半透過型表示装置の製造方法
【課題】有機平坦化膜を形成するための露光処理時に、TFTアレイ基板を透過した光のステージでの反射光により、有機平坦化膜の膜厚に視認可能なムラが生じるのを防止することを目的とする。
【解決手段】半透過型表示装置の製造方法は、透明基板1上の透過表示領域20に遮光膜14を形成する工程と、遮光膜14が形成された透明基板1上に感光性有機膜7を形成する工程と、感光性有機膜7を露光および現像して、透過表示領域20の感光性有機膜7を貫通する貫通孔7aを形成する工程と、貫通孔7aの形成後に貫通孔7aから露出する遮光膜14を除去する工程と、感光性有機膜7の上方に反射膜9を形成し、反射表示領域を形成する工程とを備える。
【解決手段】半透過型表示装置の製造方法は、透明基板1上の透過表示領域20に遮光膜14を形成する工程と、遮光膜14が形成された透明基板1上に感光性有機膜7を形成する工程と、感光性有機膜7を露光および現像して、透過表示領域20の感光性有機膜7を貫通する貫通孔7aを形成する工程と、貫通孔7aの形成後に貫通孔7aから露出する遮光膜14を除去する工程と、感光性有機膜7の上方に反射膜9を形成し、反射表示領域を形成する工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透過型表示装置の製造方法に関し、更に詳しくは、透過表示領域および反射表示領域を有する半透過型の表示装置について反射表示領域の表示品質を向上させる製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
PDA(Personal Digital Assistant)と呼ばれる携帯情報端末や、携帯電話等の携帯通信端末に用いられる表示装置には、薄型、軽量、低消費電力であることが求められるとともに、様々な環境下で高い視認性を有することが求められている。この様な携帯端末の表示装置には、薄型、軽量、低消費電力という特長を有する液晶表示装置が広く普及している。
【0003】
液晶表示装置の場合、CRT(Cathode-Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等とは異なり、画像情報を出力する液晶パネル自身は発光していない。このため、液晶表示装置は大きく分けて、バックライトと呼ばれる光源からの光を透過させる透過型と、反射板により外来光を反射させる反射型とに分類される。
【0004】
反射型は、明るい場所では視認性が高いが、暗い場所では視認性が著しく低下する。一方、透過型の場合、明るい場所では視認性が低下し、また、液晶表示装置全体に占めるバックライトの消費電流の割合が大きいため、反射型に比べて消費電流が大きくなるという問題があった。
【0005】
このため、表示領域の一部を透過表示領域とするとともに、他の一部を反射表示領域とし、透過表示領域ではバックライトからの光を透過させ、反射表示領域では外来光を反射させる半透過型の液晶表示装置が知られている。透過型および反射型の特徴を併せ持つこの様な液晶表示装置は、様々な環境下で高い視認性を確保することができる点で優れている。
【0006】
一般に、液晶パネルは、ガラス基板上に多数の薄膜トランジスタがマトリクス状に形成されたTFT(Thin Film Transistor)アレイ基板と、ガラス基板上にカラーパターンが形成されたカラーフィルタとを貼り合わせるとともに、TFTアレイ基板、カラーフィルタ間に液晶を封入して構成され、液晶ディスプレイ装置は、封入された液晶の配向を制御することによって画像表示を行っている。
【0007】
このような液晶ディスプレイ装置は、たとえば特開2000−29030号公報、特開2000−171794号公報、特開2000−180881号公報、特開2000−284272号公報、特開2001−221995号公報、特開2001−350158号公報等(特許文献1〜6参照)に開示されている。
【0008】
従来の半透過型液晶表示装置のTFTアレイ基板の製造時には、ガラス基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、ソース電極およびドレイン電極からなる薄膜トランジスタと、層間絶縁膜とが形成される。そして、このガラス基板上に有機平坦化膜を形成するために、感光性有機物が塗布されて露光処理を施される。
【0009】
塗布された感光性有機物に対し、露光処理、現像処理および焼成処理を行うことにより、透過表示領域およびコンタクト領域に貫通口を有する有機平坦化膜が形成される。この透過表示領域に透明電極を形成すれば、透過型表示装置として機能させることができる。また、有機平坦化膜およびコンタクト領域上に反射膜を形成し、反射表示領域とすれば、この領域を反射型表示装置として機能させることができる。
【特許文献1】特開2000−29030号公報
【特許文献2】特開2000−171794号公報
【特許文献3】特開2000−180881号公報
【特許文献4】特開2000−284272号公報
【特許文献5】特開2001−221995号公報
【特許文献6】特開2001−350158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
感光性有機膜を露光処理する際、フォトマスクを介して透過表示領域およびコンタクト領域にUV(ultraviolet)光が照射され、これらの領域に塗布された感光性有機膜のみを感光させれば所望の有機平坦化膜を形成することができる。ところが、照射されたUV光は、シリコン窒化膜からなるゲート絶縁膜および層間絶縁膜を透過し、更にガラス基板を透過して、ガラス基板を支持するステージにまで達する。
【0011】
このため、ステージでの反射光が、背面側からTFTアレイ基板へ再び入射し、感光性有機膜を感光させる。この様なマスクパターンでは制御できない反射光により、透過表示領域およびコンタクト領域以外に塗布された感光性有機膜が感光されると、有機平坦化膜の膜厚が部分的に減少してしまうという問題があった。
【0012】
特に、ステージ上には、TFTアレイ基板を真空吸着するための溝部(たとえば、深さ1mm程度の溝部)や、各種センサの検出部等が設けられている。ステージに溝部が設けられている場合、溝部外で反射した反射光と、溝部内で反射した反射光とではその強度が異なり、反射光によって生ずる有機平坦化膜の膜厚の減少量も異なってくる。このため、有機平坦化膜上に反射膜を形成して反射表示領域にした場合、ステージの溝部等に起因する反射率の相違が表示ムラとして視認され、表示品質が低下するという問題があった。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、有機平坦化膜を形成するための露光処理時に、TFTアレイ基板を透過した光のステージでの反射光により、有機平坦化膜の膜厚に視認可能なムラが生じるのを防止し、あるいは抑制することにより高品質の半透過型表示装置を安価に製造することのできる半透過型表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半透過型表示装置の製造方法は、以下の工程を備えている。
まず透明基板上の透過表示領域に遮光膜が形成される。その遮光膜が形成された透明基板上に感光性有機膜が塗布される。その感光性有機膜が露光および現像され、透過表示領域において感光性有機膜を貫通する貫通孔が形成される。その貫通孔の形成後に貫通孔から露出する遮光膜が除去され、透明基板の表面が露出する。透過表示領域で透明基板の表面に接するように透明電極が形成される。感光性有機膜の上方に反射膜が形成され、反射表示領域が形成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半透過型表示装置の製造方法によれば、透過表示領域に遮光膜が形成された基板上に感光性有機膜が成膜され、その感光性有機膜の露光処理を行った後に遮光膜が除去される。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過するのを防止し、あるいは透過量を低減することができる。従って、ステージでの反射光に起因する表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1〜図7は、本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図1を参照して、透明基板1は、薄膜トランジスタ、透過型画素電極および反射型画素電極が形成されるガラス、プラスチック等からなる光透過性の絶縁基板である。この透明基板1上にスパッタ法等を用いて、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Cu(銅)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)等からなる導電性膜が形成される。この導電性膜が、フォトリソグラフィ法により形成したレジスト(図示せず)を用いて所定形状にパターニングされることにより、ゲート電極2が形成される。
【0017】
このゲート電極2を覆うように透明基板1上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて、たとえばシリコン窒化膜またはシリコン酸化膜よりなるゲート絶縁膜3が形成される。このゲート絶縁膜3上に、プラズマCVD法等を用いて、たとえばアモルファスシリコン膜4aと、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜(図示せず)とが順に積層されて形成される。
【0018】
このアモルファスシリコン膜4aと不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜との上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン41aが形成される。このレジストパターン41aをマスクとして、アモルファスシリコン膜4aと不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜とにエッチングが施される。このエッチングの後、レジストパターン41aはたとえばアッシングなどにより除去される。
【0019】
図2を参照して、上記のエッチングにより、アモルファスシリコン膜4aがパターニングされて半導体層4が形成され、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜がパターニングされてオーミックコンタクト層(図示せず)が形成される。半導体層4が形成されるのと同時に、透過表示領域20に遮光膜14が形成される。すなわち、遮光膜14は、半導体層4を構成するアモルファスシリコン膜4aをパターニングしてゲート絶縁膜3上に形成される。
【0020】
この遮光膜14は、透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成される。アモルファスシリコン膜からなる遮光膜14は、後述する有機平坦化膜7の露光処理で用いられる照射光に対しほぼ不透過な膜であり、透過表示領域20に入射される照射光を遮断する。
【0021】
図3を参照して、スパッタ法等によりAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜が成膜された後、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされる。これにより、導電性膜からソース電極51およびドレイン電極52が形成されるとともに、ソース電極51およびドレイン電極52に覆われていないオーミックコンタクト層がエッチングされる。このようにしてゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52よりなる薄膜トランジスタが形成される。
【0022】
図4を参照して、プラズマCVD法等により、たとえばシリコン窒化膜よりなる層間絶縁膜6(パッシベーション膜)が形成された後、その層間絶縁膜6上に、感光性を有するアクリル系樹脂等からなるポジ型の感光性有機物よりなる絶縁性膜7が層間絶縁膜6上に塗布され、露光処理を施される。この露光処理においては、表面に溝部26等を有するステージ25上に透明基板1を載せた状態で、UV光等を用いた低照度の露光と高照度の露光とが絶縁性膜7に行われる。低照度の露光は絶縁性膜7の上面の凹凸を形成したい領域に行われ、高照度の露光は透過表示領域20およびコンタクト領域21に行われる。この高照度の露光により露光光の照射される透過表示領域20には遮光膜14が位置しているため、透過表示領域20に照射された露光光(実線矢印)が点線矢印に示すように遮光膜14を透過して透明基板1に達することは防止される。この露光処理の後、絶縁性膜7に現像処理および焼成処理が順に施される。
【0023】
図5を参照して、上記の現像処理および焼成処理を行うことにより、絶縁性膜から有機平坦化膜7が形成される。低照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の反射表示領域上面に凹凸7cが形成され、高照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の領域に有機平坦化膜7を貫通する孔7a、7bが形成される。この孔7aは透過表示領域20に形成され、かつ遮光膜14の上方に開口する。また孔7bはコンタクト領域21に形成され、かつドレイン電極52の上方に開口する。
【0024】
このような有機平坦化膜7を形成することにより、薄膜トランジスタ、電極配線(図示しないゲート配線、ソース配線等)によって生じた透明基板1上の段差を吸収することができる。これにより、有機平坦化膜7の上面には凹凸7c以外に大きな段差が生じないようにすることができる。
【0025】
図6を参照して、有機平坦化膜7をマスクとしてドライエッチングが施される。これにより、コンタクト領域21の層間絶縁膜6が除去されてドレイン電極52が露出して、コンタクトホール7bが形成される。また、コンタクト領域21の層間絶縁膜6をエッチングする際、透過表示領域20の層間絶縁膜6、遮光膜14およびゲート絶縁膜3も同時にエッチングされて透明基板1に達する貫通孔7aが形成される。このため、透過表示領域20は、透明基板1のみからなる光透過の可能な領域となる。
【0026】
図7を参照して、透過表示領域20、コンタクト領域21および有機平坦化膜7上にITO(Indium-Tin Oxide)等からなる光透過性を有する導電性膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、透明電極8が形成される。透明電極8は、コンタクト領域21においてドレイン電極52と電気的に導通し、かつ透過表示領域20では画素電極として機能する。
