説明

印刷システム

【課題】紙文書の情報漏洩抑止を図ることができる印刷システムを提供する。
【解決手段】ネットワーク105に接続された、文書作成クライアント100、認証サーバ101、SMTPサーバ102、プリンタ103及び複合機104で印刷システムが構成される。文書作成クライアント100のプリンタドライバ320は、メタデータ生成部321を内包し、このメタデータ生成部321に対して文書作成者は埋め込む情報を設定することができる。複合機104は、メタデータを解析するメタデータ解析部711を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関し、詳しくは、プリンタ、複写装置などの画像形成装置から出力される紙媒体上の文書の情報の漏洩を抑止する機能を有する印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の情報漏洩事件とは比べものにならないほど大規模な情報漏洩事件、例えば企業の顧客情報などの機密情報が漏洩する情報漏洩事件が頻発している。一度情報漏洩事件が公になると、情報漏洩を起した企業は、信用を失うことに加え、損害賠償や対応に莫大な出費を強いられることになる。そのため、より適切な情報漏洩対策が情報を管理する側に求められている。
【0003】
このような大規模な情報漏洩事件の背景には、情報のデジタル化、ネットワーク化、モバイル化が進展したことに伴い、一度に大量の情報にアクセスすることが可能になると共に、情報の可搬性が飛躍的に向上したことなどがあり、今後もこれらの傾向は加速していくことは必至である。
【0004】
従来、情報漏洩対策として広く用いられている技術として、機密情報又はこれを格納するストレージサーバなどにアクセス権を設定することで機密情報にアクセスできる人を限定する方法がある。
【0005】
しかしながら、近年の情報漏洩事件は、機密情報へのアクセスを許可された人物の意図的な内部犯行が圧倒的に多い傾向にあり、もはやアクセス権を設定することによる情報漏洩抑止効果だけでは充分な情報漏洩対策とは言えない。
【0006】
一方、漏洩から守るべき情報として、大企業の顧客情報に代表されるような量的に膨大な情報のみではなく、情報量は少ないが質的に重要な情報も考慮に入れる必要がある。このような情報は、印刷物として容易に持ち出すことが可能であり、印刷についても情報漏洩抑止を意識した対策が望まれている。
【0007】
また、大量の電子文書を管理するために各種の電子文書管理ソフトウェアが用いられている。この種の文書管理ソフトウェアの中にはセキュリティ的な側面を強化し、情報漏洩を抑止するための様々な機能が盛り込まれている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
例えば、ドキュメント作成者が受信者のアクセスレベル(文書の印刷、画像やテキストの複写、ページの追加、削除などの許可又は禁止)を指定し権限を割り当てることなどができるものがある。情報漏洩抑止という観点からすると、印刷や複写は重要な文書に対する操作でありこれらを抑止できることは非常に意味のある機能であるといえる。
【特許文献1】特開2003−345789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した各種の文書管理ソフトウェアが対象とする文書は電子文書であり、紙媒体上で表現された文書に対するセキュリティ管理については枠の外に置かれた状況にある。
【0010】
つまり、複写装置を使った複写や、該当紙文書をスキャンしてファクシミリ回線に送信したり、電子メールで送信したりすることによる情報流出の危険性にさらされていることを意味している。
【0011】
また、各種の印刷システムでは大量のデータを蓄積したりするあまり、大規模なソフトウェア・ハードウェア構成を伴うものが多く、導入・管理・維持のためのコストも大きくなっていることも、情報漏洩の抑止を阻害する一要因になりつつある。
【0012】
本発明の目的は、紙文書の情報漏洩抑止を図ることができる印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1記載の印刷システムは、文書作成装置と画像形成装置とがネットワーク接続され、前記文書作成装置は、紙面上にメタデータを生成するメタデータ生成手段を有し、前記画像形成装置は、前記メタデータを解析するメタデータ解析手段と、複写又は送信動作が行われた場合に、前記メタデータに含まれる通知手段用データに基づき指定された宛先にその旨通知する通知手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、文書作成装置は、紙面上にメタデータを生成するメタデータ生成手段を有し、画像形成装置は、前記メタデータを解析するメタデータ解析手段と、複写又は送信動作が行われた場合に、前記メタデータに含まれる通知手段用データに基づき指定された宛先にその旨通知する通知手段とを有することで、画像形成装置における複写又は送信動作をユーザーが知ることができ、その結果、紙文書の情報漏洩抑止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成を概略的に示す図である。
【0017】
図1において、本印刷システムは、ネットワーク105に接続された、文書作成クライアント100、認証サーバ101、SMTPサーバ102、プリンタ103及び複合機104で構成される。
