R0が増大する特性を持つ。
【0010】
図2には、図1のアンテナの両側端子から出力される電流−電圧特性を表す等価回路B0と、非接触型電子装置に搭載される電源回路B1及び負荷変調回路B2が示されている。
【0011】
等価回路B0は、前述の出力特性を持つことから、信号振幅V0をもつ電圧源E0と出力抵抗R0の直列接続から構成される。電源回路B1は、整流回路と平滑容量から構成され、レギュレータ機能を有する。これにより、アンテナ端子LA及びLBに入力される信号を整流及び平滑し、出力端子OUTに得られる電源電圧VDDは所定の電圧レベルを上回らないようにレギュレータ機能によって制御される。
【0012】
非接触型電子装置からリーダ・ライタへデータを送信するための負荷変調回路B2は、アンテナ端子LA及びLBとグランド端子の間に接続され、負荷変調回路B2は制御信号TXによって制御される。負荷変調回路B2は、制御信号TXによってオンされると出力電流I1を発生し、オフされると出力電流は流れなくなる。つまり、制御信号TXによって電流変化I1を発生する機能を有する回路であるため、電流源I1とスイッチS1の直列接続によって構成される。上記電流源I1とスイッチS1によって発生される電流変化I1は、ダイオードD1またはD2を介して、アンテナ端子LAまたはLBの電位が高い方に流れる。ここでは、負荷変調回路B2をアンテナ端子LA及びLBとグランド端子の間に接続したが、特に限定されるものではなく、例えば、アンテナ端子LAにのみ接続されても良い。
【0013】
図3には、図2における各端子電圧の電流−電圧特性の一例を示す。ここでは、特許文献2に記載された電源回路を例にしている。
【0014】
電流(Current)軸(X軸)は、アンテナ端子LAに流れる電流I2の電流振幅を表し、電圧(Voltage)軸(Y軸)は、各端子の電圧振幅を表している。W1は負荷変調回路B2がオフしているときのアンテナ端子間電圧、W2は負荷変調回路B2がオンしているときのアンテナ端子間電圧、W3は負荷変調回路B2がオフしているときの電源回路B1の出力電圧、W4は負荷変調回路B2がオンしているときの電源回路B1の出力電圧をそれぞれ示している。更に、W5及びW6は、図1に示したアンテナ両側端子から出力される電流−電圧特性の一例を示しており、W5は近距離通信時における電流−電圧特性、W6は遠距離通信時における電流−電圧特性をそれぞれ表しており、電流−電圧特性W6の方が、図1及び図2で示した出力抵抗R0が大きいことを表している。
【0015】
ここでは、上記電源回路B1の電源電圧VDDが所定の電圧に達した後、上記電源回路B1に内蔵されるレギュレータ回路の出力電圧抑制動作によって傾きR1をもつ場合を示しており、実際には、アンテナ端子LA,LBに発生する電圧振幅が素子耐圧を考慮して、上記出力電圧抑制特性の傾きR1を調整する必要がある。
【0016】
また、電源電圧VDDが所定の電圧に達するまでの傾きは、上記電源回路B1の出力電圧端子とグランド端子の間に接続される内部回路B31の消費電流によって決定される。
【0017】
負荷変調回路B2がオンしたときのアンテナ端子間電圧W2の波形は、負荷変調回路B2がオフしているときのアンテナ端子間電圧W1の波形を、電流軸(X軸)方向に、負荷変調回路B2の出力電流I1だけシフトした特性であると考えることができる。
【0018】
ここで、図2に示したように、図3に示す特性を持つ電源回路B1及び負荷変調回路B2がアンテナ端子LA及びLBに接続されることから、アンテナの出力特性を示す電流−電圧特性W5及びW6との交点がそれぞれの条件における動作点となる。したがって、電流−電圧特性W5及びW6とアンテナ端子間電圧W2との交点が、負荷変調回路B2がオンのときの動作点を、電流−電圧特性W5及びW6とアンテナ端子間電圧W1との交点が、負荷変調回路B2がオフのときの動作点をそれぞれ示し、この2つの動作点における電流の差分が、負荷変調回路B2のオン・オフによってアンテナ端子LA,LBに出力される電流変化ΔI2a及びΔI2bになる。
【0019】
これより、傾きが大きい電流−電圧特性W6においてアンテナ端子LA,LBに出力される電流変化ΔI2aの方が、傾きが小さい電流−電圧特性W5においてアンテナ端子LA,LBに出力される電流変化ΔI2bに比べて小さくなることがわかる。
【0020】
このことは、式を用いて説明することもできる。図3の特性を持つ図2の回路において、負荷変調回路B2をオンした場合と負荷変調回路B2をオフした場合のアンテナ端子LAに流れる電流I2の電流変化ΔI2は、(式1)のように表される。
【0021】
ΔI2=(1−R0/(R0+R1))×I1・・・・・(式1)
(式1)は、等価回路B0における出力抵抗R0が、図3に示した出力電圧抑制特性の傾きR1に比べて極めて大きい場合、右辺の係数がゼロに近似されることから、負荷変調回路B2の出力電流I1は減衰され、アンテナ端子LAの電流変化ΔI2が小さくなることを示しており、図3で示した電流変化ΔI2aとΔI2bの関係と同等である。
【0022】
