半田ボール搭載装置
【課題】 直径200μm以下の微細な半田ボールを接続パッドに搭載することができる半田ボール搭載装置を提供する。
【解決手段】 ボール整列用マスク16の上方に位置させた搭載筒24から空気を吸引することで、半田ボール78sを集合させる。搭載筒24を水平方向に移動させることで、集合させた半田ボール78sをボール整列用マスク16の上に転動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10の接続パッド75へ落下させる。搭載筒24は、整流板25が設けられているため、気流の乱れによって、半田ボールが舞い上がることが無いので、舞い上がった半田ボールが落下して接続パッドに搭載された半田ボールを弾き出すことが無くなり、接続パッド75に半田ボール78sを確実に搭載することができる。
【解決手段】 ボール整列用マスク16の上方に位置させた搭載筒24から空気を吸引することで、半田ボール78sを集合させる。搭載筒24を水平方向に移動させることで、集合させた半田ボール78sをボール整列用マスク16の上に転動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10の接続パッド75へ落下させる。搭載筒24は、整流板25が設けられているため、気流の乱れによって、半田ボールが舞い上がることが無いので、舞い上がった半田ボールが落下して接続パッドに搭載された半田ボールを弾き出すことが無くなり、接続パッド75に半田ボール78sを確実に搭載することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板に搭載するための半田ボール搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板とICチップとの電気接続のために半田バンプが用いられている。半田バンプは、以下の工程により形成されている。
(1)パッケージ基板に形成された接続パッドにフラックスを印刷する工程。
(2)フラックスの印刷された接続パッドに、半田ボールを搭載する工程。
(3)リフローを行い半田ボールから半田バンプを形成する工程。
【0003】
上述した半田ボールを接続パッドに搭載する工程では、プリント配線板上に接続パッドと対向した位置に開口の設けられたボール整列用マスクを載置し、スキージで半田ボールを接続パッド上に落下させていた。しかしながら、スキージを用いる方法では、半田ボールが直径200μmΦ未満の砂粒よりも小径になると、半田バンプの高さのばらつきがでて品質が低下していた。
【0004】
このため、本出願人は、特許文献1において、空気を吸引する筒部材を用いて負圧によって該筒部材の下方に集合させ、該筒部材を移動することで半田ボールをボール整列用マスク上に送り、ボール整列用マスクの開口下の接続パッドに落下させて半田ボールを搭載させる半田ボール搭載装置を提案した。
【特許文献1】特開2006−73999号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の半田ボール搭載装置を用いても、半田ボールが未搭載の接続パッドが発生することがあり、プリント配線板の歩留まりを高めることは困難であった。この原因を本発明者が検討した結果、小径の半田ボールを誘導できるよう筒部材とボール整列用マスクとの間のクリアランスを狭くし、気流の速度を高めているため、該筒部材の内部で乱気流が発生し、気流の早い部分で半田ボールが舞い上がり、舞い上がった半田ボールが落下して一旦搭載された接続パッド上の半田ボールに衝突し、該半田ボールを弾き出して接続パッド上に未搭載となっていることが分かった。また、接続パッド上の半田ボールに乱気流に巻かれた半田ボールが衝突し付着して、接続パッド上に複数の半田ボールが乗った状態となって、係る接続パッド上でリフローの際に半田バンプの高さが高くなっていることが判明した。
【0006】
本発明の目的は、直径200μmΦ未満の半田ボールを接続パッドへ確実に搭載することができる半田ボール搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板の電極に搭載する半田ボール搭載装置であって、
プリント配線板の電極に対応する複数の開口を備えるボール整列用マスクと、
ボール整列用マスクの上方に位置し、開口部から空気を吸引することで開口部直下に半田ボールを集合させる筒部材と、
該筒部材を該ボール整列用マスクに対して水平方向に相対移動させる移動機構であって、該筒部材を移動させることで該ボール整列用マスクの上に集合させた半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の電極へ落下させる移動機構と、
該筒部材の内部に設けられる整流板とを備え、該整流板は、該筒部材の内壁で形成される内部空間に少なくとも一部が位置してなることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の半田ボール搭載装置によれば、ボール整列用マスクの上方に筒部材を位置させ、該筒部材の開口部から空気を吸引することで半田ボールを集合させ、筒部材を水平方向に移動させることで、集合させた半田ボールをボール整列用マスク上を移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ落下させる。このため、微細な半田ボールを確実にプリント配線板の全ての接続パッドに搭載させることができる。また、半田ボールを非接触で移動させるため、スキージを用いる場合とは異なり、半田ボールに傷を付けることなく接続パッドに搭載でき、半田バンプの高さを均一にすることができる。更に、ビルドアップ多層配線板の様に、表面に起伏の多いプリント配線板でも半田ボールを接続パッドに適切に載置させることができる。
【0009】
ここで、筒部材には、内部に空気を整流する整流板が設けられているため、気流の乱れによって、半田ボールが舞い上がることが無いので、舞い上がった半田ボールが落下して接続パッドに搭載された半田ボールを弾き出すことが無くなり、接続パッドに半田ボールを確実に搭載することができる。更に、接続パッド上の半田ボールに乱気流に巻かれた半田ボールが衝突し付着して接続パッド上に複数の半田ボールが乗った状態となることが無いので、接続パッド上の半田バンプの高さを均一にすることができる。また更に、乱気流によって半田ボールの吸い込みが阻害されなくなって筒部材下端開口周囲の流速を一定に保てる。そして、乱気流によって半田ボールが半田ボール搭載装置の外に飛び出されることが無くなる。
【0010】
請求項1の半田ボール搭載装置では、整流板により筒部材内部での気流を筒の長さ方向に一定に調整でき、乱気流の発生を抑えることができる。
【0011】
請求項2の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の内壁と一体で設けられているため、筒部材と整流板との接合部で乱気流が生じることが無い。
【0012】
請求項3の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の内壁と別体で設けられているため、整流板を後から筒部材に取り付けることができ、製造し易い。
【0013】
請求項4の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成されているため、整流板が気流の大きな抵抗とならず、筒部材内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え筒部材下端開口周囲の流速を一定に保つことができる。
【0014】
請求項5の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の中央部に至たらない突出幅に形成されているため、整流板が気流の大きな抵抗とならず、筒部材内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え筒部材下端開口周囲の流速を一定に保つことができる。
【0015】
請求項6の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の中央部で交差する十字形状に形成されている。このため、気流に対しての抵抗は相対的に大きくなるものの、筒部材の下端開口での気流を均一にし易く、乱気流の発生を抑えながら、筒部材の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0016】
請求項7の半田ボール搭載装置では、整流板が、碁盤目形状に形成されている。このため、気流に対する抵抗は大きくなるものの、筒部材の下端開口での気流を均一にでき、乱気流の発生を抑えながら、筒部材の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0017】
請求項8の半田ボール搭載装置では、整流板の下端が、筒部材の下端から離間して上方に形成されている。ここで、整流板の下端が筒部材の下端(開口)まで延在していると、該開口において乱気流が発生することになるが、この開口での乱気流の発生を防ぐことができる。
【0018】
