説明

印刷回路板のための難燃性プリプレグ及びラミネート

【課題】印刷回路板のための難燃性プリプレグ及びラミネートを提供すること。
【解決手段】本発明は、難燃剤として微粒子径メラミンシアヌレート又は微粒子径メラミンシアヌレートと微粒子径メラミンポリホスフェートとの混合物を含むプリプレグ、ラミネート及び印刷回路板を対象にする。該プリプレグ、ラミネート及び印刷回路板は、UL94基準によって測定される優れた難燃剤、低絶対誘電率、良好な電気的、熱的及び機械的性質並びに良好な機械加工性、低密度及び均一な外観を示す。該プリプレグ、ラミネート及び印刷回路板はまた有利に特定のホスフィネート及び/又はジホスフィネートを含有する。組成物はまた有利にハロゲン及びアンチモン化合物を含んでない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた難燃性、良好な熱安定性及び熱膨張特性、一様な外観、低密度並びに良好なせん孔性を有する印刷回路板の形成に用いるプリプレグ及びラミネート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路板は、電子等級繊維ガラス(E−ガラス)のような布を、液体熱硬化性エポキシ樹脂により含浸することによって製造される。含浸した布は部分的に樹脂を硬化するため、及び前記樹脂が中間硬化状態、すなわち時には“B”ステージ又は“プリ−プレグ”(プリプレグ)と称されるところの乾燥軟質シートを形成するために加熱される。次にプリプレグシートはその後所望の厚さに一緒に積み重ねられ、そして樹脂を完全に硬化する熱及び圧力が加えられる。これは、樹脂が時には“C”ステージにあると言われる積層複合体を形成する。
印刷回路板は、エポキシ樹脂約50質量%及び電子等級繊維ガラス(E−ガラス)50質量%から成る。前記プリプレグ及びラミネートは、良好な難燃性を有する。例えば、電子組成物のための難燃性の基準は、UL−94 V−0規格である。
特許文献1は、難燃剤被覆配合物を教示する。
特許文献2は、印刷回路板のためのプリプレグ及びラミネートを教示する。
特許文献3は、有機ホスフィネート及びメラミンとリン酸の縮合生成物の難燃剤の組み合わせを教示する。
特許文献4は、三酸化アンチモン及び臭素化化合物の使用をなくすために特定の亜リン酸を含有する難燃剤を含む半導体封入剤としてのエポキシ樹脂組成物を開示する。
特許文献5は、シリコーンゴム粉末及び有機官能シリコーン流体とともに、トリス−フェノールメタン多官能性フェノール系硬化剤と組み合わせたトリス−フェノールメタン多官能性エポキシ樹脂を含む低応力エポキシ成形組成物を開示する。前記有機官能シリコーン流体は、成形化合物に流動性を与えるために与えられる。
特許文献6及び特許文献7は、難燃剤としてメラミンシアヌレートを含む電子エポキシ成形組成物を教示する。
ハロゲン化難燃剤無しで及びアンチモン化合物無しでUL−94 V−0規格を満たすエポキシ樹脂を用いて製造した難燃性プリプレグ及びラミネートを提供することが望ましい。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0002559号明細書
【特許文献2】米国特許第6,632,511号明細書
【特許文献3】米国特許第6,255,371号明細書
【特許文献4】米国特許第5,739,187号明細書
【特許文献5】米国特許第5,434,199号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0166241号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0166325号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の対象は、印刷回路板のためのプリプレグ又はラミネートであって、該プリプレグ又はラミネートが
エポキシ樹脂及び
粒子の約99%が約15ミクロン又はそれ未満の直径を有する、微粒子径メラミンシアヌレート又は微粒子径メラミンシアヌレートと微粒子径メラミンポリホスフェートとの混合物である難燃剤
を含む。
【0004】
本発明はまた、印刷回路板のためのプリプレグ又はラミネートであって、プリプレグ又はラミネートが
エポキシ樹脂及び
粒子の約99%が約15ミクロン又はそれ未満の直径を有する、微粒子径メラミンシアヌレート又は微粒子径メラミンシアヌレートと微粒子径メラミンポリホスフェートとの混合物、及びホスフィネート及び/又はジホスフィネートを含む難燃剤の組み合わせ