ここで、特許文献1のように、出力電圧抑制特性の傾きR1を前述の等価回路B0における出力抵抗R0に比べて大きくすれば、アンテナ端子LAの電流変化ΔI2を大きくすることはできるが、上述のように、アンテナ端子に発生する電圧振幅が大きくなるため、近距離通信時において、アンテナ端子間電圧が素子耐圧を超える可能性が高く、現実的ではない。
【0023】
以上のように、出力電圧抑制特性の傾きR1が小さい電源回路では、特に、リーダ・ライタと非接触型電子装置が遠距離通信時のようにアンテナの両側端子から出力される電流−電圧特性の傾きが大きい場合に、負荷変調回路B2によって発生するアンテナ端子LAの電流変化が極めて小さくなってしまい、リーダ・ライタが非接触型電子装置から送信されるデータを受信できないという問題があった。
【0024】
そこで、本発明の目的は、非接触型電子装置とリーダ・ライタの間の通信距離が遠い場合における非接触型電子装置からリーダ・ライタへの安定した送信を実現することが可能な回路技術を提供することにある。
【0025】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0027】
すなわち、本発明による半導体集積回路装置及びそれを用いた非接触型電子装置は、アンテナと、整流機能と、負荷変調機能と、レギュレータ機能を具備し、前記レギュレータ機能により出力電圧が抑制されている領域において、非接触型電子装置に供給される電力が小さいときには、アンテナに流れる電流に対するアンテナの両端に発生する電圧の変化が大きくなり、非接触型電子装置に供給される電力が大きいときには、アンテナに流れる電流に対するアンテナの両端に発生する電圧の変化が小さくなる電流−電圧特性を有するものである。
【発明の効果】
【0028】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0029】
非接触型電子装置とリーダ・ライタとの通信距離が遠い場合での、非接触型電子装置からリーダ・ライタへのデータ送信において、大きな負荷変調電流を発生することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1による半導体集積回路装置及び非接触型電子装置の基本構成を示すブロック図である。
【0032】
まず、図4により、本実施の形態1による半導体集積回路装置及び非接触型電子装置の構成の一例を説明する。本実施の形態1の非接触型電子装置は、例えば、ICカード、ICタグ、RFID、携帯電話などである。
【0033】
図4において、B3は非接触型電子装置、B4は非接触型電子装置B3に搭載される半導体集積回路装置、L0は非接触型電子装置B3に搭載されるアンテナである。アンテナL0と並列に接続された容量C0は、共振回路を構成する。この共振容量C0は、寄生容量等も考慮して調整されるため、必ずしも接続されるものではない。半導体集積回路装置B4は、電源回路B5、内部回路B6を有し、アンテナL0を接続するためのアンテナ端子LA及びLBを有している。
【0034】
図4において、電源回路B5は、整流回路、平滑容量、レギュレータ回路から構成される(図示せず)。レギュレータ回路は、整流回路及び平滑容量によって生成される電圧が所定の電圧レベルを超えないように制御する。電源回路B5の出力電圧は、内部回路B6の電源電圧VDDとして供給される。
【0035】
内部回路B6は、受信回路B7、送信回路B8、制御部B9、メモリB10から構成される。受信回路B7は、非接触型電子装置B3に備えられるアンテナL0によって受信された交流信号に重畳された情報信号を復調してディジタルの情報信号として制御部B9に供給する。送信回路B8は、制御部B9から出力されるディジタル信号の情報信号を受け、アンテナL0が受信している交流信号を同情報信号によって変調する。リーダ・ライタB14(図5参照)は、アンテナL0からの電磁波の反射が上記変調によって変化することを受けて、制御部B9からの情報信号を受信する。メモリB10は、制御部B9との間で復調された情報データや送信データの記録などに利用される。
【0036】
図5に、非接触型電子装置B3の構造例及びリーダ・ライタB14を示す。
【0037】
非接触型電子装置B3は、例えば、樹脂モールドされたプリント基板B11によってカードの形態を成す。外部のリーダ・ライタB14からの電磁波を受けるアンテナL0は、プリント基板B11の配線により形成される渦巻き状のコイルB12によって構成される。1個のICチップB13で構成された半導体集積回路装置B4には、ICチップB13にアンテナとなるコイルB12が接続される。リーダ・ライタB14からの電磁波を受けたアンテナL0(コイルB12)は、アンテナ端子LA及びLBに高周波の交流信号を出力する。交流信号は、部分的に情報信号(データ)によって変調されている。
【0038】
本発明は、典型的には外部と入出力のための端子を非接触型電子装置表面に持たない非接触型電子装置に適用される。もちろん、非接触型インターフェースと入出力端子の両方を持つデュアルタイプ非接触型電子装置に用いても良い。また、特に限定はされないが、半導体集積回路装置B4は、公知の半導体集積回路装置の製造技術によって、単結晶シリコン等のような1個の半導体基板上に形成される。
