説明

印刷システム、コントローラ、印刷ジョブ作成装置、印刷処理の実行方法、およびプログラム

【課題】自由度の高いフラッシング処理を印刷処理中に行える固定式印刷ヘッドを有するインクジェット印刷装置およびそのフラッシング処理方法を提供する。
【解決手段】ジョブ作成端末1における印刷ジョブデータDJの作成時にあらかじめフラッシングパターン配置予約領域を任意に指定し、配置条件データDAにこれを記述する。フラッシングパターンデータDFをあらかじめ記憶部32に記憶する。フラッシング判定部33FはラスタライズデータDRから印刷装置の各ノズルの吐出頻度を特定し、フラッシング動作の要否を判定する。フラッシング動作が必要な場合、印刷実行指示部34は対象ノズルからの吐出があるフラッシングパターンを形成するフラッシングパターンデータDFを記憶部32から取得してラスタライズデータDRに合成し、印刷装置は合成後のデータに基づいて印刷を実行する。これにより確実にフラッシング動作を行いつつ印刷物を生成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定式の印刷ヘッドを有するインクジェット印刷装置におけるフラッシング処理に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷ヘッドに複数設けられてなる微小な径のノズル先端から、微細な(霧状の)インク粒子(インク滴等とも称する)を吐出等することによって、所定の用紙に印刷を行う方式のインクジェット印刷装置(いわゆるインクジェットプリンタ)が広く普及している。インクジェット印刷装置は、印刷ヘッドの構成態様に着目すると、印刷を担う印刷ヘッドを移動させつつ順次にインクを吐出して印刷を行う移動式ヘッドのものと、印刷用紙幅をカバーするだけのサイズを有する印刷ヘッドが固定されており、その直下にて印刷用紙を搬送させつつライン単位で印刷を行う固定式ヘッド(ラインヘッド)のものとに大別される。
【0003】
いずれの方式のインクジェット印刷装置においても、印刷を行っている間に、ノズル近傍において溶媒の蒸発によるインクの乾燥が生じたり、ノズル内部に気泡が混入したり、あるいは塵埃がノズルに付着したりすると、正常な吐出等が行えず、印刷不良を生じさせてしまうことになる。
【0004】
インクジェットプリンタのなかには、印刷ヘッドの先端部分(ノズル部分)を掃拭するいわゆるワイプ処理や、当該部分から不要物を吸い取る吸引処理を行うことにより、吐出不良の解消を図ろうとするものもある。ただし、これらの処理を行うには、インクジェットプリンタがそのための機構を備えている必要がある。また、印刷処理とは別個の動作を行う必要があるため、スループットを低下させてしまうことにもなる。固定式の大型のラインヘッドを用いる場合、そうしたメンテナンス用の処理を行うための移動動作だけで相当の時間を要することになり、コスト的にも効率的ではない。
【0005】
こうした問題を回避するため、印刷内容とは無関係なインクの吐出動作を所定の条件下で強制的に実行するフラッシング(空吐出、予備吐出などとも称する)を、印刷中に行うように構成されているインクジェット印刷装置が公知である(例えば特許文献1ないし5参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−39703号公報
【特許文献2】特開2002−225301号公報
【特許文献3】特開2003−127429号公報
【特許文献4】特開昭55−139269号公報
【特許文献5】特開平9−216388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラッシング処理において印刷装置が行うインクの吐出動作は、印刷処理において行う吐出動作と本来的に同じであることから、フラッシング処理を行うにあたって、インクジェット印刷装置に特別な機械的構成要素を付加する必要はない。むしろ問題となるのは、フラッシングを行うタイミングである。具体的にいうと、印刷用紙における吐出位置や吐出のパターンを、本来の印刷内容を妨げないように定めることが必要となる。また、インクの乾燥等が防止されればよいので、通常は必要以上に吐出を行わなくてもよい。
【0008】
特許文献1ないし特許文献3には、印刷用紙における種々の領域(ミシン目領域、綴じ代領域、画像と画像の間、裁ち落とされる領域など)にインクを吐出させる態様が開示されている。特許文献3においては、フラッシングにより形成されたパターンを印刷物の裁ち落としの際の目印として用いる技術も開示されている。特許文献1ないし3に開示された技術は、印刷物の内容によっては、対象とする領域が存在せず、フラッシング処理が行えない場合がある、という問題がある。特に、固定ヘッド方式のインクジェット印刷装置に係る技術を採用する場合は、印刷ヘッドにおいてライン状に配列している全てのノズルについて、何らかの時点でフラッシングを行なえるようにしておかなければならないので、吐出のタイミングが限定されてしまい、効果的なフラッシングが行えない場合がある。
【0009】
特許文献4には、フラッシングによる吐出を印刷用紙上で離散的に、印刷用紙上において目立たない態様で行う技術が開示されている。しかし、特許文献4に開示された技術は、各ノズルから吐出されて形成されるドットのサイズが大きい低解像度の印刷の場合には、該ドットが目立ってしまい好ましくないことがある。
【0010】
特許文献5には、CMYKの4色のカラー印刷が可能なインクジェット印刷装置において、K版のインクが吐出される位置に、使用されていないCMY版用のノズルからフラッシング吐出を行い、K版のインクでこれを隠蔽することにより、CMYについて、目立たない態様でフラッシングを行う技術が開示されている。しかし、特許文献5に開示された技術は、K版インキの空吐出を印刷用紙に対しては行っていない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、固定式の印刷ヘッドを有し、かつ自由度の高いフラッシング処理を印刷処理中に行えるインクジェット印刷装置、およびそのフラッシング処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、印刷システムであって、a)複数のノズルが配列されてなる固定式印刷ヘッドを備え、所定の印刷用データに基づいて前記複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷用紙に対して印刷を行う印刷装置と、b)前記印刷装置のコントローラであって、所定の情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された所定の印刷ジョブデータの記述内容に従って前記印刷用データを生成する生成手段と、前記印刷装置における前記印刷ジョブデータに係る印刷処理中の前記複数のノズルの開閉状況に係る情報を取得し、前記情報に基づいて前記複数のノズルのフラッシング動作の要否を判定する判定手段と、所定の条件に従って、印刷処理中に所定のタイミングでフラッシング動作を行わせるためのフラッシング用データの合成を前記印刷用データに対して行う合成手段と、を備え、前記フラッシング用データは、あらかじめ前記記憶手段に記憶されており、前記判定手段によって前記フラッシング動作が必要と判定された場合に合成される、ことを特徴とするコントローラと、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の印刷システムであって、印刷ジョブ作成装置であって、印刷物のレイアウト状態を表現するレイアウトデータを作成するレイアウト手段と