説明

印刷プレートの製造装置、およびその製造方法

本発明は、印刷プレートの製造装置であり、液体フォトポリマーおよび印刷プレートのベースとなるフィルムを受ける支持部材(1)と、液体フォトポリマーを、支持部材(1)上で設定した厚さの層(2)の形体にする塗布手段(3)と、塗布された層(2)の厚さを確認する確認手段(5)でなっている。確認手段は、塗布手段(3)の下流側で、塗布されたばかりの液体フォトポリマー層(2)の一部の上に取付けられた検知器(5)を有し、その検知器(5)は、実測厚さと設定した厚さとに差があるとき、フォトポリマー吐出量を調節する電気信号を発する。本発明は、また、前述の装置によって印刷プレートを製造する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷プレートの製造装置に関し、またその印刷プレートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、印刷プレートは、印刷されるページのネガのある半透明プレートまたはプレートの支持部材を、作業台またはテーブルの上に置き、次いでその支持部材に液体フォトポリマー、次いで印刷プレートのベースとなるフィルム、を順次置いていく。
この後、印刷プレートの厚さが測定され、設定した厚さまたは指定の厚さと異なるとき、塗布されたフォトポリマーを調節する手段を調節して、印刷プレートが所望の厚さとなるようにしている。
【0003】
フォトポリマーを塗布するのに、フォトポリマーが重力で吐出する貯留槽をもつ装置が専ら使用されている。この目的のために、貯留槽は、下向きにスロット形状の出口が設けられ、貯留槽が支持部材の上を移動するとき、液体フォトポリマーが貯留槽から支持部材に流れ出て塗布されていく。
【0004】
得られるポリマー層の厚さを調節するために、フォトポリマーの粘度によって、貯留槽が支持部材の上を動く速度を決める。貯留槽の速度が速いほど、フォトポリマー層の厚さは薄くなる。それ故、得られるフォトポリマー層の厚さを調節するのに、貯留槽が移動する速度を変えることである。
【0005】
また、生産される印刷プレートのベースとなるフィルムを形成させるには、例えば、フィルムを巻いた巻取り機のある装置を使用することができる。
【0006】
このタイプの印刷プレートの製造装置は、構造が簡単で、複雑な調節メカニズムがないという利点がある。
しかしながら、このタイプのものは、不都合な点もある。先ず、フォトポリマーは、“液体”といわれるが、粘度が高く、同じ温度でもロット毎に粘度が変わることがある。
さらに、その粘度は、印刷プレート製造装置周囲の外気温度で変る。
【0007】
フォトポリマーが粘性であるので、水のような液体製品の挙動と異なり、ポリマーの粘度ばかりでなく、貯留槽の出口スロットの形状をも考慮して、フォトポリマーを重力フローにより適切な速度で吐出させる必要がある。
【0008】
そこて、フォトポリマーの吐出量を変えるために、一般に支持部材の上の貯留槽の移動速度を変えることをする。
然しながら、移動速度がある限界を超えると、フォトポリマーの吐出量が一定にならず、あるいはフォトポリマーの流れが中断することがあり、この限界は、フォトポリマー毎に異なっている。
【0009】
上記したシステムでの別の不都合な点は、印刷プレートの全域の厚さを測定していることにある。すなわち、指定の厚さと実測の厚さに差があるとき、フォトポリマー層の厚さのエラーか、あるいはフィルムの取付けあるいは厚さの問題によるエラーかを区別することができない。従って、印刷プレートを設定した厚さにすべく正確に修正を行うのが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の不都合を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、液体フォトポリマーおよび印刷プレートのベースとなるフィルムを受ける支持部材と、支持部材上の液体フォトポリマーを表面と設定した厚さを有する層の形状にする塗布手段と、塗布された層の厚さの検査手段でなる印刷プレート製造装置を用いて達せられる。
【0012】
本発明によれば、検査手段は、塗布手段の下流側で、塗布されたばかりのフォトポリマー層の一部の上に取付けられた検知器と、塗布されたばかりのフォトポリマー層の実測の厚さを、設定した厚さと比較するコンパレーターと、実測の厚さと設定した厚さとに差異があるとき、修正信号を発する電気信号発生器とでなり、この電気信号発生器は、塗布手段からのフォトポリマー吐出量調節装置に連結している。
【0013】
