説明

単位シートを積卸す方法および装置

【課題】安全の生産機械の出口から安全性の確保された単位シートを積卸す方法の改善。
【解決手段】トレイラックと同一側に少なくとも1つのドアを有する容器を設置し、前記トレイラックに対して前記容器を位置決め係止し、前記トレイラックから単位シートを担持するトレイを前記容器へ移送し、前記容器のドアを閉鎖し、前記容器の係止を解除し、そこで前記容器を移動させる工程から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1以上の単位(ream)シート、特に安全性を担保したシートを安全設備に属する機械の出口から積卸す方法、および単位シートを積卸するための装置に関する。
「安全生産機械」の用語は特に印刷機、ナンバリング機および安全性の質的制御のための機械を含む。
【背景技術】
【0002】
既知生産機械、特に凹版印刷用の印刷機において、印刷されるシート状紙は印刷機の入口へ配送され、印刷機を次々と通過して表面のみまたは表裏両紙面が印刷される。このシートは最終的に印刷機の出口へ送出される。
安全生産機械の出口は、概ね、少なくとも2つのラックから成り、2つのラックは次の方法により充填される。即ち、トレイまたはパレット形態のボードが循環エレベータ式の装置上に取付けられた水平滑走路からラックの1つへ導入される。トレイは特定寸法の1単位(ream) の印刷されたシート、例えば500枚のシートを連続的に受ける。この瞬間に、事前に導入された他のラックが出口に達した新たに印刷されたシート用として選択され、他方、滑走路および第1ラックの単位シートを担持するトレイが後方へ移動する。新しいトレイは第1ラックの滑走路上へ導入され、かつこのラックが選択される、即ち、第2ラックのトレイが1単位の完成シートを担持すると、直ちに印刷されたシートはそのトレイ上に積み上げられる。この新しいトレイ上および続くトレイ上へのシートの積み上げは、ラックが特定数のトレイ、例えば10個のトレイを収容するまで、このようにして連続的に繰り返えされる。各トレイは1単位500枚のシートを担持する。EP特許出願第0725027号は印刷機のラックの充填例を説明している。この出願において、複数単位のシートは最終的にラックからキャリッジ上へ移送されて運び出される。
【0003】
送出ラックを空にする作業は現時点では未だ手動であり、この作業時に単位シートを担持するトレイはラックから取り外されかつキャリッジへ移送される。この移送は概ね10個のトレイを収容する各ラックの全トレイについて行われ、かつキャリッジは各ラックの10個のトレイで充填されると、他の生産機械または貯蔵場所へ送られる。
【0004】
単位シートを担持するトレイの手動移送の主な欠点は、一方で印刷したシートが汚損または破損されることであり、他方で2つの機械間での単位シートの移動時に盗難に遭遇することである。各単位のシートは30から40kgの重量があり、手動積卸しは特に労力を必要とする作業である。更に、印刷したシートの盗難は許容できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、印刷された単位シートの手作業を出来る限り最小限にして印刷されたシートが損傷または紛失する危険を減少することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、少なくとも2つのトレイラックを有する機械の出口から複数単位のシートを積卸す方法であって、次の工程から成ることを特徴とする本発明により達成される。即ち、イ)前記トレイラックと同一側に少なくとも1つのドアを有する容器を設置し、ロ)前記トレイラックに対して前記容器を位置決めしかつ係止し、ハ)前記トレイラックから単位シートを担持するトレイを前記容器へ移送し、ニ)前記容器のドアを閉鎖し、ホ)前記容器の係止を解除して、前記容器を移動する。
【0007】
この結果、複数単位のシートの積卸しおよび移送が部分的に自動化される。
好適方法において、前記位置決めかつ係止する工程が次の動作を伴う。即ち、自動センタリング手段により前記容器を位置決めし、インデックス装置によって前記容器を係止し、この容器の係止工程は、ドア開閉ドライバを連結し、前記ドアの位置を検出し、必要により前記ドアを開放するために前記ドア開閉ドライバへ接続されたモータを制御することを含み、前記ドア開閉ドライバの連結を位置決め装置によって前記容器の係止と同時に行う。
【0008】
好適方法において、前記単位シートを担持するトレイのラックから容器への移送が全トレイに対して同時に行われ、プッシャがこの移送工程を実行するために使用される。
好適方法において、前記容器のドアを閉鎖する工程は前記ドアを閉鎖するために前記ドア開閉ドライバへ接続されたモータを制御し、前記ドア開閉ドライバを取外し、かつ前記ドアを係止することを含む。
【0009】