【0027】
この透明電極8および有機平坦化膜7上に、Al等の高反射率の金属膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、反射膜9が形成される。反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52に電気的に導通し、かつ反射表示領域の画素電極として機能する。
【0028】
以上の各工程によって本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0029】
次に、上記の方法によって製造されるTFTアレイ基板の構成について説明する。
図7を参照して、このTFTアレイ基板では、透明基板1上に多数の薄膜トランジスタが形成されている。多数の薄膜トランジスタの各々は、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52からなっている。
【0030】
ゲート電極2は、下地膜(図示せず)を介して透明基板1上に形成されており、ゲート配線(図示せず)に電気的に接続されている。ゲート絶縁膜3は、ゲート電極2上を含み、透過表示領域20内を除く透明基板1の領域上に形成されている。半導体層4は薄膜トランジスタのチャネル層であり、ゲート絶縁膜3を介してゲート電極2上に形成されている。また、この半導体層4と同一の層から分離して形成された遮光膜14がゲート絶縁膜3上に形成されている。
【0031】
ソース電極51およびドレイン電極52はともにオーミックコンタクト層(図示せず)を介して半導体層4上に形成されており、ソース電極51はソース配線(図示せず)に電気的に接続されている。
【0032】
この薄膜トランジスタ上には層間絶縁膜6が形成されており、この層間絶縁膜6は、透過表示領域20とコンタクト領域21とを除く透明基板1の領域上に形成されている。
【0033】
この層間絶縁膜6上には有機平坦化膜7が形成されている。有機平坦化膜7は、透過表示領域20およびコンタクト領域21を除く透明基板1の領域上に形成されており、透明基板1上の段差を吸収して平坦化するとともに、上面の細かな凹凸7cにより外来光を乱反射する機能を有している。
【0034】
上記のゲート絶縁膜3、遮光膜14、層間絶縁膜6および有機平坦化膜7の透過表示領域20には、それらの膜3、14、6、7を貫通して透明基板1の表面に達する貫通孔7aが形成されている。また、層間絶縁膜6および有機平坦化膜7のコンタクト領域21には、それらの膜6、7を貫通してドレイン電極52の表面に達する貫通孔(コンタクトホール)7bが形成されている。
【0035】
透明電極8は、少なくとも透過表示領域20に形成され、貫通孔7bを介してドレイン電極52と電気的に導通させることにより、透過型表示装置における画素電極として機能する。反射膜9は、透過表示領域20を除く画素領域内であって、透明電極8および有機平坦化膜7上に形成されている。この反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52と電気的に導通されることにより、反射型表示装置における画素電極(反射電極)として機能する。つまり、反射膜9が形成された領域が反射表示領域となる。また、反射膜9が透過表示領域20内に開口を有することにより、この開口を通じてバックライトからの光を透過させることができる。
【0036】
上記のTFTアレイ基板では、遮光膜14を透過表示領域20よりも広く形成したことにより、TFTアレイ基板の製造後も、透過表示領域20の周辺部には遮光膜14の端部が残されている。具体的には、遮光膜14は、貫通孔7aの周辺に残存しており、貫通孔7aの側壁面に面する側壁を有している。また、貫通孔7aが遮光膜14の中央部を貫通している場合には、遮光膜14は貫通孔の周囲を取囲むように残存している。
【0037】
本実施の形態によれば、図4に示すように絶縁性膜7の高照度の露光の際に、透過表示領域20およびコンタクト領域21にUV光等が照射される。しかし、透過表示領域20には遮光膜14が形成されており、この遮光膜14は、露光処理で用いられる短波長帯の照射光(たとえばUV光)に対し、ほぼ不透過であるため、照射光が透明基板1を透過してステージ25に達することを防止し、あるいは透過量を大幅に低減することができる。従って、ステージ25上の溝部26やセンサ部による反射率の差に起因する有機平坦化膜7の膜厚のバラツキの発生を防止することができ、反射表示領域20に表示ムラが現れるのを防止することができる。これにより、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【0038】
特に、本実施の形態では、薄膜トランジスタの半導体層4を形成するためのアモルファスシリコン膜を利用して遮光膜14が形成され、半導体層4とともにパターニングされている。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜14を形成することができるので、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0039】
また、層間絶縁膜6を除去してコンタクトホール7bを形成する際に、遮光膜14も除去される。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜14を除去することができるので、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0040】
また、遮光膜14を透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成している。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過することを効果的に防止することができる。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態1では、遮光膜にアモルファスシリコン膜を用い、薄膜トランジスタの半導体層を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、遮光膜に導電性膜を用いて、ソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0042】
図8〜12は、本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図8を参照して、透明基板1と、ゲート電極2と、ゲート絶縁膜3とが、実施の形態1と同様の方法により形成される。
【0043】
このゲート絶縁膜3上に、プラズマCVD法等を用いて、たとえばアモルファスシリコン膜と、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜(図示せず)とが順に積層されて形成される。このアモルファスシリコン膜と不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜とが、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされて、アモルファスシリコン膜から半導体層4aが形成され、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜からオーミックコンタクト層(図示せず)が形成される。
【0044】
スパッタ法等によりAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜51aが成膜される。この導電性膜51a上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン41bが形成される。このレジストパターン41bをマスクとして、導電性膜51aにエッチングが施される。このエッチングの後、レジストパターン41bはたとえばアッシングなどにより除去される。
【0045】
図9を参照して、上記のエッチングにより、導電性膜51aがパターニングされることにより、導電性膜51aからソース電極51およびドレイン電極52が形成されると同時に、透過表示領域20に導電性膜51aから遮光膜15が形成される。また、ソース電極51、ドレイン電極52および遮光膜15の形成とともに、ソース電極51、ドレイン電極52および遮光膜15に覆われていないオーミックコンタクト層がエッチングされる。このようにしてゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52よりなる薄膜トランジスタが形成される。
【0046】
この遮光膜15は、透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成される。導電性膜からなる遮光膜15は、後述する有機平坦化膜7の露光処理で用いられる照射光に対しほぼ不透過な膜であり、透過表示領域20に入射される照射光を遮断する。
【0047】
図10を参照して、プラズマCVD法等により、たとえばシリコン窒化膜よりなる層間絶縁膜6(パッシベーション膜)が形成された後、その層間絶縁膜6上に、感光性を有するアクリル系樹脂等からなるポジ型の感光性有機物よりなる絶縁性膜7が層間絶縁膜6上に塗布され、露光処理を施される。この露光処理は実施の形態1と同様に行われる。この露光処理の後、絶縁性膜7に現像処理および焼成処理が順に施される。
【0048】
上記の現像処理および焼成処理後を行うことにより、絶縁性膜から有機平坦化膜7が形成される。低照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の反射表示領域上面に凹凸7cが形成され、高照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の領域に有機平坦化膜7を貫通する孔7a、7bが形成される。この孔7aは透過表示領域20に形成され、かつ遮光膜15の上方に開口する。また孔7bはコンタクト領域21に形成され、かつドレイン電極52の上方に開口する。
【0049】
このような有機平坦化膜7を形成することにより、薄膜トランジスタ、電極配線(図示しないゲート配線、ソース配線等)によって生じた透明基板1上の段差を吸収することができる。これにより、有機平坦化膜7の上面には凹凸7c以外に大きな段差が生じないようにすることができる。
【0050】
図11を参照して、有機平坦化膜7をマスクとしてドライエッチングが施される。これにより、コンタクト領域21の層間絶縁膜6が除去されてドレイン電極52が露出して、コンタクトホール7bが形成される。また、コンタクト領域21の層間絶縁膜6をエッチングする際、透過表示領域20の層間絶縁膜6も同時にエッチングされる。ただし、このエッチングによっては、層間絶縁膜6の除去と同時に遮光膜15を除去することはできない。このため、有機平坦化膜7が形成された後、別途、ウエットエッチングによって遮光膜15が除去される。この後、さらに透過表示領域20においてゲート絶縁膜3が除去されて、有機平坦化膜7と層間絶縁膜6と遮光膜15とゲート絶縁膜3とを貫通して透明基板1の表面に達する貫通孔7aが形成される。これにより、透過表示領域20は、透明基板1のみからなる光透過の可能な領域となる。
【0051】
図12を参照して、透過表示領域20、コンタクト領域21および有機平坦化膜7上にITO等からなる光透過性を有する導電性膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、透明電極8が形成される。透明電極8は、コンタクト領域21においてドレイン電極52と電気的に導通し、かつ透過表示領域20では画素電極として機能する。
【0052】
この透明電極8および有機平坦化膜7上に、Al等の高反射率の金属膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、反射膜9が形成される。反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52に電気的に導通し、かつ反射表示領域の画素電極として機能する。
【0053】
以上の各工程によって本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0054】
次に、上記の方法によって製造されるTFTアレイ基板の構成について説明する。
図12を参照して、このTFTアレイ基板では、ソース電極51およびドレイン電極52と同一の層から分離して形成された遮光膜15の材質は、ソース電極51およびドレイン電極52と同一の材質、たとえばAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜よりなっている。なお、これ以外の構成については、図7に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
本実施の形態によれば、図10に示すように絶縁性膜7の高照度の露光の際に、透過表示領域20およびコンタクト領域21にUV光等が照射される。しかし、透過表示領域20には遮光膜15が形成されており、この遮光膜15は、露光処理で用いられる短波長帯の照射光(たとえばUV光)に対し、ほぼ不透過であるため、照射光が透明基板1を透過して下側のステージに達することを防止し、あるいは透過量を大幅に低減することができる。従って、ステージ上の溝部やセンサ部による反射率の差に起因する有機平坦化膜7の膜厚のバラツキの発生を防止することができ、反射表示領域20に表示ムラが現れるのを防止することができる。これにより、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【0056】
特に、本実施の形態では、薄膜トランジスタのソース電極51およびドレイン電極52を形成するための導電性膜51aを利用して遮光膜15が形成され、ソース電極51およびドレイン電極52とともに遮光膜15もパターニングされている。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜15を形成することができるので、ステージでの反射光に起因する表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0057】