を含む。
前記エポキシプリプレグ及びラミネート並びにその結果得られた被覆回路板は、UL−94によって測定されるようにV−0を満たす優れた難燃性を示し、均一な誘電率、良好な熱安定性及び熱膨張特性、一様な外観、低密度並びに良好なせん孔性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
米国特許出願公開第2004/0166241号明細書及び米国特許出願公開第2004/0166325号明細書は、難燃剤としてメラミンシアヌレートを含む電子エポキシ成形組成物を教示する。
【0006】
本発明のプリプレグ及びラミネートにおいて使用し得るエポキシ樹脂の種類に制限はない。一般に2種以上の反応性オキシラン基を含有する。例えば、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂及びフェノール系ノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、シクロペンタジエン含有エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、ヒドロキノンエポキシ樹脂、並びにスチルベンエポキシ樹脂から選択し得る。前記プリプレグ及びラミネートは、1種より多いエポキシ樹脂、例えばエポキシクレゾールノボラック樹脂及びビフェニルエポキシ樹脂を含み得る。
【0007】
ジ−エポキシとして既知であるビスフェノール及びビフェニルエポキシ樹脂、並びに多官能性エポキシとして既知であるエポキシクレゾールノボラック樹脂が本発明において有用である。そのようなエポキシは、ペンダントエポキシ基を有する2つのフェノール基を同じ炭素原子によって結合する、2つの分岐度を有する。例えば、ビスフェノールAのグリシジルエーテルは二官能性であり、中央の炭素原子から伸びるペンダントエポキシ基を有する2つのフェノール基を含む。従って2つの分岐度を有する。エポキシクレゾールノボラック樹脂は、しばしば“多官能”として引用されるが、それらはポリマー鎖から伸び得る複数のペンダントエポキシ部分を有する高分子化合物である。例えば、エポキシクレゾールノボラック樹脂は、下記の構造を含む:
【化1】


n=0の場合、この構造の官能価は2である。仮にn=1の場合、該官能価は3であり;n=4の場合、該官能価は4、などである。この化合物は多官能性エポキシ樹脂として既知である。2つのフェノール基だけが同じ炭素原子又は炭素原子の小さなクラスターから
伸びるので、この型の樹脂の分岐度は2に等しい。
特に望ましい態様において、前記エポキシ樹脂は少なくとも3つの樹脂の主鎖の中に分岐度を有する多官能性エポキシ樹脂である。このように、特に望ましい多官能性エポキシ樹脂はフェノールに由来するものであり、そして同じ中央の炭素原子又は炭素原子の中央のクラスターから直接枝分かれする少なくとも3つのフェノール基を含み、少なくとも3つのフェノール基の各々に結合するペンダントオキシラン基を有する。
【0008】
少なくとも3つの分岐度を有する有用な多官能性エポキシ樹脂の制限の無い例は以下を含む:
【化2】


トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル(3つの分岐度を有し、中央の炭素原子から枝分かれする3つの末端グリシジルエーテル部分によって表される);
【化3】


テトラフェノールエタンのテトラグリシジルエーテル(4つの分岐度を有し、中央の2つの炭素クラスターのエチル部分から枝分かれする4つの末端グリシジルエーテル部分によって表される)。
トリフェニロールメタントリグリシジルエーテルのような、トリス−フェノールメタンに由来するエポキシ樹脂が特に望ましい。
【0009】
少なくとも3つの分岐度を有する多官能性樹脂は、単独又は上記したもののような従来の樹脂との組み合わせで使用し得る。
前記エポキシ樹脂は、約150ないし250の理論エポキシ当量を有する。該エポキシ樹脂は、組成物の総質量に基づき、例えば約1ないし25質量%、しばしば4ないし約12質量%、及びよりしばしば、約5.5ないし約8.5質量%の量で本発明の組成物に存在する。
【0010】
前記プリプレグ及びラミネートは、キュアリング剤(curing agent) [硬化剤(hardener)]を含有する。該キュアリング剤は樹脂の架橋を促進し、少な