本発明の装置は、フォトポリマー層の厚さを、連続的に、しかも塗布されたばかりのフォトポリマー層の一部で検査できる利点がある。
【0014】
液体フォトポリマーが支持部材上に流れ落ちた場所と、厚さが検査されるフォトポリマー層の部分が近い距離にあるので、設定した厚さとの違いがあるときの応答が実質的に早い。
さらに、本発明の装置は、フィルム適用手段をフォトポリマーの塗布手段の近くに置くことが可能である。それ故、本発明の装置は、印刷プレートの製造装置を大きくしないですむことになる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の装置は、塗布されたフォトポリマー層の実際の厚さを計測しているのでなく、塗布されたフォトポリマー層の表面が一定かどうかを検査している。実際、一定厚さのフォトポリマー層の製造では、フォトポリマー層の表面が一定であることが、実際の層の厚さが一定になることを代表している。
【0016】
本発明の装置は、液体フォトポリマーが透明であるので特に有利である。その上、支持部材は、黒いことが多い。その結果、塗布された層の厚さは、光学的な反射で測定するのが困難である。その代り、本発明の装置は、反射検知器、好ましくは一定の反射で作用するタイプの検知器で、塗布層の表面高さをモニターするに容易である。
【0017】
このタイプの検知器は、正常でない事態が発生したときの樹脂表面での光ビームの反射を利用するものである。(液体の場合のような)非常に滑らかな表面での鏡面反射角は、入射角と等しい大きさで、法線に対して反対である。
【0018】
塗布された層の表面高さを検査するこの原理により、さらにポリマー層の広い厚さ範囲で、簡単で機能的な装置を作る利点が可能になる。事実、本発明の装置は、上記した実施の形態において、層の表面高さしか使用していない、すなわち、フォトポリマー層の厚さは重要でない。
【0019】
同時に、このことは、印刷プレート製造装置を簡単にしている。
事実、そのような装置は、フォトポリマーが塗布される支持部材を保持または支持し、フォトポリマー塗布手段に対して高さを変えることができるようにして、テーブル、作業台またはその他手段に取付けされることができる。いいかえると、第1の実施形態によれば、テーブルは、フォトポリマー塗布手段に対して遠ざける、または近づける方向に動くように装備され、これにより、設定した厚さまたは指定の厚さを調節できる。第2の実施形態では、テーブルを固定し、フォトポリマー塗布手段およびフィルム巻きをテーブルに近づくまたは遠くなるように動かしている。
【0020】
本発明の別の特性によれば、塗布手段は吐出量調節手段を有している。
本発明の装置は、支持部材に対して、フォトポリマー塗布手段を一定速度で移動させることができる。特に、本発明の装置は、定速度のモーターを使用して、可変速度駆動装置なしにすることで装置を簡単にすることができる。
【0021】
本発明のまた別の特性によれば、塗布手段はフォトポリマーの貯留槽を有し、貯留槽の出口に吐出量調節手段を有している。吐出量調節手段は、貯留槽の出口直後にある。貯留槽の出口は、代表的にはスロット形状であり、吐出量調節手段の一部として形成させるのが好ましい。
【0022】
本発明の一実施の形態によると、貯留槽は、フォトポリマーが、開口度が変えられるスロットを通って出ることができるようにされて、このスロットは、スクレーパーと、非円形断面シリンダー体との間に形成される。
スクレーパーとシリンダー体は、貯留槽に一体に設けられる。スロットの開口は、塗布したポリマー層の表面高さが変化ないことをみる検知器が発する電気的な修正信号に従って、長さ方向の軸を中心に回転させて変化させる。
【0023】
図面に記した実施形態によれば、シリンダー体は、長さ方向の軸に平行した平面部分を有している。この平面部分により、シリンダー体の断面を非円形形状にしている。この断面の非円形側がスクレーパーの方に向いていて、それ故貯留槽のスロット出口は、シリンダー体の非円形面とスクレーパーの間に限定され、シリンダー体が長軸を中心に回転することによりスロットの開口度を変えることができる。
【0024】
本発明の別の形態によると、スクレーパーは、フォトポリマー層が載せられる支持部材の上で、塗布されたフォトポリマー層の設定した厚さより高く配置される。
【0025】
塗布手段の移動する速度でフォトポリマーが均質に流れるようにするため、スクレーパーは、支持部材に対して、製造されるフォトポリマー層の厚さよりおよそ2mm高くするのがよい。
【0026】