また、遮光膜15を透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成している。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過することを効果的に防止することができる。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態2では、導電性膜を用いた遮光膜を、薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、ゲート電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0059】
図13〜18は、本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図13を参照して、透明基板1上にスパッタ法等を用いて、Al、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜2aが形成される。この導電性膜2a上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン41cが形成される。このレジストパターン41cをマスクとして、導電性膜2aにエッチングが施される。このエッチングの後、レジストパターン41cはたとえばアッシングなどにより除去される。
【0060】
図14を参照して、上記のエッチングにより、導電性膜2aがパターニングされることにより、導電性膜2aからゲート電極2が形成されると同時に、透過表示領域20に導電性膜2aから遮光膜12が形成される。
【0061】
この遮光膜12は、透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成される。導電性膜からなる遮光膜12は、後述する有機平坦化膜7の露光処理で用いられる照射光に対しほぼ不透過な膜であり、透過表示領域20に入射される照射光を遮断する。
【0062】
図15を参照して、このゲート電極2と遮光膜12とを覆うように透明基板1上に、ゲート絶縁膜3が実施の形態1と同様の方法により形成される。
【0063】
このゲート絶縁膜3上に、プラズマCVD法等を用いて、たとえばアモルファスシリコン膜と、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜(図示せず)とが順に積層されて形成される。このアモルファスシリコン膜と不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜とが、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされて、アモルファスシリコン膜から半導体層4aが形成され、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜からオーミックコンタクト層(図示せず)が形成される。
【0064】
スパッタ法等によりAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜が成膜された後、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされる。これにより、導電性膜からソース電極51およびドレイン電極52が形成されるとともに、ソース電極51およびドレイン電極52に覆われていないオーミックコンタクト層がエッチングされる。このようにしてゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52よりなる薄膜トランジスタが形成される。
【0065】
図16を参照して、プラズマCVD法等により、たとえばシリコン窒化膜よりなる層間絶縁膜6(パッシベーション膜)が形成された後、その層間絶縁膜6上に、感光性を有するアクリル系樹脂等からなるポジ型の感光性有機物よりなる絶縁性膜7が層間絶縁膜6上に塗布され、露光処理を施される。この露光処理は実施の形態1と同様に行われる。この露光処理の後、絶縁性膜7に現像処理および焼成処理が順に施される。
【0066】
上記の現像処理および焼成処理を行うことにより、絶縁性膜から有機平坦化膜7が形成される。低照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の反射表示領域上面に凹凸7cが形成され、高照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の領域に有機平坦化膜7を貫通する孔7a、7bが形成される。この孔7aは透過表示領域20に形成され、かつ遮光膜15の上方に開口する。また孔7bはコンタクト領域21に形成され、かつドレイン電極52の上方に開口する。
【0067】
このような有機平坦化膜7を形成することにより、薄膜トランジスタ、電極配線(図示しないゲート配線、ソース配線等)によって生じた透明基板1上の段差を吸収することができる。これにより、有機平坦化膜7の上面には凹凸7c以外に大きな段差が生じないようにすることができる。
【0068】
図17を参照して、有機平坦化膜7がマスクとしてドライエッチングが施される。これにより、コンタクト領域21の層間絶縁膜6が除去されてドレイン電極52が露出して、コンタクトホール7bが形成される。また、コンタクト領域21の層間絶縁膜6をエッチングする際、透過表示領域20の層間絶縁膜6およびゲート絶縁膜3も同時にエッチングされる。ただし、このエッチングによっては、層間絶縁膜6の除去と同時に遮光膜12を除去することはできない。このため、有機平坦化膜7が形成された後、別途、ウエットエッチングによって遮光膜12が除去される。これにより、有機平坦化膜7と層間絶縁膜6とゲート絶縁膜3と遮光膜12とを貫通して透明基板1の表面に達する貫通孔7aが形成される。これにより、透過表示領域20は、透明基板1のみからなる光透過の可能な領域となる。
【0069】
図18を参照して、透過表示領域20、コンタクト領域21および有機平坦化膜7上にITO等からなる光透過性を有する導電性膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、透明電極8が形成される。透明電極8は、コンタクト領域21においてドレイン電極52と電気的に導通し、かつ透過表示領域20では画素電極として機能する。
【0070】
この透明電極8および有機平坦化膜7上に、Al等の高反射率の金属膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、反射膜9が形成される。反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52に電気的に導通し、かつ反射表示領域の画素電極として機能する。
【0071】
以上の各工程によって本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0072】
次に、上記の方法によって製造されるTFTアレイ基板の構成について説明する。
図18を参照して、このTFTアレイ基板では、ゲート電極2と同一の層から分離して形成された遮光膜12の材質は、ゲート電極2と同一の材質、たとえばAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜よりなっている。また、遮光膜12はゲート電極2と同一の層から分離して形成されるため、透明基板1とゲート絶縁膜3との間に形成されている。なお、これ以外の構成については、図7に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
本実施の形態によれば、図16に示すように絶縁性膜7の高照度の露光の際に、透過表示領域20およびコンタクト領域21にUV光等が照射される。しかし、透過表示領域20には遮光膜12が形成されており、この遮光膜12は、露光処理で用いられる短波長帯の照射光(たとえばUV光)に対し、ほぼ不透過であるため、照射光が透明基板1を透過して下側のステージに達することを防止し、あるいは透過量を大幅に低減することができる。従って、ステージ上の溝部やセンサ部による反射率の差に起因する有機平坦化膜7の膜厚のバラツキの発生を防止することができ、反射表示領域20に表示ムラが現れるのを防止することができる。これにより、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【0074】
特に、本実施の形態では、薄膜トランジスタのゲート電極2を形成するための導電性膜2aを利用して遮光膜12が形成され、ゲート電極2とともに遮光膜12もパターニングされている。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜12を形成することができるので、ステージでの反射光に起因する表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0075】
また、遮光膜12を透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成している。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過することを効果的に防止することができる。
【0076】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3では、遮光膜14、15、12を透過表示領域20だけでなく、その周辺部も含む透過表示領域20よりも広い領域に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、透過表示領域20の周縁部(領域の内側)を除く透過表示領域20よりも狭い領域に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0077】
図19は、実施の形態1による製造方法において、遮光膜14がオーバーエッチされて、透過表示領域20の周辺部(領域の外側)に位置する遮光膜14がエッチングされた場合のTFTアレイ基板の様子を示した断面図である。
【0078】
実施の形態1では、有機平坦化膜7の焼成後、有機平坦化膜7をマスクとして、遮光膜およびゲート絶縁膜3のエッチングが行われる。遮光膜14をエッチングすることによって遮光膜14の下層にあったゲート絶縁膜3が露出し、遮光膜14のエッチングに引き続いて、ゲート絶縁膜3のエッチングが行われる。
【0079】
ここで、遮光膜14のエッチングレートが、ゲート絶縁膜3に比べて高ければ、ゲート絶縁膜3のエッチング中に、基板主面に平行な方向に遮光膜14のエッチングが進むことになる。すなわち、透過表示領域20の周辺部の遮光膜14(有機平坦化膜7下の遮光膜14)のエッチングが進んで、透過表示領域20の周辺に形成されている有機平坦化膜7のテーパー状側面に凹部が形成される。
【0080】
このような場合に、カバレッジ特性の良好でない膜、たとえばITOを用いて透明電極8を形成すれば、遮光膜14のオーバーエッチで生じた凹部において透明電極8が切断され、透過表示領域20のITOは電気的にフローティング又は高抵抗となって、透過表示領域20における表示制御を行うことができなくなる場合が考えられる。
【0081】
本実施の形態では、この様な問題に鑑みた半透過型表示装置の製造方法について説明する。図20および図21は、本発明の実施の形態4による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図20を参照して、本実施の形態では、半導体層4と同じアモルファスシリコン膜からなる遮光膜34が、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜34を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0082】
遮光膜34が透過表示領域20からはみ出さないようにするには、遮光膜34の端部と透過表示領域20の端部との間の幅Wを1μm以上確保して、遮光膜34の端部を透過表示領域20の中央よりに後退させておくことが望ましい。特に、有機平坦化膜7は膜厚が大きく、透過表示領域20のテーパー状側面の傾きが無視できないことから、遮光膜34のパターニング精度に比べ、有機平坦化膜7のパターニング精度は低く、フォトマスク上の比較で、遮光膜34の端部は、有機平坦化膜7の端部よりも2.5μm以上後退させることが望ましい。
【0083】
この状態で、孔7a、7bを介して、層間絶縁膜6と遮光膜34とゲート絶縁膜3とがエッチングにより除去される。
【0084】
図21を参照して、上記遮光膜34およびゲート絶縁膜3をエッチングする際、遮光膜34が形成されていない透過表示領域20の周縁部では、中央部に比べて、エッチングが早く進む。このため、透明基板1としてガラス基板を用いた場合、透過表示領域20の中心部のエッチングが完了した時点で、透過表示領域20の周縁部では既にガラス基板のエッチングが始まっている。このため、透過表示領域20の透明基板1は、周縁部が中央部よりも多くエッチングされ、周縁部に凹部22が形成される。つまり、遮光膜34は残存せず、透明基板1の表面であって孔7a内の周縁部には凹部22が形成される。この後、実施の形態1と同様にして、透明電極8と反射膜9とが形成されて、本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0085】
なお、上述以外の工程については、実施の形態1の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。また、図20および図21に示す構成要素のうち、実施の形態1と同一または相当する構成要素については同一の符号を付している。
【0086】
本実施の形態によれば、遮光膜が、透過表示領域から周縁部を除いた領域に形成されるため、カバレッジ特性の良好でない透明電極を形成する場合であっても、透過表示領域内の透明電極をドレイン電極に導通させ、電極の電圧制御を行うことができる。
【0087】
(実施の形態5)
実施の形態4では、透過表示領域20よりも小さい遮光膜を、アモルファスシリコン膜を用いて、薄膜トランジスタの半導体層4を形成するのと同時に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、導電性膜を用いて、ソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0088】