、前記フラッシング用データによって表現されるフラッシングパターンが前記印刷物に配置される場合の配置予約位置を特定する予約データを作成する予約手段と、を備えることを特徴とする印刷ジョブ作成装置、をさらに備え、前記印刷ジョブデータが、前記レイアウトデータと前記予約データを含み、前記フラッシング動作が必要と判断された場合、前記予約データの記述内容に従って前記フラッシングパターンデータが合成されることにより、前記配置予約位置に前記フラッシングパターンが印刷される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の印刷システムであって、前記判定手段は、所定の頻度基準を超えて吐出が行われない低頻度使用ノズルの存在の有無を判定することにより、前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、前記生成手段は印刷用データとしてラスタライズデータを生成し、前記判定手段は、前記ラスタライズデータの記述内容に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、前記印刷装置は前記印刷処理中における前記複数のノズルの開閉情報を前記コントローラに提供し、前記判定手段は、前記開閉情報に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、複数のノズルが配列されてなる固定式印刷ヘッドを備え、所定の印刷用データに基づいて前記複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷用紙に対して印刷を行う印刷装置のコントローラであって、所定の情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された所定の印刷ジョブデータの記述内容に従って前記印刷用データを生成する生成手段と、前記印刷装置における前記印刷ジョブデータに係る印刷処理中の前記複数のノズルの開閉状況に係る情報を取得し、前記情報に基づいて前記複数のノズルのフラッシング動作の要否を判定する判定手段と、所定の条件に従って、印刷処理中に所定のタイミングでフラッシング動作を行わせるためのフラッシング用データの合成を前記印刷用データに対して行う合成手段と、を備え、前記フラッシング用データは、あらかじめ前記記憶手段に記憶されており、前記判定手段によって前記フラッシング動作が必要と判定された場合に合成される、ことを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6に記載のコントローラであって、前記印刷ジョブデータが、印刷物のレイアウト状態を表現する前記レイアウトデータと、前記フラッシング用データによって表現されるフラッシングパターンが前記印刷物に配置される場合の配置予約位置を特定する前記予約データと、を含むデータとして与えられており、かつ、前記フラッシング動作が必要と判断される場合、前記予約データの記述内容に従って前記フラッシングパターンデータを合成して、前記印刷装置において前記配置予約位置に前記フラッシングパターンを印刷させる、ことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7に記載のコントローラであって、前記判定手段は、所定の頻度基準を超えて吐出が行われない低頻度使用ノズルの存在の有無を判定することにより、前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項8に記載のコントローラであって、前記生成手段は印刷用データとしてラスタライズデータを生成し、前記判定手段は、前記ラスタライズデータの記述内容に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項8に記載のコントローラであって、前記印刷装置から前記印刷処理中における前記複数のノズルの開閉情報の提供を受け、前記判定手段は、前記開閉情報に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、印刷ジョブ作成装置であって、前記レイアウトデータを作成するレイアウト手段と、前記予約データを作成する予約手段と、を備え、請求項7に記載のコントローラに前記印刷ジョブデータを与えることを特徴とする。
【0023】
請求項12の発明は、複数のノズルが配列されてなる固定式印刷ヘッドを備え、所定の印刷用データに基づいて前記複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷用紙に対して印刷を行う印刷装置における所定の印刷ジョブデータに基づく印刷処理の実行方法であって、所定の記憶手段に記憶された所定の印刷ジョブデータの記述内容に従って前記印刷用データを生成する生成工程と、前記印刷装置における前記印刷ジョブデータに係る印刷処理中の前記複数のノズルの開閉状況に係る情報を取得し、前記情報に基づいて前記複数のノズルのフラッシング動作の要否を判定する判定工程と、前記判定手段によって前記フラッシング動作が必要と判定された場合に、所定の条件に従って、あらかじめ前記記憶手段に記憶されてなる、印刷処理中に所定のタイミングでフラッシング動作を行わせるためのフラッシング用データの合成を前記印刷用データに対して行う合成工程と、前記印刷装置において前記印刷用データに基づく印刷を行う印刷工程と、を備え、前記印刷工程においては、前記合成がなされた場合には前記合成後の印刷用データに基づく印刷を行う、ることを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項12に記載の印刷処理の実行方法であって、印刷物のレイアウト状態を表現するレイアウトデータを作成するレイアウト工程と、前記フラッシング用データによって表現されるフラッシングパターンが前記印刷物に配置される場合の配置予約位置を特定する予約データを作成する予約工程と、をさらに備え、前記印刷ジョブデータが、前記レイアウトデータと前記予約データを含み、前記フラッシング動作が必要と判断された場合、前記予約データの記述内容に従って前記フラッシングパターンデータが合成されることにより、前記配置予約位置に前記フラッシングパターンが印刷される、ことを特徴とする。
【0025】
請求項14の発明は、請求項12または請求項13に記載の印刷処理の実行方法であって、前記判定工程においては、所定の頻度基準を超えて吐出が行われない低頻度使用ノズルの存在の有無を判定することにより、前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0026】
請求項15の発明は、請求項14に記載の印刷処理の実行方法であって、前記生成工程においては印刷用データとしてラスタライズデータを生成し、前記判定工程においては、前記ラスタライズデータの記述内容に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0027】
請求項16の発明は、請求項14に記載の印刷処理の実行方法であって、前記判定工程においては、前記印刷処理中における前記複数のノズルの前記開閉情報に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0028】
請求項17の発明は、コンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを請求項6ないし請求項10のいずれかに記載のコントローラとして機能させることを特徴とする。
【0029】
