説明

印刷制御装置及び印刷制御プログラム

【課題】予め定められたユーザ以外の重複印刷を防止することができる印刷制御装置及び印刷制御プログラムを提供する。
【解決手段】受信した印刷データと記憶部48に記憶されている印刷済データ50とを印刷データ比較処理部40により比較し、一致するページがある場合は、ユーザIDを比較し、ユーザIDが一致する場合は、画像形成部42により印刷を実行し、一致しない場合は、印刷を禁止し、ユーザサーバにその旨を通知する。通知を受けたユーザから禁止された印刷データの印刷の要求を受け付けると、当該印刷データを印刷する。印刷が終了した印刷データを印刷済データとしてユーザIDと対応付けて記憶部48に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アプリケーションプログラムが処理した処理データの識別情報と、以前に印刷装置に送信した処理データの履歴情報とを比較し、履歴情報の中に識別情報と重複する情報が検出された場合は、処理データから印刷データへの変換を行わせない技術が記載されている。
【0003】
特許文献2には、印刷要求された印刷ジョブのジョブ情報の各項目が記憶手段に記憶されている印刷ジョブのジョブ情報の各項目に指定された類似範囲に含まれるかを判断し、類似または同一の印刷ジョブであると判断された場合は内容の異なるページのみを印刷出力する技術が記載されている。
【0004】
特許文献3には、記憶媒体に記憶された画像を印刷する際に、重複画像の印刷を禁止する技術が記載されている。
【0005】
特許文献4には、現印刷ページの黒色ドットもしくは白色ドットの数と、以前印刷済みのページの黒色ドットもしくは白色ドットの数とを比較し、同一のものがあるときには、印刷を一時中止する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2000−233555号公報
【特許文献2】特開2000−238382号公報
【特許文献3】特開2005−193447号公報
【特許文献4】特開2007−018152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、予め定められたユーザ以外の重複印刷を防止することができる印刷制御装置及び印刷制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の印刷制御装置は、ページ単位の画像データを含む印刷データ及び前記印刷データの印刷装置による印刷を要求するユーザのユーザ情報を受け付ける印刷データ受付手段と、前記印刷データ受付手段で受け付けた前記印刷データであって前記印刷装置により印刷された印刷済データと前記印刷済データの印刷を要求したユーザのユーザ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、前記印刷データ受付手段で受け付けた印刷データが前記記憶手段に記憶されている印刷済データに含まれる画像データと一致する画像データを含む場合は、前記対応関係に基づいて、前記印刷データに対応するユーザ情報と前記印刷済データに対応するユーザ情報とが一致する前記印刷データを印刷し、前記ユーザ情報が一致しない前記印刷データの印刷を禁止するように前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の印刷制御装置は、請求項1に記載の印刷制御装置において、前記印刷制御手段により印刷が禁止された印刷データの印刷再要求を当該印刷データに対応するユーザから受け付ける印刷再要求受付手段をさらに備え、前記印刷制御手段は、前記印刷再要求受付手段により再要求を受け付けた前記印刷データを印刷するように前記印刷装置を制御する。
【0009】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置において、前記印刷制御手段は、前記一致するページの画像データのみ印刷を禁止するように前記印刷装置を制御する。
【0010】
請求項4に記載の印刷制御装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷制御装置において、前記一致する画像データに関する情報を前記印刷データの印刷を要求した前記ユーザに報知する報知手段をさらに備える。
【0011】
請求項5に記載の印刷制御装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷制御装置において、前記印刷制御手段は、前記印刷データと、前記印刷済データと、を比較する比較手段を含み、前記比較手段は、前記印刷データ及び前記印刷済データの生データ同士を比較することにより、または、前記印刷データ及び前記印刷済データにより生成したイメージデータのチェックサム値同士を比較することにより、前記印刷データと、前記印刷済データと、を比較する。