【0018】
認証サーバ101はアクティブデイレクトリなどを用いてユーザー認証を行う。SMTPサーバ102は電子メールなどを送信する。プリンタ103はオリジナル紙文書を作成する。複合機104は、複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能の少なくとも複数の機能を併せ持ち、オリジナル紙文書を複写し、ファクシミリ送信し、メール送信する。
【0019】
文書作成クライアント100とプリンタ103は他のネットワーク上に存在していても構わない。図1では、画像形成装置として、プリンタ103と複合機104がネットワーク105に接続されているが、画像形成装置として、複写装置、ファクシミリ装置、スキャナ装置など独立した機器を設けてもよい。
【0020】
また、認証サーバ101及びSMTPサーバ102は必須の構成ではなく、更に、複合機104にプリンタ機能がある場合は、プリンタ103を設けなくてもよい。
【0021】
図2は、図1の印刷システムによって実行される印刷手順を示すフローチャートである。
【0022】
まず、文書作成者が文書作成クライアント100から該当文書が複写/送信された場合に通知を受ける通知先情報を含んだ文書を印刷する(ステップS210)。複合機104は、出力された紙文書を複写、ファクシシミリ送信、メール送信する(ステップS220)。また、複合機104は、予め文書に埋め込まれていた通知先に所定の手段を用いて、紙文書が複写/送信されたことを通知する(ステップS230)。
【0023】
尚、紙文書に埋め込む情報としては、通知先以外にも、複合機104で紙文書の印刷・送信操作を検知した場合に取る動作の情報もある。また、認証サーバ101を用いて印刷・送信操作を実施したユーザーを特定し、ユーザー毎に複写・送信時の挙動を記述した情報もある。更には、通知を行う手段も、電子メールやネットワークメッセージなど運用される環境に適したものを用いることができる。
【0024】
次にオリジナル文書の作成(印刷)について説明する。
【0025】
オリジナル文書は文書作成クライアント100で文書作成者によって作成される。文書作成クライアント100は、パーソナルコンピュータなどの情報機器であり、この機器を構成する各種ハードウェアで構成され、機器を操作するための各種ソフトウェアやオペレーティングシステムが搭載され適切に動作しているものとする。
【0026】
図3は、図1における文書作成クライアントの内部構成を概略的に示す図である。
【0027】
図3において、文書作成クライアント100は、オリジナル文書を印刷するための印刷アプリケーション310と、文書を、指定されたプリンタ103又は複合機104に出力するためのプリンタドライバ320とが動作する。文書の作成者は印刷アプリケーション310から該当の電子文書を開き印刷を実行することができる。
【0028】
プリンタドライバ320は、メタデータ生成部321を内包し、このメタデータ生成部321に対して文書作成者は埋め込む情報を設定することができる。埋め込む情報の例については後述する。プリンタドライバ320は、このメタデータ生成部321が生成したメタデータを、印刷データの一部として埋め込む、指定されたプリンタ103又は複合機104へ送信する役目を果たす。
【0029】
尚、メタデータ生成部321は、プリンタドライバ320に含まれるような形態を想定するが、これは予めプリンタドライバ320の機能として搭載されても、又はプリンタドライバ320へプラグインする形態であっても構わない。
【0030】
また、本実施の形態とは違って、印刷アプリケーション310がメタデータ生成機能を持ち合わせても構わない。但し、その場合本発明を適用する文書はこのメタデータ生成機能を持った印刷アプリケーションに限定されることになる。
【0031】
図4は、図3におけるメタデータ生成部で生成されたメタデータが埋め込まれた文書の例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、プリンタドライバ320のメタデータ生成部321が生成するメタデータ400は、印刷紙面上に、可視的であるが一見すると不可読な二次元シンボルコードの形で埋め込むものとして以降説明する。尚、透かしなどの不可視なもの、又は、単にテキストで表現された可読性のあるものであっても構わない。
【0033】
次に埋め込むメタデータの内容について説明する。
【0034】
図5は、図4におけるメタデータの内容を示す図、図6は、図5のメタデータの内容を詳細に示す図である。
【0035】
図6は、以下、図5で説明するメタデータ内に埋め込まれる通知手段512、通知手段用データ513、通知モード514、通知モード用データ515、動作モード517、動作モード用データ518の内容を詳細に示すものである。
【0036】
図5に示す各項目は、メタデータ生成部321が、QRコードに代表されるような二次元シンボルコードの形態に生成するか、そのまま、あるいは暗号化して生成する。
【0037】
図5において、文書名510は、該当文書を文書作成者が認識しやすくするための名称であり、該当文書が複合機104で複写・送信された場合に通知される文面に含まれる。一般には印刷ジョブの名称などを割り当ててもよい。
【0038】