請求項9の半田ボール搭載装置では、整流板の下端が、筒部材の下端から、該筒部材の全長の1/40以上であって、1/20未満離間して上方に形成されているため、筒部材の開口での乱気流の発生を防ぐことができる。ここで、離間距離が1/40未満では、整流板の下端からマスクまでの距離が極端に小さくなり、整流板の下端からの半田ボールの跳ね返りにより、搭載率が低くなる可能性が高い。他方、1/20以上であると、整流板が機能せず、筒部材の開口部付近で乱気流が発生する。
【0019】
請求項10の半田ボール搭載装置では、整流板が、筒部材の内壁に、該筒部材の全長の1/3〜9/10の長さで配置されているため、筒部材での乱気流の発生を防ぐことができる。整流板が、筒部材の全長の1/3未満であると、筒部材での乱気流の発生を抑えることができない。他方、9/10を越えると、筒部材の上端で乱気流が発生することとなり、また、筒部材の気流に対する抵抗が大きくなって、半田ボールを集合させるための流速を高める必要が生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず、本発明の実施例に係る半田ボール搭載装置を用いて製造する多層プリント配線板10の構成について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、該多層プリント配線板10の断面図を、図7は、図6に示す多層プリント配線板10にICチップ90を取り付け、ドータボード94へ載置した状態を示している。図6に示すように多層プリント配線板10では、コア基板30の両面に導体回路34が形成されている。コア基板30の上面と裏面とはスルーホール36を介して接続されている。
【0021】
更に、コア基板30の導体回路34の上に層間樹脂絶縁層50を介して導体回路層を形成する導体回路58が形成されている。導体回路58は、バイアホール60を介して導体回路34と接続されている。導体回路58の上に層間樹脂絶縁層150を介して導体回路158が形成されている。導体回路158は、層間樹脂絶縁層150に形成されたバイアホール160を介して導体回路58に接続されている。
【0022】
バイアホール160、導体回路158の上層にはソルダーレジスト層70が形成されており、該ソルダーレジスト層70の開口71にニッケルめっき層72及び金めっき層74を設けることで、接続パッド75が形成されている。上面の接続パッド75上には半田バンプ78Uが、下面の接続パッド75上にはBGA(ボールグリッドアレー)78Dが形成されている。
【0023】
図7中に示すように、多層プリント配線板10の上面側の半田バンプ78Uは、ICチップ90のランド92へ接続される。一方、下側のBGA78Dは、ドータボード94のランド96へ接続されている。
【0024】
図8は、多数個取り用の多層プリント配線板10Aの平面図である。多層プリント配線板10Aは、マトリクス状に接続パッド75が配列された接続パッド領域75Aを備える個々の多層プリント配線板10を、図中の一点鎖線で切断することで切り分ける。図5は、多数個取り用の多層プリント配線板10Aに半田バンプを形成する工程の説明図であり、図8中のY1−Y1断面図に相当する。図5(A)に示すように表面のソルダーレジスト層70の開口71に接続パッド75を形成した多層プリント配線板10Aの表面にフラックス80を印刷する。図5(B)に示すように多層プリント配線板10Aの上側の接続パッド75上に後述する半田ボール搭載装置を用いて微少な半田ボール78s(例えば日立金属社製、タムラ社製、直径40μmΦ以上、200μmΦ未満)を搭載する。ファイン化対応のため直径200μmΦ未満の半田ボールが望ましい。直径40μmΦ未満では半田ボールが軽すぎるため接続パッド上に落下しない。一方、直径200μmを越えると逆に重すぎるため筒部材内に半田ボールを集合させることができず、半田ボールが載っていない接続パッドが存在するようになる。本発明では、直径40μmΦ以上直径200μmΦ未満の半田ボールを使う意義が高い。この範囲ではファイン化に有利である。また、吸着ヘッドで半田ボールを吸着して接続パッド上に半田ボールを搭載する方法では、半田ボールが小さいので吸着するのが困難になるため、実施例の半田ボール搭載装置の優位性が明らかになる。
【0025】
その後、図5(C)に示すように多層プリント配線板10Aの下側の接続パッド75上に、従来技術(例えば、特許1975429号)に係る吸着ヘッドで通常径(直径250μm)の半田ボール78Lを吸着して載置する。その後、リフロー炉で過熱し、図6に示すように多層プリント配線板10Aの上側に60μm以上200μm未満ピッチで半田バンプ78Uを、例えば500〜30000個、下側に2mmピッチでBGA78Dを、例えば250個形成する。60μmピッチ未満となると、そのピッチに適した半田ボールを製造するのが困難になる。200μmピッチ以上になると、本半田ボール搭載装置においても何ら問題なく製造できるが、従来技術の方法でも製造可能である。更に、図7に示すように、多数個取り用の多層プリント配線板10Aを個片の多層プリント配線板10に切り分けてから、リフローにより半田バンプ78Uを介してICチップ90を搭載させた後、ICチップ90を搭載した多層プリント配線板10を、BGA78Dを介してドータボード94へ取り付ける。
【0026】
図5(B)を参照して上述した多層プリント配線板の接続パッド上に微少(直径200μmΦ未満)な半田ボール78sを搭載する半田ボール搭載装置について、図1を参照して説明する。
図1(A)は、本発明の実施例に係る半田ボール搭載装置の構成を示す構成図であり、図1(B)は、図1(A)の半田ボール搭載装置を矢印B側から見た矢視図である。
【0027】
半田ボール搭載装置20は、多層プリント配線板10Aを位置決め保持するXYθ吸引テーブル14と、該XYθ吸引テーブル14を昇降する上下移動軸12と、多層プリント配線板の接続パッド75に対応する開口を備えるボール整列用マスク16と、ボール整列用マスク16上を移動する半田ボールを誘導する搭載筒(筒部材)24と、搭載筒24に負圧を与える吸引ボックス26と、余剰の半田ボールを回収するための吸着ボール除去筒61と、該吸着ボール除去筒61に負圧を与える吸引ボックス66と、回収した半田ボールを保持する吸着ボール除去吸引装置68と、ボール整列用マスク16をクランプするマスククランプ44と、搭載筒24及び吸着ボール除去筒61をX方向へ送るX方向移動軸40と、X方向移動軸40を支持する移動軸支持ガイド42と、多層プリント配線板10を撮像するためのアライメントカメラ46と、搭載筒24下にある半田ボールの残量を検出する残量検出センサ18と、残量検出センサ18により検出された残量に基づき半田ボールを搭載筒24側へ供給する半田ボール供給装置22と、を備える。図1に示す半田ボール搭載装置20では、搭載筒24及び吸着ボール除去筒61をX方向へ送るX方向移動軸40のみ示したが、Y方向へ送る移動機構を備えることも可能である。
【0028】
実施例1では、搭載筒24がSUSステンレス、Ni、Cu等の導電性金属で構成され、半田ボール搭載装置20側にアースされている。ここで、半田ボールをボール整列用マスク16上に移動させて送る際に、相互の衝突により半田ボールが帯電しても、小径で軽量な半田ボールが、静電気により搭載筒24へ付着することがなく、半田ボールをプリント配線板に確実に搭載することができる。
【0029】
図8の平面図に示すように多数個取り用の多層プリント配線板10Aの上に、半田ボール搭載装置20の搭載筒24は、個々の接続パッド領域75Aに対応させてY方向へ複数並べてある。なお、ここでは、1の接続パッド領域75Aに1の搭載筒24を対応させたが、搭載筒24を複数の接続パッド領域75Aに対応した大きさにしてもよい。ここで、Y方向は便宜的であり、X方向に並べても良い。XYθ吸引テーブル14は、半田ボールの搭載される多層プリント配線板10を位置決め、吸着、保持、補正する。アライメントカメラ46は、XYθ吸引テーブル14上の多層プリント配線板10のアライメントマークを検出し、検出された位置に基づき、多層プリント配線板10とボール整列用マスク16との位置が調整される。残量検出センサ18は光学的な手法により半田ボールの残量を検出する。
【0030】
図9(A)は、図8中の実施例1に係る搭載筒24のB1−B1縦断面を示している。図8中の搭載筒24は、図9(A)中のA1−A1断面に相当する。
実施例1の搭載筒24は、長さL2が例えば200mmに形成され、下端の開口部2424Aが一辺24mmの正方形に形成されている。実施例1では、開口部24Aが正方形であるが、接続パッド領域75Aに対応する矩形形状でも、或いは、円形でも搭載筒24は同様に半田ボールを集合させることができる。搭載筒24の内部には整流板25が搭載筒24の長さ方向に沿って設けられている。長さL1(例えば、170mm)の整流板25の下端は、開口部24Aから間隔C1(例えば、12mm)離間して設けられている。該整流板25の下端は、気流の抵抗を下げるようにアールが付けられた断面楕円形状に形成され、また、拡大図中に示すように、キール状の角度が設けられている。整流板25は高さH1が例えば20mmで、幅W1が15mmに形成されている。この整流板25により搭載筒24内部での気流が一定になり、乱気流の発生が押さえられる。図9(B)は、実施例1の改変例を示す。改変例では、整流板25の長さL3が例えば70mmに形成されている。
