説明

印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法およびプログラム

【課題】業務と関係なく設置場所の照明を点灯する場合があったとしても、省エネ効率の低下を抑制する。
【解決手段】ファクシミリ機能を備えた印刷制御装置は、前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付部と、印刷要求を蓄積するメモリ部と、周囲の照度を検出する照度センサと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する制御部とを備える。前記制御部は、現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度センサで検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上であった場合に、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周囲の照度を検知する照度センサを備えたファクシミリ装置が存在する(たとえば特許文献1参照)。このファクシミリ装置は、周囲に従業者がいないなどによって設置場所周辺が暗い場合、印刷ジョブを蓄積する省エネモードに移行する。この結果、近くに人が居ない状況などでは、ファクシミリ受信した印刷ジョブの実行が抑制されるため、より効率的な省エネモードを実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のファクシミリ装置では、警備員の見回りや、従業者が忘れ物を取りに来た場合など、業務と関係なく設置場所の照明を点灯する場合であっても、蓄積しておいた印刷ジョブが実行されてしまい、省エネ効率が低下してしまうという問題が存在した。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、業務と関係なく設置場所の照明を点灯する場合があったとしても、省エネ効率の低下を抑制することが可能な印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法およびプログラムを示現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ファクシミリ機能を備えた印刷制御装置であって、前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付部と、当該印刷制御装置を搭載する画像形成装置に対するユーザからの操作入力を受け付ける入力受付部と、印刷要求を蓄積するメモリ部と、周囲の照度を検出する照度センサと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する制御部とを備え、前記制御部が、現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度センサで検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上である場合であって前記入力受付部で操作入力を受け付けた場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上記の印刷制御装置と、印刷要求を実行する印刷エンジンと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、ファクシミリ機能とユーザからの操作入力を受け付ける入力受付部とを備えた画像形成装置の印刷制御方法であって、前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付ステップと、周囲の照度を検出する照度検出ステップと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する管理ステップと、現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度検出ステップで検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上である場合であって前記入力受付部で操作入力を受け付けた場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可する許可ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ファクシミリ機能とユーザからの操作入力を受け付ける入力受付部とを備えた画像形成装置を機能させるためのプログラムであって、前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付処理と、周囲の照度を検出する照度検出処理と、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する管理処理と、現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度検出処理で検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上である場合であって前記入力受付部で操作入力を受け付けた場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可する許可処理と、を前記画像形成装置に実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、業務と関係なく設置場所の照明を点灯する場合があったとしても、省エネ効率の低下を抑制することが可能な印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法およびプログラムを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施の形態による制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施の形態において電源ON後に制御部を含む印刷制御装置が実行する印刷制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施の形態による人検知処理の一例を示す概略フローチャートである。