文書作成日時511は、この文書にメタデータ400が埋め込まれた日時刻、即ち、文書作成者がオリジナル文書の印刷を指示した日時刻を表す。この文書作成日時511も先の文書名510と合わせて複合機104で複写・送信された場合に通知される文面に含めることで、より文書作成者が該当文書を特定しやすくするために用いられる。
【0039】
通知手段512は、該当文書が複合機104で複写・送信された場合に通知する手段を示すものであり、図6(a)にその詳細を示す。
【0040】
通知手段512として、該当文書が複写・送信された時刻に文書作成者がどこにいても電子メールの受信手段を持ち合わせていれば知ることが可能な電子メールが挙げられる。また、通知手段51として、電子メールの受信手段が無くとも該当文書を複写・送信したネットワーク上の端末にログインしている場合に通知を受けることができるネットワークメッセージが挙げられる。しかし、本発明はこの通知手段に限定されるものではない。
【0041】
通知手段用データ513は、通知手段512で用いる通知先を具体的に記載したデータであり、通知手段512が電子メールの場合は作成者の電子メールアドレスである。また、通知手段用データ513は、通知手段512がネットワークメッセージの場合は通知を受けるネットワーク上のユーザー名だったり、コンピュータ名だったりする。
【0042】
通知モード514は通知を行う又は行わないモードを記載する。図6(b)に示す4つのモードを指定可能とする。
【0043】
常に通知:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行った場合であっても、常に通知手段512で示された方法で通知手段用データ513の宛先に通知を行うモードである。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を必要としないモードでもある。
【0044】
通知ユーザー/グループを特定:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行ったかによって通知する・しない何れかの動作を行うモードである。このモードが指定された場合、複合機104で複写・送信操作を行ったユーザーが次に説明する通知モード用データ515に記載されているユーザー又はグループに属するユーザーの場合に限り、以下の動作を行う。即ち、通知手段512で示された方法で通知手段用データ513の宛先に通知を行い、それ以外のユーザーの場合通知は行わないようにする。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を前提とするモードでもある。
【0045】
非通知ユーザー/グループを特定:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行ったかによって通知する・しない何れかの動作を行うモードである。このモードが指定された場合、複合機104上で複写・送信操作を行ったユーザーが次に説明する通知モード用データ515に記載されているユーザー又はグループに属するユーザーの場合に限り、通知を行わない。それ以外のユーザーの場合、通知手段512で示された方法で通知手段用データ513の宛先に通知を行う。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を前提とするモードでもある。
【0046】
常に非通知:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行った場合であっても、通知を行わないモードである。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を必要としないモードでもある。
【0047】
通知モード用データ515は、上述した通知モードが通知ユーザー/グループを特定するか、非通知ユーザー/グループを特定するモードになっている場合に使われるデータであり、それぞれ通知又は非通知を行うユーザー又はユーザーグループが記載されている。
【0048】
認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証がアクティブデイレクトリなどを用いて行われ、この認証機構上でのユーザー又はユーザーグループがこのデータとして記載されることになる。このデータを含んだメタデータ400を作成するメタデータ生成部321は認証サーバ101を使ってユーザー、ユーザーグループを特定する。
【0049】
通知モード有効期限516は通知モード514の動作の有効期限を記載する。この期限を過ぎると通知モード514で指定された動作は無効になりデフォルト(常の非通知)となる。
【0050】
動作モード517は、該当文書が複写・送信されようとした場合の複合機104の動作(複写・送信動作を継続するか停止するか)を記述する。図6(c)に示す4つのモードを指定可能とする。
【0051】
常に停止:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行った場合であっても、常に複写・送信動作を停止するモードである。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を必要としないモードでもある。
【0052】