【0039】
図6は、本実施の形態1の半導体集積回路装置に搭載される電源回路及び送信回路(負荷変調回路)の基本構成例を示す回路図である。
【0040】
電源回路B5は、整流平滑機能及び出力電圧抑制機能を有しており、アンテナ端子LA及びLBには、非接触型電子装置内に搭載されるアンテナL0が接続される。また、ここではアンテナ端子LBをチップ内のグランド端子としても使用している。
【0041】
電源回路B5は、アンテナ端子LAと出力端子OUTの間に、ゲート端子とドレイン端子の間に抵抗R3と抵抗R4を直列接続したMOSトランジスタM1が接続され、演算増幅回路A1の非反転入力端子(+)には、出力端子OUTとグランド端子の間に直列接続された抵抗R6及びR7の接続点が接続され、反転入力端子(−)には、基準電圧V1が入力され、抵抗R3と抵抗R4の接続点とアンテナ端子LBの間に、ゲート端子がアンテナ端子LAに接続されたMOSトランジスタM2と、ゲート端子が前記演算増幅回路A1の出力端子に接続されたMOSトランジスタM3が直列接続され、MOSトランジスタM1のゲート端子とアンテナ端子LBの間に、ゲート端子がアンテナ端子LAに接続されたMOSトランジスタM4と、抵抗R5と、ゲート端子が前記演算増幅回路A1の出力端子に接続されたMOSトランジスタM5が直列接続された構成である。
【0042】
MOSトランジスタM1は、アンテナ端子LAの電位がグランド電位よりも高いときに、アンテナ端子LAから出力端子OUTに電流を流す整流素子として動作し、出力端子OUTとグランド端子の間に接続される電源間容量C1に電流を供給する。電源間容量C1によって平滑化された電源電圧VDDが内部回路B6に供給される。
【0043】
送信回路(負荷変調回路)B8は、アンテナ端子LAとグランド端子の間に接続され、ダイオードD1と、制御信号TXによって制御されるスイッチS1と、電流源I1とから構成され、制御信号TXによって、アンテナ端子LA及びLBの間に流れる電流を変化させる。
【0044】
図7に、図6に示した電源回路及び送信回路(負荷変調回路)における各端子電圧の電流−電圧特性を示す。
【0045】
電流(Current)軸(X軸)は、アンテナ端子LAに流れる電流I2の電流振幅を表し、電圧(Voltage)軸(Y軸)は、各端子の電圧振幅を表している。W7はアンテナ端子LA−LB間電圧を示し、W8は電源回路B5が出力端子OUTから出力する電源電圧VDDを示している。
【0046】
図6において、電源電圧VDDが所定のレベルより低い場合には、MOSトランジスタM3及びM5に電流が流れないため、抵抗R3及びR4の両端に電圧は発生しない。これより、MOSトランジスタM1は、ゲート端子とドレイン端子が接続された状態で整流動作を行うため、出力端子OUTにはアンテナ端子LAよりもMOSトランジスタM1のゲート・ソース間電圧Vgsだけ低い電圧が出力される。このとき、アンテナ端子には、主として内部回路B6の消費電流に応じた電流が流れている。
【0047】
電源電圧VDDが所定のレベルに達すると、MOSトランジスタM3及びM5は、電源電圧VDDに応じた電流を流す。ここで、MOSトランジスタM3及びM5のトランジスタサイズが等しいと仮定すれば、MOSトランジスタM3及びM4に流れる電流は等しい。更に、抵抗R4は抵抗R3に比べて非常に大きい抵抗値をもつと仮定すれば、アンテナ端子LAとMOSトランジスタM1のゲート端子の間に発生する電圧は、抵抗R4の両端に発生する電圧に近似される。これより、図7のアンテナ端子間電圧W7の傾きは、抵抗R4の半分に近似される。このときのアンテナ端子電圧の増加は抵抗R4の両端に発生される電圧VR4に近似される。
【0048】
ここで、MOSトランジスタM5のドレイン端子には抵抗R5が接続されているため、MOSトランジスタM5に流れる電流は、一定以上の電流は流れない。一方、MOSトランジスタM3のドレイン端子には抵抗が接続されていないことから、MOSトランジスタM3に流れる電流は、制限されることなく流れるため、MOSトランジスタM5の電流が飽和した後には、抵抗R3だけに大きな電流が流れるように制御される。これより、図7のアンテナ端子間電圧の傾きは抵抗R3に近似される。つまり、MOSトランジスタM5の電流が飽和した後には、アンテナ端子電圧の増加は抵抗R3の両端に発生される電圧VR3に等しくなる。
【0049】
以上のことから、電源回路B5は、電源電圧VDDが所定の電圧に達し、電圧抑制動作が開始された直後は、電流変化に対してアンテナ端子間電圧波形W7の変化(電圧変化勾配)が大きく、更に入力電流が大きくなった場合には、電流変化に対してアンテナ端子間電圧波形W7の変化(電圧変化勾配)が小さくなる特性を持つ構成であることがわかる。
【0050】
図8に、図6に示した電源回路及び送信回路(負荷変調回路)において、送信回路をオン・オフしたときの各端子電圧の電流−電圧特性を示す。
【0051】