請求項18の発明は、コンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを請求項11に記載の印刷ジョブ作成装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
請求項1ないし請求項18の発明によれば、多数枚の印刷物からなる印刷物セットの印刷を行う際に、長期間にわたって吐出の機会がないノズルが存在しなくなるので、ノズルの乾燥等が防止される。これにより、印刷物セット全体の印字品質が向上する。
【0031】
特に、請求項2、請求項7、請求項11、請求項13、および請求項18の発明によれば、フラッシング動作が必要となった場合の印刷物上における実行位置をレイアウトデータの内容に応じて配置予約領域として定めておくことができるので、印刷物の本来の視覚効果を妨げない態様でフラッシングパターンの形成をすることが可能となる。
【0032】
特に、請求項3、請求項8、および請求項14の発明によれば、印刷処理の実行段階のにおいてフラッシング動作の要否を判断することができるので、レイアウト段階でそうした把握を行わずとも最適な頻度でフラッシング動作を実行することが出来る。
【0033】
特に、請求項4、請求項9、および請求項15の発明によれば、それぞれのノズルからの吐出機会の有無と対応したデータであるラスタライズデータに基づいてフラッシング動作の要否を判断するので、最適な頻度でフラッシング動作を実行することが出来る。
【0034】
特に、請求項5、請求項10、および請求項16の発明によれば、実際のノズルからの吐出状況に応じてフラッシング動作の要否を判断するので、最適な頻度でフラッシング動作を実行することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る印刷システム100の概略構成を示す図である。また、図2は、印刷システム100の機能ブロックを示す図である。図1に示すように、印刷システム100は、ジョブ作成端末1と、インクジェット方式による印刷を行う印刷装置2と、印刷装置2と電気的に接続され、印刷装置2の動作を制御するコントローラ3とを備える。ジョブ作成端末1とコントローラ3とは例えば(有線)LANなどのネットワークNによって接続されており、いわゆるクライアントサーバシステムを構成している。あるいは、図示しない無線通信手段によって接続される態様であってもよいし、所定の記録媒体を介してデータの授受を行える態様であってもよい。なお、図1においてはジョブ作成端末1が2つ備わる態様について、図2においては同じく1つ備わる態様について例示しているが、印刷システム100に備わるジョブ作成端末1の数はこれに限定されるものではなく、3つ以上のジョブ作成端末1がコントローラと接続されてなる態様であってもよい。
【0036】
ジョブ作成端末1は、いわゆるパーソナルコンピュータによって実現されるクライアント端末である。所定のジョブ作成プログラムがそれぞれのジョブ作成端末1に読み込まれ、図示しないCPU、RAM、ROMによって実行されることにより、レイアウトデータ作成部11と、印刷条件設定部12と、フラッシングパターン配置設定部13とが主として実現されてなる。
【0037】
レイアウトデータ作成部11は、印刷対象となる印刷物のレイアウトを表現するデータ(レイアウトデータDL)を作成するために備わる。印刷条件設定部12は、印刷の際に印刷装置2において設定されるべき種々の条件(解像度、用紙サイズ、枚数など)を表現するデータ(印刷条件データDC)を作成するために備わる。フラッシングパターン配置設定部13は、フラッシングパターンを印刷する場合の配置条件を定めたデータ(配置条件データDA)を作成するために備わる。印刷ジョブデータDJは、これらのデータを含むデータとして作成される。なお、ジョブ作成端末1におけるレイアウト処理や配置条件の設定処理などは、いわゆるGUI(Graphical User Interface)により実現されてなるものとする。
【0038】
作成された印刷ジョブデータDJは、ネットワークNを介してコントローラ3へと受け渡される。なお、図1に示すように、印刷システム100が複数のジョブ作成端末1を備える場合は、それぞれのジョブ作成端末1において印刷ジョブデータDJが作成され、コントローラ3へと受け渡される。
【0039】
コントローラ3は、印刷装置2における印刷処理を制御するために備わる。コントローラ3は、いわゆるサーバコンピュータによって実現される。コントローラ3においては、所定の制御プログラムが読み込まれ、図示しないCPU、RAM、ROMによって実行されることにより、ジョブ受付部31と、記憶部32と、ジョブ処理部33と、印刷実行指示部34とが主として実現されてなる。
【0040】
ジョブ受付部31は、各ジョブ作成端末1から送られてくる印刷ジョブデータDJについて、印刷処理の対象とするための登録(ジョブ登録)を行い、登録ジョブ情報RIを生成する。また、印刷ジョブデータDJは、いったん記憶部32に記憶される。
【0041】
記憶部32は、印刷処理に供される印刷ジョブデータDJを格納するほか、フラッシングパターンデータDFなど、種々のデータを記憶する役割を担う。なお、フラッシングパターンデータDFとは、フラッシング処理の一環としてのフラッシング動作を印刷装置2に行わせる際に用いられるラスターデータである。フラッシング処理およびフラッシング動作の詳細については後述する。記憶部32は、図示しないRAMやハードディスクなどの記憶媒体によって構成される。
【0042】
ジョブ処理部33は、登録ジョブ情報RIを参照して処理対象とする印刷ジョブデータDJを特定し、該印刷ジョブデータDJを記憶部32から取得して、印刷装置2が印刷処理を実行可能とするために必要な処理を行う。そのために、ジョブ処理部33は、ラスタライズ処理部33Rと、フラッシング判定部33Fとを備える。
【0043】
ラスタライズ処理部33Rは、処理対象となった印刷ジョブデータDJに含まれるレイアウトデータDLをラスタライズ処理することにより印刷装置2が処理可能なラスタライズデータDRを生成する。ラスタライズ処理には、公知の技術を適用可能である。
【0044】
フラッシング判定部33Fは、フラッシング処理の一環として、処理対象となった印刷ジョブデータDJに係る印刷処理の間にフラッシング動作が必要な否かを、所定の基準に従って判定する処理(フラッシング判定)を担う。フラッシング判定についての詳細は後述する。
【0045】
印刷実行指示部34は、印刷装置2に対し、印刷実行を指示する役割を担う。印刷実行指示部34は、処理対象となった印刷ジョブデータDJに基づいて生成されたラスタライズデータDRと、該印刷ジョブデータDJに含まれる印刷条件データDCとを、印刷データDPとして印刷装置2に対して送信することにより、印刷装置2に印刷データDPに係る印刷処理を行わせる。なお、複数ページに渡る印刷物や連続紙を用いる印刷物について印刷処理を行う場合は、例えば1ページずつなど、ある処理単位ごとに逐次的にデータを印刷装置2に対して与える態様であってもよい。
【0046】
また、印刷実行指示部34は、ある印刷ジョブデータDJについて、フラッシング判定部33Fによってフラッシング動作が必要と判定されている場合、記憶部32にあらかじめ記憶されている所定のフラッシングパターンデータDFをラスタライズデータDRに合成する処理も担う。この合成がなされたラスタライズデータDRを用いて印刷処理を実行することで、印刷装置2においてフラッシング動作が行われることになる。
【0047】
