説明

印刷システム及びその制御方法

【課題】 多くの用紙サイズや用紙タイプを必要とする印刷ジョブの実行時、指定したグループ内に必要な用紙が無い場合、オペレータがどの給紙カセットの用紙サイズ或いは用紙タイプを変更すべきかを示すことはできなかった。
【解決手段】 複数のシート収納部を有し、当該シート収納部から印刷プロセス部へシートを給紙して印刷する印刷システム及びその制御方法であって、印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合であって、かつ当該シート収納部が属するグループに、その印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部がない場合、そのグループ内で、その印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容可能なシート収納部をユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシート収納部を有し、これら複数のシート収納部をグループ化して利用するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の給紙カセット(シート収納部)を持つ画像形成装置において、これら複数の給紙カセットをグループ化して扱う技術がある。この技術によれば、ある給紙カセットを指定して投入された印刷ジョブであっても、その給紙カセットの用紙が無くなると、その給紙カセットが属しているグループの他の給紙カセットから用紙を給紙して、その印刷ジョブを実行することができる。
【0003】
またグループ内の複数の給紙カセットを効率的に利用して画像形成装置の稼働率を高める方法が各社から提案されている。例えば、グループ内の給紙カセットの内、用紙残量の少ない給紙カセットを先に利用して、オペレータに用紙切れを早めに通知することにより、用紙の補給を効果的に行うことが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−256077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、多くの用紙サイズや用紙タイプを必要とする印刷ジョブの実行時、指定したグループ内に必要な用紙が無い場合、オペレータがどの給紙カセットの用紙サイズ或いは用紙タイプを変更すべきかを示すことはできなかった。
【0006】
一般的に、用紙切れをオペレータに通知する場合、プリンタドライバから指定された給紙カセット段、又は給紙カセットの自動選択機能によって選択された給紙カセットが操作パネルに強調表示されることが多い。しかし、用紙切れが発生した給紙カセットは、多くの印刷ジョブが頻繁に使う給紙カセットであることが多い。従って、たまたま今回の印刷ジョブで必要になった使用頻度の少ない用紙サイズや用紙タイプの用紙を、その頻繁に使う給紙カセットに装填すると、その後の印刷ジョブで再度、その給紙カセットの用紙を交換する必要が生じる可能性が高い。これにより、全体として用紙交換の作業が増えてしまうことになる。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0008】
本発明の特徴は、印刷ジョブで指定されたシート収容部に該当するシートが無い場合、そのグループ内で、シートを交換或いは収容する最適なシート収納部をユーザに確実に提示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷システムは以下のような構成を備える。即ち、
複数のシート収納部を有し、当該シート収納部から印刷プロセス部へシートを給紙して印刷する印刷システムであって、
前記複数のシート収納部をグループ化するシート収納部グループ化手段と、
印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容している場合は、当該シート収納部から給紙したシートに画像を印刷する第1印刷制御手段と、
前記印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合、当該シート収納部が属するグループ内の前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部から給紙したシートに画像を印刷する第2印刷制御手段と、
前記印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合であって、かつ当該シート収納部が属するグループに、前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部がない場合、当該グループ内で前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容可能なシート収納部をユーザに提示する提示手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷ジョブで指定されたシート収容部に該当するシートが無い場合、そのグループ内で、シートを交換或いは収容する最適なシート収納部をユーザに確実に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るプリンタ制御システムの構成例を示すブロック図。