電流(Current)軸(X軸)は、アンテナ端子LAに流れる電流I2の電流振幅を表し、電圧(Voltage)軸(Y軸)は、各端子の電圧振幅を表している。W7は送信回路B8がオフしているときのアンテナ端子間電圧、W9は送信回路B8がオンしているときのアンテナ端子間電圧、W8は送信回路B8がオフしているときの電源回路B5の出力電圧、W10は送信回路B8がオンしているときの電源回路B5の出力電圧をそれぞれ示している。更に、図3と同様に、W5及びW6は、図1に示したアンテナ両側端子から出力される電流−電圧特性の一例を示しており、W5は近距離通信時における電流−電圧特性、W6は遠距離通信時における電流−電圧特性をそれぞれ表している。電流−電圧特性W6の方が、図1及び図2で示した出力抵抗R0が大きいことを表している。
【0052】
図3と同様に、送信回路B8がオンしたときのアンテナ端子間電圧W9の波形は、送信回路B8がオフしているときのアンテナ端子間電圧W7の波形を、電流軸(X軸)方向に、送信回路B8の出力電流I1だけシフトした特性であると考えることができる。更に、アンテナの出力特性を示す電流−電圧特性W5及びW6との交点がそれぞれの条件における動作点となることから、電流−電圧特性W5及びW6とアンテナ端子間電圧W9との交点が、送信回路B8がオンのときの動作点を、電流−電圧特性W5及びW6とアンテナ端子間電圧W7との交点が、送信回路B8がオフのときの動作点をそれぞれ示し、この2つの動作点における電流の差分が、送信回路B8のオン・オフによってアンテナ端子に出力される電流変化ΔI2c及びΔI2dになる。
【0053】
これより、傾きが大きい電流−電圧特性W6における電流変化ΔI2dの方が、傾きが小さい電流−電圧特性W5における電流変化ΔI2cより大きいことから、送信回路B8がオフしているときにアンテナ端子間電圧W7の傾きが抵抗R4の半分に近似できる領域で動作する場合は、送信回路B8が発生する電流変化I1の減衰を抑えることができることが確認できる。これは、前述の(式1)における右辺の係数を大きくできることを示している。
【0054】
以上のことから、アンテナに流れる電流が小さい領域においてはアンテナ端子間電圧の変化を急峻にし、アンテナに流れる電流が大きい領域においてはアンテナ端子間電圧の変化を緩やかにすることで、遠距離通信時においても、大きな電流変化を出力することができ、リーダ・ライタへの安定したデータ送信を実現することが可能になる。
【0055】
ここでは、MOSトランジスタM3及びM5のトランジスタサイズが等しく、抵抗R4は抵抗R3に比べて非常に大きいと仮定したが、これは特に限定されるものではない。例えば、MOSトランジスタM3よりもMOSトランジスタM5のトランジスタサイズを非常に大きくし、抵抗R3と抵抗R4を等しくしても良い。
【0056】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2による半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成例を示す回路図である。本実施の形態2では、前記図6の実施の形態1における電源回路の変形例が示されている。
【0057】
図9に示す電源回路は、アンテナ端子LAとアンテナ端子LBの間に、ゲート端子がアンテナ端子LBに接続されたMOSトランジスタM6とゲート端子がアンテナ端子LAに接続されたMOSトランジスタM7を直列接続し、MOSトランジスタM6とM7の接続点をグランド端子としている。また、アンテナ端子LAと出力端子OUT及びグランド端子に接続された電源回路B15とアンテナ端子LBと出力端子OUT及びグランド端子に接続された電源回路B16は、それぞれ、図6で示した電源回路B5と同等の構成であり、MOSトランジスタM3,M5、抵抗R5,R6,R7、電源間容量C1、演算増幅回路A1が共通化されている。
【0058】
ここでは、MOSトランジスタM1及びM8が高電位側の整流素子(ダイオード)として動作し、MOSトランジスタM6及びM7が低電位側の整流素子として動作する全波整流回路を構成している。
【0059】
これにより、図6に示した電源回路と同様の効果を得ると共に、全波整流回路を適用したことで、出力電圧のリップルを低減することが可能になる。
【0060】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成例を示す回路図である。本実施の形態3では、前記図6の実施の形態1の変形例が示されている。
【0061】
図6と同様に、電源回路B17は、整流平滑機能及び出力電圧抑制機能を有しており、アンテナ端子LA及びLBには、非接触型電子装置内に搭載されるアンテナが接続される。また、ここではアンテナ端子LBをチップ内のグランド端子としても使用しており、出力端子OUTには、アンテナ端子LBを基準とした電源電圧VDDが得られ、内部回路B6に供給される。
【0062】