印刷装置2は、コントローラ3から受け取った印刷データDPに基づいて、インクジェット方式による印刷を行う。図3は、印刷装置2に備わる印刷ヘッド21を下面側からみた構造を概略的に例示する図である。また、図4は、印刷装置2における印刷の態様を概念的に示す図である。印刷ヘッド21の下面側には、長手方向に多数のノズル22が設けられてなる。印刷装置2は、コントローラ3の制御に基づいて、固定された印刷ヘッド21の下方にて図示しない搬送手段により印刷用紙Pを矢印AR1に示すように搬送しつつ、印刷ヘッド21の内部に備わる図示しない充填部に充填されたインクを図4に示すようにノズル22から印刷用紙Pに向けて適宜に吐出させることによりライン単位で像形成を行い、印刷像IMを形成する。このとき、インクの吐出の有無は、個々のノズル22ごとに定められる。すなわち、1つのノズル22から吐出されるインクによって、印刷像IMにおける1画素分のドットが形成される。また、好ましくは印刷処理中の各ノズル22の開閉状況はノズル状態情報NCとして記憶され、該ノズル状態情報NCは、コントローラ3へと供される。
【0048】
なお、図3に図示された印刷ヘッド21はあくまで例示であって、ノズル22の個数および配列を初めとする構成態様はこれに限られるものではない。実際には、数百dpi〜数千dpiという印刷解像度が実現されるようにノズル22が所定の態様によって配置されてなる。また、このような印刷ヘッドを有するものであれば、公知のインクジェット方式の印刷装置を、本実施の形態に係る印刷装置2として用いることが出来る。
【0049】
好ましくは、印刷装置2はカラー印刷が可能とされてなる。例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のいわゆるプロセスカラーによる印刷が可能とされてなる。係る場合は、ノズル22はそれぞれの色のインクに対応して設けられる。具体的には、図3に例示するように、Cのインクを吐出するCノズル22Cと、Mのインクを吐出するMノズル22Mと、Yのインクを吐出するYノズル22Yと、Kのインクを吐出する22Kとが、それぞれに多数個配列されてなる。
【0050】
<フラッシング処理>
以降、本実施の形態に係る印刷システム100において実現されてなるフラッシング処理について説明する。本実施の形態においてフラッシング処理とは、ある印刷ジョブデータDJに係る印刷処理を行っている間、主としてしばらく使用がなされていないノズル22を対象に、適宜のタイミングでインクの吐出を行わせることで、該ノズル22の近傍のインクの乾燥を防止する処理をいい、係るインクの吐出動作を特にフラッシング動作と称することとする。図5は、印刷システム100において行われる、フラッシング処理に関係する種々の処理の流れを示す図である。図6は、フラッシング動作が行われていない印刷物PMを例示する図である。
【0051】
ここで、印刷物PMは、ある一の印刷ジョブデータDJに基づき、同一フォーマットを用い連続的に印刷が行われつつ、その印刷内容は各印刷用紙ごとに異なる、という態様で作成された図示しない複数枚からなる印刷物(これを「印刷物セット」と称する。)のうちの印刷用紙1枚分である。すなわち、印刷物PMは、多ページ物の印刷物のある1ページに相当するともいえる。より詳細にいえば、図6において印刷物PMとして例示しているのは、個々人の通話明細に係る内容を順次に異なる印刷用紙に印刷してなる通話明細内訳書の印刷物セットの1名分であり、図示はしていないが、実際には印刷物セットを構成する各印刷用紙ごとに異なる内容が印刷されてなることを想定している。なお、これらの印刷物を印刷する際は、図6の印刷物PMの場合も含め、その上端側から下端側に向けて1ラインずつ印刷されるものとする。区間aが、印刷ヘッド21における印刷可能範囲(ノズル22の両端間)を指し示している。
【0052】
このような印刷物PMを、フラッシング処理を行いつつ作成するには、まず、ジョブ作成端末1における印刷ジョブデータDJの作成の一環として、レイアウトデータDLが生成される(ステップS1)。
【0053】
印刷物PMの場合について具体的にいえば、オペレータがジョブ作成端末1に対し所定の操作を行うことによって、種々の内容の印刷がされてなる印刷領域RE1〜RE5が印刷物PMに形成されるように(これらの領域に印刷を行うべくノズル22からインク23が吐出されてなるように)、レイアウトデータDLが作成されていることになる。いま、罫線および文字の部分は全てK100%で印刷され、領域RE1の塗りつぶし部分はM100%で印刷され、領域RE2の塗りつぶし部分はC50%で印刷され、領域RE4の下地部分はY5%M10%で印刷されるよう、ステップS1においてレイアウトデータDLが作成されてなるものとする。この印刷物セットでは全ての印刷物について同一のフォーマットで印刷がなされていることから、これらの色指定は、他ページについても同様である。
【0054】
係るレイアウトデータDLの作成とともに、フラッシングパターン配置設定部13の作用により、該印刷ジョブデータDJに含まれる該レイアウトデータDLに基づく印刷を行う際にフラッシングパターンを併せて印刷する場合の配置条件が、オペレータによるジョブ作成端末1に対する所定の操作によって設定され、配置条件データDAとして記述される(ステップS2)。具体的には、フラッシング動作を行うことになった場合に対象となるノズル22に吐出動作を行わせる領域としてのフラッシングパターン配置予約領域REFや、フラッシング判定に用いる情報の種別や判定基準、フラッシング動作の頻度(フラッシング頻度)、さらには印刷に用いるフラッシングパターンデータDFを特定する情報やフラッシングパターン配置予約領域REFとフラッシングパターンデータDFとを関連付ける情報などが配置条件データDAとして設定される。これらは、好ましくは所定の選択メニューから選択できる態様であってもよい。なお、配置条件データDAは、その記述内容をコントローラ3にて解釈可能でありさえすれば、その記述形式は限定されない。
【0055】
図6には、印刷物PMについて設定されたフラッシングパターン配置予約領域REFも併せて示されている。フラッシングパターン配置予約領域REFは、フラッシングパターンの印刷を行わせる領域として予約された領域である。フラッシングパターン配置予約領域REFは、配置条件データDAに所定の内容が記述されることにより、該印刷物PMを含む印刷物セットを構成する複数枚の印刷物の少なくとも一部に対し、それぞれ定められてなる。フラッシングパターン配置予約領域REFは、レイアウトデータDLとして与えられている印刷物のレイアウトに応じて定めることができる。具体的には、レイアウトデータDLに基づく印刷がなされない場所や、印刷物が意図する視覚的情報の提供を阻害しない場所に定められることが好ましい。従って、図6においては印刷物PMの上端部分にフラッシングパターン配置予約領域REFが設定されているものの、これは必須の態様ではない。係るフラッシングパターン配置予約領域REFの設定のバリエーションについては後述する。
【0056】
印刷システム100においては、フラッシング判定部33Fの判定の結果フラッシング動作の必要が生じた場合に、その位置に応じて設定されたフラッシングパターン配置予約領域REFに対して、フラッシングパターンを印刷するための吐出がノズル22から行われることになる。よって、必ずしも予約された全ての領域にフラッシングパターンが印刷されるわけではない。なお、図6に示す破線は説明のためのものであって、実際にはこのようにしてフラッシングパターン配置予約領域REFが破線にて囲まれるわけではない。
【0057】