【図2】実施形態に係るプリンタの機能ブロック図。
【図3】給紙カセットグループ化設定部で使用する画面表示の例を示す図。
【図4】用紙交換方法ガイダンス生成部が生成するガイダンス情報の表示例を示す図。
【図5】実施形態に係るプリンタによる用紙交換方法のガイダンス表示処理を説明するフローチャート。
【図6】図5のS501の用紙サイズ・用紙タイプ検索処理を説明するフローチャート。
【図7】図5のS506の用紙サイズ・用紙タイプ変更ガイダンス生成処理を説明するフローチャート。
【図8】図7のS701の用紙サイズ・用紙タイプ切り替え推奨カセット検索処理を説明するフローチャート。
【図9】図7のS702の他グループのカセットガイダンス生成処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。本実施形態では、印刷システムの一実施形態としての、プリンタ制御システムについて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るプリンタ制御システムの構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、クライアントPC120は、ネットワークI/F部106を通じて印刷ジョブをプリンタ100に投入する。またプリンタ100の状態変化の通知や、印刷ジョブの進捗状況をネットワークI/F部106を通じて受け取る。プリンタ100は、プリンタ100を制御するためのメインコントローラ112と印刷部110とを具備している。ここでは図示しないが、印刷部110は印刷機構や、センサなどの機械部品と、それを制御するための電気回路、それにソフトウエアを備えている。
【0015】
印刷部110とメインコントローラ112は、印刷部I/F107によって接続されていて、画像形成のためのビデオ信号送信や用紙残量などのセンサ値の読み出しが可能である。CPU10101はメインコントローラ112の中心となる部分であり、プログラムROM104に格納された制御プログラムに従ってRAM102にデータ読み書きをしながら印刷部110を制御することで印刷動作を実現する。またメインコントローラ112には、文字を表現するためのフォント103や固定値を保管するためのデータROM105も装備されている。画像データ等の大容量データの保管には、外部メモリ109が用いられる。また外部メモリ109には、図示しないオプションのソフトウエア等も格納される。操作部108はプリンタ100がオペレータからの指示を受け付けるための入力キーや、プリンタ100の状態を表示するための表示部等を備えている。
【0016】
図2は、実施形態に係るプリンタ100の機能構成を示すブロック図である。
【0017】
給紙収納部201と印刷プロセス部205は、印刷部110に含まれるハードウェア部である。給紙収納部201は、具体的には、用紙(シート)を格納した給紙カセット(シート収納部)を複数備えている。プリンタ100は複数の給紙カセットを具備し、大量の用紙を保管することが可能であり、印刷動作を停止せずに大量の用紙に印刷が可能である。各給紙カセットは用紙残量センサを持ち、その給紙カセットの用紙切れや用紙残量を検知できる。この用紙残量センサは、反射型センサによって用紙の高さを側面から検知するものや、給紙のために用紙束を上昇させるトレイの移動量を計測するものなど複数のタイプがある。印刷プロセス部205は、メインコントローラ112のジョブ制御部207が指定する給紙収納部201の給紙カセットから供給された用紙に、例えば電子写真プロセス等により画像を生成する。印刷プロセス部205とジョブ制御部207は、メインコントローラ112の重要な構成機能ではあるが本発明には直接関係しないため、詳細については説明しない。
【0018】
給紙カセットグループ化設定部(シート収納部グループ化設定)202、グループ内給紙切り替え制御部203は、プログラムROM104に保存されたソフトウエアとCPU101により実現される。これらのソフトウエアは、操作部108の表示部108aに画像を表示することでオペレータに情報を伝える。またプリンタ100は、操作部108のキーを利用してオペレータからの入力を受け付ける。給紙カセットグループ化設定部202は、具体的には給紙グループを作成する機能で、後述する図3で示されるユーザインタフェース画面を使って、給紙収納部201内の給紙カセットをグループ化する。グループ内給紙切り替え制御部203は、給紙収納部201に格納されている用紙の情報と給紙カセットグループ化設定部202の情報とを基に、利用中の給紙カセットが紙無しになった場合、グループ内のどの給紙カセットからシートを供給すべきかを決定する。
【0019】