【0012】
請求項6に記載の印刷制御装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷制御装置において、前記印刷制御手段は、前記一致する画像データを印刷する場合は、前記一致する画像データに関する情報を印刷するように前記印刷装置を制御する。
【0013】
請求項7に記載の印刷制御装置は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷制御装置において、前記ユーザから印刷を要求された印刷データを前記印刷装置に送信する印刷データ送信装置から前記印刷装置へ印刷データを送信する場合に、印刷が禁止されるべき前記印刷データの送信を禁止するように前記印刷データ送信装置を制御する印刷データ送信制御手段をさらに備える。
【0014】
請求項8に記載の印刷制御プログラムは、コンピュータシステムを、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷制御装置を構成する各手段として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の本発明によれば、予め定められたユーザ以外の重複印刷を防止することができる、という効果が得られる。
【0016】
請求項2に記載の本発明によれば、予め定められたユーザ以外であっても、ユーザが重複印刷を要求する場合は重複印刷を行うことができる、という効果が得られる。
【0017】
請求項3に記載の本発明によれば、重複する画像データの印刷のみを禁止することができる、という効果が得られる。
【0018】
請求項4に記載の本発明によれば、重複印刷に関してユーザに認識させることができる、という効果が得られる。
【0019】
請求項5に記載の本発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、処理速度が速くなる、という効果が得られる。
【0020】
請求項6に記載の本発明によれば、重複印刷に関してユーザに認識させることができる、という効果が得られる。
【0021】
請求項7に記載の本発明によれば、印刷装置に送られる印刷データ量を削減することができる、という効果が得られる。
【0022】
請求項8に記載の本発明によれば、予め定められたユーザ以外の重複印刷を防止することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態において印刷データとは、ページ単位の画像データを含むものである。
【0024】
本実施の形態に係る印刷制御システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る印刷制御システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
【0025】
本実施の形態の印刷制御システム10は、ホストコンピュータ12、n個のユーザサーバ14n(nは1以上の整数、個々を区別する必要がないときは総称してユーザサーバ14という。)、m個の印刷サーバ16m(mは1以上の整数、個々を区別する必要がないときは総称して印刷サーバ16という。)、x個の印刷装置18x(xは1以上の整数)、y個の印刷装置18my(yは1以上の整数)、及びLAN(ローカルエリアネットワーク)やンターネット等のネットワーク20を備えている。なお、印刷装置18x及び印刷装置18myの個々を区別する必要がないときは総称して印刷装置18という。ホストコンピュータ12、ユーザサーバ14、印刷サーバ16、及び印刷装置18はネットワーク20を介して相互に接続されている。
【0026】
ホストコンピュータ12は、印刷システム10全体の管理を行うためのコンピュータである。
【0027】
ユーザサーバ14は、印刷を要求するユーザのユーザIDと印刷データとをユーザが印刷装置18に送信するためのコンピュータである。また、ユーザが印刷データの印刷に関する指示や情報等を送受信するためのものである。
【0028】
印刷サーバ16は、印刷装置18を管理するためのコンピュータである。印刷装置18は、ユーザサーバ14から要求を受けた印刷データの印刷を実行するためのものであり、具体的例としては、プリンタや印刷機能を備えた複合機等が挙げられる。
【0029】
次に、印刷装置18で重複印刷に関する印刷制御を行う場合を説明する。なお、本発明の印刷制御システム10では、重複印刷に関する印刷制御は印刷装置18で行う場合に限らず、ホストコンピュータ12及び印刷サーバ16等で行ってもよいし、図1点線内部に示したように、管理サーバ22を設け、管理サーバ22で印刷制御をするようにしてもよい(詳細後述)。
【0030】