このような印刷物PMを生成することになる印刷ジョブデータDJがジョブ作成端末1において得られると、コントローラ3へと受け渡されて、記憶部32に記憶されると共に、ジョブ受付部31が該印刷ジョブデータDJを特定するために必要な内容を登録ジョブ情報RIに記録する(ステップS3)。登録ジョブ情報RIに登録された印刷ジョブデータDJは該登録ジョブ情報RIの記録に従い順次に印刷処理の対象となる。その際には、まず、ラスタライズ処理部33Rの作用により、印刷ジョブデータDJに含まれるレイアウトデータDLがラスタライズされ、ラスタライズデータDRが生成される(ステップS4)。
【0058】
そして、フラッシング判定部33Fにより、所定の基準に従ってフラッシング判定がなされ、その結果に応じてフラッシング動作の要否が特定されることになる(ステップS5、S6)。印刷物PMを含む印刷物セットについての印刷を行っている際に、ある色成分のインクを吐出することになっているノズル22についてフラッシングの必要があるということは、所定の時間を越えて該ノズル22が印刷に用いられないということである。フラッシング判定は、所定の情報に基づいて、そうした状況が発生するか否かを判定する処理である。なお、フラッシング判定に用いる情報は、全てのノズル22について等価に判定を行うことができ、再現性のある判定を行えるものであれば、特に限定されない。例えばラスタライズデータDRを解析することにより各ノズル22の使用頻度(開閉状況)を特定し、これに基づいてフラッシング判定を行ってもよいし、印刷装置2から取得される、ノズルの使用状態に関する情報であるノズル状態情報NCに基づいて行ってもよい。
【0059】
ここでは、印刷物PMについてラスタライズデータDRから判断される各ノズル22の使用頻度に基づいて判定を行う場合について説明する。この場合、フラッシング判定部33Fは、そのノズル22の配置位置と対応する印刷物上の全ての位置に対し該インクのドットを形成することの頻度を、ラスタライズデータDRに基づいて特定し、その頻度が配置条件データDAに記述されてなる所定の頻度基準を越えるか否かで、フラッシングの要否を判定することになる。
【0060】
いま、印刷装置2においては固定式の印刷ヘッド21の直下を印刷用紙が通過することにより印刷を行うので、ある一のノズル22からインクが吐出されることで印刷ドットが形成される可能性のある印刷用紙上の位置は、図6に一点鎖線にて示す直線L1のように印刷方向に沿う直線となる。フラッシング判定部33Fは、ラスタライズデータDRの記述内容(例えばアドレス情報と色成分情報)を参照し、印刷用紙上に形成されることになる印刷ドットについて、各インクの色成分の直線L1方向についての出現頻度をドット単位で特定し、その結果に基づいて判定を行うことになる。
【0061】
ここでは、図6においては区間dとして示す、印刷物PMに用いる印刷用紙における1ページ分の印刷可能範囲(上端から下端まで)に相当するドット数が、フラッシング判定の際の基準値として配置条件データDAに記述されているものとする。この場合、ラスタライズデータDRを参照した結果、該基準値を越えてもノズル22からの吐出がされないことになる、とフラッシング判定部33Fが判定すると、フラッシング動作が行われることになる。さらには、印刷物セットを印刷している際、あるページ範囲においてフラッシング動作が必要なノズル22が存在するものと判定された場合には、そのページ範囲で最初に印刷に供される印刷用紙に設定されたフラッシングパターン配置予約領域REFに対してフラッシングパターンを印刷するようにフラッシング頻度が定められ、配置条件データDAに記述されているものとする。
【0062】
図6に示す印刷物PMを含む印刷物セットの印刷を行う場合、上述したように、罫線および文字の部分は全てK100%で印刷され、領域RE1の塗りつぶし部分はM100%で印刷され、領域RE2の塗りつぶし部分はC50%で印刷され、領域RE4の下地部分はY5%M10%で印刷される。ここで、区間bについては、Kインクについては罫線が、C、M、Yの各インクについては塗りつぶしが印刷されることにより、いずれのインクについても該区間b全体にまたがった印刷がなされることになるので、全てのノズル22が、少なくとも一度は用いられることになる。そしてこれは、同一フォーマットで印刷がなされる全ての印刷用紙において同様である。従って、該区間bにおける印刷を担うノズル22については、少なくとも1枚に一度は吐出を行うことになる。
【0063】
一方、区間cについてみると、K、M、Yの各インクについては区間bと同様に罫線や塗りつぶしの印刷がなされるものの、Cインクを用いて印刷を行う領域は存在しない。よって、印刷ヘッド21においてCインクの印刷を担うCノズル22Cのうち、区間cにおける印刷を担うものについては、基準を超えて吐出の機会がないことがわかる。
【0064】
よって、フラッシング判定部33Fは、ラスタライズデータDRを参照した結果、区間cに対応するノズル22については該基準値を越えて吐出が行われないCノズル22Cが存在し、これらのCノズル22Cについて、フラッシング動作が必要と判定することになる(ステップS6でYES)。
【0065】
フラッシング動作が必要と判断されると、印刷実行指示部34は、記憶部32に記憶されているフラッシングパターンデータDFを取得して、これをラスタライズデータDRに対して合成する(ステップS7)。好ましくは、フラッシングパターンデータDFとして、フラッシングパターンのデザイン等が異なる複数のデータが記憶部32に記憶されており、フラッシングパターン配置設定部13における配置条件データDAの設定の際、フラッシングパターン配置予約領域REFの設定などと併せて、いずれか一のフラッシングパターンデータDFを選択可能とされてなる。この選択されたフラッシングパターンデータDFを特定するための情報も、配置条件データDAに併せて記述される。あるいは、フラッシング判定の結果フラッシング動作が必要となった時点で、そのときに記憶部32に記憶されているフラッシングパターンデータDFを選択できるようになっていてもよい。
【0066】
図6の印刷物PMを含む印刷物セットについては全ページにおいて区間cの印刷を担うCノズル22Cが不使用であることから、上述のように設定したフラッシング頻度に基づいてフラッシング動作を行うためには、全ページの印刷に際して、Cノズル22Cに対して吐出を行わせるためのフラッシングパターンの印刷の実行が必要となる。よって、全てのページのフラッシングパターン配置予約領域REFにフラッシングパターンが印刷されるように、フラッシングパターンデータDFが合成されることになる。
【0067】
そして、印刷実行指示部34は、このフラッシングパターンデータDFが合成されたラスタライズデータDRと、該ラスタライズデータDRに対応する印刷条件データDCとを含んでなる印刷データDPを、印刷装置2へと送付する(ステップS8)。仮に、フラッシング動作を行う必要がないと判定された場合(ステップS6でNO)は、合成処理がなされることなく、ラスタライズデータDRとこれに対応する印刷条件データDCとを含んでなる印刷データDPが、印刷装置2へと送付されることになる。
【0068】
印刷データDPを受け取った印刷装置2は、印刷条件データDCに基づいて、フラッシングパターンデータDFを含むラスタライズデータDRについての印刷を実行し、印刷物PMを含む印刷物セットを生成する(ステップS9)。
【0069】