好適方法において、前記容器の係止を解除する工程は前記位置決め装置の取外しを含む。
前記全作業が、適宜制御、伝達手段および検査手段によって自動的に行われてよい。
このように、単位シートを担持するトレイの容器への微妙な移送作業が手動作業ではなく常時閉鎖した空間において行われ、かつ容器はドア閉鎖の瞬間にのみ解放される。従って、印刷された単位シートが盗難または損傷の危険を伴うことなく移送される。
【0010】
本発明は、更に、少なくとも1つのトレイラックを有する安全生産機械の出口から安全性を確保した単位シートを積卸すための装置を提供し、この装置は側壁の少なくとも1つが自動的に開閉するドアから成る閉鎖容器、前記トレイラックに対して前記容器を位置決めしかつ係止するための手段、前記ドアを開閉するための手段、単位シートを担持するトレイを前記トレイラックから前記容器へ移動させる移送装置、および前記位置決め係止手段、前記ドア開閉手段、前記移送装置ならびに前記ドアの位置を制御かつ検査するための自動装置から成ることを特徴とする。
【0011】
好適形態において、前記容器は相互に対面する二対の壁および脚から成り、一対の壁は単位シートを担持するトレイを受けることのできる支持体および垂直方向へ慴動する前記ドアを含む。
好適形態において、前記位置決め係止手段は床上に位置決めするための手段を含み、この手段は前記容器の少なくとも2つの脚を受けるために前記トレイラックに対して固定された2つの自動センタリングのための円錐部、少なくとも1つのジャッキ、2つの垂直滑走路から成るガイド手段によって生産機械の出口へ締結された支持体、およびこの支持体へ固定されかつ前記容器の対応する開口部と共働する少なくとも1つの位置決めインデックスから成り、前記ジャッキは前記ガイド手段に沿って収縮位置から前記トレイラックに対して前記容器を係止する位置へ前記生産機械の支持体を移動させる。
【0012】
好適形態において、前記容器のドアを開閉する手段は、エンドレススクリュと共働する巻取り管、モータ、前記エンドレススクリュと共働する開閉ドライバ、前記ドライバと前記モータとを接続する伝動要素から成り、前記巻取り管および前記エンドレススクリュは前記容器上に取付けられ、前記モータ、前記開閉ドライバ、および前記モータと前記開閉ドライバとを接続する伝動要素は前記支持体上で前記トレイラックの上方に取付けられている。
【0013】
好適形態において、前記移送装置は少なくとも1つのフレーム、ガイドレール上で側方へ移動するプッシャ、および前記ガイドレールに沿って前記プッシャを移動させるためのプッシャ駆動手段から成り、前記プッシャは1セットのトレイを同時に移送できる高さである。
好適形態において、前記プッシャ駆動手段は伝動軸およびセレーテッドトランスミッションによって相互に対して連結されたモータおよびボールねじから成る。
【0014】
好適形態において、前記容器のドア開閉手段はそのモータの過負荷を防止するための安全リミッタを含み、かつ前記プッシャ駆動手段はそのモータの過負荷を防止するための安全リミッタを含み、本装置は故障時であっても前記係止手段を収縮位置に保持する安全要素を含む。
本発明による装置の利点は、本装置が完全にモジュール化されていることであり、それにより安全性を確保した新規生産機械上に取付けることができると共にすでに使用されている既存機械へ取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付図面に示した本発明の好適形態を参照して本発明を更に詳細に説明する。
自動積卸し方法の原理は図1から4を参照して説明する。
図1において、安全性を確保した生産機械34のトレイラック31は位置決め係止装置20およびプッシャ41を装備し、前記装置20およびプッシャ41の詳細は後述する。第1トレイ32はラック31へ導入される。ドア6を有する閉鎖容器1はトレイラック31の送出の前へ運ばれる。位置決め係止装置20が収縮する。更に、プッシャ41がトレイラック31の後方へ収縮する。
【0016】
図2において、機械34は生産状態にある。印刷されたシートがトレイラック31の上面へ達すると、シートはくわえ爪チェーン装置により運ばれてラック内で解放される。トレイラック31はトレイ32上の単位シート36で充填され、トレイ32は全体が下方へ移動し新しいトレイがラック31の上面から滑走路上へ導入される。容器1は生産機械34のトレイラック31に対して位置決めされかつプッシャ41は未だ収縮位置にある。
【0017】
図3において、容器1は位置決めしてセットされかつ生産機械34のトレイラック31に係止され、容器1のドア6が開放するとプッシャ41は1セット10個のトレイ32を移送する工程になり、各トレイは単位シート35を送出ラック31の開放側から容器1へ運び、他方、送出ラック31内の一番上の11番目のトレイ32は次の単位シート35を形成する印刷されたシートを受ける。この移送が終了したときに、容器1のドア6は閉鎖し、位置決め係止装置20が取外されかつプッシャ41が送出ラック31の後方へ復帰する。