くとも約135℃の温度まで組成物を加熱しポリマー組成物を形成する。本発明において含まれ得るいくつかの適するキュアリング剤は、フェノールノボラック型硬化剤、クレゾールノボラック型硬化剤、ジシクロペンタジエンフェノール型硬化剤、リモネン型硬化剤、及び無水物である。キシロック(xylock)ノボラック型硬化剤のような、約150より大きいヒドロキシル当量を有する軟質硬化剤がしばしば望ましい。軟質硬化剤の制限の無い例は、ボーデンケミカル社から市販されているビスフェノールM、及びダウケミカル社から市販されているDEH85を含む。エポキシ樹脂成分と類似して、1種より多いキュアリング剤の型が組成物中に含まれ得る。
エポキシ樹脂成分と同様に、少なくとも3つの分岐度を有する多官能性硬化剤が、本発明の1つの態様において特に望ましい。トリス−フェノールに由来し、及びエポキシド基と反応する少なくとも3つの官能基を含有するものが特に望ましい。
キュアリング剤は、例えば、本発明の組成物において、該組成物の総質量に基づき、約1質量%ないし約10質量%、しばしば約1.5質量%ないし約6質量%の量で存在する。
【0011】
前記組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤の反応を促進するための触媒を更に含み得る。このようなエポキシ組成物は、第四級アミン、置換ホスフィン、イミダゾールなどのような触媒及び触媒類と、触媒として使用するために特によく知られている1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、ジシアンジアミド(DICY)及びトリフェニルホスフィン(TPP)を混和する。
前記触媒は、前記組成物が少なくとも約135℃の温度まで加熱されるとき、エポキシ樹脂及びキュアリング剤の架橋を触媒的にもたらす十分な量で少なくとも存在する。
【0012】
前記エポキシ樹脂は充填剤を含み得る。該充填剤は、例えば米国特許第6,632,511号明細書において開示されるような高分子ミクロスフェア又は従来のガラスミクロスフェアであり得る。
【0013】
他の樹脂は印刷回路板用途の使用に適する。例えば、樹脂はエポキシ、フェノール系樹脂、ベンゾキサジン、ポリイミド、シアネートエステル、ビスマレイミドトリアジン、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート及びそのコポリマー並びにそのブレンドのような熱硬化性樹脂を含み得る。
前記樹脂は、付加的に様々な添加剤を、個々又は様々な組み合わせ及びその置換において含み得る。例えば、該樹脂は所望により紫外線遮断染料、例えばTiO2又はFe23
の様な顔料、又は紫外線に対するプリプレグ、ラミネート又は印刷回路板の不透明度を高めるための樹脂を含み得る。該樹脂はまた、更なる難燃剤、例えば臭素化エポキシ又は臭素化充填剤のようなハロゲン化合物、又は耐火性又は耐燃性を高めるためのリン、窒素、もしくはホウ素含有化合物のようなハロゲンフリー化合物を所望により含み得る。好ましくは、更なる難燃剤を用いない。前記樹脂は、シェミエ(Chemie)BYK322のような界面活性剤、疎水ヒュームドシリカのような無機流れ調製剤、及び/又はチキソトロープ剤を所望により含み得る。これらの添加剤は、組合せて、樹脂の約3.0質量%ないし約20.0質量%含む。ハロゲン物質がエポキシ樹脂である場合、臭素は該樹脂の約15.0質量%ないし約60.0質量%、及び総固体量の約5.0質量%ないし約30.0質量%含む。ハロゲン物質が充填剤である場合、臭素は該充填剤の約20.0質量%ないし約85.0質量%、及び総固体量の約5.0質量%ないし約30質量%を含む。
【0014】
本発明のプリプレグは、(i)溶媒及び(ii)ポリマー樹脂、例えば部分硬化した、又は樹脂モノマーを含むワニスとともに補強材を含浸させることによって形成される。一般に選択される前記補強材は、完成したラミネートに対して要求される性質次第である。
それらは、厚さ、絶対誘電率(DK)、熱膨張係数(“CTE”)、及び対象とする製品用途を含む。一般に、補強材はセラミック、ガラス、又はポリマー繊維のような繊維材料を含む織又は不織マットであり得る。電子等級ガラス、D−ガラス、両方ともイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Dupont de Nemours and Company)の登録商標であるケブラー(登録商標:Kevlar)及びノーメックス(登録商標:Nomex)のようなアラミド、ポリp−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリエーテルエーテルケトン、PTFE、芳香族ポリエステル、石英、S−ガラス、紙など、又はその組み合わせのような低絶対誘電率材料は、繊維材料のマットを形成するために使用し得る。前記補強材は混織布又は混合形態にあり得る。