【0031】
引き続き、半田ボール搭載装置20による半田ボールの搭載工程について図2〜図4を参照して説明する。
(1)多層プリント配線板の位置認識、補正
図2(A)に示すように多数個取り用の多層プリント配線板10Aのアライメントマーク34Mをアライメントカメラ46により認識し、ボール整列用マスク16に対して多層プリント配線板10Aの位置をXYθ吸引テーブル14によって補正する。即ち、ボール整列用マスク16の開口16aがそれぞれ多層プリント配線板10Aの接続パッド75に対応するように位置調整する。
【0032】
(2)半田ボール供給
図2(B)に示すように半田ボール供給装置22から半田ボール78sを搭載筒24側へ定量供給する。なお、予め搭載筒内に供給しておいても良い。
【0033】
(3)半田ボール搭載
図3(A)に示すように、ボール整列用マスク16の上方に、該ボール整列用マスクとの所定のクリアランス(例えば、ボール径の0.5〜4倍)を保ち搭載筒24を位置させ、空気を吸引して搭載筒内の風速を0.1m/sec〜2m/secとすることで、搭載筒24とボール整列用マスク16間の隙間の流速を5m/sec〜35m/secにして、当該搭載筒24の開口部24A直下のボール整列用マスク16上に半田ボール78sを集合させた。
【0034】
その後、図3(B)、図4(A)及び図8に示すように、図1(B)及び図1(A)に示す多層プリント配線板10AのY軸沿って並べられた搭載筒24を、X方向移動軸40を介してX軸に沿って水平方向へ送る。これにより、ボール整列用マスク16の上に集合させた半田ボール78sを搭載筒24の移動に伴い移動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10Aの接続パッド75へ落下、搭載させて行く。これにより、半田ボール78sが多層プリント配線板10A側の全接続パッド上に順次整列される。
【0035】
(4)付着半田ボール除去
図4(B)に示すように、搭載筒24により余剰の半田ボール78sをボール整列用マスク16上に開口16aの無い位置まで誘導した後、吸着ボール除去筒61により吸引除去する。
【0036】
(5)基板取り出し
XYθ吸引テーブル14から多層プリント配線板10Aを取り外す。
【0037】
本実施例の半田ボール搭載装置20によれば、ボール整列用マスク16の上方に搭載筒24を位置させ、該搭載筒24で空気を吸引することで半田ボール78sを集合させ、搭載筒24を水平方向に移動させることで、集合させた半田ボール78sをボール整列用マスク16の上を移動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10Aの接続パッド75へ落下させる。このため、微細な半田ボール78sを確実に多層プリント配線板10Aの全ての接続パッド75に搭載させることができる。また、半田ボール78sを非接触で移動させるため、スキージを用いる場合とは異なり、半田ボールを傷を付けることなく接続パッド75に搭載でき、半田バンプ78Uの高さを均一にすることができる。このため、IC等の電子部品の実装性、実装後のヒートサイクル試験、高温・高湿試験等の耐環境試験に優れる。更に、製品の平面度に依存しないので、表面に起伏の多いプリント配線板でも半田ボールを接続パッドに適切に載置させることができる。また、微少な半田ボールを確実に接続パッド上に載置することができるので、接続パッドピッチが60〜150μmピッチでソルダーレジストの開口径が40〜100μmのプリント配線板においても全てのバンプにおいてバンプ高さが安定した半田バンプとすることができる。
【0038】
更に、吸引力により半田ボールを誘導するため、半田ボールの凝集、付着を防止することができる。更に、搭載筒24の数を調整することで、種々の大きさのワーク(ワークシートサイズの多層プリント配線板)に対応することができるので、多品種、少量生産にも柔軟に適用することが可能である。
【0039】
本実施例の半田ボール搭載装置では、図1(B)に示すように搭載筒24をワーク(ワークシートサイズの多層プリント配線板)の幅に対応させてY方向へ複数並べてあるため、複数の搭載筒24を、列方向に対して垂直方向(X方向)へ送るだけで、半田ボールを確実に多層プリント配線板10Aの全ての接続パッド75に搭載させることができる。
【0040】
更に、吸着ボール除去筒61によりボール整列用マスク16上に残った半田ボール78sを回収できるので、余剰の半田ボールが残り、故障等の障害の原因となることがない。
【0041】
ここで、実施例1では搭載筒24に内部に空気を整流する整流板(整流装置)25が設けられているため、気流の乱れによって、半田ボール78sが舞い上がることがほとんど無いので、舞い上がった半田ボール78sが落下して接続パッド75に搭載された半田ボール78sを弾き出すことが無くなり、接続パッド75に半田ボール78sを確実に搭載することができる。また、半田ボール78s同士の衝突が抑制される。更に、接続パッド75上の半田ボール78sに乱気流に巻かれた半田ボール78sが衝突し付着して接続パッド75上に複数の半田ボール78sが乗った状態となることが無いので、接続パッド75上の半田バンプ78Uの高さを均一にすることができる。また更に、乱気流によって半田ボール78sの吸い込みが阻害されなくなって搭載筒24下端開口部24A周囲の流速を一定に保てる。そして、乱気流によって半田ボール78sが半田ボール搭載装置の外に飛び出されることが無くなる。
【0042】
実施例1の半田ボール搭載装置では、整流装置が搭載筒24に配置された複数の整流板25から成るため、搭載筒24内部での気流を筒の長さ方向に一定にでき、乱気流の発生を抑えることができる。
【0043】
実施例1の半田ボール搭載装置では、整流板25が搭載筒24の中央部に至たらない突出幅に形成されているため、整流板25が気流の大きな抵抗因子とならず、搭載筒24内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え搭載筒24下端開口部24A周囲の流速を一定に保つことができる。
【0044】
実施例1の半田ボール搭載装置では、整流板25の下端が、搭載筒24の下端から離間して上方に形成されている。ここで、整流板25の下端が搭載筒24の下端(開口部24A)まで延在していると、該開口部24Aにおいて乱気流が発生することになるが、この開口部24Aでの乱気流の発生を防ぐことができる。
【0045】
整流板25は、下端が、搭載筒24の下端から、該搭載筒24の全長の1/40以上であって、1/20未満の間隔C1分離間して上方に形成されることが好適である。これにより、搭載筒24の開口部24Aでの乱気流の発生を防ぐことができる。ここで、間隔C1が1/40未満では、整流板の下端からマスクまでの距離が極端に小さくなり、整流板の下端からの半田ボールの跳ね返りにより、搭載率が低くなる可能性が高い。他方、間隔C1が1/20以上であると、整流板が機能せず、筒部材の開口部24A付近で乱気流が発生する。
【0046】
また、整流板25の長さL1は、搭載筒24の全長L2の1/3〜9/10に設定することが好適である。これにより、搭載筒24での乱気流の発生を防ぐことができる。整流板25の長さL1が、搭載筒24の全長L2の1/3未満であると、搭載筒24での乱気流の発生を抑えることができない。他方、長さL1が全長L2に対して9/10を越えると、搭載筒24の上端で乱気流が発生することとなり、また、搭載筒24の気流に対する抵抗が大きくなって、半田ボール78sを集合させるための流速を高める必要が生じる。
【0047】
(1)プリント配線板の作製
出発材料として両面銅張積層板(例えば、日立化成工業株式会社製 MCL−E−67)を用い、この基板に周知の方法でスルーホール導体及び導体回路を形成した。その後、周知の方法(例えば、2000年6月20日 日刊工業新聞社発行の「ビルドアップ多層プリント配線板」(高木清著)で層間絶縁層と導体回路層とを交互に積層し、最外層の導体回路層において、ICへ電気的に接続するための接続パッド群を形成した。接続パッド群は、直径120μmΦの接続パッドを接続パッド領域(70mm2 :10mm×7mm)内に2000個形成し、その大半が150μmピッチで格子状に配置されている。ここで、バイアホールから成る接続パッド(バイアホールの直上に半田バンプを形成)は、フィルドビアが好ましく、その凹み量、凸量は、導体回路158の導体厚さに対し−5〜5μmの範囲が望ましい。フィルドビアの凹み量が5μmを越える(−5μm)と、半田ボールとフィルドビアからなる接続パッドの接点が少なくなるので、半田バンプとするとき濡れ性が悪くなり、半田内にボイドを巻き込んだり、未搭載(ミッシングバンプ)になりやすい。一方、5μmを越えると導体回路158の厚みが厚くなるので、ファイン化に向かない。その上に市販のソルダーレジストを形成し(膜厚20μm)、接続パッドを露出させるため、接続パッド上のソルダーレジストに、写真法で90μmΦの開口を形成した。