【図5】図5は、1つの閾値を設けた場合の事象の遷移に対する制御モードの移行を説明するための図である。
【図6】図6は、2つの閾値を設けた場合の事象の遷移に対する制御モードの移行を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施の形態による第1制御モード中印刷受付処理の一例を示す概略フローチャートである。
【図8】図8は、本実施の形態による第2制御モード中印刷受付処理の一例を示す概略フローチャートである。
【図9】図9は、本実施の形態にかかる印刷制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法およびプログラムを詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態では、照度センサを用いて人の有無を検知し、人がいる場合にはファクシミリ受信すると即座に印刷し、人がいないと判断した場合にはファクシミリのジョブの蓄積を行う。また、人がいると判断した際に蓄積しているジョブをまとめて実行することで、印刷が可能となる状態への立ち上げ処理回数を低減して、トナー消費量や消費電力の低減を図る。ただし、照度センサによる人の有無検知では、夜間の警備員のパトロールや、朝日を検知して人がいると判断する可能性がある。そこで、ファクシミリ以外の印刷ジョブを受け付けるか、または、パネルからの操作が行われた場合に人がいると判断するように構成する。以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態による画像形成装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す画像形成装置20は、無端状移動手段である搬送ベルト5に沿って各色の画像形成部が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙ローラ2と分離ローラ3とにより給紙トレイ1から分離給紙される用紙(記録紙)4を搬送する搬送ベルト5に沿って、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6BK、6Y、6M、6Cが配列されている。
【0014】
これら複数の画像形成部6BK、6Y、6M、6Cは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部6BKはブラックの画像を、画像形成部6Yはイエローの画像を、画像形成部6Cはシアンの画像を、画像形成部6Mはマゼンタの画像をそれぞれ形成する。
【0015】
よって、以下の説明では、画像形成部6BKに着目して説明するが、他の画像形成部6Y、6M、6Cは画像形成部6BKと同様であるので、その画像形成部6Y、6M、6Cの各構成要素については、画像形成部6BKの各構成要素に付したBKに替えて、Y、M、Cによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0016】
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動する。この駆動モータと駆動ローラ7と従動ローラ8とは、無端状移動手段である搬送ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0017】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて回転駆動される搬送ベルト5により最初の画像形成部6BKに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像を転写される。
【0018】
画像形成部6BKは、感光体としての感光体ドラム9BK、この感光体ドラム9BKの周囲に配置された帯電器10BK、露光器11、現像器12BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器13BK等から構成されている。この構成では、現像器12BKは、感光体ドラム9BKとの離間機構を有していない。露光器11は、各画像形成部6BK、6Y、6M、6Cが形成する画像色に対応する露光ビームであるレーザ光14BK、14Y、14C、14Mを照射するように構成されている。
【0019】
画像形成に際し、感光体ドラム9BKの外周面は、暗中にて帯電器10BKにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応したレーザ光14BKにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム9BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0020】
このトナー画像は、感光体ドラム9BKと搬送ベルト5上の用紙4とが接する位置(転写位置)で、転写機15BKの働きにより用紙4上に転写される。この転写により、用紙4上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器13BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0021】