電源回路B17は、アンテナ端子LAと出力端子OUTの間に、ゲート端子とドレイン端子の間に抵抗R8を接続したMOSトランジスタM9と抵抗R9が接続され、演算増幅回路A1の非反転入力端子(+)には、出力端子OUTとアンテナ端子LBの間に直列接続された抵抗R6及びR7の接続点が接続され、反転入力端子(−)には、基準電圧V1が入力され、出力端子OUTとアンテナ端子LBの間に、ゲート端子が前記演算増幅回路A1の出力端子に接続されたMOSトランジスタM12が接続され、MOSトランジスタM9のゲート端子とアンテナ端子LBの間に、ゲート端子がアンテナ端子LAに接続されたMOSトランジスタM10と、抵抗R10と、ゲート端子が前記演算増幅回路A1の出力端子に接続されたMOSトランジスタM11が直列接続された構成である。
【0063】
MOSトランジスタM9は、アンテナ端子LAの電位がアンテナ端子LBの電位よりも高いときに、アンテナ端子LAから出力端子OUTに電流を流す整流素子として動作し、抵抗R9を介して、出力端子OUTとアンテナ端子LBの間に接続される電源間容量C1に電流を供給する。電源間容量C1によって平滑化された電源電圧VDDが内部回路B6に供給される。
【0064】
送信回路B8は、図6と同様に、アンテナ端子LAとアンテナ端子LBの間に接続され、ダイオードD1と、制御信号TXによって制御されるスイッチS1と、電流源I1とから構成され、制御信号TXによって、アンテナ端子LA及びLBの間に流れる電流を変化させる。
【0065】
図10の電源回路B17では、整流素子として動作するMOSトランジスタM9と抵抗R9が直列接続されるため、出力端子OUTから得られる電源電圧VDDが所定の電圧に達するまでの整流素子の順方向電圧が大きくなるという違いはあるが、図6に示した電源回路B5と同様な動作を実現することができる。
【0066】
更に、電源回路B17は、MOSトランジスタM11及びM12のドレイン端子に印加される電圧が小さくなるため、MOSトランジスタM11及びM12に必要な素子耐圧が緩和される特徴を有する。
【0067】
これにより、MOSトランジスタM11及びM12には、同じトランジスタで大きな電流を流すことができるゲート酸化膜の薄いMOSトランジスタを使用できるため、MOSトランジスタM11及びM12のトランジスタサイズを小さくすることができ、チップ面積を縮小することが可能になる。
【0068】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成例を示す回路図である。本実施の形態4では、前記図10の実施の形態3における電源回路の変形例が示されている。
【0069】
図9と同様に、アンテナ端子LAとアンテナ端子LBの間に、ゲート端子がアンテナ端子LBに接続されたMOSトランジスタM13とゲート端子がアンテナ端子LAに接続されたMOSトランジスタM14を直列接続し、MOSトランジスタM13とM14の接続点をグランド端子としている。また、アンテナ端子LAと出力端子OUT及びグランド端子に接続された電源回路B18とアンテナ端子LBと出力端子OUT及びグランド端子に接続された電源回路B19は、図10で示した電源回路B17と同等の構成であり、MOSトランジスタM11,M12、抵抗R6,R7,R10、電源間容量C1、演算増幅回路A1が共通化されている。
【0070】
ここで、MOSトランジスタM9及びM15が高電位側の整流素子として動作し、MOSトランジスタM13及びM14が低電位側の整流素子として動作する全波整流回路を構成している。
【0071】
これにより、図10に示した電源回路と同様の効果を得ると共に、全波整流回路を適用したことで、出力電圧のリップルを低減することが可能になる。
【0072】
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成例を示す回路図である。本実施の形態5では、前記図11の実施の形態4の変形例が示されている。
【0073】
図12に示す電源回路は、図11に示した電源回路における抵抗R9及び抵抗R11を共通化した構成である。図11において抵抗R9及びR11には大電流が流れるため、電流密度を考慮すると、抵抗幅を広くする必要があり、チップ上における占有面積は大きい。
【0074】
抵抗R9及びR11に着目すれば、抵抗R9に電流が流れるのは、アンテナ端子LAの電位が出力端子OUTより高いときだけであり、抵抗R11に電流が流れるのは、アンテナ端子LBの電位が出力端子OUTより高いときだけであるため、抵抗R9及びR11に、同時に電流が流れることはない。
【0075】
したがって、図12のように、抵抗R9及びR11を共通化した抵抗R12を挿入することで、大電流が流れる抵抗を1つにすることが可能になる。これより、面積占有率の大きい抵抗を半減することができるため、チップ面積を縮小することが可能になる。
【0076】
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成例を示す回路図である。本実施の形態6では、前記図9を例に、負荷変調機能(送信回路B8)を付加した電源回路が示されている。
【0077】
