説明

印刷システム

【課題】 バリアブルデータを含むジョブの画像形成に要する処理時間の推測の精度を上げ、効率的にプリントを行えるようにプリント処理を開始するタイミングを決定する。
【解決手段】 以下の構成を備える。
・印刷データにページ単位に特定の区切りを示すための識別子を付加する手段
・印刷データ中に含まれる前記識別子の数を認識する手段
・印刷データの区切り間のページの画像形成時間を計測する手段
・印刷データの全ての画像形成に要する時間を予測する手段
・印刷部による印刷時間を予測する手段
・上記の情報に基づいて、印刷部における印刷開始タイミングを決定する手段

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のページを含む印刷データを、画像形成を行いながら印刷する印刷システムに関するものである。
【0002】
特に、バリアブルデータを含む帳票印刷のように類似した画像を含むページ群が繰り返し出力される印刷データを印刷する際の、印刷部の印刷開始タイミングの制御に対して効果的に適用することが可能である。
【背景技術】
【0003】
従来より、印刷装置において受信した印刷データの画像形成を行いながら印刷部での印刷処理を行う印刷システムでは、印刷部での印刷を開始するタイミングは固定であった。
【0004】
例えば、印刷データの1ページ目の画像が生成された直後に印刷部での印刷処理を開始する場合や、印刷データに含まれる全ての画像の生成が終了した時点で開始する場合があった。
【0005】
また、特開2007−79316で開示されているように、画像形成に要する時間を考慮して印刷を開始するタイミングを決定する手法が知られている。しかしながら、特許文献1では印刷データに含まれる画像が異なる場合には正確な画像形成時間を予測することは出来なかった。
【特許文献1】特開2007−79316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来技術では、印刷データの画像形成に要する時間が印刷時間よりも大きい場合にさまざまな不都合が発生している。
【0007】
印刷データの1ページ目の画像が生成された直後に印刷部での印刷を開始する方式では、画像形成が印刷処理に間に合わない場合があり、印刷間隔が空いてしまうという不都合があった。
【0008】
前記問題により印刷間隔が空いてしまった場合、印刷装置によっては次の印刷を開始するまでに画像転写ベルトの予備回転等の余分な時間が必要となる場合があり、印刷スループットが大きく低下してしまう場合があった。
【0009】
また、印刷データに含まれる全ての画像の生成が終了した時点で印刷を開始する方式では、画像形成に要する時間と印刷時間が直列に動作するため、画像生成処理を開始してから印刷完了までに多大な時間を要する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は係る問題を解決するためのものであり、以下の構成を備える。
【0011】
印刷データにページ単位に特定の区切りを示すための識別子を付加する手段。
【0012】
印刷データ中に含まれる前記識別子の数を認識する手段。
【0013】
印刷データの区切り間のページの画像形成時間を計測する手段。
【0014】
印刷データの全ての画像形成に要する時間を予測する手段。
【0015】
印刷部による印刷時間を予測する手段。
【0016】
これらの情報に基づいて、印刷部における印刷開始タイミングを決定する手段。
【0017】
(作用)
本発明により、特に帳票印刷のように複数の類似データを繰り返し印刷する印刷データにおいて、印刷部の印刷開始タイミングを適切に判断することが可能となり、印刷データ入力から印刷完了までに要する時間を削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による制御手順により、画像形成処理時間が印刷処理時間に比べて遅いデータを印刷する場合であっても、印刷部の印刷処理を停止することなく印刷処理を実行することが可能となる。
【0019】
また、全ての画像形成処理の終了を待たずに印刷処理を開始することができるので、印刷データを受信してから全ての印刷物が出力されるまでの時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の印刷システムの全体の構成を示すブロック図である。
【0022】
1001は本発明に適用される印刷データ生成装置である。印刷データ生成装置1001には一般的に中央演算装置を備えたコンピュータが用いられている。
【0023】
1002は本発明に適用される印刷装置である。
【0024】
印刷装置1002には、モノクロ印刷専用の装置やカラー出力可能である装置や大容量出力が可能な装置のように様々な形態の装置が存在する。
【0025】
1003は印刷データ生成装置1001と印刷装置1002を接続するためのネットワークシステムである。
【0026】