【0048】
(2)半田ボール搭載
(1)で作製したプリント配線板の表面(IC実装面)に市販のロジン系フラックスを塗布した。その後上述した本願発明の半田ボール搭載装置の吸着テーブルに搭載し、プリント配線板およびボール整列用マスクのアライメントマークをCCDカメラを用いて認識し、プリント配線板とボール整列用マスクを位置合わせした。ここで、ボール整列用マスクは、プリント配線板の接続パッドに対応した位置に直径110μmΦの開口を有するNi製のメタルマスクを用いた。メタルマスクの厚みは、半田ボールの1/4〜3/4が好ましい。ここでは、Ni製のメタルマスクを用いたが、SUS製やポリイミド製のボール整列用マスクを用いることも可能である。尚、ボール整列用マスクに形成する開口径は、使用するボールの径に対して1.1〜1.5倍が好ましい。次に、接続パッド領域に対応した大きさ(接続パッドが形成されている領域に対して1.1〜4倍)で、高さ200mmのSUS製の搭載筒を半田ボール径の0.5〜4倍のクリアランスを保ってメタルマスク(ボール整列用マスク)上に位置させ、その周囲近辺のボール整列用マスク上にボール直径80μmΦのSn63Pb37半田ボール(日立金属社製)を載せた。実施例では、半田ボールにSn/Pb半田を用いたが、SnとAg、Cu、In、Bi、Zn等の群から選ばれるPbフリー半田であってもよい。
【0049】
その後、搭載筒を移動速度20mm/secで送って半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口部から半田ボールを落下させて接続パッド上に半田ボールを搭載した。実施例1では、搭載筒24がSUSステンレス、Ni、Cu等の導電性金属で構成され、半田ボール搭載装置20側にアースされている。次に、ボール整列用マスクの余分な半田ボールを除去したのち、半田ボール整列用マスクとプリント配線板を半田ボール搭載装置から別個に取り外した。最後に、上記で作製したプリント配線板を230度に設定してあるリフローに投入して半田ボール付きプリント配線板とした。
【0050】
[実施例2]
図10(A)の搭載筒24の底面図を参照して実施例2に係る半田ボール搭載装置について説明する。図8を参照して上述したように、実施例1では整流板25を搭載筒24の中央部に至たらない突出幅H1に形成した。これに対して、実施例2では、整流板25が筒部材24の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成されている。このため、整流板25が気流の大きな抵抗とならず、筒部材内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え筒部材下端開口周囲の流速を一定に保つことができる。
【0051】
[実施例2の改変例1]
図10(B)の搭載筒24の底面図を参照して実施例2の改変例1に係る半田ボール搭載装置について説明する。実施例2の改変例1では、整流板25を、搭載筒24の中央部で交差する十字形状に形成した。このため、気流に対しての抵抗は実施例1よりも相対的に大きくなるものの、搭載筒24の下端開口部24Aでの気流を均一にし易く、乱気流の発生を抑えながら、搭載筒24の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0052】
[実施例2の改変例2]
図10(C)の搭載筒24の底面図を参照して実施例2の改変例2に係る半田ボール搭載装置について説明する。図10(A)を参照して上述したように実施例2では、整流板25を十字形状に形成した。これに対して、実施例2の改変例2では、整流板25を碁盤目形状に形成した。このため、気流に対する抵抗は大きくなるものの、搭載筒24の下端開口部24Aでの気流を均一にでき、乱気流の発生を抑えながら、搭載筒24の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0053】
[実施例3]
図11(A)、図11(B)、図11(C)、図11(D)を参照して実施例3に係る半田ボール搭載装置について説明する。実施例1、実施例2では、搭載筒24を開口部24Aが矩形形状になるよう角柱状に形成した。これに対して、実施例3では、開口部が円形になるように搭載筒24を円筒形状に形成した。図11(A)の例では、整流板25が筒部材24の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成した。図11(B)の例では、整流板25を十字状に形成した。図11(C)の例では、整流板25を碁盤目状に形成した。図11(D)の例では、整流板25を搭載筒24の中央部に至たらない突出幅に形成した。実施例3の搭載筒24においても、内部での乱気流の発生を抑え、半田ボールを集合させて接続パッドに搭載することができる。
【0054】
[実施例4]
図12(A)は、実施例4の搭載筒の縦断面図であり、図12(B)は底面図である。実施例1〜実施例3では、整流板が搭載筒と一体に製造された。これに対して、実施例4では、搭載筒の下端部24Aに内側に突出する1対の突出部位24Bを設け、該突出部位24Bの上部に板状の整流板25を取り付けてなる。実施例4では、整流板25を後から筒部材24に取り付けることができ、製造し易い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1(A)は、本発明の一実施例に係る半田ボール搭載装置の構成を示す構成図であり、図1(B)は、図1(A)の半田ボール搭載装置を矢印B側から見た矢視図である。
【図2】図2(A)は多層プリント配線板の位置決めの説明図であり、図2(B)は搭載筒への半田ボールの供給の説明図である。
【図3】図3(A)は搭載筒による半田ボールの集合の説明図であり、図3(B)は搭載筒による半田ボールの集合、誘導の説明図である。
【図4】図4(A)は半田ボールの接続パッドへの落下の説明図であり、図4(B)は吸着ボール除去筒による半田ボールの除去の説明図である。
【図5】図5(A)、図5(B)、図5(C)は多層プリント配線板の製造工程の説明図である。
【図6】多層プリント配線板の断面図である。
【図7】図6に示す多層プリント配線板にICチップを取り付け、ドータボードへ載置した状態を示す断面図である。
【図8】多数個取り用の多層プリント配線板の平面図である。
【図9】図9(A)は実施例1の搭載筒の縦断面であり、図9(B)は実施例1の改変例に係る搭載筒の断面図である。
【図10】図10(A)は実施例2の搭載筒の底面図であり、図10(B)は実施例2の改変例1に係る搭載筒の底面図であり、図10(C)は実施例2の改変例2に係る搭載筒の底面図である。
【図11】図11(A)、図11(B)、図11(C)、図11(D)は実施例3の搭載筒の底面図である。
【図12】図12(A)は、実施例4の搭載筒の縦断面図であり、図12(B)は底面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 プリント配線板
16 ボール整列用マスク
16a 開口
20 半田ボール搭載装置
22 半田ボール供給装置
24 搭載筒(筒部材)
24A 開口部
25 整流板
75 接続パッド
75A 接続パッド領域
78s 半田ボール
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板に搭載するための半田ボール搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板とICチップとの電気接続のために半田バンプが用いられている。半田バンプは、以下の工程により形成されている。
(1)パッケージ基板に形成された接続パッドにフラックスを印刷する工程。
(2)フラックスの印刷された接続パッドに、半田ボールを搭載する工程。
(3)リフローを行い半田ボールから半田バンプを形成する工程。
【0003】
上述した半田ボールを接続パッドに搭載する工程では、プリント配線板上に接続パッドと対向した位置に開口の設けられたボール整列用マスクを載置し、スキージで半田ボールを接続パッド上に落下させていた。しかしながら、スキージを用いる方法では、半田ボールが直径200μmΦ未満の砂粒よりも小径になると、半田バンプの高さのばらつきがでて品質が低下していた。
【0004】
このため、本出願人は、特許文献1において、空気を吸引する筒部材を用いて負圧によって該筒部材の下方に集合させ、該筒部材を移動することで半田ボールをボール整列用マスク上に送り、ボール整列用マスクの開口下の接続パッドに落下させて半田ボールを搭載させる半田ボール搭載装置を提案した。
【特許文献1】特開2006−73999号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の半田ボール搭載装置を用いても、半田ボールが未搭載の接続パッドが発生することがあり、プリント配線板の歩留まりを高めることは困難であった。この原因を本発明者が検討した結果、小径の半田ボールを誘導できるよう筒部材とボール整列用マスクとの間のクリアランスを狭くし、気流の速度を高めているため、該筒部材の内部で乱気流が発生し、気流の早い部分で半田ボールが舞い上がり、舞い上がった半田ボールが落下して一旦搭載された接続パッド上の半田ボールに衝突し、該半田ボールを弾き出して接続パッド上に未搭載となっていることが分かった。また、接続パッド上の半田ボールに乱気流に巻かれた半田ボールが衝突し付着して、接続パッド上に複数の半田ボールが乗った状態となって、係る接続パッド上でリフローの際に半田バンプの高さが高くなっていることが判明した。