図13に示す電源回路は、図9に示した電源回路の抵抗R5とMOSトランジスタM5の間にMOSトランジスタM16を挿入した構成であり、MOSトランジスタM16を制御信号TXによってオンすることで、負荷変調機能がオフした状態を実現し、MOSトランジスタM16を制御信号TXによってオフすることで、負荷変調機能がオンした状態を実現するものである。
【0078】
図14には、図13に示した負荷変調機能を有する電源回路において、MOSトランジスタM16をオン・オフしたときの各端子電圧の電流−電圧特性を示す。
【0079】
電流(Current)軸(X軸)は、アンテナ端子に流れる電流I2の電流振幅を表し、電圧(Voltage)軸(Y軸)は、各端子の電圧振幅を表している。W7はMOSトランジスタM16がオンしているときのアンテナ端子LA−LB間電圧、W11はMOSトランジスタM16がオフしているときのアンテナ端子LA−LB間電圧、W12は出力端子OUTに得られる電源電圧VDDを示している。
【0080】
図3及び図8と同様に、アンテナの出力特性を示す電流−電圧特性W5及びW6との交点がそれぞれの条件における動作点となることから、電流−電圧特性W5及びW6とアンテナ端子間電圧W7の波形との交点が、MOSトランジスタM16がオンしたときの動作点を、電流−電圧特性W5及びW6とアンテナ端子間電圧W11の波形との交点が、MOSトランジスタM16がオフしたときの動作点をそれぞれ示し、この2つの動作点における電流の差分が、MOSトランジスタM16のオン・オフによってアンテナ端子に出力される電流変化ΔI2e及びΔI2fになる。
【0081】
これより、電流−電圧特性W6のように、その傾きが大きくなる遠距離通信時においても、アンテナ端子に大きな電流変化を発生することができ、リーダ・ライタへの安定したデータ送信を実現することが可能になる。また、本回路構成にすることで、MOSトランジスタM16を追加するだけで、負荷変調機能を実現することができるため、チップ面積を縮小することが可能になる。
【0082】
ここでは、図9を例に、電源回路への負荷変調機能の付加手段を示したが、もちろん、図6、図10、図11、図12に示した回路に適用することも可能である。
【0083】
(実施の形態7)
図15は、本発明の実施の形態7に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成例を示す回路図である。本実施の形態7では、前記図6の抵抗R5の変形例が示されている。
【0084】
図15に示す電源回路は、図6に示した電源回路における抵抗R5を電流制限回路B20に置き換えたものである。電流制限回路B20は、出力端子OUTとグランド端子の間に電流源I3と、ゲート端子とドレイン端子を接続したMOSトランジスタM17を直列接続し、電流源I3とMOSトランジスタM17の接続点にゲート端子を接続したMOSトランジスタM18によって構成される。
【0085】
図6において、抵抗R5は、MOSトランジスタM5に流れる電流を制限する機能を実現するものであった。このとき、MOSトランジスタM5に流れる電流が制限される電流レベルは、MOSトランジスタM1やM4のしきい値電圧や温度によって変化する。
【0086】
ここで、図6の抵抗R5を上記電流制限回路B20に置き換え、電流源I3に温度依存性の小さい電流源を使用することで、図6と同等の機能を実現すると共に、特性誤差を低減することが可能になる。
【0087】
ここでは、図6を例に電流制限回路B20の適用例を示したが、もちろん、図9、図10、図11、図12、図13に示した回路に適用することも可能である。
【0088】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0089】
すなわち、本発明に係る半導体集積回路装置及びそれを用いた非接触型電子装置は、アンテナと、整流機能と、負荷変調機能と、レギュレータ機能を具備し、前記レギュレータ機能は、非接触型電子装置に供給される電力が小さいときには、アンテナに流れる電流に対するアンテナの両端に発生する電圧の変化が大きくなり、非接触型電子装置に供給される電力が大きいときには、アンテナに流れる電流に対するアンテナの両端に発生する電圧の変化が小さくなるという特性を有することで、特に、非接触型電子装置とリーダ・ライタとの通信距離が遠い場合での、非接触型電子装置からリーダ・ライタへのデータ送信において、大きな負荷変調電流を発生することが可能になる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0091】
例えば、前記実施の形態においては、電源回路をN型MOSトランジスタによって構成したが、P型MOSトランジスタを用いてもよい。また、MOSトランジスタに限らず、バイポーラトランジスタ等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、ICカードやICタグを代表とする非接触型電子装置に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】リーダ・ライタから電磁波の形態で供給される電力を非接触型電子装置に備えられるアンテナで受信したときに、アンテナ両側端子から出力される電流−電圧特性を示す図である。