重複印刷に関する印刷制御を行う印刷装置18の概略構成の一例を示す機能ブロック図を図2に示す。
【0031】
本実施の形態の印刷装置18は、CPU30、ROM32、RAM36、HDD38、印刷データ比較処理部40、画像形成部42、印刷データ送受信部44、ページバッファ46、及び記憶部48を備えて構成されている。
【0032】
CPU30は、印刷装置18の全体を制御するためのものである。本実施の形態では、CPU30は、印刷制御プログラム34を実行し、印刷制御処理することにより、重複印刷に関する印刷制御を行う。印刷制御プログラム34は、記録媒体としてのROM44に記憶されている。なお、印刷制御プログラム34は、CD−ROM(図示省略)やDVD−ROM(図示省略)、リムーバブルディスク(図示省略)等の記録媒体や、ネットワーク20に接続された他の装置に記憶しておき、HDD38等にインストールし、CPU30により読み込まれて実行されるようにしてもよい。ROM32には、印刷制御プログラム34等の各種プログラムやパラメータ等が記憶されており、RAM36は、CPU30による印刷制御プログラム等の各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。HDD38は、受信した印刷データ及び対応するユーザIDを印刷制御処理を行っている間、一時的に記憶する。
【0033】
印刷データ送受信部44は、印刷サーバ16を介して、印刷データ及び印刷を要求するユーザのユーザIDや、印刷データの送受信に関する情報等を印刷要求元のユーザサーバ14と授受するためのものであり、具体的一例としては、入出力I/F(インターフェイス)が挙げられる。
【0034】
ページバッファ46は、受信した印刷データや記憶部48に記憶されている印刷済データをページデータに展開して一時的に記憶するためのものであり、具体的一例としては、DRAMが挙げられる。
【0035】
印刷データ比較部40は、受信した印刷データと記憶部48に記憶されている印刷済データとを比較するためのものである(詳細後述)。
【0036】
画像形成部42は、印刷データ(画像データ)による画像を記録媒体(用紙等)上に形成(印刷)するためのものであり、具体的一例としては、プリンタエンジンが挙げられる。
【0037】
記憶部48は、画像形成部42により印刷された(印刷が終了した)印刷済データ50と、印刷済データ50の印刷を要求したユーザを特定するためのユーザID52と、を対応付けて記憶するためのものである。
CPU30、ROM32、RAM36、HDD38、印刷データ比較処理部40、画像形成部42、印刷データ送受信部44、ページバッファ46、及び記憶部48は、コントロールバスやデータバス等のバス54を介して互いに情報等の授受が可能に接続されている。
【0038】
次に、本実施の形態の印刷装置18で実行される印刷制御処理について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、画像形成部42で印刷された印刷済データ50及び対応するユーザID52が既に、記憶部48に記憶されている状態について説明する。
【0039】
図3は、本実施の形態の印刷制御処理のメイン処理一例を示すフローチャートである。なお、本処理は、印刷装置18が印刷データ及びユーザIDをユーザサーバ14から受信した場合に実行される。
【0040】
まず、ステップ100では、詳細を後述する印刷データ比較処理により、受信した印刷データと記憶部48に記憶されている印刷済データ50との比較を行う。
【0041】
次のステップ102では、ステップ100の印刷データ比較処理により比較した結果、印刷データに印刷済データ50と一致するページ(画像データ)があるか否か判断する。一致するページが無い場合は否定されて、ステップ112へ進む。一方、一致するページがある場合は肯定されて、ステップ104へ進む。
【0042】
ステップ104では、印刷データに対応するユーザIDと、一致するページがある印刷済データ50のユーザID52と、を比較する。なお、本実施の形態では、ユーザIDを用いているがこれに限らず、ユーザ個人を特定できる情報であればよい。ユーザID以外の具体的例としては、ユーザ名、パスワード等が挙げられる。また、ユーザサーバ14の端末情報を表す情報であってもよい。
【0043】
次のステップ106では、比較した結果、ユーザIDが一致するか否か判断する。一致する場合は肯定されて、ステップ112へ進む。一方、一致しない場合は否定されて、ステップ108へ進む。
【0044】