【0006】
本発明の目的は、直径200μmΦ未満の半田ボールを接続パッドへ確実に搭載することができる半田ボール搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板の電極に搭載する半田ボール搭載装置であって、
プリント配線板の電極に対応する複数の開口を備えるボール整列用マスクと、
ボール整列用マスクの上方に位置し、開口部から空気を吸引することで開口部直下に半田ボールを集合させる筒部材と、
該筒部材を該ボール整列用マスクに対して水平方向に相対移動させる移動機構であって、該筒部材を移動させることで該ボール整列用マスクの上に集合させた半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の電極へ落下させる移動機構と、
該筒部材の内部に設けられる整流板とを備え、該整流板は、該筒部材の内壁で形成される内部空間に少なくとも一部が位置してなることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の半田ボール搭載装置によれば、ボール整列用マスクの上方に筒部材を位置させ、該筒部材の開口部から空気を吸引することで半田ボールを集合させ、筒部材を水平方向に移動させることで、集合させた半田ボールをボール整列用マスク上を移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の接続パッドへ落下させる。このため、微細な半田ボールを確実にプリント配線板の全ての接続パッドに搭載させることができる。また、半田ボールを非接触で移動させるため、スキージを用いる場合とは異なり、半田ボールに傷を付けることなく接続パッドに搭載でき、半田バンプの高さを均一にすることができる。更に、ビルドアップ多層配線板の様に、表面に起伏の多いプリント配線板でも半田ボールを接続パッドに適切に載置させることができる。
【0009】
ここで、筒部材には、内部に空気を整流する整流板が設けられているため、気流の乱れによって、半田ボールが舞い上がることが無いので、舞い上がった半田ボールが落下して接続パッドに搭載された半田ボールを弾き出すことが無くなり、接続パッドに半田ボールを確実に搭載することができる。更に、接続パッド上の半田ボールに乱気流に巻かれた半田ボールが衝突し付着して接続パッド上に複数の半田ボールが乗った状態となることが無いので、接続パッド上の半田バンプの高さを均一にすることができる。また更に、乱気流によって半田ボールの吸い込みが阻害されなくなって筒部材下端開口周囲の流速を一定に保てる。そして、乱気流によって半田ボールが半田ボール搭載装置の外に飛び出されることが無くなる。
【0010】
請求項1の半田ボール搭載装置では、整流板により筒部材内部での気流を筒の長さ方向に一定に調整でき、乱気流の発生を抑えることができる。
【0011】
請求項2の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の内壁と一体で設けられているため、筒部材と整流板との接合部で乱気流が生じることが無い。
【0012】
請求項3の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の内壁と別体で設けられているため、整流板を後から筒部材に取り付けることができ、製造し易い。
【0013】
請求項4の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成されているため、整流板が気流の大きな抵抗とならず、筒部材内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え筒部材下端開口周囲の流速を一定に保つことができる。
【0014】
請求項5の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の中央部に至たらない突出幅に形成されているため、整流板が気流の大きな抵抗とならず、筒部材内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え筒部材下端開口周囲の流速を一定に保つことができる。
【0015】
請求項6の半田ボール搭載装置では、整流板が筒部材の中央部で交差する十字形状に形成されている。このため、気流に対しての抵抗は相対的に大きくなるものの、筒部材の下端開口での気流を均一にし易く、乱気流の発生を抑えながら、筒部材の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0016】
請求項7の半田ボール搭載装置では、整流板が、碁盤目形状に形成されている。このため、気流に対する抵抗は大きくなるものの、筒部材の下端開口での気流を均一にでき、乱気流の発生を抑えながら、筒部材の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0017】
請求項8の半田ボール搭載装置では、整流板の下端が、筒部材の下端から離間して上方に形成されている。ここで、整流板の下端が筒部材の下端(開口)まで延在していると、該開口において乱気流が発生することになるが、この開口での乱気流の発生を防ぐことができる。
【0018】
請求項9の半田ボール搭載装置では、整流板の下端が、筒部材の下端から、該筒部材の全長の1/40以上であって、1/20未満離間して上方に形成されているため、筒部材の開口での乱気流の発生を防ぐことができる。ここで、離間距離が1/40未満では、整流板の下端からマスクまでの距離が極端に小さくなり、整流板の下端からの半田ボールの跳ね返りにより、搭載率が低くなる可能性が高い。他方、1/20以上であると、整流板が機能せず、筒部材の開口部付近で乱気流が発生する。
【0019】
請求項10の半田ボール搭載装置では、整流板が、筒部材の内壁に、該筒部材の全長の1/3〜9/10の長さで配置されているため、筒部材での乱気流の発生を防ぐことができる。整流板が、筒部材の全長の1/3未満であると、筒部材での乱気流の発生を抑えることができない。他方、9/10を越えると、筒部材の上端で乱気流が発生することとなり、また、筒部材の気流に対する抵抗が大きくなって、半田ボールを集合させるための流速を高める必要が生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先ず、本発明の実施例に係る半田ボール搭載装置を用いて製造する多層プリント配線板10の構成について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、該多層プリント配線板10の断面図を、図7は、図6に示す多層プリント配線板10にICチップ90を取り付け、ドータボード94へ載置した状態を示している。図6に示すように多層プリント配線板10では、コア基板30の両面に導体回路34が形成されている。コア基板30の上面と裏面とはスルーホール36を介して接続されている。
【0021】
更に、コア基板30の導体回路34の上に層間樹脂絶縁層50を介して導体回路層を形成する導体回路58が形成されている。導体回路58は、バイアホール60を介して導体回路34と接続されている。導体回路58の上に層間樹脂絶縁層150を介して導体回路158が形成されている。導体回路158は、層間樹脂絶縁層150に形成されたバイアホール160を介して導体回路58に接続されている。
【0022】
バイアホール160、導体回路158の上層にはソルダーレジスト層70が形成されており、該ソルダーレジスト層70の開口71にニッケルめっき層72及び金めっき層74を設けることで、接続パッド75が形成されている。上面の接続パッド75上には半田バンプ78Uが、下面の接続パッド75上にはBGA(ボールグリッドアレー)78Dが形成されている。
【0023】
図7中に示すように、多層プリント配線板10の上面側の半田バンプ78Uは、ICチップ90のランド92へ接続される。一方、下側のBGA78Dは、ドータボード94のランド96へ接続されている。
【0024】
図8は、多数個取り用の多層プリント配線板10Aの平面図である。多層プリント配線板10Aは、マトリクス状に接続パッド75が配列された接続パッド領域75Aを備える個々の多層プリント配線板10を、図中の一点鎖線で切断することで切り分ける。図5は、多数個取り用の多層プリント配線板10Aに半田バンプを形成する工程の説明図であり、図8中のY1−Y1断面図に相当する。図5(A)に示すように表面のソルダーレジスト層70の開口71に接続パッド75を形成した多層プリント配線板10Aの表面にフラックス80を印刷する。図5(B)に示すように多層プリント配線板10Aの上側の接続パッド75上に後述する半田ボール搭載装置を用いて微少な半田ボール78s(例えば日立金属社製、タムラ社製、直径40μmΦ以上、200μmΦ未満)を搭載する。ファイン化対応のため直径200μmΦ未満の半田ボールが望ましい。直径40μmΦ未満では半田ボールが軽すぎるため接続パッド上に落下しない。一方、直径200μmを越えると逆に重すぎるため筒部材内に半田ボールを集合させることができず、半田ボールが載っていない接続パッドが存在するようになる。本発明では、直径40μmΦ以上直径200μmΦ未満の半田ボールを使う意義が高い。この範囲ではファイン化に有利である。また、吸着ヘッドで半田ボールを吸着して接続パッド上に半田ボールを搭載する方法では、半田ボールが小さいので吸着するのが困難になるため、実施例の半田ボール搭載装置の優位性が明らかになる。