図22は、本発明の実施の形態5による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図22を参照して、本実施の形態では、ソース電極51およびドレイン電極52と同じAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる遮光膜35が、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜35を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0089】
遮光膜35が透過表示領域20からはみ出さないようにするには、遮光膜35の端部と透過表示領域20の端部との間の幅Wを1μm以上確保して、遮光膜35の端部を透過表示領域20の中央よりに後退させておくことが望ましい。特に、有機平坦化膜7は膜厚が大きく、透過表示領域20のテーパー状側面の傾きが無視できないことから、遮光膜35のパターニング精度に比べ、有機平坦化膜7のパターニング精度は低く、フォトマスク上の比較で、遮光膜35の端部は、有機平坦化膜7の端部よりも2.5μm以上後退させることが望ましい。
【0090】
この状態で、孔7a、7bを介して、層間絶縁膜6と遮光膜34とゲート絶縁膜3とがエッチングにより除去される。
【0091】
図21を参照して、上記遮光膜35およびゲート絶縁膜3をエッチングする際、遮光膜35が形成されていない透過表示領域20の周縁部では、中央部に比べて、エッチングが早く進む。このため、透明基板1としてガラス基板を用いた場合、透過表示領域20の中心部のエッチングが完了した時点で、透過表示領域20の周縁部では既にガラス基板のエッチングが始まっている。このため、透過表示領域20の透明基板1は、周縁部が中央部よりも多くエッチングされ、周縁部に凹部22が形成される。つまり、遮光膜35は残存せず、透明基板1の表面であって孔7a内の周縁部には凹部22が形成される。この後、実施の形態2と同様にして、透明電極8と反射膜9とが形成されて、本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0092】
なお、上述以外の工程については、実施の形態2の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。また、図20および図21に示す構成要素のうち、実施の形態2と同一または相当する構成要素については同一の符号を付している。
【0093】
遮光膜35として、ソース電極51およびドレイン電極52に用いられる導電性膜を用いる場合、遮光膜35を除去するためのウエットエッチングにおいて、オーバーエッチが生ずると、図19の場合と同様、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずることになる。
【0094】
このため、遮光膜35は、実施の形態4の場合と同様、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜35を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0095】
(実施の形態6)
実施の形態5では、導電性膜を用いた透過表示領域よりも小さい遮光膜を、薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、ゲート電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0096】
図23は、本発明の実施の形態6による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図23を参照して、本実施の形態では、ゲート電極2と同じAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる遮光膜32が、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜32を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0097】
遮光膜32が透過表示領域20からはみ出さないようにするには、遮光膜32の端部と透過表示領域20の端部との間の幅Wを1μm以上確保して、遮光膜32の端部を透過表示領域20の中央よりに後退させておくことが望ましい。特に、有機平坦化膜7は膜厚が大きく、透過表示領域20のテーパー状側面の傾きが無視できないことから、遮光膜32のパターニング精度に比べ、有機平坦化膜7のパターニング精度は低く、フォトマスク上の比較で、遮光膜32の端部は、有機平坦化膜7の端部よりも2.5μm以上後退させることが望ましい。
【0098】
この状態で、孔7a、7bを介して、層間絶縁膜6と遮光膜34とゲート絶縁膜3とがエッチングにより除去される。
【0099】
図21を参照して、上記遮光膜32およびゲート絶縁膜3をエッチングする際、遮光膜32が形成されていない透過表示領域20の周縁部では、中央部に比べて、エッチングが早く進む。このため、透明基板1としてガラス基板を用いた場合、透過表示領域20の中心部のエッチングが完了した時点で、透過表示領域20の周縁部では既にガラス基板のエッチングが始まっている。このため、透過表示領域20の透明基板1は、周縁部が中央部よりも多くエッチングされ、周縁部に凹部22が形成される。つまり、遮光膜32は残存せず、透明基板1の表面であって孔7a内の周縁部には凹部22が形成される。この後、実施の形態2と同様にして、透明電極8と反射膜9とが形成されて、本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0100】
なお、上述以外の工程については、実施の形態3の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。また、図23に示す構成要素のうち、実施の形態2と同一または相当する構成要素については同一の符号を付している。
【0101】
遮光膜32として、ゲート電極2に用いられる導電性膜を用いる場合、遮光膜32を除去するためのウエットエッチングにおいて、オーバーエッチが生ずると、図19の場合と同様、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずることになる。
【0102】
このため、遮光膜32は、実施の形態4の場合と同様、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜32を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0103】
なお、上記においてはTFTアレイ基板の例について図示したが、これらのTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成について、実施の形態1および4を例に挙げて説明する。
【0104】
図24は、実施の形態1のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を示す概略断面図である。図24を参照して、液晶表示装置は、実施の形態1のTFTアレイ基板と、ガラス基板64上にカラーフィルタ63が形成されたカラーフィルタ基板65とを貼り合せるとともに、TFTアレイ基板とカラーフィルタ基板65との間に液晶層61を封止することにより構成されている。このカラーフィルタ基板65の液晶層61側の表面にはITO電極62が形成されており、裏面側には位相差板66と偏光板67とが設けられている。
【0105】
実施の形態2および3のTFTアレイ基板も、上記と同様にして液晶表示装置を構成する。
【0106】
また、実施の形態4のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を図25に示す。図25を参照して、実施の形態4のTFTアレイ基板も、上記と同様にして液晶表示装置を構成する。
【0107】
また、実施の形態5および6のTFTアレイ基板も、上記と同様にして液晶表示装置を構成する。
【0108】
なお、上記の各実施の形態では、液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の例について説明したが、本発明は、液晶表示装置に限定されず、薄膜トランジスタ、透過表示領域および反射表示領域を有する種々の半透過型表示装置に適用することができる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図2】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図3】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第3工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図4】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第4工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図5】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第5工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図6】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第6工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図7】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第7工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図8】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図9】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図10】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第3工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図11】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第4工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図12】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第5工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図13】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図14】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図15】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第3工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図16】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第4工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図17】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第5工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図18】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第6工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図19】本発明の実施の形態1による製造方法において、遮光膜がオーバーエッチされた場合のTFTアレイ基板の様子を示した断面図である。
【図20】本発明の実施の形態4による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図21】本発明の実施の形態4による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図22】本発明の実施の形態5による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図23】本発明の実施の形態6による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図24】実施の形態1のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を示す概略断面図である。
【図25】実施の形態4のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0111】
1 透明基板、2 ゲート電極、3 ゲート絶縁膜、4 半導体層、6 層間絶縁膜、7 有機平坦化膜、7a,7b 孔、7c 凹凸、8 透明電極、9 反射膜、12,14,15,32,34,35 遮光膜、20 透過表示領域、21 コンタクト領域、25 ステージ、26 溝部、41a,41b,41c レジストパターン、51 ソース電極、52 ドレイン電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透過型表示装置の製造方法に関し、更に詳しくは、透過表示領域および反射表示領域を有する半透過型の表示装置について反射表示領域の表示品質を向上させる製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
PDA(Personal Digital Assistant)と呼ばれる携帯情報端末や、携帯電話等の携帯通信端末に用いられる表示装置には、薄型、軽量、低消費電力であることが求められるとともに、様々な環境下で高い視認性を有することが求められている。この様な携帯端末の表示装置には、薄型、軽量、低消費電力という特長を有する液晶表示装置が広く普及している。
【0003】
液晶表示装置の場合、CRT(Cathode-Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等とは異なり、画像情報を出力する液晶パネル自身は発光していない。このため、液晶表示装置は大きく分けて、バックライトと呼ばれる光源からの光を透過させる透過型と、反射板により外来光を反射させる反射型とに分類される。