ステップ108では、印刷データの印刷を禁止し、ユーザサーバ14に比較結果の通知を送信する。本実施の形態では、印刷が禁止されたが印刷データに関する情報(ユーザが印刷データを認識できるための情報)、印刷が禁止された旨、及び印刷を再度要求するかの問い合わせを通知する。なお、本実施の形態では、ユーザサーバ14に通知するようにしているが、これに限らず、ネットワーク20に接続された他の装置に通知し、当該装置に通知を記録しておき、ユーザが当該装置にアクセスして通知を受け取ることができるようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施の形態では、印刷を禁止した印刷データ及び対応するユーザIDは、ユーザが印刷の再要求を行わない、すなわち、次のステップ110で否定されるまでは、HDD38や記憶部48に記憶しておくようにする。
【0046】
次のステップ110では、印刷を実行するか否かを判断する。本実施の形態では、ステップ108でユーザサーバ14に通知した印刷を再度要求するかの問い合わせに対して、ユーザから印刷の再要求が行われた場合に、印刷を実行すると判断し、肯定されて、ステップ112へ進む。一方、例えば、印刷を行わない旨の通知を受け付けたり、予め定めた待機時間が経過したりした場合等、再要求が行われない場合は否定されて、本処理を終了する。
【0047】
なお、本実施の形態では、ステップ108で行った問い合わせに対して再要求が行われた場合に印刷を実行すると判断しているが、これに限らず、例えば、予め印刷データとともに重複印刷を行う旨の指示を受け付けた場合等は当該指示を読み取ることにより印刷の再要求が行われたものと判断するようにしてもよい。
【0048】
ステップ102で否定された場合、ステップ106で肯定された場合、及びステップ110で肯定された場合のステップ112では、画像形成部42により印刷データの印刷を実行する。なお、印刷が実行されることにより、印刷データは印刷済データになる。
【0049】
次のステップ114では、画像形成部42により印刷データの印刷結果記録の印刷を実行する。印刷結果記録とは、一致するページが有る、即ち、既に印刷済の印刷済データ50の重複印刷であることをユーザに認知させるための情報である。また、重複する印刷済データ50と対応するユーザID82や、印刷された印刷データの印刷を要求した現ユーザID等を含んでいてもよい。
【0050】
印刷結果記録は、例えば、印刷データにより画像が形成された用紙上の欄外(画像形成場所外)や、印刷データの印刷後に別紙に印刷するようにすればよい。
【0051】
次のステップ116では、印刷済データ(印刷が実行された印刷データ)及び対応するユーザIDを記憶部48に記憶した後、本処理を終了する。なお、印刷結果記録を印刷済データと対応付けて記憶してもよい。また、一致するページの画像データ(印刷データ)は、記憶せずに、印刷結果記録のみを記憶するようにしてもよい。
【0052】
なお、本処理は、一致する画像データを含む全ての印刷データに対してステップ102で肯定された場合のステップ104〜ステップ110の処理を行うようにする、印刷ジョブ単位の処理を行うようにしてもよいし、一致する画像データのみステップ102で肯定された場合のステップ104〜ステップ110の処理を行い、一致しない画像データはステップ102で否定された場合のステップ112の処理に進むようにする、ページ単位の処理を行うようにしてもよい。ページ単位の処理を行う場合は、一致する画像データのみ印刷を禁止するため、重複印刷のみが禁止される。
【0053】
次に、ステップ100の印刷データ比較処理部40による印刷データ比較処理について詳細に説明する。
【0054】
図4は、印刷データ比較処理をRAWデータにより行う場合の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップ200では、記憶部48から印刷済データ50を読み出す。なお、当該印刷済データは未加工のRAWデータである。
【0056】
次のステップ202では、受信した印刷データと、印刷済データ50と、を比較した後、本処理を終了し、メイン処理のステップ102へ進む。なお、ここでは、印刷データのRAWデータと、印刷済データ50のRAWデータと、をページ単位で比較するが、印刷ジョブ単位の処理を行う場合は、印刷ジョブ単位で比較を行ってもよい。
【0057】
さらに図5に、印刷データ比較処理をSUM値で行う場合の一例のフローチャートを示す。
【0058】
ステップ300では、受信した印刷データからイメージデータを生成する。具体的例としては、ビットマップデータデータを生成する。次のステップ302では、生成したイメージデータのチェックサムのSUM値を算出する。
【0059】
次のステップ304では、記憶部48に記憶されている印刷済データ50のチェックサムのSUM値を算出する。
次のステップ306では、算出した印刷データのSUM値と、印刷済データ50のSUM値と、を比較した後、本処理を終了し、メイン処理のステップ102へ進む。なお、ここでは、印刷データのSUM値と、印刷済データ50のSUM値と、をページ単位で比較するが、印刷ジョブ単位の処理を行う場合は、印刷ジョブ単位で比較を行ってもよい。