【図2】図1のアンテナ両側端子から出力される電流−電圧特性を表す等価回路と、非接触型電子装置に搭載される電源回路及び負荷変調回路を示す図である。
【図3】図2における各端子電圧の電流−電圧特性の一例を示す図である。。
【図4】本発明の実施の形態1に係る半導体集積回路装置及び非接触型電子装置の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る半導体集積回路装置を有する非接触型電子装置の配線基板及びリーダ・ライタの構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路及び負荷変調回路の構成を示す回路図である。
【図7】図6に示した電源回路及び負荷変調回路における各端子電圧の電流−電圧特性を示す図である。
【図8】図6に示した電源回路及び負荷変調回路における負荷変調回路をオン・オフしたときの各端子電圧の電流−電圧特性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成を示す回路図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成を示す回路図である。
【図12】本発明の実施の形態5に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成を示す回路図である。
【図13】本発明の実施の形態6に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成を示す回路図である。
【図14】図13に示した負荷変調機能を有する電源回路におけるスイッチをオン・オフしたときの各端子電圧の電流−電圧特性を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態7に係る半導体集積回路装置に搭載される電源回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0094】
A1 演算増幅回路
B0 等価回路
B1,B5,B15,B16,B17,B18,B19 電源回路
B2 負荷変調回路
B3 非接触型電子装置
B4 半導体集積回路装置
B6,B31 内部回路
B7 受信回路
B8 送信回路
B9 制御部
B10 メモリ
B11 プリント基板
B12 コイル
B13 ICチップ
B14 リーダ・ライタ
B20 電流制限回路
C0 共振容量
C1 電源間容量
D1,D2 ダイオード
E0 電圧源
L0 アンテナ
LA,LB アンテナ端子
M1〜M18 MOSトランジスタ
OUT 出力端子
R3〜R12 抵抗
TX 制御信号
VDD 電源電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナが接続される第1及び第2のアンテナ端子と、
前記第1及び第2のアンテナ端子間の信号の整流及び電圧制御を行う電源回路と、
前記第1及び第2のアンテナ端子間の信号の変調を行う負荷変調回路とを有し、
前記電源回路の出力電圧が所定の電圧に達して電圧抑制動作が働いている領域における前記第1及び第2のアンテナ端子間の電流−電圧特性は、
第1の電流領域における電圧変化勾配が、前記第1の電流領域よりも高電流の第2の電流領域における電圧変化勾配よりも大きいことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記負荷変調回路は、
前記電圧抑制動作が働いている領域における前記第1及び第2のアンテナ端子間の電流−電圧特性を、
前記第1の電流領域における電圧変化勾配が、前記第2の電流領域における電圧変化勾配よりも大きい第1の特性、
前記第1の電流領域における電圧変化勾配と、前記第2の電流領域における電圧変化勾配とが等しい第2の特性、のいずれかに切り換える機能を有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記電源回路は、第1の電圧制御回路と第1の電圧検出回路を有し、
前記第1の電圧制御回路は、第1の入力端子と第1の出力端子を具備し、
前記第1の入力端子と前記第1の出力端子の間に、
ゲート端子とドレイン端子の間に第1の抵抗と第2の抵抗を直列接続した第1のMOSトランジスタを接続し、
前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の接続点とグランド端子の間に、
ゲート端子を前記第1の入力端子に接続した第2のMOSトランジスタと、第3のMOSトランジスタを直列接続し、
前記第1のMOSトランジスタのゲート端子と前記グランド端子の間に、
ゲート端子を前記第1の入力端子に接続した第4のMOSトランジスタと、電流制限回路と、第5のMOSトランジスタを直列接続し、
前記第3のMOSトランジスタと前記第5のMOSトランジスタのゲート端子は、前記第1の電圧検出回路の出力端子に接続され、