【0004】
反射型は、明るい場所では視認性が高いが、暗い場所では視認性が著しく低下する。一方、透過型の場合、明るい場所では視認性が低下し、また、液晶表示装置全体に占めるバックライトの消費電流の割合が大きいため、反射型に比べて消費電流が大きくなるという問題があった。
【0005】
このため、表示領域の一部を透過表示領域とするとともに、他の一部を反射表示領域とし、透過表示領域ではバックライトからの光を透過させ、反射表示領域では外来光を反射させる半透過型の液晶表示装置が知られている。透過型および反射型の特徴を併せ持つこの様な液晶表示装置は、様々な環境下で高い視認性を確保することができる点で優れている。
【0006】
一般に、液晶パネルは、ガラス基板上に多数の薄膜トランジスタがマトリクス状に形成されたTFT(Thin Film Transistor)アレイ基板と、ガラス基板上にカラーパターンが形成されたカラーフィルタとを貼り合わせるとともに、TFTアレイ基板、カラーフィルタ間に液晶を封入して構成され、液晶ディスプレイ装置は、封入された液晶の配向を制御することによって画像表示を行っている。
【0007】
このような液晶ディスプレイ装置は、たとえば特開2000−29030号公報、特開2000−171794号公報、特開2000−180881号公報、特開2000−284272号公報、特開2001−221995号公報、特開2001−350158号公報等(特許文献1〜6参照)に開示されている。
【0008】
従来の半透過型液晶表示装置のTFTアレイ基板の製造時には、ガラス基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、ソース電極およびドレイン電極からなる薄膜トランジスタと、層間絶縁膜とが形成される。そして、このガラス基板上に有機平坦化膜を形成するために、感光性有機物が塗布されて露光処理を施される。
【0009】
塗布された感光性有機物に対し、露光処理、現像処理および焼成処理を行うことにより、透過表示領域およびコンタクト領域に貫通口を有する有機平坦化膜が形成される。この透過表示領域に透明電極を形成すれば、透過型表示装置として機能させることができる。また、有機平坦化膜およびコンタクト領域上に反射膜を形成し、反射表示領域とすれば、この領域を反射型表示装置として機能させることができる。
【特許文献1】特開2000−29030号公報
【特許文献2】特開2000−171794号公報
【特許文献3】特開2000−180881号公報
【特許文献4】特開2000−284272号公報
【特許文献5】特開2001−221995号公報
【特許文献6】特開2001−350158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
感光性有機膜を露光処理する際、フォトマスクを介して透過表示領域およびコンタクト領域にUV(ultraviolet)光が照射され、これらの領域に塗布された感光性有機膜のみを感光させれば所望の有機平坦化膜を形成することができる。ところが、照射されたUV光は、シリコン窒化膜からなるゲート絶縁膜および層間絶縁膜を透過し、更にガラス基板を透過して、ガラス基板を支持するステージにまで達する。
【0011】
このため、ステージでの反射光が、背面側からTFTアレイ基板へ再び入射し、感光性有機膜を感光させる。この様なマスクパターンでは制御できない反射光により、透過表示領域およびコンタクト領域以外に塗布された感光性有機膜が感光されると、有機平坦化膜の膜厚が部分的に減少してしまうという問題があった。
【0012】
特に、ステージ上には、TFTアレイ基板を真空吸着するための溝部(たとえば、深さ1mm程度の溝部)や、各種センサの検出部等が設けられている。ステージに溝部が設けられている場合、溝部外で反射した反射光と、溝部内で反射した反射光とではその強度が異なり、反射光によって生ずる有機平坦化膜の膜厚の減少量も異なってくる。このため、有機平坦化膜上に反射膜を形成して反射表示領域にした場合、ステージの溝部等に起因する反射率の相違が表示ムラとして視認され、表示品質が低下するという問題があった。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、有機平坦化膜を形成するための露光処理時に、TFTアレイ基板を透過した光のステージでの反射光により、有機平坦化膜の膜厚に視認可能なムラが生じるのを防止し、あるいは抑制することにより高品質の半透過型表示装置を安価に製造することのできる半透過型表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半透過型表示装置の製造方法は、以下の工程を備えている。
まず透明基板上の透過表示領域に遮光膜が形成される。その遮光膜が形成された透明基板上に感光性有機膜が塗布される。その感光性有機膜が露光および現像され、透過表示領域において感光性有機膜を貫通する貫通孔が形成される。その貫通孔の形成後に貫通孔から露出する遮光膜が除去され、透明基板の表面が露出する。透過表示領域で透明基板の表面に接するように透明電極が形成される。感光性有機膜の上方に反射膜が形成され、反射表示領域が形成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半透過型表示装置の製造方法によれば、透過表示領域に遮光膜が形成された基板上に感光性有機膜が成膜され、その感光性有機膜の露光処理を行った後に遮光膜が除去される。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過するのを防止し、あるいは透過量を低減することができる。従って、ステージでの反射光に起因する表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1〜図7は、本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図1を参照して、透明基板1は、薄膜トランジスタ、透過型画素電極および反射型画素電極が形成されるガラス、プラスチック等からなる光透過性の絶縁基板である。この透明基板1上にスパッタ法等を用いて、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Cu(銅)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)等からなる導電性膜が形成される。この導電性膜が、フォトリソグラフィ法により形成したレジスト(図示せず)を用いて所定形状にパターニングされることにより、ゲート電極2が形成される。
【0017】
このゲート電極2を覆うように透明基板1上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて、たとえばシリコン窒化膜またはシリコン酸化膜よりなるゲート絶縁膜3が形成される。このゲート絶縁膜3上に、プラズマCVD法等を用いて、たとえばアモルファスシリコン膜4aと、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜(図示せず)とが順に積層されて形成される。
【0018】
このアモルファスシリコン膜4aと不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜との上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン41aが形成される。このレジストパターン41aをマスクとして、アモルファスシリコン膜4aと不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜とにエッチングが施される。このエッチングの後、レジストパターン41aはたとえばアッシングなどにより除去される。
【0019】
図2を参照して、上記のエッチングにより、アモルファスシリコン膜4aがパターニングされて半導体層4が形成され、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜がパターニングされてオーミックコンタクト層(図示せず)が形成される。半導体層4が形成されるのと同時に、透過表示領域20に遮光膜14が形成される。すなわち、遮光膜14は、半導体層4を構成するアモルファスシリコン膜4aをパターニングしてゲート絶縁膜3上に形成される。
【0020】
この遮光膜14は、透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成される。アモルファスシリコン膜からなる遮光膜14は、後述する有機平坦化膜7の露光処理で用いられる照射光に対しほぼ不透過な膜であり、透過表示領域20に入射される照射光を遮断する。
【0021】
図3を参照して、スパッタ法等によりAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜が成膜された後、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされる。これにより、導電性膜からソース電極51およびドレイン電極52が形成されるとともに、ソース電極51およびドレイン電極52に覆われていないオーミックコンタクト層がエッチングされる。このようにしてゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52よりなる薄膜トランジスタが形成される。
【0022】
図4を参照して、プラズマCVD法等により、たとえばシリコン窒化膜よりなる層間絶縁膜6(パッシベーション膜)が形成された後、その層間絶縁膜6上に、感光性を有するアクリル系樹脂等からなるポジ型の感光性有機物よりなる絶縁性膜7が層間絶縁膜6上に塗布され、露光処理を施される。この露光処理においては、表面に溝部26等を有するステージ25上に透明基板1を載せた状態で、UV光等を用いた低照度の露光と高照度の露光とが絶縁性膜7に行われる。低照度の露光は絶縁性膜7の上面の凹凸を形成したい領域に行われ、高照度の露光は透過表示領域20およびコンタクト領域21に行われる。この高照度の露光により露光光の照射される透過表示領域20には遮光膜14が位置しているため、透過表示領域20に照射された露光光(実線矢印)が点線矢印に示すように遮光膜14を透過して透明基板1に達することは防止される。この露光処理の後、絶縁性膜7に現像処理および焼成処理が順に施される。
【0023】
図5を参照して、上記の現像処理および焼成処理を行うことにより、絶縁性膜から有機平坦化膜7が形成される。低照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の反射表示領域上面に凹凸7cが形成され、高照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の領域に有機平坦化膜7を貫通する孔7a、7bが形成される。この孔7aは透過表示領域20に形成され、かつ遮光膜14の上方に開口する。また孔7bはコンタクト領域21に形成され、かつドレイン電極52の上方に開口する。
【0024】
このような有機平坦化膜7を形成することにより、薄膜トランジスタ、電極配線(図示しないゲート配線、ソース配線等)によって生じた透明基板1上の段差を吸収することができる。これにより、有機平坦化膜7の上面には凹凸7c以外に大きな段差が生じないようにすることができる。
【0025】
図6を参照して、有機平坦化膜7をマスクとしてドライエッチングが施される。これにより、コンタクト領域21の層間絶縁膜6が除去されてドレイン電極52が露出して、コンタクトホール7bが形成される。また、コンタクト領域21の層間絶縁膜6をエッチングする際、透過表示領域20の層間絶縁膜6、遮光膜14およびゲート絶縁膜3も同時にエッチングされて透明基板1に達する貫通孔7aが形成される。このため、透過表示領域20は、透明基板1のみからなる光透過の可能な領域となる。
【0026】
図7を参照して、透過表示領域20、コンタクト領域21および有機平坦化膜7上にITO(Indium-Tin Oxide)等からなる光透過性を有する導電性膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、透明電極8が形成される。透明電極8は、コンタクト領域21においてドレイン電極52と電気的に導通し、かつ透過表示領域20では画素電極として機能する。
【0027】
この透明電極8および有機平坦化膜7上に、Al等の高反射率の金属膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、反射膜9が形成される。反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52に電気的に導通し、かつ反射表示領域の画素電極として機能する。
【0028】
以上の各工程によって本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0029】
次に、上記の方法によって製造されるTFTアレイ基板の構成について説明する。
図7を参照して、このTFTアレイ基板では、透明基板1上に多数の薄膜トランジスタが形成されている。多数の薄膜トランジスタの各々は、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52からなっている。
【0030】
ゲート電極2は、下地膜(図示せず)を介して透明基板1上に形成されており、ゲート配線(図示せず)に電気的に接続されている。ゲート絶縁膜3は、ゲート電極2上を含み、透過表示領域20内を除く透明基板1の領域上に形成されている。半導体層4は薄膜トランジスタのチャネル層であり、ゲート絶縁膜3を介してゲート電極2上に形成されている。また、この半導体層4と同一の層から分離して形成された遮光膜14がゲート絶縁膜3上に形成されている。
【0031】
ソース電極51およびドレイン電極52はともにオーミックコンタクト層(図示せず)を介して半導体層4上に形成されており、ソース電極51はソース配線(図示せず)に電気的に接続されている。
【0032】
この薄膜トランジスタ上には層間絶縁膜6が形成されており、この層間絶縁膜6は、透過表示領域20とコンタクト領域21とを除く透明基板1の領域上に形成されている。
【0033】
この層間絶縁膜6上には有機平坦化膜7が形成されている。有機平坦化膜7は、透過表示領域20およびコンタクト領域21を除く透明基板1の領域上に形成されており、透明基板1上の段差を吸収して平坦化するとともに、上面の細かな凹凸7cにより外来光を乱反射する機能を有している。
