説明

半田供給装置

【課題】不純物の少ない半田を供給することができ、しかも長時間稼動させることができる半田供給装置を提供する。
【解決手段】酸化防止雰囲気とされる溶融槽1にインゴット半田が供給され、溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、溶融槽1から溶融半田Lを吐出する半田供給装置である。溶融槽内に非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給手段23を備えるとともに、溶融槽1に、非酸化性ガスを溶融槽内へ供給する供給口25と、溶融槽内の非酸化性ガスを溶融槽外へ排出する出口28とを設け、非酸化性ガス供給手段23により、非酸化性ガスを供給口25から出口28にまで流通させて、溶融槽内に、溶融槽内の酸化防止雰囲気を維持する非酸化性ガスの流路を形成しつつ、溶融半田Lを吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造設備であるダイボンダなどには半田供給装置が使用される。リードフレームを使用して半導体装置を製造する設備のダイボンダは、リードフレームのアイランドに定量の半田を供給し、供給した半田上に半導体チップをマウントしている。このダイボンダにおけるリードフレームへの半田供給には、固体半田を溶融させた溶融半田をリードフレーム上に供給するものがある(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、半田ポット(ルツボ)に投入したインゴット半田をヒータで加熱して溶融させるものである。半田ポットの下端にはノズルが形成され、半田ポットの上端開口は蓋で塞がれる。蓋には、ガス配管が連接される。ガス配管から加圧ガスを半田ポット内に供給してポット内の溶融半田の上方空間を陽圧にする。この陽圧でノズルから溶融半田が微量ずつリードフレーム上に吐出される。
【0004】
また、特許文献2に記載のものは、ルツボとは別に溶融槽を設けている。つまり、溶融槽にインゴット半田を供給して、ヒータで加熱して溶融させる。この場合、溶融槽で溶融された溶融半田は、インゴット半田を溶融槽に供給する場合等において外気に接触することになるので、溶融槽の溶融半田の上層にSnO(酸化第一錫)等の酸化物が発生するおそれがある。このような酸化物が発生すると、高品質な半田を供給できない。しかしながら、溶融槽内の下層の溶融半田をさらにルツボに供給するため、溶融槽で生成された酸化物のルツボへの供給が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−72639号公報
【特許文献2】特開2008−178892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の方法では、半田ポット内でインゴット半田を加熱して溶融させた溶融半田が下限値まで減少すると、半田供給動作を一旦停止して、新たにインゴット半田を投入して溶融させねばならなかった。インゴット半田の投入は半田ポットの蓋を開いて行うが、このときにポット内の半田が酸化されて品質が劣化する場合があり、高品質な溶融半田を供給できないという問題があった。特許文献2の方法では、溶融槽に発生した酸化物がルツボへ混入するおそれがあるため、高品質な溶融半田を安定して供給することができない場合があった。
【0007】
また、引用文献1ではルツボ内に酸化物が発生し、引用文献2では溶融槽に酸化物が発生するため、ルツボや溶融槽の交換、メンテナンス回数が増えて、長時間の稼動が行いにくいという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて、不純物の少ない半田を供給することができ、しかも長時間稼動させることができる半田供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半田供給装置は、酸化防止雰囲気とされる溶融槽にインゴット半田が供給され、この溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、前記溶融槽から溶融半田を吐出する半田供給装置において、前記溶融槽内に非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給手段を備えるとともに、前記溶融槽に、非酸化性ガスを溶融槽内へ供給する供給口と、溶融槽内の非酸化性ガスを溶融槽外へ排出する出口とを設け、前記非酸化性ガス供給手段により、非酸化性ガスを前記供給口から出口にまで流通させて、溶融槽内に、溶融槽内の酸化防止雰囲気を維持する非酸化性ガスの流路を形成しつつ、溶融半田を吐出するものである。
【0010】