停止するユーザー/グループを特定:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行ったかによって動作を停止したり継続したりするモードである。このモードが指定された場合、複合機104で複写・送信操作を行ったユーザーが次に説明する動作モード用データ518に記載されているユーザー又はグループに属するユーザーの場合に限り、複写・送信操作を停止する。それ以外のユーザーの場合動作は継続する。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を前提とするモードでもある。
【0053】
継続ユーザー/グループを特定:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行ったかによって動作を停止したり継続したりするモードである。このモードが指定された場合、複合機104で複写・送信操作を行ったユーザーが次に説明する動作モード用データ518に記載されているユーザー又はグループに属するユーザーの場合に限り、複写・送信動作を継続する。それ以外のユーザーの場合動作は停止する。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を前提とするモードでもある。
【0054】
常に継続:このモードは誰が複合機104で複写・送信操作を行った場合であっても、常に複写・送信動作を継続するモードである。認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証を必要としないモードでもある。
【0055】
動作モード用データ518は、上記動作モードが停止するユーザー/グループを特定、または継続ユーザー/グループを特定するモードになっている場合に使われるデータであり、それぞれ動作停止又は継続を行うユーザー又はユーザーグループが記載されている。
【0056】
認証サーバ101や複合機104でのユーザー認証がアクティブデイレクトリなどを用いて行われ、この認証機構上でのユーザー又はユーザーグループがこのデータとして記載されることになる。このデータを含んだメタデータ400を作成するメタデータ生成部321は認証サーバ101を使ってユーザー、ユーザーグループを特定する。
【0057】
動作モード有効期限519は、動作モード517の動作の有効期限を記載する。この期限を過ぎると動作モード517で指定された動作は無効になりデフォルト(常の継続)となる。
【0058】
以上が埋め込むメタデータ情報に対する説明であるが、これらの情報全てをメタデータ400に埋め込んでもよいし、一部、例えば文書名510、文書作成日時511、通知手段512、通知手段用データ513のみの埋め込みでも構わない。
【0059】
次にメタデータ400が埋め込まれた文書を複合機104で、複写又はファクシミリ送信、更にはスキャンした該当文書を電子メールに添付するドキュメントとして送信する場合の動作について述べる。
【0060】
図7は、図1における複合機の内部構成を概略的に示す図である。
【0061】
図7において、複合機104は、原稿読み取り部710、印刷部720、送信部730及び認証部740を備える。
【0062】
原稿読み取り部710は、原稿台や給紙ユニットに置かれた紙媒体の原稿を読み取る動作を行い、この原稿読み取り部710内部にメタデータ解析部711を含む。この原稿読み取り部710で読み取られた画像データは、複写動作の場合には印刷部720へ、ファクシミリ送信の場合には送信部730へ、電子メール送信の場合も送信部730へと渡される。
【0063】
印刷部720は、複写動作の場合に、原稿読み取り部710で読み取った画像データを紙面上に印刷する動作を行う。送信部730も同様に、原稿読み取り部710で読み取った画像データを受信し、ファクシミリ送信の場合にはファクシミリ送信用データに変換して電話回線にファクシミリデータとして送信する。また、送信部730は、電子メール送信の場合は、ネットワーク回線上のSMTPサーバ102へ電子メールの添付文書として送信する。
【0064】
認証部740は、本複合機104を使用するユーザーを認証する機能を果たし、認証サーバ101によって認証されたユーザーかどうかを判定し、ユーザーに対して機器の操作に対する許可・不許可を制御する。
【0065】
尚、以降の説明では複合機104で該当文書を複写・送信しようとするユーザーは、この認証部740によって既に本複合機104の複写・送信機能を使用することが許可されたユーザーであるとして説明を続ける。
【0066】
図8は、図7の複合機によって実行される処理動作の手順を示すフローチャートである。
【0067】
図8において、まず、複合機104上で認証部740を介して機器の使用を許可されたユーザーは、複写、ファクシミリ送信、電子メール送信などの機能を選択した後に、メタデータ400が埋め込まれた該当文書を原稿台や給紙ユニットにセットし動作の開始を指示する。
【0068】
動作の開始が指示されると、原稿読み取り部710は原稿読み取り処理を開始する(ステップS110)。この動作と連動してメタデータ解析部711が動作を開始する。メタデータ解析部711は、メタデータ検知のために原稿読み取り部710が読み取った画像データの解析を行う(ステップS120)。
【0069】
メタデータ解析部711がメタデータ400を検知できなかった場合、ステップS160へ進み、ユーザーが望んだ複写、ファクシミリ送信、電子メール送信動作を継続するために、原稿読み取り部710は印刷部720や送信部730へ適切に指示を行う。尚、これらの動作は公知のプロセスを用いて処理されるものである。