【0060】
印刷データ比較処理は、図4及び図5に示した例に限らず、例えば、画像データの黒色ドットや白色ドットの数同士を比較したり、その他類似画像検索等を行うようにしたりしてもよい。なお、RAWデータ同士を比較する場合、プリンタ言語であるため、高速な処理が行える。また、SUM値同士を比較する場合は、SUM値の算出を容易に行えるため、高速な処理が行える。RAWデータ、SUM値、及びその他の処理法のいずれにより、比較を行うかは、例えば、画像データや印刷データのデータ量等や、処理時間及び比較精度の何れを優先させるか等により、予め定めておいてもよいし、選択することができるようにしてもよい。
【0061】
このように、印刷装置18で重複印刷に関する制御を行う場合は、受信した印刷データと記憶部48に記憶されている印刷済データ50とを印刷データ比較処理部40により比較し、一致するページがある場合は、ユーザIDを比較し、ユーザIDが一致する場合は、画像形成部42により印刷を実行し、一致しない場合は、印刷を禁止し、ユーザサーバ14にその旨を通知する。通知を受けたユーザ(ユーザサーバ14)から禁止された印刷データの印刷の要求(印刷データの印刷の再要求)を受け付けると、当該印刷データを画像形成部42により印刷する。画像形成部42により印刷が終了した印刷データを印刷済データとしてユーザIDと対応付けて記憶部48に記憶する。
【0062】
本実施の形態の印刷装置18では、ユーザIDが一致しない印刷データの重複印刷が禁止される。また、禁止された印刷データであっても、重複印刷であることを通知されたユーザが印刷を再要求する場合は当該印刷データは重複印刷される。従って、ユーザIDが一致せず、ユーザから印刷を再要求されない当該印刷データは重複印刷を防止する。
【0063】
なお、本実施の形態では、印刷装置18がユーザサーバ14からの印刷要求を受け付けるプリンタとして機能する場合について詳細に説明したが、印刷装置18を画像読取部を設けたコピー、スキャナ等の機能を有する装置とし、画像読取部で読み取った印刷データと印刷済データとを比較することにより重複印刷を防止するようにしてもよい。
【0064】
次に、重複印刷に関する印刷制御を印刷装置18以外で行う場合について、一例として図1点線内部に示した管理サーバ22で印刷制御をする場合について詳細に説明する。
【0065】
図6に管理サーバ22の概略構成の一例の機能ブロック図を示す。管理サーバ22は、CPU60、印刷制御プログラム64を記憶するROM62、RAM66、HDD68、データ比較処理部70、印刷データ送受信部74、ページバッファ76、及び記憶部78を備えて構成されている。
【0066】
なお、CPU60はCPU30に、ROM62はROM32に、RAM66はRAM36に、HDD68はHDD38に、データ比較処理部70は印刷データ比較処理部40に、印刷データ送受信部74は印刷データ送受信部44に、ページバッファ76はページバッファ46に、及び記憶部78は記憶部48にそれぞれ対応しているため、異なる部分、機能のみ詳細に説明する。
【0067】
CPU60は、管理サーバ22の全体を制御するためのものである。本実施の形態では、CPU60は、印刷制御プログラム64を実行し、印刷制御処理することにより、重複印刷に関する印刷制御を行う。これにより管理サーバ22は、重複印刷制御装置として機能する。
【0068】
印刷データ送受信部74は、ユーザサーバ14から印刷データを受信し、印刷装置18へ重複印刷制御に関する指示や、印刷データ等を送信するためのものである。
【0069】
記憶部78は、印刷装置18で印刷済の印刷済データ80とユーザID82とを対応付けて記憶するためのものである。
【0070】
本実施の形態の管理サーバ22で実行される重複印刷を制御する印刷制御処理について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、印刷装置18で印刷された印刷済データ80及び対応するユーザID82が既に、記憶部78に記憶されている状態について説明する。
【0071】
図7は、本実施の形態の管理サーバで実行される印刷制御処理のメイン処理一例を示すフローチャートである。なお、本処理は、管理サーバ22が印刷データ及びユーザIDをユーザサーバ14から受信した場合に実行される。
【0072】