【0034】
上記のゲート絶縁膜3、遮光膜14、層間絶縁膜6および有機平坦化膜7の透過表示領域20には、それらの膜3、14、6、7を貫通して透明基板1の表面に達する貫通孔7aが形成されている。また、層間絶縁膜6および有機平坦化膜7のコンタクト領域21には、それらの膜6、7を貫通してドレイン電極52の表面に達する貫通孔(コンタクトホール)7bが形成されている。
【0035】
透明電極8は、少なくとも透過表示領域20に形成され、貫通孔7bを介してドレイン電極52と電気的に導通させることにより、透過型表示装置における画素電極として機能する。反射膜9は、透過表示領域20を除く画素領域内であって、透明電極8および有機平坦化膜7上に形成されている。この反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52と電気的に導通されることにより、反射型表示装置における画素電極(反射電極)として機能する。つまり、反射膜9が形成された領域が反射表示領域となる。また、反射膜9が透過表示領域20内に開口を有することにより、この開口を通じてバックライトからの光を透過させることができる。
【0036】
上記のTFTアレイ基板では、遮光膜14を透過表示領域20よりも広く形成したことにより、TFTアレイ基板の製造後も、透過表示領域20の周辺部には遮光膜14の端部が残されている。具体的には、遮光膜14は、貫通孔7aの周辺に残存しており、貫通孔7aの側壁面に面する側壁を有している。また、貫通孔7aが遮光膜14の中央部を貫通している場合には、遮光膜14は貫通孔の周囲を取囲むように残存している。
【0037】
本実施の形態によれば、図4に示すように絶縁性膜7の高照度の露光の際に、透過表示領域20およびコンタクト領域21にUV光等が照射される。しかし、透過表示領域20には遮光膜14が形成されており、この遮光膜14は、露光処理で用いられる短波長帯の照射光(たとえばUV光)に対し、ほぼ不透過であるため、照射光が透明基板1を透過してステージ25に達することを防止し、あるいは透過量を大幅に低減することができる。従って、ステージ25上の溝部26やセンサ部による反射率の差に起因する有機平坦化膜7の膜厚のバラツキの発生を防止することができ、反射表示領域20に表示ムラが現れるのを防止することができる。これにより、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【0038】
特に、本実施の形態では、薄膜トランジスタの半導体層4を形成するためのアモルファスシリコン膜を利用して遮光膜14が形成され、半導体層4とともにパターニングされている。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜14を形成することができるので、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0039】
また、層間絶縁膜6を除去してコンタクトホール7bを形成する際に、遮光膜14も除去される。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜14を除去することができるので、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0040】
また、遮光膜14を透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成している。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過することを効果的に防止することができる。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態1では、遮光膜にアモルファスシリコン膜を用い、薄膜トランジスタの半導体層を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、遮光膜に導電性膜を用いて、ソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0042】
図8〜12は、本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図8を参照して、透明基板1と、ゲート電極2と、ゲート絶縁膜3とが、実施の形態1と同様の方法により形成される。
【0043】
このゲート絶縁膜3上に、プラズマCVD法等を用いて、たとえばアモルファスシリコン膜と、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜(図示せず)とが順に積層されて形成される。このアモルファスシリコン膜と不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜とが、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされて、アモルファスシリコン膜から半導体層4aが形成され、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜からオーミックコンタクト層(図示せず)が形成される。
【0044】
スパッタ法等によりAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜51aが成膜される。この導電性膜51a上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン41bが形成される。このレジストパターン41bをマスクとして、導電性膜51aにエッチングが施される。このエッチングの後、レジストパターン41bはたとえばアッシングなどにより除去される。
【0045】
図9を参照して、上記のエッチングにより、導電性膜51aがパターニングされることにより、導電性膜51aからソース電極51およびドレイン電極52が形成されると同時に、透過表示領域20に導電性膜51aから遮光膜15が形成される。また、ソース電極51、ドレイン電極52および遮光膜15の形成とともに、ソース電極51、ドレイン電極52および遮光膜15に覆われていないオーミックコンタクト層がエッチングされる。このようにしてゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52よりなる薄膜トランジスタが形成される。
【0046】
この遮光膜15は、透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成される。導電性膜からなる遮光膜15は、後述する有機平坦化膜7の露光処理で用いられる照射光に対しほぼ不透過な膜であり、透過表示領域20に入射される照射光を遮断する。
【0047】
図10を参照して、プラズマCVD法等により、たとえばシリコン窒化膜よりなる層間絶縁膜6(パッシベーション膜)が形成された後、その層間絶縁膜6上に、感光性を有するアクリル系樹脂等からなるポジ型の感光性有機物よりなる絶縁性膜7が層間絶縁膜6上に塗布され、露光処理を施される。この露光処理は実施の形態1と同様に行われる。この露光処理の後、絶縁性膜7に現像処理および焼成処理が順に施される。
【0048】
上記の現像処理および焼成処理後を行うことにより、絶縁性膜から有機平坦化膜7が形成される。低照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の反射表示領域上面に凹凸7cが形成され、高照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の領域に有機平坦化膜7を貫通する孔7a、7bが形成される。この孔7aは透過表示領域20に形成され、かつ遮光膜15の上方に開口する。また孔7bはコンタクト領域21に形成され、かつドレイン電極52の上方に開口する。
【0049】
このような有機平坦化膜7を形成することにより、薄膜トランジスタ、電極配線(図示しないゲート配線、ソース配線等)によって生じた透明基板1上の段差を吸収することができる。これにより、有機平坦化膜7の上面には凹凸7c以外に大きな段差が生じないようにすることができる。
【0050】
図11を参照して、有機平坦化膜7をマスクとしてドライエッチングが施される。これにより、コンタクト領域21の層間絶縁膜6が除去されてドレイン電極52が露出して、コンタクトホール7bが形成される。また、コンタクト領域21の層間絶縁膜6をエッチングする際、透過表示領域20の層間絶縁膜6も同時にエッチングされる。ただし、このエッチングによっては、層間絶縁膜6の除去と同時に遮光膜15を除去することはできない。このため、有機平坦化膜7が形成された後、別途、ウエットエッチングによって遮光膜15が除去される。この後、さらに透過表示領域20においてゲート絶縁膜3が除去されて、有機平坦化膜7と層間絶縁膜6と遮光膜15とゲート絶縁膜3とを貫通して透明基板1の表面に達する貫通孔7aが形成される。これにより、透過表示領域20は、透明基板1のみからなる光透過の可能な領域となる。
【0051】
図12を参照して、透過表示領域20、コンタクト領域21および有機平坦化膜7上にITO等からなる光透過性を有する導電性膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、透明電極8が形成される。透明電極8は、コンタクト領域21においてドレイン電極52と電気的に導通し、かつ透過表示領域20では画素電極として機能する。
【0052】
この透明電極8および有機平坦化膜7上に、Al等の高反射率の金属膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、反射膜9が形成される。反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52に電気的に導通し、かつ反射表示領域の画素電極として機能する。
【0053】
以上の各工程によって本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0054】
次に、上記の方法によって製造されるTFTアレイ基板の構成について説明する。
図12を参照して、このTFTアレイ基板では、ソース電極51およびドレイン電極52と同一の層から分離して形成された遮光膜15の材質は、ソース電極51およびドレイン電極52と同一の材質、たとえばAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜よりなっている。なお、これ以外の構成については、図7に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
本実施の形態によれば、図10に示すように絶縁性膜7の高照度の露光の際に、透過表示領域20およびコンタクト領域21にUV光等が照射される。しかし、透過表示領域20には遮光膜15が形成されており、この遮光膜15は、露光処理で用いられる短波長帯の照射光(たとえばUV光)に対し、ほぼ不透過であるため、照射光が透明基板1を透過して下側のステージに達することを防止し、あるいは透過量を大幅に低減することができる。従って、ステージ上の溝部やセンサ部による反射率の差に起因する有機平坦化膜7の膜厚のバラツキの発生を防止することができ、反射表示領域20に表示ムラが現れるのを防止することができる。これにより、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【0056】
特に、本実施の形態では、薄膜トランジスタのソース電極51およびドレイン電極52を形成するための導電性膜51aを利用して遮光膜15が形成され、ソース電極51およびドレイン電極52とともに遮光膜15もパターニングされている。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜15を形成することができるので、ステージでの反射光に起因する表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0057】
また、遮光膜15を透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成している。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過することを効果的に防止することができる。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態2では、導電性膜を用いた遮光膜を、薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、ゲート電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0059】
図13〜18は、本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図13を参照して、透明基板1上にスパッタ法等を用いて、Al、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜2aが形成される。この導電性膜2a上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン41cが形成される。このレジストパターン41cをマスクとして、導電性膜2aにエッチングが施される。このエッチングの後、レジストパターン41cはたとえばアッシングなどにより除去される。
【0060】
図14を参照して、上記のエッチングにより、導電性膜2aがパターニングされることにより、導電性膜2aからゲート電極2が形成されると同時に、透過表示領域20に導電性膜2aから遮光膜12が形成される。
【0061】
この遮光膜12は、透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成される。導電性膜からなる遮光膜12は、後述する有機平坦化膜7の露光処理で用いられる照射光に対しほぼ不透過な膜であり、透過表示領域20に入射される照射光を遮断する。
【0062】
図15を参照して、このゲート電極2と遮光膜12とを覆うように透明基板1上に、ゲート絶縁膜3が実施の形態1と同様の方法により形成される。
【0063】