【0070】
メタデータ解析部711が原稿読み取り部710から読み取った画像データにメタデータ400を検知した場合、メタデータ情報を詳細に読み取り、複合機104内で扱えるデータ形式で保持する(ステップS130)。尚、読み取りメタデータ400の内容は先に図5で説明した内容のものとする。
【0071】
読み取ったメタデータ400の内容に対する処理は動作モード、通知モードの順で行うことで先に動作を決定し、動作結果も含めて通知が行えるようにする。
【0072】
まず、メタデータ400内に記述された動作モード有効期限519を確認する(ステップS140)。現在日時刻と照らし合わせて、動作モード有効期限519外であれば、動作を継続するステップS161へ進み、期限内であれば次のステップS150へと進む。
【0073】
ステップS150は動作を継続するのか、停止するのかの判断を行うステップとなる。この処理フローの詳細を図9に示す。
【0074】
図9において、まず、動作モード517を読み込み(ステップS151)、読み取った動作モードの種別により処理を振り分ける。読み取った動作モード517が「常に動作」であれば(ステップS152でYes)動作を継続するステップS161へ、「常に停止」であれば(ステップS153でYes)動作を停止するステップS162へと進む。
【0075】
これ以外の動作モードの場合、動作モード用データ518を参照する必要があるため、ステップS154で動作モード用データ518を読み取っておく。その後、先に取得した動作モードが「継続限定(継続するユーザー/グループを特定)」か「停止限定(停止するユーザー/グループを特定)」で処理を分岐する(ステップS155)。
【0076】
動作モードが「継続限定」であれば、認証されて機器を操作しているユーザーが動作モード用データ518に記載されているユーザー又はユーザーグループに属しているかどうかを調べる(ステップS156)。属していれば動作を継続するステップS161へ進み、属していなければ動作を停止するステップS162へ進む。
【0077】
動作モードが「停止限定」であれば、認証されて機器を操作しているユーザーが動作モード用データ518に記載されているユーザー又はユーザーグループに属しているかどうかを調べる(ステップS157)。属していれば動作を停止するステップS162へ進み、属していなければ動作を継続するステップS161へ進む。
【0078】
図8に戻って、ステップS160、ステップS161、ステップS162はそれぞれ複合機104の動作を制御するステップとなる。ステップS160とステップS161は同じ処理となり、先に説明した通り、ユーザーが望んだ複写、ファクシミリ送信、電子メール送信動作を継続するために、原稿読み取り部710は印刷部720や送信部730へ適切に指示を行う。
【0079】
ステップS160で処理された場合、つまりステップS120でメタデータ400が検知できなかった場合にはその後、処理は終了する。ステップS161で処理された場合、つまりステップS140で動作モードの有効期限外と判断されるか、ステップS150で動作を停止する必要が無いと判断される場合には次のステップS170へ進む。
【0080】
また、ステップS162は、ユーザーが指定した複写、ファクシミリ送信、電子メール送信などの動作を停止する処理を行うことになる。それぞれの操作に対応した終了・中断処理を行うものとする。
【0081】
次に、通知モード514に関する処理を行う。まず、メタデータ400内に記述された通知モード有効期限516を確認する(ステップS170)。現在日時刻と照らし合わせて、通知モード有効期限516外であれば、通知処理は行わず終了し、期限内であれば次のステップS180へと進む。
【0082】
ステップS180は通知を行うのか、行わないのかの判断を行うステップとなる。この処理フローの詳細を図10に示す。
【0083】
図10において、通知モード514を読み込み(ステップS181)、読み取った通知モード540の種別により処理を振り分ける。
【0084】
読み取った通知モード514が「常に非通知」であれば(ステップS182でYes)通知処理は行わず終了し、「常に通知」であれば(ステップS183でYes)通知処理を行うステップS190へと進む。
【0085】
これ以外の通知モード514の場合、通知モード用データ515を参照する必要があるため、ステップS184で通知モード用データ515を読み取っておく。その後、先に取得した通知モード514が「非通知限定(非通知ユーザー/グループを特定)」か「通知限定(通知ユーザー/グループを特定)」で処理を分岐する(ステップS185)。
【0086】
通知モード514が「非通知限定」であれば、認証されて機器を操作しているユーザーが通知モード用データ515に記載さているユーザー又はユーザーグループに属しているかどうかを調べる(ステップS186)。属していれば通知処理は行わず終了し、属していなければ通知処理を行うステップS190へと進む。
【0087】
通知モード514が「通知限定」であれば、認証されて機器を操作しているユーザーが通知モード用データ515に記載されているユーザー又はユーザーグループに属しているかどうかを調べる(ステップS187)。属していれば通知処理を行うステップS190へと進み、属していなければ通知処理は行わず終了する。