図7は、フラッシングパターンデータDFに基づき、図6に示す印刷物PMにおいてフラッシングパターンFPが印刷された状態を示す図である。該フラッシングパターンFPは、配置条件データDAにおいてフラッシングパターン配置予約領域REFに関連付けられてなるフラッシングパターンデータDFに基づいて形成されたものである。図7においては、区間a全体に渡って互いに連接する星印のパターンを示しているが、これはあくまで例示であり、フラッシング動作の対象となっているノズル22から少なくとも一度は吐出が行われることになるパターンでありさえすれば、他のパターンであってもよい。図7のフラッシングパターンFPにおいても、星印が離間していないので該パターンの形成に際しては全てのノズルから少なくとも1度は吐出がなされており、その要件を満たしている。
【0070】
また、ここでは上述した内容の配置条件データDAに従ってフラッシングパターンデータDFがラスタライズデータDRに合成されてなることから、図示しない印刷物セットの一枚一枚の印刷物において、区間cでもCインクの吐出が行われることになる。
【0071】
ただし、フラッシングパターンの印刷頻度は配置条件データDAの記述内容を適宜に設定することにより自由に設定でき、必ずしも個々の印刷物ごとに印刷する必要なく、インクの乾燥性能などに応じて、2ページごと、3ページごとなど、適宜に定められる態様であってよい。
【0072】
なお、フラッシングパターンFPの色指定は、フラッシング動作が必要となるノズル22が吐出するインクの色を含みさえすれば、色種類や色濃度値について本質的には制約はない。ここでは、ラスタライズデータDRからフラッシング動作が必要となるノズル22が吐出するインクの色種類が特定できることを利用し、その色種類のインクについて50%の色濃度で印刷を行うように定められているものとする。印刷物PMを含む印刷物セットについて、フラッシング動作が必要となるインクは、その全体においてCインクのみであるので、フラッシングパターンFPは、全てC50%で印刷されることになる。またこのような指定を行う場合は、フラッシングパターンデータDFは、色種類の情報を含まない(後から付加可能な態様の)データとして記憶部32に記憶しておくことになる。ただし、色指定の態様はこれに限定されない。これについては後述する。
【0073】
なお、ノズルの使用状態に関する情報であるノズル状態情報NCに基づいてフラッシング判定を行う場合は、例えば、印刷装置2からそれぞれのノズルの開閉タイミングに係る実時間情報に基づいて一定時間吐出に供されていないノズルの有無をフラッシング判定部33Fが印刷処理中に判定し、そのようなノズルが存在した時点で、配置条件データDAに記述された内容に従ってフラッシングパターンデータDFがラスタライズデータDRに合成されて、フラッシングが行われることになる。コントローラ3から印刷装置2へのデータの受け渡しは逐次的なものとなる。
【0074】
以上、説明したように、本実施の形態に係る印刷システム100においては、フラッシングパターンの配置位置をある限られた領域(例えば、ミシン目領域、綴じ代領域、画像と画像の間、裁ち落とされる領域など)に限定することなく、既述のように、ジョブ作成端末1における印刷ジョブデータDJの作成時にあらかじめフラッシングパターン配置予約領域REFとして任意の位置を指定し、配置条件データDAにこれを記述できるようになっている。そして、所定のフラッシングパターンFPを印刷するためのフラッシングパターンデータDFを、あらかじめ記憶部32に記憶させておき、フラッシング動作が必要となった場合には、フラッシングパターンデータDFを記憶部32から選択して、ラスタライズデータDRに合成させることで、設定されたフラッシングパターン配置予約領域REFに応じたフラッシングパターンを形成することが出来るようになっている。
【0075】
よって、多数枚の印刷物からなる印刷物セットの印刷を行う際に、長期間にわたって吐出の機会がないノズル22が存在しなくなるので、ノズル22の乾燥等が防止される。これは、印刷物セット全体の印字品質の向上に大きく寄与するものである。
【0076】
また、それぞれのノズルからのインクの吐出頻度をレイアウト段階で知ることは通常は困難であり、どのようなフラッシング動作を行うことが最適であるかをレイアウトの段階で把握することは事実上出来ないが、本実施の形態によれば、印刷処理の実行段階において、それぞれのノズルからの吐出機会の有無と対応したデータであるラスタライズデータあるいは実際のノズルからの吐出状況に応じてフラッシング動作の要否を判断するので、万一フラッシング動作が必要となった場合にフラッシング動作を行うためのフラッシングパターン配置予約領域を設定しておくだけで、レイアウト段階でそうした把握を行わずとも最適な頻度でフラッシング動作を実行することが出来る。
【0077】
<フラッシングパターンの設定バリエーション>
次に、本実施の形態において行われるフラッシングパターンの設定のバリエーションについてさらに説明する。
【0078】
そもそも、フラッシング動作は、印刷物において表現しようとする印刷内容とは直接的には関係のない、印刷物の作成という点からみると本来は不要な吐出動作である。インクの乾燥さえ防止されれば、吐出は必要以上に行われなくてもよい。よって、フラッシング動作が必要と判断されたノズル22から少なくとも1ページに一度(1ドット分)の吐出がなされれば、目的は果たされることになる。従って、そのような吐出を行うようにフラッシングパターンデータDFが与えられる態様であっても、フラッシング動作の本質的な目的は果たせることになる。上述の場合であれば、少なくとも区間cに対応する範囲に、例えば幅が1ドットもしくはせいぜい数ドットの直線状のフラッシングパターンFPが印刷されれば、それでも目的は果たせていることになる。従って、図7に示すように区間a全体に渡ってフラッシングパターンFPを印刷することは、つまりは、フラッシング動作が不要な区間bの位置にインクを吐出するCノズル22Cにまで一緒に吐出を行わせることは本来は必要ない。
【0079】
ただし、固定式の印刷ヘッド21において多数個が配列してなるノズル22のうち、どれについてフラッシング動作を行うべきなのかは、印刷に供されるラスタライズデータDRの内容によって種々様々であり、必ずしも、上述の例のように、連続的な範囲(区間c)として特定されるわけでもなく、また各ページについて同じというわけでもない。よって、フラッシング動作が必要となるノズルの組合せは種々様々であり、そうした種々様々なノズル22の組合せの全てに対応させて多くのフラッシングパターンをあらかじめ用意しておくことは現実的ではない。
【0080】
また、印刷物は、その種類や用途に応じて、印刷内容の見栄えの良さや見た目の違和感の少ないことが求められることがほとんどであるので、フラッシングパターンについても、ある程度のデザイン性を具備させることが好ましい。そのため、フラッシングパターン形成にあたっては、本来的にフラッシングが必要なノズル22からの吐出を行うだけに留まらず、ある程度のデザイン性が付与されてなることが好ましい。
【0081】
これらを踏まえると、印刷物に形成するフラッシングパターンは、フラッシング動作の必要なノズル22の多様な組合せに対応してある程度の数のノズル22を使用して形成されるパターンであり、かつ、フラッシング動作の必要なノズルから吐出されるインクの色種類を少なくとも含むパターンであり、さらには、多少のデザイン性をも具備することが好ましいといえる。これは、必ずしも1つのフラッシングパターンで実現する必要はなく、印刷物のレイアウトに応じて使い分けられる態様であってもよい。
【0082】