【0025】
その後、図5(C)に示すように多層プリント配線板10Aの下側の接続パッド75上に、従来技術(例えば、特許1975429号)に係る吸着ヘッドで通常径(直径250μm)の半田ボール78Lを吸着して載置する。その後、リフロー炉で過熱し、図6に示すように多層プリント配線板10Aの上側に60μm以上200μm未満ピッチで半田バンプ78Uを、例えば500〜30000個、下側に2mmピッチでBGA78Dを、例えば250個形成する。60μmピッチ未満となると、そのピッチに適した半田ボールを製造するのが困難になる。200μmピッチ以上になると、本半田ボール搭載装置においても何ら問題なく製造できるが、従来技術の方法でも製造可能である。更に、図7に示すように、多数個取り用の多層プリント配線板10Aを個片の多層プリント配線板10に切り分けてから、リフローにより半田バンプ78Uを介してICチップ90を搭載させた後、ICチップ90を搭載した多層プリント配線板10を、BGA78Dを介してドータボード94へ取り付ける。
【0026】
図5(B)を参照して上述した多層プリント配線板の接続パッド上に微少(直径200μmΦ未満)な半田ボール78sを搭載する半田ボール搭載装置について、図1を参照して説明する。
図1(A)は、本発明の実施例に係る半田ボール搭載装置の構成を示す構成図であり、図1(B)は、図1(A)の半田ボール搭載装置を矢印B側から見た矢視図である。
【0027】
半田ボール搭載装置20は、多層プリント配線板10Aを位置決め保持するXYθ吸引テーブル14と、該XYθ吸引テーブル14を昇降する上下移動軸12と、多層プリント配線板の接続パッド75に対応する開口を備えるボール整列用マスク16と、ボール整列用マスク16上を移動する半田ボールを誘導する搭載筒(筒部材)24と、搭載筒24に負圧を与える吸引ボックス26と、余剰の半田ボールを回収するための吸着ボール除去筒61と、該吸着ボール除去筒61に負圧を与える吸引ボックス66と、回収した半田ボールを保持する吸着ボール除去吸引装置68と、ボール整列用マスク16をクランプするマスククランプ44と、搭載筒24及び吸着ボール除去筒61をX方向へ送るX方向移動軸40と、X方向移動軸40を支持する移動軸支持ガイド42と、多層プリント配線板10を撮像するためのアライメントカメラ46と、搭載筒24下にある半田ボールの残量を検出する残量検出センサ18と、残量検出センサ18により検出された残量に基づき半田ボールを搭載筒24側へ供給する半田ボール供給装置22と、を備える。図1に示す半田ボール搭載装置20では、搭載筒24及び吸着ボール除去筒61をX方向へ送るX方向移動軸40のみ示したが、Y方向へ送る移動機構を備えることも可能である。
【0028】
実施例1では、搭載筒24がSUSステンレス、Ni、Cu等の導電性金属で構成され、半田ボール搭載装置20側にアースされている。ここで、半田ボールをボール整列用マスク16上に移動させて送る際に、相互の衝突により半田ボールが帯電しても、小径で軽量な半田ボールが、静電気により搭載筒24へ付着することがなく、半田ボールをプリント配線板に確実に搭載することができる。
【0029】
図8の平面図に示すように多数個取り用の多層プリント配線板10Aの上に、半田ボール搭載装置20の搭載筒24は、個々の接続パッド領域75Aに対応させてY方向へ複数並べてある。なお、ここでは、1の接続パッド領域75Aに1の搭載筒24を対応させたが、搭載筒24を複数の接続パッド領域75Aに対応した大きさにしてもよい。ここで、Y方向は便宜的であり、X方向に並べても良い。XYθ吸引テーブル14は、半田ボールの搭載される多層プリント配線板10を位置決め、吸着、保持、補正する。アライメントカメラ46は、XYθ吸引テーブル14上の多層プリント配線板10のアライメントマークを検出し、検出された位置に基づき、多層プリント配線板10とボール整列用マスク16との位置が調整される。残量検出センサ18は光学的な手法により半田ボールの残量を検出する。
【0030】
図9(A)は、図8中の実施例1に係る搭載筒24のB1−B1縦断面を示している。図8中の搭載筒24は、図9(A)中のA1−A1断面に相当する。
実施例1の搭載筒24は、長さL2が例えば200mmに形成され、下端の開口部2424Aが一辺24mmの正方形に形成されている。実施例1では、開口部24Aが正方形であるが、接続パッド領域75Aに対応する矩形形状でも、或いは、円形でも搭載筒24は同様に半田ボールを集合させることができる。搭載筒24の内部には整流板25が搭載筒24の長さ方向に沿って設けられている。長さL1(例えば、170mm)の整流板25の下端は、開口部24Aから間隔C1(例えば、12mm)離間して設けられている。該整流板25の下端は、気流の抵抗を下げるようにアールが付けられた断面楕円形状に形成され、また、拡大図中に示すように、キール状の角度が設けられている。整流板25は高さH1が例えば20mmで、幅W1が15mmに形成されている。この整流板25により搭載筒24内部での気流が一定になり、乱気流の発生が押さえられる。図9(B)は、実施例1の改変例を示す。改変例では、整流板25の長さL3が例えば70mmに形成されている。
【0031】
引き続き、半田ボール搭載装置20による半田ボールの搭載工程について図2〜図4を参照して説明する。
(1)多層プリント配線板の位置認識、補正
図2(A)に示すように多数個取り用の多層プリント配線板10Aのアライメントマーク34Mをアライメントカメラ46により認識し、ボール整列用マスク16に対して多層プリント配線板10Aの位置をXYθ吸引テーブル14によって補正する。即ち、ボール整列用マスク16の開口16aがそれぞれ多層プリント配線板10Aの接続パッド75に対応するように位置調整する。
【0032】
(2)半田ボール供給
図2(B)に示すように半田ボール供給装置22から半田ボール78sを搭載筒24側へ定量供給する。なお、予め搭載筒内に供給しておいても良い。
【0033】
(3)半田ボール搭載
図3(A)に示すように、ボール整列用マスク16の上方に、該ボール整列用マスクとの所定のクリアランス(例えば、ボール径の0.5〜4倍)を保ち搭載筒24を位置させ、空気を吸引して搭載筒内の風速を0.1m/sec〜2m/secとすることで、搭載筒24とボール整列用マスク16間の隙間の流速を5m/sec〜35m/secにして、当該搭載筒24の開口部24A直下のボール整列用マスク16上に半田ボール78sを集合させた。
【0034】
その後、図3(B)、図4(A)及び図8に示すように、図1(B)及び図1(A)に示す多層プリント配線板10AのY軸沿って並べられた搭載筒24を、X方向移動軸40を介してX軸に沿って水平方向へ送る。これにより、ボール整列用マスク16の上に集合させた半田ボール78sを搭載筒24の移動に伴い移動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10Aの接続パッド75へ落下、搭載させて行く。これにより、半田ボール78sが多層プリント配線板10A側の全接続パッド上に順次整列される。
【0035】
(4)付着半田ボール除去
図4(B)に示すように、搭載筒24により余剰の半田ボール78sをボール整列用マスク16上に開口16aの無い位置まで誘導した後、吸着ボール除去筒61により吸引除去する。
【0036】
(5)基板取り出し
XYθ吸引テーブル14から多層プリント配線板10Aを取り外す。
【0037】
本実施例の半田ボール搭載装置20によれば、ボール整列用マスク16の上方に搭載筒24を位置させ、該搭載筒24で空気を吸引することで半田ボール78sを集合させ、搭載筒24を水平方向に移動させることで、集合させた半田ボール78sをボール整列用マスク16の上を移動させ、ボール整列用マスク16の開口16aを介して、半田ボール78sを多層プリント配線板10Aの接続パッド75へ落下させる。このため、微細な半田ボール78sを確実に多層プリント配線板10Aの全ての接続パッド75に搭載させることができる。また、半田ボール78sを非接触で移動させるため、スキージを用いる場合とは異なり、半田ボールを傷を付けることなく接続パッド75に搭載でき、半田バンプ78Uの高さを均一にすることができる。このため、IC等の電子部品の実装性、実装後のヒートサイクル試験、高温・高湿試験等の耐環境試験に優れる。更に、製品の平面度に依存しないので、表面に起伏の多いプリント配線板でも半田ボールを接続パッドに適切に載置させることができる。また、微少な半田ボールを確実に接続パッド上に載置することができるので、接続パッドピッチが60〜150μmピッチでソルダーレジストの開口径が40〜100μmのプリント配線板においても全てのバンプにおいてバンプ高さが安定した半田バンプとすることができる。