【0018】
図4において、単位シート36が充填された閉鎖容器1はパレットトラック上へ運ばれ、他方、生産機械34のトレイラック31にトレイ32および単位シート36が再度充填される。
容器1について図5から7を参照して説明する。容器1は完全に閉鎖されておりかつ4つの側壁2,3,4および5を支持するフレームから成り、各壁は垂直慴動ドア6を含む。容器1は、更に、単位シート36を担持するトレイ32を受けるために相互に対して対面する対の水平滑走路11,12を含む。滑走路11間および滑走路12間の垂直間隔は生産機械34のラック31内のトレイ32の支持体間の垂直間隔に対応する。
【0019】
容器1は更に4つの脚8,9,14および15、底部13およびフレームへ固定された天井10を有する。図5および6はまたトレイ32上の単位シート36を示す。更に、ラックの固定壁は穿孔されていてよい。
上記容器のフレームは複数単位のシートを充填して積上げた複数の容器を支持できる剛性および頑強さを有するものである。更に、天井10は容器が積上げられたときに容器の脚を受けるための手段(図示せず)を有する。
【0020】
位置決め係止手段20について図8から10を参照して説明する。位置決め係止装置20は安全生産機械34のトレイラック31の上部へ固定され、支持体19を有し、支持体19には2つの位置決めインデックス24,25が取付けられている。支持体19それ自体は支持体19を垂直方向へ移動させることのできる慴動装置等の垂直ガイド22,23によって安全生産機械34のトレイラックへ固定される。支持体19の垂直方向運動は2つの空気圧ジャッキ21,21’によって行われる。
【0021】
2つのインデックス24,25は、更に、床がフラットでない場合に容器1の位置を補正するばね(図示せず)上に取付けられることが至便である。
容器1のドア6の開閉手段は支持体19へ固定される。この手段は少なくとも1つの気圧モータ26、開閉ドライバ27、モータ26とドライバ27間の伝動手段、およびトルクリミッタ30から成る。
【0022】
生産機械34のトレイラック31に対する容器1の位置決めおよび係止は次の方法により行われる。即ち、容器1を前または側のトレイラック31の開放部に対向する位置へ運び、かつ生産機械34と同一側になる容器の2つの脚8,9を送出ラック31との関係で床内に形成された2つの対応する円錐部(図示せず)へ導入する。円錐部内の容器1の脚8,9の自動センタリングにより、容器のトレイラック31に対する位置はこのようにして決定される。
【0023】
位置決め係止装置20の支持体19は続いて気圧ジャッキ21,21’によってガイド22,23に沿って下降し、位置決めインデックス24,25は容器1の対応する孔(図示せず)へ侵入する。位置決めインデックス24,25が適所に付くと、容器1の位置は生産機械34のトレイラック31に対して固定され、かつトレイ31の移送が始まる。
【0024】
ドア開閉ドライバ27は容器のドア6を、例えばベルトにより、開放するために、再度、ドア開閉気圧モータ26により作動する。
容器1は、更に、外側からドア6を開放する手段を含む。図1から7に示された容器1は上部に巻上げられるドア6を有するので、このドア開放手段は、その上端部が開閉ドライバ27と共働し、かつねじ切りした下端部が容器1内の水平支持体16を駆動し、ドア6を支持体16のまわりに巻き付ける例えば垂直エンドレススクリュであってよい。ドア6の巻上げ時に問題があれば、トルクリミッタ30がモータ26の過負荷を防止する。ドア6が完全に開放したときに、トレイ32の移送が始まり、この移送が終了すると同時にモータ26が逆転制御され、かつドア6は開閉ドライバ27によって閉鎖する。
【0025】
特定形態において、安全フィンガ28が付加設置され、このフィンガは、位置決め係止手段20への圧縮空気の供給が遮断される場合に上昇位置に位置決め係止装置20を保持する。
図9において、点線は容器の係止を可能にする下降位置のインデックス25を表す。
【0026】
移送装置について図11、12および13を参照して説明する。この移送装置40は垂直ポストの形態のプッシャ41、ガイドレール44を介して相互に対して連結された2つの水平フレーム42および43から成り、プッシャ41はガイドレールへ締結されかつその上を移動する。プッシャ41をガイドレール44に沿って駆動するために、移送装置40は、更に、ガイドレール44に平行のボールねじ45を含む。ボールねじ45はそれ自体1端部で伝動軸49および安全トルクリミッタ47によってモータ46へ連結されたセレーテッドトランスミッション48へ連結されている。移送装置40は全体として安全生産機械の各トレイラックの内側に設置され、かつラックが上述のごとく、予め位置決め係止された容器に対して空にされるときに、適宜制御によりモータ46を始動し、トランスミッション48によるボールねじ45の駆動によってプッシャ41がガイドレール44に沿って移動する。プッシャ41のこの運動は単一通過(パス)でトレイラック31の全トレイを容器1へ移送する。全トレイが移送されると、モータ46は逆転しかつプッシャ41はガイドレール44に沿って後方へ復帰する。