このゲート絶縁膜3上に、プラズマCVD法等を用いて、たとえばアモルファスシリコン膜と、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜(図示せず)とが順に積層されて形成される。このアモルファスシリコン膜と不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜とが、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされて、アモルファスシリコン膜から半導体層4aが形成され、不純物がドープされた低抵抗アモルファスシリコン膜からオーミックコンタクト層(図示せず)が形成される。
【0064】
スパッタ法等によりAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜が成膜された後、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングされる。これにより、導電性膜からソース電極51およびドレイン電極52が形成されるとともに、ソース電極51およびドレイン電極52に覆われていないオーミックコンタクト層がエッチングされる。このようにしてゲート電極2、ゲート絶縁膜3、半導体層4、ソース電極51およびドレイン電極52よりなる薄膜トランジスタが形成される。
【0065】
図16を参照して、プラズマCVD法等により、たとえばシリコン窒化膜よりなる層間絶縁膜6(パッシベーション膜)が形成された後、その層間絶縁膜6上に、感光性を有するアクリル系樹脂等からなるポジ型の感光性有機物よりなる絶縁性膜7が層間絶縁膜6上に塗布され、露光処理を施される。この露光処理は実施の形態1と同様に行われる。この露光処理の後、絶縁性膜7に現像処理および焼成処理が順に施される。
【0066】
上記の現像処理および焼成処理を行うことにより、絶縁性膜から有機平坦化膜7が形成される。低照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の反射表示領域上面に凹凸7cが形成され、高照度の露光が行なわれた有機平坦化膜7の領域に有機平坦化膜7を貫通する孔7a、7bが形成される。この孔7aは透過表示領域20に形成され、かつ遮光膜15の上方に開口する。また孔7bはコンタクト領域21に形成され、かつドレイン電極52の上方に開口する。
【0067】
このような有機平坦化膜7を形成することにより、薄膜トランジスタ、電極配線(図示しないゲート配線、ソース配線等)によって生じた透明基板1上の段差を吸収することができる。これにより、有機平坦化膜7の上面には凹凸7c以外に大きな段差が生じないようにすることができる。
【0068】
図17を参照して、有機平坦化膜7がマスクとしてドライエッチングが施される。これにより、コンタクト領域21の層間絶縁膜6が除去されてドレイン電極52が露出して、コンタクトホール7bが形成される。また、コンタクト領域21の層間絶縁膜6をエッチングする際、透過表示領域20の層間絶縁膜6およびゲート絶縁膜3も同時にエッチングされる。ただし、このエッチングによっては、層間絶縁膜6の除去と同時に遮光膜12を除去することはできない。このため、有機平坦化膜7が形成された後、別途、ウエットエッチングによって遮光膜12が除去される。これにより、有機平坦化膜7と層間絶縁膜6とゲート絶縁膜3と遮光膜12とを貫通して透明基板1の表面に達する貫通孔7aが形成される。これにより、透過表示領域20は、透明基板1のみからなる光透過の可能な領域となる。
【0069】
図18を参照して、透過表示領域20、コンタクト領域21および有機平坦化膜7上にITO等からなる光透過性を有する導電性膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、透明電極8が形成される。透明電極8は、コンタクト領域21においてドレイン電極52と電気的に導通し、かつ透過表示領域20では画素電極として機能する。
【0070】
この透明電極8および有機平坦化膜7上に、Al等の高反射率の金属膜が成膜され、フォトリソグラフィ法およびエッチングによるパターニングを施されて、反射膜9が形成される。反射膜9は、透明電極8を介してドレイン電極52に電気的に導通し、かつ反射表示領域の画素電極として機能する。
【0071】
以上の各工程によって本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0072】
次に、上記の方法によって製造されるTFTアレイ基板の構成について説明する。
図18を参照して、このTFTアレイ基板では、ゲート電極2と同一の層から分離して形成された遮光膜12の材質は、ゲート電極2と同一の材質、たとえばAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる導電性膜よりなっている。また、遮光膜12はゲート電極2と同一の層から分離して形成されるため、透明基板1とゲート絶縁膜3との間に形成されている。なお、これ以外の構成については、図7に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
本実施の形態によれば、図16に示すように絶縁性膜7の高照度の露光の際に、透過表示領域20およびコンタクト領域21にUV光等が照射される。しかし、透過表示領域20には遮光膜12が形成されており、この遮光膜12は、露光処理で用いられる短波長帯の照射光(たとえばUV光)に対し、ほぼ不透過であるため、照射光が透明基板1を透過して下側のステージに達することを防止し、あるいは透過量を大幅に低減することができる。従って、ステージ上の溝部やセンサ部による反射率の差に起因する有機平坦化膜7の膜厚のバラツキの発生を防止することができ、反射表示領域20に表示ムラが現れるのを防止することができる。これにより、表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を製造することができる。
【0074】
特に、本実施の形態では、薄膜トランジスタのゲート電極2を形成するための導電性膜2aを利用して遮光膜12が形成され、ゲート電極2とともに遮光膜12もパターニングされている。このため、新たな工程を追加することなく遮光膜12を形成することができるので、ステージでの反射光に起因する表示ムラを抑制した高品質の半透過型表示装置を安価に製造することができる。
【0075】
また、遮光膜12を透過表示領域20に相当する領域、あるいは、その周辺部を含む透過表示領域20よりも広い領域に形成している。このため、透過表示領域への照射光が基板を透過することを効果的に防止することができる。
【0076】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3では、遮光膜14、15、12を透過表示領域20だけでなく、その周辺部も含む透過表示領域20よりも広い領域に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、透過表示領域20の周縁部(領域の内側)を除く透過表示領域20よりも狭い領域に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0077】
図19は、実施の形態1による製造方法において、遮光膜14がオーバーエッチされて、透過表示領域20の周辺部(領域の外側)に位置する遮光膜14がエッチングされた場合のTFTアレイ基板の様子を示した断面図である。
【0078】
実施の形態1では、有機平坦化膜7の焼成後、有機平坦化膜7をマスクとして、遮光膜およびゲート絶縁膜3のエッチングが行われる。遮光膜14をエッチングすることによって遮光膜14の下層にあったゲート絶縁膜3が露出し、遮光膜14のエッチングに引き続いて、ゲート絶縁膜3のエッチングが行われる。
【0079】
ここで、遮光膜14のエッチングレートが、ゲート絶縁膜3に比べて高ければ、ゲート絶縁膜3のエッチング中に、基板主面に平行な方向に遮光膜14のエッチングが進むことになる。すなわち、透過表示領域20の周辺部の遮光膜14(有機平坦化膜7下の遮光膜14)のエッチングが進んで、透過表示領域20の周辺に形成されている有機平坦化膜7のテーパー状側面に凹部が形成される。
【0080】
このような場合に、カバレッジ特性の良好でない膜、たとえばITOを用いて透明電極8を形成すれば、遮光膜14のオーバーエッチで生じた凹部において透明電極8が切断され、透過表示領域20のITOは電気的にフローティング又は高抵抗となって、透過表示領域20における表示制御を行うことができなくなる場合が考えられる。
【0081】
本実施の形態では、この様な問題に鑑みた半透過型表示装置の製造方法について説明する。図20および図21は、本発明の実施の形態4による半透過型表示装置の製造方法の一例を工程順に示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図20を参照して、本実施の形態では、半導体層4と同じアモルファスシリコン膜からなる遮光膜34が、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜34を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0082】
遮光膜34が透過表示領域20からはみ出さないようにするには、遮光膜34の端部と透過表示領域20の端部との間の幅Wを1μm以上確保して、遮光膜34の端部を透過表示領域20の中央よりに後退させておくことが望ましい。特に、有機平坦化膜7は膜厚が大きく、透過表示領域20のテーパー状側面の傾きが無視できないことから、遮光膜34のパターニング精度に比べ、有機平坦化膜7のパターニング精度は低く、フォトマスク上の比較で、遮光膜34の端部は、有機平坦化膜7の端部よりも2.5μm以上後退させることが望ましい。
【0083】
この状態で、孔7a、7bを介して、層間絶縁膜6と遮光膜34とゲート絶縁膜3とがエッチングにより除去される。
【0084】
図21を参照して、上記遮光膜34およびゲート絶縁膜3をエッチングする際、遮光膜34が形成されていない透過表示領域20の周縁部では、中央部に比べて、エッチングが早く進む。このため、透明基板1としてガラス基板を用いた場合、透過表示領域20の中心部のエッチングが完了した時点で、透過表示領域20の周縁部では既にガラス基板のエッチングが始まっている。このため、透過表示領域20の透明基板1は、周縁部が中央部よりも多くエッチングされ、周縁部に凹部22が形成される。つまり、遮光膜34は残存せず、透明基板1の表面であって孔7a内の周縁部には凹部22が形成される。この後、実施の形態1と同様にして、透明電極8と反射膜9とが形成されて、本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0085】
なお、上述以外の工程については、実施の形態1の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。また、図20および図21に示す構成要素のうち、実施の形態1と同一または相当する構成要素については同一の符号を付している。
【0086】
本実施の形態によれば、遮光膜が、透過表示領域から周縁部を除いた領域に形成されるため、カバレッジ特性の良好でない透明電極を形成する場合であっても、透過表示領域内の透明電極をドレイン電極に導通させ、電極の電圧制御を行うことができる。
【0087】
(実施の形態5)
実施の形態4では、透過表示領域20よりも小さい遮光膜を、アモルファスシリコン膜を用いて、薄膜トランジスタの半導体層4を形成するのと同時に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、導電性膜を用いて、ソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0088】
図22は、本発明の実施の形態5による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図22を参照して、本実施の形態では、ソース電極51およびドレイン電極52と同じAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる遮光膜35が、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜35を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0089】
遮光膜35が透過表示領域20からはみ出さないようにするには、遮光膜35の端部と透過表示領域20の端部との間の幅Wを1μm以上確保して、遮光膜35の端部を透過表示領域20の中央よりに後退させておくことが望ましい。特に、有機平坦化膜7は膜厚が大きく、透過表示領域20のテーパー状側面の傾きが無視できないことから、遮光膜35のパターニング精度に比べ、有機平坦化膜7のパターニング精度は低く、フォトマスク上の比較で、遮光膜35の端部は、有機平坦化膜7の端部よりも2.5μm以上後退させることが望ましい。
【0090】
この状態で、孔7a、7bを介して、層間絶縁膜6と遮光膜34とゲート絶縁膜3とがエッチングにより除去される。
【0091】
図21を参照して、上記遮光膜35およびゲート絶縁膜3をエッチングする際、遮光膜35が形成されていない透過表示領域20の周縁部では、中央部に比べて、エッチングが早く進む。このため、透明基板1としてガラス基板を用いた場合、透過表示領域20の中心部のエッチングが完了した時点で、透過表示領域20の周縁部では既にガラス基板のエッチングが始まっている。このため、透過表示領域20の透明基板1は、周縁部が中央部よりも多くエッチングされ、周縁部に凹部22が形成される。つまり、遮光膜35は残存せず、透明基板1の表面であって孔7a内の周縁部には凹部22が形成される。この後、実施の形態2と同様にして、透明電極8と反射膜9とが形成されて、本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0092】
なお、上述以外の工程については、実施の形態2の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。また、図20および図21に示す構成要素のうち、実施の形態2と同一または相当する構成要素については同一の符号を付している。
【0093】
遮光膜35として、ソース電極51およびドレイン電極52に用いられる導電性膜を用いる場合、遮光膜35を除去するためのウエットエッチングにおいて、オーバーエッチが生ずると、図19の場合と同様、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずることになる。
【0094】