【0015】
本発明のラミネートは、平台印刷機又はオートクレーブラミネーションのような従来の技術を用いてプリプレグから製造される。例えば、プリプレグシートは銅の2枚のシートの間にはさみ、そして熱及び圧力(例えば約188℃及び200ないし600psi(約13.75ないし40.0バール))下で積層される。電気経路を与える銅線は、結果として得られるラミネート上にエッチングされ得る。これらは単一物質として使用し得るか、又は多層ラミネート又は印刷回路板を製造するためにラミネート、銅、及びプリプレグの他のシートと一緒にプレスされ得る。
結果として得られるラミネートは、好ましくは相対的に低い誘電率を有する。すなわち、該ラミネートは好ましくは50%の樹脂含有量で4.2未満の絶対誘電率を有する。ある態様においては、誘電率は好ましくは50%の樹脂含有量で3.9未満、より好ましくは50%の樹脂含有量で3.5未満であり、及び5.0%樹脂含有量で3.0よりは大きくない。
【0016】
難燃剤を混和するプリプレグ、ラミネート及び印刷回路板は、現行の装置及び方法を用いて本発明に従い製造され得る。例えば、プリプレグはほとんどの場合加工処理装置で製造される。加工処理装置の主な構成部品は、供給ローラー、樹脂含浸タンク、処理装置オーブン、及び受け器ローラーを含む。前記補強繊維(例えば、E−ガラス)は、大きいスプールに巻かれる。次に該スプールは回転する供給ローラーに置かれ、そしてガラスをゆっくり圧延する。次に該ガラスは、ワニスを含有する樹脂含浸タンク中を移動する。該ワニスはガラスを浸す。タンクから取り出した後、被覆ガラスは約350°ないし400°F(約175℃ないし200℃)の温度である垂直処理オーブンを通り上方に移動し、そしてワニスの溶媒を沸騰蒸発させる。前記樹脂はこのとき重合が始まる。複合体がタワーから出てくるとき、ウェブは十分に硬化されているので、湿っても粘着性でもない。ラミネートが作られるとき付加的な硬化が起こり得るために、硬化プロセスは完了の手前で止められる。次に前記ウェブは、稼働を終えたときに変化し得る受け器ロール上にプリプレグを運ぶ。次に新しいロールが、新しい稼働が始められるように加工処理装置に取り付けられる。
【0017】
本発明に従い製造されたラミネートは、相対的に低い絶対誘電率のような良好な電気的性質、高い分解温度、良好なT−260及びT−288性質のような良好な熱的性質、並びに熱膨張特性(CTE及びZ軸膨張)のような良好な機械的性質を有する。この方法によって製造されたプリプレグ及びラミネートは、また良好な機械加工性、低密度、及びプリプレグ製造の現行の装置/方法を用いた加工性を有する。
【0018】
本発明は、印刷回路板の受動及び能動構成部品の両方に使用され得る。結果として得られるプリプレグ及びラミネートは、良好な電気的、熱的、機械的、及び加工性質並びにドリル加工及び他の印刷回路板機械研削作業における均質性を有する。
【0019】
微粒子径メラミンポリホスフェート及びメラミンシアヌレート難燃剤は、狭い粒径分布
を有する。例えば、該粒子の約99.0%は、約15.0ミクロン又はそれ未満の直径を有する。例えば、該粒子の約99.0%は、約14.0又は13.0ミクロン又はそれ未満の直径を有する。例えば、該粒子の約99.0%は、約12.0ミクロン又はそれ未満の直径を有する。例えば、該粒子の約50.0%は、約3.0ないし約3.5ミクロンの直径を有する。
微粒子径メラミンポリホスフェート又はメラミンシアヌレートは、既知の方法によって更に加工された市販試料から製造される。
微粒子径メラミンシアヌレート、又はメラミンシアヌレート及びメラミンポリホスフェートの組み合わせは、合計で、樹脂の質量に基づき、約20.0質量%までの水準でエポキシ樹脂中に存在する。例えば、エポキシ樹脂に基づき、約17.0質量%まで、又は約15.0質量%まで。例えば、メラミンをベースとした難燃剤は、樹脂の質量に基づき、約13.0質量%まで、又は例えば約9.0質量%ないし約13.0質量存在する。
【0020】