【0038】
更に、吸引力により半田ボールを誘導するため、半田ボールの凝集、付着を防止することができる。更に、搭載筒24の数を調整することで、種々の大きさのワーク(ワークシートサイズの多層プリント配線板)に対応することができるので、多品種、少量生産にも柔軟に適用することが可能である。
【0039】
本実施例の半田ボール搭載装置では、図1(B)に示すように搭載筒24をワーク(ワークシートサイズの多層プリント配線板)の幅に対応させてY方向へ複数並べてあるため、複数の搭載筒24を、列方向に対して垂直方向(X方向)へ送るだけで、半田ボールを確実に多層プリント配線板10Aの全ての接続パッド75に搭載させることができる。
【0040】
更に、吸着ボール除去筒61によりボール整列用マスク16上に残った半田ボール78sを回収できるので、余剰の半田ボールが残り、故障等の障害の原因となることがない。
【0041】
ここで、実施例1では搭載筒24に内部に空気を整流する整流板(整流装置)25が設けられているため、気流の乱れによって、半田ボール78sが舞い上がることがほとんど無いので、舞い上がった半田ボール78sが落下して接続パッド75に搭載された半田ボール78sを弾き出すことが無くなり、接続パッド75に半田ボール78sを確実に搭載することができる。また、半田ボール78s同士の衝突が抑制される。更に、接続パッド75上の半田ボール78sに乱気流に巻かれた半田ボール78sが衝突し付着して接続パッド75上に複数の半田ボール78sが乗った状態となることが無いので、接続パッド75上の半田バンプ78Uの高さを均一にすることができる。また更に、乱気流によって半田ボール78sの吸い込みが阻害されなくなって搭載筒24下端開口部24A周囲の流速を一定に保てる。そして、乱気流によって半田ボール78sが半田ボール搭載装置の外に飛び出されることが無くなる。
【0042】
実施例1の半田ボール搭載装置では、整流装置が搭載筒24に配置された複数の整流板25から成るため、搭載筒24内部での気流を筒の長さ方向に一定にでき、乱気流の発生を抑えることができる。
【0043】
実施例1の半田ボール搭載装置では、整流板25が搭載筒24の中央部に至たらない突出幅に形成されているため、整流板25が気流の大きな抵抗因子とならず、搭載筒24内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え搭載筒24下端開口部24A周囲の流速を一定に保つことができる。
【0044】
実施例1の半田ボール搭載装置では、整流板25の下端が、搭載筒24の下端から離間して上方に形成されている。ここで、整流板25の下端が搭載筒24の下端(開口部24A)まで延在していると、該開口部24Aにおいて乱気流が発生することになるが、この開口部24Aでの乱気流の発生を防ぐことができる。
【0045】
整流板25は、下端が、搭載筒24の下端から、該搭載筒24の全長の1/40以上であって、1/20未満の間隔C1分離間して上方に形成されることが好適である。これにより、搭載筒24の開口部24Aでの乱気流の発生を防ぐことができる。ここで、間隔C1が1/40未満では、整流板の下端からマスクまでの距離が極端に小さくなり、整流板の下端からの半田ボールの跳ね返りにより、搭載率が低くなる可能性が高い。他方、間隔C1が1/20以上であると、整流板が機能せず、筒部材の開口部24A付近で乱気流が発生する。
【0046】
また、整流板25の長さL1は、搭載筒24の全長L2の1/3〜9/10に設定することが好適である。これにより、搭載筒24での乱気流の発生を防ぐことができる。整流板25の長さL1が、搭載筒24の全長L2の1/3未満であると、搭載筒24での乱気流の発生を抑えることができない。他方、長さL1が全長L2に対して9/10を越えると、搭載筒24の上端で乱気流が発生することとなり、また、搭載筒24の気流に対する抵抗が大きくなって、半田ボール78sを集合させるための流速を高める必要が生じる。
【0047】
(1)プリント配線板の作製
出発材料として両面銅張積層板(例えば、日立化成工業株式会社製 MCL−E−67)を用い、この基板に周知の方法でスルーホール導体及び導体回路を形成した。その後、周知の方法(例えば、2000年6月20日 日刊工業新聞社発行の「ビルドアップ多層プリント配線板」(高木清著)で層間絶縁層と導体回路層とを交互に積層し、最外層の導体回路層において、ICへ電気的に接続するための接続パッド群を形成した。接続パッド群は、直径120μmΦの接続パッドを接続パッド領域(70mm2 :10mm×7mm)内に2000個形成し、その大半が150μmピッチで格子状に配置されている。ここで、バイアホールから成る接続パッド(バイアホールの直上に半田バンプを形成)は、フィルドビアが好ましく、その凹み量、凸量は、導体回路158の導体厚さに対し−5〜5μmの範囲が望ましい。フィルドビアの凹み量が5μmを越える(−5μm)と、半田ボールとフィルドビアからなる接続パッドの接点が少なくなるので、半田バンプとするとき濡れ性が悪くなり、半田内にボイドを巻き込んだり、未搭載(ミッシングバンプ)になりやすい。一方、5μmを越えると導体回路158の厚みが厚くなるので、ファイン化に向かない。その上に市販のソルダーレジストを形成し(膜厚20μm)、接続パッドを露出させるため、接続パッド上のソルダーレジストに、写真法で90μmΦの開口を形成した。
【0048】
(2)半田ボール搭載
(1)で作製したプリント配線板の表面(IC実装面)に市販のロジン系フラックスを塗布した。その後上述した本願発明の半田ボール搭載装置の吸着テーブルに搭載し、プリント配線板およびボール整列用マスクのアライメントマークをCCDカメラを用いて認識し、プリント配線板とボール整列用マスクを位置合わせした。ここで、ボール整列用マスクは、プリント配線板の接続パッドに対応した位置に直径110μmΦの開口を有するNi製のメタルマスクを用いた。メタルマスクの厚みは、半田ボールの1/4〜3/4が好ましい。ここでは、Ni製のメタルマスクを用いたが、SUS製やポリイミド製のボール整列用マスクを用いることも可能である。尚、ボール整列用マスクに形成する開口径は、使用するボールの径に対して1.1〜1.5倍が好ましい。次に、接続パッド領域に対応した大きさ(接続パッドが形成されている領域に対して1.1〜4倍)で、高さ200mmのSUS製の搭載筒を半田ボール径の0.5〜4倍のクリアランスを保ってメタルマスク(ボール整列用マスク)上に位置させ、その周囲近辺のボール整列用マスク上にボール直径80μmΦのSn63Pb37半田ボール(日立金属社製)を載せた。実施例では、半田ボールにSn/Pb半田を用いたが、SnとAg、Cu、In、Bi、Zn等の群から選ばれるPbフリー半田であってもよい。
【0049】
その後、搭載筒を移動速度20mm/secで送って半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口部から半田ボールを落下させて接続パッド上に半田ボールを搭載した。実施例1では、搭載筒24がSUSステンレス、Ni、Cu等の導電性金属で構成され、半田ボール搭載装置20側にアースされている。次に、ボール整列用マスクの余分な半田ボールを除去したのち、半田ボール整列用マスクとプリント配線板を半田ボール搭載装置から別個に取り外した。最後に、上記で作製したプリント配線板を230度に設定してあるリフローに投入して半田ボール付きプリント配線板とした。
【0050】
[実施例2]
図10(A)の搭載筒24の底面図を参照して実施例2に係る半田ボール搭載装置について説明する。図8を参照して上述したように、実施例1では整流板25を搭載筒24の中央部に至たらない突出幅H1に形成した。これに対して、実施例2では、整流板25が筒部材24の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成されている。このため、整流板25が気流の大きな抵抗とならず、筒部材内部の気流速度、即ち、吸引力を高めることなく、乱気流の発生を抑え筒部材下端開口周囲の流速を一定に保つことができる。
【0051】
[実施例2の改変例1]
図10(B)の搭載筒24の底面図を参照して実施例2の改変例1に係る半田ボール搭載装置について説明する。実施例2の改変例1では、整流板25を、搭載筒24の中央部で交差する十字形状に形成した。このため、気流に対しての抵抗は実施例1よりも相対的に大きくなるものの、搭載筒24の下端開口部24Aでの気流を均一にし易く、乱気流の発生を抑えながら、搭載筒24の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0052】
[実施例2の改変例2]
図10(C)の搭載筒24の底面図を参照して実施例2の改変例2に係る半田ボール搭載装置について説明する。図10(A)を参照して上述したように実施例2では、整流板25を十字形状に形成した。これに対して、実施例2の改変例2では、整流板25を碁盤目形状に形成した。このため、気流に対する抵抗は大きくなるものの、搭載筒24の下端開口部24Aでの気流を均一にでき、乱気流の発生を抑えながら、搭載筒24の下方に均一に半田ボールを集合させることができる。