図8は、このような要請のもとで形成されるフラッシングパターンの配置のバリエーションを示す図である。配置されるフラッシングパターンの種類はフラッシングパターン愛知予約領域の設定位置に関連付けて定めることが出来るので、図8はすなわち、フラッシングパターン配置予約領域の設定のバリエーションを示す図でもあるといえる。なお、図8に示すいずれの印刷物も、図6の印刷物PMと同様に、上端側から下端側に向けて印刷がなされるものとする。そして、それぞれの印刷物における左右の印刷範囲は、印刷ヘッド21における印刷可能範囲いっぱいに相当するものとする。また、図8では図示の簡単のため、フラッシングパターンは矩形で示しているが、実際には矩形とは限らず、上述した連接する星印のパターンその他、種々のパターンが使用されてなるものとする。
【0083】
図8(a)は、レイアウト領域LE1よりも下方において左右の印刷可能範囲いっぱいにフラッシングパターンF1が形成されている印刷物PM1を示している。図6の印刷物PMのように上方に配置することが困難であれば、このような配置がなされるようにフラッシングパターン配置予約領域REFを設定しておくこともできる。また、フラッシングパターン配置予約領域を設定する際に上下方向の設定範囲が図6に示すフラッシングパターン配置予約領域REFと一致していれば、図7に示した星印のフラッシングパターンFPが選択されていてもよい。
【0084】
図8(b)は、レイアウト領域LE2を挟んで上下にフラッシングパターンF2aとF2bとが形成されている印刷物PM2を示している。2つのフラッシングパターンF2aとF2bとは、同じものが指定されていてもよいし、違うものでもよい。これは例えば、あらかじめこの2ヶ所をフラッシングパターン配置予約領域REFとし、かつ、フラッシング動作が必要なノズルが吐出するインクの色種類によって、形成するフラッシングパターンの形成位置を違えるように、配置条件データDAに記述しておくことで実現される。なお、ページ番号に応じて、いずれか1つの位置にフラッシングパターンを形成する態様であってもよい。
【0085】
図8(c)は、レイアウト領域LE3を挟んで上下にフラッシングパターンF3aとF3bとが形成されてなる点は印刷物PM2と同じであるが、それぞれのフラッシングパターンF3a、F3bは単独では左右の印刷可能範囲いっぱいにまでは存在していない印刷物PM3を示している。この場合、フラッシング動作が必要となるノズルの配置位置に応じていずれか一方のパターンのみが形成されるように配置条件データDAに記述されていてもよい。なお、フラッシングパターンF3aとF3bの印刷範囲には斜線にて示す重複部分が存在するが、この重複部分は、フラッシング動作が行われさえすればよいのであれば本来は不要であり、デザイン上の要請にて設けられてなる部分である。
【0086】
図8(d)は、2つのレイアウト領域LE4aとLE4bとが存在し、その間にフラッシングパターンF4aが形成され、下側のレイアウト領域LE4bのさらに下方にフラッシングパターンF4bとF4cとが形成されてなる印刷物PM4を示している。この場合も、フラッシング動作が必要となるノズルの配置位置に応じていずれか一つのパターンのみが形成されるように配置条件データDAに記述されていてもよい。
【0087】
このように、本実施の形態に係る印刷システム100においては、印刷装置2に備わる印刷ヘッド21のノズル22にフラッシング動作を行わせるフラッシング処理に際して、フラッシング動作が必要となった場合の印刷物上における実行位置をレイアウトデータの内容に応じて配置予約領域として定めておくことができ、印刷物の本来の視覚効果を妨げない態様でフラッシングパターンの形成をすることが可能となる。これに加えて、フラッシングパターンの形成をフラッシング動作が必要なノズル以外をも用いて行えることから、フラッシングパターン配置予約領域の配置のバリエーションに応じたフラッシングパターンを少なくとも用意しておけば、フラッシング動作が必要となるノズル22の種々様々な組合せの全てに対応させて多くのフラッシングパターンをあらかじめ用意しておくことは不要である。また、フラッシングパターンの形成をフラッシング動作が必要なノズル以外をも用いて行えることで、形成されるフラッシングパターンにある程度のデザイン性を付与することもでき、印刷物の本来の視覚効果を出来るだけ妨げない態様で、フラッシングパターンを形成することが出来る。すなわち、印刷システム100によれば、自由度の高いフラッシング処理を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】印刷システム100の概略構成を示す図である。
【図2】印刷システム100の機能ブロックを示す図である。
【図3】印刷装置2に備わる印刷ヘッド21を下面側からみた構造を概略的に例示する図である。
【図4】印刷装置2における印刷の態様を概念的に示す図である。
【図5】印刷システム100において行われる、フラッシング処理に関係する種々の処理の流れを示す図である。
【図6】フラッシング動作が行われていない印刷物PMとを例示する図である。
【図7】フラッシングパターンデータDFに基づき、フラッシングパターンFPが印刷された状態を示す図である。
【図8】フラッシングパターンの配置のバリエーションを示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ジョブ作成端末
2 印刷装置
3 コントローラ
21 印刷ヘッド
22 ノズル
23 インク
100 印刷システム
F1〜F4、FP フラッシングパターン
LE1〜L4 レイアウト領域
N ネットワーク
PM、PM1〜PM4 印刷物
RE1〜RE5 印刷領域
REF フラッシングパターン配置予約領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
a)複数のノズルが配列されてなる固定式印刷ヘッドを備え、所定の印刷用データに基づいて前記複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷用紙に対して印刷を行う印刷装置と、
b)前記印刷装置のコントローラであって、
所定の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された所定の印刷ジョブデータの記述内容に従って前記印刷用データを生成する生成手段と、
前記印刷装置における前記印刷ジョブデータに係る印刷処理中の前記複数のノズルの開閉状況に係る情報を取得し、前記情報に基づいて前記複数のノズルのフラッシング動作の要否を判定する判定手段と、
所定の条件に従って、印刷処理中に所定のタイミングでフラッシング動作を行わせるためのフラッシング用データの合成を前記印刷用データに対して行う合成手段と、
を備え、
前記フラッシング用データは、あらかじめ前記記憶手段に記憶されており、前記判定手段によって前記フラッシング動作が必要と判定された場合に合成される、
ことを特徴とするコントローラと、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
印刷ジョブ作成装置であって、
印刷物のレイアウト状態を表現するレイアウトデータを作成するレイアウト手段と、
前記フラッシング用データによって表現されるフラッシングパターンが前記印刷物に配置される場合の配置予約位置を特定する予約データを作成する予約手段と、
を備えることを特徴とする印刷ジョブ作成装置、
をさらに備え、
前記印刷ジョブデータが、前記レイアウトデータと前記予約データを含み、
前記フラッシング動作が必要と判断された場合、前記予約データの記述内容に従って前記フラッシングパターンデータが合成されることにより、前記配置予約位置に前記フラッシングパターンが印刷される、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷システムであって、
前記判定手段は、所定の頻度基準を超えて吐出が行われない低頻度使用ノズルの存在の有無を判定することにより、前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記生成手段は印刷用データとしてラスタライズデータを生成し、
前記判定手段は、前記ラスタライズデータの記述内容に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は前記印刷処理中における前記複数のノズルの開閉情報を前記コントローラに提供し、
前記判定手段は、前記開閉情報に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
複数のノズルが配列されてなる固定式印刷ヘッドを備え、所定の印刷用データに基づいて前記複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷用紙に対して印刷を行う印刷装置のコントローラであって、
所定の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された所定の印刷ジョブデータの記述内容に従って前記印刷用データを生成する生成手段と、
前記印刷装置における前記印刷ジョブデータに係る印刷処理中の前記複数のノズルの開閉状況に係る情報を取得し、前記情報に基づいて前記複数のノズルのフラッシング動作の要否を判定する判定手段と、
所定の条件に従って、印刷処理中に所定のタイミングでフラッシング動作を行わせるためのフラッシング用データの合成を前記印刷用データに対して行う合成手段と、
を備え、
前記フラッシング用データは、あらかじめ前記記憶手段に記憶されており、前記判定手段によって前記フラッシング動作が必要と判定された場合に合成される、
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項7】
請求項6に記載のコントローラであって、
前記印刷ジョブデータが、
印刷物のレイアウト状態を表現する前記レイアウトデータと、
前記フラッシング用データによって表現されるフラッシングパターンが前記印刷物に配置される場合の配置予約位置を特定する前記予約データと、
を含むデータとして与えられており、
かつ、
前記フラッシング動作が必要と判断される場合、前記予約データの記述内容に従って前記フラッシングパターンデータを合成して、前記印刷装置において前記配置予約位置に前記フラッシングパターンを印刷させる、
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のコントローラであって、
前記判定手段は、所定の頻度基準を超えて吐出が行われない低頻度使用ノズルの存在の有無を判定することにより、前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項9】
請求項8に記載のコントローラであって、
前記生成手段は印刷用データとしてラスタライズデータを生成し、
前記判定手段は、前記ラスタライズデータの記述内容に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項10】
請求項8に記載のコントローラであって、
前記印刷装置から前記印刷処理中における前記複数のノズルの開閉情報の提供を受け、
前記判定手段は、前記開閉情報に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項11】
印刷ジョブ作成装置であって、
前記レイアウトデータを作成するレイアウト手段と、
前記予約データを作成する予約手段と、
を備え、
請求項7に記載のコントローラに前記印刷ジョブデータを与えることを特徴とする印刷ジョブ作成装置。
【請求項12】
複数のノズルが配列されてなる固定式印刷ヘッドを備え、所定の印刷用データに基づいて前記複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷用紙に対して印刷を行う印刷装置における所定の印刷ジョブデータに基づく印刷処理の実行方法であって、
所定の記憶手段に記憶された所定の印刷ジョブデータの記述内容に従って前記印刷用データを生成する生成工程と、
前記印刷装置における前記印刷ジョブデータに係る印刷処理中の前記複数のノズルの開閉状況に係る情報を取得し、前記情報に基づいて前記複数のノズルのフラッシング動作の要否を判定する判定工程と、
前記判定手段によって前記フラッシング動作が必要と判定された場合に、所定の条件に従って、あらかじめ前記記憶手段に記憶されてなる、印刷処理中に所定のタイミングでフラッシング動作を行わせるためのフラッシング用データの合成を前記印刷用データに対して行う合成工程と、
前記印刷装置において前記印刷用データに基づく印刷を行う印刷工程と、
を備え、
前記印刷工程においては、前記合成がなされた場合には前記合成後の印刷用データに基づく印刷を行う、
ることを特徴とする印刷処理の実行方法。
【請求項13】
請求項12に記載の印刷処理の実行方法であって、
印刷物のレイアウト状態を表現するレイアウトデータを作成するレイアウト工程と、
前記フラッシング用データによって表現されるフラッシングパターンが前記印刷物に配置される場合の配置予約位置を特定する予約データを作成する予約工程と、
をさらに備え、
前記印刷ジョブデータが、前記レイアウトデータと前記予約データを含み、
前記フラッシング動作が必要と判断された場合、前記予約データの記述内容に従って前記フラッシングパターンデータが合成されることにより、前記配置予約位置に前記フラッシングパターンが印刷される、
ことを特徴とする印刷処理の実行方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の印刷処理の実行方法であって、
前記判定工程においては、所定の頻度基準を超えて吐出が行われない低頻度使用ノズルの存在の有無を判定することにより、前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とする印刷処理の実行方法。
【請求項15】
請求項14に記載の印刷処理の実行方法であって、
前記生成工程においては印刷用データとしてラスタライズデータを生成し、
前記判定工程においては、前記ラスタライズデータの記述内容に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とする印刷処理の実行方法。
【請求項16】
請求項14に記載の印刷処理の実行方法であって、
前記判定工程においては、前記印刷処理中における前記複数のノズルの前記開閉情報に従って前記フラッシング動作の要否を判定する、
ことを特徴とする印刷処理の実行方法。
【請求項17】
コンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを請求項6ないし請求項10のいずれかに記載のコントローラとして機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
コンピュータにおいて実行されることにより、前記コンピュータを請求項11に記載の印刷ジョブ作成装置として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−272571(P2006−272571A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90679(P2005−90679)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】