難燃剤としてホスフィネートもしくはジホスフィネート又はそれらの組み合わせがまた存在する場合、それらは一般にメラミンをベースとした難燃剤との約1:1質量比で存在する。例えばホスフィネート、ジホスフィネート又はその組み合わせは、メラミンをベースとした難燃剤に対して、質量:質量で約1:10ないし約10:1で存在する。例えば、質量:質量比は約1:5ないし約5:1又は約1:3ないし約3:1である。
ホスフィネート又はジホスフィネート難燃剤はまた、例えばエポキシ樹脂の質量に基づき、約20.0質量%までの水準で存在する。例えば、エポキシ樹脂に基づき、約17.0質量%まで、又は約15.0質量%まで。例えば、ホスフィネート又はジホスフィネートをベースとした難燃剤は、前記樹脂の質量に基づき、約13.0質量%まで又は例えば約9.0質量%ないし約13.0質量%存在する。
ホスフィネート又はジホスフィネート難燃剤は、米国特許第6,255,371号明細書において開示される。
【0021】
代表的なホスフィネート又はジホスフィネートは、式
【化4】

又は
(式中、
1及びR2は同一又は異なり、及び線状又は枝分かれした炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数1ないし10のアリール基を表し、
3は、線状又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキレン基、炭素原子数6な
いし10のアリーレン基、炭素原子数7ないし14のアルキルアリーレン基又は炭素原子数7ないし14のアリールアルキレン基を表し、
Mはマグネシウム、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛を表し、
mは2又は3を表し、
nは1又は3を表し、及び
xは1又は2を表す。)
で表される。
【0022】
アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、第二ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基又はイソアミル基である。
炭素原子数6ないし10のアリール基は、例えば、フェニル基又はナフチル基であり、しかしまた炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換されたフェニル基も含まれる。
アルキルアリール基は、例えば、o−、m−又はp−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、2−エチルフェニル基又は2,6−ジエチルフェニル基である。
アリールアルキル基は、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基又は2−フェニルエチル基である。例えば、ベンジル基及びα,α−ジメチルベンジル基。
アリーレン基、アルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基は、一価のアリール基、アリールアルキル基又はアルキルアリール基の二価のバージョンである。
【実施例】
【0023】
下記の実施例は本発明を説明する:
プリプレグ及びラミネート及び結果として得られる被覆回路板は、UL94V−1、より好ましくはUL94V−0の難燃性規格を示す。
前記規格は、UL94V難燃性試験(アンダーライターズ ラボラトリーズ UL94,プラスチック材料の難燃性のための試験UL94,1997年7月)に従い1/8インチの板の総燃焼時間を測定することによって決められる。
UL94V−0及びUL94V−1規格は、各々10秒及び30秒又はそれ未満になる1つの板に対する総燃焼時間を求める。UL94V試験に従う規格を、下記の表に纏めた。
【表1】

【0024】
実施例
メチルエチルケトン3.6g中に2−メチル−イミダゾール0.5g、及び1−メトキシ−2−プロパノール7.2gを、エポキシクレゾールノボラック樹脂190gを含有するワニスと混合した。また微粒子径メラミンシアヌレート12質量%及びアルミニウムジエチルホスフィネート12質量%も添加した。次に混合物を4時間よく攪拌し、そして7628型E−ガラス布(BGF工業による提供)に適用した。次に該ガラス布を、2分半の間、171℃で加熱することによって部分的に硬化したBステージなった。一方の側にグールドフォイル社製1オンスサイズのSTD銅及び他方の側にグールドフォイル社製1オンスのDST銅を用いて、90分間188℃及び140psiで正確にプリプレグ及び