図2は本発明の印刷データ生成装置1001のメインコントローラの構成を示すブロック図である。
【0027】
2001は印刷データ生成装置1001のコントローラハードウェアの全体構成を示すブロック図である。
【0028】
2002は印刷データ生成装置1001全体を制御するためのプログラムを動作させるCPUである。
【0029】
2003は印刷データ生成装置1001を起動させるためのプログラムが格納されているROMである。
【0030】
2004は印刷データ生成装置を制御するためのプログラムを動作させるためのRAMである。
【0031】
2005はRAM2004に展開して動作させるプログラムデータや、アプリケーションソフトのプログラムやアプリケーションソフトが必要とするデータを格納するための2次記憶装置であるハードディスクである。
【0032】
2006は画像形成装置1002とデータの入出力処理を行うネットワーク通信装置である。
【0033】
2007は印刷データ生成装置1001上で形成された画像等を表示するための画像表示装置に画像データを送信するためのVideoデータ送信部である。
【0034】
2008はVideoデータ送信部から外部の画像表示装置に画像データを送信するためのケーブルである。
【0035】
2009はVideoデータ送信部2007から受信した画像データを表示するための画像表示装置である。
【0036】
2010はネットワーク通信装置2006から受信したビットマップイメージデータに対して各種画像処理を施すための画像処理装置である。
【0037】
画像処理装置2010では、2ページのビットマップイメージデータを1ページのビットマップイメージデータに合成する機能を備える。また、ビットマップイメージデータ中に存在する不正描画部分の除去や、ビットマップイメージデータが斜行していると判断された場合は印字位置を補正する機能のようなビットマップイメージデータを修正する機能を備える。
【0038】
2011は画像データを外部装置から受信し、印刷データを外部装置に送信するためのネットワークケーブルである。ネットワークケーブル2011はネットワーク装置2006に接続されている。
【0039】
2012は外部入出力機器とのインターフェースとなる外部機器I/Fである。
【0040】
外部機器I/Fにはキーボード2013及びポインティングデバイス2014が接続される。
【0041】
図3は本発明における印刷装置1002の構成を示す断面図である。
【0042】
印刷装置1002は、スキャナ部3001、レーザ露光部3002、感光ドラム3003、作像部3004、定着部3005、給紙/搬送部3006及び、これらを制御する不図示のプリンタ制御部から構成される。
【0043】
図3で示されるスキャナ部3001は、原稿台に置かれた原稿に対して、照明を当てて原稿画像を光学的に読み取り、その像を電気信号に変換して画像データを作成する工程の処理を行う。
【0044】
レーザ露光部3002は、前記画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)3009に入射させ、反射走査光として感光ドラム3003に照射する。
【0045】
作像部3004は、感光ドラム3003を回転駆動し、帯電器によって帯電させ、前記レーザ露光部3002によって感光ドラム3003上に形成された潜像をトナーによって現像する。また、そのトナー像をシートに転写し、その際に転写されずに感光ドラム3003上に残った微小トナーを回収するといった一連の電子写真プロセスの現像ユニット(現像ステーション)を4連持つことで実現している。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に並べられた4連の現像ユニットは、シアンステーションの作像開始から所定時間経過後に、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像動作を順次実行していく。このタイミング制御によって、シート上に色ずれのない、フルカラートナー像が転写される。
【0046】
定着部3005は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、前記作像部3004によってトナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。
【0047】
給紙/搬送部3006は、シートカセットやペーパーデッキに代表されるシート収納庫3008を一つ以上持っており、前記プリンタ制御部の指示に応じてシート収納庫に収納された複数のシートの中から一枚分離し、作像部3004・定着部3005へ搬送する。シートは搬送され、前述の現像ステーションによって、各色のトナー像が転写され、最終的にフルカラートナー像がシート上に形成される。また、シートの両面に画像形成する場合は、定着部3005を通過したシートを再度作像部3004へ搬送する搬送経路を通るように制御する。
【0048】