以上のようにして、画像形成部6BKでブラックのトナー画像を転写された用紙4は、搬送ベルト5によって次の画像形成部6Yに搬送される。画像形成部6Yでは、画像形成部6BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム9Y上にイエローのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙4上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0022】
用紙4は、さらに次の画像形成部6M、6Cに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム9M上に形成されたマゼンタのトナー画像と、感光体ドラム9C上に形成されたシアンのトナー画像とが、用紙4上に重畳されて転写される。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙4は、搬送ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置20の外部に排紙される。
【0023】
以上のような構成のカラー画像形成装置20では、印刷を可能にする状態に移行させるには、定着器16の昇温を待つ必要が有り、昇温後すぐに印刷が開始できるように、作像に関係する感光体9BK、9Y、9M、9C、帯電器10BK、10Y、10M、10C、露光器11、現像器12BK、12Y、12M、12C、転写機15BK、15Y、15M、15Cの立ち上げと搬送ベルト5のクリーニングを実施する。このとき、感光体9BK、9Y、9M、9Cと現像器12BK、12Y、12M、12Cはそれぞれ色ごとに接触しているため、感光体9BK、9Y、9M、9Cが回転すると現像器12BK、12Y、12M、12Cに付随のローラも回転することになる。現像器12BK、12Y、12M、12Cのローラが回転すると、印字動作を行っていなくても、充填されているトナーが漏れる現象が発生する。よって、作像を行うことでトナー消費量が増大することになる。
【0024】
つぎに、図1に示す画像形成装置20の動作を制御する制御部について、図面を参照して詳細に説明する。図2は、本実施の形態による制御部の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御部は、画像展開や、ユーザインターフェース制御等を行う制御ボード23と、展開された画像情報を元に印刷を行う制御ボード33とをデータバス24で繋いだ構成になっている。I/Oポート26/36に入力された情報は、データバス27/37でCPU25/35とRAM28/38に送られる。また、CPU25/35は、I/Oポート26/36にデータバス27/37を通して出力情報を送る。制御ボード33に関しても同様の制御が行われる。また、データバス24は、制御ボード23と制御ボード33との間でのデータのやり取りを行うインタフェースとなっている。これらの制御プログラムは、それぞれROM29、39に格納されている。
【0025】
さらに、本実施の形態による制御部は、制御ボード23に接続された照度センサ30を備える。この照度センサ30で検知された値(照度センサ値)は、I/Oポート26/36を介して、CPU25/35に送られ、CPU25/35による人の有無検知に用いられる。
【0026】
また、制御部は、照度センサ30、オペレーションパネルの操作、印刷要求の情報などを用いて人の有無検知を行い、人がいないと判断した場合には、ファクシミリ印刷要求をRAMに蓄積する。また、人がいないと検知した場合には印刷を実行しないので、制御ボード33の電源を落とし、消費電力の削減を実現してもよい。
【0027】
つぎに、本実施の形態による画像形成装置の動作を、図面を参照して詳細に説明する。図3は、本実施の形態において電源ON後に制御部を含む印刷制御装置が実行する印刷制御動作の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、制御部は、電源が投入されると、初期設定として、第1制御モードを設定する(ステップS101)。なお、第1制御モードとは、ファクシミリ通信やネットワークやコピー機能などを用いて受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する、いわゆる通常時の制御モードである。一方、第2制御モードとは、受け付けた印刷要求を所定のメモリに蓄積しておき、その後、所定の条件を満たした場合に蓄積しておいた印刷ジョブを実行する、いわゆる省エネ時の制御モード(省エネモード)である。
【0028】
つぎに、制御部は、照度センサ30で検出された照度センサ値に基づいて、当該画像形成装置20の設置部屋内や設置位置近傍の人の有無を検知する人検知処理を実行する(ステップS102)。なお、人検知処理の一例については、後述において触れる。
【0029】
つぎに、制御部は、現在の制御モードが第1制御モードであるか否かを判定し(ステップS103)、第1制御モードである場合(ステップS103のYES)、受け付けた印刷ジョブをその場で実行する第1制御モード中印刷受付処理を実行する(ステップS104)。一方、第2制御モードである場合(ステップS103のNO)、制御部は、受け付けた印刷ジョブを所定のメモリに蓄積しておき、その後、所定の条件を満たした場合に蓄積しておいた印刷ジョブを実行する第2制御モード中印刷受付処理を実行する(ステップS105)。なお、第1制御モード中印刷受付処理と第2制御モード中印刷受付処理との例については、後述において触れる。
【0030】
その後、制御部は、たとえば不図示の入力部やネットワークを介してユーザから終了指示が入力されたか否かを判定し(ステップS106)、入力されていた場合、図3に示す主動作を終了する。一方、終了指示が入力されていなければ(ステップS106のNO)、制御部は、ステップS102へ帰還し、その後の処理を実行する。
【0031】