用紙交換(シート交換)ガイダンス生成部204、用紙交換(シート交換)条件設定保持部209、給紙履歴記憶部210もプログラムROM104に保存されたソフトウエアとCPU101、及び外部メモリ109等により実現される。メインコントローラ112は、給紙収納部201の給紙カセットから用紙を給紙するたびに給紙履歴を外部メモリ109(給紙履歴記憶部210)に記憶する。また、用紙交換条件設定保持部209は、操作部108によってオペレータから入力された条件を外部メモリ109に記憶する。これら記憶された情報を基に、用紙交換方法ガイダンス生成部204は、図4(A)のような画面を操作部108の表示部に表示するための用紙交換方法に関するガイダンスを作成する。その内容は、給紙カセットにどの用紙サイズがどれ位確認されているのか、給紙カセットグループ分けの情報、用紙を交換すべき給紙カセットの指示等である。
【0020】
図4(A)は、グループ化された給紙カセットで、どの給紙カセットにどの用紙サイズの用紙がどれ位収容されているかを図示した例を示している。ここでは、A4サイズとA3サイズの普通紙に印刷する場合を示している。グループ1の給紙カセット2にA4サイズの普通紙が収容されており、この給紙カセット2がA3サイズの用紙を収容する給紙カセットとして推奨されている。ここでグループ1の給紙カセット1は、図3で説明するように、他の印刷ジョブでも優先的に使用される給紙カセットであるため、その用紙種類や用紙サイズの変更は禁止されている。またA3サイズの普通紙はグループ3の給紙カセット8に収容されているが、その給紙カセット8は他のグループに属しているため、その給紙カセット8は利用できないことが表示されている。
【0021】
図3は、給紙カセットグループ化設定部202で使用する画面表示の例を示す図である。
【0022】
複数の給紙カセットを持つプリンタにおいて、複数の給紙カセットをグループ化することにより、大容量の給紙カセットとして利用できるようにしている。即ち、あるグループ内の一つの給紙カセットが空になったり、その給紙カセットに格納されていない用紙が印刷ジョブで要求された場合は、そのグループ内の他の給紙カセットの用紙を利用する。これにより、プリンタによる印刷処理を止めることなく連続して印刷を行うことができる。
【0023】
グループ化設定画面は操作部108の表示部108aに表示され、項目の選択は操作部108のタッチパネルからの入力によって行われる。
【0024】
まず画面左側には、給紙収納部201の具体例である給紙カセットの一覧が表示される。各給紙カセットの用紙残量がアイコンとして表示され、その用紙サイズ及び用紙タイプが文字で表示される。また各給紙カセットの横には、シート交換の可否を指示するチェックボックスとプルダウン選択肢が用意されている。チェックボックスにチェックマークがなければシート交換可能で、チェックマークが入ると用紙変更禁止の意味となり、用紙検索部203が用紙交換候補とする給紙カセットから除外される。また右端のプルダウンリストは、各給紙カセットをどのグループに所属させるかを指定するためのものである。ここで指定したグループ番号によって、全ての給紙カセットはグループ分けされる。
【0025】
図3の例では、給紙カセット1〜3がグループ1に、給紙カセット4,5がグループ2に、そして給紙カセット6〜8がグループ3に、それぞれグループ化されている。また各グループの一番目の給紙カセット(給紙カセット1,4,7)に対しては、チェックボックスがチェックされて用紙変更の禁止が設定されている。
【0026】
クライアントPC120から投入される印刷ジョブは、その印刷ジョブが使用する給紙カセットを指定する。そして、その指定された給紙カセットの用紙を使いきってしまった場合や、その給紙カセットに入っていないサイズ或いはタイプの用紙が必要になったときには、その給紙カセットと同一グループ内の給紙カセットに所望の用紙が無いか検索する。そして、そのグループ内に必要な用紙が見つかった場合には、プリンタ100はその給紙カセットの用紙を利用して印刷ジョブを続行する。
【0027】
印刷ジョブに必要な用紙が無かった場合のプリンタ100の動作を説明したのが前述の図4(A)である。図4(A)は、用紙交換方法ガイダンス生成部204が生成するガイダンス情報を、操作部108の表示部108aに表示した用紙交換ガイダンス画面の例を示す図である。
【0028】
この例では、給紙カセット1から給紙カセット8まで8つの給紙カセットが表示されている。ここでは図3に対応して、給紙カセット1〜3がグループ1、給紙カセット4〜5がグループ2、カセット6〜8がグループ3に分類されている。この例では、印刷ジョブがA4サイズとA3サイズのサイズ混在ジョブであり、グループ1にA3サイズの用紙が無いために紙無しエラーが発生している。このジョブは紙の給紙元にグループ1を利用するように要求している。
【0029】
図4(A)の表示を参考にすることにより、オペレータは迷うことなく指定されたカセット2の用紙サイズを変更して対処することができる。
【0030】
図4(B)は、給紙グループ化設定部202において、グループ内の全ての給紙カセットの用紙交換が禁止されていた場合の用紙交換ガイダンス画面の例を示す図である。
【0031】