プリンタ制御部は、印刷装置1002全体を制御する印刷装置制御部と通信して、その指示に応じて制御を実行すると共に、前述のスキャナ、レーザ露光、作像、定着、給紙/搬送の各部の状態を管理しながら、全体が調和を保って円滑に動作できるよう指示を行う。
【0049】
図4は本発明の印刷装置1002のメインコントローラの構成を示すブロック図である。
【0050】
4001は印刷装置1002のメインコントローラの全体構成を示すブロック図である。
【0051】
4002は機器の操作を行うための操作部である。
【0052】
4003は外部機器とネットワークによって接続を行うためのネットワークケーブルである。
【0053】
4004は外部機器と電話回線によって接続を行うための回線ケーブルである。
【0054】
4005はコントローラ4001全体を制御するためのプログラムを動作させるCPUである。
【0055】
4006はCPU上で動作するプログラムによって管理されるRAMである。RAM4006には外部から受信したデータを一時的に蓄えるための受信バッファやRIPによってラスタライズされた画像データを一時的に蓄えるための画像データバッファ等の目的で使用される。
【0056】
4007は操作部とコントローラ4001を接続するためのインターフェースである。
【0057】
4008はコントローラ4001とネットワークを接続するためのインターフェースである。
【0058】
4009はコントローラ4001と電話回線を接続するためのインターフェースである。
【0059】
4010はCPU4005上で動作するプログラムやデータ等を格納するためのROMである。
【0060】
4011はさまざまなデータを長期的に保存することが可能な不揮発性の記憶装置であるハードディスクである。
【0061】
4012はCPUバスである。
【0062】
4024は画像処理を行うためのハードウェア群に接続されたイメージバス4024である。
【0063】
4013はCPUバス4012とイメージバス4024を接続するためのインタフェースである。
【0064】
4021は外部から入力される画像記述データをビットマップイメージデータに変換する機能を有するラスタライズボード(RIP)である。
【0065】
4014は画像転送バス4018によってRIP4021とイメージバス4024を接続するためのインターフェースである。
【0066】
4015はデータを圧縮するためのデータ圧縮装置である。
【0067】
4022はスキャナユニットである。
【0068】
4023はプリンタユニットである。
【0069】
4016はデータバス4019、4040によってスキャナ及びプリンタをイメージバス4024に接続するためのインターフェースである。
【0070】
4017はスキャナユニット4022及びRIP4021によって生成されたビットマップイメージデータに各種画像処理を施すための画像処理装置である。画像処理装置4017では、2ページのビットマップイメージデータを1ページのビットマップイメージデータに合成する機能を備える。
【0071】
図5は、印刷装置1002に装着されているフィニッシャ部の構成を示す断面図である。
【0072】
フィニッシャ5001はメインコントローラ4001からの指示により処理の開始、中断、終了等の制御が行われる。
【0073】
給紙機構5002に配置されたシートは、フィニッシャ5001の処理が開始されるとフィニッシャ5001の内部に入る。フィニッシャ5001の内部には、サンプルトレイ5003及びスタックトレイ5004があり、ジョブの種類や排出されるシートの枚数に応じて切り替えて排出される。
【0074】
ソート方式には2通りあり、複数のビンを有して各ビンに振り分けるビンソート方式と、電子ソート機能とビン(または、トレイ)を奥手前方向にシフトしてジョブ毎に出力シートを振り分けるシフトソート方式によるソーティングを行うことができる。メインコントローラ4001に大容量メモリを持っていれば、このバッファメモリを利用して、バッファリングしたページ順と排出順を変更する電子ソーティングの機能もサポートできる。次にグループ機能は、ソーティングがジョブ毎に振り分けるのに対し、ページ毎に仕分けする機能である。
【0075】
出力すべきジョブに対してステープルモードが設定されている場合には、スタックトレイ5004に排出するよう制御する。その際には、シートがスタックトレイ5004に排出される前に、シートをジョブ毎にフィニッシャ5001内部の処理トレイに順次蓄えておき、該処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイ5004へ、該記録紙束を束排出する。
【0076】