前記電流制限回路は、前記第5のMOSトランジスタのドレイン端子−ソース端子間を流れる電流を制限することで、前記第2の抵抗に発生し得る電圧を制限し、
前記第1の電圧制御回路の第1の入力端子は前記第1のアンテナ端子に接続され、
前記第1の電圧制御回路の第1の出力端子は電源端子に接続され、
前記第1の電圧検出回路は、
前記電源端子と前記グランド端子の間に発生する電源電圧に応じた電圧を出力することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体集積回路装置において、
前記電源回路は、さらに、第2の電圧制御回路と、第1の整流素子と、第2の整流素子とを有し、
前記第2の電圧制御回路は、第2の入力端子と第2の出力端子を具備し、
前記第2の電圧制御回路の第2の入力端子は前記第2のアンテナ端子に接続され、
前記第2の電圧制御回路の第2の出力端子は前記電源端子に接続され、
前記第1のアンテナ端子と前記グランド端子の間に前記第1の整流素子が接続され、
前記第2のアンテナ端子と前記グランド端子の間に前記第2の整流素子が接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項3記載の半導体集積回路装置において、
前記電流制限回路は、第5の抵抗であることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項3記載の半導体集積回路装置において、
前記電流制限回路は、直列接続された第5の抵抗と第10のMOSトランジスタから成り、
前記第10のMOSトランジスタは、前記負荷変調回路を兼ねることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項3記載の半導体集積回路装置において、
前記第2の抵抗の抵抗値は、前記第1の抵抗の抵抗値よりも大きいことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記電源回路は、第3の電圧制御回路と第1の電圧検出回路から構成され、
前記第3の電圧制御回路は、第3の入力端子と第3の出力端子を具備し、
前記第3の入力端子と前記第3の出力端子の間に、
ゲート端子とドレイン端子の間に第3の抵抗を接続した第6のMOSトランジスタを接続し、
前記第3の出力端子とグランド端子の間に、第7のMOSトランジスタを接続し、
前記第6のMOSトランジスタのゲート端子とグランド端子の間に、
ゲート端子を前記第3の入力端子に接続した第8のMOSトランジスタと、電流制限回路と、第9のMOSトランジスタを直列接続し、
前記第7のMOSトランジスタと前記第9のMOSトランジスタは、前記第1の電圧検出回路の出力端子に接続され、
前記第3の電圧制御回路の前記第3の入力端子は前記第1のアンテナ端子に接続され、
前記第3の電圧制御回路の前記第3の出力端子と電源端子の間に第4の抵抗が接続され、
前記電流制限回路は、前記第9のMOSトランジスタのドレイン端子−ソース端子間を流れる電流を制限することで、前記第3の抵抗に発生し得る電圧を制限し、
前記第1の電圧検出回路は、
前記電源端子と前記グランド端子の間に発生する電源電圧に応じた電圧を出力することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体集積回路装置において、
前記電源回路は、さらに、第4の電圧制御回路と、第1の整流素子と、第2の整流素子とを有し、
前記第4の電圧制御回路は、第4の入力端子と第4の出力端子を具備し、
前記第4の電圧制御回路の第4の入力端子は前記第2のアンテナ端子に接続され、
前記第4の電圧制御回路の第4の出力端子は前記電源端子に接続され、
前記第1のアンテナ端子と前記グランド端子の間に前記第1の整流素子が接続され、
前記第2のアンテナ端子と前記グランド端子の間に前記第2の整流素子が接続されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体集積回路装置において、
前記電流制限回路は、第5の抵抗であることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項8記載の半導体集積回路装置において、
前記電流制限回路は、直列接続された第5の抵抗と第10のMOSトランジスタから成り、
前記第10のMOSトランジスタは、前記負荷変調回路を兼ねることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置と、
前記第1及び第2のアンテナ端子に接続されるアンテナと、を有することを特徴とする非接触型電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−293423(P2007−293423A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117852(P2006−117852)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】