画面上部のガイダンス以外は図4(A)と同じなので説明は割愛する。ここではグループ1の全ての給紙カセットが用紙交換禁止になっているため、ジョブが指定しているグループ1内のいずれかの給紙カセットの用紙をA3サイズに交換する様に説明している。この例では、プリンタ100はグループ1の給紙カセットを全てA4サイズで利用するジョブを受けることが多いと考えられる。従って、メインコントローラ112は、実行中のA3サイズを使用した印刷ジョブが終了した時に、その変更した給紙カセットに元のA4サイズの用紙に戻すメッセージを表示する。これにより、今後のA4サイズの印刷ジョブが、グループ1の全ての給紙カセットを利用して実行できるようになる。
【0032】
次に、本実施形態に係るメインコントローラ112による用紙交換方法のガイダンス表示処理の手順を図5のフローチャートを用いて説明する。尚、このフローに係るメインコントローラ112のプログラムは、メインコントローラ112内のプログラムROM104または外部メモリ109(具体的にはハードディスク)に保存されており、RAM102に読み出されCPU101によって実行される。
【0033】
図5は、実施形態に係るプリンタ100による用紙交換方法のガイダンス表示処理を説明するフローチャートである。尚、この処理は、メインコントローラ112が印刷ジョブを処理中に、その印刷ジョブで指定された給紙カセットに必要な用紙がない状況で開始される。この処理は、プログラムROM104に格納され、RAM102に展開されたプログラムをCPU101が実行することにより達成される。
【0034】
ここでは印刷ジョブで指定された給紙カセットに、指定された用紙サイズ・用紙タイプの用紙が収容されていると、その給紙カセットから給紙した用紙(シート)に印刷を行う(第1印刷制御)。そして、その印刷ジョブにより指定された給紙カセットが、その印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合、そのグループ内で、印刷ジョブで指定された用紙サイズ及び用紙タイプのシートを収容する給紙カセットを判定する。そして、その判定した給紙カセットから給紙したシートに画像を印刷する(第2印刷制御)することを前提としている。
【0035】
まずS501で、メインコントローラ112は、印刷ジョブが必要としている用紙サイズ・用紙タイプの用紙を格納できる給紙カセットが、現在選択しているグループ内にあるかどうかを探す。この用紙サイズ・用紙タイプ検索処理の詳細を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
図6は、図5のS501の用紙サイズ・用紙タイプ検索処理を説明するフローチャートである。
【0037】
メインコントローラ112は、S601で、処理に先立って切り替え候補の給紙カセットを通知するためのリストを初期化する。そしてS602に進み、その印刷ジョブが要求する用紙サイズ・用紙タイプを格納できる給紙カセットが、現在選択しているグループ内にあるかどうかを、グループ内の全ての給紙カセットについて判定する。全ての給紙カセットのチェックが完了していないときはS603に進み、メインコントローラ112は、給紙カセットの属性である用紙サイズ・用紙タイプを、そのグループの給紙カセットから読み出す。ここで用紙サイズは、用紙ガイドの位置によって自動で検出されるか、あるいは操作部108を使ってオペレータが入力しても良い。また用紙タイプは自動検知できないので、オペレータが操作部108から入力する。次にS604に進み、メインコントローラ112は、印刷ジョブが要求している用紙サイズ・用紙タイプが対象の給紙カセットの属性と一致するかどうかを判断する。一致していればS605に進み、その発見した給紙カセットの番号を切り替え候補カセットリストに記憶してS606に進み。S604で一致していないと判定するとS606に進み、メインコントローラ112は、チェック対象の給紙カセットを次の給紙カセットに変更する。こうしてS602で、全ての給紙カセットのチェックが終了すると、切り替え候補カセットリストを、呼び出し元に通知して、この検索処理を終了する。
【0038】
これにより図5に戻り、S502では、その切り替え候補カセットリストを参照して、用紙サイズ・用紙タイプが一致する給紙カセットが、現在のグループ内にあるかどうかを判定する。ここでメインコントローラ112が、一致する給紙カセットがあると判定した場合はS503に進み、その給紙カセットに用紙が残っているかどうかを判定する。ここで用紙が残っている場合はS505に進み、利用する給紙カセットを、その給紙カセットに切り替えてジョブを続行する。
【0039】
一方、S503で、その給紙カセットに用紙が入っていないと判定した場合はS504に進み、給紙カセットに用紙を補充するように操作部108の表示部108aにメッセージを表示する。こうして、その給紙カセットに、必要な用紙が補充されるとメインコントローラ112は中断されていた印刷ジョブを続行する。
【0040】
またS502で、用紙サイズ・用紙タイプが一致する給紙カセットが、現在のグループ内にないときはS506に進み、いずれかの給紙カセットの用紙サイズ・用紙タイプを変更するようにオペレータに通知をしなくてはならない。このため、メインコントローラ112は、印刷ジョブに必要な用紙サイズ・用紙タイプをどの給紙カセットに入れるべきかのガイダンスを生成する。この生成処理の詳細を図7のフローチャートを参照して後述する。続いてS507に進み、S506の処理で得られたガイダンスを操作部108の表示部108aに表示して、指定されたサイズ及びタイプのシートを収容可能なシート収納部をユーザに提示する。