その他、上記2つのトレイに至るまでに、紙をZ字状に折るためのZ折り機5005、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャ5006があり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。サドルステッチャ5007は、シートの中央部分を2ヶ所バインドした後に、シートの中央部分をローラに噛ませることによりシートを半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する処理(製本処理)を行う。サドルステッチャ5007で製本されたシートは、ブックレットトレイ5008に排出される。当該サドルステッチャ5007による製本処理等のシート処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定されたシート処理設定に基づく。
【0077】
また、インサータ5009はインサートトレイ5010にセットされたシートをプリンタへ通さずにスタックトレイ5004及びサンプルトレイ5003等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによってインラインフィニッシャ部5001に送り込まれるシート(プリンタ部で印刷されたシート)とシートの間にインサータ5009にセットされたシートをインサート(中差し)することができる。インサータ5009のインサートトレイ5010にはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部のシートから順に給送する。
【0078】
従って、インサータ5009からのシートはそのままスタックトレイ5004またはサンプルトレイ5003へ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャ5007へ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。尚、当該インサータ5009によるシート挿入処理等のシート処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定されたシート処理設定に基づく。
【0079】
次に、トリマ5011(裁断機)について説明する。
【0080】
サドルステッチャ5007においてブックレット(中綴じの小冊子)にされた出力は、このトリマ5011に入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部5012にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部5013に格納される。尚、当該トリマ5011による断裁処理等のシート処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定されたシート処理設定に基づく。
【0081】
図6は印刷データ生成装置1001上で動作する帳票のようなバリアブルデータを作成するためのアプリケーションソフトウェアの表示部における概観図である。
【0082】
6001は画像編集を行うための表示画面である。
【0083】
6002は画像のプレビュー画像を表示させるための画面である。
【0084】
6003はレコード毎に異なった文字列を埋め込むための文字列埋め込み位置を示す文字列埋め込み指示部である。
【0085】
6004は文字列埋め込み指示部6003に埋め込むための文字列を格納するデータベースの表示部である。印刷データを生成する際に、本データーベースで管理される文字列が、文字列埋め込み指示部6003の記号に従って埋め込まれる。
【0086】
文字列埋め込み部6003はアプリケーションの操作者による操作によりその位置を自由に変更することが可能である。
【0087】
また、アプリケーション操作者がデータベース表示部6004に表示される文字列を変更することにより、各レコードに対する埋め込み用の文字列を変こすることが可能となる。
【0088】
図7は本発明における最終出力物の例を示すブロック図である。
【0089】
7001は本発明によって制御される最終出力物の概観を示すブロック図である。
【0090】
7002は最終出力物7001に含まれる1番目のレコードである。
【0091】
7003は最終出力物7001に含まれる2番目のレコードである。
【0092】
7004は最終出力物の各レコード毎に異なる文字列が挿入されるバリアブルデータ部である。
【0093】
図8は印刷データ生成装置1001において生成される印刷データの例を示すブロック図である。
【0094】
8001は本発明において印刷データ生成装置1001上で生成される印刷データである。
【0095】
8002は印刷データ8001に含まれるレコード区切り識別子の数を示す領域である。
【0096】
8003は印刷データ8001のレコードの開始位置を示す領域である。
【0097】
8004は印刷データ8001の第1のレコードに含まれるページの画像データを示す領域である。
【0098】
8005は印刷データ8001に含まれる第1のレコードの終了位置を示す領域である。
【0099】
印刷データ8001では、第1のレコードの終了位置8005以降の領域に第2のレコード以降の情報が繰り返し記載される。