本発明の半田供給装置によれば、溶融半田を吐出する際に、供給口から出口まで非酸化性ガスを流通させるため、出口が開口状態であっても、溶融槽内には非酸化性ガスが供給されて溶融槽内を酸化防止雰囲気に維持できる。しかも、出口では、溶融槽の内側から外側に向かって非酸化性ガスが流出することから、溶融槽の外側から内側のエア(酸素)の進入を遮断できる。これにより、溶融槽内の溶融半田が酸化するのを抑えることができ、溶融槽内において酸化物の発生を抑えることができる。また、出口を介して溶融槽へインゴット半田を常時供給することができる。
【0011】
前記溶融槽は、槽本体と、この槽本体に連設されて垂直方向に延びるガイド体を備え、このガイド体の反槽本体側の開口部を前記出口とし、前記供給口から前記ガイド体の開口部までの非酸化性ガスの流路を形成することができる。これにより、槽本体の開口部(ガイド体との連通口)が外気に曝されることがなくなって、酸素が槽本体内に進入するのを防止することができる。
【0012】
前記出口を開閉させる開閉蓋を設けるとともに、前記溶融槽に、この溶融槽を真空状態とする真空手段を設けることができる。これにより、溶融槽内を密封状態として、溶融槽を真空状態とすることができる。
【0013】
前記溶融槽の下方に配設されて、被実装部に溶融半田を吐出するルツボを備え、溶融槽の酸化防止雰囲気を維持したまま、溶融槽の溶融半田をルツボに供給することができる。これにより、溶融半田がルツボにさらに供給されることになり、溶融槽で酸化物が生成されても酸化物を溶融槽に留まらせることができて、ルツボに酸化物が供給されにくくなる。
【0014】
本発明の半田供給方法は、酸化防止雰囲気とされる溶融槽にインゴット半田が供給され、この溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、前記溶融槽から溶融半田を吐出する半田供給方法において、非酸化性ガスを溶融槽内へ供給し、溶融槽内を酸化防止雰囲気として、溶融槽内を酸化防止雰囲気としたまま、非酸化性ガスを前記供給口から出口にまで流通させて、溶融槽内に、溶融槽内の酸化防止雰囲気を維持する非酸化性ガスの流路を形成した状態で溶融半田を吐出するものである。
【0015】
本発明の半田供給方法によれば、溶融槽内の溶融半田が酸化するのを防止することができ、溶融槽内において酸化物の発生を抑えることができる。また、出口を介して溶融槽へインゴット半田を常時供給することができる。
【0016】
前記溶融槽を密封状態として酸化防止雰囲気とした後、密封状態を解除して溶融槽内に非酸化性ガスを流通させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半田供給装置及び半田供給方法では、溶融槽内での酸化物の発生及び成長を抑えることができ、また、出口を介して溶融槽へインゴット半田を常時供給することができる。これらが相俟って、溶融槽の交換や、メンテナンス回数を少なくできて、長時間の稼動が可能となる。しかも、不純物の少ない高品質な半田を供給することができる。
【0018】
溶融槽は、槽本体とガイド体とを備えたものとすると、酸素が槽本体内に進入するのを抑えることができて、酸化物の発生を防止でき、一層高品質な半田を供給することができる。
【0019】
出口を開閉させる開閉蓋を設けるとともに、前記溶融槽に真空手段を設けると、溶融槽内の残留酸素を迅速に非酸化性ガスに置換することができて、効率良く装置を作動させることができる。
【0020】
前記溶融槽の下方に配設されるルツボを備えると、ルツボには酸化物が供給されにくいため、高品質な半田を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の半田供給装置の断面図である。
【図2】前記図1の半田供給装置の要部拡大断面図である。
【図3】前記図1の半田供給装置を用いてインゴット半田を溶融槽内に供給する方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0023】
この半田供給装置は、溶融槽1に供給されたインゴット半田を加熱して溶融し、溶融槽1から溶融半田Lを吐出してルツボ42に溶融半田Lを供給して、例えばリードフレーム等の被実装部(図示省略)に溶融半田Lを供給するものである。
【0024】
本発明の半田供給装置は、半田を溶融する溶融槽1を有する溶融部90と、溶融半田Lを被実装部(図示省略)へ供給するルツボ42を有する供給部91と、溶融槽1からルツボ42に溶融半田Lを供給する供給路構造92とを備える。
【0025】
溶融部90を構成する溶融槽1は、溶融半田Lを貯蔵する円筒体乃至有底円筒体等からなる槽本体1aと、この槽本体1aの開口部を塞ぐ蓋部材1bと、槽本体1aに連設されて垂直方向に延びるガイド体27とからなる。槽本体1aの外周側には加熱手段3としてのヒータ4が配置されている。