【0041】
図7は、図5のS506の用紙サイズ・用紙タイプ変更ガイダンス生成処理を説明するフローチャートである。
【0042】
このガイダンス生成処理は大きく2つに分かれていて、まずS701で、用紙サイズ・用紙タイプ切り替え推奨カセット検索処理を行う。この詳細は後ほど図8で説明する。通常はクライアントコンピュータ300から指定された給紙カセットの用紙交換をするようにガイダンスが表示される。しかし、そのような指定された給紙カセットは頻繁に使用されることが多いため、その給紙カセットの用紙サイズ・用紙タイプを変更することは好ましくない。これは他のジョブが投入された場合に、再度、その給紙カセットの用紙サイズ等の変更が生じる可能性が高いため、装置全体としての生産性が低下する恐れがあるためである。
【0043】
次にS702に進み、他グループのカセットガイダンス生成処理を行う。この処理の詳細は後ほど図9で説明する。用紙段グループを利用した印刷ジョブでは、同一グループ内だけで用紙の選択が行われる。その印刷ジョブが必要な用紙が他のグループに格納されていた場合に、プリンタ100の判断内容をガイダンスとして提示することで、プリンタ100のオペレータが混乱することなく操作を行うことができる。
【0044】
図8は、図7のS701の用紙サイズ・用紙タイプ切り替え推奨カセット検索処理を説明するフローチャートである。
【0045】
ここで、用紙サイズ・用紙タイプを切り替えるのは、使用頻度が少ない給紙カセットの方が好ましい。従って、まず最初にS801で、用紙の給紙頻度を利用して給紙カセットの検索の順番を並べ替える。ことのき、メインコントローラ112は内部に給紙段・サイズ・枚数を記憶する給紙履歴記憶部210(図2)を有しているので、これを利用する。そしてS802で、給紙収容部の全ての給紙カセットをチェックしたかどうかを判定し、全ての給紙カセットのチェックが終了していないときはS803に進む。S803では、先に説明した給紙カセット化設定部202によって、該当給紙カセットの用紙変更が禁止されているかどうかを判断する。ここで変更が禁止されていないと判定するとS806に進み、検索を中断して、該当給紙カセットの用紙を変更するようガイダンスを生成して、この処理を終了する。
【0046】
一方、S803で、その給紙カセットの用紙サイズや用紙タイプの変更が禁止されていると判定した場合はS804に進み、この給紙カセットは用紙交換禁止である旨を説明する表示用のガイダンスを追加する。そして、S805に進み、次の給紙カセットを検索対象にしてS802に進む。
【0047】
こうしてS802で、そのグループ内の全ての給紙カセットのチェックが完了すると、このグループには、この印刷ジョブで使用できる用紙をセットできる給紙カセットがないことになる。この場合はS807に進み、このグループには、この印刷ジョブで使用できる用紙をセットできる給紙カセットがない旨を表示する。この場合ユーザは、そのグループ内のいずれかの給紙カセットの用紙を、その印刷ジョブで指定されている用紙サイズ或いは用紙タイプに変更して印刷ジョブを継続させる。この際、この印刷ジョブが終了した後、その給紙カセット内の用紙を、管理者が設定した元の用紙サイズ・用紙タイプに戻すように促すメッセージを生成する。図中のガイダンス文字列に用いている「%d」には給紙カセットの番号が入る。また「%s」には、用紙サイズ名・用紙タイプ名が入る。
【0048】
尚、S803の判断で、給紙カセットグループ化設定部202で指定された用紙変更禁止/許可の設定値を利用したが、他の条件を利用することも可能である。例えば、メインコントローラ112の内部にスプールされている印刷ジョブが、その給紙カセットを利用することが予め解っている場合は、その給紙カセットを利用禁止にすることが考えられる。
【0049】
図9は、図7のS702の他グループのカセットガイダンス生成処理を説明するフローチャートである。この検索処理は、プリンタ100が持つ全ての給紙カセットに対して行われる。
【0050】
まずS901で、プリンタ100が持つ全ての給紙カセットに対するチェックが完了したかをみる。完了していないときはS902に進み、メインコントローラ112は、検査対象としている給紙カセットが、印刷ジョブが指定している給紙カセットと同じグループに属しているかどうかを判定する。同じグループに対するガイダンスは、既に図8で説明した切り替え推奨カセット検索処理で済んでいるのでS905に進むが、ここでは他のグループに所属する給紙カセットのみ対象とするのでS903に進む。
【0051】
S903では、その印刷ジョブが要求している用紙サイズ・用紙タイプと同じものが設定されている給紙カセットがあるか否かを判定する。もし同じものが設定されている給紙カセットがあればS904に進み、グループが異なるために、その給紙カセットを利用できないことを説明するガイダンスを生成してS905に進む。S903で、もし同じものが設定されている給紙カセットがなければS905に進む。S905では、対象を次の給紙カセットにしてS901に進み、検索を続ける。