【0088】
再度図8に戻り、ステップS180で通知処理を行う必要があると判断された場合、ステップS190で通知処理を行う。この通知処理では、メタデータ400に記載されている通知手段512を用いて、以下のように通知を行う。
【0089】
即ち、通知手段用データ513の宛先に対して、複写・送信されたか又はされようとした該当文書の文書名510やこの該当文書の作成時間を通知する。また、この送信処理を行っている複合機104の固体を識別する名称、更には複写・送信操作を検知した日時刻、複写、送信操作を行ったユーザー識別名称や複合機104で処理を継続したのか続行したのかなどの情報を通知する。
【0090】
図11はこの通知の例を示したものである。
【0091】
図11(a)は電子メールで通知を行った例を示したものである。
【0092】
ステップS190において、予め用意されたテンプレートに対して可変情報にメタデータや複合機104の持っている各種情報などを付加して、SMTPサーバ102に対してメールを送信する。
【0093】
図11(b)はネットワークメッセージでメッセージを送信した場合に受信側で表示される内容の例を示したものである。この場合も予め容易されたテンプレートに対して、必要情報を付加しメッセージを送信することになる。
【0094】
なお、本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(複写装置、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の印刷システムによって実行される印刷手順を示すフローチャートである。
【図3】図1における文書作成クライアントの内部構成を概略的に示す図である。
【図4】図3におけるメタデータ生成部で生成されたメタデータが埋め込まれた文書の例を示す図である。
【図5】図4におけるメタデータの内容を示す図である。
【図6】図5のメタデータの内容を詳細に示す図である。
【図7】図1における複合機の内部構成を概略的に示す図である。
【図8】図7の複合機によって実行される処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS150の詳細動作を示すフローチャートである。
【図10】図8のステップS180の詳細動作を示すフローチャートである。
【図11】図8のステップS190の通知処理の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
100 文書作成クライアント(文書作成装置)
104 複合機(画像形成装置)
321 メタデータ生成部(メタデータ生成手段)
510 文書名
512 通知手段
513 通知手段用データ
514 通知モード
515 通知モード用データ
516 通知モード有効期限
517 動作モード
518 動作モード
519 動作モード有効期限
711 メタデータ解析部(メタデータ解析手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書作成装置と画像形成装置とがネットワーク接続される印刷システムにおいて、
前記文書作成装置は、紙面上にメタデータを生成するメタデータ生成手段を有し、
前記画像形成装置は、前記メタデータを解析するメタデータ解析手段と、複写又は送信動作が行われた場合に、前記メタデータに含まれる通知手段用データに基づき指定された宛先にその旨通知する通知手段とを有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記メタデータは、該当文書を特定する文書名を有することを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項3】
前記メタデータは、通知か非通知かを記述した通知モードを有することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷システム。
【請求項4】
前記メタデータは、通知又は非通知のユーザー又はユーザーグループを記述した通知モード用データを有することを特徴とする請求項3記載の印刷システム。
【請求項5】
前記メタデータは、前記通知モードの有効期限を記述した通知モード有効期限を有することを特徴とする請求項3記載の印刷システム。
【請求項6】
前記メタデータは、該当文書が複写又は送信されようとした場合に画像形成装置の動作を継続するか停止するかを記述した動作モードを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の印刷システム。
【請求項7】
前記メタデータは、動作継続又は動作停止を行うユーザー又はユーザーグループを記述した動作モード用データを有することを特徴とする請求項6記載の印刷システム。
【請求項8】
前記メタデータは、前記動作モードの有効期限を記述した動作モード有効期限を有することを特徴とする請求項6記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−310820(P2007−310820A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141848(P2006−141848)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】