【0053】
[実施例3]
図11(A)、図11(B)、図11(C)、図11(D)を参照して実施例3に係る半田ボール搭載装置について説明する。実施例1、実施例2では、搭載筒24を開口部24Aが矩形形状になるよう角柱状に形成した。これに対して、実施例3では、開口部が円形になるように搭載筒24を円筒形状に形成した。図11(A)の例では、整流板25が筒部材24の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成した。図11(B)の例では、整流板25を十字状に形成した。図11(C)の例では、整流板25を碁盤目状に形成した。図11(D)の例では、整流板25を搭載筒24の中央部に至たらない突出幅に形成した。実施例3の搭載筒24においても、内部での乱気流の発生を抑え、半田ボールを集合させて接続パッドに搭載することができる。
【0054】
[実施例4]
図12(A)は、実施例4の搭載筒の縦断面図であり、図12(B)は底面図である。実施例1〜実施例3では、整流板が搭載筒と一体に製造された。これに対して、実施例4では、搭載筒の下端部24Aに内側に突出する1対の突出部位24Bを設け、該突出部位24Bの上部に板状の整流板25を取り付けてなる。実施例4では、整流板25を後から筒部材24に取り付けることができ、製造し易い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1(A)は、本発明の一実施例に係る半田ボール搭載装置の構成を示す構成図であり、図1(B)は、図1(A)の半田ボール搭載装置を矢印B側から見た矢視図である。
【図2】図2(A)は多層プリント配線板の位置決めの説明図であり、図2(B)は搭載筒への半田ボールの供給の説明図である。
【図3】図3(A)は搭載筒による半田ボールの集合の説明図であり、図3(B)は搭載筒による半田ボールの集合、誘導の説明図である。
【図4】図4(A)は半田ボールの接続パッドへの落下の説明図であり、図4(B)は吸着ボール除去筒による半田ボールの除去の説明図である。
【図5】図5(A)、図5(B)、図5(C)は多層プリント配線板の製造工程の説明図である。
【図6】多層プリント配線板の断面図である。
【図7】図6に示す多層プリント配線板にICチップを取り付け、ドータボードへ載置した状態を示す断面図である。
【図8】多数個取り用の多層プリント配線板の平面図である。
【図9】図9(A)は実施例1の搭載筒の縦断面であり、図9(B)は実施例1の改変例に係る搭載筒の断面図である。
【図10】図10(A)は実施例2の搭載筒の底面図であり、図10(B)は実施例2の改変例1に係る搭載筒の底面図であり、図10(C)は実施例2の改変例2に係る搭載筒の底面図である。
【図11】図11(A)、図11(B)、図11(C)、図11(D)は実施例3の搭載筒の底面図である。
【図12】図12(A)は、実施例4の搭載筒の縦断面図であり、図12(B)は底面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 プリント配線板
16 ボール整列用マスク
16a 開口
20 半田ボール搭載装置
22 半田ボール供給装置
24 搭載筒(筒部材)
24A 開口部
25 整流板
75 接続パッド
75A 接続パッド領域
78s 半田ボール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板の電極に搭載する半田ボール搭載装置であって、
プリント配線板の電極に対応する複数の開口を備えるボール整列用マスクと、
ボール整列用マスクの上方に位置し、開口部から空気を吸引することで開口部直下に半田ボールを集合させる筒部材と、
前記筒部材を前記ボール整列用マスクに対して水平方向に相対移動させる移動機構であって、該筒部材を移動させることで前記ボール整列用マスクの上に集合させた半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の電極へ落下させる移動機構と、
前記筒部材の内部に設けられる整流板とを備え、前記整流板は、該筒部材の内壁で形成される内部空間に少なくとも一部が位置してなることを特徴とする半田ボール搭載装置。
【請求項2】
前記整流板は、前記筒部材の内壁と一体で設けられていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項3】
前記整流板は、前記筒部材の内壁と別体で設けられていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項4】
前記整流板は、前記筒部材の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項5】
前記整流板は、前記筒部材の中央部に至たらない突出幅に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項6】
前記整流板は、前記筒部材の中央部で交差する十字形状に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項7】
前記整流板は、碁盤目形状に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項8】
前記整流板の下端は、前記筒部材の下端から離間して上方に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1の半田ボール搭載装置。
【請求項9】
前記整流板の下端は、前記筒部材の下端から、該筒部材の全長の1/40以上であって、1/20未満離間して上方に形成されていることを特徴とする請求項8の半田ボール搭載装置。
【請求項10】
前記整流板は、前記筒部材の内壁に、該筒部材の全長の1/3〜9/10の長さで配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1の半田ボール搭載装置。
【請求項1】
半田バンプとなる半田ボールをプリント配線板の電極に搭載する半田ボール搭載装置であって、
プリント配線板の電極に対応する複数の開口を備えるボール整列用マスクと、
ボール整列用マスクの上方に位置し、開口部から空気を吸引することで開口部直下に半田ボールを集合させる筒部材と、
前記筒部材を前記ボール整列用マスクに対して水平方向に相対移動させる移動機構であって、該筒部材を移動させることで前記ボール整列用マスクの上に集合させた半田ボールを移動させ、ボール整列用マスクの開口を介して、半田ボールをプリント配線板の電極へ落下させる移動機構と、
前記筒部材の内部に設けられる整流板とを備え、前記整流板は、該筒部材の内壁で形成される内部空間に少なくとも一部が位置してなることを特徴とする半田ボール搭載装置。
【請求項2】
前記整流板は、前記筒部材の内壁と一体で設けられていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項3】
前記整流板は、前記筒部材の内壁と別体で設けられていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項4】
前記整流板は、前記筒部材の対向部位を繋ぐ1枚の板状に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項5】
前記整流板は、前記筒部材の中央部に至たらない突出幅に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項6】
前記整流板は、前記筒部材の中央部で交差する十字形状に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項7】
前記整流板は、碁盤目形状に形成されていることを特徴とする請求項1の半田ボール搭載装置。
【請求項8】
前記整流板の下端は、前記筒部材の下端から離間して上方に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1の半田ボール搭載装置。
【請求項9】
前記整流板の下端は、前記筒部材の下端から、該筒部材の全長の1/40以上であって、1/20未満離間して上方に形成されていることを特徴とする請求項8の半田ボール搭載装置。
【請求項10】
前記整流板は、前記筒部材の内壁に、該筒部材の全長の1/3〜9/10の長さで配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1の半田ボール搭載装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−117791(P2009−117791A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59271(P2008−59271)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]