【0100】
図9、図10は本発明の実施例1における印刷データ生成装置1001および印刷装置1002の制御手順を示すためのフロチャートである。
【0101】
以下、本フロチャートに従って本発明の制御手順を説明する。
【0102】
印刷データ生成装置1001では、印刷データ生成装置を操作する操作者が、アプリケーションソフトウェアに対して印刷開始の指示を行った場合にS9001へ移行する。
【0103】
S9001では画像プレビュー画面6002上の埋め込み位置6003に、データベース表示部6004上に表示されている各レコードに対応した文字列をレコード単位で埋め込んでいく。
【0104】
S9002ではS9001において生成された各レコードの画像を印刷データに変換する。
【0105】
S9003では全てのレコードに対してS9001〜S9002の処理が完了したか否かの判別を行う。
【0106】
S9003において、S9001〜S9002の処理が行われていないレコードが存在すると判断された場合はS9001へ移行してレコードの印刷データへの変換処理を行う。
【0107】
S9003において、全ての印刷対象レコードに対するS9001〜S9002の処理が完了したと判断された場合は印刷データ生成装置1001による処理を終了する。
【0108】
印刷装置1002では、電源が投入されてCPU4005が稼動状態に移行するとS10001のデータ受信待ち状態へ移行する。
【0109】
S10001において、外部機器からデータを受信したと判断された場合はS10002へ移行する。
【0110】
S10002では、S10001で受信したデータの各種処理を行う。
【0111】
S10003では、S10001で受信したデータに1レコード目の画像処理の開始の指示が含まれているか否かの判別を行う。
【0112】
S10003において、S10001で受信したデータに1レコード目の画像処理の開始の指示が含まれていると判断された場合はS1004へ移行する。
【0113】
S10004では、画像形成に要する時間を計測するための計測処理を開始する。
【0114】
S10005では、1レコード目に含まれているページの画像形成処理を行う。なお、画像形成処理の結果生成された画像データはRAM4006を介してHDD4011へ格納される。
【0115】
S10006では、1レコード目に含まれている全てのページの画像形成処理が完了したか否かの判別を行う。
【0116】
S10005における画像生成処理は1レコード目に含まれる全てのページに対して行われ、S10006において、1レコード目に含まれている全てのページの画像形成処理が完了したと判断された場合はS10007へ移行する。
【0117】
S10007では、下記の算出方法により印刷データに含まれる全てのページの画像形成に要する時間の予測値IとHDD4011に蓄積された画像データからプリンタユニット4023によって印刷処理を行う際に要する時間の予測値Pを算出する。
【0118】
I=1レコードの画像形成に要した時間×総レコード数8002
P=1レコードのページ数×1ページの印刷時間×総レコード数8002
S10008では、画像形成処理を行う際の経過時間を示すための変数Tの初期化を行いS10009以降のループ処理へ移行する。
【0119】
S10009では、経過時間Tと予測値Iから予測値Pを減算した値の比較処理を行う。
【0120】
S10009において、経過時間Tより予測値Iから予測値Pを現在した値が小さいと判断された場合はS10012へ移行する。
【0121】
S10009において、経過時間Tより予測値Iから予測値Pを現在した値が大きいと判断された場合はS10010へ移行する。
【0122】
S10010では、プリンタユニット4023による印刷処理がすでに開始されているか否かの判別を行う。
【0123】
S10010において、プリンタユニット4023による印刷処理がすでに開始されていると判断された場合はS10012へ移行する。
【0124】
S10010において、プリンタユニット4023による印刷処理がまだ開始されていないと判断された場合はS10011へ移行しHDD4011に蓄積されている画像データの印刷処理を開始する。
【0125】
S10012では、次のレコードの画像形成処理を行う。
【0126】
S10013では、経過時間を示す変数TにS10012の処理で要した時間を加える。
【0127】
S10014では、全てのレコードの処理が完了したか否かの判別を行う。
【0128】
S10014において、全てのレコードの処理がまだ完了していないと判断された場合はS10009へ移行する。
【0129】
S10014において、全てのレコードの処理が完了したと判断された場合は本制御手順による処理を終了する。
【0130】
図11は図10で示されるフロチャートによる制御を行った場合の画像形成と印刷のタイムチャートである。
【0131】
11001は画像形成に要する時間であり、レコード毎に異なるブロックで示されている。