つぎに、図3のステップS102に示す人検知処理について、一例を挙げて説明する。図4は、本実施の形態による人検知処理の一例を示す概略フローチャートである。図4に示すように、人検知処理では、制御部は、まず、照度センサ30から照度センサ値を取得し(ステップS201)、この照度センサ値を所定のメモリ等に保存しておく(ステップS202)。
【0032】
つづいて、制御部は、現在の制御モードが第1制御モードであるか否かを判定し(ステップS203)、第1制御モードである場合(ステップS203のYES)、現在の時刻が予め画像形成装置20に設定された時間帯内であるか否かを判定する(ステップS204)。なお、予め画像処理装置に設定された時間帯には、たとえば9:00〜17:00などの勤務時間帯等、前もって人がいると予想される時間を設定するとよい。この判定ステップを設けることで、事実上、設定時間帯内では、第1制御モードから第2制御モードへの移行が許可されない。
【0033】
この判定の結果、設定時間帯内である場合(ステップS204のYES)、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。一方、設定時間帯内でない場合(ステップS204のNO)、制御部は、照度センサ30から取得した照度センサ値が予め設定しておいた閾値(m)以下であるか否かを判定する(ステップS205)。この判定の結果、照度センサ値が閾値(m)より大きい場合(ステップS205のNO)、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。一方、照度センサ値が閾値(m)以下の場合(ステップS205のYES)、時間間隔(s)で所定回数、照度センサ値を取得し(ステップS206)、これにより得られた値から、時間(t)以上連続して照度センサ値が閾値(m)以下であったか否かを判定する(ステップS207)。この判定の結果、時間(t)以上連続して照度センサ値が閾値(m)以下でなかった場合(ステップS207のNO)、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。一方、時間(t)以上連続して照度センサ値が閾値(m)以下であった場合(ステップS207のYES)、制御部は、周囲に人が居ないと判断し、第2制御モードを設定する(ステップS208)。その後、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。
【0034】
また、ステップS203の判定の結果、現在の制御モードが第2制御モードであった場合(ステップS203のNO)、制御部は、照度センサ30から取得した照度センサ値が予め設定しておいた閾値(n)以上であるか否かを判定する(ステップS209)。この判定の結果、閾値(n)未満であった場合(ステップS209のNO)、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。一方、閾値(n)以上であった場合(ステップS209のYES)、制御部は、時間間隔(u)で所定回数、照度センサ値を取得し(ステップS210)、これにより得られた値から、時間(v)以上連続して照度センサ値が閾値(n)以上であったか否かを判定する(ステップS211)。この判定の結果、時間(v)以上連続して照度センサ値が閾値(n)以上でなかった場合(ステップS211のNO)、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。一方、時間(v)以上連続して照度センサ値が閾値(n)以上であった場合(ステップS211のYES)、制御部は、周囲が明るいと判断して第2制御モードから第1制御モードへの移行を許可し、つづけて、ユーザより操作パネルからの操作があったか否か(ステップS212)、および、ファクシミリ以外の印刷指示があったか否か(ステップS213)をそれぞれ判定する。操作パネルからの操作およびファクシミリ以外の印刷指示のいずれもなかった場合(ステップS212のNOおよびステップS213のNO)、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。一方、操作パネルからの操作またはファクシミリ以外の印刷指示のいずれかがあった場合(ステップS212のYESまたはステップS213のYES)、制御部は、人が居ると判断し、第1制御モードを設定する(ステップS214)。その後、制御部は、人検知処理を終了し、図3に示す動作へリターンする。
【0035】
なお、制御部は、ステップS214において第1制御モードへ移行した場合、直後に、印刷準備を実行し、つづけて、メモリに蓄積しておいた印刷要求を実行するように動作してもよい。
【0036】
このように、本実施の形態では、人の有無をある閾値の上下どちらの事象に存在するかを監視して決定している。また、照度センサ値が閾値以上か未満かを一定時間(tまたはv)監視するのは、照度センサのノイズで人の有無の誤検知を防ぐためである。ここで、第2制御モードから第1制御モードへ復帰する際の判断に用いる閾値(n)は、第1制御モードから第2制御モードへ移行する際の判断に用いる閾値(m)よりも大きい(n>m)ことが好ましい。このように、閾値(n)を閾値(m)より大きくすることで、たとえば図5に示すように、照度センサ値が閾値付近で細かく変化して事象A(閾値(m)よりも明るい状況)と事象B(閾値(m)よりも暗い状況)とが頻繁に変化する場合でも、図6に示すように、事象Aに遷移した後は事象Bへ遷移したとしても事象Cへ遷移するまでは、制御モードを第2制御モードから第1制御モードへ移行許可しないため、制御モードが激しく変化するのを防ぐことができる。すなわち、閾値(m)未満の照度センサ値が時間(t)以上すると第1制御モードに移行し、その後は閾値(n)と照度センサ値との比較になるため、激しく制御モードが変化することがなくなる。同様に、事象Cに遷移した後は事象Bへ遷移したとしても事象Aへ遷移するまでは、制御モードを第1制御モードから第2制御モードへ移行させないため、制御モードが激しく変化するのを防ぐことができる。