【0027】
図12に2つの保護プレート50,51が図示されている。プレート51は
はプッシャ41の駆動を可能にするモータ46を保護する。
上記方法を自動化するために、検査手段、制御手段および伝動手段と共に制御検査ユニットが使用できる。制御検査ユニットは、例えば位置決め係止装置の下降、ドア6の開放、プッシャ41の移動、ドア6の閉鎖、または容器の解放等の実行されるべき命令を決定する。このユニットはコンピュータであってよい。検査手段は命令を実行できるかまたは実行されたかを検査する。この手段は、例えば本装置の可動要素と連動する位置センサから成る。ケーブル、空気圧回路等の伝達手段は制御検査ユニットからの命令をアクチュエータへ伝達しかつ検査手段から送られる情報を受ける。
【0028】
本発明による装置の利点の1つは、本装置が完全にモジュール化されていることである。実際に、位置決め係止装置はトレイラックの上部上に取付け、かつ空気圧要素をその生産機械上に存在する圧縮空気ネットワークへ接続すればよいので、既存の安全生産機械上に簡単に設置できる。他方、伝達装置は既存生産機械のトレイラックへ一体化できる。
【0029】
上記形態は例示であり、請求の範囲におてい本発明の変更が可能である。例えば、生産機械のラックは慴動ドアを装備してよい。その場合、慴動ドアは容器が位置決めして係止される時にのみ開放し、かつ続いてその後に閉鎖する形態であってよい。この設計は一瞬の接近をも可能にしない印刷されたシート用の一種の施錠室の形成を可能にする。
【0030】
更に、容器のドアは、容器の上部で水平に巻取るのではなく、容器の一方側で垂直に巻き取られてよい。
容器は第1ドア6に対面する壁上に第1ドアと類似の第2ドアを有する構成であってよい。この形態は積卸しのときに容器の取扱いを容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】自動積卸し方法の原理工程図である。
【図2】自動積卸し方法の原理工程図である。
【図3】自動積卸し方法の原理工程図である。
【図4】自動積卸し方法の原理工程図である。
【図5】容器の前面図である。
【図6】容器の部分切断部を含む側面図である。
【図7】容器の底面図である。
【図8】位置決め係止装置の前面図である。
【図9】位置決め係止装置の軸部における側面図である。
【図10】位置決め係止装置の上面図である。
【図11】水平部を含む移送装置の上面図である。
【図12】移送装置の部分前面図である。
【図13】移送装置の側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 容器
6 ドア
11,12 滑走路
16 巻取り管(水平支持体)
19 支持体
20 位置決め係止装置
21,21’ ジャッキ
22,23 ガイド
24,25 位置決めインデックス
26 気圧モータ
27 開閉ドライバ
30 トルクリミッタ
31 トレイラック
32 トレイ
35,36 シート
40 移送装置
41 プッシャ
44 ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのトレイラックを含む安全の生産機械の出口から安全性の確保された単位シートを積卸す方法において、前記方法は一部自動化された次の工程から成ることを特徴とする:
イ)前記トレイラックと同一側に少なくとも1つのドアを含む容器を設置し、
ロ)前記トレイラックに対して前記容器を位置決めしかつ係止し、
ハ)前記トレイラックから単位シートを担持するトレイを前記容器へ移送し、
ニ)前記容器のドアを閉鎖し、
ホ)前記容器の係止を解除して、前記容器を移動させる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−260637(P2008−260637A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203555(P2008−203555)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【分割の表示】特願平10−79879の分割
【原出願日】平成10年3月26日(1998.3.26)
【出願人】(591031371)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (54)
【Fターム(参考)】