まず、ステップ400では、印刷データ比較処理により、受信した印刷データと記憶部78に記憶されている印刷済データ80との比較を行う。次のステップ402では、印刷データに印刷済データ80と一致するページ(画像データ)があるか否か判断する。一致するページが無い場合は否定されて、ステップ414へ進み、一致するページがある場合は肯定されて、ステップ404へ進む。ステップ404では、印刷データに対応するユーザIDと、一致するページがある印刷済データ80のユーザID82と、を比較し、次のステップ406では、ユーザIDが一致するか否か判断する。一致する場合は肯定されて、ステップ406へ進み、一致しない場合は否定されて、ステップ408へ進む。ステップ408では、印刷データの印刷を禁止し、ユーザサーバ14に比較結果の通知を送信する。次のステップ410では、印刷を実行するか否かを判断する。印刷を実行する場合は肯定されて、ステップ412へ進む。一方、印刷の再要求が行われない場合は否定されて、本処理を終了する。
【0073】
なお、ステップ400〜ステップ410は、図3に示した印刷制御処理のステップ100〜ステップ110にそれぞれ対応している。
【0074】
ステップ410で肯定された場合のステップ412では、ユーザサーバ14に、一致する画像データ以外の印刷データを印刷装置18に送信するように指示した後、ステップ416へ進む。なお、ユーザサーバ14に指示するのではなく、受信した印刷データから一致する画像データを除いた印刷データを印刷データ送受信部74から印刷装置18に送信するようにしてもよい。
【0075】
また、ステップ402で肯定された場合のステップ414では、ユーザサーバ14に受信した印刷データを印刷装置18に送信するように指示した後、ステップ416へ進む。すなわち、全画像データの送信を指示する。なお、ユーザサーバ14に指示するのではなく、受信した印刷データを印刷データ送受信部74から印刷装置18に送信するようにしてもよい。
【0076】
ステップ416では、印刷装置18に受信した印刷データの印刷を実行するように指示し、次のステップ418では、印刷装置18に印刷データの印刷結果記録の印刷を実行するように指示する。
【0077】
次のステップ420では、印刷済データ(印刷が実行された印刷データ)及び対応するユーザIDを記憶部78に記憶した後、本処理を終了する。なお、記憶する印刷済データ及び対応するユーザIDは、受信した印刷データ(印刷済データ80と比較した印刷データ)と対応するユーザIDによるものでもよいし、印刷を終了した印刷装置18から受信したものでもよい。
【0078】
なお、ステップ416〜ステップ420は、図3に示した印刷制御処理のステップ112〜ステップ116にそれぞれ対応している。
【0079】
このように、管理サーバ22で重複印刷に関する制御を行う場合は、受信した印刷データと記憶部78に記憶されている印刷済データ80とを印刷データ比較処理部70により比較し、一致するページがある場合は、ユーザIDを比較し、ユーザIDが一致する場合は、印刷装置18に印刷の実行を指示し、一致しない場合は、印刷を禁止し、ユーザサーバ14にその旨を通知する。通知を受けたユーザから印刷データの印刷の再要求を受け付けると、当該印刷データの印刷の実行を印刷装置18に指示する。印刷装置18により印刷が終了した印刷データ(印刷の実行を指示した印刷データ)を印刷済データとしてユーザIDと対応付けて記憶部78に記憶する。
【0080】
従って、本実施の形態の管理サーバ22では、印刷装置18で重複印刷の制御を行う場合と同様に、ユーザIDが一致しない印刷データの重複印刷が禁止される。また、禁止された印刷データの印刷をユーザが再要求する場合は重複印刷される。従って、ユーザIDが一致せず、ユーザから印刷を再要求されない当該印刷データは重複印刷を防止する。
【0081】
また、管理サーバ22で重複印刷に関する制御を行う場合は、印刷を禁止した画像データを除いた印刷データを印刷装置18に送信する。
【0082】
従って、印刷装置18に送信される印刷データのデータ量が削減される。
【0083】
なお、以上では、印刷装置18で重複印刷の制御を行う場合及び管理サーバ22で重複印刷の制御を行う場合について詳細に説明したがこれに限らず、例えば、印刷サーバ16等他の装置で制御を行うようにしてもよい。
【0084】
印刷装置18で制御を行う場合は、記憶部48に印刷済データ50とユーザID52とを記憶するので、異なった印刷サーバ16から送信された印刷データの重複印刷も防止する。
【0085】