【0026】
図1に示すように、槽本体1aの底面の略中央部には貫通孔からなる半田流出口32が形成されている。半田流出口32は、後述する供給路構造92の上下方向孔部70に連通する。
【0027】
半田流出口32は、溶融槽1内に配置される上下方向ロッド33を介して開閉することになる。上下方向ロッド33は、大径のロッド本体33aを備え、このロッド本体33aの下端にテーパ部33bが設けられている。上下方向ロッド33は往復動機構34にて、上昇状態と下降状態とに変移することができる。なお、往復動機構34としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の往復動機構を使用することができる。この上下方向ロッド33の上昇により、溶融槽内の溶融半田Lを溶融槽1から押し出すことができる。
【0028】
蓋部材1bには、3つの孔部20、21、22が設けられている。孔部20の溶融槽外側の開口端には、溶融槽1の内部に窒素、不活性ガス等の非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給手段23が設けられている。これにより、孔部20は非酸化性ガスの供給口25となる。孔部21の溶融槽外側の開口端には、溶融槽1の内部を真空状態とする真空手段24が設けられている。孔部22は開口状態となっており、この孔部22を介して槽本体1aにインゴット半田が供給される。
【0029】
孔部22には、図2に示すように、上方に延びるガイド体27が設けられている。このガイド体27は円筒体にて構成しており、ガイド体27の内側空間と、孔部22とが連通している。ガイド体27の内径、及び全長は、溶融槽外の酸素が溶融槽内に進入するのを防止するために必要な種々の寸法とすることができる。ガイド体27の反溶融槽側の端部は、溶融槽1からの非酸化性ガスを排出する出口28となる。出口28は孔部22の鉛直方向上方に位置している。この出口28には、出口28を開閉させる開閉蓋29を設けており、この開閉蓋29として、本実施形態ではボールバルブを使用している。
【0030】
供給部91はルツボ42を備えており、このルツボ42の外周側に加熱手段60としてのヒータ61が配置されている。また、ルツボ42の底壁64にはノズル62が付設されている。
【0031】
また、ルツボ42には、上下方向孔部70を介して接続される配管(図示省略)が配置されており、この配管には図示省略の圧力制御手段が接続されている。圧力制御手段は、ルツボ42の内圧を、ノズル62から溶融半田Lを吐出させる正圧と、ノズル62からの溶融半田Lの吐出を止める負圧との間で切換制御する。圧力制御手段は、ルツボ内に図示省略のコンプレッサーからの加圧ガス(非酸化性ガス)を供給して正圧にするガス供給系と、ルツボ内を図示省略の真空ポンプで適宜に真空吸引して負圧にするガス吸引系を備える。
【0032】
供給路構造92は、ルツボ42に連通する上下方向孔部70を有するとともに水平方向孔部71が形成された固定ブロック体73と、移動ブロック体74とを備える。移動ブロック体74は、往復機構75にて水平方向孔部71を水平方向に移動する。往復機構75は、その先端が移動ブロック体74に連結された水平方向ロッド81を備え、このロッド81が矢印A、B方向に往復動する。水平方向ロッド81を往復動させる機構としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の種々の機構を用いることができる。
【0033】
往復機構75のロッド81が矢印A方向に延びれば、固定ブロック体73の上下方向孔部70が移動ブロック体74にて塞がれる。往復機構75のロッド81が矢印B方向に縮まれば、固定ブロック体73の上下方向孔部70が開状態となる。
【0034】
水平方向孔部71の下方の水平面には、凹周溝84が形成され、この凹周溝84にOリング等のシール材82が装着されている。これによって、図1に示すように、移動ブロック体74が前進した閉状態では、移動ブロック体74と凹周溝84とでシール材82が押しつぶされて、ルツボ42の密封性を高めることができる。
【0035】
次に、図1に示す半田供給装置を用いた半田供給方法を、図3を用いて説明する。なお、図3は、本発明の半田供給装置の溶融部90のみを示している。初期状態では、供給路構造92は図1に示すように、移動ブロック体74が前進した閉状態となっている。また、半田流出口32は閉状態となっている。
【0036】