【0037】
つぎに、図3のステップS104に示す第1制御モード中印刷受付処理について、一例を挙げて説明する。図7は、本実施の形態による第1制御モード中印刷受付処理の一例を示す概略フローチャートである。図7に示すように、第1制御モード中印刷受付処理では、制御部は、ファクシミリを介した印刷要求があったか否かを判定し(ステップS301)、印刷要求があった場合(ステップS301のYES)、ドラム加熱などの印刷準備を実行し(ステップS302)、その後、要求された印刷ジョブを実行して(ステップS303)、図3に示す動作へリターンする。一方、印刷要求がなければ(ステップS301のNO)、制御部は、そのまま図3に示す動作へリターンする。第1制御モードは人がいると判断した場合の制御モードであるため、印刷要求に対して即座に印刷を実行することで、ダウンタイムの発生を低減している。
【0038】
つづいて、図3のステップS105に示す第2制御モード中印刷要求受付処理について、一例を挙げて説明する。図8は、本実施の形態による第2制御モード中印刷受付処理の一例を示す概略フローチャートである。図8に示すように、第2制御モード中印刷受付処理では、制御部は、ファクシミリを介した印刷要求があったか否かを判定し(ステップS311)、印刷要求があった場合(ステップS311のYES)、印刷要求を所定のメモリに蓄積しておく(ステップS312)。その後、制御部は、メモリが満杯か否か、すなわち、たとえば蓄積しようとした印刷要求をメモリに蓄積しきれなかったか否かを判定し(ステップS313)、メモリが満杯であった場合(ステップS313のYES)、印刷準備を実行し(ステップS314)、つづいて、蓄積しておいた印刷要求の印刷を実行して(ステップS315)、図3の動作へリターンする。なお、メモリが満杯か否かは、たとえばメモリ内の空き容量に対する閾値を予め設定しておき、この閾値よりも空き容量が残存するか否かに基づいて判断してもよい。
【0039】
一方、ステップS311において印刷要求がなかった場合(ステップS311のNO)、もしくは、ステップS313においてメモリが満杯でなかった場合(ステップS313のNO)、制御部は、そのまま図3に示す動作へリターンする。このように、第2制御モードでは、人がいない場合は印刷要求が有ってもすぐに印刷を実行せず、印刷要求の蓄積を行う。印刷要求でRAMなどのメモリが満杯になった場合にまとめて蓄積していた印刷要求を実行することで、印刷可能状態への立ち上げ回数(印刷準備の実行回数)を減らしている。このようにすることで、人がいない場合の消費電力と、トナー消費量の低減とを行うことができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、照度センサ30で設置場所周囲の暗さを検知し、深夜などの人が居ない状況になると、ファクシミリ印刷を蓄積する第2制御モードへ移行し、省エネ状態となる。この状態になると、照度センサ30で十分な明るさを検知しても立ち上がらず、プリンタの操作パネルが操作されるか、または、プリンタ機能でのプリントアウト指示を受け付けたことをトリガとして、人がいることを検知する。また、人がいることを検知すると、ファクシミリの蓄積モードを解除するとともに、蓄積しておいた印刷ジョブを実行する。
【0041】
また、図9は、本実施の形態にかかる印刷制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図9に示すように、この印刷制御装置は、上記制御部に相当する主処理部400、入力装置410、表示装置420、スキャナ430、プロッタ440、NIC460、ドライブ装置480、ハードディスク装置(以下、「HDD」という。)490、入力I/F419、表示I/F429、スキャナI/F439、プロッタI/F449、ドライブI/F489、及び、HDDI/F499を有する。
【0042】
主処理部400は、コンピュータプログラムを実行して各機能を実現する。主処理部400は、例えば、CPU401、ROM408、及び、RAM409を有する。CPU401は、コンピュータプログラムを実行することにより、画像形成装置20が有する各デバイス等の制御を行う。ROM408は、例えば、コンピュータプログラムやパラメータ等が格納され、CPU401にそれらが供せられる。RAM409は、例えば、CPU401がコンピュータプログラムを実行する際のワークメモリとして供せられる。
【0043】
入力装置410は、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイスとして構成され、画像形成装置20に対する指示等が入力される。表示装置420は、画像形成装置20の状態等が表示される。スキャナ430は、画像を光学的に読み取って、画像データを生成する。プロッタ440は、媒体上に画像を形成して出力する。
【0044】
NIC460は、画像形成装置と外部とをネットワークを介して接続する際のインタフェースの機能を実現し、その制御を行う。ドライブ装置480は、記録媒体が挿入され、その記録媒体に記録された情報を読み出し、またその記録媒体に情報を記録する。HDD490は、大容量のデータを格納する記憶手段である。
【0045】
入力I/F419、表示I/F429、スキャナI/F439、プロッタI/F449、ドライブI/F489、及び、HDD I/F499は、それぞれ、入力装置410、表示装置420、スキャナ430、プロッタ440、ドライブ装置480、及び、HDD490がバスを介して主処理部400と接続される際のインタフェースである。
【0046】
なお、上記実施の形態では、画像形成装置を、ファクシミリ機能の他、コピー機能、プリンタ機能およびスキャナ機能のうち少なくとも1つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
20 画像形成装置
23、33 制御ボード