このため、遮光膜35は、実施の形態4の場合と同様、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜35を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0095】
(実施の形態6)
実施の形態5では、導電性膜を用いた透過表示領域よりも小さい遮光膜を、薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極を形成するのと同時に形成する場合の例について説明したが、本実施の形態では、ゲート電極を形成するのと同時に遮光膜を形成する場合の例について説明する。
【0096】
図23は、本発明の実施の形態6による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。図23を参照して、本実施の形態では、ゲート電極2と同じAl、Cr、Mo、W、Cu、Ta、Ti等からなる遮光膜32が、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜32を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0097】
遮光膜32が透過表示領域20からはみ出さないようにするには、遮光膜32の端部と透過表示領域20の端部との間の幅Wを1μm以上確保して、遮光膜32の端部を透過表示領域20の中央よりに後退させておくことが望ましい。特に、有機平坦化膜7は膜厚が大きく、透過表示領域20のテーパー状側面の傾きが無視できないことから、遮光膜32のパターニング精度に比べ、有機平坦化膜7のパターニング精度は低く、フォトマスク上の比較で、遮光膜32の端部は、有機平坦化膜7の端部よりも2.5μm以上後退させることが望ましい。
【0098】
この状態で、孔7a、7bを介して、層間絶縁膜6と遮光膜34とゲート絶縁膜3とがエッチングにより除去される。
【0099】
図21を参照して、上記遮光膜32およびゲート絶縁膜3をエッチングする際、遮光膜32が形成されていない透過表示領域20の周縁部では、中央部に比べて、エッチングが早く進む。このため、透明基板1としてガラス基板を用いた場合、透過表示領域20の中心部のエッチングが完了した時点で、透過表示領域20の周縁部では既にガラス基板のエッチングが始まっている。このため、透過表示領域20の透明基板1は、周縁部が中央部よりも多くエッチングされ、周縁部に凹部22が形成される。つまり、遮光膜32は残存せず、透明基板1の表面であって孔7a内の周縁部には凹部22が形成される。この後、実施の形態2と同様にして、透明電極8と反射膜9とが形成されて、本実施の形態における半透過型表示装置のTFTアレイ基板が製造される。
【0100】
なお、上述以外の工程については、実施の形態3の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。また、図23に示す構成要素のうち、実施の形態2と同一または相当する構成要素については同一の符号を付している。
【0101】
遮光膜32として、ゲート電極2に用いられる導電性膜を用いる場合、遮光膜32を除去するためのウエットエッチングにおいて、オーバーエッチが生ずると、図19の場合と同様、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずることになる。
【0102】
このため、遮光膜32は、実施の形態4の場合と同様、透過表示領域20からその周縁部を除いた領域、つまり、透過表示領域の中央部を含む大部分を覆いつつ、透過表示領域20よりもやや狭い領域として形成される。遮光膜32を透過表示領域20よりも小さく形成することにより、透過表示領域20のテーパー状側面に凹部が生ずるのを防止することができる。
【0103】
なお、上記においてはTFTアレイ基板の例について図示したが、これらのTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成について、実施の形態1および4を例に挙げて説明する。
【0104】
図24は、実施の形態1のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を示す概略断面図である。図24を参照して、液晶表示装置は、実施の形態1のTFTアレイ基板と、ガラス基板64上にカラーフィルタ63が形成されたカラーフィルタ基板65とを貼り合せるとともに、TFTアレイ基板とカラーフィルタ基板65との間に液晶層61を封止することにより構成されている。このカラーフィルタ基板65の液晶層61側の表面にはITO電極62が形成されており、裏面側には位相差板66と偏光板67とが設けられている。
【0105】
実施の形態2および3のTFTアレイ基板も、上記と同様にして液晶表示装置を構成する。
【0106】
また、実施の形態4のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を図25に示す。図25を参照して、実施の形態4のTFTアレイ基板も、上記と同様にして液晶表示装置を構成する。
【0107】
また、実施の形態5および6のTFTアレイ基板も、上記と同様にして液晶表示装置を構成する。
【0108】
なお、上記の各実施の形態では、液晶表示装置に用いられるTFTアレイ基板の例について説明したが、本発明は、液晶表示装置に限定されず、薄膜トランジスタ、透過表示領域および反射表示領域を有する種々の半透過型表示装置に適用することができる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図2】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図3】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第3工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図4】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第4工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図5】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第5工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図6】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第6工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図7】本発明の実施の形態1による半透過型表示装置の製造方法の一例の第7工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図8】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図9】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図10】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第3工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図11】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第4工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図12】本発明の実施の形態2による半透過型表示装置の製造方法の一例の第5工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図13】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図14】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図15】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第3工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図16】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第4工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図17】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第5工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図18】本発明の実施の形態3による半透過型表示装置の製造方法の一例の第6工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図19】本発明の実施の形態1による製造方法において、遮光膜がオーバーエッチされた場合のTFTアレイ基板の様子を示した断面図である。
【図20】本発明の実施の形態4による半透過型表示装置の製造方法の一例の第1工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図21】本発明の実施の形態4による半透過型表示装置の製造方法の一例の第2工程を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図22】本発明の実施の形態5による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図23】本発明の実施の形態6による半透過型表示装置の製造方法の一例を示す概略断面図であり、液晶表示パネルを構成するTFTアレイ基板の断面図を示している。
【図24】実施の形態1のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を示す概略断面図である。
【図25】実施の形態4のTFTアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成した場合の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0111】
1 透明基板、2 ゲート電極、3 ゲート絶縁膜、4 半導体層、6 層間絶縁膜、7 有機平坦化膜、7a,7b 孔、7c 凹凸、8 透明電極、9 反射膜、12,14,15,32,34,35 遮光膜、20 透過表示領域、21 コンタクト領域、25 ステージ、26 溝部、41a,41b,41c レジストパターン、51 ソース電極、52 ドレイン電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上の透過表示領域に遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜が形成された前記透明基板上に感光性有機膜を塗布する工程と、
前記感光性有機膜を露光および現像し、前記透過表示領域において感光性有機膜を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の形成後に前記貫通孔から露出する前記遮光膜を除去し前記透明基板の表面を露出する工程と、
前記透過表示領域で前記透明基板の表面に接するように前記透明電極を形成する工程と、
前記感光性有機膜の上方に反射膜を形成し、反射表示領域を形成する工程とを備えた、半透過型表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記透明基板上に前記感光性有機膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程を備え、
前記透過表示領域の前記遮光膜は、前記コンタクトホールの形成工程において除去されることを特徴とする、請求項1に記載の半透過型表示装置の製造方法。
【請求項1】
透明基板上の透過表示領域に遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜が形成された前記透明基板上に感光性有機膜を塗布する工程と、
前記感光性有機膜を露光および現像し、前記透過表示領域において感光性有機膜を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の形成後に前記貫通孔から露出する前記遮光膜を除去し前記透明基板の表面を露出する工程と、
前記透過表示領域で前記透明基板の表面に接するように前記透明電極を形成する工程と、
前記感光性有機膜の上方に反射膜を形成し、反射表示領域を形成する工程とを備えた、半透過型表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記透明基板上に前記感光性有機膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程を備え、
前記透過表示領域の前記遮光膜は、前記コンタクトホールの形成工程において除去されることを特徴とする、請求項1に記載の半透過型表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−133442(P2007−133442A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39473(P2007−39473)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【分割の表示】特願2002−380467(P2002−380467)の分割
【原出願日】平成14年12月27日(2002.12.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(595059056)株式会社アドバンスト・ディスプレイ (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【分割の表示】特願2002−380467(P2002−380467)の分割
【原出願日】平成14年12月27日(2002.12.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(595059056)株式会社アドバンスト・ディスプレイ (37)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]