図3(a)に示すように、開閉蓋29を閉状態として溶融槽内を密封状態とする。この状態で非酸化性ガス供給手段23を作動させて、矢印に示すように供給口25から溶融槽1の内部に非酸化性ガスを供給する。その後、図3(b)に示すように、真空手段24を作動させることにより、矢印に示すように溶融槽1の内部を真空引きする。これを数回繰り返すことにより、溶融槽1の残留酸素を除去するとともに、非酸化性ガスが供給されて酸化防止雰囲気となる。
【0037】
次に、図3(c)に示すように、開閉蓋29を開状態として、出口28が外部に連通した状態とする。このときも、非酸化性ガス供給手段23は作動しており、非酸化性ガスを供給口25から出口28にまで流通させる。これにより、槽本体1aの内部では、図3(c)の矢印に示すように、非酸化性ガスの流路が形成されるとともに、ガイド体27の内部では、槽本体1a側から出口28に向かって非酸化性ガスの流路が形成される。
【0038】
この状態で出口28からインゴット半田を溶融槽1に供給する。この場合、出口28は孔部22の鉛直方向上方に位置するので、インゴット半田は自重にて槽本体内に落下する。そして、ヒータ4にて槽本体1aを加熱してインゴット半田を溶かして溶融半田Lとする。出口28では、溶融槽1の内側から外側に向かって非酸化性ガスが流出することから、出口28を介して溶融槽1の外側から内側にエア(酸素)が進入するのを遮断できて、酸化物の発生を抑えることができる。
【0039】
ルツボ42に溶融半田Lを供給するには、図1の矢印Bに示すように、供給路構造92の移動ブロック体74を後退させて固定ブロック体73から離し、固定ブロック体73の上下方向孔部70を開状体とする。この状態で、上下方向ロッド33を上昇させて溶融半田Lを半田流出口32から吐出する。この際、溶融半田Lが上下方向ロッド33の小径先端部33cを伝わってルツボ42に供給される。
【0040】
ルツボ42では、圧力制御手段による内圧制御にてノズル62から溶融半田Lを吐出し、リードフレーム等の被半田付部材に半田付けを行うことができる。
【0041】
本発明では、溶融半田Lを吐出する際に、供給口25から出口28まで非酸化性ガスを流通させるため、出口28が開口状態であっても、溶融槽内には非酸化性ガスが供給されて溶融槽内を酸化防止雰囲気に維持できる。しかも、出口28では、溶融槽1の内側から外側に向かって非酸化性ガスが流出することから、溶融槽1の外側から内側のエア(酸素)の進入を遮断できる。これにより、溶融槽内の溶融半田Lが酸化するのを抑えることができ、溶融槽内において酸化物の発生を抑えることができて、不純物の少ない高品質な半田を供給することができる。また、出口28を介して溶融槽へインゴット半田を常時供給することができる。これらが相俟って、溶融槽1の交換や、メンテナンス回数を少なくできて、長時間の稼動が可能となる。
【0042】
溶融槽1は、槽本体1aと、この槽本体1aに連設されて垂直方向に延びるガイド体27を備え、このガイド体27の反槽本体側の開口部を出口28とし、供給口25からガイド体27の開口部までの非酸化性ガスの流路を形成している。これにより、槽本体1aの開口部(ガイド体27との連通口)が外気に曝されることがなくなって、酸素が槽本体内に進入するのを抑えることができる。これにより、酸化物の発生を防止でき、一層高品質な半田を供給することができる。
【0043】
出口28を開閉させる開閉蓋29を設けるとともに、溶融槽1に、この溶融槽1を真空状態とする真空手段24を設けている。これにより、溶融槽内を密封状態として、溶融槽1を真空状態とすることができ、溶融槽内の残留酸素を迅速に非酸化性ガスに置換することができて、効率良く装置を作動させることができる。
【0044】
溶融槽1の下方に配設されて、被実装部に溶融半田Lを吐出するルツボ42を備え、溶融槽1の酸化防止雰囲気を維持したまま、溶融槽1の溶融半田Lをルツボ42に供給する。これにより、溶融半田Lがルツボ42にさらに供給されることになり、溶融槽1で酸化物が生成されても酸化物を溶融槽1に留まらせることができて、ルツボ42には酸化物が供給されにくいため、高品質な半田を供給することができる。
【0045】
第2実施形態として、前記実施形態における供給部91や供給路構造92を省略し、溶融部90のみの構成とする。この場合、半田流出口32にノズル(図示省略)を付設し、このノズルから被実装部に溶融半田Lを供給する。
【0046】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ガイド体27の長さ、内径は、種々の寸法とすることができる。また、非酸化性ガスの流速としては、出口28において酸素の進入を抑えられる流速とするのが好ましく、種々の速度とすることができる。ガイド体27は、インゴット半田を自重にて落下させるため、鉛直方向上方に向かって延びる構造とするのが好ましいが、斜め上方に向かって延びるものであってもよい。開閉蓋29は、ボールバルブでなくてもよく、プラグバルブ等の種々のものを採用できる。開閉蓋29を有しなくてもよく、出口28は常に開状態であってもよい。