本発明の目的は、液体フォトポリマー、次いで印刷プレートのベースになるフィルムを受ける支持部材と、液体フォトポリマーを支持部材上に、表面と設定した厚さをもつ層状にする塗布手段、塗布された層の厚さを確認する確認手段、を有する装置を用いた印刷プレート製造方法で達成される。
【0027】
本発明によれば、この方法は、少なくとも次のステップを含んでいる。
−液体フォトポリマーの層を受ける支持部材を置く、
−液体フォトポリマーを、支持部材上に、表面と設定した厚さの層状に塗布する、
−塗布されたばかりのポリマー層の一部の厚さを確認する、
−実際の厚さと設定した厚さが異なるとき、修正信号を発する、そして
−その修正信号によって、塗布手段にある吐出量調節装置を再調節する。
この方法は、上記した装置を使用して、都合よく実行される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の装置の斜視図である。
【図2】本発明の装置の塗布手段の異なる配置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の特性および利点は、以下に記載する本発明装置の実施形態で明らかになるであろう。以下の図面を参照して記載する。
図1は、本発明の印刷プレート製造装置を示している。この装置は、液体フォトポリマーおよび印刷プレートのベースとなるフィルムを受ける支持部材1と、支持部材1の上に液体フォトポリマーを層2の形態にする塗布手段3と、塗布された層2の厚さを確認する確認手段5でなっている。層2を作るとき、塗布手段3は、支持部材1に対しDの方向に動かす。支持部材1は、テーブル30の上で動かない。
【0030】
確認手段5は、検知器であり、塗布手段3の下流側に設置される。検知器5は、塗布されたばかりのフォトポリマー層2の一部である上に置かれる。検知器5は、コンパレーター(図示してない)と連結して、塗布されたばかりのフォトポリマー層2について設定した厚さと実際の厚さを比較する。コンパレーターは、フォトポリマーの設定した厚さと実際の厚さで相違があるとき、修正信号を発する電気信号発生器を有する、あるいは電気信号発生器に接続する。電気信号発生器は、塗布手段3からのフォトポリマーの流量調節装置に接続する。
【0031】
印刷プレートの製造装置または設置では、テーブル30と塗布装置3は、一方を他方との関連で高さを上げることができるように設置するのがよい。通常、塗布手段3を固定して、装着テーブル30を動くようにするのが容易である。
【0032】
図2は、塗布手段3の別の部分と、支持部材1との位置関係を示している。
塗布手段3は、フォトポリマーの貯留槽4と、貯留槽4の出口にある吐出量調節手段7、8を有している。吐出量調節手段7、8は、スクレパー7と、長軸9と非円形断面のシリンダー体8を有している。シリンダー体8断面の非円形形状は、シリンダー体8の長軸9に平行な面に沿って延びる平面10によって得られる。平面10は、スクレパー7に対し傾斜して、スクレパー7とシリンダー体8の間に可変開口Lを有するスロット6を形成している。スロット6の開口Lを変えるには、検知器5によって発せられた電気的な修正信号に従って、シリンダー体8が長軸9を中心に回転することによってできる。
【0033】
垂直面に対しての平面10の傾きを開口角Ωで表すと、開口角Ωを小さくするほど、スロット6の開口Lは大きくなる。
【0034】
図2は、さらにフォトポリマー層2の厚さgと、スクレパー7が並ぶ高さhを描いている。数字で示していないが、高さhはフォトポリマー層2の厚さgより大きなことは図2から明らかである。
【0035】
平面をもつシリンダー体8の実施形態は、他にもあることは言うまでもない。本発明の技術範囲を逸脱することなしに、バルブシステム、あるいは可動のスロットシステム、あるいは機能的に等価なものを使用できることは可能である。この分野の熟練者であれば、塗布の定速度を維持して、フォトポリマー層2の厚さgを変えることができることを容易に理解しえることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体フォトポリマーおよびその後で印刷プレートのベースとなるフィルムを受ける支持部材(1)と、液体フォトポリマーを、支持部材(1)上で表面(21)と設定した厚さ(g)をもつ層(2)の形状にする塗布手段(3)と、塗布された層(2)の厚さ(g)の検査手段(5)でなる印刷プレートの製造装置であり、