銅をプレスすることによって、4層ラミネートを作った。該プリプレグ及びラミネートはV−0のUL94規格を示した。
メラミンシアヌレートは、メラミンシアヌレート及びメラミンポリホスフェートの混合物と置き換えられ得る。各々の粒径は、粒子の99.0%が約12.0ミクロン又はそれ未満の直径を有し、及び粒子の50.0%が約3.0ないし約3.5ミクロンの直径を有するものであった。
アルミニウムジエチルホスフィネートは、亜鉛ジエチルホスフィネートと置き換えられ得る。優れた結果が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷回路板のためのプリプレグ又はラミネートであって、
プリプレグ又はラミネートが
エポキシ樹脂及び
粒子の99%が15ミクロン又はそれ未満の直径を有する微粒子径メラミンシアヌレート又は微粒子径メラミンシアヌレートと微粒子径メラミンポリホスフェートとの混合物である難燃剤を含むプリプレグ又はラミネート。
【請求項2】
前記メラミンシアヌレート及びメラミンポリホスフェート粒子の50%が3.0ないし3.5ミクロンの直径を有する、請求項1に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、シクロペンタジエン含有エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂及びそれ等の組み合わせから成る群から選ばれる、請求項1に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項4】
フェノールノボラック型硬化剤、クレゾールノボラック型硬化剤、ジシクロペンタジエンフェノール型硬化剤、リモネン型硬化剤、軟質型硬化剤、無水物及びその組み合わせから成る群から選ばれる硬化剤を更に含む、請求項1に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項5】
前記メラミンシアヌレート及びメラミンポリホスフェート難燃剤が、合計で、樹脂の質量に基づき、20.0質量%まで存在する請求項1に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項6】
前記メラミンシアヌレート及びメラミンポリホスフェート難燃剤が、合計で、樹脂の質量に基づき、9質量%ないし13質量%存在する請求項1に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項7】

【化1】

又は
(式中、
1及びR2は同一又は異なり、及び線状又は枝分かれした炭素原子数1ないし6のアルキル基又は炭素原子数1ないし10のアリール基を表し、
3は、線状又は枝分かれした炭素原子数1ないし10のアルキレン基、炭素原子数6な
いし10のアリーレン基、炭素原子数7ないし14のアルキルアリーレン基又は炭素原子数7ないし14のアリールアルキレン基を表し、
Mはマグネシウム、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛を表し、
mは2又は3を表し、
nは1又は3を表し、及び
xは1又は2を表す。)
で表されるホスフィネート及び/又はジホスフィネート難燃剤を更に含む請求項1に記載
のプリプレグ又はラミネート。
【請求項8】
ホスフィネート及びジホスフィネート難燃剤とメラミンシアヌレート及びメラミンポリホスフィネート難燃剤の質量:質量比が1:10ないし10:1である、請求項7に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項9】
前記ホスフィネート及び/又はジホスフィネートが、樹脂の質量に基づき、20質量%まで存在する、請求項7に記載のプリプレグ又はラミネート。
【請求項10】
前記ホスフィネート及び/又はジホスフィネートが、樹脂の質量に基づき、9.0質量%ないし13.0質量%まで存在する、請求項7に記載のプリプレグ又はラミネート。


【公表番号】特表2009−516379(P2009−516379A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540568(P2008−540568)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068093
【国際公開番号】WO2007/057311
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】