【0047】
前記実施形態では、予め溶融槽内を酸化防止雰囲気として溶融槽内に非酸化性ガスの流路を形成した後に、溶融槽内にインゴット半田を供給したが、これらの工程を逆にしてもよい。すなわち、まず溶融槽内にインゴット半田を供給する。その後、開閉蓋29を閉状態として溶融槽内を密封状態とし、非酸化性ガス供給手段23及び真空手段24を作動させて、溶融槽1及びガイド体27の残留酸素を除去するとともに、酸化防止雰囲気とする。その後、非酸化性ガス供給手段23を作動させたまま、開閉蓋29を開状態として、非酸化性ガスを供給口25から出口28にまで流通させて、非酸化性ガスの流路を形成してもよい。開閉蓋29の開閉は、手動で行っても自動で行ってもよい。
【0048】
槽本体1aに、槽本体1aの内部の酸素濃度を測定できる酸素濃度計を設置するとともに、非酸化性ガス供給手段23に、酸素濃度計の値に応じて非酸化性ガスの流速や供給量を制御する制御手段を設けてもよい。すなわち、出口28から酸素が進入した場合や、残留酸素が存在する等により槽本体1a内の酸素濃度が高い場合には、直ちに非酸化性ガス供給手段23を制御して非酸化性ガスの供給量を増加させて、槽本体1a内の酸素を排出する。これにより、リアルタイムで正確に槽本体aの内部を非酸化性雰囲気とすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 溶融槽
1a 槽本体
23 非酸化性ガス供給手段
24 真空手段
25 供給口
27 ガイド体
28 出口
29 開閉蓋
42 ルツボ
L 溶融半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化防止雰囲気とされる溶融槽にインゴット半田が供給され、この溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、前記溶融槽から溶融半田を吐出する半田供給装置において、
前記溶融槽内に非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス供給手段を備えるとともに、前記溶融槽に、非酸化性ガスを溶融槽内へ供給する供給口と、溶融槽内の非酸化性ガスを溶融槽外へ排出する出口とを設け、
前記非酸化性ガス供給手段により、非酸化性ガスを前記供給口から出口にまで流通させて、溶融槽内に、溶融槽内の酸化防止雰囲気を維持する非酸化性ガスの流路を形成しつつ、溶融半田を吐出することを特徴とする半田供給装置。
【請求項2】
前記溶融槽は、槽本体と、この槽本体に連設されて垂直方向に延びるガイド体を備え、このガイド体の反槽本体側の開口部を前記出口とし、前記供給口から前記ガイド体の開口部までの非酸化性ガスの流路を形成することを特徴とする請求項1の半田供給装置。
【請求項3】
前記出口を開閉させる開閉蓋を設けるとともに、前記溶融槽に、この溶融槽を真空状態とする真空手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2の半田供給装置。
【請求項4】
前記溶融槽の下方に配設されて、被実装部に溶融半田を吐出するルツボを備え、溶融槽の酸化防止雰囲気を維持したまま、溶融槽の溶融半田をルツボに供給することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の半田供給装置。
【請求項5】
酸化防止雰囲気とされる溶融槽にインゴット半田が供給され、この溶融槽内でインゴット半田を加熱して溶融し、前記溶融槽から溶融半田を吐出する半田供給方法において、
非酸化性ガスを溶融槽内へ供給し、溶融槽内を酸化防止雰囲気として、
溶融槽内を酸化防止雰囲気としたまま、非酸化性ガスを前記供給口から出口にまで流通させて、溶融槽内に、溶融槽内の酸化防止雰囲気を維持する非酸化性ガスの流路を形成した状態で溶融半田を吐出することを特徴とする半田供給方法。
【請求項6】
前記溶融槽を密封状態として酸化防止雰囲気とした後、密封状態を解除して溶融槽内に非酸化性ガスを流通させることを特徴とする請求項5の半田供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−83818(P2011−83818A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240666(P2009−240666)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】