なお、印刷済データ及びユーザIDを記憶する記憶部が複数の装置に設けられている場合は、重複印刷の制御を行う装置からネットワーク20等を介して各装置に設けられている記憶部に記憶されている印刷済データ及びユーザIDを読出し、印刷データと比較処理を行うことにより、より重複印刷が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷制御システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る印刷装置で実行される印刷制御処理のメイン処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る印刷装置で実行される印刷制御処理における印刷データ比較処理をRAWデータで行う場合の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る印刷装置で実行される印刷制御処理における印刷データ比較処理をSUM値で行う場合の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る管理サーバの概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る管理サーバで実行される印刷制御処理のメイン処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
10 印刷制御システム
14 ユーザサーバ
18 印刷装置
22 管理サーバ
30 CPU
34、64 印刷制御プログラム
40、70 印刷データ比較処理部
42 画像形成部
44、74 印刷データ送受信部
48、78 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ単位の画像データを含む印刷データ及び前記印刷データの印刷装置による印刷を要求するユーザのユーザ情報を受け付ける印刷データ受付手段と、
前記印刷データ受付手段で受け付けた前記印刷データであって前記印刷装置により印刷された印刷済データと前記印刷済データの印刷を要求したユーザのユーザ情報との対応関係を記憶する記憶手段と、
前記印刷データ受付手段で受け付けた印刷データが前記記憶手段に記憶されている印刷済データに含まれる画像データと一致する画像データを含む場合は、前記対応関係に基づいて、前記印刷データに対応するユーザ情報と前記印刷済データに対応するユーザ情報とが一致する前記印刷データを印刷し、前記ユーザ情報が一致しない前記印刷データの印刷を禁止するように前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、
を備えた印刷制御装置。
【請求項2】
前記印刷制御手段により印刷が禁止された印刷データの印刷再要求を当該印刷データに対応するユーザから受け付ける印刷再要求受付手段をさらに備え、
前記印刷制御手段は、前記印刷再要求受付手段により再要求を受け付けた前記印刷データを印刷するように前記印刷装置を制御する、
請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、前記一致するページの画像データのみ印刷を禁止するように前記印刷装置を制御する、
請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記一致する画像データに関する情報を前記印刷データの印刷を要求した前記ユーザに報知する報知手段をさらに備えた、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記印刷制御手段は、前記印刷データと、前記印刷済データと、を比較する比較手段を含み、前記比較手段は、前記印刷データ及び前記印刷済データの生データ同士を比較することにより、または、前記印刷データ及び前記印刷済データにより生成したイメージデータのチェックサム値同士を比較することにより、前記印刷データと、前記印刷済データと、を比較する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記印刷制御手段は、前記一致する画像データを印刷する場合は、前記一致する画像データに関する情報を印刷するように前記印刷装置を制御する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記ユーザから印刷を要求された印刷データを前記印刷装置に送信する印刷データ送信装置から前記印刷装置へ印刷データを送信する場合に、印刷が禁止されるべき前記印刷データの送信を禁止するように前記印刷データ送信装置を制御する印刷データ送信制御手段をさらに備えた、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
コンピュータシステムを、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の印刷制御装置を構成する各手段として機能させるための印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−100000(P2010−100000A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275479(P2008−275479)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】