【0052】
本実施形態では、複数の給紙カセットを前提に説明を行った。しかし、全ての給紙カセットを一つのグループとして扱ってもその効果は変わらない。
【0053】
また、本実施形態では、操作部を液晶表示部とタッチパネルを使って説明をしたが、その技術に限定されるものではない。例えば、ネットワークを経由してWebユーザインタフェースを利用してもその効果は変わらない。
【0054】
(その他の実施例)
また本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート収納部を有し、当該シート収納部から印刷プロセス部へシートを給紙して印刷する印刷システムであって、
前記複数のシート収納部をグループ化するシート収納部グループ化手段と、
印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容している場合は、当該シート収納部から給紙したシートに画像を印刷する第1印刷制御手段と、
前記印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合、当該シート収納部が属するグループ内の前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部から給紙したシートに画像を印刷する第2印刷制御手段と、
前記印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合であって、かつ当該シート収納部が属するグループに、前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部がない場合、当該グループ内で前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容可能なシート収納部をユーザに提示する提示手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記複数のシート収納部のそれぞれに対してシート交換の可否を指定する用紙交換条件設定手段を更に有し、前記提示手段は、シート交換可能に設定された前記シート収納部をユーザに提示することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記複数のシート収納部のそれぞれの給紙履歴を記憶する給紙履歴記憶手段を更に有し、前記提示手段は、給紙頻度の低いシート収納部から優先的に前記シートを収容可能なシート収納部として提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記複数のシート収納部のそれぞれに対してシート交換の可否を指定する用紙交換条件設定手段を更に有し、前記提示手段は、シート交換が否に設定されていたシート収納部を、シートを収容可能なシート収納部として提示した場合、前記印刷ジョブを終了した後にシートの交換を行った当該シート収納部のシートを基に戻すことを促すメッセージをユーザに提示することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
複数のシート収納部を有し、当該シート収納部から印刷プロセス部へシートを給紙して印刷する印刷システムを制御する制御方法であって、
前記複数のシート収納部をグループ化するシート収納部グループ化工程と、
印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容している場合は、当該シート収納部から給紙したシートに画像を印刷する第1印刷制御工程と、
前記印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合、当該シート収納部が属するグループ内の前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部から給紙したシートに画像を印刷する第2印刷制御工程と、
前記印刷ジョブにより指定されたシート収納部が、当該印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容していない場合であって、かつ当該シート収納部が属するグループに、前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容するシート収納部がない場合、当該グループ内で前記印刷ジョブで指定されたサイズ及びタイプのシートを収容可能なシート収納部をユーザに提示する提示工程と、
を有することを特徴とする印刷システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86966(P2013−86966A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232117(P2011−232117)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】