前記検査手段は、前記塗布手段(3)の下流側で、塗布されたばかりの液体フォトポリマー層(2)の一部の上に取付けられた検知器(5)と、塗布されたばかりの液体フォトポリマー層(2)の実測の厚さを、設定した厚さと比較するコンパレーターと、実測の厚さと設定した厚さとに差があるとき、前記塗布手段(3)からのフォトポリマー吐出量調節手段と連結して修正信号を発する電気信号発生器でなって、塗布されたばかりのフォトポリマー層(2)の一部の表面(21)について、フォトポリマー層(2)の実際の厚さの代表値となる高さを測定する前記検知器(5)が、一定の反射によるタイプであることを特徴とする印刷プレート製造装置。
【請求項2】
前記塗布手段(3)が、吐出量調節手段(7、8)をもつことを特徴とする請求項1に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項3】
前記塗布手段(3)が、フォトポリマーの貯留槽(4)、および前記貯留槽(4)の出口に吐出量調節手段(7、8)をもつことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項4】
前記貯留槽(4)は、非円形断面をもったシリンダー体(8)が、スクレーパ(7)に向いあって前記貯留槽(4)に取付けられ、前記検知器(5)から発せられた修正信号によって長さ方向の軸の周りを回転して、前記スクレーパ(7)と前記シリンダー体(8)の間にできる幅(L)の変えられるスロット(6)から、フォトポリマーが吐出されるように形成されることを特徴とする請求項3に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項5】
前記シリンダー体(8)は、長さ方向の軸と平行に延びる平面を有し、前記平面が、非円形断面をもった前記シリンダー体(8)体の断面に掛かることを特徴とする請求項4に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項6】
前記スクレーパ(7)は、塗布されたフォトポリマー層の設定した厚さ(g)より大きな高さ(h)で、支持部材(1)の上に配置されることを特徴とする請求項4または5に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項7】
前記スクレーパ(7)の高さ(h)は、フォトポリマー層(2)の設定した厚さ(g)よりおよそ2mm大きいことを特徴とする請求項6に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項8】
前記支持部材(1)を保持または支持するテーブル(30)は、前記液体フォトポリマーの塗布手段(3)に対し高さが変えられるように取付けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項9】
前記塗布手段(3)を前記支持部材(1)の上で動かす定速モーターがあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の印刷プレート製造装置。
【請求項10】
液体フォトポリマーおよびその後で印刷プレートのベースとなるフィルムを受ける支持部材(1)と、液体フォトポリマーを、支持部材(1)上で表面(21)と設定した厚さ(g)をもつ層(2)の形状にする塗布手段(3)と、塗布された層(2)の厚さ(g)の検査手段(5)でなる印刷プレートの製造装置を用いての印刷プレートの製造方法であり、
少なくとも、
−液体フォトポリマーの層(2)を受ける支持部材(1)を置き、
−前記支持部材(1)の上に、表面(21)と設定した厚さ(g)をもつ層(2)の形状に液体フォトポリマーを塗布する、
−塗布されたばかりのポリマー層(2)の一部の厚さ(g)を検査する、
−実測の厚さが、前記設定した厚さ(g)と異なるとき、修正信号を発し、
−前記修正信号に従って前記塗布手段(3)の吐出量調節装置(7、8)を再調節する、
のステップを行うことを特徴とする印刷プレートの製造方法。
【請求項11】
塗布手段(3)が、一定の塗布速度で前記支持部材(1)の上を動くことを特徴とする請求項10に記載の印刷プレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−538751(P2009−538751A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512648(P2009−512648)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051325
【国際公開番号】WO2007/138218
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(507350048)マクダーミッド プリンティング ソリューションズ ヨーロッパ エスエーエス (4)
【Fターム(参考)】