25、35 CPU
26、36 I/Oポート
27、37 データバス
28、38 RAM
29、39 ROM
30 照度センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2004−274667号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ機能を備えた印刷制御装置であって、
前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付部と、
当該印刷制御装置を搭載する画像形成装置に対するユーザからの操作入力を受け付ける入力受付部と、
印刷要求を蓄積するメモリ部と、
周囲の照度を検出する照度センサと、
前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する制御部と
を備え、
前記制御部は、現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度センサで検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上である場合であって前記入力受付部で操作入力を受け付けた場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記メモリ部が満杯となった場合、前記メモリ部に蓄積された印刷要求を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2制御モードから前記第1制御モードへ移行した場合、前記メモリ部に蓄積しておいた印刷要求を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、現在の動作モードが前記第1制御モードである場合、前記照度センサで検出された値が第2時間以上継続して第2閾値以下であった場合に、前記第1制御モードから前記第2制御モードへ移行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、現在の時刻が予め設定された時間帯に含まれる場合、前記第1制御モードから前記第2制御モードへの移行を許可しないことを特徴とする請求項4に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
ユーザが操作可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行が許可された状態で前記操作部に操作が入力された場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへ移行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記ファクシミリ機能以外の機能を少なくとも1つ備え、
前記制御部は、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行が許可された状態で前記ファクシミリ機能以外の機能の実行が要求された場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへ移行することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の印刷制御装置と、
印刷要求を実行する印刷エンジンと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
ファクシミリ機能とユーザからの操作入力を受け付ける入力受付部とを備えた画像形成装置の印刷制御方法であって、
前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付ステップと、
周囲の照度を検出する照度検出ステップと、
前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する管理ステップと、
現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度検出ステップで検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上である場合であって前記入力受付部で操作入力を受け付けた場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可する許可ステップと、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項10】
ファクシミリ機能とユーザからの操作入力を受け付ける入力受付部とを備えた画像形成装置を機能させるためのプログラムであって、
前記ファクシミリ機能で受信した印刷要求を受け付ける印刷要求受付処理と、
周囲の照度を検出する照度検出処理と、
前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求に応じて通常印刷を実行する第1制御モードと、前記印刷要求受付部で受け付けた印刷要求を前記メモリ部へ蓄積する第2制御モードとを管理する管理処理と、
現在の制御モードが前記第2制御モードである期間中、前記照度検出処理で検出された値が第1時間以上継続して第1閾値以上である場合であって前記入力受付部で操作入力を受け付けた場合、前記第2制御モードから前記第1制御モードへの移行を許可する許可処理と、
を前記画像形成装置に実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−65209(P2012−65209A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208628(P2010−208628)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】