【0132】
11002は印刷処理に要する時間であり、レコード毎に異なるブロックで示されている。
【0133】
11003は画像形成処理が開始された時刻である。
【0134】
11004は印刷処理が開始された時刻である。
【0135】
11005は画像形成処理が終了した時刻である。
【0136】
11006は印刷処理が終了した時刻である。
【実施例2】
【0137】
実施例1では印刷データがHDD40011に蓄積されていると仮定した場合の印刷処理に要する時間Pを下記の算出方法により算出していた。
【0138】
P=1レコードのページ数×1ページの印刷時間×総レコード数8002
本発明の実施例2では、印刷データに含まれる各レコードに対して、それぞれ異なる印刷属性が設定されていた場合の印刷処理に要する時間Pの算出方法の例を示す。
【0139】
なお、図12は各レコードに対してそれぞれ異なる印刷属性が設定されている場合の印刷データの例を示すブロック図である。
【0140】
12001は本発明において印刷データ生成装置1001上で生成される印刷データである。
【0141】
12002は印刷データ12001に含まれるレコード区切り識別子の数を示す領域である。
【0142】
12003は印刷データ12001のレコードの開始位置を示す領域である。
【0143】
12004は第1のレコードに対する印刷属性である。
【0144】
12005は印刷データ12001の第1のレコードに含まれるページの画像データを示す領域である。
【0145】
12006は印刷データ12001に含まれる第1のレコードの終了位置を示す領域である。
【0146】
印刷データ12001では、第1のレコードの終了位置12006以降の領域に第2のレコード以降の情報が繰り返し記載される。
【0147】
レコード単位の印刷時間に影響を及ぼす印刷属性としては、図5で示されるようなZ折り機5005、パンチャ5006、サドルステッチャ5007、トリマ5001による印刷処理等が挙げられる。
【0148】
レコード毎に前記の印刷属性が独立に設定された場合、印刷処理に要する時間Pは下記の算出方法により算出することができる。
【0149】
P1=1レコードのページ数×Z折り機の処理時間×Z折り指定されているレコード数
P2=1レコードのページ数×パンチャの処理時間×パンチャ指定されているレコード数
P3=1レコードのページ数×サドルステッチャの処理時間×サドルステッチ指定されているレコード数
P4=1レコードのページ数×トリマの処理時間×トリマ指定されているレコード数
P=1レコードのページ数×1ページの印刷時間×総レコード数8002+P1+P2+P3+P4
【実施例3】
【0150】
図13は本発明における実施例3の構成を示すための操作部の概観図である。
【0151】
13001は印刷装置1002の操作部の表示部を示す概観図である。
【0152】
13002は本発明の実施例1および実施例2で示される制御手順を印刷処理に適用するか否かを決定するためのボタンである。
【0153】
13003は印刷の開始を指示するためのボタンである。
【0154】
印刷処理を開始する際に、ボタン13002が押下されている場合に限り、実施例1もしくは実施例2に記載の制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の全体構成を示すブロック図。
【図2】本発明の印刷データ生成装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の印刷装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の印刷装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の印刷後処理装置の構成を示すブロック図。
【図6】本発明の印刷データ生成装置上で動作するアプリケーションの概観を示す図。
【図7】本発明の実施例における出力物の例を示す図。
【図8】本発明の実施例1の印刷データ生成装置で生成される印刷データの例。
【図9】本発明の実施例1の制御手順を示すフロチャート。
【図10】本発明の実施例1の制御手順を示すフロチャート。
【図11】本発明の画像形成時間と印刷時間の関係を示すタイムチャート。
【図12】本発明の実施例2の印刷データ生成装置で生成される印刷データの例。
【図13】本発明の実施例3の印刷装置の操作部の表示部を示すブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置で印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成装置と印刷装置がネットワークで接続されており、前記印刷装置は前記印刷データ生成装置から送信される印刷データに基づいて画像形成を行い用紙の物理メディアに印刷する印刷システムにおいて、
前記印刷データ生成装置において、印刷データ中に特定のページ群を定義するためにページの区切りを示すための識別子を付加するページ区切り識別子付加手段と、
前記印刷データ生成装置において、前記ページ区切り識別子付加手段によって印刷データに付加されたページ区切り識別子の総数を前記印刷装置に通知するためのページ区切り識別子数通知手段と、
前記印刷装置において、前記印刷データに基づいて生成された画像データを蓄積するためのデータ蓄積手段と、
前記印刷装置において、印刷データに含まれる最初のページから前記ページ区切り識別子付加手段によって付加された1番目のページ区切り識別子の直前までに含まれるページの画像データ生成時間を計測する画像データ形成時間計測手段と、
前記印刷装置において、前記画像データ形成時間測定手段と前記ページ区切り識別子数通知手段によって通知されたページ区切り識別子数に基づいて印刷データの画像形成を行うために要する時間を予測する画像形成時間予測手段と、
前記印刷装置において、前記画像データ形成時間計測手段によって生成されたページ数に1ページあたりの印刷に要する時間を乗じた特定ページ群の印刷予測時間と、
前記特定ページ群の印刷予測時間に前記ページ区切り識別子数通知手段によって通知されたページ区切り識別子数を乗じた値である第1の印刷予測時間と、
前記画像形成予測時間と前記第2の印刷予測時間に基づいて、前記データ蓄積手段によって蓄積されている画像データの印刷処理を開始するタイミングを算出する印刷開始タイミング算出手段とを備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷データにおけるページ区切り識別子間のページ群の画像は他のページ区切り識別子間のページ群の画像と文字の一部の画像を除いて同等もしくは類似であることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷データにおけるページ区切り識別子は、帳票データのように複数のレコードのページが含まれる印刷データにおけるレコードの区切りを示すための識別子であることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷データに含まれるページ区切り識別子間に含まれるそれぞれのページ群に対して、それぞれ異なる印刷属性を設定する印刷属性設定手段と、
前記ページ数算出手段において、印刷属性別にページ数を算出する第2のページ算出手段と、
前記印刷装置において、前記第2のページ数算出手段によって算出されたページ数の画像が、前記データ蓄積手段によって蓄積されている場合の印刷に要する時間を予測する第2の印刷時間予測手段と、
前記画像形成時間予測手段によって予測された画像形成予測時間と前記第2の印刷予測手段によって予測された第2の印刷予測時間に基づいて前記データ蓄積手段によって蓄積されている画像データの印刷処理を開始するタイミングを算出する印刷開始タイミング算出手段とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記画像形成時間予測手段は、前記画像データ形成時間計測手段によって計測された時間に前記ページ区切り識別子数通知手段によって通知されたページ区切り識別子数に乗じた値とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第1の印刷予測時間は、前記第1のページ数算出手段によって算出されたページ数に1ページあたりの印刷時間を乗じた値とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項7】
各印刷属性別に算出される1ページあたりの印刷時間に該印刷属性が設定されているページ数に乗じた値を算出する印刷属性別印刷時間予測手段と
前記第2の印刷予測手段は、前記印刷属性別印刷時間予測手段で予測された印刷属性別の印刷予測時間の総和とすることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷開始タイミング算出手段は、画像形成処理が開始された時刻に、前記画像形成予測時間から前記第1もしくは第2の印刷予測時間を減じた時間を加えた時刻とすることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項9】
前記印刷装置において、前記印刷開始タイミングの処理を有効もしくは無効にするための指示を行う手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の印刷システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−102630(P2010−102630A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275548(P2008−275548)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】